説明

トンネル用セグメントとトンネル構造物

【課題】グラウトの流出を防止できると共に耐火性、耐熱特性、耐腐食特性を向上させたグラウト注入孔を備えたトンネル用セグメント及びトンネル構造物の提供。
【解決手段】コンクリート層10を貫通したグラウト注入孔101を備えたトンネル用セグメント1であって、グラウト注入孔101の少なくともグラウト注入口部(セラミックス部材2)がセラミックスで構成される。複数のトンネル用セグメント1aを組み立ててなるトンネル構造物であって、トンネル用セグメント1aはコンクリート層10を貫通したグラウト注入孔101を備え、グラウト注入孔101の少なくともグラウト注入口部(セラミックス部材2)がセラミックスからなり、トンネル用セグメント1がトンネル構造物に使用される場合、グラウト注入孔101は封止部材(封止プラグ3)によって封止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、シールド工法用セグメントの場合にあって、前記セグメントの背面側にグラウトを注入する注入孔を備えているトンネル用セグメント(例えばコンクリートセグメント、コンクリートと鋼材との複合セグメント)とトンネル構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工法に使用するセグメントの場合、特許文献1〜7に例示されているように、止水などを目的として、地山とセグメントとの間に水ガラス、ベンナイト等のグラウトを注入されている。そのために、前記セグメントにはグラウト注入孔が形成されている。この種のグラウト注入孔の構成部材及び封止プラグは金属または合成樹脂で構成されている。
【特許文献1】特開平7−317494
【特許文献2】特開平9−328995
【特許文献3】特開平10−29648
【特許文献4】特開2002−38887
【特許文献5】実用新案登録第3087397号公報
【特許文献6】実用新案登録第3007863号公報
【特許文献7】特開2005−68924
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンクリートセグメント、コンクリートと鋼材との複合セグメントのコンクリート層内にその一部が露出した状態で埋設されている金属(グラウト注入孔の金具)が露出している場合には、地電流、環境の酸性成分などの影響により腐食が生じ、さらには火災時には金属部材が熱膨張してコンクリートにクラックを発生させる。その結果、コンクリート層、内部鉄筋、引いては、コンクリート構造物の損傷に拡大発展し、止水機能が損失する問題がある。
【0004】
そこで、特許文献7に示された孔塞ぎプラグのように、耐火耐熱特性の劣る合成樹脂に代えて、モルタルからなるものの適用が考えられるが、前記グラウト注入孔の金具は金属製であるので、耐腐食性は期待できない。
【0005】
また、前記グラウト注入孔は合成樹脂により構成されている場合には、腐食に対する耐食性が有る程度期待できるが、耐火、耐熱特性が劣り、止水機能が害され、グラウト材が流出して損害が拡大する可能性がある。
【0006】
近年、トンネル等の坑内火災時におけるコンクリート構造物の保護のために、耐火耐熱特性の規定が各国、様々な機関によって火災発生時から時系列温度上昇曲線が設定されている(火災発生時の「温度−時間曲線」の想定)。
【0007】
例えば、ISOによる標準時間−温度曲線、油火災で模擬した炭化水素火災曲線、RABT曲線(ドイツにおける道路トンネルの設備と運用に関する指針)、オランダ運輸公共事業所治水局の曲線などが知られており、日本の場合は、ドイツにおけるRBAT曲線に準拠した温度−時間曲線が設定されている。
【0008】
コンクリート構造物を保護するために、コンクリート構造物の表面を耐火耐熱特性部材で被覆することが行われているが、コンクリート構造物(各セグメント)自体が耐火耐熱特性に劣る部材を具備しない構造とすることも重要である。
【0009】
本発明は以上の事情に鑑みなされたもので、その目的はグラウトの流出を防止できると共に耐火性、耐熱特性及び耐腐食特性を向上させたグラウト注入口部を備えたトンネル用セグメントとトンネル構造物の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、請求項1記載のトンネル用セグメントは、コンクリート層を貫通したグラウト注入孔を備えたトンネル用セグメントであって、前記グラウト注入孔の少なくともグラウト注入口部がセラミックスで構成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載のトンネル用セグメントは、請求項1記載のトンネル用セグメントにおいて、前記トンネル用セグメントの内表面部に耐火耐熱手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項3記載のトンネル構造物は、複数のトンネル用セグメントを組み立ててなるトンネル構造物であって、前記トンネル用セグメントはコンクリート層を貫通したグラウト注入孔を備え、前記グラウト注入孔の少なくともグラウト注入口部がセラミックスからなり、前記トンネル用セグメントがトンネル構造物に使用される場合、前記グラウト注入孔が封止部材によって封止されることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載のトンネル構造物は、請求項3記載のトンネル構造物において、前記封止部材は無機質材からなることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載のトンネル構造物は、請求項3または4記載のトンネル構造物において、前記トンネル用セグメントの内表面を耐火パネルで覆うことを特徴とする。
【0015】
請求項1〜5記載の発明によれば、グラウト注入孔の少なくともグラウト注入口部がセラミックスからなるので、グラウトの流出が防止されると共に耐火耐熱特性及び耐腐食性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、請求項1及び2記載の発明によれば、グラウトの流出を防止できると共に耐火性、耐熱特性及び耐腐食特性を向上させたグラウト注入孔を備えたトンネル用セグメントを提供できる。
【0017】
請求項3〜5記載の発明によれば、グラウトの流出を防止できると共に耐火性、耐熱特性及び耐腐食特性を向上させたグラウト注入孔を備えたトンネル構造物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0019】
図1(a)は本発明の一実施形態に係るトンネル用セグメントの概略構成を示した断面図である。図1(b)は前記トンネル用セグメントに埋設されたセラミックス部材の概略構成を示した断面図である。図1(c)は前記セラミックス部材の端面を示した平面図である。
【0020】
トンネル用セグメント1aは定型に形成されたコンクリート層10にセラミックス部材2が埋設されて構成される。トンネル用セグメント1aはグラウト層12を介して地山11に設けられる。トンネル用セグメント1aにおけるセラミックス部材9の埋設深さはセラミックス部材9の全長によって決定される。
【0021】
セラミックス部材2は、コンクリート層10と地山11との間に充填されるグラウト層12を構成するグラウトを注入するためのグラウト注入口部として機能している。そして、このセラミックス部材2が図1(a)及び図1(b)に示したようにコンクリート層10に形成されたグラウト注入路100と連通することにより、コンクリート層10を貫通させたグラウト注入孔101が形成されている。このようにしてトンネル用セグメント1aが地山11に設置された場合、トンネル用セグメント1aの止水性が維持される。グラウト注入孔101の形態はトンネル用セグメント1aにおけるセラミックス部材2の埋設深さに応じて全長や形状が設定される。また、セラミックス部材2はトンネル用セグメント1aを運搬手段によって把持運搬するための把持部材と連結可能となっている。トンネル用セグメント1aにおいてセラミックス部材2の設置数は1個または複数個である。例えばトンネル用セグメント1aのサイズやトンネル用セグメント1を把持運搬する時の安全性及び安定性が考慮されて複数設けられる。
【0022】
セラミックス部材2は図1(b)に示されたように本体部21からなる。本体部21はアルミナ、ジルコニア等に例示されるセラミックスからなり中空円筒状または外周多角形状の筒体に形成される。本体部21の貫通孔22は雌ねじ部221と連通孔222とからなる。雌ねじ部221は把持部材または封止部材と螺合する。前記把持部材としては例えば特開平8−270394に開示された把持金具が挙げられる。前記封止部材としては雌ねじ部221に対応した封止プラグ3が例示される。連通孔222はグラウト注入路100と雌ねじ部221とを連通させる孔である。連通孔222はグラウト注入孔201や雌ねじ部221と同径に形成する必要ない。また、雌ねじ部221内には逆止め弁23が螺合装着されると、グラウト層12を構成するグラウトの流出が防止される。逆止め弁23は例えば特開平7−317494に開示されたものを採用すればよい。逆止め弁23は本体部21を構成する材料で形成するとなおよい。また、図1(b)及び図1(c)に示されたように本体部21中央の外周面の一部に切り欠き状の廻り止め部24が形成されると、把持部材や封止部材をセラミックス部材2に装着する際にセラミックス部材2の供廻りが防止されると共に抜け止めとなる。尚、図示された廻り止め部24は切り欠き状に形成されているが、凸形に形成してもよい。
【0023】
雌ねじ部221の開口部を封止する封止部材として図1(b)に例示された封止プラグ3は雄ねじ部31とツバ部32とからなる。雄ねじ部31の軸長は本体部21の雌ねじ部221の有効軸長に応じて設定される。図1(b)に示された形態では逆止め弁23が装着された雌ねじ部221の有効軸長に応じて雄ねじ部31の軸長が決定される。雄ねじ部31とツバ部32はセラミックス、コンクリート、モルタル等に例示される無機質材料によって一体的に成形されている。前記セラミックスとしてアルミナ、ジルコニア、ムライト、コーディライト、ステアタイト等に例示される焼結部材が挙げられる。例えば特開2001−122670、特開2001−271597、特開2001−328855、特開2002−357098、特開2003−120197、特開2003−269097、特開2004−003285等に開示されたものがある。また、アルミナセメント系材料等を主成分とする不定形耐火物や耐火繊維等の非焼結部材によって鋳造加工されたものがある。例えば特開2004−011312に開示されたものがある。さらに、少なくとも1200℃の温度に1時間暴露に耐えうる耐久性を有する無機質材よって構成されたものがある。例えば特開2003−293484、特開2003−300783に開示されたものがある。
【0024】
雄ねじ部31は封止プラグ3がセラミックス部材2に装着される際に本体部21の雌ねじ部221と螺合する。一方、ツバ部32は封止プラグ3がセラミックス部材2に装着される際に雌ねじ部221の開口部を閉塞させる。ツバ部32は雄ねじ部の一端側に形成されている。ツバ部32は円柱形状の平頭に形成されている。また、ツバ部32の端面には封止プラグ3を螺進させるためのねじ回し手段が係止される溝部33が適宜の深さで形成される。溝部33の開口部の形状は特に限定されない。前記形状としてはマイナス形、プラス形、正四角形、正六角形等が例示される。
【0025】
トンネル用セグメント1aの製造方法の概要を述べる。トンネル用セグメント1aの成分(コンクリート層10の成分)がトンネル用セグメント1a用型枠に打設される前に、セラミックス部材2がトンネル用セグメント1a用型枠内に設置される。セラミックス部材2の一端にはグラウト注入路100用型枠が装着される一方で、セラミックス部材2のもう一端には封止栓(封止プラグ3でもよい)が装着されている。そして、トンネル用セグメント1aの成分がトンネル用セグメント1a用型枠内に打設されて硬化した後に、トンネル用セグメント1a用型枠、グラウト注入路100用型枠及び前記封止栓が除去されると、セラミックス部材2とグラウト注入路100とからなるグラウト注入孔101を形成させたトンネル用セグメント1aが出来上がる。尚、グラウト注入路100はその内面がテーパー状に形成されると、グラウト層12が形成される空間にグラウトを供給しやすくなる。
【0026】
また、グラウト注入路100の他の形態としてはセラミックス部材2の雌ねじ部221に装着される金属製、プラスチックス製またはセラミックス製の材料からなる筒体がある。前記筒体によれば、トンネル用セグメント1aを製造する際にグラウト注入路100用型枠の着脱が必要でなくなり、トンネル用セグメント1aの製造工程が簡略になる。前記筒体の装着の形態は前記筒体と雌ねじ部221の螺合に限定する必要はない。
【0027】
セラミックス部材2はトンネルセグメント搬送用把持金具連結部材としても使用できる。また、セラミックス部材2において複数設けられたトンネル用セグメント1aのうち、幾つかのセラミックス部材2をグラウト注入口部用として、幾つかのセラミックス部材2を把持金具連結用として利用するようにしてもよい。トンネル用セグメント1aの搬送及び組み付けを行なう場合、トンネル用セグメント1aはセラミックス部材2に装着された把持部材に搬送手段を連結させると、トンネル用セグメント1aを施工現場の所定の場所に搬送し、且つトンネル構造物として組付けることができる。前記搬送手段としては例えば特開平8−270394に示されたセグメントエレクタ装置が挙げられる。
【0028】
本発明の他の実施形態に係るトンネル用セグメントとしては図2(a)に示されたトンネル用セグメント1bがある。トンネル用セグメント1bは地山11の表面にグラウト層12を介して設けられる。トンネル用セグメント1bのコンクリート層10の表面には耐火耐熱手段として耐火層13が一体形成されている。耐火層13は既知の耐火性の材料で構成すればよい。耐火層13としては例えば特開2003−300783、特開2003−293484等に開示されたものが挙げられる。
【0029】
トンネル用セグメント1bには、トンネル用セグメント1aと同様に、セラミックス部材2が埋設されている。トンネル用セグメント1bの内表面部には耐火耐熱手段として耐火層13が設けられている。セラミックス部材2は一方の端面が耐火層13の表面と一致するようにコンクリート層10と耐火層13とに埋設されている。そして、この埋設されたセラミックス部材2がコンクリート層10に形成されたグラウト注入路100と連通することで、コンクリート層10を貫通させたグラウト注入孔101がトンネル用セグメント1bにおいて形成されている。トンネル用セグメント1bの製造方法は前記説明したトンネル用セグメント1の製造方法に準ずればよい。トンネル用セグメント1aの把持搬送は先に説明した方法で行えばよい。
【0030】
また、耐火機能を有するトンネル用セグメントの他の形態としては例えば図2(b)に示されたトンネル用セグメント1cがある。トンネル用セグメント1cはコンクリート層10の表面に耐火耐熱手段として耐火耐熱部14を介して耐火パネル15が設けられる。
【0031】
トンネル用セグメント1cにセラミックス部材2が埋設される際にはセラミックス部材2に封止プラグ3が装着される。そして、コンクリート層10の成分が打設硬化した後に封止プラグ3が除去される。トンネル用セグメント1cの把持搬送は耐火耐熱部14及び耐火パネル15が設けられる前に行なわれる。
【0032】
耐火耐熱部14はキャスタブル耐火物からなる。前記キャスタブル耐火物は耐火性骨材とアルミナセメントなどの水硬剤を混合して得られた耐火物である。前記耐火物の具体的なものとしては例えば特開2002−357098に示されたものがある。この耐火物は酸化アルミニウム30〜98重量%、酸化珪素5〜49重量%のうちの任意の範囲を主成分とし、これに補助剤として例えばアルミナセメント等の結合剤と、例えばヘキサメタリン酸ソーダ等の分散剤を少量含有している。
【0033】
耐火パネル15としては既知の耐火タイル例えば特開2003−120197、特開2002−367098等に開示されたものが挙げられる。
【0034】
トンネル用セグメントに埋設されるセラミックス部材の他の形態としては、図3に示されたコンクリートセグメント1dに埋設されたインサートタイプ(外径が異径である筒体)のものがある。トンネル用セグメント1dは地山11の表面にグラウト層12介して設けられる。トンネル用セグメント1dのコンクリート層10には、グラウト注入口部として機能するセラミックス部材4が埋設されていると共に、このセラミックス部材4と連通してグラウト注入孔103を構成させるグラウト注入路102が形成されている。グラウト注入路102は、その内面がテーパー状に形成されることで、グラウト層12が形成される空間にグラウトを供給しやすくなっている。
【0035】
セラミックス部材4は本体部41からなる。本体部41は雌ねじ部411がグラウト注入路102と連通するようにコンクリート層10に埋設される。本体部41にはスリーブ42が装着される。スリーブ42には雌ねじ部411と螺合する封止部材または把持部材が挿通される。本体部41とスリーブ42は既知の接着剤または接続部材を介して接続される。トンネル用セグメント1dにおけるセラミックス部材4の埋設深さはスリーブ42の長さによって設定される。本体部41はアルミナ、ジルコニア等に例示されるセラミックスからなる。スリーブ42はアルミナ、ムライトが例示されるセラミックスからなる。
【0036】
本体部41は外周面が曲面に加工されている。例えば本体部41は図示されたように略樽状に形成されている。スリーブ42は中空円筒状に形成されている。本体部41の最大外径D1とスリーブ42の外径D2と本体部41端面の外径D3の寸法は、図4に示されたように、D1>D3>D2の関係となるように設定される。このように本体部41とスリーブ42の外径が異径に形成されることによりトンネル用セグメント1dとセラミックス部材4との埋設的強度を確実なものとなる。また、本体部41の側面の一部分に廻り止め部412が形成されると、把持金具をセラミックス部材4に装着する際にセラミックス部材4の供廻りが防止される。廻り止め部412は、本体部41の外周側面の一部分が切り欠きされて形成されているが、凸形に形成してもよい。
【0037】
また、本体部41の雌ねじ部411内にも逆止め弁43が螺合装着されることにより前記グラウトの流出の防止が図られている。本体部41の雌ねじ部411には一端側の開口部を閉塞させる封止プラグ3が装着される。トンネル用セグメント1dの製造方法は前記説明したトンネル用セグメント1aの製造方法に準ずればよい。トンネル用セグメント10の把持搬送は先に述べた説明した方法で行えばよい。
【0038】
前記封止部材としては例えば図3に示された封止プラグ5がある。封止プラグ5は、本体部41の雌ねじ部411と螺合する雄ねじ部51と、封止プラグ5がセラミックス部材4に装着される際にスリーブ42の開口部を閉塞させるツバ部52とからなる。また、雄ねじ部51には封止補助部材54が装着される。補助封止部材54は円筒状に形成されたパッキンやワッシャが挙げられる。前記パッキン及びワッシャとしては特開平7−138067、特開平8−14294、特開平8−135794等に例示される弾性セラミックスワッシャのような耐熱、耐食性を有する材料からなるものが採用される。雄ねじ部51の軸長は本体部41の雌ねじ部411の有効軸長に応じて設定される。図3に示された形態では逆止め弁43が装着された雌ねじ部411の有効軸長に応じて雄ねじ部51の軸長が決定される。ツバ部52は雄ねじ部の一端側に形成されている。ツバ部52は封止プラグ3と同様に円柱形状の平頭に形成されている。また、ツバ部52の端面には封止プラグ5を螺進させるためのねじ回し手段が係止される溝部53が適宜の深さで形成される。溝部53の開口部の形状は封止プラグ3と同様に特に限定されない。前記形状としてはマイナス形、プラス形、正四角形、正六角形等が例示される。雄ねじ部51とツバ部52は雄ねじ部31とツバ部32と同様の材料で形成すればよい。
【0039】
以上の説明から明らかなようにトンネル用セグメント1a〜1eによれば、これらのトンネル用セグメントに埋設されたセラミックス部材がセラミックスからなると共に搬送手段に連結された把持部材が装着可能であるので、前記トンネル用セグメントが把持搬送できると共に耐火耐熱特性及び耐腐食性が向上する。また、セラミックス部材はグラウト注入口部として機能しているので湧水や漏水を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】(a)本発明の一実施形態に係るトンネル用セグメントの概略構成を示した断面図,(b)前記トンネル用セグメントに埋設されたセラミックス部材の概略構成を示した断面図,(c)前記セラミックス部材の端面を示した平面図。
【図2】(a)本発明の一実施形態に係るトンネル用セグメントの概略構成を示した断面図,(b)本発明の一実施形態に係るトンネル用セグメントに埋設されたセラミックス部材の概略構成を示した断面図。
【図3】本発明の一実施形態に係るトンネル用セグメントとこれに埋設されたセラミックス部材に装着される封止プラグの概略構成を示した断面図。
【図4】本発明の一実施形態に係るトンネル用セグメントに埋設されたセラミックス部材の概観を示した断面図。
【符号の説明】
【0041】
1a,1b,1c,1d,1e…トンネル用セグメント
2…セラミックス部材(グラウト注入口部)、21…本体部、22…貫通孔、221…雌ねじ部、222…連通孔、23…逆止め弁、24…廻り止め部
3…封止プラグ、31…雄ねじ部、32…ツバ部、33…溝部
4…セラミックス部材(グラウト注入口部)、41…本体部、411…雌ねじ部、412…廻り止め部、42…スリーブ、43…逆止め弁
5…封止プラグ、51…雄ねじ部、52…ツバ部、53…溝部、54…封止補助部材
10…コンクリート層
11…地山
12…グラウト層
13…耐火層
14…耐火耐熱部
15…耐火パネル
100,102…グラウト注入路
101,103…グラウト注入孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート層を貫通したグラウト注入孔を備えたトンネル用セグメントであって、
前記グラウト注入孔の少なくともグラウト注入口部がセラミックスで構成されたこと
を特徴とするトンネル用セグメント。
【請求項2】
前記トンネル用セグメントの内表面部に耐火耐熱手段を備えたこと
を特徴とする請求項1記載のトンネル用セグメント。
【請求項3】
複数のトンネル用セグメントを組み立ててなるトンネル構造物であって、
前記トンネル用セグメントはコンクリート層を貫通したグラウト注入孔を備え、
前記グラウト注入孔の少なくともグラウト注入口部がセラミックスからなり、
前記トンネル用セグメントがトンネル構造物に使用される場合、
前記グラウト注入孔が封止部材によって封止されること
を特徴とするトンネル構造物。
【請求項4】
前記封止部材は無機質材からなることを特徴とする請求項3記載のトンネル構造物。
【請求項5】
前記トンネル用セグメントの内表面を耐火パネルで覆うことを特徴とする請求項3または4記載のトンネル構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−177547(P2007−177547A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−378403(P2005−378403)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(500551323)明電セラミックス株式会社 (7)
【Fターム(参考)】