説明

トンネル内装板

【課題】高い視認性や視線誘導効果を向上し、耐腐食性に優れ、かつ、コストの低減化と軽量化が可能なトンネル内装板を提供する。
【解決手段】アルミニウム基板1aの外面全体、すなわち表裏ともに覆う状態で湿式成膜法によってセラミックコーティング皮膜1bを形成することにより、均一な厚みを有する塗布膜を容易に形成でき、さらにステンレス鋼板を用いる場合と比べ、コストの低減化と軽量化が可能になるため、トンネル内への搬入・設置作業の労力が軽減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内に高い視認性や視線誘導効果を向上させるためにトンネル内壁面に沿って設置されるトンネル内装板に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル内装板1は薄いパネル状であるから、トンネル内壁面2への設置は、図3,4 に示すように、トンネル内壁面1に上段、中段、下段などに分けて横胴縁31,32,33を配置し、トンネル内装板1の上水平端縁部を上段の横胴縁31に沿って、また下側水平端縁部は下段の横胴縁33に沿ってそれぞれ補修部材34,35で覆うようにして固定している。
また、トンネル内装板1の中ほどは、その隣接するトンネル内装板1,1との間に設けられた隙間36から露出した中段配置の横胴縁32に対し、両トンネル内装板1の縦縁部同士を押えた押え金具37で固定することにより、取付けられている。
そして、通常、このようなトンネル内装板1は、湿気や排気ガスの影響で腐食し易いため、ステンレス鋼板が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−158391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ステンレス鋼板は、金属板の中で価格が高いため、設置コストが高く付くとともに、ステンレス鋼板は重量が重いため、トンネル内への搬入・設置作業に多くの労力が必要で、作業効率が悪いという問題点があった。
【0005】
本発明の解決しようとする課題は、耐腐食性に優れ、かつ、コストの低減化と軽量化が可能なトンネル内装板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、アルミニウム基板の外面全体を覆う状態でセラミックコーティング皮膜を形成したことを特徴とする手段とした。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のトンネル内装板において、
前記セラミックコーティング皮膜を湿式成膜法で形成するようにしたこと特徴とする手段とした。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明では、上述のように、基板に軽量なアルミニウムを用いることで、ステンレス鋼板を用いる場合に比べ、コストの低減化と軽量化が可能になる。この軽量化により、トンネル内への搬入・設置作業の労力が軽減される。
また、アルミニウム基板の外面全体を覆う状態でセラミックコーティング皮膜を形成することで、耐腐食性に優れるトンネル内装板が得られる。
また、アルミニウム基板の外面全体、すなわち表裏ともにセラミックコーティング皮膜が形成されているため、使用面が排気ガスで汚れて視認性が悪くなった場合、表裏を入れ替えるだけで、視認性を回復させることができる。
【0009】
請求項2記載の発明では、上述のように、セラミックコーティング皮膜を湿式成膜法で形成するようにしたことで、乾式成膜法で形成する場合に比べ、成膜装置の構成についての制限が少なく、表面積が広いトンネル内装板に対して均一な厚みを有する塗布膜を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明実施例1のトンネル内装板を示す正面図である。
【図2】図1のA−A線における拡大縦断面図である。
【図3】図1のB−B線における拡大縦断面図である。
【図4】従来のトンネル内装板取付け状態を示す正面図である。
【図5】従来のトンネル内装板取付け状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0012】
まず、この実施例1のトンネル内装板を図面に基づいて説明する。
【0013】
この実施例1のトンネル内装板1は、図1〜3に示すように、アルミニウム基板1aの外面全体を覆う状態でセラミックコーティング皮膜1bを形成したものである。
【0014】
さらに詳述すると、アルミニウム基板1aは、例えば、厚みが3mmで高さ方向約1200mm、巾約1200mmの正方形を成している。
【0015】
また、セラミックコーティング皮膜1bは、湿式成膜法で形成する。
湿式成膜原料としては、熱処理反応により所望の酸化物や炭化物,窒化物となる金属アルコキシドや有機金属錯体、酸化物や炭化物および窒化物そのものであるセラミック微粉末を有機溶媒等に分散させた溶液(ゾル)、さらにこのような溶液(ゾル)に金属アルコキシドや有機金属錯体が添加された混合溶液を使用することができる。
【0016】
次に、この実施例1の効果を説明する。
【0017】
(1)この実施例1のトンネル内装板では、上述のように、基板として軽量なアルミニウム基板1aを用いることで、ステンレス鋼板を用いる場合に比べ、コストの低減化と軽量化が可能になる。この軽量化により、トンネル内への搬入・設置作業の労力が軽減される。
また、アルミニウム基板1aの外面全体を覆う状態でセラミックコーティング皮膜1bを形成することで、耐腐食性に優れるトンネル内装板1が得られる。
また、アルミニウム基板1aの外面全体、すなわち表裏ともにセラミックコーティング皮膜1bが形成されているため、使用面が排気ガスで汚れて視認性が悪くなった場合、表裏を入れ替えるだけで、視認性を回復させることができる。
【0018】
また、上述のように、セラミックコーティング皮膜1bを湿式成膜法で形成するようにしたことで、乾式成膜法で形成する場合に比べ、成膜装置の構成についての制限が少なく、表面積が広いトンネル内装板1のアルミニウム基板1aに対して均一な厚みを有するセラミックコーティング皮膜1bを容易に形成することができる。
【0019】
以上本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【0020】
例えば、実施例では、セラミックコーティング皮膜を湿式成膜法で形成する場合について説明したが、セラミックコーティング方法にも特に限定はなく、湿式成膜法の他に、乾式成膜法(CVD法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等)を用いることができる。
【符号の説明】
【0021】
1 トンネル内装板
1a アルミニウム基板
1b セラミックコーティング皮膜
2 トンネル内壁面
31 横同縁
32 横同縁
33 横同縁
34 補修部材
35 補修部材
36 隙間
37 押え金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム基板の外面全体を覆う状態でセラミックコーティング皮膜を形成したことを特徴とするトンネル内装板。
【請求項2】
請求項1に記載のトンネル内装板において、
前記セラミックコーティング皮膜を湿式成膜法で形成するようにしたこと特徴とするトンネル内装板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−180664(P2012−180664A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43698(P2011−43698)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(508001431)西日本高速道路メンテナンス九州株式会社 (7)
【出願人】(506192803)大東金属株式会社 (5)
【出願人】(511054466)日創プロニティ株式会社 (3)
【出願人】(591060544)ヒノマル株式会社 (6)
【Fターム(参考)】