トンネル施工情報投影システム
【課題】トンネル施工時、切り羽面に表示する情報量を増大させることができ、トンネル施工の支援に大きく資することが可能なトンネル施工情報投影システムを提供する。
【解決手段】本発明のトンネル施工情報投影システムは、トンネル施工時、切り羽面に対し施工に関連する情報を投影することで、トンネル施工の支援を行うトンネル施工情報投影システムにおいて、前記切り羽面に投影するデータを記憶するパーソナルコンピューター20と、前記パーソナルコンピューター20と接続され、前記パーソナルコンピューター20からの入力に基づいて前記切り羽面に投影を行うプロジェクター10と、規定の基準点を前記切り羽面に照射するトータルステーション30と、からなり、前記パーソナルコンピューター20は、前記トータルステーション30によって照射された前記切り羽面上の前記基準点に基づいて前記データを補正し、投影用の補正データを生成し、前記補正データを前記プロジェクター10に入力することを特徴とする。
【解決手段】本発明のトンネル施工情報投影システムは、トンネル施工時、切り羽面に対し施工に関連する情報を投影することで、トンネル施工の支援を行うトンネル施工情報投影システムにおいて、前記切り羽面に投影するデータを記憶するパーソナルコンピューター20と、前記パーソナルコンピューター20と接続され、前記パーソナルコンピューター20からの入力に基づいて前記切り羽面に投影を行うプロジェクター10と、規定の基準点を前記切り羽面に照射するトータルステーション30と、からなり、前記パーソナルコンピューター20は、前記トータルステーション30によって照射された前記切り羽面上の前記基準点に基づいて前記データを補正し、投影用の補正データを生成し、前記補正データを前記プロジェクター10に入力することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの掘削工事において用いられ、トンネルの切り羽面に施工情報を投影するトンネル施工情報投影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にトンネルの掘削工事では、トンネル切り羽に削孔を穿設し、これに火薬を装薬し、爆破した後、ズリ出し、当たり取り、支保工、一次覆工、ロックボルトの打設を行う。これを1サイクルとして、大体1.5m前後のピッチで掘削の施工サイクルを繰り返し行って掘進する。
【0003】
切り羽面に対して、トンネルの施工に関連する情報を示すことができれば、施工の効率を向上させることができるので、これまでいくつかそのような提案がなされてきた。例えば、特許文献1(特開平5−79841号公報)には、トンネル切り羽面に発破孔などをレーザーによってマーキングする技術が開示されている。
【特許文献1】特開平5−79841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のシステムにおいては、切り羽へのマーキングのためにレーザーが用いられるので、基本的にスポット状の表示を1箇所において行えるのみであり、トンネル施工を支援するため、切り羽に表示する情報量が非常に限定的である、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような問題を解決するために、請求項1に係る発明は、トンネル施工時、切り羽面に対し施工に関連する情報を投影することで、トンネル施工の支援を行うトンネル施工情報投影システムにおいて、前記切り羽面に投影するデータを記憶するパーソナルコンピューターと、前記パーソナルコンピューターと接続され、前記パーソナルコンピューターからの入力に基づいて前記切り羽面に投影を行うプロジェクターと、規定の基準点を前記切り羽面に照射するトータルステーションと、からなり、前記パーソナルコンピューターは、前記トータルステーションによって照射された前記切り羽面上の前記基準点に基づいて前記データを補正し、投影用の補正データを生成し、前記補正データを前記プロジェクターに入力することを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のトンネル施工情報投影システムにおいて、前記データが設計断面形状データであることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載のトンネル施工情報投影システムにおいて、前記データが設計断面形状データからオフセットしたデータであることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る発明は、請求項1に記載のトンネル施工情報投影システムにおいて、前記データがロックボルト施工データであることを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に係る発明は、請求項1に記載のトンネル施工情報投影システムにおいて、前記データが削孔位置工データであることを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に係る発明は、請求項1に記載のトンネル施工情報投影方法において、前記データが作業情報データであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のトンネル施工情報投影システムによれば、トンネル施工時、切り羽面に表示する情報量を増大させることができるので、トンネル施工の支援に大きく資することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るトンネル施工情報投影システムの概略構成例を説明する図である。
【図2】第1パーソナルコンピューターが記憶保持するトンネル設計データの構造を説明する図である。
【図3】掘進距離(TD)を取得する工程の手順を説明するフローである。
【図4】補正処理のために基準点を合わせる作業を行っている様子を示す図である。
【図5】基準点情報を第1パーソナルコンピューターに取り込むための基準点取得処理のフローチャートを示す図である。
【図6】原データから投影用データへのデータ補正を概念的に説明する図である。
【図7】本発明の実施形態に係るトンネル施工情報投影システムにおける投影処理のフローチャート(その1)を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るトンネル施工情報投影システムにおける投影処理のフローチャート(その2)を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るトンネル施工情報投影システムにおける投影処理のフローチャート(その3)を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係るトンネル施工情報投影システムによる投影表示例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係るトンネル施工情報投影システムによる投影表示例を示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係るトンネル施工情報投影システムによる投影表示例を示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係るトンネル施工情報投影システムによる投影表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施形態に係るトンネル施工情報投影システムの概略構成例を説明する図である。
【0014】
図1はトンネル掘削工事における切り羽付近で、本実施形態に係るトンネル施工情報投影システムを用いて、切り羽面に各種情報を投影表示する際の状況を示している。本実施形態に係るトンネル施工情報投影システムによって、トンネルの切り羽面に施工情報を投影することで、施工支援を行うものである。
【0015】
本実施形態に係るトンネル施工情報投影システムにおいては、切り羽面に各種情報を投影表示するためにプロジェクター10を用いる。プロジェクター10としては、パーソナルコンピューターと接続可能で、当該パーソナルコンピューターから入力される画像データを投影表示することが可能であれば、どのようなものも用いることができるが、ある程度の光量の光源をもったものを用いることが好ましい。
【0016】
プロジェクター10へ画像データ等を入力するために第1パーソナルコンピューター20が用いられる。この第1パーソナルコンピューター20としては現在普及している汎用
のものを用いることができる。第1パーソナルコンピューター20のハードディスクなどの記憶部には、トンネル設計データが記憶される。第1パーソナルコンピューター20が記憶保持するトンネル設計データの構造を図2に示す。このようなトンネル設計データとしては、「線形データ」及びこれを補完する「補完データ」とから構成されている。「線形データ」には、トンネルの掘進距離(TD:Tunnel Distance)に応じた「縦断データ」、「横断データ」、「設計断面形状データ」が記憶される。これらの「線形データ」に属する各データは、トンネル施工の発注に基づくデータである。
【0017】
また、「補完データ」としては、トンネルの掘進距離(TD)に応じた「ロックボルト施工データ」、「補正用基準点データ」、「作業情報データ」、「削孔位置データ」とから構成されている。「削孔位置データ」以外のデータは、トンネルの施工準備段階で用意され得るデータであるが、「削孔位置データ」はトンネルを掘り進むうちに蓄積されるログデータである。
【0018】
上記のデータのうち、「設計断面形状データ」は掘進距離(TD)に対応する設計断面の形状を記憶するデータである。また、「ロックボルト施工データ」は掘進距離(TD)に対応したロックボルト施工に関連する情報を保持するデータである。このようなデータは、打設するロックボルトの本数、それぞれのロックボルト打設角度などを含むものである。
【0019】
また、「補正用基準点データ」は、掘削断面内の点データである。例えば、任意に接地したプロジェクターによって、先の掘削断面形状データを、そのまま投影すると、本来の掘削断面形状を投影表示することができない。そこで、本実施形態に係るトンネル施工情報投影システムにおいては、補正用の基準点データをトータルステーションによって照射させて、この照射された点とプロジェクター10が発する輝点とを一致させることで、第1パーソナルコンピューター20側で基準点の位置を取得する。取得された基準点に基づいて、掘削断面形状データを補正し、これをプロジェクター10によって投影表示し、本来の掘削断面形状の投影表示を行うようにする。
【0020】
また、「作業情報データ」は、切り羽面に対しプロジェクター10によって投影表示を行うテキストデータである。このような「作業情報データ」には、例えば、トンネル施工における工程などを記述したテキストデータなどを含めることができる。
【0021】
「削孔位置データ」は、発破のための爆薬を装填するために穿設される削孔の位置に関するデータである。この削孔位置は、切り羽の状態をみて、経験的に選択されるものであるので、トンネルを掘り進む間に適宜に設定され、トンネル設計データに順次追加記憶される。
【0022】
トータルステーション30としては、同ステーションとレーザー光を照射した地点との間の距離・角度を計測する機能、及び、所定の位置座標が入力されると、当該位置座標を通過するレーザー光を発する機能を有するものであれば、どのようなものを用いても構わない。このようなトータルステーション30には一般的に、外部の情報処理装置と接続可能なインターフェイスが設けられており、本実施形態においては、第2パーソナルコンピューター40が接続されるようになっている。第2パーソナルコンピューター40はトータルステーション30の制御を行うと共に、先の第1パーソナルコンピューター20と無線通信、或いは有線通信などによって、データ通信を行い得るように設定されている。
【0023】
なお、本実施形態においては、トンネル設計データを第1パーソナルコンピューター20に記憶させておき、このトンネル設計データの「補正用基準点データ」を第2パーソナルコンピューター40側にデータ送信して、これに基づいてトータルステーション30を
制御するようにしたが、必ずしもこのようなシステム構成に限定される分けではない。例えば、第2パーソナルコンピューター40側にも、トンネル設計データを記憶保持するようにして、第1パーソナルコンピューター20から第2パーソナルコンピューター40側に「補正用基準点データ」を送信する処理を省略するようにしてもよい。
【0024】
以上のように構成される本実施形態に係るトンネル施工情報投影システムのセッティング及び初期情報取得について説明する。本実施形態に係るトンネル施工情報投影システムを利用しようとする場合には、まず、図1に示すように各機器を設置する。このとき、プロジェクター10については、なるべくセンターライン上に設置する。以後、設置したプロジェクター10及びトータルステーション30については、今回表示を行う切り羽面に対して、プロジェクター10による表示を全て終えるまで移動させないようにする。
【0025】
次に、上記のようにセッティングを確定させてから、次に表示のための基準情報となるトンネルの掘進距離(TD)を取得する工程を実行する。図3は掘進距離(TD)を取得する工程の手順を説明するフローである。
【0026】
図3において、ステップS100で工程が開始されると、次のステップS101の工程では、トンネルの掘進方向の後方にある位置座標が既に知られている数点のターゲット位置からトータルステーション30の位置座標を特定する。
【0027】
続く、ステップS102の工程においては、トータルステーション30と切り羽との間の距離Lを測定する。そして、ステップS103の工程においては、トータルステーション30の位置座標と、距離Lとから掘進距離(TD)を演算する。以後、この掘進距離(TD)に基づいて、トンネル設計データを参照する。ステップS104では、掘進距離(TD)の取得工程を終了する。
【0028】
次に、以上のように構成される本実施形態に係るトンネル施工情報投影システムにおいては、切り羽面に種々の情報を投影情報する前段として、プロジェクター10設置後、掘削断面形状データなどを投影する際の補正データを作成するための基準点を数点取得する必要がある。なお、基準点としては4点取得することが好ましいが、プロジェクター10をセンターライン上に設置することができれば、取得する基準点を3点に減らすこともできる。
【0029】
図4は、本実施形態に係るトンネル施工情報投影システムにおいて、補正処理のために基準点を合わせる作業を行っている様子を示す図である。また、図5は基準点情報を第1パーソナルコンピューターに取り込むための基準点取得処理のフローチャートを示す図である。
【0030】
基準点取得のためには、まず第1パーソナルコンピューター20から、掘進距離TDに対応した補正用基準点データ(例として、ここでは(X1,Y1)とする)を、トンネル設計データから取得して、これを第2パーソナルコンピューター40側に送信する。
【0031】
次に、第2パーソナルコンピューター40は、受信した補正用基準点データに基づいて、切り羽面に対して当該基準点を照射する。ここで、切り羽面に形成される照射点をTS1とする。
【0032】
一方、プロジェクター10からは、切り羽面に対して1つの輝点P1を投影表示する。
この輝点P1は、第1パーソナルコンピューター20のポインティングデバイスの入力に
応じて移動するようにプログラムされている。また、輝点P1は、トンネル設計データが
記憶している「掘削断面形状データ」を規定するために用いられるオリジナルの座標系上
の位置に基づいて、投影されるようになっている。
【0033】
次に、図5の基準点取得処理のフローチャートについて説明する。このフローチャートは、第1パーソナルコンピューター20によって実行されるものである。ステップS200で基準点取得のための処理が開始されると、続くステップS201においては、 第2パーソナルコンピューター40に対して、補正用の基準点(X1,Y1)を送信する。第1パーソナルコンピューター20から補正用基準点(X1,Y1)を受信した第2パーソナルコンピューター40は、これに基づいて、トータルステーション30が(X1,Y1)を照射して照射点TS1を形成するように制御する。
【0034】
ステップS202においては、第1パーソナルコンピューター20は輝点P1を投影す
るように入力データをプロジェクター10に送信する。
【0035】
ステップS203においては、照射点TS1と輝点P1の一致が確認されたときに押下することが想定されているGUI上のボタンが押下されたか否かが判定される。ステップS203における判定がYESである場合にはステップS204に進む。一方、NOである場合にはステップS206に進み、ポインティングデバイスからの入力に応じて輝点P1
を移動する制御を行う。
【0036】
確認ボタンが押下された時に進み、ステップS204においては、当該輝点P1と対応
するオリジナル座標系上の点(x1,y1)を基準点として記憶する処理を実行する。これにより、オリジナル座標系上の点(x1,y1)と、投影データ補正用の基準点(X1,Y1)との対応関係を把握することが可能となる。
【0037】
ステップS205では、掘進距離TDに対応する全ての基準点について、取得処理がなされたかが判定される。ステップS205における判定がNOである場合には、ステップS207に進み、次の基準点をトンネル設計データから取得して、再びステップS201に戻る。一方、ステップS205における判定がYESである場合には、ステップS208に進み、処理を終了する。
【0038】
以上のような基準点取得処理を所定の掘進距離の切り羽面に対して、例えば4点行うことで、図6に示すようなオリジナル座標系と、投影用座標系との対応関係を把握することができるようになる。これに基づいて、例えば、オリジナルの座標系で規定されている掘削断面形状データを、投影用の座標系に補正して、投影用の掘削断面形状データを生成することが可能となる。図6はオリジナル座標系に基づく原データから投影用データへのデータ補正を概念的に説明する図である。なお、オリジナル座標系から投影用座標系への補正処理のためのアルゴリズムは従来周知のものを適宜選択して用いることができる。
【0039】
以上のように、補正用の基準点を第1パーソナルコンピューター20に取り込んだ後の投影処理について説明する。本実施形態に係るトンネル施工情報投影システムにおいては、複数の表示モードの下、種々のデータを切り羽面に投影することができるようになっている。図7及び図8は本発明の実施形態に係るトンネル施工情報投影システムにおける投影処理のフローチャートを示す図である。このフローチャートは第1パーソナルコンピューター20によって処理されるものである。
【0040】
ステップS300で、投影処理が開始されると、続いて、ステップS301に進み、ユーザーにより、設計断面形状ラインの表示モードが要求されているか否かが判定される。ステップS301による判定がYESであるときには、ステップS302に進み、トンネル設計データに記憶されているオリジナルの設計断面形状データを、投影用の設計断面形状データに補正してプロジェクター10によって投影する。ステップS302による投影
により切り羽面に表示されるものは例えば、図10のL1に示すようなものとなる。ユーザーからモード変更指示がある場合には、ステップS303による判定で、ステップS301に進む。
【0041】
ステップS304においては、ユーザーにより、吹き付けラインの表示モードが要求されているか否かが判定される。ステップS304による判定がYESであるときには、ステップS305に進み、トンネル設計データに記憶されているオリジナルの設計断面形状データを外周にaオフセットしたデータを作成し、さらにこのデータを投影用のデータに補正してプロジェクター10によって投影する。ステップS305による投影により切り羽面に表示されるものは例えば、図10のL2に示すようなものとなる。ユーザーからモード変更指示がある場合には、ステップS306による判定で、ステップS301に進む。
【0042】
ステップS307においては、ユーザーにより、掘削断面形状ラインの表示モードが要求されているか否かが判定される。ステップS307による判定がYESであるときには、ステップS308に進み、トンネル設計データに記憶されているオリジナルの設計断面形状データを外周にbオフセットしたデータを作成し、さらにこのデータを投影用のデータに補正してプロジェクター10によって投影する。ステップS305による投影により切り羽面に表示されるものは例えば、図10のL3に示すようなものとなる。ユーザーからモード変更指示がある場合には、ステップS309による判定で、ステップS301に進む。
【0043】
ステップS310においては、ユーザーにより、ロックボルト表示モードが要求されているか否かが判定される。ステップS310による判定がYESであるときには、ステップS311に進み、トンネル設計データに記憶されているオリジナルのロックボルト施工データを、投影用のロックボルト施工データに補正してプロジェクター10によって投影する。ステップS311による投影により切り羽面に表示されるものは例えば、図11のLbに示すようなものとなる。ユーザーからモード変更指示がある場合には、ステップS312による判定で、ステップS301に進む。
【0044】
ステップS313においては、ユーザーにより、削孔表示モードが要求されているか否かが判定される。ステップS313による判定がYESであるときには、ステップS314に進み、第1パーソナルコンピューター20のディスプレイに削孔位置入力画面を表示する。この削孔位置入力画面は切り羽面を模したものであり、掘削断面形状データに基づいて作成することができる。この表示画面からユーザーは、切り羽面における、削孔を設ける位置をポインティングデバイスなどによって入力することができるようになっている。
【0045】
ステップS315で、ユーザーによって削孔位置の入力が全て完了したかを否かを判定する。当該判定がYESであると、ステップS316に進み、ユーザーによって入力された削孔位置データをトンネル設計データに追加する。このような削孔位置データをトンネル設計データにログすることによって、施工中の情報をトンネル設計データに残しておくことが可能となる。ステップS317においては、トンネル設計データに記憶した削孔位置データを、投影用のロックボルト施工データに補正してプロジェクター10によって投影する。ステップS317による投影により切り羽面に表示されるものは例えば、図12のHに示すようなものとなる。ユーザーからモード変更指示がある場合には、ステップS318による判定で、ステップS301に進む。
【0046】
テップS319で、ユーザーにより、作業情報表示モードが要求されているか否かが判定される。ステップS319による判定がYESであるときには、ステップS320に進
み、トンネル設計データに記憶されているテキストデータである作業情報データを取得して、これをプロジェクター10によって投影する。
【0047】
ステップS320による投影により切り羽面に表示されるものは例えば、図13のMに
示すようなものとなる。ユーザーからモード変更指示がある場合には、ステップS321による判定で、ステップS301に進む。
【0048】
なお、本実施形態においては、作業情報表示モードで表示する情報を、トンネル設計データに記憶されているテキストデータであることを例に説明したが、作業情報表示モードで表示する情報については、第1パーソナルコンピューター20から適宜入力された情報を表示するように構成することもできる。このような構成によれば、例えば、緊急で作業員に報知すべき事項などを第1パーソナルコンピューター20から入力し、即座に切り羽面に表示させることができる。
【0049】
ステップS322においては、ユーザーによって処理終了が要求されたか否かが判定される。当該判定がYESであるときにはステップS323に進み、処理を終了する。
【0050】
以上のような本発明のトンネル施工情報投影システムによれば、トンネル施工時、切り羽面に表示する情報量を増大させることができるので、トンネル施工の支援に大きく資することが可能となる。
【0051】
なお、上記の実施形態においては、プロジェクター10により設計断面形状ライン、吹き付けライン、掘削断面形状ライン、ロックボルト情報、削孔情報、作業情報を投影表示する場合につき説明したが、本発明のトンネル施工情報投影システムでは、これらに限らず、その他の種々の情報を切り羽面に投影表示するように設定することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
10・・・プロジェクター
20・・・第1パーソナルコンピューター
30・・・トータルステーション
40・・・第2パーソナルコンピューター
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの掘削工事において用いられ、トンネルの切り羽面に施工情報を投影するトンネル施工情報投影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にトンネルの掘削工事では、トンネル切り羽に削孔を穿設し、これに火薬を装薬し、爆破した後、ズリ出し、当たり取り、支保工、一次覆工、ロックボルトの打設を行う。これを1サイクルとして、大体1.5m前後のピッチで掘削の施工サイクルを繰り返し行って掘進する。
【0003】
切り羽面に対して、トンネルの施工に関連する情報を示すことができれば、施工の効率を向上させることができるので、これまでいくつかそのような提案がなされてきた。例えば、特許文献1(特開平5−79841号公報)には、トンネル切り羽面に発破孔などをレーザーによってマーキングする技術が開示されている。
【特許文献1】特開平5−79841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のシステムにおいては、切り羽へのマーキングのためにレーザーが用いられるので、基本的にスポット状の表示を1箇所において行えるのみであり、トンネル施工を支援するため、切り羽に表示する情報量が非常に限定的である、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような問題を解決するために、請求項1に係る発明は、トンネル施工時、切り羽面に対し施工に関連する情報を投影することで、トンネル施工の支援を行うトンネル施工情報投影システムにおいて、前記切り羽面に投影するデータを記憶するパーソナルコンピューターと、前記パーソナルコンピューターと接続され、前記パーソナルコンピューターからの入力に基づいて前記切り羽面に投影を行うプロジェクターと、規定の基準点を前記切り羽面に照射するトータルステーションと、からなり、前記パーソナルコンピューターは、前記トータルステーションによって照射された前記切り羽面上の前記基準点に基づいて前記データを補正し、投影用の補正データを生成し、前記補正データを前記プロジェクターに入力することを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のトンネル施工情報投影システムにおいて、前記データが設計断面形状データであることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載のトンネル施工情報投影システムにおいて、前記データが設計断面形状データからオフセットしたデータであることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る発明は、請求項1に記載のトンネル施工情報投影システムにおいて、前記データがロックボルト施工データであることを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に係る発明は、請求項1に記載のトンネル施工情報投影システムにおいて、前記データが削孔位置工データであることを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に係る発明は、請求項1に記載のトンネル施工情報投影方法において、前記データが作業情報データであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のトンネル施工情報投影システムによれば、トンネル施工時、切り羽面に表示する情報量を増大させることができるので、トンネル施工の支援に大きく資することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るトンネル施工情報投影システムの概略構成例を説明する図である。
【図2】第1パーソナルコンピューターが記憶保持するトンネル設計データの構造を説明する図である。
【図3】掘進距離(TD)を取得する工程の手順を説明するフローである。
【図4】補正処理のために基準点を合わせる作業を行っている様子を示す図である。
【図5】基準点情報を第1パーソナルコンピューターに取り込むための基準点取得処理のフローチャートを示す図である。
【図6】原データから投影用データへのデータ補正を概念的に説明する図である。
【図7】本発明の実施形態に係るトンネル施工情報投影システムにおける投影処理のフローチャート(その1)を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るトンネル施工情報投影システムにおける投影処理のフローチャート(その2)を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るトンネル施工情報投影システムにおける投影処理のフローチャート(その3)を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係るトンネル施工情報投影システムによる投影表示例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係るトンネル施工情報投影システムによる投影表示例を示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係るトンネル施工情報投影システムによる投影表示例を示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係るトンネル施工情報投影システムによる投影表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施形態に係るトンネル施工情報投影システムの概略構成例を説明する図である。
【0014】
図1はトンネル掘削工事における切り羽付近で、本実施形態に係るトンネル施工情報投影システムを用いて、切り羽面に各種情報を投影表示する際の状況を示している。本実施形態に係るトンネル施工情報投影システムによって、トンネルの切り羽面に施工情報を投影することで、施工支援を行うものである。
【0015】
本実施形態に係るトンネル施工情報投影システムにおいては、切り羽面に各種情報を投影表示するためにプロジェクター10を用いる。プロジェクター10としては、パーソナルコンピューターと接続可能で、当該パーソナルコンピューターから入力される画像データを投影表示することが可能であれば、どのようなものも用いることができるが、ある程度の光量の光源をもったものを用いることが好ましい。
【0016】
プロジェクター10へ画像データ等を入力するために第1パーソナルコンピューター20が用いられる。この第1パーソナルコンピューター20としては現在普及している汎用
のものを用いることができる。第1パーソナルコンピューター20のハードディスクなどの記憶部には、トンネル設計データが記憶される。第1パーソナルコンピューター20が記憶保持するトンネル設計データの構造を図2に示す。このようなトンネル設計データとしては、「線形データ」及びこれを補完する「補完データ」とから構成されている。「線形データ」には、トンネルの掘進距離(TD:Tunnel Distance)に応じた「縦断データ」、「横断データ」、「設計断面形状データ」が記憶される。これらの「線形データ」に属する各データは、トンネル施工の発注に基づくデータである。
【0017】
また、「補完データ」としては、トンネルの掘進距離(TD)に応じた「ロックボルト施工データ」、「補正用基準点データ」、「作業情報データ」、「削孔位置データ」とから構成されている。「削孔位置データ」以外のデータは、トンネルの施工準備段階で用意され得るデータであるが、「削孔位置データ」はトンネルを掘り進むうちに蓄積されるログデータである。
【0018】
上記のデータのうち、「設計断面形状データ」は掘進距離(TD)に対応する設計断面の形状を記憶するデータである。また、「ロックボルト施工データ」は掘進距離(TD)に対応したロックボルト施工に関連する情報を保持するデータである。このようなデータは、打設するロックボルトの本数、それぞれのロックボルト打設角度などを含むものである。
【0019】
また、「補正用基準点データ」は、掘削断面内の点データである。例えば、任意に接地したプロジェクターによって、先の掘削断面形状データを、そのまま投影すると、本来の掘削断面形状を投影表示することができない。そこで、本実施形態に係るトンネル施工情報投影システムにおいては、補正用の基準点データをトータルステーションによって照射させて、この照射された点とプロジェクター10が発する輝点とを一致させることで、第1パーソナルコンピューター20側で基準点の位置を取得する。取得された基準点に基づいて、掘削断面形状データを補正し、これをプロジェクター10によって投影表示し、本来の掘削断面形状の投影表示を行うようにする。
【0020】
また、「作業情報データ」は、切り羽面に対しプロジェクター10によって投影表示を行うテキストデータである。このような「作業情報データ」には、例えば、トンネル施工における工程などを記述したテキストデータなどを含めることができる。
【0021】
「削孔位置データ」は、発破のための爆薬を装填するために穿設される削孔の位置に関するデータである。この削孔位置は、切り羽の状態をみて、経験的に選択されるものであるので、トンネルを掘り進む間に適宜に設定され、トンネル設計データに順次追加記憶される。
【0022】
トータルステーション30としては、同ステーションとレーザー光を照射した地点との間の距離・角度を計測する機能、及び、所定の位置座標が入力されると、当該位置座標を通過するレーザー光を発する機能を有するものであれば、どのようなものを用いても構わない。このようなトータルステーション30には一般的に、外部の情報処理装置と接続可能なインターフェイスが設けられており、本実施形態においては、第2パーソナルコンピューター40が接続されるようになっている。第2パーソナルコンピューター40はトータルステーション30の制御を行うと共に、先の第1パーソナルコンピューター20と無線通信、或いは有線通信などによって、データ通信を行い得るように設定されている。
【0023】
なお、本実施形態においては、トンネル設計データを第1パーソナルコンピューター20に記憶させておき、このトンネル設計データの「補正用基準点データ」を第2パーソナルコンピューター40側にデータ送信して、これに基づいてトータルステーション30を
制御するようにしたが、必ずしもこのようなシステム構成に限定される分けではない。例えば、第2パーソナルコンピューター40側にも、トンネル設計データを記憶保持するようにして、第1パーソナルコンピューター20から第2パーソナルコンピューター40側に「補正用基準点データ」を送信する処理を省略するようにしてもよい。
【0024】
以上のように構成される本実施形態に係るトンネル施工情報投影システムのセッティング及び初期情報取得について説明する。本実施形態に係るトンネル施工情報投影システムを利用しようとする場合には、まず、図1に示すように各機器を設置する。このとき、プロジェクター10については、なるべくセンターライン上に設置する。以後、設置したプロジェクター10及びトータルステーション30については、今回表示を行う切り羽面に対して、プロジェクター10による表示を全て終えるまで移動させないようにする。
【0025】
次に、上記のようにセッティングを確定させてから、次に表示のための基準情報となるトンネルの掘進距離(TD)を取得する工程を実行する。図3は掘進距離(TD)を取得する工程の手順を説明するフローである。
【0026】
図3において、ステップS100で工程が開始されると、次のステップS101の工程では、トンネルの掘進方向の後方にある位置座標が既に知られている数点のターゲット位置からトータルステーション30の位置座標を特定する。
【0027】
続く、ステップS102の工程においては、トータルステーション30と切り羽との間の距離Lを測定する。そして、ステップS103の工程においては、トータルステーション30の位置座標と、距離Lとから掘進距離(TD)を演算する。以後、この掘進距離(TD)に基づいて、トンネル設計データを参照する。ステップS104では、掘進距離(TD)の取得工程を終了する。
【0028】
次に、以上のように構成される本実施形態に係るトンネル施工情報投影システムにおいては、切り羽面に種々の情報を投影情報する前段として、プロジェクター10設置後、掘削断面形状データなどを投影する際の補正データを作成するための基準点を数点取得する必要がある。なお、基準点としては4点取得することが好ましいが、プロジェクター10をセンターライン上に設置することができれば、取得する基準点を3点に減らすこともできる。
【0029】
図4は、本実施形態に係るトンネル施工情報投影システムにおいて、補正処理のために基準点を合わせる作業を行っている様子を示す図である。また、図5は基準点情報を第1パーソナルコンピューターに取り込むための基準点取得処理のフローチャートを示す図である。
【0030】
基準点取得のためには、まず第1パーソナルコンピューター20から、掘進距離TDに対応した補正用基準点データ(例として、ここでは(X1,Y1)とする)を、トンネル設計データから取得して、これを第2パーソナルコンピューター40側に送信する。
【0031】
次に、第2パーソナルコンピューター40は、受信した補正用基準点データに基づいて、切り羽面に対して当該基準点を照射する。ここで、切り羽面に形成される照射点をTS1とする。
【0032】
一方、プロジェクター10からは、切り羽面に対して1つの輝点P1を投影表示する。
この輝点P1は、第1パーソナルコンピューター20のポインティングデバイスの入力に
応じて移動するようにプログラムされている。また、輝点P1は、トンネル設計データが
記憶している「掘削断面形状データ」を規定するために用いられるオリジナルの座標系上
の位置に基づいて、投影されるようになっている。
【0033】
次に、図5の基準点取得処理のフローチャートについて説明する。このフローチャートは、第1パーソナルコンピューター20によって実行されるものである。ステップS200で基準点取得のための処理が開始されると、続くステップS201においては、 第2パーソナルコンピューター40に対して、補正用の基準点(X1,Y1)を送信する。第1パーソナルコンピューター20から補正用基準点(X1,Y1)を受信した第2パーソナルコンピューター40は、これに基づいて、トータルステーション30が(X1,Y1)を照射して照射点TS1を形成するように制御する。
【0034】
ステップS202においては、第1パーソナルコンピューター20は輝点P1を投影す
るように入力データをプロジェクター10に送信する。
【0035】
ステップS203においては、照射点TS1と輝点P1の一致が確認されたときに押下することが想定されているGUI上のボタンが押下されたか否かが判定される。ステップS203における判定がYESである場合にはステップS204に進む。一方、NOである場合にはステップS206に進み、ポインティングデバイスからの入力に応じて輝点P1
を移動する制御を行う。
【0036】
確認ボタンが押下された時に進み、ステップS204においては、当該輝点P1と対応
するオリジナル座標系上の点(x1,y1)を基準点として記憶する処理を実行する。これにより、オリジナル座標系上の点(x1,y1)と、投影データ補正用の基準点(X1,Y1)との対応関係を把握することが可能となる。
【0037】
ステップS205では、掘進距離TDに対応する全ての基準点について、取得処理がなされたかが判定される。ステップS205における判定がNOである場合には、ステップS207に進み、次の基準点をトンネル設計データから取得して、再びステップS201に戻る。一方、ステップS205における判定がYESである場合には、ステップS208に進み、処理を終了する。
【0038】
以上のような基準点取得処理を所定の掘進距離の切り羽面に対して、例えば4点行うことで、図6に示すようなオリジナル座標系と、投影用座標系との対応関係を把握することができるようになる。これに基づいて、例えば、オリジナルの座標系で規定されている掘削断面形状データを、投影用の座標系に補正して、投影用の掘削断面形状データを生成することが可能となる。図6はオリジナル座標系に基づく原データから投影用データへのデータ補正を概念的に説明する図である。なお、オリジナル座標系から投影用座標系への補正処理のためのアルゴリズムは従来周知のものを適宜選択して用いることができる。
【0039】
以上のように、補正用の基準点を第1パーソナルコンピューター20に取り込んだ後の投影処理について説明する。本実施形態に係るトンネル施工情報投影システムにおいては、複数の表示モードの下、種々のデータを切り羽面に投影することができるようになっている。図7及び図8は本発明の実施形態に係るトンネル施工情報投影システムにおける投影処理のフローチャートを示す図である。このフローチャートは第1パーソナルコンピューター20によって処理されるものである。
【0040】
ステップS300で、投影処理が開始されると、続いて、ステップS301に進み、ユーザーにより、設計断面形状ラインの表示モードが要求されているか否かが判定される。ステップS301による判定がYESであるときには、ステップS302に進み、トンネル設計データに記憶されているオリジナルの設計断面形状データを、投影用の設計断面形状データに補正してプロジェクター10によって投影する。ステップS302による投影
により切り羽面に表示されるものは例えば、図10のL1に示すようなものとなる。ユーザーからモード変更指示がある場合には、ステップS303による判定で、ステップS301に進む。
【0041】
ステップS304においては、ユーザーにより、吹き付けラインの表示モードが要求されているか否かが判定される。ステップS304による判定がYESであるときには、ステップS305に進み、トンネル設計データに記憶されているオリジナルの設計断面形状データを外周にaオフセットしたデータを作成し、さらにこのデータを投影用のデータに補正してプロジェクター10によって投影する。ステップS305による投影により切り羽面に表示されるものは例えば、図10のL2に示すようなものとなる。ユーザーからモード変更指示がある場合には、ステップS306による判定で、ステップS301に進む。
【0042】
ステップS307においては、ユーザーにより、掘削断面形状ラインの表示モードが要求されているか否かが判定される。ステップS307による判定がYESであるときには、ステップS308に進み、トンネル設計データに記憶されているオリジナルの設計断面形状データを外周にbオフセットしたデータを作成し、さらにこのデータを投影用のデータに補正してプロジェクター10によって投影する。ステップS305による投影により切り羽面に表示されるものは例えば、図10のL3に示すようなものとなる。ユーザーからモード変更指示がある場合には、ステップS309による判定で、ステップS301に進む。
【0043】
ステップS310においては、ユーザーにより、ロックボルト表示モードが要求されているか否かが判定される。ステップS310による判定がYESであるときには、ステップS311に進み、トンネル設計データに記憶されているオリジナルのロックボルト施工データを、投影用のロックボルト施工データに補正してプロジェクター10によって投影する。ステップS311による投影により切り羽面に表示されるものは例えば、図11のLbに示すようなものとなる。ユーザーからモード変更指示がある場合には、ステップS312による判定で、ステップS301に進む。
【0044】
ステップS313においては、ユーザーにより、削孔表示モードが要求されているか否かが判定される。ステップS313による判定がYESであるときには、ステップS314に進み、第1パーソナルコンピューター20のディスプレイに削孔位置入力画面を表示する。この削孔位置入力画面は切り羽面を模したものであり、掘削断面形状データに基づいて作成することができる。この表示画面からユーザーは、切り羽面における、削孔を設ける位置をポインティングデバイスなどによって入力することができるようになっている。
【0045】
ステップS315で、ユーザーによって削孔位置の入力が全て完了したかを否かを判定する。当該判定がYESであると、ステップS316に進み、ユーザーによって入力された削孔位置データをトンネル設計データに追加する。このような削孔位置データをトンネル設計データにログすることによって、施工中の情報をトンネル設計データに残しておくことが可能となる。ステップS317においては、トンネル設計データに記憶した削孔位置データを、投影用のロックボルト施工データに補正してプロジェクター10によって投影する。ステップS317による投影により切り羽面に表示されるものは例えば、図12のHに示すようなものとなる。ユーザーからモード変更指示がある場合には、ステップS318による判定で、ステップS301に進む。
【0046】
テップS319で、ユーザーにより、作業情報表示モードが要求されているか否かが判定される。ステップS319による判定がYESであるときには、ステップS320に進
み、トンネル設計データに記憶されているテキストデータである作業情報データを取得して、これをプロジェクター10によって投影する。
【0047】
ステップS320による投影により切り羽面に表示されるものは例えば、図13のMに
示すようなものとなる。ユーザーからモード変更指示がある場合には、ステップS321による判定で、ステップS301に進む。
【0048】
なお、本実施形態においては、作業情報表示モードで表示する情報を、トンネル設計データに記憶されているテキストデータであることを例に説明したが、作業情報表示モードで表示する情報については、第1パーソナルコンピューター20から適宜入力された情報を表示するように構成することもできる。このような構成によれば、例えば、緊急で作業員に報知すべき事項などを第1パーソナルコンピューター20から入力し、即座に切り羽面に表示させることができる。
【0049】
ステップS322においては、ユーザーによって処理終了が要求されたか否かが判定される。当該判定がYESであるときにはステップS323に進み、処理を終了する。
【0050】
以上のような本発明のトンネル施工情報投影システムによれば、トンネル施工時、切り羽面に表示する情報量を増大させることができるので、トンネル施工の支援に大きく資することが可能となる。
【0051】
なお、上記の実施形態においては、プロジェクター10により設計断面形状ライン、吹き付けライン、掘削断面形状ライン、ロックボルト情報、削孔情報、作業情報を投影表示する場合につき説明したが、本発明のトンネル施工情報投影システムでは、これらに限らず、その他の種々の情報を切り羽面に投影表示するように設定することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
10・・・プロジェクター
20・・・第1パーソナルコンピューター
30・・・トータルステーション
40・・・第2パーソナルコンピューター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル施工時、切り羽面に対し施工に関連する情報を投影することで、トンネル施工の支援を行うトンネル施工情報投影システムにおいて、
前記切り羽面に投影するデータを記憶するパーソナルコンピューターと、
前記パーソナルコンピューターと接続され、前記パーソナルコンピューターからの入力に基づいて前記切り羽面に投影を行うプロジェクターと、
規定の基準点を前記切り羽面に照射するトータルステーションと、からなり、
前記パーソナルコンピューターは、前記トータルステーションによって照射された前記切り羽面上の前記基準点に基づいて前記データを補正し、投影用の補正データを生成し、前記補正データを前記プロジェクターに入力することを特徴とするトンネル施工情報投影システム。
【請求項2】
前記データが設計断面形状データであることを特徴とする請求項1に記載のトンネル施工情報投影システム。
【請求項3】
前記データが設計断面形状データからオフセットしたデータであることを特徴とする請求項1に記載のトンネル施工情報投影システム。
【請求項4】
前記データがロックボルト施工データであることを特徴とする請求項1に記載のトンネル施工情報投影システム。
【請求項5】
前記データが削孔位置工データであることを特徴とする請求項1に記載のトンネル施工情報投影システム。
【請求項6】
前記データが作業情報データであることを特徴とする請求項1に記載のトンネル施工情報投影方法。
【請求項1】
トンネル施工時、切り羽面に対し施工に関連する情報を投影することで、トンネル施工の支援を行うトンネル施工情報投影システムにおいて、
前記切り羽面に投影するデータを記憶するパーソナルコンピューターと、
前記パーソナルコンピューターと接続され、前記パーソナルコンピューターからの入力に基づいて前記切り羽面に投影を行うプロジェクターと、
規定の基準点を前記切り羽面に照射するトータルステーションと、からなり、
前記パーソナルコンピューターは、前記トータルステーションによって照射された前記切り羽面上の前記基準点に基づいて前記データを補正し、投影用の補正データを生成し、前記補正データを前記プロジェクターに入力することを特徴とするトンネル施工情報投影システム。
【請求項2】
前記データが設計断面形状データであることを特徴とする請求項1に記載のトンネル施工情報投影システム。
【請求項3】
前記データが設計断面形状データからオフセットしたデータであることを特徴とする請求項1に記載のトンネル施工情報投影システム。
【請求項4】
前記データがロックボルト施工データであることを特徴とする請求項1に記載のトンネル施工情報投影システム。
【請求項5】
前記データが削孔位置工データであることを特徴とする請求項1に記載のトンネル施工情報投影システム。
【請求項6】
前記データが作業情報データであることを特徴とする請求項1に記載のトンネル施工情報投影方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−23960(P2013−23960A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161571(P2011−161571)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(599098127)株式会社ソーキ (28)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(599098127)株式会社ソーキ (28)
【Fターム(参考)】
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