説明

トンネルの連結方法および連結用リング

【課題】簡易にトンネル同士を接合して、非開削により分岐合流トンネルを構築することを可能とした、トンネルの連結方法および連結用リングを提案する。
【解決手段】曲線区間Cを有する先行トンネルT1を構築する第一工程と、曲線区間Cに向けて後行トンネルT2を掘進する第二工程とを備えており、第一工程では、切削が可能な切削用リングを曲線区間Cにおいて組み立てることにより切削部10を形成する手順と、切削部10に連続してシール材が周設された連結用リングを組み立てることにより連結部20を形成する手順と、連結部20に連続して通常のセグメントを組み立てることにより一般部30を形成する手順とを備え、第二工程では、切削部10を切削して掘削機M2を連結部20の後方に配置させた後、掘削機M2から外筒を押し出して、外筒の内面とシール材とを密着させた状態で連結用リングを外筒により覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの連結方法および連結用リングに関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル同士を接合させることで、分岐合流トンネルを構築する場合がある。
従来、トンネル同士を接合させる場合には、二本のトンネルを同一の立坑に到達させて、立坑内において接合させるのが一般的である。
【0003】
ところが、トンネルの深度が深い場合や、用地を確保することが困難な場合には、立坑を構築することができなかった。
【0004】
そのため、本出願人は、特許文献1に示すように、非開削によりトンネル同士を接合させる方法として、内部にエアモルタル等が充填された先行トンネルの曲線部に向って後行トンネルを掘進し、後行トンネルの掘削機が備える外筒により先行トンネルを被覆した状態で連結するトンネルの連結方法を開発している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−213278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来のトンネルの連結方法は、先行トンネルと外筒との間の止水性を確保するために、凍結工法等、別途止水処理を施す必要があり、その作業に手間を要する。
先行トンネルと後行トンネルとの接続は、先行トンネル内部のエアモルタルや隔壁、後行トンネルの掘削機を撤去した後、人力により行う必要があり、作業に手間を要する。
【0007】
本発明は、前記の問題点を解決するものであり、簡易にトンネル同士を接合して、非開削により分岐合流トンネルを構築することを可能とした、トンネルの連結方法および連結用リングを提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明のトンネルの連結方法は、曲線区間を有する先行トンネルを構築する第一工程と、前記曲線区間に向けて後行トンネルを構築する第二工程とを備えており、前記第一工程は、切削用リングを前記曲線区間に配置することにより切削部を形成する手順と、シール材が周設された連結用リングを配置することにより連結部を形成する手順とを備え、前記第二工程は、後行トンネル用の掘削機で前記切削部を切削し、前記掘削機を前記連結部の後方に配置する手順と、前記掘削機から前記連結部に向けて外筒を押し出して前記連結用リングを前記外筒により覆い、前記外筒の内面と前記シール材とを密着させる手順と、を備えることを特徴としている。
【0009】
かかるトンネルの連結方法によれば、先行トンネルと外筒との間で止水性が確保されるため、薬液注入や凍結工法等の地盤改良工事を省略または低減することができる。
また、地中におけるトンネル同士の連結を機械的に行うことができ、作業性および安全性に優れている。
【0010】
また、前記シール材を中空の膨張性部材により構成した場合には、前記第二工程において、前記シール材内への液体注入または気体注入により前記シール材を膨張させることで、前記外筒の内面と前記シール材とを密着させるとよい。
【0011】
かかるトンネルの連結方法によれば、セグメントの組立時や、外筒の押し出し時におけるシール材の損傷を防止できる。
【0012】
また、前記シール材の前後に堰止め材を周設した場合には、前記第一工程において、前記連結用リングを組み立てた後、固化しない充填材を前記堰止め材の間に充填してもよい。
【0013】
こうすると、固化しない充填材により地山の崩落を防止することができ、さらには、シール材の周囲で裏込め材が固まることを防止することができる。また、外筒の押し出しが裏込め材により阻害されることもない。
【0014】
本発明の連結用リングは、先行トンネルに配設されるものであって、後行トンネルの外筒により被覆されるリング本体と、前記リング本体の一方の端部の外周面に形成された溝と、前記溝に配設されたシール材と、前記シール材を固定する固定部材と、前記溝の他方側において前記リング本体に周設された堰止め材とを備える特徴としている。
【0015】
かかる連結用リングによれば、外筒との間の隙間がシール材により遮蔽されるので、連結部における止水性を確保することができる。また、堰止め材が配設されているため、シール材の周囲で裏込め材が固まることを防止することができる。
【0016】
前記シール材は、中空部を備えた膨張性の部材からなり、前記中空部に液体または気体を注入することで外側に膨張するものであってもよい。
【0017】
かかる連結用リングによれば、シール材の膨張前においては、溝からのシール材の突出長を小さく抑え、あるいは、無くすことができるので、セグメントの組立時や、外筒により覆われる際に、シール材が損傷することを抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のトンネルの連結方法および連結用リングによれば、簡易にトンネル同士を接合して、非開削により分岐合流トンネルを構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係るトンネルの連結方法の概要を示す斜視図である。
【図2】連結用リングの設置状況を示す断面図である。
【図3】(a)は第一の実施の形態に係る連結用リングを示す斜視図、(b)は(a)の一部を示す断面図である。
【図4】シール材の他の形態であって、(a)は取り付け時、(b)は取り付け後を示す断面図である。
【図5】(a)および(b)は後行トンネルの施工状況の各段階を示す概略図である。
【図6】(a)および(b)は図5に続く後行トンネルの施工状況の各段階を示す概略図である。
【図7】外筒の押し出し状況を示す断面図である。
【図8】第二の実施の形態に係るシール材であって、(a)は収縮時、(b)は膨張時の状況を示す断面図である。
【図9】図8のシール材の他の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施の形態のトンネルの連結方法は、図1に示すように、曲線区間Cを有する先行トンネルT1を構築する第一工程と、先行トンネルT1に接続する後行トンネルT2を構築する第二工程とを備えている。
【0021】
先行トンネルT1は、切削用リングを配置することにより形成された切削部10と、連結用リングを配置することにより形成された連結部20と、通常リングを配置することにより形成された一般部30とを備えている。
【0022】
切削用リング11(図2参照)は、掘削機にて切削が可能な材料で構成されたセグメントリングである。本実施形態では、複数の樹脂製のFFUセグメントピース(Fiber reinforced Foamed Urethane)を組み合わせることで切削用リング11を形成する。なお、切削用リング11としては、樹脂製のものに限定されるものではなく、例えば、鉄筋の代わりに炭素繊維を配置したコンクリート部材により構成されたセグメントピースで切削用リング11を形成してもよい。
【0023】
切削部10の範囲は、後行トンネルT2の進入角度や断面寸法等に応じて設定する。
本実施形態では、曲線区間Cの後半部分に対して、切削用リング11を配設し、切削部10とする。
また、曲線区間Cから第二直線区間SS2に切り替わった後も、数リング分を切削用リング11により構築し、切削部10としている。
【0024】
切削部10では、図2に示すように、切削用リング11の外周囲と地山Gとの隙間に裏込め材12が充填されている。
【0025】
連結用リング21は、図3の(a)に示すように、リング本体22と、溝23と、シール材24と、堰止め材25とを備えて構成されている。
【0026】
リング本体22は、複数のセグメントピース(図示省略)を組み合わせることによりリング状に形成されたものであって、図3の(b)に示すように、継手板22aと、主桁22bと、スキンプレート22cと、縦リブ(図示省略)を備えて構成されている。
【0027】
継手板22aは、鋼材により構成されていて、連結用リング21の両端に配設されている。継手板22aが、隣接する他の連結用リング21の継手板22aと突き合わせた状態で接合されることで、連結用リング21同士が接合される。
なお、継手板22aを構成する材料や断面形状は、連結用リング21に作用する外力(土圧や水圧)に対して、十分な耐力を備えたものであれば、限定されるものではない。
【0028】
切羽側に配設された継手板22aには、図3の(b)に示すように、ボルトBを利用して固定部材26が固定される。継手板22aには、ボルトBの螺着が可能なネジ穴22dが形成されている。
なお、ネジ穴22dは必要に応じて形成されるものであり、シール材24の固定方法(固定部材26の構成)によっては、省略してもよい。
【0029】
主桁22bは、両端に配設された継手板22a,22aの間において、所定の間隔をあけて配設されている。
主桁22bは、環状を呈しており、形鋼により構成されている。
なお、主桁22bを構成する材料や断面形状および主桁21bの設置間隔等は、連結用リング21に作用する外力(土圧や水圧)に応じて、適宜設定すればよい。
【0030】
スキンプレート22cは、リング本体22の外周面を覆うように筒状に形成されてなる。スキンプレート22cの板厚等は、適宜設定すればよい。
【0031】
縦リブ(図示省略)は、主桁22b同士の間および、継手板22aと主桁22bとの間に横架された形鋼である。
縦リブは、リング本体22の周方向に対して所定の間隔により複数配設されている。なお、縦リブの断面形状や配設ピッチ等は、適宜設定すればよい。
【0032】
溝23は、リング本体22の切羽側の外周面に形成されている。
本実施形態では、リング本体22の切羽側端部に、断面視L字状の溝用鋼材23aを配設することにより、溝23を形成している。
【0033】
溝用鋼材23aは、一端がスキンプレート22cの切羽側端部の内面に溶接されていて、他端が継手板22aの坑口側の面に溶接されている。
なお、溝23の形成方法は限定されるものではない。例えば、溝用鋼材23aとして、溝形鋼を配設してもよい。
【0034】
溝23の底面は、スキンプレート22cと平行になっている。溝23の底面は、スキンプレート22cよりも径の小さい円筒面をなしている。なお、溝23は、図4に示すように、坑口側に向うに従い、拡径するように底面が傾斜していてもよい。すなわち、図4の溝23の底面は、坑口側に向うに従って、拡径するテーパ面をなしている。
溝23の底面を傾斜させておけば、シール材24を溝23に坑口側から押し込むことで、シール材24を押し広げながら(拡径しながら)配置することができる。
【0035】
図3に示すように、シール材24は、リング本体22の切羽側端部の溝23に配設されて、後記する外筒40(図7参照)の内面と密着する部材である。
シール材24は樹脂製またはゴム製品等のリング状部材からなり、溝23に挿入された状態で、リング本体22に固定されている。
【0036】
シール材24は、溝23の内部に配置される基部24aと溝23から突出する羽根部24bとを備えている。
基部24aは、断面視矩形状を呈しており、溝23内に隙間なく配設される。なお、基部24aの断面形状は、溝23の断面形状に応じて設定すればよい。
羽根部24bは、切羽側に向うに従って基部24aから離れるように傾斜した状態で、基部24aの外面から突出している。
シール材24は、基部24aと羽根部24bとによりV字状を呈している。
【0037】
固定部材26は、断面視L字状の部材であって、継手板22aに固定されている。固定部材26の一片はシール材24の切羽側端面を覆い、他片はシール材24の外周面を覆う。
本実施形態の固定部材26は、ボルト孔26aを備えている。ボルト孔26aには、ボルトBが挿通される。固定部材26は、ボルトBを継手板22aのネジ穴22dに螺着することで継手板22aに固定される。
【0038】
なお、本実施形態では、ボルトBにより固定する固定部材26を適用したが、固定部材26の構成はこれに限定されるものではない。例えば、図4に示す固定部材のように、固定部材26として、ワンタッチ式(ワンパスタイプ)のものを採用してもよい。
この固定部材26によれば、固定部材26を溝23に配置させた状態で、掘削機M1のスプレッダーMを連結用リング21に押し当てることで、固定部材26およびシール材24の固定が完了するため、施工性が向上する。
【0039】
堰止め材25は、図3に示すように、溝23の坑口側においてリング本体22の外面に周設されている。
堰止め材25は、ウレタンや樹脂等からなるスポンジ状の部材であって、スキンプレート22cの外面に接着されている。
【0040】
堰止め材25は、図2に示すように、連結用リング21と地山との隙間を遮蔽し、切削部10または一般部30において注入された裏込め材が、シール材24の周囲に回り込むことを防止する。
また、連結部20において連結用リング21の周囲に注入された特殊充填材27が流出することも防止している。
【0041】
特殊充填材27は、固化しない充填材であって、例えば、滑材やベントナイト等を主成分とした材料により構成されている。
【0042】
シール材24の切羽側の面には、スポンジ状部材28が添設されている。本実施形態では、基部24aと羽根部24bとの間の空間にスポンジ状部材28を配設することで、一般部30において注入される裏込め材が、基部24aと羽根部24bとの間に入り込むことを防止している。
【0043】
次に、本実施形態に係るトンネルの連結方法の第一工程と第二工程を、より詳細に説明する。
【0044】
先行トンネルT1を構築する第一工程は、第一直線区間SS1と、第一直線区間SS1に連続して形成された曲線区間Cと、曲線区間Cに連続して形成された第二直線区間SS2とを形成する工程である。先行トンネルT1は、図1に示すように、矢印1から矢印2方向に掘進する。
【0045】
すなわち、第一工程は、一般部30を形成する第一手順と、一般部30に連続して切削部10を形成する第二手順と、切削部10に連続して連結部20を形成する第三手順と、連結部20に連続して一般部30を形成する第四手順とを備えている。
【0046】
第一手順では、掘削機M1により掘進するとともに、通常リング31(図2参照)を組み立てることにより、第一直線区間SS1と曲線区間Cの一部(第一曲線区間CS1)を構築する。
【0047】
第二手順では、曲線区間Cの残りの部分(第二曲線区間CS2)と第二直線区間SS2の一部について、掘削機M1により掘進するとともに、掘削機M1のマシンテールM内において切削用リング11,11,…組み立てることにより、切削部10形成する。
【0048】
第三手順では、掘削機M1により掘進するとともに、掘削機M1のマシンテールM内において連結用リング21,21,…(図3参照)を組み立てることにより、連結部20を第二直線区間SS2に形成する。シール材24は、マシンテールM内において連結用リング21に取り付ける。
【0049】
本実施形態では、連結用リング21を4リング組み立てることで連結部20を構築する(図2参照)。なお、連結部20の区間長(リング数)は限定されるものではない。連結用リング21のリング数は、地中接合の条件(水圧、深度、土圧、土質等)に応じて決定する。同様に、シール材24の段数および高さも、地中接合の条件や外筒40の内径等よって決定する。
【0050】
図2に示すように、連結用リング21が掘削機M1のマシンテールMを抜けた時点で、グラウトホール22e(図3の(b)参照)から特殊充填材27を注入し、前後に隣合う堰止め材25,25同士の間を特殊充填材27で充填する。
【0051】
第四手順では、掘削機M1により掘進するとともに、掘削機M1のマシンテールM内において通常リング31(図5の(a)参照)を組み立てることにより、連結部20に連続する一般部30を第二直線区間SS2に形成する(図1)。
【0052】
第二工程では、図1に示すように、先行トンネルT1の曲線区間Cに向けて(矢印3から矢印2方向に向けて)後行トンネルT2を構築し、後行トンネルT2を先行トンネルT1に接続する。
【0053】
第二工程の施工を開始するタイミングは、先行トンネルの切削部10および連結部20の構築後であれば限定されるものではなく、先行トンネルT1の施工後(立坑への到達後)であってもよいし、先行トンネルT1の施工中であってもよい。
【0054】
第二工程は、後行トンネルT2用の掘削機M2で切削部10を切削し、掘削機M2を連結部20の後方に配置させる第五手順(図6の(a)参照)と、掘削機M2から連結部20に向けて外筒40を押し出して連結用リング21を外筒40により覆い(図6の(b)参照)、外筒40の内面とシール材24とを密着させる第六手順とを備えている。
【0055】
後行トンネルT2の施工は、掘進機M2の掘進に伴い、掘進機M2の後方の坑内に通常リングを配置することにより行う。
【0056】
第五手順では、先ず、切削部10の坑口側端部および連結部20の切羽側端部に、トンネル内空を遮蔽する隔壁(図示省略)を設ける。次に、隔壁により密閉された切削部10および連結部20の内空部に、流動化処理土等を充填する。なお、切削部10の内空部に充填される材料は限定されるものではなく、発泡ウレタンや土砂等であってもよい。
【0057】
続いて、図5の(a)および(b)に示すように、掘削機M2により切削部10の切削用リング11,11,…を切削し、掘削機M2が、連結部20に近接するまで掘進する。
本実施形態では、先行トンネルT1と後行トンネルT2との連結部において、先行トンネルT1および後行トンネルT2のトンネル軸が一致するように後行トンネルT2を掘進する。
【0058】
図6の(a)に示すように、掘削機M2が連結部20に到達したら、掘削機M2による掘進を停止する。掘進を停止したら、掘削外径を確保するための最外周カッタMをスポークM内に収納する。
【0059】
第六手順では、図7に示すように、掘削機M2から外筒40を押し出し、連結部20の連結用リング21,21,…およびスポークMを被覆する。
【0060】
外筒40は、掘削機M2のスキンプレート(内筒41)の外周に予め設けられている。そのため、第五手順における後行トンネルT2の掘進は、最外周カッタMにより、外筒40の外径を確保した状態で行う。外筒40と内筒41との間はシールされている。
なお、掘削機M2のスキンプレートの先端側を段落ち(縮径)させ、この段落ち部分に外筒40を設置してもよい。こうすると、外筒40の外径が小さくなるので、掘削断面形状を小さくすることが可能であるとともに、連結用リング21のとのクリアランスを最小限に抑えることができる。
【0061】
図6の(b)に示すように、外筒40により連結部20を被覆したら、連結部20の端部に設けられた隔壁を解体し、内部の流動化処理土を掘削する。
連結部20と外筒40との間は、シール材24によってシールされているが、より確実な止水を行う場合には、外筒40と連結用リング21の坑口側端部との隙間を鋼板等により密閉するとともに溶接する。
【0062】
そして、外筒40と内筒41とを残した状態で、掘削機Mを解体撤去し、先行トンネルT1と後行トンネルT2との連結を完了させる。
【0063】
本実施形態のトンネルの連結方法によれば、後行トンネルT2の掘進機Mの先端で薬液注入や凍結工法等の地盤改良を要することなく、先行トンネルT1と後行トンネルT2との連結を行うことができる。
【0064】
先行トンネルT1と後行トンネルT2との連結する際に、地山の開放面における人力での作業を要しないため、安全性に優れている。
【0065】
シール材24と外筒40とが密着しており、さらに、連結部20と外筒との隙間が遮蔽されているため、止水性に優れている。
【0066】
シール材24の周囲には、固化しない特殊充填材27が充填されているため、裏込め材が回り込むことがない。そのため、シール材24の柔軟性が保持され、シール材24を外筒40と密着させることが可能である。
【0067】
第二の実施の形態に係るトンネルの連結方法は、図8に示すように、連結用リング21が備えるシール材24が、中空部24cを備えた膨張性の部材により構成されている点で、第一の実施の形態と異なっている。
【0068】
シール材24は、中空部24cに液体または気体を注入することで、外側に膨張する。
本実施形態のシール材24の中空部24cは、図8の(b)に示すように、膨張させた状態で、断面視略矩形状を呈している。
【0069】
本実施形態では、溝23に、予め注入口23bを形成しておき、この注入口23bから液体または気体を中空部24cに注入する。
【0070】
なお、注入口23bの構成は限定されるものではないが、本実施形態では、溝用鋼材23aを貫通する管部材により構成する。
【0071】
シール材24は、連結用リング21の組立時には、図8の(a)に示すように、収縮させておき、図8の(b)に示すように、第二工程において、外筒40により連結用リング21を被覆した後に、シール材24を膨張させて、外筒40に密着させる。
【0072】
この他の第二の実施の形態に係る各施工手順および各構成は、第一の実施の形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0073】
外筒40のスライド時まではシール材24は収縮した状態で収納されているので、シール材24の破損を防止できる。
また、シール材24を膨張させた後は、外筒40と密着する。
【0074】
なお、シール材24の断面形状は限定されるものではない。例えば、図9に示すように、断面リップ型のものを使用してもよい。
このシール材24によれば、連結用リング21を組み立てた段階で、シール材24を膨張させておくことが可能である。
【0075】
なお、シール材24は、必ずしも膨張性である必要はなく、中空部24cを有していることで、外筒40を押込んだ際に変形し、破損しないように構成されたものであってもよい。
【0076】
以上、本発明について、好適な実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【0077】
前記各実施形態では、シールドトンネルに本発明のトンネルの連結方法を適用する場合について説明したが、本発明のトンネルの連結方法が適用可能なトンネル形式はシールドトンネルに限定されるものではなく、例えば、推進トンネルやセグメントを利用するTBM工法に採用してもよい。
【0078】
前記各実施形態では、直線区間において、後行トンネルT2を先行トンネルT1に接続させる場合について説明したが、先行トンネルT1への後行トンネルT2の接続は、曲線区間において行ってもよい。
【0079】
前記各実施形態では、断面円形のセグメントを使用する場合について説明したが、セグメントの断面形状は限定されるものではなく、例えば断面矩形のセグメントであってもよい。
【0080】
連結部20では、リップシール(第一の実施の形態)を有した連結用リング21と中空部を備えるシール材(第二の実施の形態)を有した連結用リング21とを組み合わせて使用してもよい。
【0081】
前記実施形態では、一つ(1リング)の連結用リング21に対して1段のシール材24が配設されている場合について説明したが、シール材24の段数はこれに限定されるものではなく、一つの連結用リング21に対して複数段のシール材24が配設されていてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 切削部
11 切削用リング
20 連結部
21 連結用リング
22 リング本体
23 溝
24 シール材
25 堰止め部材
26 固定部材
27 特殊充填材(固化しない充填材)
M2 後行トンネル用の掘削機
T1 先行トンネル
T2 後行トンネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲線区間を有する先行トンネルを構築する第一工程と、
前記曲線区間に向けて後行トンネルを構築する第二工程と、を備えるトンネルの連結方法であって、
前記第一工程は、切削用リングを前記曲線区間に配置することにより切削部を形成する手順と、シール材が周設された連結用リングを配置することにより連結部を形成する手順と、を備え、
前記第二工程は、後行トンネル用の掘削機で前記切削部を切削し、前記掘削機を前記連結部の後方に配置する手順と、前記掘削機から前記連結部に向けて外筒を押し出して前記連結用リングを前記外筒により覆い、前記外筒の内面と前記シール材とを密着させる手順と、を備えることを特徴とする、トンネルの連結方法。
【請求項2】
前記シール材が、中空の膨張性部材により構成されており、
前記第二工程では、前記シール材内への液体注入または気体注入により前記シール材を膨張させることで、前記外筒の内面と前記シール材とを密着させることを特徴とする、請求項1に記載のトンネルの連結方法。
【請求項3】
前記シール材の前後に堰止め材が周設されており、前記第一工程において、前記連結用リングを組み立てた後、固化しない充填材を前記堰止め材の間に充填することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のトンネルの連結方法。
【請求項4】
先行トンネルに配設される連結用リングであって、
後行トンネルの外筒により被覆されるリング本体と、
前記リング本体の一方の端部の外周面に形成された溝と、
前記溝に配設されたシール材と、
前記シール材を固定する固定部材と、
前記溝の他方側において前記リング本体に周設された堰止め材と、を備えることを特徴とした連結用リング。
【請求項5】
前記シール材は、中空部を備えた膨張性の部材からなり、前記中空部に液体または気体を注入することで外側に膨張することを特徴とする、請求項4に記載の連結用リング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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