説明

トンネル熱交換用パネル及びトンネル熱利用熱交換システム

【課題】トンネルの工事と同時進行でトンネル側熱交換部の設置を可能とするトンネル熱交換用パネル、及び、このトンネル側熱交換部で熱交換した熱を利用するトンネル熱利用熱交換システムの提供。
【解決手段】トンネルの壁面に設置される壁パネルと協働してトンネルの周囲壁面を形成するトンネル熱交換用パネル3を設置する。このトンネル熱交換用パネル3は、トンネルの地中又は空気と熱交換するパネル本体と、このパネル本体に設けられ循環流体が流れるパネル内流体路とを有している。トンネル熱交換用パネル3をトンネルの長手方向に複数個設置してトンネル側熱交換部4を形成する。トンネル側熱交換部4はトンネルの地中又は空気と熱交換し、トンネル熱利用熱交換システムの熱源として利用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの壁面に設置される壁パネルと協働してトンネルの周囲の内壁を形成するとともに、トンネルの地中又は空気と熱交換するためのトンネル熱交換用パネルに関する。また、本発明は、トンネル熱交換用パネルを複数設置させて構成したトンネル熱交換部でトンネルの地中又は空気と熱交換した熱を、負荷側熱交換部を冷却又は加熱する熱源として利用するトンネル熱利用熱交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から特に寒冷地においては、路面の凍結を防止するため種々の対策がなされている。例えば、路面に発熱ケーブルを埋設して直接電熱を利用し凍結を防止する方式のもの、あるいは路面にパイプを埋設して温水をパイプに流し循環させ凍結を防止する温水循環方式のものが知られている。又、最も簡易な方式では、単に路面に散水するのみの凍結防止方法もよく行われている。
【0003】
近年は環境に配慮し、自然エネルギーの有効利用、低ランニングコスト化の観点から地中熱利用のシステムが注目されている。地中温度は一年中ほぼ一定であり、外気温度に比べ夏は低く、冬は高くなっている。すなわち、地中熱利用ヒートポンプ装置とは、地中に広く分布する10〜15℃という低温であるがほぼ恒温の熱エネルギーを利用し、ヒートポンプでより高温又は低温の熱エネルギーに交換し、冷温水や冷温風を造成することで、融雪用熱源又は冷暖房用熱源等として利用する装置である。
【0004】
一方、トンネル内の排気ファンの排出口付近に熱交換器を設置し、排気熱を熱源とするヒートポンプを設け、ヒートポンプの利用側熱交換器で温水を製造し、この温水を融雪管に循環させる融雪設備が知られている(例えば、特許文献1参照)。さらに、トンネルの壁面に横方向に孔を穿設し、この孔に地熱吸収用パイプを設置し、この地熱吸収用パイプを路面の融雪用パイプと接続させ、地熱吸収用パイプと融雪用パイプとの間で水をポンプで循環させるようにした路面の凍結防止方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
一般にトンネル工事は、シールドマシンや発破工法等でトンネル掘削を行う場合、数メートルの所定スパンを掘削後、トンネル保坑のためコンクリートやパネル(セグメントともいう)をトンネル内壁に設置する場合が多い。岩盤が強固な場合はルーフボルト等で保持し、コンクリート吹き付け等の場合もある。しかし、公共施設としてのトンネルは殆どが鉄骨とパネルあるいは鉄骨とコンクリート等の組み合わせで構築されている。
【0006】
このような従来の工法によるトンネル掘削において、トンネル内の長手方向に長いパイプ等を設置する場合、例えば鉄骨を使用する場合にこの鉄骨にパイプ等を保持させてネジで連結させる例が通信用パイプ等の設置で知られている。これを地中熱交換設備に適用すると、トンネル掘削時に鉄骨やアンカーボルトで仮保坑しながら掘削し、トンネルが完成した後、最終的に、トンネル内全体にコンクリートを打設する方法で熱交換システムを設置しなければならない。また、所定長ごとにコンクリート等で仕上げるトンネルにおいては、トンネルの長手方向にポリエチレンパイプ等を延長し、設置することは不可能な現状にある。
【0007】
通常、地中熱を直接利用したり、ヒートポンプの熱源として利用する場合は、地中との熱交換を行うために地中熱交換器を設置する必要がある。地中熱交換器を設置する方法として、一般的には、ボーリング等で孔井を掘削し、この中に鋼管やポリエチレンパイプ等を挿入したり、基礎杭等の中あるいは外側に、杭に沿ってポリエチレンパイプ等を設置するなどして地中熱交換器としている。このように設置した地中熱交換器のポリエチレンパイプ等の中を水や不凍液等を循環させ、地中と熱交換を行なうシステムとしている。
【特許文献1】特許第2858070号公報
【特許文献2】特許第3561849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来の技術において、電熱を直接利用し凍結を防止する方式、温水を循環させて凍結を防止する温水循環方式は、トンネルが持っている地中、空気等の熱を有効に活用しているものでなく、自然エネルギーの有効利用、低ランニングコスト化できないという問題があった。又、特許文献1の技術は、排気熱を熱源とするものであり、トンネルが持っている熱をまだ有効に活用できていないおそれがあった。さらに、特許文献2の技術は、トンネル工事以外に地熱吸収用パイプ用の孔を穿孔する工事を行う必要があり、工事コストの上昇、工事期間の増大などの問題点があった。
【0009】
特に現状のトンネルからの地中熱の利用においては、その施行方法の制約もあり、安定して恒常的な地中熱利用の形態にはなっていない。トンネル施行工事には前述のとおり、コンクリート打設工事が伴うので、この本工事のときに地中熱交換器用の部材も合わせて取り付けることができれば、地中熱交換器設置のために改めて工事をする必要がなく、効率的で施工コストを低減することができる。
【0010】
しかしながら、前述のように、トンネルが完成した後、パイプを敷設してコンクリートを打設する方法は、トンネルを掘削しながら、地中熱交換器としてポリエチレン等のパイプをコンクリート内に、トンネルの長手方向(延長方向)に沿って長く設置することは不可能である。仮に設置されるとしてもその形態は固定的でフレキシブル性に乏しい。また、地中熱交換器設置の工事はトンネル本工事の完成を待たねば着手できない。
【0011】
パネルを使用するトンネルの本工事も公知であるが、表面タイルの貼設したもの、ガラス繊維強化等の施されたもの、トンネル内照明の均等反射のため等、あるいは補修用等本工事として適用されているものであり、熱交換器用の部材を組み込んだものではない。
【0012】
本発明は、このような従来の問題点を解決するために想起されたもので、下記の目的を達成する。
本発明の目的は、トンネル施工と同時に、設置可能であるとともに、トンネルの地中又は空気と熱交換を行うことができるトンネル熱交換用パネルを提供することにある。
本発明の他の目的は、トンネル熱交換用パネルにより熱交換した熱で、熱制御対象物を加熱又は冷却するためのトンネル熱利用熱交換システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
本発明1のトンネル熱交換用パネルは、
トンネルの壁面に設置される壁パネルと協働してトンネルの周囲壁面を形成するトンネル熱交換用パネルであって、前記トンネルの地中又は空気と熱交換を行うためのパネル本体と、このパネル本体に設けられ、前記熱交換された熱を、前記パネル本体から離れた位置に循環流体を介して移動させるための熱移動用流体路の一部を形成するパネル内流体路とを有し、前記トンネルの長手方向に複数個連続して設置させてトンネル側熱交換部を形成できるようにしたことを特徴とする。
【0014】
本発明2のトンネル熱交換用パネルは、本発明1において、
前記パネル内流体路は、前記パネル本体に形成された穴に合成樹脂製又は耐蝕性のある金属製のパイプが挿通されているものであることを特徴とする。
【0015】
本発明3のトンネル熱交換用パネルは、本発明1又は2において、
前記パネル本体は、前記パネル内流体路の相互の接続部が凹凸部を構成し、相互に差込み接続が可能になっているものであることを特徴とする。
【0016】
本発明4のトンネル熱交換用パネルは、本発明1又は2において、
前記パネル本体には、前記パネル内流体路の往路と復路が形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明5のトンネル熱交換用パネルは、本発明1又は2において、
前記パネル本体は、内部で前記パネル内流体路の往路と復路が合流し、前記循環流体が向きをかえて循環するように設けられているのものであることを特徴とする。
【0018】
本発明6のトンネル熱交換用パネルは、本発明1又は2において、
前記パネル本体は、高熱伝導性コンクリート、低熱伝導性コンクリート、一般のコンクリートのいずれかで形成されたもの、又は、高熱伝導性コンクリート、低熱伝導性コンクリート、一般のコンクリートの少なくとも2種類が組み合わされて一体化されたものであることを特徴とする。
【0019】
本発明7のトンネル熱交換用パネルは、本発明1又は2において、
前記パネル本体には、フィンが形成され、このフィン近傍の地中又は空気と熱交換するものであることを特徴とする。
【0020】
本発明8のトンネル熱交換用パネルは、本発明1から7において、
前記パネル本体は、平板状又は弧状に形成されているものであることを特徴とする。
【0021】
本発明9のトンネル熱利用熱交換システムは、
本発明1又は2に記載されたトンネル熱交換用パネルをトンネルの長手方向に複数個連続して設置させて構成されるトンネル側熱交換部と、前記トンネル側熱交換部のパネル内流体路と接続され、前記トンネル熱交換部で前記トンネルの地中又は空気と熱交換された熱を移動させるための循環流体が循環するための熱移動用流体路と、前記熱移動用流体路を循環する循環流体によって移動させた熱で、熱制御対象物を加熱又は冷却するための負荷側熱交換部とからなっていることを特徴とする。
【0022】
本発明10のトンネル熱利用熱交換システムは、
本発明1又は2に記載されたトンネル熱交換用パネルをトンネルの長手方向に複数個連続して設置させて構成されるトンネル側熱交換部と、前記トンネル側熱交換部のパネル内流体路と接続され、前記トンネル側熱交換部で前記トンネルの地中又は空気と熱交換された熱を移動させるための第1循環流体が循環する第1熱移動用流体路と、負荷側熱交換部を加熱又は冷却するため第2循環流体が循環する第2熱移動用流体路と、前記第1熱移動用流体路と前記第2熱移動用流体路との間に設けられ、前記第1循環流体を熱源として、前記第1循環流体より高温又は低温の前記第2循環流体を造成するヒートポンプとからなっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明のトンネル熱交換用パネルは、トンネルの内壁に、トンネルの施工工事と一緒に設置の工事を行うことができる。このトンネル熱交換用パネルは、トンネルの内壁の任意の位置に任意の数量を設置でき、このトンネル熱交換用パネルがトンネル側熱交換部を構成することができる。この結果、トンネル内の地中、トンネル内の空気と熱交換が安定して、効率よく行えるようになった。
【0024】
このトンネル熱交換用パネルによるトンネル側熱交換部の設置工事は、トンネルの本工事と同時進行が可能であり、トンネル工事の完了と同時にトンネル内にトンネル側熱交換部が設置される。すなわち、トンネル側熱交換部の設置工事期間、費用が、従来の工事に比し大幅に軽減される。言い換えると、トンネルの長手方向(延長方向)に、大容量のトンネル側熱交換部が経済的に、短期間に設置できる。
【0025】
また、本発明のトンネル用熱交換用パネルを使用したトンネル熱利用熱交換システムは、前述したトンネル側熱交換部でトンネルの地中又は空気と熱交換した熱を、熱源として広く活用することができ、自然エネルギーの活用、省エネルギー化が図れ、環境にやさしい冷暖房装置、融雪装置、給湯装置等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のトンネル熱交換用パネル及びトンネル熱利用熱交換システムの実施の形態を模式的に示す全体構成図である。図2は、トンネルの断面図を示す図である。実施の形態における図は、トンネル熱交換用パネル3で構成されるトンネル熱交換部4で地中熱を取り出し、負荷側熱交換部2に伝達する構成のものである。トンネル内壁1には、本発明のトンネル熱交換用パネル(以下、熱交換用パネルという。)3が取り付けられている。なお、パネルはセグメントなどと呼ばれることもある。
【0027】
熱交換用パネル3はトンネルの地中又は空気と熱交換する機能を有するものである。この熱交換用パネル3は、トンネル掘削過程でトンネル壁面に取り付けが可能である。熱交換用パネル3は、壁パネル3aと協働してトンネル内壁1を構成する。熱交換用パネル3は、トンネル用に掘削した孔の壁面である地山(地盤、岩盤など)と接触し、あるいは、トンネル内の空気と接触し、いずれも熱交換し易いように設置される。また、熱交換用パネル3、壁パネル3aと地山(地盤、岩盤など)との間は裏込コンクリート1aが埋設される。
【0028】
この熱交換用パネル3はトンネルの壁の一部を構成するものであり、トンネルの壁を補強しつつ、通常の熱交換機能を有しない壁パネル3aと組み合わせて設置される。熱交換用パネル3を長手方向に複数個設置することで、トンネルの壁の設置と同時にトンネル側熱交換部4が設置できる構成となっている。そして、トンネルの掘削が完了あるいは所定のトンネル長さに達したとき、その後端部の熱交換用パネル3に第1循環流体(以下、第1流体という。)10bの流れの向きを変えるための熱交換用パネル3を使用するとよい。
【0029】
この実施の形態の熱交換用パネル3は、前述のようにトンネルを掘削しながらトンネルの壁あるいはトンネルの壁の外面に、裏込コンクリート1a等で地山、地盤、地層等と密着するように施工、設置する必要があり、空洞を形成してはならない。トンネルの壁の補強をしながら本工事と同時に施工される過程でトンネル壁面内にトンネル側熱交換部4が設置されるのである。このトンネルの後端部の熱交換用パネル3は内部に設けられるパネル内流体路である穴がU字状になっていて第1流体10bが循環可能な構成をなしている。なお、トンネル内の空気と熱交換しようとする場合は、熱交換用パネルをトンネルの内壁1の内側に設置してもよい。
【0030】
この熱交換用パネル3の端部は、隣の熱交換用パネルの端部との接合される場合、熱移動用流体路(以下、流体路という。)が水密性を保持して設置されるものである。なお、熱交換用パネル3は、流体路を形成するためのパイプを挿通可能な穴を設けたものであってもよい。このパイプとしては、合成樹脂製(例えばポリエチレン製)のパイプ、耐蝕性を有する金属製(例えば、ステンレス製)のパイプが使用できる。なお、この実施の形態では、掘削中のトンネルを例に説明を行っているが、この説明でいうトンネルには、立坑のようなものも含まれている。すなわち、立坑でもトンネルと同様のことができ、立坑を掘削しているときに、パネル、熱交換用パネル3を立坑の長手方向(例えば、鉛直方向)に設置していけばよい。また熱交換用パネル3を立坑の鉛直方向に設置するような場合には、パイプに例えばステンレス(SUS)管や耐蝕性を有する鋼管を使用するとよい。このSUS管や鋼管は金属体であるので、熱の伝達性がよく、強度が高いので立坑に好適である。
【0031】
このようにトンネル掘削中にこの熱交換用パネル3を使用することで、本工事の進行に合わせ、トンネル壁面に沿って熱交換(熱採取、熱放出)機能を有する熱交換用パネル3を任意の数量、任意の位置へ設置してトンネル側熱交換部4を構成することを可能としている。地下鉄のような地中深くに掘削されたトンネルは、その周囲が岩盤に囲まれ、大気との熱交換も少なく一定の安定した地温下にある。このためこのトンネルの地中熱を利用する上では、非常にめぐまれた条件下にある。また、トンネル内の空気の熱(廃熱等)を利用するのにも、非常にめぐまれた条件下にある。この地中又は空気の熱は、駅舎、地下鉄関係の各設備の冷暖房装置、給湯装置等に利用するとよい。さらに、トンネル内の廃熱を熱交換用パネル3から採取すると、熱源として利用しながらトンネル内の空気の温度を下げる効果もある。
【0032】
又、逆に長さの短い山岳トンネルのような場合は、通気がよく、トンネル内は一定の温度が維持されない。従って、比較的温度の安定しているトンネル内壁1で地盤側に近い地中温度の安定している部位にトンネル側熱交換部4を構成する熱交換用パネル3を設置するほうが有効的である。このような場合には、熱交換用パネルをトンネルの内壁1の外側に設置してもよい。
【0033】
次に熱交換用パネル3の構成について説明する。熱交換用パネル3はコンクリート、PCコンクリートあるいは鉄筋コンクリート等で製作される。外形は、弧状あるいは平板状をなし、コンクリートの厚さの内部に例えば直径40mm〜60mm程度の孔が空いた構造を有するものである。この孔にポリエチレンパイプあるいは耐食性の金属パイプ等が埋設され、パイプと孔の隙間は、コンクリート等のグラウト材で充填されている。このパイプ内を第1流体(例えば、水又は不凍液)10bが循環し、トンネルの地中又は空気と熱交換を行なうとよい。
【0034】
第1流体10bは直接コンクリートと接触せずポリエチレン製、プラスチック製、金属製等のパイプ内を流れることが望ましい。弧状あるいは平板状のコンクリート製の熱交換用パネル3は組み合わせてトンネルの壁面を形成するもので、一般に利用されている壁パネル3aと組み合わせて設置することができる。トンネル壁面内の数箇所にこの熱交換用パネル3を設置することで、トンネル内壁1にトンネル側熱交換部4を設置したことになる。
【0035】
既存のコンクリートパネルと組み合わせる場合、熱交換用パネル3に構造上弱い部分がある場合、厚さや内部の鉄筋等の組み合わせを交えて強さを確保する。トンネル内壁1の面に、この熱交換用パネル3をトンネルの延長方向に複数個設置したトンネル側熱交換部4を複数台設置することで延長ができるので、大容量のトンネル側熱交換部4としての機能を発揮することもできる。
【0036】
一般の壁パネル3aとの組み合わせでトンネル側壁を構成できる他、一般の壁パネル3aの外側(地山側)又は内側に設置したり、あるいは熱交換用パネル3を必要な部分に設置した上でコンクリート捲きたて等の施工を行うことができる。熱交換用パネル3は施工時に接合されると、その接合部は熱交換用パネル3内の第1流体10b等が漏洩しないように密着された構造になり、第1流体10bの流体路が確保でき、トンネルの地中又は空気と熱交換が可能となる。
【0037】
トンネルの一方の端部には、前述のように戻り循環のできる熱交換用パネル3を使用する。その熱交換用パネル3は、内部にU字状に孔の設けられた熱交換用パネル3であってもよく、U字状の溝の設けられた熱交換用パネル3であってもよい。設置する際には、前述のとおり、ポリエチレンパイプ等を挿入しパイプの周囲はセメント等グラウト材で埋められるので、熱交換性の機能は変わらない。
【0038】
〔熱交換用パネルの設置構成〕
次に具体的な熱交換用パネル3の構成、熱交換用パネル3とパイプ(パネル内流体路)の構成についての形態を説明する。図3は、熱交換用パネルで構成されるトンネル側熱交換部の実施の形態1を示す断面図、図4は、熱交換用パネルで構成されるトンネル側熱交換部の実施の形態2を示す断面図、図5は、熱交換用パネルの孔とパイプとの間にグラウト材を充填した状態を示す断面図である。
【0039】
〔トンネル側熱交換部の実施の形態1〕
図3に示すように、熱交換用パネル3のパネル本体3b内に2本の孔が設けられ、この孔内に耐蝕性を有する金属製やポリエチレン製のパイプ3cが予め設置されている。熱交換用パネル3同士を接続する際に、水等の漏洩がないように密閉された状態で、ジョイントされる構造を有する形態である。トンネル側熱交換部4の長さが所定の長さに到達したら、最後に2本の孔と連通する孔をU字状のものに変えて、第1流体10bが循環可能に構成できるU字型孔を有する熱交換用パネル3を接続するとよい。これにより全体をU字状のトンネル側熱交換部4とし、この熱交換用パネル3のパネル内流体路を介して第1流体10bを循環することでトンネルの地中及び空気と熱交換できる構造のものが形成される。
【0040】
この実施の形態1の熱交換用パネル3は隣接して複数個接続されるが、その接続側端部は凹凸形状になっている。即ち熱交換用パネル3の一端は、2本の孔部分の熱交換用パネル3の一部が円錐形状凸部分として張り出すように形成されている。熱交換用パネル3の他端は前記円錐形状凸部分が嵌り込み可能な円錐形状凹部分として形成されている。
【0041】
〔トンネル側熱交換部の実施の形態2〕
熱交換用パネル3内に2本の孔がある状況は実施の形態1と同様であるが、この実施の形態2の場合は、図4に示すように、コンクリート等の熱交換用パネル3のパネル本体3dに孔3eを形成したものである。トンネルの長手方向(延長方向)に沿って熱交換用パネル3の孔3eの中心を合わせて設置する。但し、孔3eの中心を合わせて設置する場合、水密性は要求されない。トンネル側熱交換部4を設置すべき長さ(トンネルの工事長さ)が所定の長さに到達したら、2本の孔の中にポリエチレン等の長いパイプ3fを挿入する。先端部に、U字状の孔が形成された熱交換用パネルを設置し、このU字状の孔に弾性変形可能なパイプを挿入し、このU字状パイプとパイプ3f等をジョイント、融着又は接着などしてパイプ間の水密性を確保する。このようにして、2本のパイプ等でU字状のパネル内流体路を有するトンネル側熱交換部4を形成する。
又、トンネル側熱交換部4は、図5に示すように、熱交換用パネル3の孔3eとパイプ3f、U字状の孔と弾性変形可能なパイプとの間に、セメント等のグラウト材5を充填することで熱交換性を向上させたものであってもよい。なお、グラウト材は、ベントナイトに珪素を混ぜたもの、ベントナイト、珪素に少量のセメントを混ぜたものなどであってもよい。
【0042】
〔トンネル側熱交換部の実施の形態3〕
この実施の形態3のトンネル側熱交換部4は、熱交換用パネル3に2本の孔ではなくポリエチレン製のパイプの入る幅の断面U字状の溝を熱交換用パネル3の外側(地山側)又は内側に2本有する構造のものである。熱交換用パネル3を設置する場合は、パイプ同士の位置を合わせて、トンネルに沿って長い断面U字状の溝が形成される。この溝の中にパイプが挿入され、パイプ間をジョイント、融着、接着等することで水密性を確保するとよい。また、トンネル側熱交換部4を設置すべき長さが所定の長さになった時点で、この断面U字状の溝をU字状に形成した熱交換用パネルを設置し、この熱交換パネルの溝内に又はU字状に形成されたパイプ又は弾性変形可能なパイプを設ける。そして、2本のパイプと弾性変形可能なパイプ等との間をジョイント、融合、接着等することで、パイプ間の水密性が確保された流体路が形成される。溝とパイプとの間に、セメント等のグラウト材を充填することで熱交換性をよくするとよい。このようにして、U字状のパネル内流体路を有するトンネル側熱交換部4を設置することができる。なお、内側にU字状の溝を有するものは、溝をパネルカバーで覆うようにするとよい。
【0043】
断面U字状の溝に沿ってパイプを設置する場合は、長いパイプを設置してもよく、トンネルの地盤、岩盤等の状況により1パネルごとあるいは数パネルごとにパイプをジョイント、融着又は接着などして延長してもよい。熱交換用パネル3のU字状溝とパイプとの間は、セメント等のグラウト材を充填することで熱交換性をよくしてもよい。
【0044】
〔トンネル側熱交換部の実施の形態4〕
実施の形態4のトンネル側熱交換部は、トンネル内の空気温度が高い場合、その空気のもつ熱を利用するためのものである。すなわち、前記した地下鉄のトンネル内の空気の持つ熱を採取するのに好適な部材である。トンネルの空気に接触する部分の熱交換効率をよくするために、熱交換用パネル30にフィンを形成した構造とする。例えば熱交換用パネル30(図12参照)のトンネル内側をフィン付きとする。フィン付きとすると、広い表面積を有するので、熱交換性はよくなる。このフィンは、熱伝導性のよい金属性とするのが好ましい。地下鉄トンネル内、構内に設置する場合は、熱交換効率がよい銅製等のフィンを備えた熱交換用パネルを使用することも可能である。
【0045】
次に熱交換用パネル3の構造について図に基づいて具体的に説明を行う。
〔平板用熱交換用パネル〕
図6、図7は平板形の熱交換用パネル20を示す。図6は熱交換用パネル20の正面図、図7は平面図である。この熱交換用パネル20内に2本の孔20aが設けられ、この孔20a内にパイプ20bが設けられている。2本のパイプ20bのうち一方は第1流体10bの往路用パネル内流体路(以下、往路用流体路という。)であり、他方は復路用パネル内流体路(以下、復路用流体路という。)である。この熱交換用パネル20は隣接して複数個接続されるが、その接続側端部は凹凸形状になっている。
【0046】
即ち熱交換用パネル20の一端は、2本の孔20a及びパイプ20b部分の熱交換用パネル20の一部が円錐形状凸部分(以下、凸部分という。)21として張り出すように形成されており、他端はこの凸部分21が嵌り込み可能な円錐形状凹部分(以下、凹部分という。)22として形成されている。従ってこの熱交換用パネル20は接続されると凸部分21と凹部分22が相互に嵌り込み2つの熱交換用パネル20は端部が付き合わされて接合し二点鎖線に示すように一体化する。接合部分は円錐形状になっているので、隙間なく押し込まれ水密状態を維持するが、円錐形状部にパッキン等シール部材を設けたり、シール剤、密封剤等を塗布すれば水密性は一層確実に確保できる。なお、平型形の熱交換パネルは、前述したトンネル側熱交換部の実施の形態2のように接続部分がないものであってもよい。
【0047】
〔弧状熱交換用パネル〕
図8に示すのは、断面が弧状の熱交換用パネル23の正面図である。平面図は図6と略同様構成であるので省略するが、接続部分24は前述の平板形と全く同様である。この熱交換用パネル23は弧状になっているトンネル内壁1に適用されるので、弧状形状となっている。トンネルの施工においては前述の平板形の熱交換用パネル20、壁パネル3aと組み合わせて使用される。なお、弧状の熱交換パネル23は、前述したトンネル側熱交換部の実施の形態2のように接続部分がないものであってもよい。
【0048】
図9は、所定長さに達したトンネル側熱交換部4の後端部に使用される熱交換用パネル25の平面図である。熱交換用パネル25内にU字状の孔26が設けられていて、往路用流体路26aと復路用流体路26bがU字状に内部で接続されている。この往路用流体路26aと復路用流体路26bの端部は凹部分27を形成して、前述の熱交換用パネル20,23の凸部分21が嵌りこむ。この熱交換用パネル20,23,25が相互に接続されることにより、第1流体10bは熱交換用パネル20,23,25外に漏れることなく循環する。また、孔26内にパイプ26cを設けた構成のものであってもよい。更に、熱交換パネル25は、前述したトンネル側熱交換部の実施の形態2のように接続部分がないものであってもよい。
【0049】
〔異熱伝導性熱交換用パネル〕
図10及び図11は熱伝導性の異なるコンクリートで構成される熱交換用パネル28を示す正面図である。なお、熱交換用パネルは、同じ熱伝導性のコンクリートで製造されていてもよいが、この実施の形態のように熱伝導性の異なる熱交換用パネルにしてもよい。図10において、この熱交換用パネル28は、地山、地盤側(トンネル外面側)を高熱伝導性のコンクリート28aとし、トンネル内面側を低熱伝導性のコンクリート28bとして一体化させたものである。図10は、パイプ28cを高熱伝導性のコンクリート28a側に設けている。図11も図10と同様であるが、高熱伝導性のコンクリート28a側に往路用流体路のパイプ29aを設け、低熱伝導性のコンクリート28b側に復路用流体路のパイプ29bを設けた形態である。高熱伝導性のコンクリート28a内に、少なくとも往路用流体路のパイプ29aを設けることで熱採取を容易にすることができる。なお、熱交換用パネルは、一般のコンクリートと高熱伝導性のコンクリート、一般のコンクリートと低熱伝導性のコンクリートとを一体化したものであってもよい。例えば、地山、地盤側(トンネル外面側)を高熱伝導性のコンクリートとし、トンネル内面側を一般のコンクリートとして一体化させたものなどであってもよい。さらに、熱交換用パネルは、一般のコンクリートと高熱伝導性のコンクリート、一般のコンクリートと低熱伝導性のコンクリートのいずれかで形成されたものであってもよい。
【0050】
〔フィン付熱交換用パネル〕
図12は、トンネル内の空気温度が高い場合に適用される熱交換用パネル30である。地山、地盤側を低熱伝導性のコンクリート30aとし、トンネル内面側に高熱伝導性のコンクリート30bとして一体化させたものである。またトンネル内面側の高熱伝導性コンクリート30bはフィン31付きとして構成している。このフィン31はコンクリートと一体のものであってもよいが、熱伝導性のよい金属製の方が効果的である。往路用流体路のパイプ32aは高熱伝導性のコンクリート30b側に設けられ、復路用流体路のパイプ32bは低熱伝導性のコンクリート30a側に設けられている。すなわち、高温の空気温度をフィン31、高熱伝導性のコンクリート30bで第1流体10bへの熱交換が容易になるようにしている。また、温度の低い地山、地盤側の影響を、低熱伝導性のコンクリート30aで受けにくくしている。
【0051】
更に図示はしていないが、前述した実施の形態で説明した熱交換用パネルの変形例として、前述に示したものと同様のパイプを設置できる溝が形成された熱交換用パネルであってもよい。又、図12においてフィンはトンネル内側に設けることで説明したが地盤側(トンネル外側)に設けるようにしてもよい。
【0052】
〔トンネル熱利用熱交換システムの実施の形態〕
図1に従って、トンネル熱利用熱交換システムの実施の形態の説明を行う。
熱交換パネル3で構成されたトンネル側熱交換部4、第1熱交換部10を含む第1熱移動用流体路(以下、第1流体路という。)10aを第1流体10bが循環している。トンネル側熱交換部4のパネル内流体路は、第1流体路10aの一部を形成している。第1流体10bは、ポンプ10cによって循環している。負荷側熱交換部2、第2熱交換部11を含む第2熱移動用流体路(以下、第2流体路という。)11aを第2循環流体(以下、第2流体という。)11bが循環している。第2流体11bは、ポンプ11cによって循環している。第1流体路10aと、第2流体路11aの間には、ヒートポンプ5が設けられている。このヒートポンプ5は公知のものであるが、理解を容易にするため図13をもとに概略を説明する。このヒートポンプ5は道路等の融雪装置、住宅の冷暖房装置、給湯装置等に適用されることが多いものである。
【0053】
このヒートポンプ5は、図1、13に示すように、熱媒体6を循環させ熱交換を行なうもので、媒体路にモーター7で駆動される圧縮機8、膨張弁9、第1熱交換部10、第2熱交換部11を有している。トンネル側の第1流体路10aに第1熱交換部10を配し、負荷側熱交換部2側の第2流体路11aに第2熱交換部11を配した構成になっている。第1流体10bは、熱交換パネル3の設置によりトンネル内壁1に設けられたトンネル側熱交換部4でトンネルの地中又はトンネル内の空気と熱交換する。トンネル側熱交換部4で熱交換された第1流体10bが第1流体路10aを循環し、第1熱交換部10で熱媒体6と熱交換を行う。第1流体10bと熱交換された熱媒体6は、圧縮機8で圧縮されて加熱され、第2熱交換部11で、第2流体11bと熱交換する。熱媒体6と熱交換した第1流体10bは、トンネル側熱交換部4に戻り地中と熱交換を行う。第2流体11bは、負荷側熱交換部2である路面等に設置された熱交換部を含む第2流体路11a内を循環する。第2熱交換部11で加熱された第2流体11bは負荷側熱交換部2で熱交換して熱制御対象物を加熱する。例えば、路面を温めて凍結を防止したり、部屋の暖房等を行う。負荷側熱交換部2で熱量を使った第2流体11bは低温化し、第2ポンプ11cで第2熱交換部11に戻り、熱媒体6との熱交換を行う。
【0054】
第2流体11bと熱交換した熱媒体6は低温化し、膨張弁9によってさらに減圧されることによって、さらに低温になって第1熱交換部10に戻り、第1流体10bと熱交換を行う。又、第1流体路10a内を循環する第1流体10b、第2流体路11a内を循環する第2流体11bは水又は不凍液であることが好ましく、各々第1ポンプ10c、第2ポンプ11cを介して強制的に循環している。このように、トンネル壁面の外側、即ち地盤と、あるいはトンネル内の廃熱が蓄積された空気等を、熱交換用パネル3で構成されるトンネル側熱交換部4で熱交換し、前述のヒートポンプ5の熱源に利用することで、経済的で省エネルギーな熱交換システムが構築できるのである。なお、この説明では、トンネル側熱交換部4で熱交換された熱を熱源として、負荷側熱交換部2を加熱するものとして説明を行ったが、トンネル側熱交換部4で熱交換された熱を熱源として、負荷側熱交換部を冷却するものであってもよい。その場合には、図13において、第1流体、熱媒体、第2流体の循環の方向を逆方向とすればよい。
【0055】
〔トンネル熱利用熱交換システムの他の実施の形態〕
図14に従って、トンネル熱利用熱交換システムの他の実施の形態の説明を行う。前述した実施の形態では、トンネル側熱交換部で熱交換した熱を熱源とする熱交換システムとして、ヒートポンプを利用するシステムで説明を行ったが、トンネル側熱交換部で熱交換した熱を直接利用してもよい。
【0056】
図14に示すように、トンネル内壁101の熱交換用パネル103で構成されたトンネル側熱交換部104でトンネルの地中又は空気と熱交換する。この熱を熱交換された循環流体110bが熱移動用流体路をポンプ110によって循環する。トンネル側熱交換部104のパネル内流体路は、熱移動用流体路の一部を形成している。ポンプ110で循環させられた循環流体110bは、負荷側熱交換部102に熱を移動させる。負荷側熱交換部102で熱制御対象物を加熱又は冷却、融雪等を行うことができる。ヒートポンプを利用したものに比べると、加熱、冷却能力は少し劣るが、低価格でトンネル熱利用熱交換システムを構築することができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されることはない。本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内で変更可能なことはいうまでもない。例えば、熱交換用パネルに流体路を1本設け、往路用流体路、復路用流体路を別々の熱交換用パネルに設けたものであってもよい。この場合、トンネル側熱交換部の長さが所定の長さに達したら、略L字状のパネル内流体路を有する熱交換用パネル2個を対称に接続して循環可能なU字状の流体路を形成し、循環流体が循環可能になるようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、トンネル熱交換用パネル及びトンネル熱利用熱交換システムを模式的に示した全体構成図である。
【図2】図2は、トンネル熱交換用パネルを有するトンネルの断面図である。
【図3】図3は、トンネル熱交換用パネルで構成されるトンネル側熱交換部の実施の形態1を示す断面図である。
【図4】図4は、トンネル熱交換用パネルで構成されるトンネル側熱交換部の実施の形態2を示す断面図である。
【図5】図5は、トンネル熱交換用パネルの孔とパイプとの間にグラウト材を充填した状態を示す断面図である。
【図6】図6は、平板形トンネル熱交換用パネルの正面図である。
【図7】図7は、平板形トンネル熱交換用パネルの平面図である。
【図8】図8は、弧状トンネル熱交換用パネルの正面図である。
【図9】図9は、U字状往復循環路を有するトンネル熱交換用パネルの平面図である。
【図10】図10は、異なる熱伝導性を有するコンクリートで構成されるトンネル熱交換用パネルの正面図で、往復路のパイプを高熱伝導性コンクリート側に設けた場合を示す。
【図11】図11は、異なる熱伝導性を有するコンクリートで構成されるトンネル熱交換用パネルの正面図で、往路のパイプを高熱伝導性コンクリート側に、復路のパイプを低熱伝導性コンクリート側に設けた場合を示す。
【図12】図12は、フィンを設けたトンネル熱交換用パネルの正面図である。
【図13】図13は、ヒートポンプの構成を示す説明図である。
【図14】図14は、トンネル熱交換用パネル及びトンネル熱利用熱交換システムの他の実施の形態を模式的に示した全体構成図である。
【符号の説明】
【0059】
1,101…トンネル内壁
2,102…負荷側熱交換部
3,20,23,25,30,103…トンネル熱交換用パネル
3a…壁パネル
3b,3d…パネル本体
4,104…トンネル側熱交換部
5…ヒートポンプ
6…熱媒体
10…第1熱交換部
11…第2熱交換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの壁面に設置される壁パネルと協働してトンネルの周囲壁面を形成するトンネル熱交換用パネルであって、
前記トンネルの地中又は空気と熱交換を行うためのパネル本体と、
このパネル本体に設けられ、前記熱交換された熱を、前記パネル本体から離れた位置に循環流体を介して移動させるための熱移動用流体路の一部を形成するパネル内流体路とを有し、
前記トンネルの長手方向に複数個連続して設置させてトンネル側熱交換部を形成できるようにした
ことを特徴とするトンネル熱交換用パネル。
【請求項2】
請求項1に記載されたトンネル熱交換用パネルにおいて、
前記パネル内流体路は、前記パネル本体に形成された穴に合成樹脂製又は耐蝕性のある金属製のパイプが挿通されているものである
ことを特徴とするトンネル熱交換用パネル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたトンネル熱交換用パネルにおいて、
前記パネル本体は、前記パネル内流体路の相互の接続部が凹凸部を構成し、相互に差込み接続が可能になっているものである
ことを特徴とするトンネル熱交換用パネル。
【請求項4】
請求項1又は2に記載されたトンネル熱交換用パネルにおいて、
前記パネル本体には、前記パネル内流体路の往路と復路が形成されている
ことを特徴とするトンネル熱交換用パネル。
【請求項5】
請求項1又は2に記載されたトンネル熱交換用パネルにおいて、
前記パネル本体は、内部で前記パネル内流体路の往路と復路が合流し、前記循環流体が向きをかえて循環可能に設けられているのものである
ことを特徴とするトンネル熱交換用パネル。
【請求項6】
請求項1又は2に記載されたトンネル熱交換用パネルにおいて、
前記パネル本体は、高熱伝導性コンクリート、低熱伝導性コンクリート、一般のコンクリートのいずれかで形成されたもの、又は、高熱伝導性コンクリート、低熱伝導性コンクリート、一般のコンクリートの少なくとも2種類が組み合わされて一体化されたものである
ことを特徴とするトンネル熱交換用パネル。
【請求項7】
請求項1又は2に記載されたトンネル熱交換用パネルであって、
前記パネル本体には、フィンが形成され、このフィン近傍の地中又は空気と熱交換するものである
ことを特徴とするトンネル熱交換用パネル。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載されたトンネル熱交換用パネルであって、
前記パネル本体は、平板状又は弧状に形成されているものである
ことを特徴とするトンネル熱交換用パネル。
【請求項9】
請求項1又は2に記載されたトンネル熱交換用パネルをトンネルの長手方向に複数個連続して設置させて構成されるトンネル側熱交換部と、
前記トンネル側熱交換部のパネル内流体路と接続され、前記トンネル熱交換部で前記トンネルの地中又は空気と熱交換された熱を移動させるための循環流体が循環するための熱移動用流体路と、
前記熱移動用流体路を循環する循環流体によって移動させた熱で、熱制御対象物を加熱又は冷却するための負荷側熱交換部とからなっている
ことを特徴とするトンネル熱利用熱交換システム。
【請求項10】
請求項1又は2に記載されたトンネル熱交換用パネルをトンネルの長手方向に複数個連続して設置させて構成されるトンネル側熱交換部と、
前記トンネル側熱交換部のパネル内流体路と接続され、前記トンネル側熱交換部で前記トンネルの地中又は空気と熱交換された熱を移動させるための第1循環流体が循環する第1熱移動用流体路と、
負荷側熱交換部を加熱又は冷却するため第2循環流体が循環する第2熱移動用流体路と、
前記第1熱移動用流体路と前記第2熱移動用流体路との間に設けられ、前記第1循環流体を熱源として、前記第1循環流体より高温又は低温の前記第2循環流体を造成するヒートポンプとからなっている
ことを特徴とするトンネル熱利用熱交換システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−107288(P2007−107288A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299638(P2005−299638)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(500553235)三菱マテリアル資源開発株式会社 (9)
【Fターム(参考)】