説明

トレーニング用器具

【課題】 手軽に持ち運びでき、場所を取らず簡単に設置、収納出来、安価に提供すること。
【解決手段】 使用者が立つ台と、その台に設けた所定長さを有する柱部材と、一端を該柱部材に取り付けられ他端に引張り力を作用させる紐状の伸縮材とを具備したトレーニング用器具であって、台に柱保持手段を設け、柱部材の基端を該柱保持手段に連結し、この連結状態において、柱部材を、台に立つ使用者から離反する側へ傾斜した状態で立たせ、伸縮材の他端を該伸縮材の付勢力に抗して使用者が引張ることによりトレーニングを可能にするように構成した。柱保持手段は、柱部材の基端を着脱自在に連結する柱保持部と、該保持部の傾斜角度を維持して該柱保持部の方向調整を行うことができる台座部と、該台座部を台に結合して、柱保持部を所望の位置に固定する締結部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ、野球、テニス、卓球、バドミントン、ビリヤード等の(球技)玉を撃つスポーツや、ボクシング、水泳など各種スポーツのトレーニングに用いることのできるトレーニング用器具であって、ゴム等の伸縮材を引っ張ることによって筋力を鍛えることのできるトレーニング用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴム等を木の枝や柱に結びつけて、それを引っ張る練習方法があった。
又、特許文献1及び2に示すような練習器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−95338号公報
【特許文献2】特開2003−24492号公報
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の技術では穴を掘り柱を立てるか、建造物にゴムを取り付けなければならない。そのため場所が限定される。
【0005】
また、特許文献2記載の技術では滑車等を使って重錘をぶら下げる装置が必要であり、装置も大きくなり、設置場所も限定される。
【0006】
これら技術は、設置費用が高価になり、設置時間も長くなり、場所を広く取るため、手軽に使えない欠点があった。また、設備のある場所へ出向かなければならない煩わしさがあった。
【0007】
特許文献1,2に記載の技術は、球技ごとに使用する道具が異なり、それに合わせて道具の方にも伸縮材を取り付けるためのリングを設置しなければならないという問題がある。また道具は実物大であるため振るためには、場所を取り危険である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述のかかる事情に鑑みてなされたものであり、手軽に持ち運びでき、場所を取らず簡単に設置、収納でき、安価に提供することにより、老若男女を問わず子どもでも気軽に時間も場所も取らず練習することができるトレーニング用器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の技術的課題を解決することを目的として工夫されたトレーニング用器具に係り、使用者Tが立つ台1と、その台1に設けた所定長さを有する柱部材2と、一端を該柱部材2に取り付けられ他端に引張り力を作用させる紐状の伸縮材3とを具備したトレーニング用器具であって、台1に柱保持手段4,5,8,10,11,13,14,15を設け、柱部材2の基端を該柱保持手段に連結し、この連結状態において、柱部材2を、台1に立つ使用者Tから離反する側へ傾斜した状態で立たせ、伸縮材3の他端を該伸縮材3の付勢力に抗して使用者Tが引張ることにより球技等のトレーニングを可能にするように構成されたことを特徴とする(図1〜図20に対応)。
【0010】
係る構成としたことで、使用者(練習者)が台の上で例えば、ゴルフのスウィングの練習をする場合、伸縮材の他端をクラブのグリップにみたてて把持して引張る。このとき、柱部材は練習者から離反する側に傾斜しているので、クラブを振り上げる両腕が柱部材側に振り挙げられても、練習者と柱部材との間に十分な空間が維持されている。このため、両腕が柱部材に干渉することはなく、何ら支障なくクラブを振る練習が行える。その結果、伸縮材の弾性付勢力に抗して引張ることにより、筋力を鍛えることができるだけでなく、フォームの調整もできるようになる。
【0011】
また、柱保持手段は、柱部材の基端を着脱自在に連結する柱保持部4と、保持部4の傾斜角度を維持して該柱保持部4の方向調整を行うことができる台座部6と、該台座部6を台1に結合して、柱保持部4を所望の位置に固定する締結部8,Zと、を備えたことを特徴とする。(図1〜図5,図29,図30に示す構成に対応)。
【0012】
これによれば、台座部6を締結具を用いて台1に固定する際に、保持部4の傾斜角度を保ちながら台座部6を適宜の方向へ若干回転して締結具8で結合する。これにより、使用者と柱部材2との間の存する空間スペースを広狭に簡単な調整作業で短時間にでき、使用者の体型、練習する球技の種類等に応じて最適な空間を調整して形成することが可能となる。
【0013】
また、柱保持手段は、柱部材2の基端を着脱自在に連結する柱保持部4,10と、該柱保持部4,10をピン結合12により回転可能に取り付ける台座部11と、該台座部11に設けられ柱保持部4,10を所望の傾斜角度に位置決め調整して固定する複数個の角度調整穴15と、柱保持部4,10に設けられ角度調整穴15に差し込まれる調整ピン13とを有する構成としてもよい(図6〜図8に示す構成に対応)。
【0014】
係る構成としたことで、柱部材2の角度を調整する場合には、調整ピン13を角度調整穴15に差し込まない状態にして柱保持部をピン10回りに回転させる。最適な角度で調整ピン13を角度調整穴15に差し込むことで柱保持部4,10が望みの傾斜角度に調整される。このため、柱保持部4,10に柱部材2の基端を差し込んで位置決め固定することで、柱部材2の傾斜角度の調整を簡単に行うことができる。また、トレーニング用器具の収納時には、柱部材2を台1の上側へ折りたたむことができ、収納スペースをとらない(図8)。
【0015】
また、柱保持手段は、柱部材2の基端を着脱自在に連結する柱保持部4,10と、該柱保持部4,10と台1との間に設けられ、常時柱部材2を台1に立つ使用者から離反する側へ傾斜した状態で立たせるように付勢するバネ部材とを有し、該バネ部材に所定値以上の引張り力が作用したときに、前記バネ部材の弾性変形により引張り力を吸収するように構成してもよい。
【0016】
これによれば、伸縮材3から柱部材2に過大な引張り力が作用したときでも、バネ部材のバネ付勢力に抗して柱部材2,すなわち、柱保持部4,10が使用者T側へ若干量だけ復帰し、これにより引張り力を吸収する。このため、柱部材2が変形したり、台1に対する柱保持部4,10の損傷を惹起するのを未然に回避できるようになる。
【0017】
また、柱部材を、弾性たわみ変形が可能なたわみ部材で形成してもよい。
これによれば、柱部材21そのものがたわみ部材で形成されるので、たわみ部材の弾性変形を利用して球技の練習を行うことができるようになる。したがって、上記のように伸縮材3を用いる必要はなく、伸縮しない紐を使用することが可能となる。勿論、伸縮材を併用することは可能である。
【0018】
また、伸縮材の前記一端は、柱部材に対して上下の取り付け位置が調整可能な取り付け位置調整手段18,5,19,20を介して取り付けるようにしてもよい(図10,図11,図12,図13,図14)。
【0019】
この構成によれば、伸縮材3の他端は、取り付け位置調整手段により柱部材2に係合されるので、取り付け位置調整手段で取り付け位置の高さを任意に調整できる。このため、使用者の体格、球技の種類、練習目的に合わせた練習を効率的に行えるようになる。
【0020】
また、柱部材を、継ぎ手部材を介して分割可能な構造に形成することも可能である(図9、図23、図24)。
これによれば、トレーニング用器具を使用しない状態のときには、柱部材2を継ぎ手部材16から取り外す。このため、トレーニング用器具をコンパクトにでき、収納スペースをとらないので好都合である。使用する際には、継ぎ手部材16を介して取り外した柱部材2の一部を連結することで使用可能な状態に復帰できるようになる。
【0021】
好ましくは、継ぎ手部材は分割された柱部材を両側から差し込み所定の位置に止めるためのストッパー機構を有し、該ストッパー機構の位置は選択可能にすると良い(図23)。
【0022】
また、トレーニング用器具における伸縮材3の他端に、使用者が把持可能に形成したグリップ部材24を引っかけるようにしてもよい(図16)。
【0023】
また、伸縮材に、使用者の腹部、太股部等身体を引っかける拘束部を形成することも可能である。
【0024】
また、伸縮材の一端を、リング状の固定具に取り付ける一方で、該固定具を前記柱部材に沿って上下高さの取り付け位置が調整可能となるように形成してもよい。
【0025】
また、本発明に係わるトレーニング用器具のグリップ部材は、トレーニング種別にあわせて交換可能に形成されていることを特徴とする。
【0026】
特に、このグリップ部材と伸縮材は、所定の位置または所定値以上の力で分離するように形成することによって、たとえば、ゴルフスイングにおけるフォロースルーまで含めたスイング全体の練習が可能となる(図21、図22)。
好ましくは、このグリップ部材を、磁性によって吸引力を有する分離可能な2つのグリップ部品で構成し、両グリップ部品の間隔を変えることにより前記吸引力を調整する手段を設けるようにすると良い。
【0027】
また、本発明に係わるトレーニング用器具は、使用者が立つ台と、その台に設けた所定長さを有する柱部材と、一端を該柱部材に取り付けられ他端は該柱部材の他の位置または前記台に取り付けられた紐状の伸縮材と該伸縮材の両端間をスライド可能に取り付けられたグリップ部材とを具備したトレーニング用器具であって、前記台に柱保持手段を設け、前記柱部材の基端を該柱保持手段に連結し、この連結状態において、前記柱部材を、前記台に立つ使用者から離反する側へ傾斜した状態で立たせ、前記グリップ部材を前記伸縮材の付勢力に抗して前記使用者が引張ることによりトレーニングを可能にするように構成されたことを特徴とする(図20〜図22)。
【0028】
本発明では、伸縮材の両端を柱部材または台に固定しておき、グリップ部材を伸縮材にそって所定の摩擦力を持ってスライド可能にすることによって、使用者は、ゴルフ等のスイングにおいて自然な円運動に近いスイングの練習を行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ゴルフ、野球、テニス、卓球、バドミントン、ビリヤード等の練習科目にあった筋肉を同時に鍛えることができ、また無駄のないバランスのとれたトレーニングができる。
柱を傾斜させることによって、伸縮材の設置位置と手で握る位置との間隔を開けることができるので、台を小型化できる。
【0030】
また、伸縮材の取付位置と方向が自由に変えられるので、一つの球技だけに限定されず、あらゆる球技に使用出来、子ども、老若男女など使用者の年齢や性別を問わず練習ができる。練習台の端に柱を傾斜させて立てることによって、小型化、軽量化が可能となり、安価に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態によるトレーニング用器具の全体図(正面図)で練習者(使用者)が台1の上に立ちゴルフのスイングの練習を始めるために伸縮材を両手で握りテイクバックをした図である。
【図2】練習者が両手で伸縮材を引っ張った状態を示す図である。
【図3】練習者が伸縮材を離した状態の図でありフォローの状態を示す。
【図4】図1のA部の柱保持部における拡大断面図である。
【図5】図4の柱保持部の平面図である。
【図6】図1のA部の柱保持部における他の実施例を一部断面で示す拡大正面図である。
【図7】図6の側面図である。
【図8】柱の折りたたみ状態を示す正面図である。
【図9】図1のB部の継ぎ手部材に係る実施例を断面で示す拡大断面図である。
【図10】図1のC部の実施例を示す拡大斜視図である。
【図11】図1のC部の他の実施例を示す平面図である。
【図12】図11の正面図である。
【図13】図1のC部における他の実施例を示す正面図である。
【図14】図13の平面図である。
【図15】柱をバネにした状態を示す図である。
【図16】テニスのグリップに伸縮材を引っかけた状態を示す説明図である。
【図17】ビリヤードの練習を行う状態を示す説明図である。
【図18】腹部にゴムを巻き付けた使用状態を示す説明図である。
【図19】図18の腹部の拡大斜視図である。
【図20】他の実施例による伸縮材を柱部材へ両端留めとしたトレーニング用器具の構成図である。
【図21】他の実施例によるグリップ24の正面図である。
【図22】図21の平面図である。
【図23】他の実施例によるパイプ継ぎ手および柱部材の断面図である。(その1)
【図24】他の実施例によるパイプ継ぎ手および柱部材の断面図である。(その2)
【図25】グリップに装着する伸縮材の引っかけ機構の外形図である。
【図26】他の実施例による引っかけ機構の外形図である。
【図27】傾斜台Dの使用状態の説明図である。
【図28】ボールに伸縮材を装着するやり方の説明図である。
【図29】他の実施例による柱設置材台座6の(a)平面図と(b)正面図である。
【図30】図29と共に用いられる底板の(a)底面図と(b)側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施の形態によるトレーニング用器具の構成図である。ここで、トレーニング用器具50は、使用者Tが立つ台1と、その台1に設けた所定長さを有する柱部材2と、一端を該柱部材2に取り付けられ他端に引張り力を作用させる紐状の伸縮材3を有している。また、台1には、柱保持手段60を設け、柱部材2の基端を該柱保持手段60に連結し、この連結状態において、柱部材2を、台1に立つ使用者Tから離反する側へ傾斜した状態で立たせた構成としている。
【0033】
伸縮材3の他端を該伸縮材3の付勢力に抗して使用者Tが引っ張ることにより球技のトレーニングを可能にしている。また、柱部材を使用者から離反する側へ傾斜させるので、伸縮材を引いたときに生ずる角度を、小さくすると柱にかかる力が小さくなるので柱を細くすることができる。
【0034】
柱部材の傾斜角度の調整は、例えば図6,図7に示すように穴13と、穴15をボルト止めにし、複数あけられた穴15の一つを選択して、穴13と選択された穴15にボルトを貫通させて固定するようにする。
【0035】
柱立て装置A図5のボルトの止め穴を変えることによって、柱の傾斜方向を変え伸縮材設置装置Cの位置を斜め前後させることも出来、目的に合わせた練習をすることができる。なお、テニス等は前方の方が良い。
【0036】
また、図4に示すように、柱部材2を柱保持部4に差し込み、着脱可能にし、蝶ネジ5で保持するようにしても良い。また、図9に示すように柱部材2を分割することもできる。接続材16に分割した柱を差し込みネジ17、蝶ネジ5で止めても良い。
図6,図7,図8に示すように折りたたみもできる。
【0037】
以下、ゴルフの練習をする場合を例にして上記の構成を有するトレーニング用器具50の作用を説明する。
【0038】
使用者Tは、図1の様に伸縮材(たとえばゴムを使用)の先端を柱部材2に設置して、他端を両手で握り、図2のように体の正面までゴムを伸ばし、図3の様にゴムから手を離す。
【0039】
このとき体全体を使うことによって、足、膝、腰、腹、肩、腕の筋肉がバランス良く鍛えることができる。図3の様にゴムを離すと、反動で前方へ伸びるので無駄のない、綺麗なフィニッシュの練習ができる。特に、ゴムを引っ張ることによって、スイングのためを作る練習が出来、飛距離を伸ばす練習ができる。
【0040】
なお、図16に示すようなグリップの形状をした部品24を手23で握り、その先端にゴム3を引っかけて伸ばすこともできる。伸ばした状態でゴム3を外し、反動でフォローの練習をしてもよい。この練習は、片手でも両手でも行うことができる。
【0041】
また、左右の片手で引っ張ることにより、左手、右手の使い方の練習にもなり、両手と交互に繰り返すことにより効果的な練習ができる。
【0042】
立つ位置を反対にすれば、反対動作の筋肉を(テイクバックの筋肉を)鍛えることができる。
(他の使用例)
【0043】
本トレーニング用器具50は、ゴルフに限らず、両手を使うようなスポーツ、たとえば野球なども同様な方法で練習することができる。
【0044】
また、片手で行う、テニス、卓球、バドミントン、等はフォーハンドとバックハンドの切り替えは反対を向いて振る。引っ張った後、ゴムを離すとフォローの練習もできる。
【0045】
ビリヤードの場合は、図17に示すように、ゴムの取付位置Cを低くして、使用者Tは、キューと一緒に持って手をビリヤード台の上に添えて前後に動かすようにして使用する。キューの後端にゴムを接続しても良い。
【0046】
また、図18,図19に示すように、ゴムを腹部、太股等に巻いて引っ張ったり、よじったりしてフィットネスを行うこともできる。
(他の実施例1)
【0047】
図1のCの位置を変えることによって、使用者の体格に合わせ、又競技に合わせ、練習目的に合わせた練習ができる。
【0048】
Cの位置を変える実施例として、図10に示すように伸縮材3を結束材18でリング状に固定し、その伸縮効果を利用して柱部材2に止める事も、位置を変えることも可能である。
【0049】
図12はCの伸縮材設置装置の実施例の正面図であり3は伸縮材で固定具19に巻き付けて固定する。蝶ネジ5で希望の位置に固定する。図11はその平面図である。
【0050】
図13は別の実施例の正面図で固定具20で伸縮材18をボルトナットで保持するもので蝶ネジ5を締めることによって柱に固定する。
これらの実施例に示すようにCの伸縮材設置装置以外にも多くの装置が可能である。
【0051】
また、図15に示すように柱自体21をバネにして伸縮材を使用しないことも可能である。又、図示しないが柱の根元にバネを使用しても良い。柱を立てる位置を変えることによって、練習目的に合わせることが可能であり、より細かく伸縮材の位置を調整できる。
【0052】
図5のボルト位置を変えることによって柱の方向を変えることもできる。
【0053】
図16のようにグリップ部分24だけを使用し、伸縮材3を先端に引っかけて引っ張る練習をする。左右片手でも、両手を使っても良い。
【0054】
伸縮材を引っ張った状態で、グリップの先端から伸縮材を外し、その反動でフォローの練習もできる。これはテニスだけでなく、バドミントン、卓球、野球、ゴルフ等のグリップを使用しても良い。
【0055】
伸縮材3を腹部27、太股等に巻いて引っ張ったり、よじったりしてフィットネスを行うこともできる。
【0056】
図19は腹部の拡大図である。腹部27にタオル等の緩衝材28を巻いて、その上に伸縮材3を巻けば腹部に当たる力を緩和できる。
【0057】
その他の実施例として、ビリヤードは、伸縮材3の取付位置Cを低くして、キュー25と一緒に持って手をビリヤード台26の上に添えて前後に動かすこともできる。キュー25の後端に伸縮材を接続しても良い。
【0058】
また、図20に示すように、伸縮材3の両端を柱部材2に取り付け、図21に示すローラ付きグリップのローラの溝に伸縮材3を通すようにしてもよい。ここでローラ付きグリップ24は、円筒形状を有する伸縮材3側のグリップ部品24aと使用者の握持するグリップ側のグリップ部品24hからなり、グリップ部品24aには、ゴム製ローラ24bとゴム製ローラ24cが回転可能に取り付けられ、両ローラ24b,24cの間には、伸縮材3が挟まった形となっている。また、ローラ24cは、調整用の穴に沿って軸がスライド可能になっており、留め具24dによって伸縮材3に対して適当な圧力で圧迫した状態で留められる。また、グリップ部品24aの円筒底部には、円盤状の磁石板24fが貼付されており、グリップ部品24h側にあって磁石板24fに対向する金属板24iとの間で、磁力結合する。ここで、磁石板24fと金属板24iを磁性手段という。なお、金属板24iは、磁石板24fと引き合う磁石であっても良い。
【0059】
一方、グリップ部品24hは、ヒンジ24gによって中間位置で回転可能になっている。また、グリップ部品24aはカバーが若干グリップ部品24hを覆う形になっており、磁石板24fと金属板24iの接触面方向には、ずれないようになっている。また、この接触面は、磁力によって結合した状態で両部品24a,24hは、円盤の中心軸で回転可能になっている。図22は、このグリップ24の平面図である。ゴルフのインパクトの瞬間は、グリップ部品24aとグリップ部品24hがほぼ直角となり、所定以上の力が加わることにより、磁石24fと金属板24iとが離れ、使用者は、グリップ部品24hを握持したまま、フォロースルーに移行することができる。
【0060】
なお、磁石板24fと金属板24iとの間隔を調整可能にすると良い。これは、たとえば金属板24i側からねじを切り貫通させ、ボルトを挿入してねじ込むことによって、金属板24iの反対側から出たボルトの先が磁石板24fを押すことによって、金属板24iと磁石24fとの間隔を広げるようにする。ボルトの挿入量を調整することによって、金属板24iと磁石24fとの隙間を調整することができる。これにより、グリップ部品24hと部品24aの間の吸引力を調整して、インパクトの時にグリップ部品24hと部品24aが分離する強度を所望の値に変えることができる。
【0061】
このように、本実施例によれば、グリップの移動に伴ってグリップの上下から出る伸縮材3の張力がほぼ均一になるようにローラが移動して、円運動に近い自然なスイングが可能となる。
【0062】
なお、伸縮材3の下側の取り付け位置は、柱部材2ではなく台1に取り付けるようにしても良い。
【0063】
また、グリップ部品24hを交換可能にすることによって、他のスポーツのトレーニングに利用することができる。
【0064】
以上、本実施の形態によれば、使用者が(練習者)立つことのできる台と、その台の端に柱を立て、その柱に帯状(ひも状の)の伸縮材(弾性材)(ゴム、バネ等)の一端を設置し、他端を使用者が引っ張ることで、筋力を強化し、フォームの調整ができる。これによって、ゴルフ、野球、テニス、卓球、バドミントン、ビリヤード等の球技の(玉を撃つ)練習機として使用することができる。特に、使用者が台の上に立つことによって、練習者の体重が台にかかるため、その端に設置された柱も台と一体になって安定し、伸縮材を引いて十分な練習ができる。
【0065】
また、伸縮材を柱部材から取り外し可能にすることによって、目的、体力等に合わせた引っ張り強度の伸縮材を取り付けてトレーニングをすることができる。
【0066】
また、柱保持手段を解して台と柱部材とを連結/分離可能にすることによって、室内、ベランダ等の狭い場所でも簡単に組み立て練習することが可能になる。また折りたたみ、分割して収納することもできる。すなわち、使用者が立つことのできる台と、柱とを折りたたみ、着脱装置(機構)を備えた構造にすることによって収納場所を取らず、運搬も手軽にできる。このように、設置も簡単で、軽量化できるので、運搬もし易く、収納場所も狭くて良く、練習は狭い場所でも(室内、ベランダ等でも)気軽に設置し、テレビを見ながらでも取り組めるので、長続きしやすく練習の成果が上がり、健康増進にもなる。従来のように練習具の有るところまで、出向いて行かなくても良い。
【0067】
さらに、柱部材に、伸縮材の取り付け位置を変える構造を備えることによって、子どもから大人まで、身長に合わせて高さを調整することも出来、競技の種類に適した位置に設定することもできる。
なお、柱部材自体をバネにしたり、柱の根元をばね構造にして、ゴムの様な伸縮材を使わない構造にしても良い。また、伸縮材の取付位置を変えることのできる構造にすることによって柱部材の傾斜方向を変えて、球を飛ばす方向や、スイングの形を変えて練習することができる。さらに、スポーツ道具にゴムを取り付けず、ゴムを手で直接引っ張るか、グリップ部分だけつなぐので、場所も取らず安全でもある。また、ゴムを腹部、太股に巻き付けて、動かすことによって、フィットネス具として使用できる。
【0068】
(他の実施例2)
次に、パイプ継ぎ手16に関する他の実施例を説明する。なお、以下において、柱部材2としてパイプを用いた場合について説明する。
上述のパイプの接続方法は、パイプ継ぎ手16に穴を開け、差し込みパイプの上をネジで止める方法である(図9参照)。パイプの接続方法としては、上述のほか、ネジ込み型、パイプの先端を拡張、又は絞り込み、接続パイプに差し込む等色々考えられる。
しかしながら、これらの方法は、何度も使用するとパイプの表面に傷が付く。またパイプの肉厚が薄いとボルトの当たる部分が凹むので着脱を頻繁に行う製品に使用するには問題がある。この問題に対処するため、図24に示す如く継ぎ手の内側に仕切部Hを設けることによってその位置までパイプを差しむという方法が考えられる。
【0069】
しかしこの方法についても次のような問題点がある。
1)肉厚の多いパイプの内側を削り固定部Hだけを残すと言う加工が必要である。このため削り捨てる部分が多く材料費、加工費が高く、加工時間も多く要する。
2)一度H部を決めてしまうと、パイプの差し込み位置を変えることが出来ない。
また、差し込む長さは、強度が要求される側は長く、強度を必要としない側は短くて良いため、使用目的に合わせて、継ぎ手を製造しなければならないという問題点がある。
【0070】
この問題点に対処するために、トレーニング用器具50については、次の構造を有するパイプ継ぎ手を採用するのが好ましい。
すなわち、図23に示すように、接続するパイプの外径より少し大きい内径を有するパイプ継ぎ手16Aを必要な長さに切断し、接続パイプ2を止めたい位置に穴を開けストッパー機構(装置)例えばパイプ継ぎ手16Aにネジ穴を開けボルト等をパイプ継ぎ手16Aの内側に出るまで差し込む。接続するパイプ2を差し込むと、ストッパー機構Eの位置で止まる。また、F部には、パイプ継ぎ手16Aとパイプ2を貫通穴を設け、パイプの径より長いボルト、ナットで止めても良いし、パイプ2にネジを切って、ねじ込んでも良い。パイプ2に複数の、ネジ穴を開けておけば、その位置に合わせてストッパー機構を、設置できる。
【0071】
差し込みパイプ2側に、ボルトの径よりより大きい穴を開けておきその中にボルトの先端がはまるようにすれば、パイプは抜けないし、パイプに傷も付かない。パイプ抜け防止装置とストッパー装置の共有ができる。
【0072】
さらに、パイプ継ぎ手16Aについて詳述する。
図23に示すように接続するパイプ2が挿入できる内径を有するパイプを目的にあった長さに切断したものを、継ぎ手16Aとして使用する。これに外部より穴を開け、接続パイプを止めたい位置に差し込みストッパーEを形成する。両側から差し込んだ接続パイプ2はストパーEの位置で止まる。ストパー機構はボルト等を使い、パイプにネジを切り、ねじ込んでも良い。あるいは、パイプに穴を貫通させボルトとナットで、パイプの外側で止めても良いし、同円周上の複数の箇所で止めても良い。
【0073】
差し込んだ接続パイプ2を抜けないようにするためには、接続パイプ2に穴Lを開け、ストパー機構Fを差し込む。
ストパー機構Eと、滑り止め装置Fを同サイズにすることによって、部品の標準化が可能になり、コスト削減効果も大きくなる。
【0074】
本実施例によるパイプの継ぎ手をパイプにして、ストッパー機構(ボルト等)を継ぎ手の外から差し込むことによって、簡単にストッパーを形成でき、コスト削減もできる。また、複数の穴を開け、それにストッパー機構を着脱することによって、ストッパー機構の位置を簡単に変えることができる。
さらに、接続用パイプにストッパー機構より大きめの穴を開け、ストッパー機構を差し込むことによって接続パイプの抜け防止が簡単にでき、外部よりナットで締め付けて接続パイプに傷を付けるのを防止できる。
また、ストッパー装置とパイプ抜け防止装置を同じ形状にすることによって共有できる。同じ部品同じ加工をするので、コストを削減することができる。
【0075】
(他の実施例3)
次に、グリップ24にゴム(伸縮材)3を引っかける機構の他の実施例について説明する。ゴムを引っかける機構は、使用中にゴムが外れると危険であるから、抜け、折れ防止策が重要になる。
【0076】
このため、図25に示すように、以下の手段を設ける。
1)グリップ24の図中I−Jの位置に穴を貫通させ、グリップの外径より長いもの(例えばボルトI)を差し込み、ナットJで締め付けて固定する。グリップ24の外側に出た部分にゴム(伸縮材)3を引っかけるようにする。ボルトIの頭と、ナットJがゴムの外れ防止の効果を高める。
2)グリップ24の外側に出たボルトIの部分に、弾力性、柔軟性のあるパイプKを被せる事によってゴムの耐久性を高める。
ボルトの溝の凹凸が抵抗になり、柔らかいパイプKを強力に保持するので容易に抜けることを防止する。設置するときは、細めのパイプで回すことによってボルトのネジ部に馴染んで、差し込むことができる。
【0077】
(他の実施例4)
次に、グリップ24にゴム(伸縮材)3を引っかける機構のさらに他の実施例について説明する。
グリップ24にゴムを引っかける機構としては「?」マーク状のもの、リング状のも、グリップに直角に設置したもの色々ある。またゴム3をグリップ24に巻き付け、指で押さえるのも、指を放してゴムの反動でフォローの練習もできる。
これらは、全ての球技のグリップに共通する。ビリヤードの場合はキューの後ろに付けてもよい。例えば図26のように、グリップ24にその断面の直径よりも大きな直径を有する球状の部材Uを装着し、グリップ24と部材Uの境界に伸縮材3を引っかけるようにしても良い。この部材Uは、フェースの向き、角度を確認する部品として機能し、その形状は球に限らず、丸、四角、三角でも良い。あるいは、うちわ状(シート状)の物、針金状でも良い。
【0078】
(他の実施例5)
台1は、図27に示すように傾斜させるようにしても良い。
すなわち、傾斜台Dを台1上に設置し、この傾斜台Dで斜面を作り、斜面上でスイングの練習をする。斜面台Dを置く位置によって、あらゆる傾斜ができる。また、伸縮材3と柱部材2を紐Mでつなぎ、伸縮材3が切れたときに反動しないように、止める事ができる。すなわち、紐Mは安全装置として機能する。
【0079】
(他の実施例6)
上記の各実施例は、グリップ24に伸縮材3を取り付けていたが、グリップだけでなく、ボール、グラブ(ボクシング、水泳等)などスポーツ用品そのものに伸縮剤3を装着するようにしても良い。図28(a)は、投球練習用ボールVにフックWを装着し、このフックFに伸縮材3を取り付けた例であり、図28(b)は、ボールVに直接、伸縮材3を取り付けた例である。
【0080】
これらの道具は伸縮材と一体化して製造・販売できるようにしておき本トレーニング用器具50と別個に使用可能にしておくのが好ましい。例えばゴム付きのボールをドアーに挟んで、引っ張ることもできる。
【0081】
(他の実施例7)
図29は、図5に示す柱設置材4および柱設置材台座6の他の実施例である。ボルト貫通用のスリットYを同心円の弧状に4つ設け、図30に示す底板29を台1の裏面(底側)から装着し、底板29に設けられている4本のボルトZをそれぞれ、柱設置材台座6のスリットYを貫通させ、ナットで締め付けて固定する。これによって、柱部材2の方向調整を連続的に行うことができ、所望の位置に止めることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 台、2 柱部材(差し込みパイプ)、3 伸縮材(ゴム紐など)、4 柱設置材、
5 固定蝶ネジ、6 柱設置材台座、7 柱設置材下板、8 ボルト、9 ボルト穴、
10 傾斜角調整柱、11 傾斜角調整保持材、12 固定ピン、13 調整ピン、
14 傾斜角調整保持材台座、15 調整穴、16,16A パイプ継ぎ手、
17 丸ビス、18 ゴム止め、19 ゴム固定具、20 他のゴム固定具、
21 弾力性のある柱、22 紐、23 手、24 グリップ、
24a グリップ部品(伸縮材側)、 24b ローラ(大)、24c ローラ(小)、
24d留めねじ、 24e 調整穴、 24f 磁石、24g ヒンジ、
24h グリップ部品(使用者側)、 24i 金属板、25 キュー、
26 ビリヤード台、27 腹部、28 クッション、29 底板、
50 トレーニング用器具
A 柱立て装置(柱保持手段)、B 柱継ぎ装置(継ぎ手部材)、
C 伸縮材設置装置(取り付け位置調整手段)、E ストッパー、F 滑り止め装置、
G グリップ、I ボルト、J ナット、K 柔らかいパイプ、
L 滑り止め差し込み穴、M 紐(安全装置)、H 従来のストッパー、
T 使用者(練習者)、U フェースの向き・角度を確認する部品、
V ボール(投球練習用)、W フック、Y スリット、Z ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が立つ台と、その台に設けた所定長さを有する柱部材と、一端を該柱部材に取り付けられ他端に引張り力を作用させる紐状の伸縮材とを具備したトレーニング用器具であって、前記台に柱保持手段を設け、前記柱部材の基端を該柱保持手段に連結し、この連結状態において、前記柱部材を、前記台に立つ使用者から離反する側へ傾斜した状態で立たせ、前記伸縮材の他端を該伸縮材の付勢力に抗して前記使用者が引張ることによりトレーニングを可能にするように構成されたトレーニング用器具において、
前記柱保持手段は、前記柱部材の基端を着脱自在に連結する柱保持部と、該保持部の傾斜角度を維持して該柱保持部の方向調整を行うことができる台座部と、該台座部を前記台に結合して、前記柱保持部を所望の位置に固定する締結部と、を備えたことを特徴とするトレーニング用器具。
【請求項2】
前記台座部は、同心円の弧状のスリットが設けられており、該スリットに前記締結部の一部を貫通させて連続的に方向調整され、所望の位置で前記台座に固定可能であることを特徴とする請求項1に記載のトレーニング用器具。
【請求項3】
前記柱保持部は、所望の傾斜角度に位置決め調整して前記台座部に固定可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のトレーニング用器具。
【請求項4】
前記台座部には、複数個の角度調整穴が設けられており、該角度調整穴に調整ピンを差し込むことによって、該柱保持部を前記台座部に固定することを特徴とする請求項3に記載のトレーニング用器具。
【請求項5】
一端は該柱部材に取り付けられ他端は腹部あるいは腰部に取り付けられる紐状の伸縮材を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトレーニング用器具
【請求項6】
前記台上に設置される傾斜台を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトレーニング用器具。

【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−183323(P2012−183323A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−104389(P2012−104389)
【出願日】平成24年5月1日(2012.5.1)
【分割の表示】特願2010−541924(P2010−541924)の分割
【原出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(504321326)有限会社クレセント (6)