Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
トンネル施工方法
説明

トンネル施工方法

【課題】 従来のECL工法では、覆工コンクリートの厚さを厚くする必要があり、覆工コンクリートの構築に要するコンクリート消費量が多くなるという課題があった。
【解決手段】 シールド掘進機1で地山20を掘削して掘進するとともに掘削孔21の内周面33とシールド掘進機1の後部に設けた内型枠30との間に生コンクリート80を流し込んで一次覆工コンクリート90を構築してトンネルを形成するトンネル施工方法において、一次覆工コンクリート90の厚さを、100mm以上でかつ施工予定のトンネルの内径寸法の1%以上5%未満の厚さに構築し、所定の長さ分の一次覆工コンクリート90を構築した後、当該構築後の一次覆工コンクリート90の部分に対応する地山20の安定を確認した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はシールド掘進機で地山を掘削して掘進するとともに一次覆工コンクリートを構築してトンネルを形成するトンネル施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シールド掘進機で地山を掘削して掘進するとともに掘削孔の内周面とシールド掘進機の後部に設けた内型枠との間に生コンクリートを流し込んで一次覆工コンクリートを構築してトンネルを形成するトンネル施工方法、いわゆる、ECL工法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−28190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のようなECL工法では、地山の土圧・水圧に耐える強度の高品質の覆工コンクリートを構築する必要があるので、一般的には、覆工コンクリートの厚さを施工予定のトンネルの内径寸法の5〜10%にする必要がある。よって、特許文献1のようなECL工法では、覆工コンクリートの厚さを厚くする必要があり、覆工コンクリートの構築に要するコンクリート消費量が多くなるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のトンネル施工方法は、シールド掘進機で地山を掘削して掘進するとともに掘削孔の内周面とシールド掘進機の後部に設けた内型枠との間に生コンクリートを流し込んで一次覆工コンクリートを構築してトンネルを形成するトンネル施工方法において、一次覆工コンクリートの厚さを、100mm以上でかつ施工予定のトンネルの内径寸法の1%以上5%未満の厚さに構築したことを特徴とする。
また、シールド掘進機で地山を掘削して掘進するとともに掘削孔の内周面とシールド掘進機の後部に設けた内型枠との間に生コンクリートを流し込んで一次覆工コンクリートを構築してトンネルを形成するトンネル施工方法において、所定の長さ分の一次覆工コンクリートを構築した後、当該構築後の一次覆工コンクリートの部分に対応する地山の安定を確認したことを特徴とする。
また、シールド掘進機で地山を掘削して掘進するとともに掘削孔の内周面とシールド掘進機の後部に設けた内型枠との間に生コンクリートを流し込んで一次覆工コンクリートを構築してトンネルを形成するトンネル施工方法において、一次覆工コンクリートの厚さを、100mm以上でかつ施工予定のトンネルの内径寸法の1%以上5%未満の厚さに構築し、所定の長さ分の一次覆工コンクリートを構築した後、当該構築後の一次覆工コンクリートの部分に対応する地山の安定を確認したことを特徴とする。
また、地山の安定を確認できた場合には、上記構築後の一次覆工コンクリートの内側にシートを設置して、シートの内側に二次覆工コンクリートを構築したことを特徴とする。
また、地山の安定を確認できなかった場合には、上記構築後の一次覆工コンクリートに対して支保工を構築し、これにより、地山の安定を確認してから当該一次覆工コンクリートの内側にシートを設置して、シートの内側に二次覆工コンクリートを構築したことを特徴とする。
また、掘削孔の内周面とシールド掘進機の後部に設けた内型枠との間のコンクリート充填空間に生コンクリートを供給するコンクリートポンプを設け、コンクリート充填空間に供給される生コンクリートとして高流動性生コンクリートを用いたことを特徴とする。
また、掘削孔の内周面とシールド掘進機の後部に設けた内型枠との間のコンクリート充填空間に生コンクリートを供給する複数のコンクリートポンプを設けるとともに、コンクリート充填空間に生コンクリートを流し込むためのコンクリート打設口をコンクリートポンプの数と同数以上設け、1つ1つのコンクリートポンプを管でそれぞれ異なる1以上のコンクリート打設口に繋ぎ、この複数のコンクリート打設口を介してコンクリート充填空間に生コンクリートを流し込んだことを特徴とする。
また、掘削孔の内周面とシールド掘進機の後部に設けた内型枠との間のコンクリート充填空間に充填された生コンクリートの圧力をコンクリート充填空間内に設置された計測機で計測し、これによりコンクリート充填空間に充填された生コンクリートの圧力を所定圧に調整したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、一次覆工コンクリートの厚さを、100mm以上でかつ施工予定のトンネルの内径寸法の1%以上5%未満の厚さに構築したので、一次覆工コンクリートの厚さを施工予定のトンネルの内径寸法の5〜10%にする必要のあるECL工法に比べて、一次覆工コンクリートの構築に要するコンクリート消費量を少なくできる。また、所定長さ分の一次覆工コンクリートを構築した後に、当該一次覆工コンクリートの部分に対応する地山の安定を確認することで、地山自身で地山を支保させる構造を実現できるので、一次覆工コンクリートの厚みを薄くすることが可能となり、したがって、一次覆工コンクリートの構築に要するコンクリート消費量を少なくできる。また、一次覆工コンクリートの厚さを、100mm以上でかつ施工予定のトンネルの内径寸法の1%以上5%未満の厚さに構築し、所定の長さ分の一次覆工コンクリートを構築した後、当該構築後の一次覆工コンクリートの部分に対応する地山の安定を確認したので、一次覆工コンクリートの構築に要するコンクリート消費量を確実に少なくできる。すなわち、本発明ではECL工法にNATMの理論を導入したため、比較的柔らかい地山において、支保工が大掛かりとなるNATM工法、上述したように一次覆工コンクリートの構築に要するコンクリート消費量が多くなるECL工法、コストの高いセグメントを用いたシールド工法に比べて、経済的に有利なトンネル施工を実現できる。そして、地山の安定を確認できた場合には、上記構築後の一次覆工コンクリートの内側にシートを設置して二次覆工コンクリートを構築したので、一次覆工コンクリートと二次覆工コンクリートとがシートにより分離される。すなわち、シートにより一次覆工コンクリートと二次覆工コンクリートとの縁が切れるので、一次覆工コンクリートからのせん断力が二次覆工コンクリートに伝わることを防止できる。地山の安定を確認できなかった場合には、支保工により地山を安定させて地山の安定を確認した後に二次覆工コンクリートを構築するので、地山の崩落を防止できる。生コンクリートとして高流動性生コンクリートを用いたり、コンクリート充填空間に生コンクリートを流し込むために複数のコンクリートポンプを用いて複数のコンクリート打設口を介してコンクリート充填空間に生コンクリートを流し込むことで、コンクリート充填空間内に短時間で均等に高密度に生コンクリートを充填でき、掘削孔の内周面と密着しかつ一体化した高密度構造の一次覆工コンクリートを構築できて、上述したような地山自身で地山を支保させる構造を実現させやすくなる。即ち、コンクリート充填空間内に高密度に充填された生コンクリートが掘削孔の内周面を固めて固化し内周面と一体化した一次覆工コンクリートが支保工として作用するので、厚さの薄い一次覆工コンクリートによっても、地山自身で地山を支保させる構造を実現でき、一次覆工コンクリートの構築に要するコンクリート消費量を少なくできる。また、コンクリート充填空間に流し込まれた生コンクリートの圧力を計測することで、コンクリート充填空間に流し込まれた生コンクリートの圧力調整を容易にでき、掘削孔の内周面と密着しかつ一体化した高密度構造の一次覆工コンクリートを構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は本形態の方法に使用する密閉型のシールド掘進機を示し、図2はコンクリート供給管とプレスリングに形成されたコンクリート打設口との関係を示し、図3は完成したトンネルの断面を示す。
【0007】
図1に示すように、本形態の方法に使用する密閉型のシールド掘進機1は、前端に回転切削部2を有し、回転切削部2の後部には後方に延長する円筒状のテールプレート3を備える。テールプレート3の内側には複数の推進ジャッキ4とプレスジャッキ5とが設けられ、プレスジャッキ5の後端5aに取付けられてテールプレート3の内周面3aに沿って前後に移動可能なプレスリング7を備える。プレスリング7は、テールプレート3の内周面3aと後述する単位内型枠30の外周面34との間を塞いだ状態でプレスジャッキ5の伸縮で前後に移動可能な構成物であり、後述するコンクリート充填空間100を形成するとともにコンクリート充填空間100に流入した高流動性生コンクリート80を加圧するものである。8はシールド掘進機1の推進に伴って図外の牽引手段で牽引されるコンクリート供給装置である。このコンクリート供給装置8は例えば高流動性生コンクリート80を生成する1台のレミキサー81とこのレミキサー81に接続管82で繋がれた6台のコンクリートポンプ83とで構成される。高流動性生コンクリート80は、例えば、24時間材齢が15N/mm以上、スランプフローが60±5cm、PH11.5以下のものを用いる。プレスリング7には、前後面に貫通するコンクリート打設口9が図2に示すように周方向に等間隔で例えば12個形成される。各コンクリートポンプ83のコンクリート排出口10には第1コンクリート供給ホース11が接続され、このホース11の終端には二方切替弁12が接続され、この二方切替弁12の2つの排出口13;13とそれぞれ1つのコンクリート打設口9とが第2コンクリート供給ホース14;14で接続される。第2コンクリート供給ホース14における終端側には油圧シリンダピストン等による塞止弁装置15が設けられる。塞止弁装置15の塞止弁15aが第2コンクリート供給ホース14と打設口9とを繋ぐ接続通路14a内に進退移動して接続通路14aを開閉する。接続通路14aに近い第2コンクリート供給ホース14の終端側にはこの第2コンクリート供給ホース14内の管内圧力を計測する管内圧力計16が設けられる。また、プレスリング7の後面7aにおける12箇所のそれぞれ打設口9の近傍、あるいは12箇所のうちの少なくとも1つの打設口9の近傍には、コンクリート充填空間100に充填された生コンクリートの圧力を計測するためのコンクリート圧力計17が設けられる。
【0008】
本形態のトンネル施工方法を図1〜図3に基いて説明する。まず、シールド掘進機1を一定距離だけ掘進させて地山(地盤/岩盤)20に掘削孔21を掘る。一定距離は例えば円筒形状に組み立てられる単位内型枠30の筒長31(例えば1m〜2m程度)の長さ+シールド掘進機1の前後長さ32である。シールド掘進機1を一定距離だけ掘進させた後にシールド掘進機1の推進ジャッキ4の後端4aに上記単位内型枠30(30A)を取付ける。そして、単位内型枠30(30A)で反力をとって推進ジャッキ4でシールド掘進機1を推進させて地山20を掘削するとともに、掘削孔21の円形の内周面33とこの内周面33と対向する単位内型枠30(30A)の円形の外周面34との間の円筒形状のコンクリート充填空間100にプレスリング7の後面7aの周囲の12箇所の打設口9を介してコンクリートポンプ83で加圧された高流動性生コンクリート80を流し込みながらプレスジャッキ5でプレスリング7を押圧して高流動性生コンクリート80を加圧する。そして、人がコンクリート圧力計17から送信されてくる圧力値をモニタ等で監視しながらコンクリート充填空間100に流し込まれた高流動性生コンクリート80の圧力が予め決められた所定値になったら人が塞止弁15aの操作部を操作して塞止弁15aで接続通路14aを塞いで、コンクリート充填空間100内の高流動性生コンクリート80を固化させる。したがって、6個のコンクリートポンプ83を用い、プレスリング7の後面7aの周囲の12箇所の打設口9からコンクリート充填空間100に高流動性生コンクリート80を充填するので、複数のコンクリートポンプ83での圧力付加と複数の打設口9からの高流動性生コンクリート80の流し込みと高流動性生コンクリート80の高流動性とにより、コンクリート充填空間100内に短時間で均等に高密度に高流動性生コンクリート80を充填でき、掘削孔21の内周面33(地山20)と密着して一体化した高密度構造の一次覆工コンクリート90を構築できる。また、打設口9の数と同数のコンクリートポンプ83を設け、1つのコンクリートポンプ83で1つの打設口9から高流動性生コンクリート80を打設してもよいが、実施形態のように打設口9の数の1/2の数のコンクリートポンプ83を用いて1つのコンクリートポンプ83に2つの打設口9を繋ぐことにより、コンクリートポンプ83の数を減らして多くの打設口9から打設できるので経済的である。また、コンクリート圧力計17を備えたので、コンクリート充填空間100内に流し込まれた高流動性生コンクリート80の圧力監視制御を容易に行える。また、コンクリート圧力計17からの信号を判読して塞止弁15aを開閉する図外の制御装置を設ければ、塞止弁15aの開閉を自動化できる。なお、最初の一次覆工コンクリート90は掘削孔21の入口22に図外の塞板を設置して構築する。
【0009】
以後、推進ジャッキを単位内型枠30(30A)から外して、ジャッキを縮める。そして、新たな単位内型枠30(30B)を推進ジャッキと前の単位内型枠30(30A)に設置し、推進ジャッキ4の後端4aを掘削するとともに、掘削孔21の内周面33とこの内周面33と対向する単位内型枠30(30B)の外周面34との間のコンクリート充填空間100に上記と同様に高流動性生コンクリート80を流し込んで固化させて、掘削孔21の内周面33(地山20)と密着して一体化した高密度構造の一次覆工コンクリート90を構築する。以後同様の方法で一次覆工コンクリート90を構築していく。尚、単位内型枠30は例えば十数個用いた後は、一番後方の単位内型枠30を取り外して図外の移動手段で最前方に移動させて推進ジャッキ4の後端4aに取付けて作業を行う。
【0010】
図3に示すように、一次覆工コンクリート90の構築を終えた部分のトンネル底盤部91には一次インバート92及び二次インバート93を構築する。尚、一次インバート92の構築後に一次インバート92の上に中央排水溝94を形成し、一次覆工コンクリート90と一次インバート92との境目に側排水溝95を形成し、中央排水溝94と側排水溝95とを排水管96で繋ぐ。
【0011】
所定長さ分の一次覆工コンクリート90を構築した後、例えば、1日に構築した1m〜2m程度の長さの一次覆工コンクリート90の構築作業の終了後に、その1日で構築した一次覆工コンクリート90の変位を一次覆工終了から所定時間経過するまでに図外の測量システム等で計測して、当該構築後の一次覆工コンクリート90の変形が収束した状態を示していれば、当該構築後の一次覆工コンクリート90の部分に対応する地山20が安定していると判断する。地山20が安定しているか否かの判定基準数値は実績、現場の地山の状態等から予め決めておく。当該構築後の一次覆工コンクリート90の部分に対応する地山20の安定を確認した後、第1,第2インバートを構築した後のその判定対象の構築後の一次覆工コンクリート90の上半円の内面90aに図外のシート貼り台車等でシート97を取付ける。そして、シート97の下端97aと側排水溝95とを止水板98で繋ぐ。その後、図外のスライドセントルでシート97の内側97bに二次覆工コンクリート99を構築する。よって、シート97により一次覆工コンクリート90と二次覆工コンクリート99とが分離され、シート97により一次覆工コンクリート90と二次覆工コンクリート99との縁が切れるので、一次覆工コンクリート90からのせん断力が二次覆工コンクリート99に伝わることを防止でき、さらに、地山20から湧き出た水はシート97を伝って止水板98に流れ、側排水溝95、排水管96、中央排水溝94に排水されるので、地山20からの水を適切に排水できる。以上のようにして、トンネルを構築できる。
【0012】
本形態によれば、所定長さ分の構築後の一次覆工コンクリート90の所定時間経過後において変形が収束している状態、つまり、当該構築後の一次覆工コンクリート90の部分に対応する地山20の安定を確認することで、地山自身で地山を支保させる構造が一次覆工コンクリート90で実現されていることになる。したがって、当該地山自身で地山20を支保させる構造を実現させることで、一次覆工コンクリート90の厚みは薄くてもよい。したがって、一次覆工コンクリート90の厚さを、100mm以上でかつ施工予定のトンネルの内径寸法(図3のトンネルの中心Cから二次覆工コンクリート99の内面までの長さrの2倍の長さ、すなわち、施工予定のトンネルの半径rの2倍の長さ)の1%以上5%未満の厚さとして、一次覆工コンクリート90の構築に要するコンクリート消費量を少なくできるようにした。例えば、施工予定のトンネルの内径寸法が11mの場合に、ECL工法では一次覆工コンクリート90の厚さは少なくとも11mの5%である550mm程度必要であるのに対し、本形態では一次覆工コンクリート90の厚さを11mの3%である330mm程度とできる。したがって、本形態では、一次覆工コンクリート90の構築に要するコンクリート消費量を少なくできる。この場合、テールプレート3の外周径と内型枠30の外周径との差が660mm程度になるような寸法の内型枠30を作成しておいて使用する。尚、地山20を支えるために一次覆工コンクリート90の厚さを100mm以上とする。
【0013】
上記測量システム等での計測で、構築後の一次覆工コンクリート90の変形が収束しない状態を示していれば、地山自身で地山を支保させる構造が一次覆工コンクリート90で実現されていないことになるので、当該一次覆工コンクリート90の内面から地山20に図外のロックボルトを打ち込んだり、当該一次覆工コンクリート90の内面に図外の鋼製支保工を取付けたりする、支保工を構築してから、地山20の安定を確認した後に、上述のシート97の取付けと二次覆工コンクリート99の構築作業を行う。このように、支保工により地山20を安定させてから二次覆工コンクリートを構築するので、地山20の崩落を防止できる。このように、地山自身で地山20を支保させる構造が一次覆工コンクリート90で実現されていない場合のデータを残しておき、さらに掘進した場合の一次覆工コンクリート90の構築作業に反映させることで、以後の一次覆工コンクリート90の構築による地山20の安定化対策を図ることが可能となる。地山自身で地山を支保させる構造が一次覆工コンクリート90で実現されていない場合のデータにより、例えば、コンクリート充填圧が低いと考えられる場合には、コンクリートポンプ83の圧力を高くして高流動性生コンクリート80の流出圧力調整を行って、掘削孔21の内周面33(地山20)とより密着して一体化させた高密度構造の一次覆工コンクリート90を構築するようにして地山20の安定化対策を図ることが可能となる。尚、コンクリート充填圧の最終的な調整は、コンクリート圧力計17での圧力検出に基づく塞止弁15aの開閉制御により実現でき、地山20の安定化対策を容易に行える。
【0014】
本形態では、ある長さ分の一次覆工コンクリート90を構築した後に、当該一次覆工コンクリート90の部分に対応する地山20の安定を確認することで、地山20自身で地山20を支保させる構造を実現させる。これにより、一次覆工コンクリート90の厚みを薄くすることが可能となり、一次覆工コンクリート90の構築に要するコンクリート消費量を少なくできる。すなわち、言い換えるならば、ECL工法にNATM工法の理論を導入したトンネル施工方法を提案している。つまり、NATM工法の導入の根本的な考え方は、断面アーチ状に形成されたトンネルは本来地山が安定していれば地山自身が地山を支えるので潰れないという考え方である。ただし、実際の現場では地質の状態や湧水の発生などにより地山が崩壊してしまうので、実際のNATM工法では、コンクリート吹付け、ロックボルトの打ち込み、鋼製支保工等の支保工の構築により地山を安定させて崩落を防ぐというものである。本形態では、ECL工法において一次覆工コンクリートの構築で地山20の安定が確保されればよいというNATM工法の根本思想を取り入れている。よって、地山20の安定が確保されればよいことから、一次覆工コンクリート90の構築についても、本来のECL工法の覆工コンクリートのように覆工コンクリート自体で地山20の土圧・水圧に耐える強度の高品質の覆工コンクリートを構築する必要性がなくなり、よって、一次覆工コンクリート90の厚みを薄くすることを可能とでき、一次覆工コンクリート90の構築に要するコンクリート消費量を少なくできる。例えば、比較的柔らかい地山20においてトンネルを施工する場合、本来のNATM工法で施工を行う場合には支保工が大掛かりとなり、また、ECL工法では上述したように覆工コンクリートの構築に要するコンクリート消費量が多くなり、シールド工法では高価なセグメントを用いるため、いずれの工法でも経済的に不利であるが、本形態によれば、これら工法に比べて経済的に有利なトンネル施工を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
地山20の安定を確認できれば、一次覆工コンクリート90でトンネルの構造体を完成させることのできる可能性がある。例えば、上記では、一次覆工コンクリートを無筋コンクリートで構築したが、一次覆工コンクリートを鉄筋コンクリートや繊維補強コンクリートで構築することで、一次覆工コンクリートでトンネルの構造体を完成させることのできる可能性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の最良の形態によるトンネル施工方法に使用する密閉型のシールド掘進機を示す断面図。
【図2】同形態のトンネル施工方法に使用する密閉型のシールド掘進機のコンクリート供給ホースとプレスリングに形成されたコンクリート打設口との関係を示す図。
【図3】同形態のトンネル施工方法により完成したトンネルの断面図。
【符号の説明】
【0017】
1 シールド掘進機、4a 推進ジャッキの後端(シールド掘進機の後部)、
9 コンクリート打設口、15 塞止弁、20 地山、21 掘削孔、
30 単位内型枠(内型枠)、33 掘削孔の内周面、
80 高流動性生コンクリート、83 コンクリートポンプ、
90 一次覆工コンクリート、97 シート、
99 二次覆工コンクリート、100 コンクリート充填空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド掘進機で地山を掘削して掘進するとともに掘削孔の内周面とシールド掘進機の後部に設けた内型枠との間に生コンクリートを流し込んで一次覆工コンクリートを構築してトンネルを形成するトンネル施工方法において、一次覆工コンクリートの厚さを、100mm以上でかつ施工予定のトンネルの内径寸法の1%以上5%未満の厚さに構築したことを特徴とするトンネル施工方法。
【請求項2】
シールド掘進機で地山を掘削して掘進するとともに掘削孔の内周面とシールド掘進機の後部に設けた内型枠との間に生コンクリートを流し込んで一次覆工コンクリートを構築してトンネルを形成するトンネル施工方法において、所定の長さ分の一次覆工コンクリートを構築した後、当該構築後の一次覆工コンクリートの部分に対応する地山の安定を確認したことを特徴とするトンネル施工方法。
【請求項3】
シールド掘進機で地山を掘削して掘進するとともに掘削孔の内周面とシールド掘進機の後部に設けた内型枠との間に生コンクリートを流し込んで一次覆工コンクリートを構築してトンネルを形成するトンネル施工方法において、一次覆工コンクリートの厚さを、100mm以上でかつ施工予定のトンネルの内径寸法の1%以上5%未満の厚さに構築し、所定の長さ分の一次覆工コンクリートを構築した後、当該構築後の一次覆工コンクリートの部分に対応する地山の安定を確認したことを特徴とするトンネル施工方法。
【請求項4】
地山の安定を確認できた場合には、上記構築後の一次覆工コンクリートの内側にシートを設置して、シートの内側に二次覆工コンクリートを構築したことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のトンネル施工方法。
【請求項5】
地山の安定を確認できなかった場合には、上記構築後の一次覆工コンクリートに対して支保工を構築し、これにより、地山の安定を確認してから当該一次覆工コンクリートの内側にシートを設置して、シートの内側に二次覆工コンクリートを構築したことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のトンネル施工方法。
【請求項6】
掘削孔の内周面とシールド掘進機の後部に設けた内型枠との間のコンクリート充填空間に生コンクリートを供給するコンクリートポンプを設け、コンクリート充填空間に供給される生コンクリートとして高流動性生コンクリートを用いたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のトンネル施工方法。
【請求項7】
掘削孔の内周面とシールド掘進機の後部に設けた内型枠との間のコンクリート充填空間に生コンクリートを供給する複数のコンクリートポンプを設けるとともに、コンクリート充填空間に生コンクリートを流し込むためのコンクリート打設口をコンクリートポンプの数と同数以上設け、1つ1つのコンクリートポンプを管でそれぞれ異なる1以上のコンクリート打設口に繋ぎ、この複数のコンクリート打設口を介してコンクリート充填空間に生コンクリートを流し込んだことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のトンネル施工方法。
【請求項8】
掘削孔の内周面とシールド掘進機の後部に設けた内型枠との間のコンクリート充填空間に充填された生コンクリートの圧力をコンクリート充填空間内に設置された計測機で計測し、これによりコンクリート充填空間に充填された生コンクリートの圧力を所定圧に調整したことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のトンネル施工方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−241800(P2006−241800A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−57975(P2005−57975)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(303059071)独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 (64)
【出願人】(000173773)財団法人地域地盤環境研究所 (7)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【Fターム(参考)】