説明

トンネル施工装置

【課題】小断面のトンネルでも作業機の通過空間を確保しつつ、チャージングケージ装置や吹付マニュピレータを利用できるトンネル施工装置を提供する。
【解決手段】ガントリージャンボ10は、例えば、左右のレール旋回機構70により回動自在に軸支したスウィングレール60でチャージングケージ装置40と吹付マニュピレータ装置とをスライド自在に各々支持する。このため、チャージングケージ装置40と吹付マニュピレータ装置とを、各々が問題なく作業できる位置と、ズリ搬出の作業機などの移動を阻害しない位置とに、配置できる。従って、チャージングケージ装置40や吹付マニュピレータ装置を門型フレーム20の上部などに配置することが困難な小径トンネルの施工現場でも、作業機の移動を阻害することなくチャージングケージ装置40や吹付マニュピレータ装置を利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル底面に敷設された軌道を走行する門型フレームに少なくとも削孔装置とチャージングケージ装置と吹付マニュピレータ装置とが搭載されているトンネル施工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、トンネル施工現場では、図9に示すように、作業能率の高さからトンネル施工装置であるガントリージャンボが使用されることが多い。一般的なガントリージャンボは、走行装置によりトンネル底面の軌道上を走行可能な門型フレームに、削孔装置、チャージングケージ装置、および、吹付マニュピレータ装置、が搭載されている。
【0003】
門型フレームは施工するトンネルの断面に対応した正面形状を有しており、上方がアーチ形状を呈した横梁とトンネル軸方向に延びる縦梁によって構成されている。門型フレームの上半部の縦梁の上には、削孔装置、チャージングケージ装置、および、吹付マニュピレータ装置が、前後進自在に設けられている。
【0004】
門型フレームの下半部の中心付近には、ズリ搬出機等の作業機が通過できるような通過空間が形成されている。このような構成によりガントリージャンボでは、トンネル施工の一連の作業工程、すなわち、切羽削孔、爆薬装填、退避、発破、前進、ロックボルト削孔、ロックボルト打設、コンクリート打設、を行いながら、作業機でズリの搬出を随時行えるので作業能率がよい(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平06−257377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のガントリージャンボは、比較的大きなトンネル断面に対応したものであるため、門型フレームの上半部と下半部とで異種の装置構成を持たせることができる。しかし、トンネル断面が小さい場合は、作業機の通過空間を確保しながらチャージングケージ装置や吹付マニュピレータ装置を備えることができなくなる場合がある。
【0006】
ガントリージャンボにおいて作業機の通過空間が確保できなければ、機動性の優れたホイールジャンボの方が作業性は高くなる。仮に、ホイールジャンボを採用するとなるとホイールジャンボにチャージングケージは備えられてはいるものの吹付マニュピレータは備えられていないので、別途自走式のコンクリート吹付機を設備しなければならなくなりコストが嵩む。
【0007】
さらには、トンネル施工の工程間においてホイールジャンボ、コンクリート吹付機、ズリ搬出機それぞれの退避・前進が煩雑となり、トンネル施工全般の作業能率は大幅に低下する。
【0008】
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、小断面のトンネルでも作業機の通過空間を確保しつつ、チャージングケージ装置や吹付マニュピレータなどの複数種類のトンネル施工ユニットを利用することができるトンネル施工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のトンネル施工装置は、トンネル底面に敷設された軌道を走行する門型フレームに少なくとも削孔装置とチャージングケージ装置と吹付マニュピレータ装置とが搭載されているトンネル施工装置であって、門型フレームは、長手方向が前後方向と平行で左側軌道の上方に位置する左梁部材と、長手方向が前後方向と平行で右側軌道の上方に位置する右梁部材と、を有し、削孔装置は、左梁部材と右梁部材との前端に個々に配置されている左右一対からなり、長手方向が前後方向と略平行で左梁部材の下方に位置する左側スウィングレールと、左側スウィングレールを後端で左右方向に回動自在に軸支する左側レール旋回機構と、長手方向が前後方向と略平行で右梁部材の下方に位置する右側スウィングレールと、右側スウィングレールを後端で左右方向に回動自在に軸支する右側レール旋回機構と、を有し、左側スウィングレールと右側スウィングレールとの一方の下面にチャージングケージ装置が前後方向にスライド自在に支持されているとともに他方の下面に吹付マニュピレータ装置が前後方向にスライド自在に支持されている。
【0010】
本発明のトンネル施工装置では、例えば、右側スウィングレールを右側レール旋回機構により右梁部材の下方に位置させた状態で、左側スウィングレールを左側レール旋回機構により左梁部材の下方から右側に回動させることにより、その前端を門型フレームの前部中央の近傍に位置させることができる。このような状態で、例えば、左側スウィングレールの後端から前端までチャージングケージ装置をスライド移動させることにより、チャージングケージ装置でトンネル施工作業を問題なく実行することができる。同様に、左側スウィングレールを左側レール旋回機構により左梁部材の下方に位置させた状態で、右側スウィングレールを右側レール旋回機構により右梁部材の下方から左側に回動させることにより、その前端を門型フレームの前部中央の近傍に位置させることができる。このような状態で、例えば、右側スウィングレールの後端から前端まで吹付マニュピレータ装置をスライド移動させることにより、吹付マニュピレータ装置でトンネル施工作業を問題なく実行することができる。一方、チャージングケージ装置および吹付マニュピレータ装置を後端までスライド移動させた左側スウィングレールおよび右側スウィングレールを、左側レール旋回機構および右側レール旋回機構により左梁部材および右梁部材の下方に位置させると、チャージングケージ装置および吹付マニュピレータ装置と左側スウィングレールおよび右側スウィングレールとが、門型フレームの下部空間に緩衝しない状態となる。このため、このような状態では門型フレームの下部空間をズリ搬出の作業機などが自在に移動できる。
【0011】
また、上述のようなトンネル施工装置において、左側レール旋回機構を中心とした円弧状に形成されていて門型フレームの前部近傍で左側スウィングレールの前端近傍を上方からスライド自在に支持する左用トロリーレールと、右側レール旋回機構を中心とした円弧状に形成されていて門型フレームの前部近傍で右側スウィングレールの前端近傍を上方からスライド自在に支持する右用トロリーレールとを、さらに有してもよい。
【0012】
なお、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のトンネル施工装置では、例えば、右側スウィングレールを右側レール旋回機構により右梁部材の下方に位置させた状態で、左側スウィングレールを左側レール旋回機構により左梁部材の下方から右側に回動させることにより、その前端を門型フレームの前部中央の近傍に位置させることができる。このような状態で、例えば、左側スウィングレールの後端から前端までチャージングケージ装置をスライド移動させることにより、チャージングケージ装置でトンネル施工作業を問題なく実行することができる。同様に、左側スウィングレールを左側レール旋回機構により左梁部材の下方に位置させた状態で、右側スウィングレールを右側レール旋回機構により右梁部材の下方から左側に回動させることにより、その前端を門型フレームの前部中央の近傍に位置させることができる。このような状態で、例えば、右側スウィングレールの後端から前端まで吹付マニュピレータ装置をスライド移動させることにより、吹付マニュピレータ装置でトンネル施工作業を問題なく実行することができる。一方、チャージングケージ装置および吹付マニュピレータ装置を後端までスライド移動させた左側スウィングレールおよび右側スウィングレールを、左側レール旋回機構および右側レール旋回機構により左梁部材および右梁部材の下方に位置させると、チャージングケージ装置および吹付マニュピレータ装置と左側スウィングレールおよび右側スウィングレールとが、門型フレームの下部空間に緩衝しない状態となる。このため、このような状態では門型フレームの下部空間をズリ搬出の作業機などが自在に移動できる。従って、チャージングケージ装置や吹付マニュピレータ装置を門型フレームの上部などに配置することが困難な小径トンネルの施工現場でも、作業機の移動を阻害することなくチャージングケージ装置や吹付マニュピレータ装置を利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の一形態を図面を参照して以下に説明する。なお、本実施の形態では図示するように前後左右上下の方向を規定して説明する。しかし、これは構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定するものである。従って、本発明を実施する製品の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
【0015】
図1は本発明のトンネル施工装置の実施の形態であるガントリージャンボでチャージングケージ装置と吹付マニュピレータ装置を格納した状態の側面図、図2はチャージングケージを作業位置まで前進させた状態の平面図、図3は図2の正面図、図4は図2の側面図、図5はスライドベース(図3のA部)の詳細を示す断面図、図6はトロリーハンガー(図3のB部)の詳細を示す説明図((a)部分拡大図、(b)C−C線断面)、図7は吹付マニュピレータ装置を作業位置まで前進させた状態の正面図、図8は図7のD−D線断面図である。
【0016】
本実施の形態のガントリージャンボ10は、トンネル底面Tfに敷設された軌道Ra,Rbを走行する門型フレーム20に少なくとも削孔装置30とチャージングケージ装置40と吹付マニュピレータ装置50とが搭載されている。
【0017】
本実施の形態のガントリージャンボ10は門型フレーム20を有し、この門型フレーム20は、長手方向が前後方向と平行で左側軌道Rbの上方に位置する左梁部材である左側縦梁22bと、長手方向が前後方向と平行で右側軌道Raの上方に位置する右梁部材である右側縦梁22aと、を有する。削孔装置30は、左側縦梁22bと右側縦梁22aとの前端に個々に配置されている左右一対からなる。
【0018】
また、本実施の形態のガントリージャンボ10は、長手方向が前後方向と略平行で左側縦梁22bの下方に位置する左側スウィングレール60bと、左側スウィングレール60bを後端で左右方向に回動自在に軸支する左側レール旋回機構70bと、長手方向が前後方向と略平行で右側縦梁22aの下方に位置する右側スウィングレール60aと、右側スウィングレール60aを後端で左右方向に回動自在に軸支する右側レール旋回機構70aと、を有する。
【0019】
そして、左側スウィングレール60bと右側スウィングレール60aとの一方の下面にチャージングケージ装置40が前後方向にスライド自在に支持されているとともに他方の下面に吹付マニュピレータ装置50が前後方向にスライド自在に支持されている。
【0020】
また、本実施の形態のガントリージャンボ10では、左側レール旋回機構70bを中心とした円弧状に形成されていて門型フレーム20の前部近傍で左側スウィングレール60bの前端近傍を上方からスライド自在に支持する左用トロリーレール73bと、右側レール旋回機構70aを中心とした円弧状に形成されていて門型フレーム20の前部近傍で右側スウィングレール60aの前端近傍を上方からスライド自在に支持する右用トロリーレール73aとを、さらに有する。
【0021】
より具体的には、本実施の形態のガントリージャンボ10は、基本構成として上述のように、門型フレーム20、トンネル施工ユニットである削孔装置30とチャージングケージ装置40と吹付マニュピレータ装置50、左右一対のスウィングレール60、左右一対のレール旋回機構70、および、これら各部の駆動源を含む各種の補機類、等を有する。
【0022】
門型フレーム20は、正面視において両肩部がトンネル断面形状に対応して屈折した形状を呈した前横梁21a、後横梁21b、中間横梁21c、トンネル軸方向に延びる右側縦梁22a、左側縦梁22b、右上縦梁23a、左上縦梁23bによって基本骨格が形成されている。
【0023】
さらに、前横梁21aの下部に接続された前脚24a、後横梁21bの下部に接続された後脚24b、前脚24aの下端に軸支されたボギーフレーム25、ボギーフレーム25に1組軸支された前輪25a、後脚24bの下端に軸支された後輪26、および、後脚24bの後面に設けられたブラケット27、等で構成される。
【0024】
削孔装置30は、前脚24aの前面に起伏・旋回可能に設けられた削孔ブーム31、削孔ブーム31の先端に設けられたガイドシェル32、および、ガイドシェル32上を公知の送り機構(図示略)により前後進可能に設けられた削岩機33、等からなる。削岩機33には、公知の打撃機構と回転機構(図示略)が備えられており、打撃力と回転力を送り機構によって先端工具に伝達して岩盤に削孔を行う。
【0025】
チャージングケージ装置40は、後述するスウィングレール60内を案内されて前後進自在なスライドベース41、スライドベース41に起伏・旋回自在に設けられたチャージングブーム46、チャージングブーム46の先端に設けられたケージ47、等からなる。
【0026】
スライドベース41の走行部は、図5に示すようにスライドベース41に軸支されたボギーフレーム43、ボギーフレームに一対軸支された走行ローラ42、走行ローラ42に駆動力を伝達する走行モータ44、スプロケット45a、およびチェーン45b、等からなる。
【0027】
吹付マニュピレータ装置50は、後述するスウィングレール60内を案内されて前後進自在なスライドベース51、スライドベース51に起伏・旋回自在に設けられたマニュピレータユニット56、マニュピレータユニット56の先端に設けられた吹付ノズル57、等からなる。
【0028】
スライドベース51の走行部は、チャージングケージ装置40と同様に、図5に示すようにスライドベース51に軸支されたボギーフレーム53、ボギーフレームに一対軸支された走行ローラ52、走行ローラ52に駆動力を伝達する走行モータ54、スプロケット55a、および、チェーン55b、等からなる。
【0029】
左右一対のスウィングレール60は長尺ビーム状に各々形成されており、右側縦梁22aおよび左側縦梁22bの下面に、後述する左右一対のレール旋回機構70の旋回軸71によって水平方向に旋回可能に個々に軸支されている。
【0030】
左右一対のスウィングレール60は、右側縦梁22aおよび左側縦梁22bの下面に摺接するベース61の両側端に一対のチャンネル62が垂下するように固設され、チャンネル62の一方の側面(トンネル壁面Tw側)にはクレビス63が固設されている。
【0031】
レール旋回機構70は、旋回軸71、後脚24bとクレビス63との間を連結するスウィングシリンダ72、右上縦梁23aおよび左上縦梁23bの下面に両梁に亙って架設されたトロリーレール73、トロリーレール73を走行するトロリーハンガー74、等からなる。
【0032】
トロリーレール73は、図2に例示するように、平面視において、スウィングレール60の旋回軌跡の曲率に対応して屈曲して形成されている。トロリーハンガー74の詳細は、図6に示すように、トロリーレール73を挟み込むように転動する一対一組(合計四個)のローラ76、ローラ76を軸支するローラブラケット75、および、一端がローラブラケット75に接続されて他端がスウィングレール60のベース61に接続されたロッド77、等からなる。
【0033】
補機類は、上記の各種装置の駆動源や材料を供給するための装置郡であって、右側縦梁22aおよび左側縦梁22bに設けられた油圧ユニット81、左右のブラケット27に設けられたケーブルリール82、制御版85、水ポンプ、コンプレッサー84、左右の前脚24aの前面に設けられた操作パネル86、等からなる。
【0034】
上述のような構成において、本実施の形態のガントリージャンボ10でトンネル工事を施工する手順を以下に説明する。施工するのはトンネル壁面Twとトンネル底面Tfからなる比較的小断面のトンネルである。
【0035】
まず、削孔ブーム31を起伏・旋回・伸長して所定の発破パターンに則って位置決めしながら、切羽(図示略、図1の左方)に削岩機33で発破孔の削孔を行う。
【0036】
つぎに、チャージングケージ装置40側のスウィングシリンダ72を伸長し、スウィングレール60を格納位置から作業位置へと旋回させる。このときスウィングレール60は、比較的簡単な構成ではありながら確実に各種動作姿勢を補償するレール旋回機構70により、安定した旋回動作が可能となっている。
【0037】
そして、走行モータ44によってスライドベース41をスウィングレール60内で前進させて略トンネルの中央に配置させ、チャージングブーム46を起伏・旋回・伸長して発破孔に位置決めしてケージ47に乗架した作業者が爆薬の装填作業を行う。
【0038】
爆薬の装填が終わったら逆の手順、すなわち、チャージングブーム46を縮小し、走行モータ44によってスライドベース41をスウィングレール60の後端まで後進させ、スウィングシリンダ72を縮小してチャージングケージ装置40を門型フレーム20の側方の格納位置に格納する。
【0039】
チャージングケージ装置40を格納したら、ガントリージャンボ10の走行装置(図示略)によって軌道Ra,Rb上を走行して退避位置まで後退して発破した後、再び切羽付近まで前進する。
【0040】
門型フレーム20の作業機の通過空間を利用してズリ搬出機(図示略)がズリの搬出作業を行うのに平行して、削孔装置30でトンネル壁面Twにロックボルト孔(図示せず)を削孔する。
【0041】
再び、チャージングケージ装置40を作業位置まで進出させてロックボルト孔にロックボルト(図示略)を固定し、チャージングケージ装置40を格納位置に格納する。
【0042】
続いて、吹付マニュピレータ装置50のスウィングシリンダ72を伸長し、スウィングレール60を格納位置から作業位置へと旋回させる。このときスウィングレール60は、比較的簡単な構成ではありながら確実に各種動作姿勢を補償するレール旋回機構70により、安定した旋回動作が可能となっている。
【0043】
そして、走行モータ54によってスライドベース51をスウィングレール60内で前進させ略トンネルの中央に配置させ、マニュピレータユニット56を起伏・旋回・伸長して作動させて吹付ノズル57をトンネル壁面Twに相対させてコンクリート吹付を行う。
【0044】
コンクリート吹付が終わったら逆の手順、すなわち、マニュピレータユニット56を縮小し、走行モータ54によってスライドベース51をスウィングレール60の後端まで後進させ、スウィングシリンダ72を縮小して吹付マニュピレータ装置50を門型フレーム20の側方の格納位置に格納する。
【0045】
以上の各工程を1サイクルとして繰り返し行いながらトンネルを掘進していく。
【0046】
本実施の形態のガントリージャンボ10では、上述のように、右側スウィングレール60aを右側レール旋回機構70aにより右側縦梁22aの下方に位置させた状態で、左側スウィングレール60bを左側レール旋回機構70bにより左側縦梁22bの下方から右側に回動させることにより、その前端を門型フレーム20の前部中央の近傍に位置させることができる。
【0047】
このような状態で、左側スウィングレール60bの後端から前端までチャージングケージ装置40をスライド移動させることにより、チャージングケージ装置40でトンネル施工作業を問題なく実行することができる。
【0048】
同様に、左側スウィングレール60bを左側レール旋回機構70bにより左側縦梁22bの下方に位置させた状態で、右側スウィングレール60aを右側レール旋回機構70aにより右側縦梁22aの下方から左側に回動させることにより、その前端を門型フレーム20の前部中央の近傍に位置させることができる。
【0049】
このような状態で、右側スウィングレール60aの後端から前端まで吹付マニュピレータ装置50をスライド移動させることにより、吹付マニュピレータ装置50でトンネル施工作業を問題なく実行することができる。
【0050】
一方、チャージングケージ装置40および吹付マニュピレータ装置50を後端までスライド移動させた左側スウィングレール60bおよび右側スウィングレール60aを、左側レール旋回機構70bおよび右側レール旋回機構70aにより左側縦梁22bおよび右側縦梁22aの下方に位置させると、チャージングケージ装置40および吹付マニュピレータ装置50と左側スウィングレール60bおよび右側スウィングレール60aとが、門型フレーム20の下部空間に緩衝しない状態となる。
【0051】
このため、このような状態では門型フレーム20の下部空間をズリ搬出の作業機などが自在に移動できる。従って、チャージングケージ装置40や吹付マニュピレータ装置50を門型フレーム20の上部などに配置することが困難な小径トンネルの施工現場でも、作業機の移動を阻害することなくチャージングケージ装置40や吹付マニュピレータ装置50を利用することができる。
【0052】
従って、本実施の形態のガントリージャンボ10によれば、小断面のトンネルでも作業機の通過空間を確保しつつ、チャージングケージ装置40や吹付マニュピレータ装置50などの複数種類のトンネル施工ユニットを利用することができる。
【0053】
このため、ガントリージャンボ10の本来の優れた作業能率を発揮することができ、ホイールジャンボとコンクリート吹付機を個別に設備するより遥かに設備コストを低減することが可能となる。
【0054】
しかも、本実施の形態のガントリージャンボ10では、左側レール旋回機構70bを中心とした円弧状に形成されていて門型フレーム20の前部近傍に位置する左用トロリーレール73bで左側スウィングレール60bの前端近傍を上方からスライド自在に支持するとともに、右側レール旋回機構70aを中心とした円弧状に形成されていて門型フレーム20の前部近傍に位置する右用トロリーレール73aで右側スウィングレール60aの前端近傍を上方からスライド自在に支持する。
【0055】
このため、大重量のチャージングケージ装置40や吹付マニュピレータ装置50を左側スウィングレール60bや右側スウィングレール60aの前端までスライド移動させても安定に支持することができる。
【0056】
しかも、図2に示すように、左用トロリーレール73bと右用トロリーレール73aとは、相対的に前後に変位して相互に緩衝しない位置に配置されている。このため、簡単な構造で左側スウィングレール60bと右側スウィングレール60aとを回動自在に支持することができる。
【0057】
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態ではチャージングケージ装置40を左側スウィングレール60bで支持するとともに吹付マニュピレータ装置50を右側スウィングレール60aで支持することを例示した。
【0058】
しかし、当然ながら、チャージングケージ装置40を右側スウィングレール60aで支持するとともに吹付マニュピレータ装置50を左側スウィングレール60bで支持してもよい(図示せず)。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明のトンネル施工装置の実施の形態であるガントリージャンボでチャージングケージ装置と吹付マニュピレータ装置を格納した状態の側面図である。
【図2】チャージングケージを作業位置まで前進させた状態の平面図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】図2の側面図である。
【図5】スライドベース(図3のA部)の詳細を示す断面図である。
【図6】トロリーハンガー(図3のB部)の詳細を示す説明図((a)部分拡大図、(b)C−C線断面)である。
【図7】吹付マニュピレータ装置を作業位置まで前進させた状態の正面図である。
【図8】図7のD−D線断面図である。
【図9】一従来例のトンネル施工装置であるガントリージャンボの外観を示す側面図である。
【符号の説明】
【0060】
10 ガントリージャンボ
20 門型フレーム
21a 前横梁
21b 後横梁
21c 中間横梁
22a 右側縦梁
22b 左側縦梁
23a 右上縦梁
23b 左上縦梁
24a 前脚
24b 後脚
25 ボギーフレーム
25a 前輪
26 後輪
27 ブラケット
30 削孔装置
31 削孔ブーム
32 ガイドシェル
33 削岩機
40 チャージングケージ装置
41 スライドベース
42 走行ローラ
43 ボギーフレーム
44 走行モータ
45a スプロケット
45b チェーン
46 チャージングブーム
47 ケージ
50 吹付マニュピレータ装置
51 スライドベース
52 走行ローラ
53 ボギーフレーム
54 走行モータ
55a スプロケット
55b チェーン
56 マニュピレータユニット
57 吹付ノズル
60a 右側スウィングレール
60b 左側スウィングレール
61 ベース
62 チャンネル
63 クレビス
70a 右側レール旋回機構
70b 左側レール旋回機構
71 旋回軸
72 スウィングシリンダ
73a 右用トロリーレール
73b 左用トロリーレール
74 トロリーハンガー
75 ローラブラケット
76 ローラ
77 ロッド
80 補機類
81 油圧ユニット
82 ケーブルリール
84 コンプレッサー
85 制御版
86 操作パネル
R 軌道
Ra 右側軌道
Rb 左側軌道
Tf トンネル底面
Tw トンネル壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル底面に敷設された軌道を走行する門型フレームに少なくとも削孔装置とチャージングケージ装置と吹付マニュピレータ装置とが搭載されているトンネル施工装置であって、
前記門型フレームは、長手方向が前後方向と平行で左側軌道の上方に位置する左梁部材と、長手方向が前後方向と平行で右側軌道の上方に位置する右梁部材と、を有し、
前記削孔装置は、前記左梁部材と前記右梁部材との前端に個々に配置されている左右一対からなり、
長手方向が前後方向と略平行で前記左梁部材の下方に位置する左側スウィングレールと、前記左側スウィングレールを後端で左右方向に回動自在に軸支する左側レール旋回機構と、長手方向が前後方向と略平行で前記右梁部材の下方に位置する右側スウィングレールと、前記右側スウィングレールを後端で左右方向に回動自在に軸支する右側レール旋回機構と、を有し、
前記左側スウィングレールと前記右側スウィングレールとの一方の下面に前記チャージングケージ装置が前後方向にスライド自在に支持されているとともに他方の下面に前記吹付マニュピレータ装置が前後方向にスライド自在に支持されているトンネル施工装置。
【請求項2】
前記左側レール旋回機構を中心とした円弧状に形成されていて前記門型フレームの前部近傍で前記左側スウィングレールの前端近傍を上方からスライド自在に支持する左用トロリーレールと、
前記右側レール旋回機構を中心とした円弧状に形成されていて前記門型フレームの前部近傍で前記右側スウィングレールの前端近傍を上方からスライド自在に支持する右用トロリーレールとを、
さらに有する請求項1に記載のトンネル施工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−53566(P2010−53566A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218572(P2008−218572)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(594149398)古河ロックドリル株式会社 (50)
【Fターム(参考)】