説明

トレーラの床構造

【課題】メインビームの一部への応力集中を抑制できるトレーラの床構造を提供する。
【解決手段】トレーラ2の長さ方向に延在する複数のメインビーム10が設けられたトレーラ1の床構造2であって、少なくともトラクタ3との連結部に床面となる面状構造体を備え、エプロンプレート51を支持する支持フレーム50を、メインビーム10と隙間をあけて配置し、面状構造体に固定しており、支持フレーム50は、トレーラ2の長さ方向に延在する長尺材からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーラの床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトレーラの床構造は、車体の長さ方向に延在する一対のメインビームに、複数のクロスメンバ(横根太)を取り付け、クロスメンバ上に木材やアルミニウム製押出形材等の床材を載置・固定することで形成されていた(例えば、特許文献1参照)。このような構成のトレーラにおけるトラクタとの連結部では、クロスメンバによってメインビームを連結することで強度を確保するとともに、キングピンが取り付けられたエプロンプレートを、メインビームとクロスメンバを下側から覆うように取り付けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−138951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の床構造では、クロスメンバ上に床材を設けているため、車体の重量がかさみ、積載量が低下してしまう問題があった。そこで、本発明者らは、車体重量を低減するために、床面を面状構造体とする床構造を開発中である。
【0005】
このような面状構造体を備えたトレーラにおいて、トラクタとの連結部を従来と同じ構造(メインビームにクロスメンバを取り付けた上にエプロンプレートを設けた構造)とすると、床面に捩れの応力がかかった場合などに、メインビームとクロスメンバの接合部分に応力が集中してしまう虞がある。
【0006】
このような観点から、本発明は、メインビームの一部への応力集中を抑制できるトレーラの床構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための請求項1に係る発明は、トレーラの長さ方向に延在する複数のメインビームが設けられたトレーラの床構造であって、少なくともトラクタとの連結部に床面となる面状構造体を備え、エプロンプレートを支持する支持フレームを、前記メインビームと隙間をあけて配置し、前記面状構造体に固定したことを特徴とするトレーラの床構造である。
【0008】
このような構成によれば、支持フレームとメインビームが連結されないので、面状構造体にかかる捩れの応力が支持フレームからメインビームに直接伝達されない。したがって、メインビームの一部への応力集中を抑制できる。また、隣り合うメインビームの間に長さ方向に連続する隙間が形成されるので、トレーラの前後に延びる油圧や電気配管等を容易に配設することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記面状構造体が、前記トレーラの長さ方向に延在する複数の床材と前記メインビームとを、前記トレーラの幅方向に連接させたものであることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、長さ方向に所定間隔で多数設けられるクロスメンバを必要としないので、部品点数が削減され、車体の軽量化および加工工数の低減が図れる。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記支持フレームが、前記トレーラの長さ方向に延在する長尺材からなることを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、面状構造体に作用する捩れの応力を支持フレームがトレーラの幅方向に伝達しない(支持フレームが幅方向に突っ張らない)ので、面状構造体の変形で捩れの応力を分散することができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記支持フレームの後端部が、後方に向かうにつれて高さ寸法が漸減するように形成されていることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、支持フレームから床面に伝達される応力が分散されて、床面の一部に局所的に負担がかかるのを防止できる。
【0015】
請求項5に係る発明は、前記メインビームが、ビーム高さの異なる複数の部位が長手方向に連なって形成されており、トラクタとの連結部となるエプロン部と、前記トラクタの後方に位置するホイールベース部と、前記エプロン部と前記ホイールベース部との間に位置するネック部とを備えてなり、前記エプロン部のビーム高さは、前記ホイールベース部のビーム高さより低く、前記ネック部のビーム高さは、前記エプロン部から前記ホイールベース部に向かうにつれて高くなっており、前記支持フレームの後端部は、前記ネック部と前記ホイールベース部との境界部よりも後方に延在していることを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、支持フレームから面状構造体に伝達される応力が、比較的強度が強いメインビームのホイールベース部にも分散されるので、面状構造体および支持フレームにかかる負担を低減できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るトレーラの床構造によれば、メインビームの一部への応力集中を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係るトレーラの床構造を示した底面図、(b)は支持フレームを示した底面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るトレーラの床構造を示した断面図および拡大断面図である。
【図3】(a)本発明の実施形態に係るトレーラの床構造を示した側面図、(b)は連結部のメインビームを示した拡大側面図である。
【図4】支持フレームを示した図であって、(a)は端部に設けられた支持フレームの側面図、(b)は中央部に設けられた支持フレームの側面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るトレーラの床構造のトラクタとの連結部の下側を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。図3に示すように、トレーラ1の床構造2は、トラクタ3に牽引されるトレーラ1の床を構成するものである。
【0020】
図1の(a)に示すように、本実施形態に係る床構造2は、トレーラ1の長さ方向(車長方向)に延在する一対のメインビーム10,10と、長さ方向に延在する複数の床材30,30…とを備えている。そして、メインビーム10,10と床材30,30…とを、トレーラ1の幅方向(車幅方向)に連接させて面状構造体が形成されている。なお、本実施形態では、メインビーム10が車幅方向に間隔をあけて一対設けられているが、メインビームの本数はこれに限定されるものではなく、たとえば、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
【0021】
メインビーム10は、アルミニウム合金製長尺材にて構成されている。メインビーム10は、トレーラ1の車長方向に沿って、その前端から後端まで直線状に延在している。一対のメインビーム10,10は、車幅方向に間隔をあけて、互いに平行になるように配置されている。
【0022】
図2に示すように、メインビーム10は、上フランジ部11と下フランジ部12とウエブ部13とを備えて構成されている。上フランジ部11と下フランジ部12は、メインビーム10の上下部分を構成する部材である。上フランジ部11と下フランジ部12は、同じ幅寸法に形成されている。ウエブ部13は、アルミニウム合金製の板材または押出形材にて構成されている。ウエブ部13は、その上端部が上フランジ部11に溶接固定(図示省略)され、下端部が下フランジ部12に溶接固定(図示省略)されている。
【0023】
上フランジ部11の上面は、床材30の上面と面一になるように構成されて、床面の一部を構成している。上フランジ部11は、アルミニウム合金製の押出中空形材にて構成されている。上フランジ部11は、上板部11aと下板部11bと側板部11c,11cとで区画される中空部14を有しており、この中空部14は、補強リブ16にて分割されている。補強リブ16は、上フランジ部11の上板部11aと下板部11bを接続するように配置されている。上板部11aは、後記する床材30の上板部33と同等の厚さ寸法に形成されている。上フランジ部11の幅方向両端部の上板部11aと下板部11bはそれぞれ外方に延出して、その内側に凹部15が形成されており、後記する床材30の凸部37と噛み合うように構成されている(図2の部分拡大図参照)。下フランジ部12は、アルミニウム合金製の押出形材にて構成されている。
【0024】
図3に示すように、メインビーム10は、前後位置によって高さ寸法(ビーム高さ)が変化する。なお、図3は、図1のX−X線方向に床構造2を見た断面側面図を示す。本実施形態のメインビーム10では、前方から後方にかけて、エプロン部20、ネック部21、ホイールベース部22、サスペンションマウンティング部23およびリヤオーバーハング部24を備えている。メインビーム10の上フランジ部11は、前端から後端にかけて同一レベルに形成されて、上面が水平な平面形状となっている。一方、下フランジ部12は、メインビーム10の高さ(ウエブ部13の高さ)の変化に応じて、屈曲して形成されている。
【0025】
エプロン部20は、トラクタ3との連結部である。エプロン部20には、トレーラ1をトラクタ3に連結するためのキングピン52を備えたエプロンプレート51が設けられる。キングピン52は、トラクタ3の車体後部3aに設けられたカプラー5に係合する。エプロン部20は、トラクタ3の車体後部3aの上方に位置しており、メインビーム10の中で最もビーム高さが低い部分となっている。エプロン部20は、ビーム高さが一定であり、下フランジ部12は水平に延在している。
【0026】
ネック部21は、エプロン部20の後端からホイールベース部22の前端にかけて、ビーム高さが徐々に増加する部分である。ネック部21の下フランジ部12は、後方に向かって下がるように傾斜している。ネック部21は、ビーム高さの増加割合が二段階に変化して形成されており、前部に配置され増加割合が低い緩傾斜部21aと、後部に配置され増加割合が高い急傾斜部21bとを備えている。緩傾斜部21aは、トラクタ3の車体後部の上方に位置している。エプロン部20と緩傾斜部21aとの境界部、および緩傾斜部21aと急傾斜部21bとの境界部では、それぞれ下フランジ部12が屈曲している。
【0027】
ホイールベース部22は、ネック部21とサスペンションマウンティング部23との間に位置する部分である。ホイールベース部22は、前方から順に、最もビーム高さが高い高ビーム部22aと、ビーム高さが徐々に低くなる傾斜部22bと、後方のサスペンションマウンティング部23およびリヤオーバーハング部24と同じビーム高さの中ビーム部22cとを備えている。ネック部21とホイールベース部22との境界部には、トラクタ3からトレーラ1を切り離したときに、トレーラ1の前部を支える脚部であるランディングギア28が伸縮可能に設けられている。ランディングギア28は、トラクタ3からトレーラ1を切り離したときに、地面まで伸長してトレーラ1の前部を支える脚部となる。急傾斜部21bと高ビーム部22aとの境界部、高ビーム部22aと傾斜部22bとの境界部、および傾斜部22bと中ビーム部22cとの境界部では、それぞれ下フランジ部12が屈曲している。
【0028】
サスペンションマウンティング部23は、トレーラ1の車輪26を支持するためのマウント部27が設けられる部分である。サスペンションマウンティング部23は、中ビーム部22cと同じビーム高さを有しており、下フランジ部12は水平に延在している。
【0029】
リヤオーバーハング部24は、サスペンションマウンティング部23から後方に張り出した部分である。リヤオーバーハング部24は、サスペンションマウンティング部23および中ビーム部22cと同じビーム高さを有しており、下フランジ部12は水平に延在している。
【0030】
なお、前記したメインビーム10の形状および各部の名称は、一例であって、本実施形態のものに限定する趣旨ではない。
【0031】
ウエブ部13は、トレーラ1の前後に向かうにつれて、エプロン部20からリヤオーバーハング部24までのそれぞれの高さに応じて、複数の高さに形成されている。つまり、ウエブ部13の高さ寸法が変化することで、メインビーム10のビーム高さが変化するようになっている。
【0032】
図1および図5に示すように、床材30は、一対のメインビーム10,10の間と、各メインビーム10の車幅方向外側に配置されている。床材30,30・・・を区別する場合には、メインビーム10,10間に並設される三枚の床材30,30,30を「内側床材30a,30a,30a」と称し、メインビーム10の車幅方向外側にそれぞれ張り出して配置される床材30,30を「外側床材30b」および「サイドプレート付外側床材30c」と称する。内側床材30aは、その幅方向に隣接する他の内側床材30aまたはメインビーム10の上フランジ部11に溶接固定されている。外側床材30bは、一対のメインビーム10の外側にそれぞれ一枚ずつ設けられており、上フランジ部11に溶接固定されている。サイドプレート付外側床材30cは、外側床材30bの外側にそれぞれ設けられている。サイドプレート付外側床材30cの外側端には、断面コ字状のサイドプレート41が形成されている。
【0033】
図2に示すように、床材30は、中空部32を有するアルミニウム合金製の中空押出形材からなる。床材30は、上板部33と下板部34と側板部35とを備えてなり、その内側に中空部32が形成されている。中空部32には、トラス状に配置された斜材31が設けられている。斜材31は上板部33と下板部34とを結んで設けられている。
【0034】
床材30およびメインビーム10の上フランジ部11の幅方向端部は、互いに噛み合うように、凹凸形状に形成されている(図2の部分拡大図参照)。メインビーム10の上フランジ部11の幅方向端部には、前記したように凹部15が形成されている。凸側の床材30(上フランジ部11の側部に位置する床材30)は、その幅方向両端部に上板部33と下板部34が互いに近づく段差部36,36がそれぞれ形成されており、その先端部がそれぞれ外方に延出している。段差部36,36より先端部分は、凸部37の上下面を構成している。
【0035】
隣接する床材30の幅方向端部(中央の内側床材30aの両端部、両端の外側床材30b,30bの内側端部)には、凸部37が挿入される凹部38が形成されている。凹部38は、床材30の上板部33と下板部34が外方に張り出してその内側に形成されている。凸部37が凹部38または凹部15に挿入されたときに、床表面および裏面には、段差部36と凹部38の先端部との間にV溝39が形成される。このV溝39を開先として溶加材を使った溶接を行うことで、床表面が平滑に形成される。このように、隣接する床材30とメインビーム10、または床材30同士を噛み合わせることで、接合時の位置決めを容易に行えるとともに、これらの接合強度を高めることができる。
【0036】
図1および図5に示すように、面状構造体のうち、床材30の下面に、支持フレーム50が取り付けられている。支持フレーム50は、エプロンプレート51を支持するものであり、一対のメインビーム10,10間の内側床面30aの下面に設けられている。支持フレーム50は、トレーラ1の長さ方向に延在するアルミニウム合金製長尺材にて構成されている。
【0037】
図4に示すように、支持フレーム50は、上フランジ部55と下フランジ部56とウエブ部57とを備えて構成されている。ウエブ部57は、幅方向に間隔をあけて一対形成されており(図1の(b)および図2参照)、上フランジ部11と下フランジ部12を繋ぐように形成されている。支持フレーム50の後端部57aは、後方に向かうにつれて高さ寸法が漸減するように形成されている。具体的には、ウエブ部57の後端が後方に向かうに連れて上方になるように傾斜している。また、支持フレーム50の前端部57bは、前方に向かうにつれて高さ寸法が漸減するように形成されている。具体的には、ウエブ部57の前端が前方に向かうに連れて上方になるように傾斜している。ウエブ部57の前後端の傾斜角度は、後端の傾斜角度の方が前端の傾斜角度より緩やかになっている。支持フレーム50は、アルミニウム合金製中空押出形材にて構成されており、その前後を斜めに切断して形成される。下フランジ部56には、エプロンプレート51を固定するためのボルト挿通孔58(図5参照)が複数形成されている。なお、支持フレーム50の断面形状は前記形状に限定されるものではなく、例えば、ウエブ部が単数のものや、角パイプ状のものであってもよい。
【0038】
上フランジ部55は、内側床材30aの下板部34の下面に溶接固定される。支持フレーム50は三列設けられており、各内側床材30aに支持フレーム50が一列ずつ固定されている。各支持フレーム50は、その長手方向がメインビーム10,10と平行になるように、且つメインビーム10,10と隙間をあけて配置されている。支持フレーム50とメインビーム10との隙間および支持フレーム50同士の隙間は、トレーラ1の前後に延びる油圧や電気配管等を配設可能な寸法となっている。支持フレーム50の後端部は、エプロン部20とネック部21との境界部よりも後方に延在している。本実施形態では、ウエブ部57の後端の下端(下フランジ部56の後端)が、エプロン部20とネック部21との境界部に相当するようになっている。
【0039】
なお、支持フレーム50の後端部57aは、前記構成の位置に限定されるものではなく、ネック部21とホイールベース部22との境界部よりも後方に延在しているのがさらに好ましい(図3の二点鎖線にて示す後端部57a’の位置を参照)。支持フレーム50は、トレーラ1の後端まで延在させてもよい。支持フレーム50の長さは、必要強度、車体重量やコストとのバランスを考慮して適宜設定される。
【0040】
三列の支持フレーム50のうち中央に位置する支持フレーム50には、図4の(b)に示すように、キングピン52の頭部が入り込む切欠き部59が形成されている。切欠き部59は、キングピン52の頭部より一回り大きい収容スペースを得られるように、下フランジ部56とウエブ部57の一部を切除して構成されている。下フランジ部56は、キングピン52の頭部よりも一回り広い幅で切除されている。ウエブ部57は、キングピン52の頭部の外形に沿うように側面視台形状に切り欠かれている。切り欠きの上辺と斜辺との境界部は曲線状に形成されている。
【0041】
以上のような構成の床構造2によれば、床面の強度は面状構造体とすることで確保し、エプロンプレート51の支持応力は支持フレーム50を介して強固な面状構造体に伝達させている。そして、支持フレーム50をメインビーム10と隙間をあけて配置し、面状構造体のうち、床材30の下面に固定したことによって、支持フレーム50がメインビーム10に連結されない。従来構造では、メインビームとクロスメンバとの連結部に応力集中していたのに対し、)これによって、床構造2では、面状構造体に捩れの応力が発生しても、支持フレーム50はメインビーム10を拘束しない。つまり、支持フレーム50にかかった力がメインビーム10に直接伝わることはない。したがって、メインビーム10の一部への応力集中を抑制できる。
【0042】
また、メインビーム10と支持フレーム50との間や、隣り合う支持フレーム50,50間に、長さ方向に連続する隙間が形成されるので、トレーラ1の前後に延びる油圧や電気配管等を容易に配設することができる(従来構造では、クロスメンバで遮られるので開口補強をしなければならなかった)。
【0043】
さらに、支持フレーム50が、トレーラ1の長さ方向に延在する長尺材からなるので、特にエプロン部20のキングピン52の周辺の面状構造体に多く作用する捩れの応力を支持フレーム50がトレーラの幅方向に伝達しない(支持フレーム50が幅方向に突っ張らない)。これによって、面状構造体の変形(撓み)で捩れの応力を分散することができる。
【0044】
また、支持フレーム50の後端部57aを、後方に向かうにつれて高さ寸法が漸減するように形成したので、支持フレーム50から面状構造体に伝達される応力が支持フレーム50の長さ方向に分散されて、面状構造体の一部に局所的に負担がかかるのを防止できる。
【0045】
さらに、本実施形態では、ウエブ部57の後端57aの下端(下フランジ部56の後端)が、エプロン部20とネック部21との境界部に相当するようになっているので、支持フレーム50にかかる力をネック部21周辺の面状構造体にまで伝達でき、ビーム高さの低いエプロン部20に応力が集中するのを防止できる。
【0046】
なお、支持フレーム50の後端部57a’をネック部21とホイールベース部22との境界部よりも後方に延在させると、支持フレーム50にかかる力をビーム高さの高いホイールベース部22の周辺の面状構造体にまで伝達できる。これによって、支持フレーム50に作用する応力をより広い範囲の床面に分散できるとともに、床面から比較的強度の高いメインビーム10のホイールベース部22に伝達させることができる。
【0047】
また、床材30とメインビーム10とで面状構造体を形成しているので、メインビーム10にかかる負担を従来よりも低減でき、メインビーム10の小型化を図れる。さらに、床面全体を面状の構造体としたことによって、曲げや捩れに対する強度が大きくなる。特に、道路が狭い日本で頻度が多い急旋回時においては、メインビーム10やエプロン部20に大きな応力が作用していたが、この応力に床面全体で対抗できるとともに、メインビーム10の一部への応力集中を抑制できるので、構造的に有利になる。
【0048】
そして、本実施形態では、メインビーム10および床材30を、アルミニウム合金製長尺材から構成しているので、より一層の車体の軽量化を達成できる。さらに、溶接作業を車長方向に沿って直線状に行えるので、組立工数を低減することもできる。
【0049】
また、床材30を、トラス状に配置された斜材31が配置された中空部32を有する中空押出形材から構成しているので、軽量で且つ効率的に強度を得ることができ、さらには押出形材としたことによって精度向上を達成できる。
【0050】
さらに、メインビーム10を、上フランジ部11と下フランジ部12とウエブ部13とを備えて構成し、ウエブ部13を部分ごとで複数の高さに形成したことによって、上フランジ部11と下フランジ部12はそれぞれ同一の断面で形成できる。したがって、上フランジ部11と下フランジ部12を、容易に且つ効率的に製造できる。また、ウエブ部13の高さを変えるだけで、容易にメインビーム10の高さを調整することが可能となる。
【0051】
また、上フランジ部11の上面は、床面の一部を構成するようにしたことで、メインビーム10が床の一部を構成するので、効率的な強度向上を達成できる。さらに、メインビーム10の上に床材30を設ける場合と比較して、床面の高さを床材30の厚さ分、低くすることができるので、積荷スペースを広くすることができる。
【0052】
さらに、上フランジ部11を中空状に形成したことで、メインビーム10の軽量化を達成できるとともに、上フランジ部11の重量を抑えつつ上フランジ部11と床材30の厚さを同等にできる。上フランジ部11と床材30の厚さを同じにしたことで、こられの溶接作業が行い易くなる。
【0053】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施の形態に限定する趣旨ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。例えば、前記実施形態では、支持フレーム50は、三列設けられているが、これに限定されるものではなく、一列、二列または四列以上であってもよい。なお、儲けられる支持フレームが偶数列であって、幅方向中央に位置しない場合は、切欠き部を形成しなくてもよい。
【0054】
また、支持フレーム50は、長尺であるが、ブロック状であってもよい。一のブロックが複数の床材に跨らないのが好ましい。
【0055】
さらに、本実施形態では、面状構造体がトレーラ1の全面にわたって形成されているが、エプロン部のみが面状構造体であるトレーラに前記支持フレームを設けるようにしても、本実施形態と同様の作用効果を得られる。
【符号の説明】
【0056】
1 トレーラ
2 床構造
10 メインビーム
11 上フランジ部
12 下フランジ部
13 ウエブ部
20 エプロン部
21 ネック部
22 ホイールベース部
30 床材
50 支持フレーム
51 エプロンプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーラの長さ方向に延在する複数のメインビームが設けられたトレーラの床構造であって、
少なくともトラクタとの連結部に床面となる面状構造体を備え、
エプロンプレートを支持する支持フレームを、前記メインビームと隙間をあけて配置し、前記面状構造体に固定した
ことを特徴とするトレーラの床構造。
【請求項2】
前記面状構造体は、前記トレーラの長さ方向に延在する複数の床材と前記メインビームとを、前記トレーラの幅方向に連接させたものである
ことを特徴とする請求項1に記載のトレーラの床構造。
【請求項3】
前記支持フレームは、前記トレーラの長さ方向に延在する長尺材からなる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトレーラの床構造。
【請求項4】
前記支持フレームの後端部は、後方に向かうにつれて高さ寸法が漸減するように形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のトレーラの床構造。
【請求項5】
前記メインビームは、ビーム高さの異なる複数の部位が長手方向に連なって形成されており、トラクタとの連結部となるエプロン部と、前記トラクタの後方に位置するホイールベース部と、前記エプロン部と前記ホイールベース部との間に位置するネック部とを備えてなり、
前記エプロン部のビーム高さは、前記ホイールベース部のビーム高さより低く、前記ネック部のビーム高さは、前記エプロン部から前記ホイールベース部に向かうにつれて高くなっており、
前記支持フレームの後端部は、前記ネック部と前記ホイールベース部との境界部よりも後方に延在している
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のトレーラの床構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−197066(P2012−197066A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64236(P2011−64236)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000229900)日本フルハーフ株式会社 (93)
【Fターム(参考)】