説明

トロカールのための安定化支援デバイス

【課題】身体の、または外部から提供される流体の安定化デバイス中への吸収によって腹壁に対してその場にカニューレを固定し得る膨張可能または膨張潤可能なカニューレ安定化デバイスを提供する。
【解決手段】カニューレアセンブリ26を組織に対して固定することにおける使用のための安定器10であって:カニューレアセンブリと関連する細長い管状部材36の上に位置決め可能な安定化部材であって、流体の吸収に応答して初期寸法からより大きな最終寸法まで膨潤可能である安定化部材、を備える、安定器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
(1.技術分野)
本開示は、安定化支援デバイスに関する。より詳細には、本開示は、トロカールカニューレまたは「カニューレ」との使用のための安定化支援デバイスに関し、切開を通るこのカニューレの位置を固定し、そして安定化する。
【背景技術】
【0002】
(2.関連技術の背景)
多くの現代の外科的手順は、非侵襲様式で実施され得る。このような手順の例は、内視鏡手術および/または腹腔鏡手術を含み得る。これらの手術では、小切開が患者の皮膚を通って作製され、そして接近ポートまたは「カニューレ」がこの切開を通って挿入され、内部の身体の腔への接近を提供する。例えば、ヘルニア修復手術は、腹腔鏡により、最初、患者の腹壁を通って切開を形成すること、そしてこの切開を通って接近ポートまたはカニューレを挿入することにより実施され得る。その後、外科用器具が、このカニューレを通って挿入され得、ヘルニア修復手術を行う。
【0003】
カニューレが切開を通って挿入されるとき、腹壁に対してこのカニューレの位置を固定するか、または安定化することがしばしば所望される。例えば、バルーン、ディスクなどのような、種々のデバイスが、このカニューレの外面上に提供され得、腹壁内の安定化を容易にする。腹壁に対してカニューレを安定化する特に適切な方法は、カニューレの遠位端で膨張可能なバルーン、およびカニューレチューブ上にスライド可能に取り付けられた固定部材を提供することを含む。カニューレは、腹壁中の切開中に挿入され、そしてバルーンが膨張されてこのカニューレを腹壁の内面に対して固定する。その後、この固定部材が、腹壁または皮膚の外面に対して進行され、そしてその場にロックされて腹壁に対するこのカニューレの深さを固定する。そして、このタイプのデバイスの例示の例は、2005年9月26日に出願された、バルーンで係留される外科用装置、その方法および製造と題する、米国特許出願番号第11/235,492号に開示されている。この特定のデバイスは、皮膚の外面に対して圧縮可能であり、そして皮膚の内面上の膨張可能なバルーンと協働し、カニューレを腹壁に対して固定する、カニューレチューブの周りにスライド可能に取り付けられる開放セル発泡体カラーを含む。それは、圧縮されるとき、この開放セル発泡体カラーは、セル間のガスを置換する。このカラーが皮膚から離れて移動されるとき、空気がこの開放セル発泡体構造に再侵入し、そしてこのカラーは、その当初の形状に拡大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このデバイスは、カニューレを患者の腹壁に固定する優れた手段を提供するが、身体の、または外部から提供される流体の安定化デバイス中への吸収によって腹壁に対してその場にカニューレを固定し得る膨張可能または膨張潤可能なカニューレ安定化デバイスを提供することが所望される。デバイスの拡大が、このデバイスからの流体の引き抜きまたは置換によって逆転され得る安定化デバイスを提供することがさらに所望され得る。さらに、腹壁の切開の内面に対してシールし得、この安定化デバイスで切開を完全に充填し、そしてそれ故、身体の腔内から、ガス注入法流体またはガスの逃避の任意の機会を最小にする安定化デバイスを提供することが所望され得る。さらに、カニューレのチューブの外面に沿って長軸方向に移動可能であり、腹壁を通るカニューレの深さを調節するような安定化デバイスを提供することが所望され得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明により、例えば、以下が提供される。
(項目1)カニューレアセンブリを組織に対して固定することにおける使用のための安定器であって:
カニューレアセンブリと関連する細長い管状部材の上に位置決め可能な安定化部材であって、流体の吸収に応答して初期寸法からより大きな最終寸法まで膨潤可能である安定化部材、を備える、安定器。
(項目2)前記安定化部材が、中空の、細長い管状部材であって、流体の吸収に応答して初期直径からより大きな最終直径まで膨潤可能である、項目1に記載の安定器。
(項目3)前記安定化部材が、長軸方向スリットを含み、前記カニューレアセンブリの細長い管状部材の周りでその安定化部材の位置決めを容易にする、項目2に記載の安定器。(項目4)前記安定化部材が、その安定化部材の内面上に形成された接着層を含み、その安定化部材をカニューレアセンブリの細長い管状部材に固定する、項目2に記載の安定器。
(項目5)前記安定化部材が、ポリマーゲルから形成される、項目2に記載の安定器。
(項目6)前記安定化部材が、ポリマー発泡体から形成される、項目2に記載の安定器。(項目7)前記安定化部材の直径が、次の材料の付与の際に、前記最終直径から前記初期直径まで減少可能である、項目2に記載の安定器。
(項目8)カニューレアセンブリを組織に対して固定するための調節可能な安定器であって:
カニューレアセンブリの一部分の受容のための中空の管状部材;および
その中空の管状部材に固定され、そして流体の吸収に応答して、初期寸法からより大きな最終寸法まで膨潤可能である安定化部材、を備える、調節可能な安定器。
(項目9)前記安定化部材が、その内面上に内部接着層を有し、前記安定化部材を前記中空管状部材に固定する、項目8に記載の調節可能な安定器。
(項目10)前記中空管状部材が、その中空管状部材を、カニューレアセンブリの長さに沿って所定の位置で固定するためのロック部材を含む、項目8に記載の調節可能な安定器。
(項目11)前記ロック部材が、スプリングで付勢されるクランプを含む、項目10に記載の調節可能な安定器。
(項目12)前記ロック部材が、前記中空管状部材の近位端で位置決めされる、項目11に記載の調節可能な安定器。
(項目13)前記ロック部材が、前記安定化部材の近位方向に位置決めされる、項目10に記載の調節可能な安定器。
(項目14)前記安定化部材が、ポリマーゲルから形成される、項目8に記載の調節可能な安定器。
(項目15)前記安定化部材が、ポリマー発泡体から形成される、項目8に記載の調節可能な安定器。
(項目16)安定化されたカニューレアセンブリであって:
バルブ本体、およびそのバルブ本体から遠位方向に延びる細長い管状部材を有するカニューレアセンブリ;および
その細長い管状部材上に位置決め可能な安定化部材であって、流体の吸収に応答して、初期寸法からより大きな最終寸法まで膨潤可能である、安定化されたカニューレアセンブリ。
(項目17)前記安定化部材が、前記カニューレアセンブリの細長い管状部材に固定して取り付けられる、項目16に記載の安定化されたカニューレアセンブリ。
(項目18)前記安定化部材が、前記カューレアセンブリの細長い管状部材に対し、その安定化部材が、その細長い管状部材に対して長軸方向に移動され得るように、移動可能に取り付けられる、項目16に記載の安定化されたカニューレアセンブリ。
(項目19)前記安定化部材が、前記細長い管状部材上に移動可能に取り付けられる中空チューブ上に取り付けられる、項目18に記載の安定化されたカニューレアセンブリ。
(項目20)前記中空チューブが、その中空チューブを前記細長い管状部材に対して長軸方向に固定する、項目19に記載の安定化されたカニューレアセンブリ。
【0006】
(要旨)
組織中の切開に対してカューレアセンブリを固定する際の使用のための安定器が開示される。安定器は、一般に、関連するカューレアセンブリの細長い管状部材上に位置決め可能な安定化部材を含む。この安定化部材は、流体の吸収に応答して、初期の半径方向寸法からより大きな最終の半径方向寸法まで膨潤可能である。この安定化部材は、吸収性ポリマーゲルまたは発泡体から形成され得る。
【0007】
1つの実施形態では、上記安定化部材は、流体の吸収に応答して初期の半径方向直径からより大きな最終の半径方向直径まで膨潤可能である、中空の、細長い管状部材である。この安定化部材の直径は、次の材料の付与またはこの安定化部材から液体を再吸収する際に、最終直径から初期直径まで減少可能であり得る。この安定化部材は、長軸方向スリットを含み得、上記関連するカニューレアセンブリの細長い管状部材の周りでこの安定化部材の位置決めを容易にする。
【0008】
1つの実施形態では、上記安定化部材は、この安定化部材の内面上に形成された接着層を含み、この安定化部材をカニューレアセンブリの細長い管状部材に固定する。
【0009】
カニューレアセンブリを組織中の切開に対して固定するための調節可能な安定器がまた開示される。この調節可能な安定器は、一般に、カニューレアセンブリの一部分の受容のための中空の管状部材、およびこの中空の管状部材に固定され、そして流体の吸収に応答して、初期半径方向寸法からより大きな最終半径方向寸法まで膨潤可能である安定化部材を含む。この安定化部材はまた、その内面上に内部接着層を含み得、上記安定化部材を上記中空管状部材に固定する。
【0010】
1つの実施形態では、上記中空管状部材は、この中空管状部材を、カニューレアセンブリの長さに沿って所定の位置で固定するためのロック部材を含む。スプリングで付勢されるクランプが、上記中空管状部材の近位端に、そして上記安定化部材の近位方向に位置決めされる。上記安定化部材は、ポリマーゲル、またはポリマー発泡体から形成され得る。
【0011】
バルブ本体、およびこのバルブ本体から遠位方向に延びる細長い管状部材を有するカニューレアセンブリを含む安定化されたカニューレアセンブリがまた開示される。この安定化されたカニューレアセンブリは、細長い管状部材上に、安定化部材が流体の吸収に応答して、初期寸法からより大きな最終寸法まで膨潤可能であるように位置決め可能である安定化部材をさらに含む。1つの実施形態では、この安定化部材は、上記カニューレアセンブリの細長い管状部材に固定して取り付けられる。
【0012】
代替の実施形態では、上記安定化部材は、上記カューレアセンブリの細長い管状部材に対し、この安定化部材が、この細長い管状部材に対して長軸方向に移動され得るように、移動可能に取り付けられる。この実施形態では、上記安定化部材は、上記細長い管状部材上に移動可能に取り付けられる中空チューブ上に取り付けられる。特定の実施形態では、上記中空チューブは、上記中空チューブを上記細長い管状部材に対して長軸方向に固定するロック部材を含む。
【0013】
(要約)
安定器が、カニューレアセンブリの組織に対する位置を取り付け、そして固定するために提供される。この安定器は、液体の吸収に応答して組織中の切開内で拡大する液体膨潤可能な部材である。この安定器は、この安定器をカニューレアセンブリに対して固定する内部接着層を含む。この安定器は、ポリマーゲルまたは発泡体から形成される。1つの実施形態では、この安定器は、カニューレアセンブリの細長い管状部材に固定して取り付けられる。代替の実施形態では、この安定器は、カニューレアセブリの細長い管状部材に沿った長軸方向移動のために取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
現在開示される安定化支援デバイスの種々の実施形態は、図面を参照して本明細書中に開示される。
【図1】図1は、安定化支援デバイスの1つの実施形態の斜視図である。
【図2】図2は、図1の線2−2に沿ってとられた断面で示される側面図である。
【図3】図3は、安定化支援デバイスが拡大または膨潤された状態にある、図2に類似の断面で示される側面図である。
【図4】図4は、カニューレ上に取り付けられた図1の安定化支援デバイスの斜視図である。
【図5】図5は、組織中の切開の斜視図である。
【図6A】図6Aは、組織中の切開を通って挿入された図1の安定化支援デバイスの断面で示される側面図である。
【図6B】図6Bは、安定化支援デバイスが拡大または膨潤状態にある、図6Aに類似の断面で示される側面図である。
【図7】図7は、カニューレシャフト上に移動可能に取り付けられた安定化支援デバイスの別の実施形態の斜視図である。
【図8A】図8Aは、組織中の切開を通って挿入された図7の安定化支援デバイスの断面で示される側面図である。
【図8B】図8Bは、安定化支援デバイスが、拡大または膨潤状態にある図8Aに類似の断面で示される側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態の詳細な説明)
現在開示される安定化支援デバイスまたは「安定器」の実施形態は、ここで、図面を参照して詳細に記載され、図面では、同様の番号は、いくつかの図の各々で同一または対応する要素を指定する。当該技術分野で一般であるように、用語「近位」は、使用者または操作者、すなわち、外科医または医師により近いパーツまたは構成要素をいい、その一方、用語「遠位」は、使用者からより遠く離れたパーツまたは構成要素をいう。
【0016】
図1を参照して、内視鏡手術または腹腔鏡手術の間で、カニューレタイプ接近ポートとの使用のための新規な安定化支援デバイスまたは安定器10が開示される。安定器10は、腹部を通ってカニューレの深さを制御するために腹壁を通ってカニューレを固定するため、および腹壁に対して任意の実質的な偏向または旋回を防ぐために提供される。本明細書中では、安定器10は、内視鏡または腹腔鏡手術におけるカニューレとの使用について開示されるが、安定器10は、例えば、静脈内手術の間にニードルを安定化すること、気管内適用の間にチューブを安定化することなどのような種々のその他の外科的状況における用途を見出し得る。
【0017】
安定器10は、一般に、カニューレアセンブリのチューブの周りに位置決めされるような形態であるチューブまたはカラー12を含む。カラー12は、液体の吸収に応答してサイズが拡大する親水性ポリマー被覆材料または膨潤可能なポリマーゲルまたは発泡体材料から形成される。カラー12をカニューレアセンブリのチューブ上に位置決めすることにより、カラー12は、サイズが膨潤し得、組織中の切開の開口部を充填し、そしてそれによってカニューレアセンブリを組織切開内に固定する。カラー12は、制限されないで、アクリル酸ナトリウム(NaA)およびスルホプロピルアクリル酸カリウム(KSPA)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリウレタン、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(メチルメタクリレート)ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(スルホン酸)、ポリ(スチレン)ポリ(プロピレンオキシド)、アルギン酸、キトサン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、無水植物セルロースのようなポリサッカライド、およびそれらのコポリマー/ブレンドを含み得る異なる材料から形成され得る。
【0018】
さらに、カラー12を形成する膨潤可能な材料は、カラー12から液体の置換によりカラー12のサイズを減少するように可逆的であり得る。これは、カラー12中に塩溶液を導入することによるか、またはカラー12から液体を引くかまたは押すその他の方法によって達成され得る。このようにして、カラー12のサイズが減少され得、カラー12の、そしてそれ故、関連するカニューレの、患者中の切開からの除去を容易にする。
【0019】
カラー12は、カニューレアセンブリの受容のために、カラー12の遠位端16から近位端18まで延びるボア14を規定する。カニューレアセンブリのチューブの周りでカラー12を位置決めすることを容易にするため、カラー12には、長軸方向スリット20が提供され得、その結果、カラー12は、このカニューレアセンブリの周りを包み得る。カラー12にはまた、カラー12をカニューレアセンブリのチューブに固定するために接着層22が提供され得る。接着層22は、カラー12の内面24上に形成され、そして任意の適切な接着剤タイプの被覆または材料からなり得る。
【0020】
ここで、図2および3を参照して、そして最初に図2に関し、初期または非拡大状態で、カラー12は、所定の初期外径d1を有している。所定の外径d1は、カラー12および関連するカニューレチューブの組織を通る切開を通る挿入を容易にするようなサイズである。ここで、図3を参照して、カラー12は、それが液体の吸収に応答して所定の最大外径d2まで拡大するように形成される。カラー12によって吸収される液体は、患者中の切開のエッジを通って吸収される体液を含み得るか、または、例えば、シリンジなどのような別個の外部供給源によって提供され得る。
【0021】
図4を参照して、そして本明細書中上記で注記されるように、安定器10は、カニューレアセンブリ26のような、腹腔鏡手術または内視鏡手術で代表的には用いられるタイプのカニューレアセンブリとの使用のための形態である。カニューレアセンブリ26は、一般に、近位端32に開口部30を有するバルブハウジングまたは本体28を含む。開口部30は、本体28の近位端32から遠位端34まで延びる。細長い管状部材36は、本体28から遠位方向に、細長い管状部材36の近位端38が本体28の遠位端34から延びるように延びる。細長い管状部材36は、遠位端40で、貫通穴42が本体28の近位端32にある開口部30から細長い管状部材36の遠位端40まで規定されるように終結する。貫通穴42は、代表的な腹腔鏡手術および内視鏡手術の間に用いられる種々の外科用機器の受容のためのサイズおよび寸法である。
【0022】
カニューレアセンブリ26は、患者の身体中および患者の身体から、種々のガス注入法流体ガスおよび/または色素を注入および排出することにおける使用のために、本体28中に1つ以上のポート44、46をさらに含み得る。さらに、本体28は、例えば、組織貫通トロカール、光学機器などのような種々の補助器具との係合のために1つ以上のノット48を含み得る。
【0023】
ここで、図5、6Aおよび6Bを参照して、そして最初に図5に関し、患者の組織内でカニューレアセンブリ26を支持するための安定器10の使用がここで説明される。代表的な内視鏡手術および/または腹腔鏡手術では、初期切開Iが、例えば、腹壁のような組織Tを通って作製される。ここで図6Aを参照して、その上に取り付けられた安定器10を有する細長い管状部材36が、切開Iを通って、腹壁内の細長い管状部材36の適切な深さが達成されるように挿入される。本明細書中上記で注記したように、安定器12は、切開Iを通って容易に挿入されるに十分小さい初期の所定の外部寸法d1を有する。ここで図6Bを参照して、一旦細長い管状部材36が切開I内に適切に位置決めされたなら、カラー12は、組織Tからの体液の吸収に応答して最大外径d2に向かって膨潤する。さらに、そしてまたはそれに代わって、シリンジが、カラー12中に液体を、カラー12が液体を吸収し、そしてその最大外径d2に向かって拡大するように注入するために用いられ得る。
【0024】
カラー12がその最大外径d2に向かって拡大するとき、カラー12の中心部分50は、直径d3まで膨潤し、切開Iを満たす。中心部分50は、切開Iの全体領域を充填し、そして切開Iのエッジに対応する種々の非対称形状をとり得る。カラー12の遠位部分52は、その最大外径d3まで、エッジ54が遠位部分52と中心部分50との間に形成されるように膨潤する。同様に、近位部分56は、最大外径d2まで拡大し、そして近位部分56と中心部分50との間でエッジ58を形成する。エッジ54および58は、組織Tを通るカニューレアセンブリ26の長軸方向移動を防ぎ、組織Tに対してカニューレアセンブリ26を長軸方向に安定化する。エッジ54および58はさらに協働して組織Tに対する安定化面を提供し、カニューレアセンブリ26が組織Tに対して偏向すること、または揺れることを防ぐ際に支援する。
【0025】
その後、種々の内視鏡外科的手順または腹腔鏡外科的手順がカニューレアセンブリ26を通じて実施され得る。一旦、種々の手術が終了したなら、そして本明細書中上記で注記したように、例えば、塩溶液のような種々の溶液がカラー12に付与され得、カラー12から液体を引き、そしてカラー12を、その初期直径d1に収縮して戻す。その後、その上に安定器10を有するカニューレアセンブリ26が、切開から除去され得、そして手術が終了する。
【0026】
図7、8および9をここで参照して、そして最初に図7に関し、カニューレアセンブリとの使用のために安定化デバイスまたは安定器60の代替の実施形態が開示される。安定器60は、カニューレアセンブリ26の細長い管状部材36の長さに沿って長軸方向に調節可能であり得るような形態である。安定器60は、遠位端64および近位端66を有する細長い管状部材62を含む。貫通穴68が、カニューレアセンブリ26の細長い管状部材36の受容のために近位端66から遠位端64まで延びる。クランプアセンブリ70が、細長い管状部材62の近位端66に提供され、そして細長い管状部材62が、細長い管状部材36の長さに沿って所望の位置に固定して取り付けられることを可能にする。クランプアセンブリ70は、一般に、調節可能な開口部74を規定するスプリングで付勢されるカラー72の形態にあるロック部材を含む。開口部74は、開口部74が最も開いた位置にあるとき、調節可能な安定器60が細長い管状部材36に沿って長軸方向に移動されるようにし、そして開口部74が閉鎖位置まで移動されるとき、調節可能な安定器60を細長い管状部材36に沿って固定する。一対のウイング76および78がカラー72上に提供され、カラー72を開放位置と閉鎖位置との間で移動する。
【0027】
調節可能な安定器60は、安定器10に関して本明細書で上記に記載されたのと実質的に同一の様式で細長い管状部材62の周りでカラー12を固定して取り付ける接着剤層22を有する。
【0028】
ここで、図8Aを参照して、安定器10に関して本明細書中上記で記載されたのと同様に、使用において、その上に取り付けられた安定器60を有する細長い管状部材36が、切開Iを通り、腹腔内で細長い管状部材36の適切な深さが達成されるように挿入される。カラー12は、切開Iを通って容易に挿入されるに十分小さい所定の外部寸法d1を有する。ここで図8Bを参照して、一旦、細長い管状部材36が切開I内で適切に位置決めされると、カラー12は、組織Tから体液の吸収に応答して最大外径d2に向かって膨潤する。本明細書中上記で論議されたように、シリンジが、カラー12中に液体を、カラー12が液体を吸収し、そしてその最大外径d2に向かって拡大するように注入するために用いられ得る。
【0029】
カラー12がその最大外径d2に向かって拡大するとき、カラー12の中心部分50は、直径d3まで膨潤し、切開Iを充填する。中心部分50は、切開Iの全領域を充填し、そして切開Iのエッジに対応する種々の非対称形状をとり得る。カラー12の遠位部分52は、近位部分56がするように、その最大外径d3まで膨潤する。安定器10に関して本明細書中上記で起債されたのと同様に、エッジ54および58は、調節可能な安定器60の細長い管状部材62の組織Tに対する長軸方向の移動を防ぐ。エッジ54および58はまた、協働して組織Tに対する安定化面を提供し、安定器60、そしてそれ故カニューレアセンブリ26が、組織Tに対して偏向または揺れることを防ぐ際に支援する。
【0030】
一旦、カラー12が膨潤して組織Tに対して調節可能な安定器60を固定したなら、カラー72を含むクランプアセンブリが、ウイング76および78を圧縮することによって開放され得、カラー72をカニューレアセンブリ26の細長い管状部材36から解放する。その後、カニューレアセンブリ26は、カニューレアセンブリ26、そして特に細長い管状部材36を腹腔内の適正な深さに調節するように、矢印Aの方向に調節可能な安定器62を通って長軸方向に自由に移動する。一旦、細長い管状部材36が腹腔内で適正に位置決めされたなら、ウイング76、78が解放され得、カラー72を細長い管状部材36の周りで圧縮し、それによって、カニューレアセンブリ26を調節可能な安定器60及び組織Tに対して長軸方向に固定する。
【0031】
本明細書で上記に記載されたのと同様に、種々の内視鏡外科的手順および腹腔鏡外科的手順が、ここで、カニューレアセンブリ26を通って実施され得る。一旦、操作が終了したなら、そして本明細書中上記で注記されたように、例えば、塩溶液のような種々の溶液がカラー12に付与され得、カラー12から液体を引き、そしてカラー12をその初期直径d1まで収縮して戻す。その後、その上に安定器10を有するカニューレアセンブリ26が、切開から除去され得、そして手術が終了する。従って、調節可能な安定器60は、カニューレアセンブリ26を、組織T中の切開I内の所望の深さで、そしてそれに対する長軸方向移動に対して固定する新規な方法を提供し、そしてカニューレアセンブリ26が、組織Tに対して所定の角度で偏向または垂れ下がることを防ぐ。
【0032】
本明細書中に開示される実施形態に種々の改変がなされ得ることが理解される。例えば、カラー12は、円筒形部材として形成される必要はなく、卵形、矩形などのような、組織中に形成された切開を充填するに十分なその他の形態をとり得る。さらに、粉末、またはその他の親水性物質の提供のような、その他の方法が、安定器の除去のために拡大位置から初期位置まで安定器の寸法を減少するように開示された安定器から流体を引き出すために提供され得る。さらに、本明細書で上記で注記されたように、開示された安定器は、例えば、静脈内手順、気管内手順、または周辺組織に対する部材の安定化を必要とするその他の手順のような、その他の外科的適用において使用を見出し得る。従って、上記の記載は、制限的であると解釈されるべきではなく、単に特定の実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付された特許請求の範囲の範囲および思想ないでその他の改変を想定する。
【符号の説明】
【0033】
10 安定器
12 カラー
14 ボア
16 遠位端
18 近位端
22 接着層
26 カニューレアセンブリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定化されたカニューレアセンブリであって:
バルブ本体および該バルブ本体から遠位方向に延びる細長い管状部材を有するカニューレアセンブリ;および
該細長い管状部材上に位置決め可能な安定化部材であって、該安定化部材は、液体の吸収に応答して第1の形態と第2の形態との間で再構成可能であって該カニューレアセンブリを組織に対して固定する安定化部材、を備える安定化されたカニューレアセンブリ。
【請求項2】
前記安定化部材が、前記カニューレアセンブリの細長い管状部材に対し、該安定化部材が該細長い管状部材に対して長軸方向に移動され得るように移動可能に取り付けられる、請求項1に記載の安定化されたカニューレアセンブリ。
【請求項3】
前記安定化部材が、前記細長い管状部材上に移動可能に取り付けられた中空チューブ上に取り付けられる、請求項2に記載の安定化されたカニューレアセンブリ。
【請求項4】
前記中空チューブが、該中空チューブを前記細長い管状部材に対して長軸方向に固定するロック部材を含む、請求項3に記載の安定化されたカニューレアセンブリ。
【請求項5】
前記安定化部材が、前記第1の形態にある第1の横方向断面形態、および前記第2の形態にある第2のより大きな横方向断面形態を規定する、請求項4に記載の安定化されたカニューレアセンブリ。
【請求項6】
前記安定化部材が、近位部分、中央部分および遠位部分を含み、該安定化部材が、該遠位部分の少なくとも一部分が組織の下に延びるような形態および寸法である、請求項5に記載の安定化されたカニューレアセンブリ。
【請求項7】
前記安定化部材が、開口部を規定する隣接組織部分に、該安定化部材が組織の近位方向に位置決めされる第1のエッジ、および該組織の遠位方向に位置決めされる第2のエッジを規定するように接し、該第1のエッジおよび該第2のエッジが、該安定化部材が前記第2の形態にあるとき、該組織中の開口部内で該安定化部材の長軸方向移動を実質的に阻害する、請求項6に記載の安定化されたカニューレアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【公開番号】特開2012−236038(P2012−236038A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−152693(P2012−152693)
【出願日】平成24年7月6日(2012.7.6)
【分割の表示】特願2007−199439(P2007−199439)の分割
【原出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】