説明

トレー式搬送装置

【課題】キャリッジの軽量化により駆動装置での消費エネルギを削減しながら、キャリッジの剛性を高めることで、重量が大きい物品の搬送も可能になるなど、搬送される物品の種類が拡大されて、搬送装置の利便性が高まるトレー式搬送装置を提供する。
【解決手段】トレー式搬送装置は、物品が載置されるトレーを支持するキャリッジ102を走行させるリニアモータを備える。キャリッジ102は、トレー101を支持するトレー支持部材110と、トレー支持部材110を支持するヨーク120とを備える。ヨーク120は、トレー支持部材110を支持する前支持本体130および後支持本体140と、両支持本体130,140を連結することによりヨーク120の剛性を高める補強部材である第1,第2ヨーク連結部材123,124とを有する。各支持本体130,140は樹脂製部材により構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品が載置されるトレーを支持するキャリッジ同士が連結された状態で走行路上を走行することにより、物品を搬送するトレー式搬送装置に関し、詳細には、キャリッジの構造に関する。
そして、この搬送装置は、例えば、搬送中にトレーを傾動させることにより、物品を仕分ける物品仕分装置として使用される。
【背景技術】
【0002】
物品が載置されるトレーを支持する複数のキャリッジと、キャリッジを走行させる駆動装置とを備えるトレー式搬送装置において、キャリッジが、トレーが取り付けられるトレー支持部材と、該トレー支持部材を支持すると共に走行路に沿って走行するヨークとを備え、キャリッジ同士が連結された状態で走行路上を走行するものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−47412号公報(段落0006,0020〜0022)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トレー式搬送装置のキャリッジにおいて、トレーが取り付けられるトレー支持部材や該トレー支持部材を支持するヨークが金属を主体に形成されている場合には、剛性を大きくすることが容易で、重量物の物品を搬送可能であるものの、キャリッジの重量が大きいために、その分、駆動装置での消費エネルギが増加するという問題があった。
一方、トレー支持部材やヨークが合成樹脂を主体に形成されている場合には、キャリッジの軽量化が可能になるものの、その剛性を大きくすることが困難になって、重量物の物品を搬送することが困難になるという問題があった。
【0005】
本発明は、前述の課題を解決するものであって、その目的は、キャリッジの軽量化により駆動装置での消費エネルギを削減しながら、キャリッジの剛性を高めることで、重量が大きい物品の搬送も可能になるなど、搬送される物品の種類が拡大されて、搬送装置の利便性が高まるトレー式搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
まず、請求項1に係る発明は、物品が載置されるトレーを支持する1以上のキャリッジと、前記キャリッジを走行させる駆動装置とを備え、前記キャリッジが走行路上を走行するトレー式搬送装置において、前記キャリッジが、前記トレーを支持するトレー支持部材と、前記トレー支持部材とは別個の部材であると共に前記トレー支持部材を支持すると共に前記走行路に沿って走行するヨークとを備え、前記ヨークが、前後方向に離隔して配置されていると共に前記トレー支持部材を支持する前支持本体および後支持本体から構成される支持本体と、前記支持本体とは別個の部材であって前記前支持本体および前記後支持本体を連結することにより前記ヨークの剛性を高める補強部材であるヨーク連結部材とを有し、前記前支持本体および前記後支持本体が樹脂製部材により構成されることにより、前述の課題を解決したものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記前支持本体および前記後支持本体が、樹脂製の本体形成部と、前記本体形成部に埋設された補強用の芯材とから構成され、前記ヨーク連結部材が、前記芯材の埋設領域において、前記前支持本体および前記後支持本体のそれぞれの前記本体形成部に結合されていることにより、前述の課題を解決したものである。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の構成に加えて、前記トレー支持部材が、前記トレーが取り付けられるトレー取付ベースと、前記トレー取付ベースとは別個の部材であると共に前記トレー取付ベースを前記支持本体に対して支持するベース支持体とを有し、前記ベース支持体が、前記前支持本体に支持される前ベース支持体および前記後支持本体に支持される後ベース支持体から構成され、前記前ベース支持体および前記後ベース支持体が、樹脂製部材により構成され、前記トレー取付ベースが、前記前ベース支持体および前記後ベース支持体を連結することにより前記トレー支持部材の剛性を高める補強部材であることにより、前述の課題を解決したものである。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに係る発明の構成に加えて、前記樹脂製部材と前記補強部材とが、インサート成形により一体に結合されており、
前記補強部材が、いずれも前後方向に延びて配置されていることにより、前述の課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0010】
そこで、本発明のトレー式搬送装置は、物品が載置されるトレーを支持する1以上のキャリッジと、キャリッジを走行させる駆動装置とを備え、キャリッジが走行路上を走行することで、走行路上を走行するキャリッジにより、該キャリッジに支持されたトレーに載置されている物品を搬送することができるばかりでなく、以下のような本発明に特有の効果を奏する。
【0011】
すなわち、請求項1に係る本発明のトレー式搬送装置によれば、キャリッジが、トレーを支持するトレー支持部材と、トレー支持部材とは別個の部材であると共にトレー支持部材を支持すると共に走行路に沿って走行するヨークとを備え、ヨークが、前後方向に離隔して配置されていると共にトレー支持部材を支持する前支持本体および後支持本体から構成される支持本体と、支持本体とは別個の部材であって前支持本体および後支持本体を連結することによりヨークの剛性を高める補強部材であるヨーク連結部材とを有し、前支持本体および後支持本体が樹脂製部材により構成されることにより、トレー支持部材を支持する前支持本体および後支持本体が樹脂製であることで、ヨークが軽量化されて、キャリッジを軽量化することができるので、駆動装置での消費エネルギを削減することができ、しかも前支持本体および後支持本体を連結するヨーク連結部材により、ヨーク、ひいてはキャリッジの剛性が高められるので、キャリッジを軽量化しながら重量が大きい物品の搬送も可能になるなど、搬送される物品の種類が拡大されて、搬送装置の利便性を高めることができる。
また、トレー支持部材、前支持本体、後支持本体およびヨーク連結部材が別個の部材であることから、これら部材の組合せにより、搬送される物品の種類、製造コスト、使用環境などに応じて種々のキャリッジの製造が可能になるので、キャリッジの設計の自由度を大きくすることができる。
【0012】
請求項2に係る本発明のトレー式搬送装置によれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、前支持本体および後支持本体が、樹脂製の本体形成部と、本体形成部に埋設された補強用の芯材とから構成され、ヨーク連結部材が、芯材の埋設領域において、前支持本体および後支持本体のそれぞれの本体形成部に結合されていることにより、ヨーク連結部材が、前支持本体および後支持本体のそれぞれの本体形成部において、芯材により強度が高められた部位にて結合されるので、ヨークの剛性を一層高めることができる。
【0013】
請求項3に係る本発明のトレー式搬送装置によれば、請求項1または請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、トレー支持部材が、トレーが取り付けられるトレー取付ベースと、トレー取付ベースとは別個の部材であると共にトレー取付ベースを支持本体に対して支持するベース支持体とを有し、ベース支持体が、前支持本体に支持される前ベース支持体および後支持本体に支持される後ベース支持体から構成され、前ベース支持体および後ベース支持体が、樹脂製部材により構成され、トレー取付ベースが、前ベース支持体および後ベース支持体を連結することによりトレー支持部材の剛性を高める補強部材であることにより、前ベース支持体および後ベース支持体を連結している板状部材であるトレー取付ベースは、互いに離隔している前ベース支持体および後ベース支持体を補強する補強部材としても機能するので、トレー取付ベースを利用することで専用の補強部材が不要となること、および、前ベース支持体および後ベース支持体が樹脂製であることにより、トレー支持部材、ひいてはキャリッジを軽量化することができ、しかも、トレー支持部材の剛性を高めることができる。
さらに、トレー取付ベースが板状部材であるので、トレー支持部材の構造が簡単化されて、トレー支持部材、ひいては搬送装置のコストを削減することができ、またトレー支持部材、ひいてはキャリッジを軽量化することができる。
【0014】
請求項4に係る本発明のトレー式搬送装置によれば、請求項1から請求項3のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、樹脂製部材と補強部材とが、インサート成形により一体に結合されており、補強部材が、いずれも前後方向に延びて配置されていることにより、樹脂製部材である前支持本体および後支持本体と補強部材である金属製の第1,第2ヨーク連結部材とがインサート成形により一体に結合され、樹脂製部材である前ベース支持体および後ベース支持体と、補強部材である金属製のトレー取付ベースとがインサート成形により一体に結合されるので、コストを削減することができる。
また、補強部材であるヨーク連結部材およびトレー取付ベースが、前後方向に延びているので、前後方向に平行な平面内における、ヨーク、または、ヨークおよびトレー支持部材の曲げ剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例を示し、トレー式搬送装置の要部側面図。
【図2】図1のII矢視でのトレー式搬送装置のキャリッジの正面図。
【図3】図1のトレー式搬送装置のキャリッジの斜視図。
【図4】図1のトレー式搬送装置のキャリッジの平面図。
【図5】図1のV−V線での要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のトレー式搬送装置は、物品が載置されるトレーを支持する1以上のキャリッジと、キャリッジを走行させる駆動装置とを備え、キャリッジが走行路上を走行し、キャリッジが、トレーを支持するトレー支持部材と、トレー支持部材とは別個の部材であると共にトレー支持部材を支持すると共に走行路に沿って走行するヨークとを備え、ヨークが、前後方向に離隔して配置されていると共にトレー支持部材を支持する前支持本体および後支持本体から構成される支持本体と、支持本体とは別個の部材であって前支持本体および後支持本体を連結することによりヨークの剛性を高める補強部材であるヨーク連結部材とを有し、前支持本体および後支持本体が樹脂製部材により構成されることにより、キャリッジの軽量化により駆動装置での消費エネルギを削減しながら、キャリッジの剛性を高めることで、重量が大きい物品の搬送も可能になるなど、搬送される物品の種類が拡大されて、搬送装置の利便性が高まるものであれば、その具体的な態様はいかなるものであっても構わない。
【0017】
例えば、本発明のトレー式搬送装置は、トレー支持部材がヨークに傾動可能に支持されたもの、トレー支持部材が傾動することなく物品を搬送するもの、またはトレー支持部材がヨークに傾動不能に支持されたものであってもよい。
トレー式搬送装置は、物品仕分装置に備えられてもよく、また単に搬送装置として使用されてもよい。
トレー式搬送装置のキャリッジが備えるベース支持体は、1または複数のベース支持体により構成され得る。
本発明において、走行路は、鉛直方向での位置が変化しない一次元または二次元の走行路、鉛直方向での位置が変化する三次元の走行路の、いずれであってもよい。
【実施例】
【0018】
本発明の実施例を、図1〜図5を参照して説明する。
本発明の実施例において、図1に示されるトレー式の搬送装置100は、該搬送装置100により搬送される物品10の搬出部としてのシュート20(図2参照)および傾動作動装置30(図2参照)と共に、物品10を仕分ける物品仕分装置に備えられる。
【0019】
図1〜図3を参照すると、搬送装置100は、物品10が載置される複数のトレー101と、それぞれがトレー101を支持する複数のキャリッジ102と、キャリッジ102が走行する走行路(以下、「走行路」という。)を形成する走行レール103と、キャリッジ102を走行させる電気式の駆動装置としてのリニアモータ104とを備える。
そして、搬送装置100の運転時に、すべてのキャリッジ102は、走行方向で隣接するキャリッジ102同士が互いに連結された状態で、リニアモータ104により駆動されて走行路上を走行方向に一斉に走行する。
なお、図1,図2では、図の繁雑化を避けるために、図3において示される樹脂製部材に形成されているリブが省略されている。また、樹脂とは、合成樹脂を意味する。
【0020】
キャリッジ102は、樹脂製のトレー101を支持するトレー支持部材110と、トレー支持部材110とは別個の部材であると共に該トレー支持部材110を傾動可能に支持するヨーク120(または、ボディ)と、ヨーク120に対するトレー支持部材110の傾動および非傾動を設定するインデックス部材150と、ヨーク120に支持されると共にヨーク120を走行レール103に沿って走行させる走行ユニット160と、走行方向で隣接するキャリッジ102同士を連結するキャリッジ連結部170とを備える。
【0021】
リニアモータ104は、キャリッジ102を走行させる駆動力を発生する駆動力発生部としての1次側であるコイル部104aと、前記駆動力が作用する駆動力作用部としての2次側であるリアクションプレート104bとを有する。
コイル部104aは、走行レール103に沿って、上下方向でリアクションプレート104bに対向して配置される。リアクションプレート104bは、ヨーク120の下端部に装着される。
【0022】
なお、左右方向は、走行方向に向いているときの左右方向であり、上下方向は、走行方向に直交する平面上で左右方向に直交する方向であり、前後方向は、走行方向における前後方向であり、それぞれ図1,図2に示される方向である。
【0023】
トレー支持部材110は、トレー101が結合手段としての結合具であるボルト(図示されず)により着脱可能に取り付けられるトレー取付ベース111と、トレー取付ベース111とは別個の部材であると共に該トレー取付ベース111に結合されるベース支持体115とを有する。
【0024】
図4を併せて参照すると、ベース支持体115を介してヨーク120に傾動可能に支持される部材であるトレー取付ベース111は、トレー101が取り付けられる矩形状で平板状のベース本体112と、ベース本体112に連なると共にベース本体112の左右両側で下方に向かって屈曲して形成された1対の平板状の側板113とが一体成形された、かつその全体がほぼ一様な厚みを有する1つの板状部材としての薄板である。
前後方向に延びて配置されている各側板113により、前後方向に平行な平面内でのトレー取付ベース111の曲げ剛性が高められている。
そして、トレー取付ベース111は、金属(例えば、鉄または軽金属(一例として、アルミニウム))または樹脂(例えば、繊維強化樹脂)により形成されており、本実施例では鉄製である。
【0025】
ベース本体112は、トレー101が前記ボルトにより結合される部分である1以上の、ここでは4つのトレー用結合部112tと、ベース支持体115が結合される部分である1以上の、ここでは2つの前支持用結合部112aおよび後支持用結合部112bから構成される支持用結合部とを有する。
各トレー用結合部112tと各支持用結合部112a,112bとは、上下方向に直交する方向で互いに離隔して配置されている(図4参照)。
【0026】
トレー取付ベース111をヨーク120に対して傾動可能に支持するためにヨーク120に取り付けられるベース支持体115は、ヨーク120の前支持本体130および後支持本体140にそれぞれ傾動可能に支持されると共に、前後方向で離隔して配置されていて、互いに別個の部材である前ベース支持体116および後ベース支持体117から構成される。
後ベース支持体117は、前後方向から見て、図2に示される前ベース支持体116の輪郭と概ね同様の輪郭を有する。
【0027】
前ベース支持体116は、その上端部であって前支持用結合部112aに結合される前ベース側結合部116a(図4において、網掛けが施されている。)と、前支持本体130に傾動可能に結合される前ヨーク側結合部116bとを有する。
同様に、前ベース支持体116と同様に後ベース支持体117は、その上端部であって後支持用結合部112bに結合される後ベース側結合部117a(図4において、網掛けが施されている。)と、後支持本体140に傾動可能に結合される後ヨーク側結合部117bとを有する。
前ベース側結合部116aおよび後ベース側結合部117aは、ベース支持体115のベース側結合部を構成し、前ヨーク側結合部116bおよび後ヨーク側結合部117bは、ベース支持体115のヨーク側結合部を構成する。
【0028】
各ベース側結合部116a,117aは、トレー取付ベース111の左右幅Wの1/2よりも大きい左右幅で、かつ左右幅Wの1/4よりも大きい前後幅の形成範囲に亘って、各支持用結合部112a,112bを埋設している状態(支持用結合部112bに関して、図5参照)で、ベース本体112と結合されている。そして、前記形成範囲に亘って形成された各ベース側結合部116a,117aにより、板状のベース本体112の面振動が抑制される。
一方、各ヨーク側結合部116b,117bは、前支持本体130または後支持本体140に設けられた枢支部としての支持ピン129に、トレー支持部材110の傾動中心線Lt(図2参照)が前後方向に平行となるように枢着されている。
【0029】
前ベース支持体116および後ベース支持体117は樹脂製部材により構成され、トレー取付ベース111と各ベース支持体116,117とは、インサート成形により、各支持用結合部112a,112bに設けられている貫通孔(図示されず)を通じて流入した樹脂によりベース本体112の上面112cおよび下面112dを部分的に覆って形成された各結合部116a,117aにおいて、一体に結合されている。
そして、前後方向に平行に延びて配置されているトレー取付ベース111は、前ベース支持体116および後ベース支持体117を連結することによりトレー支持部材110の剛性を高める補強部材でもある。
【0030】
走行ユニット160により走行路に沿って走行するヨーク120は、トレー支持部材110を支持する支持本体121と、該支持本体121とは別個の部材であって支持本体121に結合されてヨーク120の剛性を高める補強部材としてのヨーク連結部材122と、支持ピン129とを有する。
【0031】
支持本体121は、前後方向で離隔して配置されていて互いに別個の部材である前支持本体130および後支持本体140から構成される。樹脂製部材である各支持本体130,140は、樹脂製の本体形成部131,141と、本体形成部131,141を補強する補強部材としての円柱状のロッドからなる芯材132,142(図1参照)とから構成される。
各支持本体130,140の本体形成部131,141を形成している樹脂は、例えば繊維強化樹脂、ポリアミド樹脂である。
芯材132,142は、上下方向に延びている状態で、その少なくとも一部が本体形成部131,141に埋設されている。
【0032】
前支持本体130の本体形成部131は、上端部であって前ベース支持体116を傾動可能に支持する前支持部133と、下端部であってリアクションプレート104bが固定される前駆動用支持部134と、走行ユニット160を支持する二股状部分を有する走行ユニット支持部135と、1以上の、本実施例では2つの第1,第2前結合部137,138から構成される前結合部とを有する。
同様に、後支持本体140の本体形成部141は、上端部であって後ベース支持体117を傾動可能に支持する後支持部143と、下端部であってリアクションプレート104bが固定される後駆動用支持部144と、前記前結合部と同数の第1,第2後結合部147,148から構成される後結合部とを有する。
【0033】
ロッドから構成されるヨーク連結部材122は、第1前結合部137および第1後結合部147において両支持本体130,140を連結する円柱状の第1ヨーク連結部材123と、第1ヨーク連結部材123よりも上方に配置されて第2前結合部138および第2後結合部148において両支持本体130,140を連結する円柱状の第2ヨーク連結部材124とを有する。
【0034】
第1,第2ヨーク連結部材123,124は、左右方向で各支持本体130,140の中央部に、かつ前後方向に平行に延びて配置されていて、さらに、上下方向および左右方向で、芯材132,142の埋設領域において芯材132,142により強度が高められた部位に設けられた第1,第2前結合部137,138および第1,第2後結合部147,148に結合されている。
芯材132が貫通している第1ヨーク連結部材123は、パイプ部材から構成されることにより、キャリッジ102の軽量化に寄与する。
【0035】
第1,第2ヨーク連結部材123,124、芯材132,142および支持ピン129は、金属(例えば、鉄)により形成されている。
そして、前支持本体130および後支持本体140の各本体形成部131,141と、第1,第2ヨーク連結部材123,124、芯材132,142および支持ピン129とは、インサート成形により一体に結合されている。
【0036】
図1〜図5を参照すると、ヨーク120に対してトレー支持部材110を傾動させることにより、トレー101を傾動させるトレー傾動部材であるインデックス部材150は、後ベース支持体117に上下方向に揺動可能に支持されている。
インデックス部材150は、非作動位置(図1に実線で示される。)および作動位置(図1に二点鎖線で示される。)との間で揺動可能に移動するインデックス本体としてのレバー151と、ヨーク120に設けられたロッド状のカムガイド153と、レバー151に設けられると共に非作動位置と作動位置との間での揺動するレバー151をカムガイド153との係合により案内するカム154と、レバー151を非作動位置に向けて付勢する付勢部材である捩りコイルばねからなるばね155と、後ベース支持体117に保持された状態でレバー151を揺動可能に支持する支持部としての支持ピン156とを有する。
【0037】
ここで、非作動位置は、レバー151がトレー取付ベース111に当接しない位置であり、レバー151が非作動位置を占めるときに、トレー支持部材110は傾動(または、傾斜)していない基本位置(または、非傾動位置)を占める。この基本位置において、ベース本体112は、上下方向に直交する平面にほぼ平行(例えば、水平状態)になる。作動位置は、レバー151が当接部151cにおいてトレー取付ベース111に当接する位置である。
【0038】
レバー151は、傾動作動装置30(図2参照)が当接可能な操作部151aと、ばね155が装着される装着部151bと、揺動方向でベース本体112の下面112dと当接可能な当接部151cとを有する。
当接部151cは、トレー取付ベース111に対して、左右方向での一方側としての左側で当接可能である(図4参照)。このため、レバー151の当接部151cがトレー取付ベース111に当接することで、トレー支持部材110は、ヨーク120に対して、左右方向での他方側としての右側に傾動する(図2参照)。
トレー支持部材110の最大傾動量は、ベース支持体115が支持本体121に設けられたストッパ(図示されず)と当接することにより規制される。
【0039】
カムガイド153は、第2ヨーク連結部材124により構成される。カム154は、カムガイド153を収容可能な凹形状を有し(図2参照)、カムガイド153に対して、非作動位置で係合し、作動位置で係合解除される。
カム154は、カムガイド153との係合により、ばね155が非作動位置にあるレバー151を付勢する状態で、トレー支持部材110が基本位置を維持する。なお、傾動位置にあるレバー151は、傾斜状態にあるトレー101またはトレー支持部材110が走行路に沿って間隔を置いて配置された戻しガイド(図示されず)と当接することにより、トレー支持部材110が前記基本位置に向かって回動する際にカムガイド153に当接するカム154に案内されて非作動位置に戻る。
【0040】
図1〜図4を参照すると、キャリッジ102において前支持本体130のみに支持される走行ユニット160は、走行路上を移動する走行体としての走行ローラを構成する1対の走行ローラ161と、走行路に沿ってヨーク120を案内する走行案内体としてのガイドローラを構成する1対のガイドローラ162と、前ベース支持体116よりも前方に突出している走行ユニット支持部135に上下方向に平行に保持される支持軸163と、支持軸163に回動可能に支持される走行支持体164とを有する。
【0041】
左右1対の走行ローラ161は、走行支持体164に回転可能に支持されて、走行レール103を転動する。また、左右1対のガイドローラ162は、走行ユニット支持部135に回転可能に支持されて、走行レール103のガイド面である側面を転動する。
走行ローラ161の回転中心線は、左右方向および前後方向に平行な平面に含まれる。
そして、走行支持体164は、上下方向に平行な回動中心軸Lr(図4参照)を中心に回動することにより、各走行ローラ161が回動中心線Lrを中心に回動して(図4に二点鎖線で示される)、曲線状の走行路に沿って、キャリッジ102の走行方向が変更される。
【0042】
図1,図3,図4を参照すると、キャリッジ連結部170は、前支持部133よりも前方に配置される前キャリッジ連結部171と、後支持本体140よりも後方に配置される後キャリッジ連結部172と、両キャリッジ連結部171,172を連結するキャリッジ間連結部材173とを有する。
前キャリッジ連結部171は、走行ユニット支持部135に設けられて支持軸163により構成され、前方に連結されるキャリッジ102である前キャリッジ(図示されず)後キャリッジ連結部172にキャリッジ間連結部材173を介して連結される。
後キャリッジ連結部172は、後支持本体140を前後方向に貫通して後方に延出している第1ヨーク連結部材123の延長部123eにより構成され、後方に連結されるキャリッジ102である後キャリッジ102Bの前キャリッジ連結部171にキャリッジ間連結部材173を介して連結される。
【0043】
キャリッジ間連結部材173は、前キャリッジ連結部171に揺動可能に、かつ着脱可能に取り付けられる前ジョイントとしての第1ジョイントである球面ジョイント174と、後キャリッジ連結部172に着脱可能で、かつ移動不能の状態で取り付けられる後ジョイントとしての第2ジョイント175と、球面ジョイント174および第2ジョイント175を連結する連結部材としての連結ロッド176とを有する。
連結ロッド176は、前後方向での長さが調整可能な部材であり、球面ジョイント174の外輪174aと一体に形成されて結合された第1連結部材176aと、第2ジョイント175に結合される第2連結部材176bとから構成される。第1,第2連結部材176a,176bは、互いにねじ結合されており、相対的に回動させることにより、前後方向での長さが調整可能である。
【0044】
図1,図2を参照すると、キャリッジ102は、さらに、物品仕分装置が備える位置センサ(例えば、磁歪センサ)により検出される被検出部(例えば、磁石)191(図1参照)を備える。前記位置センサは、例えばリアクションプレート104bに設けられる被検出部191を通じて、キャリッジ102が、走行路において、シュート20が配置された仕分位置に位置することを検出する。
【0045】
そして、前記位置センサにより、予め仕分位置が指定された物品10が載置されたトレー101を支持するキャリッジ102が前記指定された所定位置に到達したことが検出されたとき、仕分位置に配置された傾動作動装置30が作動して、レバー151の操作部151aと当接する。これにより、レバー151は、トレー取付ベース111のベース本体112に向かって揺動し、トレー取付ベース111に当接して、トレー支持部材110、したがってトレー101を傾動させる。そして、トレー101に載置された物品10は、傾動したトレー101からシュート20に投下され、該シュート20により搬送された後にコンテナに収容される。
【0046】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
トレー式搬送装置100は、物品10が載置されるトレー101を支持する複数のキャリッジ102と、キャリッジ102を走行させるリニアモータ104とを備え、キャリッジ102同士が連結された状態で走行路上を走行する。
この構成により、走行路上を一斉に走行する各キャリッジ102で、該キャリッジ102に支持されたトレー101に載置されている物品10を搬送して、予め設定された仕分位置において物品10を仕分けることができる。
【0047】
キャリッジ102が、トレー101を支持するトレー支持部材110と、トレー支持部材110とは別個の部材であると共にトレー支持部材110を支持すると共に走行路に沿って走行するヨーク120とを備え、ヨーク120が、前後方向に離隔して配置されていると共にいずれもトレー支持部材110を支持する前支持本体130および後支持本体140から構成される支持本体121と、支持本体121とは別個の部材であって前支持本体130および後支持本体140を連結することによりヨーク120の剛性を高める補強部材である第1,第2ヨーク連結部材123,124とを有し、前支持本体130および後支持本体140が樹脂製部材により構成される。
【0048】
この構成により、トレー支持部材110を直接支持する前支持本体130および後支持本体140が樹脂製であることで、ヨーク120が軽量化されて、キャリッジ102を軽量化することができるので、リニアモータ104での消費エネルギである消費電力を削減することができ、しかも前支持本体130および後支持本体140を連結する第1,第2ヨーク連結部材123,124により、ヨーク120、キャリッジ102の剛性が高められるので、キャリッジ102を軽量化しながら重量が大きい物品10の搬送も可能になるなど、搬送される物品10の種類が拡大されて、搬送装置100の利便性を高めることができる。
また、トレー支持部材110、前支持本体130、後支持本体140および第1,第2ヨーク連結部材123,124が別個の部材であることから、これら部材の組合せにより、搬送される物品10の種類、製造コスト、使用環境などに応じて種々のキャリッジ102の製造が可能になるので、キャリッジ102の設計の自由度を大きくすることができる。
【0049】
前支持本体130および後支持本体140のそれぞれが、樹脂製の本体形成部131,141と、該本体形成部131,141に埋設された補強用の芯材132,142とから構成され、第1,第2ヨーク連結部材123,124が、芯材132,142の埋設領域において、前支持本体130の本体形成部131および後支持本体140の本体形成部141に結合されている。
この構成により、第1,第2ヨーク連結部材123,124が、前支持本体130の本体形成部131および後支持本体140の本体形成部141において、芯材132,142により強度が高められた部位にて結合されるので、ヨーク120の剛性を一層高めることができる。
【0050】
トレー支持部材110が、トレー101が取り付けられるトレー取付ベース111と、トレー取付ベース111とは別個の部材であると共にトレー取付ベース111を両支持本体130,140に対してそれぞれ支持するベース支持体115とを有し、ベース支持体115が、前支持本体130に支持される前ベース支持体116および後支持本体140に支持される後ベース支持体117から構成され、前ベース支持体116および後ベース支持体117が、樹脂製部材により構成され、トレー取付ベース111が、前ベース支持体116および後ベース支持体117を連結することによりトレー支持部材110の剛性を高める補強部材である。
【0051】
この構成により、前ベース支持体116および後ベース支持体117を連結している板状部材であるトレー取付ベース111は、互いに離隔している前ベース支持体116および後ベース支持体117を補強する補強部材としても機能するので、トレー取付ベース111を利用することで専用の補強部材が不要となること、および、前ベース支持体116および後ベース支持体117が樹脂製であることにより、トレー支持部材110、ひいてはキャリッジ102を軽量化することができ、しかも、トレー支持部材110の剛性を高めることができる。
さらに、トレー取付ベース111が板状部材であるので、トレー支持部材110の構造が簡単化されて、トレー支持部材110、ひいては搬送装置100のコストを削減することができ、またトレー支持部材110、ひいてはキャリッジ102を軽量化することができる。
【0052】
樹脂製部材である前支持本体130および後支持本体140と補強部材である金属製の第1,第2ヨーク連結部材123,124とがインサート成形により一体に結合され、樹脂製部材である前ベース支持体116および後ベース支持体117と、補強部材である金属製のトレー取付ベース111とがインサート成形により一体に結合されるので、コストを削減することができる。
【0053】
補強部材である第1,第2ヨーク連結部材123,124およびトレー取付ベース111が、いずれも前後方向に延びているので、前後方向に平行な平面内におけるヨーク120、または、ヨーク120およびトレー支持部材110の曲げ剛性を高めることができる。
【0054】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
走行ユニット160は、前記実施例ではヨークの前部のみに配置されたが、ヨーク120の前部および後部、または、後部のみ、または、前部および後部の間の中間部のみに配置されてもよい。
ヨーク連結部材122は、1または3以上のヨーク連結部材から構成されてもよい。
後ジョイントが第1ジョイントとしての球面ジョイント174で、前ジョイントが第2ジョイント175でもよい。
トレー取付ベース111は、ベース支持体115に結合手段(例えば、結合具としてのボルト)により着脱可能に設けられてもよく、またベース支持体115と同じ形成材料により一体成形されてもよい。
搬送装置100は、少なくとも1つのキャリッジ102と、該キャリッジ102に連結されると共にトレー101を支持するキャリッジであって、キャリッジ102とは異なる1以上のキャリッジとを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
100・・・トレー式搬送装置
101・・・トレー
102・・・キャリッジ
104・・・リニアモータ
110・・・トレー支持部材
111・・・トレー取付ベース
112・・・ベース本体
112t・・・トレー用結合部
112a,112b・・・支持用結合部
116・・・前ベース支持体
117・・・後ベース支持体
120・・・ヨーク
123,124・・・ヨーク連結部材
130・・・前支持本体
131,141・・・本体形成部
132,142・・・芯材
140・・・後支持本体
150・・・インデックス部材
161・・・走行ローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が載置されるトレーを支持する1以上のキャリッジと、前記キャリッジを走行させる駆動装置とを備え、前記キャリッジが走行路上を走行するトレー式搬送装置において、
前記キャリッジが、前記トレーを支持するトレー支持部材と、前記トレー支持部材とは別個の部材であると共に前記トレー支持部材を支持すると共に前記走行路に沿って走行するヨークとを備え、
前記ヨークが、前後方向に離隔して配置されていると共に前記トレー支持部材を支持する前支持本体および後支持本体から構成される支持本体と、前記支持本体とは別個の部材であって前記前支持本体および前記後支持本体を連結することにより前記ヨークの剛性を高める補強部材であるヨーク連結部材とを有し、
前記前支持本体および前記後支持本体が樹脂製部材により構成されることを特徴とするトレー式搬送装置。
【請求項2】
前記前支持本体および前記後支持本体が、樹脂製の本体形成部と、前記本体形成部に埋設された補強用の芯材とから構成され、
前記ヨーク連結部材が、前記芯材の埋設領域において、前記前支持本体および前記後支持本体のそれぞれの前記本体形成部に結合されていることを特徴とする請求項1に記載のトレー式搬送装置。
【請求項3】
前記トレー支持部材が、前記トレーが取り付けられるトレー取付ベースと、前記トレー取付ベースとは別個の部材であると共に前記トレー取付ベースを前記支持本体に対して支持するベース支持体とを有し、
前記ベース支持体が、前記前支持本体に支持される前ベース支持体および前記後支持本体に支持される後ベース支持体から構成され、
前記前ベース支持体および前記後ベース支持体が、樹脂製部材により構成され、
前記トレー取付ベースが、前記前ベース支持体および前記後ベース支持体を連結することにより前記トレー支持部材の剛性を高める補強部材であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトレー式搬送装置。
【請求項4】
前記樹脂製部材と前記補強部材とが、インサート成形により一体に結合されており、
前記補強部材が、いずれも前後方向に延びて配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のトレー式搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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