トンネル工法
【課題】大規模トンネルにおける分岐合流部を効率的に施工する。
【解決手段】複数のシールドトンネルの分岐合流部を施工するに際し、多数のルーフシールドトンネル6からなるシールドルーフ先受工3と改良ゾーン(凍結ゾーン8)により施工領域を取り囲み、その内側に分岐合流部の覆工壁4を施工する。覆工壁の施工に際しては、ルーフシールドトンネル6間に遮水膜壁11を形成し、ルーフシールドトンネル6内にコンクリート21を充填し、隣り合うルーフシールドトンネル6どうしを連結梁22により連結し、吹付コンクリート23による一次覆工壁24を形成し、一次覆工壁および各ルーフシールドトンネルと一体の二次覆工壁26を施工する。
【解決手段】複数のシールドトンネルの分岐合流部を施工するに際し、多数のルーフシールドトンネル6からなるシールドルーフ先受工3と改良ゾーン(凍結ゾーン8)により施工領域を取り囲み、その内側に分岐合流部の覆工壁4を施工する。覆工壁の施工に際しては、ルーフシールドトンネル6間に遮水膜壁11を形成し、ルーフシールドトンネル6内にコンクリート21を充填し、隣り合うルーフシールドトンネル6どうしを連結梁22により連結し、吹付コンクリート23による一次覆工壁24を形成し、一次覆工壁および各ルーフシールドトンネルと一体の二次覆工壁26を施工する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトンネル工法に係わり、特にたとえば都市圏に大深度・大断面の道路トンネルを設ける場合に分岐合流部を効率的に施工可能なトンネル工法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、大深度・大断面のトンネルを構築するためのトンネル工法としてはNATM(New Austrian Tunneling Method)あるいはシールド工法が代表的であるが、都市圏における道路トンネルの施工に際しては、地表および地中の既存構造物に対する悪影響を回避するべく地山に対する高度の支保性能が要求され、また施工中および完成後の止水性能と地下水保全性能が高度に要求されることから、シールド工法の採用が最も一般的である。
【0003】
ところで、道路トンネルをシールド工法により施工するに際しては本線トンネルの他にランプトンネルを設け、それら双方のトンネルを要所にて接合して分岐合流部を施工する必要があるが、そのような分岐合流部の施工は必ずしも容易ではない。
すなわち、本線トンネルおよびランプトンネルはそれぞれ在来のシールド工法により地山を安定に支保し、また止水性を確保しつつ支障なく施工できるが、分岐合流部では断面を漸次変化させつつ双方のシールドトンネルどうしを接合する必要があることから、分岐合流部の施工に際しては在来のシールド工法をそのまま適用できるものではない。
【0004】
そのため、分岐合流部の施工に際しては何らかの補助工法の採用が不可欠であり、たとえば特許文献1に示されるような工法が提案されている。
これは、多数の小断面のルーフシールドトンネルによるシールドルーフ先受工を分岐合流部の施工領域を取り囲むようにして構築するとともに、各ルーフシールドトンネル間および施工領域の端部に薬液注入による改良ゾーンや凍結工法による凍結ゾーンを形成したうえで、その内側において本線トンネルあるいはランプトンネルを拡幅して分岐合流部を施工するというものである。
【特許文献1】特開2006−70530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されるトンネル工法によれば、大規模な分岐合流部を安全かつ効率的に施工できると考えられるが、多数のルーフシールドトンネルを仮設の先受工として設けることからかなりのコストを要するものとなるので、これを真に有効なものとするためには充分なコストダウンが必要と考えられている。
また、シールドルーフ先受工の内部を掘削する際には改良ゾーンによる支保性能や遮水性能が充分に確保されることが必要であるが、特に改良ゾーンを凍結工法による凍結ゾーンとする場合にはその信頼性をより一層向上させる必要があるともされ、その点で改良の余地があるとされている。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は特許文献1に示されるトンネル工法をさらに改良して、大規模な分岐合流部の施工に際してコストダウンと施工安全性をより一層向上させることのできる有効適切なトンネル工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のトンネル工法は、基本的には特許文献1に示されるトンネル工法と同様に、複数のシールドトンネルどうしの分岐合流部を施工するに際し、いずれかのシールドトンネルからルーフシールド機を発進させて施工するべき分岐合流部の外側にその延長方向に沿う複数のルーフシールドトンネルを分岐合流部の輪郭に沿って所定間隔で配列した状態で施工することにより、分岐合流部を取り囲むシールドルーフ先受工を構築し、それらルーフシールドトンネルの内部から周囲地山を改良してルーフシールドトンネル間に改良ゾーンを形成した後、前記シールドルーフ先受工および前記改良ゾーンにより囲まれた空間の内側においてシールドトンネルを拡幅して分岐合流部の覆工壁を構築することによって分岐合流部を施工するトンネル工法であって、分岐合流部の覆工壁を構築するに先立って、ルーフシールドトンネル内部から隣り合うルーフシールドトンネル間の地山を切削して遮水膜壁を形成するとともに、ルーフシールドトンネル内にコンクリートを充填し、覆工壁の構築に際しては、前記遮水膜壁の内側において隣り合うルーフシールドトンネル間を掘削して、ルーフシールドトンネルどうしを連結する連結梁を架設するとともに吹付コンクリートによる一次覆工壁を形成し、該一次覆工壁の内側に、該一次覆工壁および各ルーフシールドトンネルと一体に二次覆工壁を形成することによって分岐合流部の覆工壁を構築することを特徴とするものである。
【0008】
本発明のトンネル工法においては、ルーフシールドトンネル間に遮水膜壁を形成するに際しては、ルーフシールドトンネル間に形成されている改良ゾーンをルーフシールドトンネル内からワイヤーソーにより切削してスリットを形成しつつ、該スリット内に遮水膜を引き込んでいって遮水膜壁を形成すると良い。その場合、ルーフシールドトンネルのセグメントにはワイヤーソーにより切削可能な切削部を予め設けておいて、その切削部をワイヤーソーにより切削しながら改良ゾーンを切削してスリットを形成すると良い。
また、ルーフシールドトンネル間に形成する改良ゾーンを凍結工法による凍結ゾーンとして形成する場合には、遮水膜壁を扁平な袋状の遮水膜により形成してその内部に断熱性を有する充填材を充填することが好ましい。
【0009】
さらに、ルーフシールドトンネルを形成するセグメントには、該ルーフシールドトンネルの内部に充填されるコンクリート中に埋設される鉄筋等の補強材、および該ルーフシールドトンネルどうしを連結する連結梁、ならびに一次覆工壁および二次覆工壁に埋設される鉄筋等の補強材を、それぞれセグメントに対して連結するための継ぎ手を予め設けておくと良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、分岐合流部の施工に際してその予定位置を取り囲むようにシールドルーフ先受工および改良ゾーンを形成するので、その内側においてシールドトンネルを拡幅して分岐合流部を施工するときに、地山に対する充分な支保性能や止水性能を確保しつつ分岐合流部を安全かつ効率的に施工することが可能であり、地表あるいは地中の既存構造物に対する万全な沈下防止と周辺の地下水保全を図ることができる。
特に、シールドルーフ先受工の構築を複数のルーフシールドトンネルを所定間隔で配列することで行うので、シールドルーフ先受工を充分に高剛性とできることはもとより、その施工は在来のシールド工法により容易にかつ精度良く施工でき、しかも施工するべき分岐合流部の形態や規模に応じてルーフシールドトンネルの本数やその配列を設定することにより最適なシールドルーフ先受工を構築することができる。
【0011】
加えて、本発明はシールドルーフ先受工を単に仮設として設けるのではなくそれを本設の覆工壁の一部として活用するものであって、各ルーフシールドトンネル内にコンクリートを充填するとともに隣り合うルーフシールドトンネルどうしを連結梁により連結したうえで、そのシールドルーフ先受工の内側に一次覆工壁および二次覆工壁を一体に形成することによって、それらの全体で頑強で構造安全性に優れた本設の覆工壁を施工でき、仮設のシールドルーフ先受工と本設の覆工壁とをそれぞれ別個に設ける場合に比べてコストダウンと施工性改善を図ることができる。
また、覆工壁の施工に際しては、それに先立ってまずルーフシールドトンネル間に遮水膜壁を形成するので充分な遮水性能を確保できるし、遮水膜壁の内側に連結梁と吹付コンクリートとによる一次覆工壁を形成するので改良ゾーンのクリープを低減できて充分な支保性能を確保することができる。
【0012】
さらに、遮水膜壁を施工する際にはルーフシールドトンネル内からワイヤーソーにより改良ゾーンを切削してスリットを切削しつつ遮水膜を引き込んでいくようにし、そのためにはルーフシールドトンネルのセグメントに切削部を予め設けておくことにより、遮水壁膜をルーフシールドトンネル内からの作業のみで効率的に施工することができる。
また、改良ゾーンを凍結工法による凍結ゾーンとして形成する場合には、遮水膜壁を袋状としてその内部に断熱材を充填することにより、その内側に後施工する一次覆工壁としての吹付コンクリートを凍結ゾーンと熱的に絶縁することができ、施工性および施工品質を改善することができる。
【0013】
また、ルーフシールドトンネルの内部および外部に対して鉄筋等の補強材を機械的に連結するための継ぎ手を予め設けておくことにより、ルーフシールドトンネル内への鉄筋の配筋作業や、その外部への連結梁の架設や鉄筋の配筋の作業性を改善できるし、それら補強材とルーフシールドトンネルの全体で形成される覆工壁を構造的に確実に一体化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のトンネル工法を都市圏における大深度・大断面の道路トンネルの施工に適用する場合の一実施形態を図1〜図14を参照して説明する。
本実施形態では、図1にその概要を示すように、本線シールドトンネル1とランプシールドトンネル2とをいずれも在来のシールド工法により施工するとともに、分岐合流部の施工予定位置の外側には予めシールドルーフ先受工3を施工し、その内側において、例えば本線シールドトンネル1の拡幅側の側壁の一部を撤去し、そこからバックホー等の掘削機械を搬入し、その掘削機械によって分岐合流部の拡幅部分を上方から下方に向かって掘削するとともに本線シールドトンネル1の側壁の不要部分を撤去し、最終的にシールドルーフ先受工の内側に楕円形状の覆工壁4(図3〜図6参照)を築造して分岐合流部を完成させることを基本とするものである。
なお、本実施形態では本線シールドトンネル1の直径がたとえば17m程度、ランプシールドトンネル2の直径がたとえば11m程度であることを想定している。また、本実施形態では、図2に示すように分岐合流部において本線シールドトンネル1を側方に3段階にわたって拡幅し、最終的には図3〜図5に示すように分岐合流部の各部の断面形状が前方に向かって漸次縮小するような横長楕円形状の覆工壁4を形成するものとしている。
【0015】
具体的には、本実施形態においては本線シールドトンネル1よりもランプシールドトンネル2を先行掘進し、図2に示すようにそのランプシールドトンネル2が分岐合流部の施工予定位置に少なくとも達するまで掘進を進めて停止させる。そして、ランプシールドトンネル2の先端部付近の側壁部からルーフシールド機(図示略)を発進させ、図7に示すように分岐合流部の施工予定位置の外側に複数(図示例では20本)のルーフシールドトンネル6を分岐合流部の輪郭に沿って所定間隔で配列した状態で施工し、それら複数のルーフシールドトンネル6の全体によってシールドルーフ先受工3を構成するものである。
なお、ルーフシールドトンネル6における所定間隔の配列とは、後述する凍結あるいは薬液による改良ゾーンが隣接するルーフシールドトンネル6間で支保あるいは止水としての作用効果を奏することができる程度の間隔である。これは地盤条件等を勘案して決められるものであるが、本実施形態では図示しているようにルーフシールドトンネル6を分岐合流部の輪郭に沿って充分に密に配列している。
【0016】
各ルーフシールドトンネル6は、小径(たとえば直径3m程度)のルーフシールド機を図2に示すようにランプシールドトンネル2の先端部付近のトンネル側壁部から発進させた後に前方に向けて急旋回させて分岐合流部の延長方向(トンネル軸方向)に沿うように施工されるものであるが、本実施形態では上述のように分岐合流部は前方に向かって漸次断面形状が縮小されていくことから、図3〜図5に示すように分岐合流部の断面形状に対応して各ルーフシールドトンネル6の相互間隔を前方にいくほど狭めていき、かつ図4〜図5に示すようにそれらの位置を半径方向に交互に若干ずらしていって、シールドルーフ先受工3の全体形状を全体として先細り形状としている。
【0017】
なお、各ルーフシールドトンネル6の施工に際してはルーフシールド機を1台ないし数台程度用意し、それをランプシールドトンネル2から順次発進させていき、分岐合流部の先端部に達したらスキンプレートおよびカッター装置等の外殻装置を残置して内部装置のみを回収し、回収した内部装置をランプシールドトンネル2内において新たな外殻装置に組み込むことで新たなルーフシールド機を組み立て、それを再び発進させれば良い。勿論、可能であれば全てのルーフシールドトンネル6をそれぞれ独立のルーフシールド機により同時に施工することでも良いし、あるいは、分岐合流部の先端部に達したルーフシールド機をそこからUターンさせて他のルーフシールドトンネル6を逆方向に連続的に施工することも考えられる。
また、ランプシールドトンネル2の側壁部からルーフシールド機を発進させるための手法としては、在来のシールドトンネルの側壁部からのシールド機の発進手法、および在来のシールドトンネルどうしのT字接合技術をそのまま採用可能である。
【0018】
上記のようなシールドルーフ先受工3の施工とは別に本線シールドトンネル1を掘進し、本線シールドトンネル1をシールドルーフ先受工3の内側を通過させる。また、各シールドトンネル6の内部に設置した凍結管(改良手段)7により周囲地山を凍結(改良)することにより、図8に示すようにルーフシールドトンネル6間にそれらを連結する状態で凍結ゾーン(改良ゾーン)8を形成する。
そして、上述したようにその内側において前述した掘削工法によって本線シールドトンネル1を側方に拡幅することにより分岐合流部を施工し、最終的にはその分岐合流部に対してランプシールドトンネル2の先端部を接合するのであるが、それに先立ってまず図9に示すように隣り合うルーフシールドトンネル6間に遮水膜壁11を施工する。
【0019】
遮水膜壁11の施工は、図13に示すようにルーフシールドトンネル6内にワイヤーソー12および遮水膜13を牽引するためのウインチ台車14を配置し、そのウインチ台車14によってワイヤーソー12を牽引していってルーフシールドトンネル6間に形成されている凍結ゾーン8をスリット状に切削し、それに後追いしてスリット内に遮水膜13を引き込んでいくことで行う。
なお、ルーフシールドトンネル6の内部からその外側の凍結ゾーン8をワイヤーソー12により切削する際には、同時にルーフシールドトンネル6のセグメントも切削していくことになるため、そのセグメントにはワイヤーソー12により切削可能な切削部15(図13参照)を予め形成しておくと良く、切削後には切削部15の内側に補強継手16(図6参照)を取り付けて補強すると良い。
また、遮水膜壁11を形成するための遮水膜13を薄い袋状としてその内部に断熱性を有する充填材を注入充填すれば、後段において遮水膜壁11の内側に形成する一次覆工壁24としての吹付コンクリート23と凍結ゾーン8とを遮水膜壁11によって熱的に絶縁することができ、したがって吹付コンクリート23の施工性を改善できるし施工品質を確保することができる。
【0020】
以上の工程を実施している間に本線シールドトンネル1の掘進を行い、本線シールドトンネル1がシールドルーフ先受工3の内側を通過した後には、図14(a)、(b)に示すようにルーフシールドトンネル6の両端部からその内側地山にボーリングを行って凍結管(改良手段)9を挿入し、図2に示すようにシールドルーフ先受工3の両端部の位置にも凍結ゾーン(改良ゾーン)10を形成する。
【0021】
以上により、分岐合流部の施工予定位置は、ルーフシールドトンネル6と凍結ゾーン8により構成されるシールドルーフ先受工3と、ルーフシールドトンネル6間に施工された遮水膜壁11と、端部(妻部)に施工された凍結ゾーン10とにより完全に取り囲まれてその外側の地山と隔絶される。
そこで、その内側において覆工壁4を施工するのであるが、上記のシールドルーフ先受工3を形成している各ルーフシールドトンネル6も覆工壁4の一部として活用するべく、覆工壁4の施工は図10〜図12に示す手順で行う。
【0022】
まず、図10に示すようにルーフシールドトンネル6内に鉄筋やPC鋼棒等の補強材20を配筋したうえで、ルーフシールドトンネル6内にコンクリート21を充填する。この工程は遮水膜壁11の施工が完了したルーフシールドトンネル6から順次行っていけば良い。
次いで、本線シールドトンネル1(あるいはランプシールドトンネル2)からその外側への切り拡げ掘削を開始して、図11に示すように隣り合うルーフシールドトンネル6間で遮水膜壁11の内側の凍結ゾーン8を掘削し、遮水膜壁11の内側に連結梁22を架設するとともに吹付コンクリート23を形成することによって、双方のルーフシールドトンネル6と連結梁22と吹付コンクリート23とによるアーチ形状の支保工としての一次覆工壁24を施工していく。
これにより、ルーフシールドトンネル6間の凍結ゾーン8の緩みとクリープ変形は充分に抑制される。また、この際には遮水膜壁11によってそこでの遮水性能は充分に確保され、かつ上記のように遮水膜壁11に断熱性を有する充填材を充填しておくと、吹付コンクリート23を凍結ゾーン8と熱的に絶縁してその施工性および施工品質を支障なく確保することができる。なお、いずれにしても吹付コンクリート23としては短時間で高強度が発現するものを使用することが好ましい。
【0023】
上記のようにして、各ルーフシールドトンネル6間に一次覆工壁24を順次形成していきつつシールドルーフ先受工3の内側を掘削していき、シールドルーフ先受工3の内側全体を掘削した後、図12に示すように一次覆工壁24の内側に鉄筋ないしPC鋼棒等の補強材25を組み立ててそれをルーフシールドトンネル6内に配筋した補強材20と接続する。
そして、移動型枠装置であるセントル(図示せず)を設置してコンクリートを打設して二次覆工壁26を施工することにより、ルーフシールドトンネル6と一次覆工壁24と二次覆工壁26との全体が一体となった頑強な複合構造の覆工壁4を施工する。
なお、覆工壁4の施工に際しては、上記のようにルーフシールドトンネル6の内外にそれぞれ鉄筋やPC鋼棒等の補強材20,25を配筋し、またルーフシールドトンネル6どうしを連結梁22により連結するので、ルーフシールドトンネル6のセグメントにはそれら補強材22,25や連結梁22を機械的に接合するための継ぎ手を予め設けておくと良く、それにより施工性を改善できるし、それらの全体を構造的に確実に一体化させることができる。
【0024】
以上で説明した工法によれば、分岐合流部の外側に多数のルーフシールドトンネル6からなるシールドルーフ先受工3を構築するとともに、その周囲および両端部内側に凍結ゾーン8,10を形成し、かつルーフシールドトンネル6間に遮水膜壁11を形成したうえでその内側において本線シールドトンネル1を拡幅することにより分岐合流部を施工し、その際にはルーフシールドトンネル6どうしを連結梁22により連結するとともにそこに一次覆工壁24を施工するので、分岐合流部の施工に際して地山に対する充分な支保性能と止水性能を確保でき、地表あるいは地中の既存構造物に対する万全な沈下防止と、万全な地下水保全を図ることができる。
また、複数のルーフシールドトンネル6からなる高剛性のシールドルーフ先受工3を単に仮設として設けるのではなく、その内部にコンクリート21を充填するとともにルーフシールドトンネル6どうしを連結梁22により相互に連結したうえで、その内側に設ける一次覆工壁24および二次覆工壁26と構造的に一体化するので、ルーフシールドトンネル6も本設の覆工壁4の一部として有効に機能してそれらの全体で頑強で構造安全性に優れた覆工壁4を構築することができる。勿論、シールドルーフ先受工3を単に仮設として設けて、本設の覆工壁4をそれとは独立に設ける場合に比べれば全体としてコストダウンと施工性改善を図ることができ、極めて合理的である。
【0025】
また、シールドルーフ先受工3を複数のルーフシールドトンネル6を密に配列することで構築するので、それを充分に高剛性とできるばかりでなく、分岐合流部の形状に対応する最適な断面形状のシールドルーフ先受工3を自由にかつ高精度で施工することができる。なお、本実施形態のようにルーフシールドトンネル6をアーチ状に配列し、それらの間に形成される凍結ゾーン8によってルーフシールドトンネル6どうしを一体に連結した構造とすれば、シールドルーフ先受工3の全体が特に高剛性で極めて安定な筒型の地中構造物として機能し、したがって特に優れた支保効果が得られる。
【0026】
また、本実施形態のようにランプシールドトンネル2を本線シールドトンネル1に先行させることにより、そのランプシールドトンネル2が分岐合流部の施工予定位置に達した時点でシールドルーフ先受工3の施工に早期着手できるとともに、それとの並行作業により本線シールドトンネル1の掘進が可能であるので、特に効率的な施工が可能であり、全体工期の短縮を充分に図ることができる。
さらに、本実施形態の工法は、基本的にはいずれも多くの実績のある在来のシールド工法や凍結工法、掘削工法を有機的に組み合わせるものであるから、安全性や信頼性に優れるばかりでなく、比較的低コストでの施工が可能であり、特に都市圏における大深度・大断面の道路トンネルを施工する際に適用して最適な工法であるといえる。
【0027】
以上で本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態はあくまで好適な一例に過ぎず、本発明は上記実施形態に限定されるものでは勿論ない。たとえば上記実施形態は都市圏における大深度・大断面の道路トンネルへの適用例であるが、本発明は分岐合流部を有するものであれば様々な規模、用途、形態のトンネルを施工する場合全般に広く適用できるものであるし、施工対象のトンネルにおける分岐合流部の規模や形態に応じて、また周辺環境等の諸条件を考慮して様々な設計的変更が可能である。たとえば、ルーフシールドトンネル6の本数やそれによるシールドルーフ先受工3の規模や形態は所望の先受効果を確保できる範囲で適宜変更して良いし、その周辺に形成する凍結ゾーン8,10の範囲、覆工壁4の形態やその施工方法、その他の各工程の細部についても、本発明の要旨を逸脱しない範囲で最適設計すれば良く、必要に応じて適宜の補助工法を採用しても勿論良い。
【0028】
なお、上記実施形態では、ルーフシールドトンネル6間やシールドルーフ先受工3の端部内側に施工される改良ゾーンは、凍結工法による凍結ゾーン8,10としたが、地下水圧があまりかからない場合等ではこの改良ゾーンを薬液注入によって改良しても良く、この工法の選択は地盤条件等によって適宜採用されるものである。
シールドルーフ先受工3の端部内側に施工される改良ゾーン(上記実施形態における凍結ゾーン10)にしても、上記実施形態ではその両端に施工するようにしたが、最大拡幅区間側の端部のみ改良を施して、最小拡幅区間の端部側は、拡幅断面が小さいことからルーフシールドトンネル6間に形成する改良ゾーン(上記実施形態における凍結ゾーン8)のみでその端部改良が兼用できれば、別途に端部改良を施さなくても良い。
なお、上記実施形態ではシールドルーフ先受工3の端部内側の凍結ゾーン10はルーフシールドトンネル6内から施工するようにしたが、全体工程の都合によっては(たとえばルーフシールドトンネル6内に早期にコンクリート21を充填するような場合には)、その施工を他の工法で行っても良い。
【0029】
さらに、上記実施形態では、ルーフシールドトンネル6を施工するためのルーフシールド機をランプシールドトンネル2から発進するようにしたが、それを本線シールドトンネル1から発進させるようにしても良い。この場合は、本線シールドトンネル1が分岐合流部拡幅区間付近に達したら、その後方において本線シールドトンネル1の側壁部からルーフシールド機を発進させるとともに、本線シールドトンネル1はそのまま掘進を進めるものである。そして、シールドルーフ先受工3を構築し、ルーフシールドトンネル6間やシールドルーフ先受工3の端部内側に改良ゾーンを形成し、ランプシールドトンネル2のシールド機が到達してから、前述の分岐合流部を拡幅施工するようにする。勿論、工期的に早急に分岐合流部を施工する必要が生じた場合は、本線シールドトンネル1とランプシールドトンネル2の双方からルーフシールド機を発進させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態であるトンネル工法の概要を示す図である。
【図2】同、分岐合流部の平面図である。
【図3】同、分岐合流部の断面図(図2におけるIII−III線視図)である。
【図4】同、分岐合流部の断面図(図2におけるIV−IV線視図)である。
【図5】同、分岐合流部の断面図(図2におけるV−V線視図)である。
【図6】同、覆工壁の詳細を示す部分断面図(図3におけるVI部拡大図)である。
【図7】同、施工手順を示す図であって、シールドルーフ先受工を施工した状態を示す図である。
【図8】同、凍結ゾーン(改良ゾーン)を施工した状態を示す図である。
【図9】同、遮水膜壁を施工した状態を示す図である。
【図10】同、ルーフシールドトンネル内にコンクリートを充填した状態を示す図である。
【図11】同、一次覆工壁を施工した状態を示す図である。
【図12】同、二次覆工壁を施工した状態を示す図である。
【図13】同、遮水膜壁を施工している状態を示す図である。
【図14】同、分岐合流部の両端部に凍結ゾーン(改良ゾーン)を施工している状態を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 本線シールドトンネル
2 ランプシールドトンネル
3 シールドルーフ先受工
4 覆工壁
6 ルーフシールドトンネル
7 凍結管(改良手段)
8 凍結ゾーン(改良ゾーン)
9 凍結管(改良手段)
10 凍結ゾーン(改良ゾーン)
11 遮水膜壁
12 ワイヤーソー
13 遮水膜
14 ウインチ台車
15 切削部
16 補強継手
20 補強材
21 コンクリート
22 連結梁
23 吹付コンクリート
24 一次覆工壁
25 補強材
26 二次覆工壁
【技術分野】
【0001】
本発明はトンネル工法に係わり、特にたとえば都市圏に大深度・大断面の道路トンネルを設ける場合に分岐合流部を効率的に施工可能なトンネル工法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、大深度・大断面のトンネルを構築するためのトンネル工法としてはNATM(New Austrian Tunneling Method)あるいはシールド工法が代表的であるが、都市圏における道路トンネルの施工に際しては、地表および地中の既存構造物に対する悪影響を回避するべく地山に対する高度の支保性能が要求され、また施工中および完成後の止水性能と地下水保全性能が高度に要求されることから、シールド工法の採用が最も一般的である。
【0003】
ところで、道路トンネルをシールド工法により施工するに際しては本線トンネルの他にランプトンネルを設け、それら双方のトンネルを要所にて接合して分岐合流部を施工する必要があるが、そのような分岐合流部の施工は必ずしも容易ではない。
すなわち、本線トンネルおよびランプトンネルはそれぞれ在来のシールド工法により地山を安定に支保し、また止水性を確保しつつ支障なく施工できるが、分岐合流部では断面を漸次変化させつつ双方のシールドトンネルどうしを接合する必要があることから、分岐合流部の施工に際しては在来のシールド工法をそのまま適用できるものではない。
【0004】
そのため、分岐合流部の施工に際しては何らかの補助工法の採用が不可欠であり、たとえば特許文献1に示されるような工法が提案されている。
これは、多数の小断面のルーフシールドトンネルによるシールドルーフ先受工を分岐合流部の施工領域を取り囲むようにして構築するとともに、各ルーフシールドトンネル間および施工領域の端部に薬液注入による改良ゾーンや凍結工法による凍結ゾーンを形成したうえで、その内側において本線トンネルあるいはランプトンネルを拡幅して分岐合流部を施工するというものである。
【特許文献1】特開2006−70530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されるトンネル工法によれば、大規模な分岐合流部を安全かつ効率的に施工できると考えられるが、多数のルーフシールドトンネルを仮設の先受工として設けることからかなりのコストを要するものとなるので、これを真に有効なものとするためには充分なコストダウンが必要と考えられている。
また、シールドルーフ先受工の内部を掘削する際には改良ゾーンによる支保性能や遮水性能が充分に確保されることが必要であるが、特に改良ゾーンを凍結工法による凍結ゾーンとする場合にはその信頼性をより一層向上させる必要があるともされ、その点で改良の余地があるとされている。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は特許文献1に示されるトンネル工法をさらに改良して、大規模な分岐合流部の施工に際してコストダウンと施工安全性をより一層向上させることのできる有効適切なトンネル工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のトンネル工法は、基本的には特許文献1に示されるトンネル工法と同様に、複数のシールドトンネルどうしの分岐合流部を施工するに際し、いずれかのシールドトンネルからルーフシールド機を発進させて施工するべき分岐合流部の外側にその延長方向に沿う複数のルーフシールドトンネルを分岐合流部の輪郭に沿って所定間隔で配列した状態で施工することにより、分岐合流部を取り囲むシールドルーフ先受工を構築し、それらルーフシールドトンネルの内部から周囲地山を改良してルーフシールドトンネル間に改良ゾーンを形成した後、前記シールドルーフ先受工および前記改良ゾーンにより囲まれた空間の内側においてシールドトンネルを拡幅して分岐合流部の覆工壁を構築することによって分岐合流部を施工するトンネル工法であって、分岐合流部の覆工壁を構築するに先立って、ルーフシールドトンネル内部から隣り合うルーフシールドトンネル間の地山を切削して遮水膜壁を形成するとともに、ルーフシールドトンネル内にコンクリートを充填し、覆工壁の構築に際しては、前記遮水膜壁の内側において隣り合うルーフシールドトンネル間を掘削して、ルーフシールドトンネルどうしを連結する連結梁を架設するとともに吹付コンクリートによる一次覆工壁を形成し、該一次覆工壁の内側に、該一次覆工壁および各ルーフシールドトンネルと一体に二次覆工壁を形成することによって分岐合流部の覆工壁を構築することを特徴とするものである。
【0008】
本発明のトンネル工法においては、ルーフシールドトンネル間に遮水膜壁を形成するに際しては、ルーフシールドトンネル間に形成されている改良ゾーンをルーフシールドトンネル内からワイヤーソーにより切削してスリットを形成しつつ、該スリット内に遮水膜を引き込んでいって遮水膜壁を形成すると良い。その場合、ルーフシールドトンネルのセグメントにはワイヤーソーにより切削可能な切削部を予め設けておいて、その切削部をワイヤーソーにより切削しながら改良ゾーンを切削してスリットを形成すると良い。
また、ルーフシールドトンネル間に形成する改良ゾーンを凍結工法による凍結ゾーンとして形成する場合には、遮水膜壁を扁平な袋状の遮水膜により形成してその内部に断熱性を有する充填材を充填することが好ましい。
【0009】
さらに、ルーフシールドトンネルを形成するセグメントには、該ルーフシールドトンネルの内部に充填されるコンクリート中に埋設される鉄筋等の補強材、および該ルーフシールドトンネルどうしを連結する連結梁、ならびに一次覆工壁および二次覆工壁に埋設される鉄筋等の補強材を、それぞれセグメントに対して連結するための継ぎ手を予め設けておくと良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、分岐合流部の施工に際してその予定位置を取り囲むようにシールドルーフ先受工および改良ゾーンを形成するので、その内側においてシールドトンネルを拡幅して分岐合流部を施工するときに、地山に対する充分な支保性能や止水性能を確保しつつ分岐合流部を安全かつ効率的に施工することが可能であり、地表あるいは地中の既存構造物に対する万全な沈下防止と周辺の地下水保全を図ることができる。
特に、シールドルーフ先受工の構築を複数のルーフシールドトンネルを所定間隔で配列することで行うので、シールドルーフ先受工を充分に高剛性とできることはもとより、その施工は在来のシールド工法により容易にかつ精度良く施工でき、しかも施工するべき分岐合流部の形態や規模に応じてルーフシールドトンネルの本数やその配列を設定することにより最適なシールドルーフ先受工を構築することができる。
【0011】
加えて、本発明はシールドルーフ先受工を単に仮設として設けるのではなくそれを本設の覆工壁の一部として活用するものであって、各ルーフシールドトンネル内にコンクリートを充填するとともに隣り合うルーフシールドトンネルどうしを連結梁により連結したうえで、そのシールドルーフ先受工の内側に一次覆工壁および二次覆工壁を一体に形成することによって、それらの全体で頑強で構造安全性に優れた本設の覆工壁を施工でき、仮設のシールドルーフ先受工と本設の覆工壁とをそれぞれ別個に設ける場合に比べてコストダウンと施工性改善を図ることができる。
また、覆工壁の施工に際しては、それに先立ってまずルーフシールドトンネル間に遮水膜壁を形成するので充分な遮水性能を確保できるし、遮水膜壁の内側に連結梁と吹付コンクリートとによる一次覆工壁を形成するので改良ゾーンのクリープを低減できて充分な支保性能を確保することができる。
【0012】
さらに、遮水膜壁を施工する際にはルーフシールドトンネル内からワイヤーソーにより改良ゾーンを切削してスリットを切削しつつ遮水膜を引き込んでいくようにし、そのためにはルーフシールドトンネルのセグメントに切削部を予め設けておくことにより、遮水壁膜をルーフシールドトンネル内からの作業のみで効率的に施工することができる。
また、改良ゾーンを凍結工法による凍結ゾーンとして形成する場合には、遮水膜壁を袋状としてその内部に断熱材を充填することにより、その内側に後施工する一次覆工壁としての吹付コンクリートを凍結ゾーンと熱的に絶縁することができ、施工性および施工品質を改善することができる。
【0013】
また、ルーフシールドトンネルの内部および外部に対して鉄筋等の補強材を機械的に連結するための継ぎ手を予め設けておくことにより、ルーフシールドトンネル内への鉄筋の配筋作業や、その外部への連結梁の架設や鉄筋の配筋の作業性を改善できるし、それら補強材とルーフシールドトンネルの全体で形成される覆工壁を構造的に確実に一体化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のトンネル工法を都市圏における大深度・大断面の道路トンネルの施工に適用する場合の一実施形態を図1〜図14を参照して説明する。
本実施形態では、図1にその概要を示すように、本線シールドトンネル1とランプシールドトンネル2とをいずれも在来のシールド工法により施工するとともに、分岐合流部の施工予定位置の外側には予めシールドルーフ先受工3を施工し、その内側において、例えば本線シールドトンネル1の拡幅側の側壁の一部を撤去し、そこからバックホー等の掘削機械を搬入し、その掘削機械によって分岐合流部の拡幅部分を上方から下方に向かって掘削するとともに本線シールドトンネル1の側壁の不要部分を撤去し、最終的にシールドルーフ先受工の内側に楕円形状の覆工壁4(図3〜図6参照)を築造して分岐合流部を完成させることを基本とするものである。
なお、本実施形態では本線シールドトンネル1の直径がたとえば17m程度、ランプシールドトンネル2の直径がたとえば11m程度であることを想定している。また、本実施形態では、図2に示すように分岐合流部において本線シールドトンネル1を側方に3段階にわたって拡幅し、最終的には図3〜図5に示すように分岐合流部の各部の断面形状が前方に向かって漸次縮小するような横長楕円形状の覆工壁4を形成するものとしている。
【0015】
具体的には、本実施形態においては本線シールドトンネル1よりもランプシールドトンネル2を先行掘進し、図2に示すようにそのランプシールドトンネル2が分岐合流部の施工予定位置に少なくとも達するまで掘進を進めて停止させる。そして、ランプシールドトンネル2の先端部付近の側壁部からルーフシールド機(図示略)を発進させ、図7に示すように分岐合流部の施工予定位置の外側に複数(図示例では20本)のルーフシールドトンネル6を分岐合流部の輪郭に沿って所定間隔で配列した状態で施工し、それら複数のルーフシールドトンネル6の全体によってシールドルーフ先受工3を構成するものである。
なお、ルーフシールドトンネル6における所定間隔の配列とは、後述する凍結あるいは薬液による改良ゾーンが隣接するルーフシールドトンネル6間で支保あるいは止水としての作用効果を奏することができる程度の間隔である。これは地盤条件等を勘案して決められるものであるが、本実施形態では図示しているようにルーフシールドトンネル6を分岐合流部の輪郭に沿って充分に密に配列している。
【0016】
各ルーフシールドトンネル6は、小径(たとえば直径3m程度)のルーフシールド機を図2に示すようにランプシールドトンネル2の先端部付近のトンネル側壁部から発進させた後に前方に向けて急旋回させて分岐合流部の延長方向(トンネル軸方向)に沿うように施工されるものであるが、本実施形態では上述のように分岐合流部は前方に向かって漸次断面形状が縮小されていくことから、図3〜図5に示すように分岐合流部の断面形状に対応して各ルーフシールドトンネル6の相互間隔を前方にいくほど狭めていき、かつ図4〜図5に示すようにそれらの位置を半径方向に交互に若干ずらしていって、シールドルーフ先受工3の全体形状を全体として先細り形状としている。
【0017】
なお、各ルーフシールドトンネル6の施工に際してはルーフシールド機を1台ないし数台程度用意し、それをランプシールドトンネル2から順次発進させていき、分岐合流部の先端部に達したらスキンプレートおよびカッター装置等の外殻装置を残置して内部装置のみを回収し、回収した内部装置をランプシールドトンネル2内において新たな外殻装置に組み込むことで新たなルーフシールド機を組み立て、それを再び発進させれば良い。勿論、可能であれば全てのルーフシールドトンネル6をそれぞれ独立のルーフシールド機により同時に施工することでも良いし、あるいは、分岐合流部の先端部に達したルーフシールド機をそこからUターンさせて他のルーフシールドトンネル6を逆方向に連続的に施工することも考えられる。
また、ランプシールドトンネル2の側壁部からルーフシールド機を発進させるための手法としては、在来のシールドトンネルの側壁部からのシールド機の発進手法、および在来のシールドトンネルどうしのT字接合技術をそのまま採用可能である。
【0018】
上記のようなシールドルーフ先受工3の施工とは別に本線シールドトンネル1を掘進し、本線シールドトンネル1をシールドルーフ先受工3の内側を通過させる。また、各シールドトンネル6の内部に設置した凍結管(改良手段)7により周囲地山を凍結(改良)することにより、図8に示すようにルーフシールドトンネル6間にそれらを連結する状態で凍結ゾーン(改良ゾーン)8を形成する。
そして、上述したようにその内側において前述した掘削工法によって本線シールドトンネル1を側方に拡幅することにより分岐合流部を施工し、最終的にはその分岐合流部に対してランプシールドトンネル2の先端部を接合するのであるが、それに先立ってまず図9に示すように隣り合うルーフシールドトンネル6間に遮水膜壁11を施工する。
【0019】
遮水膜壁11の施工は、図13に示すようにルーフシールドトンネル6内にワイヤーソー12および遮水膜13を牽引するためのウインチ台車14を配置し、そのウインチ台車14によってワイヤーソー12を牽引していってルーフシールドトンネル6間に形成されている凍結ゾーン8をスリット状に切削し、それに後追いしてスリット内に遮水膜13を引き込んでいくことで行う。
なお、ルーフシールドトンネル6の内部からその外側の凍結ゾーン8をワイヤーソー12により切削する際には、同時にルーフシールドトンネル6のセグメントも切削していくことになるため、そのセグメントにはワイヤーソー12により切削可能な切削部15(図13参照)を予め形成しておくと良く、切削後には切削部15の内側に補強継手16(図6参照)を取り付けて補強すると良い。
また、遮水膜壁11を形成するための遮水膜13を薄い袋状としてその内部に断熱性を有する充填材を注入充填すれば、後段において遮水膜壁11の内側に形成する一次覆工壁24としての吹付コンクリート23と凍結ゾーン8とを遮水膜壁11によって熱的に絶縁することができ、したがって吹付コンクリート23の施工性を改善できるし施工品質を確保することができる。
【0020】
以上の工程を実施している間に本線シールドトンネル1の掘進を行い、本線シールドトンネル1がシールドルーフ先受工3の内側を通過した後には、図14(a)、(b)に示すようにルーフシールドトンネル6の両端部からその内側地山にボーリングを行って凍結管(改良手段)9を挿入し、図2に示すようにシールドルーフ先受工3の両端部の位置にも凍結ゾーン(改良ゾーン)10を形成する。
【0021】
以上により、分岐合流部の施工予定位置は、ルーフシールドトンネル6と凍結ゾーン8により構成されるシールドルーフ先受工3と、ルーフシールドトンネル6間に施工された遮水膜壁11と、端部(妻部)に施工された凍結ゾーン10とにより完全に取り囲まれてその外側の地山と隔絶される。
そこで、その内側において覆工壁4を施工するのであるが、上記のシールドルーフ先受工3を形成している各ルーフシールドトンネル6も覆工壁4の一部として活用するべく、覆工壁4の施工は図10〜図12に示す手順で行う。
【0022】
まず、図10に示すようにルーフシールドトンネル6内に鉄筋やPC鋼棒等の補強材20を配筋したうえで、ルーフシールドトンネル6内にコンクリート21を充填する。この工程は遮水膜壁11の施工が完了したルーフシールドトンネル6から順次行っていけば良い。
次いで、本線シールドトンネル1(あるいはランプシールドトンネル2)からその外側への切り拡げ掘削を開始して、図11に示すように隣り合うルーフシールドトンネル6間で遮水膜壁11の内側の凍結ゾーン8を掘削し、遮水膜壁11の内側に連結梁22を架設するとともに吹付コンクリート23を形成することによって、双方のルーフシールドトンネル6と連結梁22と吹付コンクリート23とによるアーチ形状の支保工としての一次覆工壁24を施工していく。
これにより、ルーフシールドトンネル6間の凍結ゾーン8の緩みとクリープ変形は充分に抑制される。また、この際には遮水膜壁11によってそこでの遮水性能は充分に確保され、かつ上記のように遮水膜壁11に断熱性を有する充填材を充填しておくと、吹付コンクリート23を凍結ゾーン8と熱的に絶縁してその施工性および施工品質を支障なく確保することができる。なお、いずれにしても吹付コンクリート23としては短時間で高強度が発現するものを使用することが好ましい。
【0023】
上記のようにして、各ルーフシールドトンネル6間に一次覆工壁24を順次形成していきつつシールドルーフ先受工3の内側を掘削していき、シールドルーフ先受工3の内側全体を掘削した後、図12に示すように一次覆工壁24の内側に鉄筋ないしPC鋼棒等の補強材25を組み立ててそれをルーフシールドトンネル6内に配筋した補強材20と接続する。
そして、移動型枠装置であるセントル(図示せず)を設置してコンクリートを打設して二次覆工壁26を施工することにより、ルーフシールドトンネル6と一次覆工壁24と二次覆工壁26との全体が一体となった頑強な複合構造の覆工壁4を施工する。
なお、覆工壁4の施工に際しては、上記のようにルーフシールドトンネル6の内外にそれぞれ鉄筋やPC鋼棒等の補強材20,25を配筋し、またルーフシールドトンネル6どうしを連結梁22により連結するので、ルーフシールドトンネル6のセグメントにはそれら補強材22,25や連結梁22を機械的に接合するための継ぎ手を予め設けておくと良く、それにより施工性を改善できるし、それらの全体を構造的に確実に一体化させることができる。
【0024】
以上で説明した工法によれば、分岐合流部の外側に多数のルーフシールドトンネル6からなるシールドルーフ先受工3を構築するとともに、その周囲および両端部内側に凍結ゾーン8,10を形成し、かつルーフシールドトンネル6間に遮水膜壁11を形成したうえでその内側において本線シールドトンネル1を拡幅することにより分岐合流部を施工し、その際にはルーフシールドトンネル6どうしを連結梁22により連結するとともにそこに一次覆工壁24を施工するので、分岐合流部の施工に際して地山に対する充分な支保性能と止水性能を確保でき、地表あるいは地中の既存構造物に対する万全な沈下防止と、万全な地下水保全を図ることができる。
また、複数のルーフシールドトンネル6からなる高剛性のシールドルーフ先受工3を単に仮設として設けるのではなく、その内部にコンクリート21を充填するとともにルーフシールドトンネル6どうしを連結梁22により相互に連結したうえで、その内側に設ける一次覆工壁24および二次覆工壁26と構造的に一体化するので、ルーフシールドトンネル6も本設の覆工壁4の一部として有効に機能してそれらの全体で頑強で構造安全性に優れた覆工壁4を構築することができる。勿論、シールドルーフ先受工3を単に仮設として設けて、本設の覆工壁4をそれとは独立に設ける場合に比べれば全体としてコストダウンと施工性改善を図ることができ、極めて合理的である。
【0025】
また、シールドルーフ先受工3を複数のルーフシールドトンネル6を密に配列することで構築するので、それを充分に高剛性とできるばかりでなく、分岐合流部の形状に対応する最適な断面形状のシールドルーフ先受工3を自由にかつ高精度で施工することができる。なお、本実施形態のようにルーフシールドトンネル6をアーチ状に配列し、それらの間に形成される凍結ゾーン8によってルーフシールドトンネル6どうしを一体に連結した構造とすれば、シールドルーフ先受工3の全体が特に高剛性で極めて安定な筒型の地中構造物として機能し、したがって特に優れた支保効果が得られる。
【0026】
また、本実施形態のようにランプシールドトンネル2を本線シールドトンネル1に先行させることにより、そのランプシールドトンネル2が分岐合流部の施工予定位置に達した時点でシールドルーフ先受工3の施工に早期着手できるとともに、それとの並行作業により本線シールドトンネル1の掘進が可能であるので、特に効率的な施工が可能であり、全体工期の短縮を充分に図ることができる。
さらに、本実施形態の工法は、基本的にはいずれも多くの実績のある在来のシールド工法や凍結工法、掘削工法を有機的に組み合わせるものであるから、安全性や信頼性に優れるばかりでなく、比較的低コストでの施工が可能であり、特に都市圏における大深度・大断面の道路トンネルを施工する際に適用して最適な工法であるといえる。
【0027】
以上で本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態はあくまで好適な一例に過ぎず、本発明は上記実施形態に限定されるものでは勿論ない。たとえば上記実施形態は都市圏における大深度・大断面の道路トンネルへの適用例であるが、本発明は分岐合流部を有するものであれば様々な規模、用途、形態のトンネルを施工する場合全般に広く適用できるものであるし、施工対象のトンネルにおける分岐合流部の規模や形態に応じて、また周辺環境等の諸条件を考慮して様々な設計的変更が可能である。たとえば、ルーフシールドトンネル6の本数やそれによるシールドルーフ先受工3の規模や形態は所望の先受効果を確保できる範囲で適宜変更して良いし、その周辺に形成する凍結ゾーン8,10の範囲、覆工壁4の形態やその施工方法、その他の各工程の細部についても、本発明の要旨を逸脱しない範囲で最適設計すれば良く、必要に応じて適宜の補助工法を採用しても勿論良い。
【0028】
なお、上記実施形態では、ルーフシールドトンネル6間やシールドルーフ先受工3の端部内側に施工される改良ゾーンは、凍結工法による凍結ゾーン8,10としたが、地下水圧があまりかからない場合等ではこの改良ゾーンを薬液注入によって改良しても良く、この工法の選択は地盤条件等によって適宜採用されるものである。
シールドルーフ先受工3の端部内側に施工される改良ゾーン(上記実施形態における凍結ゾーン10)にしても、上記実施形態ではその両端に施工するようにしたが、最大拡幅区間側の端部のみ改良を施して、最小拡幅区間の端部側は、拡幅断面が小さいことからルーフシールドトンネル6間に形成する改良ゾーン(上記実施形態における凍結ゾーン8)のみでその端部改良が兼用できれば、別途に端部改良を施さなくても良い。
なお、上記実施形態ではシールドルーフ先受工3の端部内側の凍結ゾーン10はルーフシールドトンネル6内から施工するようにしたが、全体工程の都合によっては(たとえばルーフシールドトンネル6内に早期にコンクリート21を充填するような場合には)、その施工を他の工法で行っても良い。
【0029】
さらに、上記実施形態では、ルーフシールドトンネル6を施工するためのルーフシールド機をランプシールドトンネル2から発進するようにしたが、それを本線シールドトンネル1から発進させるようにしても良い。この場合は、本線シールドトンネル1が分岐合流部拡幅区間付近に達したら、その後方において本線シールドトンネル1の側壁部からルーフシールド機を発進させるとともに、本線シールドトンネル1はそのまま掘進を進めるものである。そして、シールドルーフ先受工3を構築し、ルーフシールドトンネル6間やシールドルーフ先受工3の端部内側に改良ゾーンを形成し、ランプシールドトンネル2のシールド機が到達してから、前述の分岐合流部を拡幅施工するようにする。勿論、工期的に早急に分岐合流部を施工する必要が生じた場合は、本線シールドトンネル1とランプシールドトンネル2の双方からルーフシールド機を発進させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態であるトンネル工法の概要を示す図である。
【図2】同、分岐合流部の平面図である。
【図3】同、分岐合流部の断面図(図2におけるIII−III線視図)である。
【図4】同、分岐合流部の断面図(図2におけるIV−IV線視図)である。
【図5】同、分岐合流部の断面図(図2におけるV−V線視図)である。
【図6】同、覆工壁の詳細を示す部分断面図(図3におけるVI部拡大図)である。
【図7】同、施工手順を示す図であって、シールドルーフ先受工を施工した状態を示す図である。
【図8】同、凍結ゾーン(改良ゾーン)を施工した状態を示す図である。
【図9】同、遮水膜壁を施工した状態を示す図である。
【図10】同、ルーフシールドトンネル内にコンクリートを充填した状態を示す図である。
【図11】同、一次覆工壁を施工した状態を示す図である。
【図12】同、二次覆工壁を施工した状態を示す図である。
【図13】同、遮水膜壁を施工している状態を示す図である。
【図14】同、分岐合流部の両端部に凍結ゾーン(改良ゾーン)を施工している状態を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 本線シールドトンネル
2 ランプシールドトンネル
3 シールドルーフ先受工
4 覆工壁
6 ルーフシールドトンネル
7 凍結管(改良手段)
8 凍結ゾーン(改良ゾーン)
9 凍結管(改良手段)
10 凍結ゾーン(改良ゾーン)
11 遮水膜壁
12 ワイヤーソー
13 遮水膜
14 ウインチ台車
15 切削部
16 補強継手
20 補強材
21 コンクリート
22 連結梁
23 吹付コンクリート
24 一次覆工壁
25 補強材
26 二次覆工壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシールドトンネルどうしの分岐合流部を施工するに際し、いずれかのシールドトンネルからルーフシールド機を発進させて施工するべき分岐合流部の外側にその延長方向に沿う複数のルーフシールドトンネルを分岐合流部の輪郭に沿って所定間隔で配列した状態で施工することにより、分岐合流部を取り囲むシールドルーフ先受工を構築し、それらルーフシールドトンネルの内部から周囲地山を改良してルーフシールドトンネル間に改良ゾーンを形成した後、前記シールドルーフ先受工および前記改良ゾーンにより囲まれた空間の内側においてシールドトンネルを拡幅して分岐合流部の覆工壁を構築することによって分岐合流部を施工するトンネル工法であって、
分岐合流部の覆工壁を構築するに先立って、ルーフシールドトンネル内部から隣り合うルーフシールドトンネル間の地山を切削して遮水膜壁を形成するとともに、ルーフシールドトンネル内にコンクリートを充填し、
覆工壁の構築に際しては、前記遮水膜壁の内側において隣り合うルーフシールドトンネル間を掘削して、ルーフシールドトンネルどうしを連結する連結梁を架設するとともに吹付コンクリートによる一次覆工壁を形成し、
該一次覆工壁の内側に、該一次覆工壁および各ルーフシールドトンネルと一体に二次覆工壁を形成することによって分岐合流部の覆工壁を構築することを特徴とするトンネル工法。
【請求項2】
請求項1記載のトンネル工法であって、
ルーフシールドトンネルを形成するセグメントにはワイヤーソーにより切削可能な切削部を予め設けておき、
ルーフシールドトンネル間に遮水膜壁を形成するに際しては、ルーフシールドトンネル内から前記切削部とともにルーフシールドトンネル間の改良ゾーンをワイヤーソーにより切削することによりスリットを形成しつつ、該スリット内に遮水膜を引き込んでいって遮水膜壁を形成することを特徴とするトンネル工法。
【請求項3】
請求項2に記載のトンネル工法であって、
ルーフシールドトンネル間に形成する改良ゾーンを凍結工法による凍結ゾーンとして形成し、
ルーフシールドトンネル間に形成する遮水膜壁を扁平な袋状の遮水膜により形成するとともに、該袋状の遮水膜内に断熱性を有する充填材を充填することを特徴とするトンネル工法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のトンネル工法であって、
ルーフシールドトンネルを形成するセグメントには、該ルーフシールドトンネルの内部に充填されるコンクリート中に埋設される鉄筋等の補強材、および該ルーフシールドトンネルどうしを連結する連結梁、ならびに一次覆工壁および二次覆工壁に埋設される鉄筋等の補強材を、それぞれセグメントに対して連結するための継ぎ手を予め設けておくことを特徴とするトンネル工法。
【請求項1】
複数のシールドトンネルどうしの分岐合流部を施工するに際し、いずれかのシールドトンネルからルーフシールド機を発進させて施工するべき分岐合流部の外側にその延長方向に沿う複数のルーフシールドトンネルを分岐合流部の輪郭に沿って所定間隔で配列した状態で施工することにより、分岐合流部を取り囲むシールドルーフ先受工を構築し、それらルーフシールドトンネルの内部から周囲地山を改良してルーフシールドトンネル間に改良ゾーンを形成した後、前記シールドルーフ先受工および前記改良ゾーンにより囲まれた空間の内側においてシールドトンネルを拡幅して分岐合流部の覆工壁を構築することによって分岐合流部を施工するトンネル工法であって、
分岐合流部の覆工壁を構築するに先立って、ルーフシールドトンネル内部から隣り合うルーフシールドトンネル間の地山を切削して遮水膜壁を形成するとともに、ルーフシールドトンネル内にコンクリートを充填し、
覆工壁の構築に際しては、前記遮水膜壁の内側において隣り合うルーフシールドトンネル間を掘削して、ルーフシールドトンネルどうしを連結する連結梁を架設するとともに吹付コンクリートによる一次覆工壁を形成し、
該一次覆工壁の内側に、該一次覆工壁および各ルーフシールドトンネルと一体に二次覆工壁を形成することによって分岐合流部の覆工壁を構築することを特徴とするトンネル工法。
【請求項2】
請求項1記載のトンネル工法であって、
ルーフシールドトンネルを形成するセグメントにはワイヤーソーにより切削可能な切削部を予め設けておき、
ルーフシールドトンネル間に遮水膜壁を形成するに際しては、ルーフシールドトンネル内から前記切削部とともにルーフシールドトンネル間の改良ゾーンをワイヤーソーにより切削することによりスリットを形成しつつ、該スリット内に遮水膜を引き込んでいって遮水膜壁を形成することを特徴とするトンネル工法。
【請求項3】
請求項2に記載のトンネル工法であって、
ルーフシールドトンネル間に形成する改良ゾーンを凍結工法による凍結ゾーンとして形成し、
ルーフシールドトンネル間に形成する遮水膜壁を扁平な袋状の遮水膜により形成するとともに、該袋状の遮水膜内に断熱性を有する充填材を充填することを特徴とするトンネル工法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のトンネル工法であって、
ルーフシールドトンネルを形成するセグメントには、該ルーフシールドトンネルの内部に充填されるコンクリート中に埋設される鉄筋等の補強材、および該ルーフシールドトンネルどうしを連結する連結梁、ならびに一次覆工壁および二次覆工壁に埋設される鉄筋等の補強材を、それぞれセグメントに対して連結するための継ぎ手を予め設けておくことを特徴とするトンネル工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−274705(P2008−274705A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122213(P2007−122213)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
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