説明

トロンビンレセプターアンタゴニストによる血小板凝集阻害を測定する方法

トロンビンレセプターアンタゴニストによる血小板凝集阻害を測定する方法が提供される。第一に、トロンビンレセプターアンタゴニストで処置された患者から血液サンプルを採取する。固定化GPIIb/IIIaレセプターリガンドを含む粒子及びトロンビンレセプターアクチベーターを一緒にして前記血液サンプルを混合する。続いて、前記粒子の凝集に適した条件下で前記混合物をインキュベートし、前記混合物で血小板仲介凝集を判定する。凝集がなければ、当該患者は、トロンビンレセプターアンタゴニストによる処置に応答して血小板血栓の形成能力が低下したことを示す。トロンビンレセプターアンタゴニストによる血小板凝集阻害を測定するキットもまた提供される。前記キットは、粒子上に固定されたGPIIb/IIIaレセプターリガンド、トロンビンレセプターアクチベーター、抗凝固剤、及び抗凝固血液を血小板凝集に適した状態で維持するための緩衝物質を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互引用
本出願は、2007年5月3日出願の米国特許出願60/915,820号の権利を主張する(前記出願は参照によりその全体が本明細書に含まれる)。
【0002】
本発明は、診断アッセイの分野、特に抗血小板組成物の効果を調べるために血液サンプルで血小板機能活性を決定すること、より具体的には、トロンビンレセプターインヒビター(E5555(Eisai)及びSCH530348(Schering-Plough)を含む)の血小板機能の感度増進測定のために、血小板アクチベーター(例えばトロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP))を使用することに関する。
【背景技術】
【0003】
哺乳動物の生理学における血小板の役割は極めて多岐にわたるが、血小板の主要な役割は止血の促進にある。多くの状況において、血液の凝固能力を判定することが所望される(凝固能力は血小板の粘着及び/又は凝集能力によってしばしば制御されるパラメーターである)。したがって、重要なことは、血小板の粘着機能の評価である。例えば、重要な問題には、血餅形成を遮断又は促進する薬剤を投与すべきか否か、又は外科手術前に血小板機能不全を検出すべきか否かが含まれる。さらにまた重要なことは、新薬として試験されている血小板阻害物質又は承認された臨床治療として患者で用いられている血小板阻害物質の有効性を判定することである。
血小板は、多様な条件下及び多数の試薬の存在下で凝集することが知られている。血小板凝集とは、血小板が互いに結合することを表現する用語である。in vitroでの血小板凝集は、凝集誘発因子(例えばトロンビン、アデノシン二リン酸(ADP)又はコラーゲン)による活性化後に血小板表面にフィブリノゲンを結合させる能力に依存する。
血小板は正常な止血の維持において極めて重要な役割を果たす。損傷血管で暴露されたとき、血小板は暴露された内皮下マトリックスに粘着する。初期粘着に続いて、損傷部位で遊離又は産生される多様な因子(例えばトロンビン、ADP及びコラーゲン)が血小板を活性化させる。いったん血小板が活性化されると、血小板糖タンパク質GPIIb/IIIaレセプターに配座変化が生じ、血小板とフィブリノゲン及び/又はフォン・ヴィルブラント因子が結合する。多価フィブリノゲン及び/又はフォン・ヴィルブラント因子と近傍の血小板のGPIIb/IIIaレセプターとのこの結合が、損傷部位におけるさらに新たな血小板の補充及びそれらの凝集をもたらし止血栓子又は血栓が形成される。
【0004】
in vitro血小板凝集測定は、血小板がin vivoで凝集物を形成し一次止血栓子を生じる能力の判定に用いられる実験室手法である。この技術では、凝集因子(例えばADP又はコラーゲン)が全血又は血小板濃縮血漿に添加され、血小板の凝集がモニターされる。血小板凝集測定は、患者の診断及び治療の選択に役立ちえる診断ツールである。血小板凝集を測定する従来のアッセイは高価で、時間がかかり、煩雑であり、さらに一般的に臨床環境において適切ではない。
迅速な血小板機能アッセイが開発され、米国特許5,763,199号(Coller)に記載されている(前記文献は参照により完全に本明細書に含まれる)。前記アッセイは、全血における糖タンパク質GPIIb/IIIaレセプターの遮断を決定する。GPIIb/IIIaリガンド(例えばフィブリノゲン)でコーティングした小ポリマービーズの凝集は、未遮断活性化GPIIb/IIIaレセプターを有する血小板を含む全血と接触させたときに生じる。凝集が生じない場合は、GPIIb/IIIaレセプターの活性化の失敗及び/又はGPIIb/IIIaレセプターの遮断が指摘される。好ましい実施態様では、トロンビンレセプターアクチベーターを添加することによって、ベッドサイドでの実施に際して十二分に迅速で都合がよく、さらにはGPIIb/IIIaレセプターが遮断されてなければ、手ごろな既知時間内に小ポリマービーズの凝集をもたらすアッセイが得られる。前記アッセイは、採集容器を開くことなく被検血液を採集容器からアッセイ装置へ移す性能を含む。この血小板凝集アッセイは、活性化凝固時間(ACT)と同時に実施することができる(ACTはヘパリン添加の適切性を判定するために実施される)。
【0005】
血小板凝集は、血栓症及び急性冠状動脈疾患の病理発生に重要な役割を果たす。血栓症治療のための1つのアプローチはトロンビン酵素活性を阻害することを必要とし、この目的に用いられる化合物にはヘパリン、低分子量ヘパリン、ヒルジン、アルガトロバン、ヒルローグなどが含まれる。そのような化合物はいずれもトロンビンの酵素活性を阻害し、細胞に対するトロンビンの作用を特異的に阻害することなくフィブリン血液凝塊の形成を阻害することによって機能する。したがって出血傾向は診療所で遭遇する一般的な副作用である。
血栓症におけるトロンビンの役割はその血液凝固活性に限定されない。止血及び創傷治癒におけるその中心的な役割に加えて、トロンビンは、2つの細胞表面Gタンパク質結合プロテアーゼ活性化レセプター、PAR-1及びPAR-4と結合することによって、ヒト血小板を活性化する(前記レセプターはまたトロンビンレセプターとしても知られている(以下を参照されたい:Kahn et al. Nature 1998, 394:690-694;Kahn et al. J Clin Invest 1999, 103:879-887)。トロンビンに対する親和性は、PAR-4よりもPAR-1の方が高く、したがって、低用量のトロンビンによる血小板の活性化はもっぱらPAR-1によって仲介されると考えられる。PAR-4は、高用量のトロンビンによって長期的な血小板活性化を維持すると示唆されている(以下を参照されたい:Covic et al. Biochemistry 2000, 39:5458-5467;Covic et al. Thromb Haemost 2002, 87:722-727)。PAR-1及びPAR-4レセプターの活性化は細胞内カルシウム放出の引き金となり(カルシウムはPKCを活性化する)、それによって糖タンパク質IIb/IIIaを調整し、インテグリンリガンド結合部位が血小板凝集に寄与することを可能にする。トロンビン誘発細胞内カルシウム放出はまたホスホリパーゼA2を活性化させる(ホスホリパーゼA2はアラキドン酸を遊離させ、これはプロスタグランジン及びトロンボキサン生合成の最初の工程である)。
【0006】
PAR-1及びPAR-4はともに既にクローニングされ(以下を参照されたい:Vu et al. Cell 1991, 64:1057-1068;Xu et al. Proc Natl Acad Sci USA 1998, 95:6642-6646;Maryanoff et al. Curr Med chem Cardiovasc Hematol Agents 2003, 1(1):13-36)、細胞のトロンビンレセプターを標的とする物質の開発に対して重要な扉が開かれた。これらトロンビンレセプターのアミノ酸配列の詳細な調査によって、PAR-1及びPAR-4は両者ともトロンビンによって細胞外ドメイン内の特定の部位で切断され、レセプターの躯幹と結合する新しいN-末端配列を露出させ、トランスメンブレンシグナリングを開始させることが明らかになった(以下を参照されたい:Vu et al. Nature 1991, 353:674-677;S.R. Coughlin, Proc Natl Acad Sci USA 1999, 96:11023-11027)。活性化トロンビンレセプターの新しいN-末端の配列を再生させる特異的なペプチド(一般的には“トロンビンレセプター活性化ペプチド”又は“TRAP”と称されている)は、加水分解されていないPAR-1及びPAR-4の強力で選択的なアクチベーターであり、トロンビンによって誘引される血小板応答の全ての引き金であることが示された(以下を参照されたい:Kahn et al. J Clin Invest 1999, 103:879-887;Hung et al. J Biol Chem 1992, 267:20831-20834)。
PAR-1トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-1)(前記はPAR-1を特異的に活性化する)は、以下のアミノ酸配列を有するヘプタペプチドである:SFLLRNP(NH2-Ser-Phe-Leu-Leu-Arg-Asn-Pro-COOH)。対照的に、PAR-4トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-4)(前記はPAR-4を特異的に活性化する)は、以下のヘキサペプチドである:GYPGQV(NH2-Gly-Tyr-Pro-Gly-Gln-Val-COOH)。注目すべきことに、より強力なTRAP-4変種(文献ではまたTRAP-4ともTRAP-4Aとも称される)が、以下のアミノ酸配列を有することが報告された:AYPGKF(NH2-Ala-Tyr-Pro-Gly-Lys-Phe-COOH)(以下を参照されたい:Soslau et al. J Biol Chem 2001, 276(24):21173-21183)。
【0007】
TRAP-1の構造と活性との関係に関する研究によって、切端TRAP-1ペンタペプチド(Phe-Leu-Leu-Arg-Asn)は、トロンビン又はTRAP-1によって活性化された血小板トロンビンレセプターに対する弱いアンタゴニストであることが示唆された(Vassallo et al. J Biol Chem 1992, 267:6081-6085)。今日までトロンビンレセプター拮抗に対する種々のアプローチが開発されてきた。これらのアプローチの1つは、トロンビンレセプターのトロンビン結合ドメインに対する抗体を作製することであった。そのような抗体は特異的及び効率的にトロンビンによる血小板の活性化を抑制し、したがってトロンビンレセプターアンタゴニストとして機能する(Hung et al. J Clin Invest 1992, 89:1350-1353)。別のアプローチは、TRAPのペプチド誘導体を作製することであった(Bernatowicz et al. J Med Chem 1996, 39:4879-4887;Hoekstra et al. Bioorg Med Chem Lett 1998, 8:1649-1654;McComsey et al. Bioorg Med Chem Lett 1999, 9:255-260)。さらに別のアプローチは、種々の高処理スクリーニングアッセイを用いて小分子トロンビンレセプターアンタゴニストを探索することであった(Ahn et al. Bioorg Med Chem Lett 1999, 9:2073-2078)。置換された三環式トロンビンレセプターアンタゴニストが米国特許6,063,847号、6,326,380号、6,645,987号、6,894,065号及び7,037,920号に開示されている。
トロンビンはヒト血小板のもっとも強力なアクチベーターであるので、トロンビンレセプターアンタゴニストは、血小板富裕動脈血栓症においておそらく強力な抗血栓症作用を示すであろう。トロンビンレセプター拮抗はトロンビンのフィブリン生成能力を損なわないので、そのような薬剤は、おそらく通常の抗凝固剤よりも出血を引き起こすことが少ないであろう。トロンビンレセプターに対して拮抗作用を有する化合物は、トロンビンが密接に関係する疾患の治療又は予防に対して優れた効果を示し、したがって例えば血栓症、血管再狭窄、深部静脈血栓症、肺動脈塞栓症、脳梗塞、心疾患、播種性血管内凝血、高血圧、炎症性疾患、リウマチ、喘息、糸球体腎炎、骨粗しょう症、神経学的異常及び悪性腫瘍の効果的な治療及び予防のために極めて有望であろうと期待される。
【0008】
E5555(Eisai Co., Ltd.,)(米国特許7,244,730号及び7,304,083号参照)は、プロテアーゼ活性化PAR-1トロンビンレセプターと拮抗することによって血小板の凝集を阻害する2-イミノピロリジン誘導体である。E5555は、モルモット血栓症モデルにおける抗血栓症作用、並びにラットバルーン損傷モデルにおける偽内膜過形成及びウサギくも膜下出血モデルにおけるトロンビン誘発収縮応答に対する抑制作用を有することが示された(Kogushi et al. J Thromb Haemost 2007, 5(Supp. 1):P-M-059;Kay et al. Stroke 2007, 38(12):3259-65)。ヒトの細胞では、E5555は、炎症性マーカー(例えばIL-6、CD40リガンド及びP-セレクチン)のトロンビン誘発放出又は発現(前記は急性冠状動脈症候群(ACS)における高リスク症状と連鎖している)に対する抑制作用を有することが示された(Kogushi et al.)。E5555は、現在米国において冠状動脈疾患及び急性冠状動脈症候群で臨床試験が進行している。
SCH530348(Schering-Plough Corp., 米国特許6,063847号、6,326,380号、6,645,987号、6,894,065号及び7,037,920号参照)、(ヒムバシン(オーストラリアモクレンの樹皮から誘導される天然の化合物)の置換三環式アナローグ)は、また別の精査中の新規な抗血小板因子であり、PAR-1トロンビンレセプターの強力なインヒビターであることが示された。フェースII臨床試験では、SCH530348で処置された患者で出血時間の延長又は凝固時間の引き延ばしがないことが示された(例えば以下を参照されたい:O'Donnell et al. "Antiplatelet Therapy for Secondary Prevention of Noncardioembolic Ischemic Stroke - A Critical Review, " Stroke, published online before print March 27, 2008)。関連する薬物動態学的及び薬力学的解析によって、SCH530348は、非緊急経皮的冠状動脈介入(non-urgent percutaneous coronary intervention, PCI)を受けている患者の血液サンプルで血小板凝集を持続的に、用量依存的に、特異的アゴニスト誘発的に阻害することが示された。この化合物は現在、急性冠状動脈症候群について及びアテローム血栓症性虚血症の症状の予防についてフェースIII臨床試験が進行している。
トロンビンレセプターアンタゴニスト(例えばE5555及びSCH530348)は、心脈管系異常及び他の異常をもつ多くの患者で使用されることが予想されるので、トロンビンレセプターアンタゴニストに対する耐性を検出するため及びトロンビンレセプターアンタゴニスト治療の有効性を評価するための方法は有益であろう。したがって、ある患者のトロンビンレセプターアンタゴニストに対する感受性及び治療の有効性に関する情報を提供しえるアッセイの開発が求められる。
【発明の概要】
【0009】
発明の要旨
したがって、本発明の目的は、トロンビンレセプターアクチベーター、例えばトロンビン、PAR-1トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-1)又はPAR-4トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-4)を血小板アクチベーターとして用いて測定が実施される、トロンビンレセプターアンタゴニストの作用を受けた血液サンプルをアッセイする方法及びキットを提供することである。
本発明のこの目的及び他の目的は、トロンビンレセプターアンタゴニストによる血小板凝集阻害を測定する方法で達成される。第一に、トロンビンレセプターアンタゴニストで処置された個体から血小板を含む血液サンプルを入手する。次にこの血液サンプルをトロンビンレセプターアクチベーターと、血小板含有血液サンプルで血小板凝集を活性化させるために適した条件下で接触させる。最後に、血小板含有血液サンプルで血小板仲介凝集を判定して、当該個体におけるトロンビンレセプターアンタゴニストによる血小板凝集阻害の有無及び/又は程度を決定する。血小板凝集が存在しないか又は低下している場合は、当該個体は、トロンビンレセプターアンタゴニスト処置に応答して血小板血栓の形成能が低下していることを示す。
本発明の別の実施態様では、トロンビンレセプターアンタゴニストによる血小板凝集阻害を測定するまた別の方法が提供される。第一に、トロンビンレセプターアンタゴニストで処置された個体から血小板を含む血液サンプルを入手する。次に、その上に固定されたGPIIa/IIIaレセプターリガンドを含む粒子及びトロンビンレセプターアクチベーターと前記血液サンプルを、血小板含有血液サンプルで血小板凝集を活性化させるために適した条件下で接触させる。最後に、血小板含有血液サンプルで血小板仲介凝集を判定して、当該個体におけるトロンビンレセプターアンタゴニストによる血小板凝集阻害の有無及び/又は程度を決定する。血小板凝集が存在しないか又は低下している場合は、当該個体は、トロンビンレセプターアンタゴニスト処置に応答して血小板血栓の形成能が低下していることを示す。
本発明のさらに別の実施態様では、トロンビンレセプターアンタゴニストによる血小板凝集阻害を測定するためのキットが提供される。前記キットは、粒子上に固定されたGPIIb/IIIaレセプターリガンド及びトロンビンレセプターアクチベーターを含む。好ましい実施態様では、抗凝固剤並びに抗凝固血液のpH及び塩濃度を血小板凝集に適した範囲内に維持するための緩衝物質もまた提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】異なる4人のドナー由来の血小板含有血液サンプルの、異なる4通りの濃度のE5555に対する用量依存応答を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
特段に規定されなければ、本明細書で用いられる全ての技術用語及び学術用語は、本発明が属する分野の業者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。本明細書で引用される全ての特許、特許出願(公開であれ又は未公開であれ)及び他の刊行物は、参照によりそれらの全体が本明細書に含まれる。本セクションで説明する定義が、参照により本明細書に取り込まれる特許、特許出願、公開出願及び他の刊行物で説明される定義と矛盾するか又は一致しない場合は、本セクションで説明する定義が、参照により本明細書に含まれる定義に優先する。
いずれの刊行物又は文献の引用も、当該刊行物又は文献を適切な先行技術として承認することを意図するものではなく、これらの刊行物又は文献の内容又は日付に関する何らの承認も構成しない。
【0012】
本明細書で用いられる、不定冠詞の“a”又は“an”は“少なくとも1つ”又は“1つ以上”を意味する。
本明細書で用いられる、“個体”という用語は特定の種又はサンプルタイプに限定されない。例えば“個体”という用語は、患者、しばしばヒトの患者に該当しえる。しかしながら、この用語はヒトに限定されず、したがって多様な哺乳動物種を包含する。
本明細書で用いられる、“処置”は、症状、異常又は疾患の徴候を軽減させるか、あるいは有利に変化させる任意の方法を意味する。処置はまた本明細書の組成物の任意の医薬的使用を包含する。
本明細書で用いられる、“疾患又は異常”は、例えば感染又は遺伝的欠陥から生じ、さらに識別可能な徴候を特徴とする、生物の病的状態に該当する。
本明細書で用いられる、“トロンビン”という用語は、可溶性フィブリノゲンを不溶性のフィブリン鎖に変換し、さらに多数の他の凝固関連反応を触媒するセリンプロテアーゼを指す。本用語は、特段の指定がなければ種特異的ではない。本用語はα-トロンビン(トロンビンの天然形である)とともにγ-トロンビンを包含する。γ-トロンビンは、α-トロンビンから生成される非凝固性誘導体であり、その血小板活性化性能の多くを維持する。γ-トロンビンはフィブリノゲンに対して酵素的に不活性であり、その濃度は通常、α-トロンビンの場合のようなユニット/mL(U/mL)では表されない。しかしながら、文献では10−20nmのγ-トロンビンが0.05−0.1U/mLのα-トロンビンと等価であると報告されている(例えば以下を参照されたい:Soslau et al. J Biol Chem 2001 276(24):21173-21183)。
【0013】
本明細書で用いられる、“トロンビンレセプター”という用語は、トロンビンによって活性化される、G-タンパク質結合レセプターのプロテアーゼ活性化レセプター(PAR)ファミリーの任意のメンバーを指す。今日までに、PARファミリーの4メンバー、PAR-1、PAR-2、PAR-3及びPAR-4の性状が決定された(概説のために以下を参照されたい:MacFarlane et al. "Proteinase Activated Receptors", Pharmacol Rev 2001, 53:245-282)。これら4つのレセプターのうち、PAR-1、PAR-3及びPAR-4はトロンビンによって活性化されるが、一方、PAR-2はトリプシンによって活性化される。したがって、本明細書で用いられる“トロンビンレセプター”という用語は、おおざっぱにPAR-1、PAR-3及びPAR-4を指す。しかしながら、PAR-3の発現はヒトの血小板で検出されていないので、現在知られているプロテアーゼにより活性化されるレセプターのPAR-1及びPAR-4のみが本発明に関連する。
本明細書で用いられる、“トロンビンレセプターアクチベーター”という用語は、細胞内シグナリング事象を活性化させることができる任意の分子を指す。前記事象には、PAR-1及び/又はPAR-4トロンビンレセプターによって仲介される細胞内カルシウム放出が含まれる。いくつかのトロンビンレセプターアクチベーター(例えばトロンビン)は、PAR-1及び/又はPAR-4をタンパク分解切断により活性化することができ、他のアクチベーター、例えばTRAP-1及びTRAP-4は、加水分解されていないPAR-1及びPAR-4をそれぞれ活性化することができる。したがって、本明細書で用いられる“トロンビンレセプターアクチベーター”という用語は、トロンビンレセプター活性化の特定の態様に限定されないことは理解されよう。
【0014】
本明細書で用いられる、“TRAP-1”という用語は、ヘプタペプチドSFLIRNP(NH2-Ser-Phe-Leu-Leu-Arg-Asn-Pro-COOH)(前記は特異的にPAR-1を活性化する)、並びにそのペプチド模倣体及び機能的誘導体を指す。本明細書で用いられる、“TRAP-1”という用語は、天然のヘキサペプチドGYPGQV(NH2-Gly-Tyr-Pro-Gly-Gln-Val-COOH)及び最適化されたヘキサペプチドAYPGKF(NH2-Ala-Tyr-Pro-Gly-Lys-Phe-COOH、時にTRAP-4Aと称される)の両ペプチド(前記両ペプチドは特異的にPAR-4を活性化する)、並びにそれらのペプチド模倣体及び機能的誘導体を指す。
本発明の多様な実施態様で、トロンビン、PAR-1トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-1)、又はPAR-4トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-4)は、トロンビンレセプターアンタゴニスト、例えばE5555及びSCH530348による血小板凝集阻害を血液サンプルで測定する場合のトロンビンレセプターアクチベーターとして利用される。したがって、前述の組成物を、例えば2-イミノピロリジン誘導体(例えばE5555)又は置換三環式ヒムバシン誘導体(例えばSCH530348)による患者の処置を必要とする抗血小板治療の有効性の決定に用いることができる。上記の組成物は、GPIIb/IIIaレセプターリガンドでコーティングした粒子とトロンビンレセプターアンタゴニストの有効性アッセイの実施に必要な任意の他の試薬と一緒にして用いることができる。上述のアクチベーター組成物及び粒子を含む凍結乾燥試薬組成物を用いてもよい。あるアプローチでは、測定されるべきサンプル(例えば全血)の計量された体積が凍結乾燥試薬と機械的に混合される。光の透過の変化をモニターし、血小板活性の指標を計算する。ある特徴では、全血サンプルは、キュベット又はユニット化カートリッジ中で前述の凍結乾燥試薬と混合される。前記アッセイを実施するための装置を用いてもよい。前記装置はサンプルを受け入れるウェルを含み、この場合、前記ウェルは凍結乾燥試薬及びアッセイを実施するための他の試薬を含んでいるであろう。種々の緩衝物質及び/又は凍結乾燥安定化剤が試薬として追加されえる。
【0015】
本発明のある実施態様では、トロンビンレセプターアンタゴニストによる血小板凝集阻害を測定する方法が提供される。第一に、トロンビンレセプターアンタゴニストで処置された個体から血小板を含む血液サンプルを入手する。次にこの血液サンプルをトロンビンレセプターアクチベーターと、血小板含有血液サンプルで血小板凝集を活性化させるために適した条件下で接触させる。最後に、血小板含有血液サンプルで血小板仲介凝集を判定して、当該個体におけるトロンビンレセプターアンタゴニストによる血小板凝集阻害の有無及び/又は程度を決定する。血小板凝集が存在しないか又は低下している場合は、当該個体は、トロンビンレセプターアンタゴニスト処置に応答して血小板血栓の形成能が低下していることを示す。
本発明の別の実施態様では、トロンビンレセプターアンタゴニストによる血小板凝集阻害を測定するまた別の方法が提供される。第一に、トロンビンレセプターアンタゴニストで処置された個体から血小板を含む血液サンプルを入手する。次に、その上に固定されたGPIIa/IIIaレセプターリガンドを含む粒子及びトロンビンレセプターアクチベーターと前記血液サンプルを、血小板含有血液サンプルで血小板凝集を活性化させるために適した条件下で接触させる。最後に、血小板含有血液サンプルで血小板仲介凝集を判定して、当該個体におけるトロンビンレセプターアンタゴニストによる血小板凝集阻害の有無及び/又は程度を決定する。血小板凝集が存在しないか又は低下している場合は、当該個体は、トロンビンレセプターアンタゴニスト処置に応答して血小板血栓の形成能が低下していることを示す。
【0016】
ある特徴では、判定されるトロンビンレセプターはPAR-1又はPAR-4である。したがって、別の特徴では、トロンビンレセプターアクチベーターは、トロンビン、PAR-1トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-1)及びPAR-4トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-4)から成る群から選択される物質を含むことができる。トロンビンの最終濃度は、典型的には約0.01ユニット/mL(U/mL)から約0.5U/mL、好ましくは約0.05U/mLから約0.1U/mLの範囲である。TRAP-1の最終濃度は通常、約0.5μMから約10μM、好ましくは約1μMから約5μMの範囲である。TRAP-4の最終濃度は通常、約50μMから約1mM、好ましくは約0.1mMから約0.5mMの範囲である。重要なことに、TRAP-4A変種(APYGKF)は、野生型TRAP-4(GYPGQV)よりも強力であることが知られている。例えば、0.5mMのTRAP-4と0.1mMのTRAP-4Aにより同レベルの血小板凝集を得ることができる。
ある特徴では、本発明は、全血サンプルで血小板機能活性のアッセイを実施する方法を目的とする。別の特徴では、血小板機能活性のアッセイは血漿サンプルで実施することができる。さらに別の特徴では、血小板機能活性のアッセイは、血小板濃縮血漿(PRP)サンプルで実施することができる。
【0017】
ある実施態様では、前記サンプルは、トロンビンレセプターアンタゴニストによる影響を受けたサンプルである。例えば、前記サンプルは、トロンビンレセプターアンタゴニスト(例えばPAR-1又はPAR-4アンタゴニスト)による処置を受けた患者から得ることができる。ある特徴では、トロンビンレセプターアンタゴニストは、トロンビンレセプターのトロンビン結合ドメインに対する抗体を含む。別の特徴では、トロンビンレセプターアンタゴニストは、TRAPペプチド(TRAP-1又はTRAP-4を含む)のペプチド誘導体又はペプチド模倣体を含む。さらに別の特徴では、トロンビンレセプターアンタゴニストは、2-イミノピロリジン誘導体、例えばE5555(Eisai Co. Ltd., 米国特許7,244730号及び7,304,083号を参照されたい)又は置換三環式ヒムバシン誘導体、例えばSCH530348(Schering-Plough Corp., 米国特許6,063,847号、6,326,380号、6,645,987号、6,894,065号及び7,037,920号を参照されたい)を含む。
本発明で用いられるものはまた、血小板の特異的凝集、すなわち血小板上のレセプターと粒子上の化合物との間の特異的な相互作用により血小板を凝集させることができる前記化合物でコーティングされた粒子を含む試薬である。そのような化合物には、血小板レセプターに対する抗体及びGPIIb/IIIaレセプターリガンドが含まれ(前記は例示でありこれらに限定されない)、前記リガンドは、血小板表面のGPIIb/IIIaレセプターと結合するか、複合体を形成するか又は相互作用する小分子、ポリペプチド、タンパク質、モノクローナル抗体又は核酸である。前記粒子の血小板仲介凝集は、血小板表面のGPIIb/IIIaレセプターが粒子上のGPIIb/IIIaレセプターリガンドと結合するか、複合体を形成するか或いは相互作用するときに生じる。典型的なGPIIb/IIIaリガンドには、フィブリノゲン、モノクローナル抗体10E5(Coller et al. J Clin Invest 1983, 72:325)、モノクローナル抗体c7E3(EPIC研究者、N.E.J. Med. 1994, 330:956)、フォン・ヴィルブラント因子、フィブロネクチン、ヴィトロネクチン、及びアルギニングリシン-アスパラギン酸(RGD)配列を有する他のリガンド又はこの配列に類似する他のペプチド又はペプチド模倣体が含まれる(Cook et al. Drugs of the Future 1994, 19:135)。関連する他の化合物には低分子量ヘパリンなどが含まれえる。
【0018】
化合物を結合させる粒子は、少なくとも約0.1μmで約20μmを超えない。ある実施態様では、粒子は約0.1μmから約10μmである。別の実施態様では、粒子は少なくとも約1μmから約8μm未満である。粒子は実質的に任意の形状でよいが、一般的には均一な直径を有する球形である。粒子は任意の比重を有することができるが、好ましくは水に近い比重、一般的には約0.7から約1.5g/mLである。粒子は表面に電荷があってもなくても、陰性でも陽性でもよいが、好ましくは陰性である。粒子は官能化されているか、又はそのようなメンバーと受動的に粒子表面で結合するために(直接的又は間接的に)官能化されえる。
粒子は、固体でも(例えば有機又は無機ポリマー又はラテックスを含む)、油滴でも(例えば炭化水素、フルオロカーボン、シリコン液)、又は小胞(例えば合成小胞(例えばリン脂質)又は天然小胞(例えば細胞及び細胞内小器官))でもよい。固体粒子は通常はポリマー(付加ポリマー又は縮合ポリマー)であり、前記は液体媒体中で容易に分散することができる。分散性粒子の例は、ポリマー物質(例えばラテックス)、脂質二重層、油滴、細胞及びヒドロゲルである。他の粒子組成物には、ポリマー、例えばニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4-メチルブテン)、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリ(エチレンテレフタレート)、ナイロン、ポリ(ビニルブチレート)、多糖類、例えばデキストラン及び改変デキストランなどが含まれ、単独で又は他の物質と組み合わせて用いられる。固体粒子は、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、アクリレート及びメタクリレートの誘導体のホモポリマー及びコポリマー、シリコーンなどを含むことができる。
【0019】
上記に記載したように、前記化合物で粒子をコーティングする。通常は、化合物を粒子と受動的に結合させる。そのような受動的結合は、周知の技術によって達成することができる。前記技術は一般的に文献で入手できる(例えば以下を参照されたい:”Immobilized Enzymes”, Ichiro Chibata, Halsted Press, New York (1987);Cuatrecasas, J Biol Chem 1970, 245:3059)。略記すれば、上記に記載したように、粒子の表面は多官能性であるか、又は多官能性にすることができる。多様な官能基が利用可能であるか、又は取り入れることができる。官能基には、カルボン酸、アルデヒド、アミノ基、シアノ基、エチレン基、ヒドロキシル基、メルカプト基などが含まれる。多様な化合物を表面に結合させる方法が周知であり、文献に豊富に記載されている(上掲書参照)。側鎖の結合は、結合による直接結合でも、連結基の媒介性能による間接的結合でもよい。連結基の長さは極めて変動可能であり、側鎖及び粒子の性質に左右される。
化合物分子と粒子の比は化合物分子と粒子との結合で制御される。あるアプローチでは、粒子表面の官能化部位の数は、粒子表面に導入されるそのような部位の数を調節することによって制御することができる。また別には、或いは上記と組み合わせて、化合物分子と粒子との比は、結合のための反応媒体中の化合物の濃度を調節することによって制御することができる。上記の開示を考慮して当業者には他のアプローチも示唆されよう。
本発明で用いられる粒子試薬は、十分な量の物質で処理して、粒子上の吸着領域をブロッキングすることができる。そのような物質は、本発明で意図した目的のための粒子の機能に影響を及ぼさないであろう。そのようなブロッキング物質には、タンパク質(例えばウシ血清アルブミン、ウシガンマグロブリンなど)、多糖類(例えばデキストランなど)などが含まれる。別のアプローチ(上記と一緒に利用できる)では、結合用の官能化部位の数が粒子表面の吸着領域を実質的に減少させる粒子が用いられる。
【0020】
通常、粒子は標識を含み、前記標識は粒子と結合しているか、その中に取り込まれている。標識は、検出の目的のために用いることができる任意の成分であってもよい。標識はしばしばシグナル生成系のメンバーである。標識は、直接的に又は間接的に検出することができる。標識は同位元素であっても非同位元素であってもよいが、通常は非同位元素であり、色素、蛍光性分子、化学発光分子、触媒(例えば酵素)、触媒をコードするポリヌクレオチド、プロモーター、補酵素、酵素基質、放射能基、小有機分子、増幅可能ポリヌクレオチド配列などでありえる。
本発明のある具体的な実施態様では、粒子は赤外部で光を吸収する1つ以上の色素を含む。そのような色素には、バクテリオクロリン、バクテリオクロロフィチン、メロポリメチン色素、ベンゾアニュレン、ビニローグ系ポルフィリン、ポリメチン色素、シアニン及びメロシアニンなどが含まれる。関連する具体的な色素は、銅(II)-テトラ-tert-ブチル-テトラキス(ジメチルアミノ)-29H-31H-フタロシアニン及びバナジル-テトラ-tert-ブチル-テトラキス(ジメチルアミノ)-29H-31H-フタロシアニンである。選択される個々の色素は、便利性、利用可能性、安定性、粒子との適合性などを有する色素である。これらの色素は、重合又は受動的吸着により粒子自体に直接取り込むことができる。色素は、個々に(すなわち連続的に)又は一緒に(すなわち同時に)添加することができる。また別には、色素は、表面から漏出しないように連結成分と一緒にビーズに結合させることができる。用いられる添加方法とは無関係に、連結条件は、適切な条件下における凝集能力に関して粒子表面が影響を受けないようなものである。
【0021】
色素は、約750nmから約900nmの赤外領域、特に約750−850nmの範囲の光を吸収する。高レベルの赤血球を含むサンプルの場合、光は約800±10nmであり、前記はオキシヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの等吸収点である。粒子とともに用いられる色素の量は、対象の光の範囲における色素の吸光係数、要求されるアッセイ感度、粒子サイズ、色素と粒子の結合の態様、色素と粒子マトリックスの適合性などにより変動する。通常は、取り込まれる色素の量は、約1から20重量パーセント、より通常的には5から15重量パーセントである。本発明で特に有用な色素はフタロシアニンである。金属を含まないフタロシアニンは約700nmの光を吸収する(e=162,000)。金属複合体はより短いか又は長い波長へ吸収をシフトさせ、大半の金属は、金属非含有フタロシアニンよりもはるかに短い波長へ吸収をシフトさせるが、いくつか、例えば鉛は、はるかに長い波長へ吸収をシフトさせる。
遷移金属とフタロシアニンとの間で形成される複合体(メタロフタロシアニン及びメタロナフタロシアニン)は、光及び熱に対して化学的に非常に安定である。それらは、適切な金属の存在下でオフタロジニトリルの縮合によって生成される。銅(Cu)及びバナジウム(V)の他に、メタロフタロシアニンの生成に用いられる金属のいくつかはマグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)及びコバルト(Co)である。
本発明のある特定の実施態様では、フラットな吸収極大を有するミクロ粒子が用いられる。これらのミクロ粒子は、805nm近くに明瞭な吸収極大を有する多様な色素を取り込むことによって調製される。これにより、780−820nmの広い波長範囲にわたってフラットな最大吸収スペクトルがもたらされる。
【0022】
分析されるべきサンプルは任意の溶液(天然であれ合成であれ)であり、この場合サンプルはトロンビンレセプターアンタゴニスト(特にE5555又はSCH530348)の作用を既に受けている。サンプルという用語には、宿主の生物学的組織など(体液を含む)が含まれる。サンプルは直接調べることができるが、通常は前処理することができる。本発明は特に血小板を含むサンプル(体液、例えば全血、血小板含有血液分画(例えば血漿)などを含む)に適用される。ある実施態様では、本発明は特に全血サンプルに適用される。サンプル量はサンプルの性質により変動する。例えば抗凝固処理全血のような液体サンプルの場合、サンプル量は通常、約30μLから5mL、好ましくは約100から300μLである。“サンプル”という用語には、患者から得られたそのままの未処理サンプル、又は任意の都合のよい液体媒体(通常は水性媒体、例えばクエン酸ナトリウム)中で前処理又は調製されたサンプルが含まれる。
好ましくは、本発明のアッセイを実施するための媒体は水性媒体である。他の極性補助溶媒もまた、媒体、一般的には1−6、より一般的には1−4の炭素原子を含む酸素付加有機溶媒(アルコール、エーテルなどを含む)中で用いることができる。一般的には、そのような補助溶媒は約70重量パーセント未満、より一般的には約30重量パーセント未満で存在する。さらにまた、本発明の方法では多様な補助物質がしばしば用いられる。例えば、アッセイ媒体及びアッセイ成分の安定化剤;界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤;結合強化剤、例えばポリアルキレングリコールなどと同様に、通常は緩衝物質がアッセイ媒体に存在する。
【0023】
媒体のpHは、一般的には約2から約11、好ましくは約4から約9の範囲にある。多様な緩衝液を用いて所望のpHを達成し、このpHを本方法の間ずっと維持することができる。例示的緩衝物質にはHEPES、ホウ酸、リン酸、炭酸、トリスなどが含まれる。用いられる個々の緩衝物質自体は本方法にとって重要ではないが、ある種の状況下ではある緩衝物質が他のものより優れている。いくつかの状況下ではHEPESが好ましく、約0.001Mから約0.05Mの濃度で、典型的には約0.01Mの濃度で存在する。
アッセイ媒体の体積は、約25μLから約500μL、一般的には約75μLから約250μLである。本アッセイは任意の適切な容器で実施することができる。便利には、容器はキュベット又はカートリッジであり、前記は、本アッセイを実施しアッセイの結果を測定するための器具とともに用いられる。一般的には、反応容器は、乾燥した凍結乾燥形態の本発明の活性化開始物質を、他の試薬、例えば粒子試薬及び前記に類するもの、安定化剤などと一緒に含む。
サンプル及び粒子試薬の混合物を、前記粒子を凝集させる条件下でインキュベーとする。本方法を実施するために通常は穏やかな温度が用いられる。温度は一定であっても変動してもよい。一般的には、反応工程中一定の温度が用いられる。用いられる温度は一般的には約10℃から約80℃、より一般的には約15℃から約45℃であり、好ましくは、温度は少なくとも25℃、より好ましくは約30℃から約40℃の範囲であり、一般的には約37℃である。
【0024】
粒子の凝集の程度を決定し、サンプル中のトロンビンレセプターアンタゴニストの存在及び/又は量に結びつける。凝集の存在は、粒子の凝集塊形成(凝集の指標である)を観察することによって視覚的に決定することができる。好ましくは上述のように、粒子は着色され、マトリックスの凝集又は凝集塊形成の可視化を促進することができる。凝集の程度は、分光光度計、比濁計、ネフェロメーターなどにより、媒体の光学密度の変化速度を観察することなどによって測定することができる。
本発明の特定の実施態様では、血小板機能活性のアッセイは、E5555又はSCH530348による処置を受けている患者の全血サンプルで実施される。適切な容器、例えば反応キュベットで、前記サンプルとフィブリノゲン被覆粒子及びトロンビンレセプターアクチベーター(例えばトロンビン、PAR-1トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-1)又はPAR-4トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-4))を混合してアッセイ媒体を形成する。粒子試薬の粒子には、1つ以上の赤外線感受性色素がその中に取り込まれている。前記混合物を凝集条件下に置く。続いて、前記媒体に赤外領域の光を照射する。アッセイ混合物の赤外光透過を決定する(この場合透過レベルは血小板機能活性と相関する)。
凝集媒体は約800nmにピーク吸収を有するように選択される。凝集媒体の吸収係数と全血の吸収係数との間の比は、好ましくは800nmで約4:1を超えるべきである。個々のアッセイの吸収比は、凝集媒体の吸収係数とアッセイサンプルにおける凝集媒体の濃度の両方の関数である。
【0025】
サンプルを試薬と混合した後、望ましくは、前記は、室温より高いが、アッセイを妨害する可能性がある温度よりは低い温度で加熱されるであろう(したがってアッセイ結果に悪影響を及ぼさないように温度を管理できることが担保される)。望ましくは、温度は少なくとも25℃、好ましくは30−40℃の範囲、より好ましくは約37℃であるべきである。反応媒体は一般的には、サンプルと試薬の混合に際して及び反応時間の間ずっと穏やかに攪拌される。攪拌は、アッセイサンプルの均質性を達成し、これを維持できれば十分である。0時間(混合時)から読み取りの総時間は、約10秒から10分、より一般的には約30秒から8分、好ましくは約30秒から3分の範囲でありえる。データは任意の便利な手段によって、具体的にはカリブレータ及び/又はコントロールと関連してデータを操作することができるアルゴリズムを用いることによって分析することができる。
凝集レベルは、被検サンプルの血小板機能活性の指標である。凝集レベルは、既知の血小板機能活性と比較することができる。通常、結果はカリブレータと比較されるであろう。前記カリブレータは同時に実施されたものでも、又は以前に実施されたものでも、又は標準曲線として提供されたものでもよい。
本発明の方法は、血小板数のためのアッセイと一緒に用いてもよい。前記アッセイは、例えば米国特許出願09/177,884(1998年10月23日出願)及び国際出願PCT/US1999/24670(1999年10月20日出願、公開番号WO/2000/025140)(前記文献の対応する開示は参照により本明細書に含まれる)に記載されたものである。
【0026】
上記アッセイは好ましくは、本発明の反応の実施及びその結果の測定を可能にする装置で実施することができる。前記器具は、活性化血小板がフィブリノゲンと結合する能力に基づいて血小板機能を判定するはずである。活性化血小板はフィブリノゲン被覆粒子と結合しこれを凝集させるので、光の透過が増進する。一般的に言えば、アッセイの結果を測定する器具は凝集の測定が可能なものである。好ましくは、器具は凝集による光学的シグナルの変化を測定する。例示すれば、適切な器具にはカイネティック分光光度計、VERIFYNOWTMシステムのための器具(Accumetrics, Inc.(San Diego)より市販)などが含まれ(ただし前記に限定されない)、正常サンプルでの迅速な血小板機能活性の測定に用いられる。
VERIFYNOWTMシステム器具は比濁系光学検出システムであり、光の透過性の増加として血小板誘発凝集を測定する。このシステムは、アナライザー、使い捨てカートリッジ及びコントロールを含む。カートリッジはマイクロ粒子凝集技術に基づく試薬を含む。品質管理システムは、電子制御、アッセイされた“ウェット”コントロールの2つの水準器(WQC)、カートリッジ内湿潤センサー、パッケージ内温度インジケーター、及び2つのアッセイ経路の同時進行試験を含む。前記アナライザーは、アッセイの流れを管理し、アッセイ温度を確立し、必要とされる時間の間試薬-サンプルの混合を管理し、血小板機能の程度を決定し、結果を表示し、自己診断を実施する。本方法で使用するために、前記システムの検査カートリッジは、GPIIb/IIIaレセプターリガンドが受動的に結合された粒子、トロンビンレセプターアクチベーター及び緩衝物質を含む凍結乾燥調製物を含む。患者サンプルは、通常はクエン酸添加全血であり、前記は、アナライザーにより自動的に採血チューブからカートリッジへ分注され、使用者が血液を取り扱う必要はない。相互作用は粒子の赤外線吸収の特長によってモニターされる。粒子は血小板と相互作用するので、粒子の凝集は、VERIFYNOWTM器具の光学システムにより測定される。凝集はサンプルを通過する赤外光の透過の増加として検出される。
【0027】
本発明の別の実施態様は、包装された混合物の状態で凍結乾燥調製物を含むキットである。前記調製物は、フィブリノゲンが受動的に結合した粒子、トロンビンレセプターアクチベーター(例えばトロンビン、PAR-1トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-1)又はPAR-4トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-4))、及び緩衝物質を含む。凍結乾燥調製物は、分析器具内で用いられる反応容器(例えばカートリッジ)の中に置かれてあってもよい。上述のVERIFYNOWTMシステムの場合、凍結乾燥調製物は、アナライザーで用いられる4つのウェルをもつカートリッジの外側ウェル内に配置されえる。キットはまた、サンプル採集容器及び/又は本方法を実施するための装置を含むことができる。試薬の対応する量は、測定感度を実質的に最適にする溶液中の試薬濃度を提供するために広範囲に変動しえる。
適切な場合には、試薬は、一切の試薬の活性を維持するために気密パッケージに入れることができる。パッケージは、例えばバッグ、パウチ、又は実質的に水分を通さない物質から作製された同様なものでありえる。そのような物質には、プラスチック、アルミホイルなどが含まれるが、前記は例示でありこれらに限定されない。血液サンプルの場合、キットはまた、ヒトの皮膚を刺すための物品、消毒剤又は滅菌パッドなどを含むことができる。キットはまた、カリブレータ及び標準物を含むことができる。さらにまた、キットは血小板計測のためのアッセイを実施する1つ以上の試薬を含むことができる。
【0028】
キットは本発明のアッセイを実施するために必要な試薬を含むことができる。ある実施態様では、キットは血液バイアル、緩衝物質を含む(緩衝物質は、判定される血液サンプルのpH及び塩濃度を、固体表面と血小板GPIIb/IIIaレセプターリガンド被覆小ポリマービーズとの血小板仲介凝集に適した範囲内に維持する)。前記緩衝物質は溶液状態であってもよく、又はもっぱら緩衝組成物及び塩から成り、所望の緩衝溶液を得るために前記に既知量の水を添加してもよい。場合によって、キットはまた抗凝固剤を含むことができる。ある実施態様では、緩衝物質はHEPESであり、抗凝固剤はクエン酸塩であり、GPIIb/IIIaレセプターリガンドはフィブリノゲンであり、小ポリマービーズはポリアクリロニトリル又はカルボキシル化ポリスチレンである(この場合、ペプチドGPIIb/IIIaレセプターリガンド(例えばフィブリノゲン)は、前記ペプチドとビーズ表面の官能基との間の疎水性及び/又は水素結合相互作用の手段によってビーズ表面と受動的に結合する)。さらに別の実施態様では、キットはさらにまたトロンビンレセプターアクチベーター(トロンビン、PAR-1トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-1)、又はPAR-4トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-4))を含む。
以下の例及び調製物は本発明を例示しようとするものであるが、その範囲を限定しようとするものではない。割合及び百分率は特段の指示がなければ重量による。
【実施例】
【0029】
PAR-1アンタゴニストE5555(Eisai Co., Ltd.)による用量依存性血小板阻害を決定するために、VERIFYNOWTM IIb/IIIaアッセイ(Accumetrics, Inc., San Diego, Calif.)及び血小板アクチベーターとしてPAR-1トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-1)を用いて実験を実施した。
用量依存試験は3.7μMのTRAP-1で実施した。E5555は、30ng/mL、10ng/mL、5.0ng/mL及び1.0ng/mLの最終濃度で用いた。20μLの各ストック溶液を2.0mLの全血に加え(1:100希釈)、溶血を防ぐために注意深く混合した。混合後、血小板阻害試験の前に血液サンプルを37℃で30分インキュベートした。
4人のドナーの血液サンプルを、基準値及び4通りのE5555濃度の各々についてデュープリケートで用いた。予想されたかもしれないが、与えられたE5555濃度で測定された血小板阻害レベルはドナー間で変動した。提供されたE5555の各濃度における予想される阻害レベルを基準にすれば、実際の結果は、4人のドナーで予想されたものより平均してわずかに低かった。対応する基準値に対する各ドナーの血小板阻害の割合は図1及び下記の表1にまとめられている。
【0030】
表1:ヒトドナーの血液サンプルにおけるE5555による用量依存性血小板阻害

図1及び表1に示すように、上記の試薬及びシステムは、種々の用量のトロンビンレセプター(PAR-1)アンタゴニストで処置された血液サンプルにおいて血小板凝集の程度を検出することができた。したがって、トロンビンレセプターアンタゴニストの暴露によって影響を受けた血液サンプルで血小板凝集を測定するために、簡便で迅速な方法が本発明によって提供されることは上記の結果から明らかである。
上記の実施例は単に例示の目的のために含まれ、本発明の範囲を限定することを意図していない。上記の実施例に対し多くの変型が可能である。上記の実施例に対する修正及び変型は当業者には明白であるので、本発明は添付の請求の範囲によってのみ限定されると考える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、トロンビンレセプターアンタゴニストによる血小板凝集阻害を測定する方法:
a)トロンビンレセプターアンタゴニストで処置された個体の血小板含有血液サンプルを提供する工程:
b)前記血小板含有血液サンプルをトロンビンレセプターアクチベーターと、前記血小板含有血液サンプルで血小板凝集を活性化させるために適した条件下で接触させる工程;及び
c)前記血小板含有血液サンプルで血小板凝集を判定して、前記個体における前記トロンビンレセプターアンタゴニストによる血小板凝集阻害の有無及び/又は程度を決定する工程、ここで、前記血小板凝集が存在しないか又は低下している場合は、前記個体で前記トロンビンレセプターアンタゴニスト処置に応答して血小板凝集能が低下していることを示す。
【請求項2】
トロンビンレセプターがPAR-1又はPAR-4である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
トロンビンレセプターアクチベーターが、トロンビン、PAR-1トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-1)及びPAR-4トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-4)から成る群から選択される物質を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
トロンビンが約0.01U/mLから約0.5U/mLの最終濃度を有する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
TRAP-1が約0.5μMから約10μMの最終濃度を有する、請求項3記載の方法。
【請求項6】
TRAP-4が約50μMから約1mMの最終濃度を有する、請求項3記載の方法。
【請求項7】
トロンビンレセプターアクチベーターがTRAP-1を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
血小板含有血液サンプルが全血サンプルである、請求項1記載の方法。
【請求項9】
血小板含有血液サンプルが血漿サンプルである、請求項1記載の方法。
【請求項10】
血漿サンプルが血小板濃縮血漿(PRP)サンプルである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
トロンビンレセプターアンタゴニストが、トロンビンレセプターのトロンビン結合ドメインに対する抗体、TRAP-1のペプチド誘導体、TRAP-4のペプチド誘導体、TRAP-1誘導体のペプチド模倣体、TRAP-4誘導体のペプチド模倣体、E5555及びSCH530348から成る群から選択される物質を含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
トロンビンレセプターアンタゴニストがE5555を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
トロンビンレセプターアンタゴニストがSCH530348を含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
トロンビンレセプターアクチベーターが、約800nmでピーク吸収を示すアッセイ媒体中に含まれる、請求項1記載の方法。
【請求項15】
30℃から40℃の範囲の温度で実施され、さらに血小板含有血液サンプルとトロンビンレセプターアクチベーターとの間の接触時間から読み取りの総時間が約10秒から約10分の範囲である、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記血小板含有血液サンプルを単回使用のアッセイ装置で前記トロンビンレセプターアクチベーターと接触させる、請求項1記載の方法。
【請求項17】
以下の工程を含む、トロンビンレセプターアンタゴニストによる血小板凝集阻害を測定する方法:
a)トロンビンレセプターアンタゴニストで処置された個体の血小板含有血液サンプルを提供する工程:
b)前記血小板含有血液サンプルを、その上に固定されたGPIIb/IIIaレセプターリガンドを含む粒子及びトロンビンレセプターアクチベーターと、前記血液サンプルで前記血小板によって仲介される前記粒子の凝集に適した条件下で接触させる工程;及び
c)前記凝集を判定して、前記個体における前記トロンビンレセプターアンタゴニストによる血小板凝集阻害の有無及び/又は程度を決定する工程、ここで、前記凝集が存在しないか又は低下している場合は、前記個体で前記トロンビンレセプターアンタゴニスト処置に応答して血小板凝集形成能が低下していることを示す。
【請求項18】
トロンビンレセプターがPAR-1又はPAR-4である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
トロンビンレセプターアクチベーターが、トロンビン、PAR-1トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-1)及びPAR-4トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-4)から成る群から選択される物質を含む、請求項17記載の方法。
【請求項20】
トロンビンが約0.01U/mLから約0.5U/mLの最終濃度を有する、請求項19記載の方法。
【請求項21】
TRAP-1が約0.5μMから約10μMの最終濃度を有する、請求項19記載の方法。
【請求項22】
TRAP-4が約50μMから約1mMの最終濃度を有する、請求項19記載の方法。
【請求項23】
トロンビンレセプターアクチベーターがTRAP-1を含む、請求項17記載の方法。
【請求項24】
血小板含有血液サンプルが全血サンプルである、請求項17記載の方法。
【請求項25】
血小板含有血液サンプルが血漿サンプルである、請求項17記載の方法。
【請求項26】
血漿サンプルが血小板濃縮血漿(PRP)サンプルである、請求項25記載の方法。
【請求項27】
トロンビンレセプターアンタゴニストが、トロンビンレセプターのトロンビン結合ドメインに対する抗体、TRAP-1のペプチド誘導体、TRAP-4のペプチド誘導体、TRAP-1誘導体のペプチド模倣体、TRAP-4誘導体のペプチド模倣体、E5555及びSCH530348から成る群から選択される物質を含む、請求項17記載の方法。
【請求項28】
トロンビンレセプターアンタゴニストがE5555を含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
トロンビンレセプターアンタゴニストがSCH530348を含む、請求項27記載の方法。
【請求項30】
粒子がポリスチレン又はラテックスを含む、請求項17記載の方法。
【請求項31】
粒子が約1μmから約8μmの直径を有する、請求項17記載の方法。
【請求項32】
粒子が赤外線色素を含み、血小板含有血液サンプルと粒子との間の接触がアッセイ混合物を形成し、血小板によって仲介される粒子の凝集が、アッセイ混合物に赤外スペクトル内の光を照射し、アッセイ混合物から赤外光の透過を判定することによって判定される、請求項17記載の方法。
【請求項33】
GPIIb/IIIaレセプターリガンドが、フィブリノゲン、モノクローナル抗体10E5、モノクローナル抗体c7E3、フォン・ヴィルブラント因子、フィブロネクチン、ヴィトロネクチン、アルギニングリシン-アスパラギン酸(RGD)配列を有するリガンド、及びRGD配列に類似するペプチド又はペプチド模倣体から成る群から選択される物質を含む、請求項17記載の方法。
【請求項34】
GPIIb/IIIaレセプターリガンドがフィブリノゲンを含む、請求項17記載の方法。
【請求項35】
粒子及びトロンビンレセプターアクチベーターが、約800nmでピーク吸収を示すアッセイ媒体中に含まれる、請求項17記載の方法。
【請求項36】
30℃から40℃の範囲の温度で実施され、さらに血小板含有血液サンプル、結合させたGPIIb/IIIaレセプターリガンドを含む粒子、及びトロンビンレセプターアクチベーター間の接触時間から読み取りの総時間が約10秒から約10分の範囲である、請求項17記載の方法。
【請求項37】
前記血小板含有血液サンプルを、単回使用のアッセイ装置で、前記GPIIb/IIIaレセプターリガンドを含む前記粒子及び前記トロンビンレセプターアクチベーターと接触させる、請求項17記載の方法。
【請求項38】
粒子上に固定されたGPIIb/IIIaレセプターリガンド及びトロンビンレセプターアクチベーターを含む、トロンビンレセプターアンタゴニストによる血小板凝集阻害を測定するためのキット。
【請求項39】
抗凝固剤並びに抗凝固血液のpH及び塩濃度を血小板凝集に適した範囲内に維持するための緩衝物質をさらに含む、請求項38記載のキット。
【請求項40】
GPIIb/IIIaレセプターリガンドが、フィブリノゲン、モノクローナル抗体10E5、モノクローナル抗体c7E3、フォン・ヴィルブラント因子、フィブロネクチン、ヴィトロネクチン、アルギニングリシン-アスパラギン酸(RGD)配列を有するリガンド、及びRGD配列に類似するペプチド又はペプチド模倣体から成る群から選択される物質を含む、請求項38記載のキット。
【請求項41】
GPIIb/IIIaレセプターリガンドがフィブリノゲンを含む、請求項38に記載のキット。
【請求項42】
トロンビンレセプターアクチベーターが、トロンビン、PAR-1トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-1)及びPAR-4トロンビンレセプター活性化ペプチド(TRAP-4)から成る群から選択される物質を含む、請求項38記載のキット。
【請求項43】
トロンビンレセプターアクチベーターがTRAP-1を含む、請求項38記載のキット。
【請求項44】
粒子がポリスチレン又はラテックスを含む、請求項38記載のキット。
【請求項45】
粒子が約1μmから約8μmの直径を有する、請求項38記載のキット。
【請求項46】
前記キットが単回使用のアッセイ装置を含む、請求項38記載のキット。

【図1】
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【公表番号】特表2010−526319(P2010−526319A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507552(P2010−507552)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/062415
【国際公開番号】WO2008/137673
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(507354611)アキュメトリックス インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】