トンネル用照明灯具群のメンテナンスシステム、および、それを利用したトンネル用照明灯具群の保守・管理方法
【課題】 照明制御情報やメンテナンス情報の通信設備を最小限度に削減し、より経済性に秀れ、且つ効率的にメンテナンス作業を進めることができる新たなトンネル照明灯具用の保守、管理技術を提供する。
【解決手段】 トンネル内壁面に沿って複数の灯具取着体2の夫々に複数個のLEDモジュール3、電源入力部4、調光ユニット5、各種センサー6,6,……、および、定置可視光通信モジュール7を設けてなるトンネル用照明灯具群1を形成する一方、データ収集車両8に、移動可視光通信器9、情報処理端末90、および/または、記録媒体91とを搭載し、当該データ収集車両8がトンネル内を走行通過する過程で、各LEDモジュール3,3,……の各種メンテナンス情報を取得可能とし、同各種メンテナンス情報に基づき各LEDモジュール3,3,……の個別の保守・管理を可能なものとしたトンネル用照明灯具群1のメンテナンスシステムである。
【解決手段】 トンネル内壁面に沿って複数の灯具取着体2の夫々に複数個のLEDモジュール3、電源入力部4、調光ユニット5、各種センサー6,6,……、および、定置可視光通信モジュール7を設けてなるトンネル用照明灯具群1を形成する一方、データ収集車両8に、移動可視光通信器9、情報処理端末90、および/または、記録媒体91とを搭載し、当該データ収集車両8がトンネル内を走行通過する過程で、各LEDモジュール3,3,……の各種メンテナンス情報を取得可能とし、同各種メンテナンス情報に基づき各LEDモジュール3,3,……の個別の保守・管理を可能なものとしたトンネル用照明灯具群1のメンテナンスシステムである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、LED(発光ダイオード)を利用した照明技術に関連するものであり、特に、従来型のトンネル照明用蛍光灯灯具などに置き換えて設置したLED照明灯具利用のトンネル用照明灯具群のためのメンテナンス技術に関連するものであり、特にトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムを製造、提供および設置する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、トンネル用照明灯具群の保守・管理に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを製造するため、および、設置のための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
LED照明灯具は、従来型の蛍光灯などを利用した照明灯具に比較して消費電力の低減化や長寿命化などが達成可能という特性を有し、二酸化炭素排出量の削減や経済性に秀れるなどの有効性を活かそうとする目的から開発が進み、年を追う毎に発光効率および輝度が増し、近年では、トンネル用照明灯具としての応用も実現化されつつあり、特に、トンネル用照明に利用可能な高出力LEDは、最近のHID灯(高輝度放電ランプ)に比較すると、明らかに光量の不足が見られるものの、LEDの特徴を生かした光学設計でそれらを克服すると共に、さらなる省エネ化の検討を重ねた結果、概ね実用化できるところまで改良されてきている。
【0003】
しかしながら、実用化に向けた試作実験を繰り返す過程で、現在開発中のトンネル用LED灯具を、さらに効率化、長寿命化するために、LEDの使用開始当初には、電力の供給を削減して光量を適正値に調整し、長期間に亘って使用する過程では、適正な時期に清掃して汚れによる遮光を阻止すると共に、日中、トンネル外の明るさに合わせて減光する制御を加えたり、同LEDが、寿命の末期に至って次第に光量が落ちてきたときには、その光量の低下に応じて電力の供給を増加し、一定の輝度を確保するための制御したりするなど、灯具を適正に管理して確りとした予防保全をする必要があると云うことに着目した。
【0004】
(従来の技術)
(従来の技術)
こうした状況を指向し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記する特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、トンネルに設置した照明器具による路面輝度を計測可能な路面輝度測定装置を有し、この路面輝度測定装置による路面輝度のセンシングデータを通信ケーブルまたは無線を介して通信入力し、所要の路面輝度となるよう照明器具の出力を制御可能な制御装置を有してなり、道路およびトンネルにおいて適切な路面輝度を確保すると共に、従来に比べて消費電力の節減を可能としたものや、同特許文献1(2)および1(3)などに見られるような、トンネル内の進行方向に沿って所定区間毎に無線部を持つ照明制御受信装置を配置し、同照明制御受信装置に照明機器を接続し、当該照明制御受信装置に対して無線回線で無線制御情報を送信可能な無線部を持つ移動型操作器を設け、該移動型操作器は、当該照明制御受信装置に無線制御情報を周期的に送信し、同照明制御受信装置は、受信した無線制御情報に基づき照明機器を制御可能としてなるもの、また、同特許文献1(4)などのように、トンネル内に設置した複数の照明装置の夫々に子局を有する照明制御装置を設け、各子局と制御指令情報の無線通信が可能な親局を設置した上、各子局には夫々個別の識別番号を付与し、個々の監視制御を可能とし、トンネル内の配線や配管ケーブル数を最小限にして工事費の低減化を可能としてなるものなどが散見される。
【0005】
前者特許文献1(1)ないし(4)に示されているようなトンネル、道路用照明設備の各種制御システムなどは、何れも通信ケーブルやケーブル用の配管、ケーブルラックなどの設置を最小限度に削減することができるという利点を有しているが、メンテナンス情報を送受信するための専用送受信機器やアンテナなどの設備が不可欠であり、それらの設置およびメンテナンスに関して別途経費を要するという新たな課題が生じるという問題があった。
【特許文献1】(1)特開2001−148295号公報 (2)特開2008−84724号公報 (3)特開2008−177075号公報 (4)特開2005−116506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種トンネル、道路用の照明灯具類の制御システムなどは、何れも通信ケーブルや無線設備などの設置が不可欠で、設置コストおよびメンテナンスコストを増大してしまうという課題を伴うものであり、永年に亘ってトンネル用照明設備の開発、提供に携わり、既に自らにおいて各種高出力LED照明灯具の試作および実験を繰り返し、実用に結びつけてきている中、その過程で得られた様々な知見、および実験データからの情報などに基づき、照明機能上からは勿論のこと、製造、設置工程ならびに設置後の無線通信を利用した保守、管理作業上からも、LED照明灯具を更に適正且つ経済的に設置、メンテナンス可能とするための構成につき、更なる改善の可能性を痛感するに至ったものである。
【0007】
(発明の目的)
そこで、この発明は、照明制御情報やメンテナンス情報の通信設備を最小限度に削減し、より経済性に秀れ、且つ効率的にメンテナンス作業を進めることができる新たなトンネル照明灯具用の保守、管理技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステム、および、それを利用した新規のトンネル用照明灯具群の保守・管理方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、トンネル内壁面に沿って車両走行方向に対して所定角度をなす箱型または帯状の灯具取着体複数を適所に設置し、それら灯具取着体には、複数個のLEDモジュール、各LEDモジュールを個別に制御可能な電源入力部および調光ユニット、ならびに各LEDモジュールのメンテナンス情報を個別に検知可能な各種センサーと、各センサーから得られた個別のメンテナンス情報を蓄積し、無線通信情報に変換すると共に、各LEDモジュールの照明光のそれ自体に重調・送信可能とする定置可視光通信モジュールとを設けてなるトンネル用照明灯具群を形成する一方、トンネル内を走行可能なデータ収集車両に、当該定置可視光通信モジュールからのメンテナンス情報を受信可能な移動可視光通信器と、同移動可視光通信器の受信情報を演算処理可能な情報処理端末、および/または、同受信情報を記録可能な記録媒体とを搭載し、当該データ収集車両がトンネル内を走行通過する過程で、各LEDモジュールの各種メンテナンス情報を取得可能とし、同各種メンテナンス情報に基づき各LEDモジュールの個別の保守・管理を可能なものとした構成を要旨とするトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムである。
【0009】
この基本的な構成からなるトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムは、その表現を変えて示すならば、トンネル深部がわとなる内壁面に沿って車両走行方向に対して所定角度をなす箱型の灯具取着体を複数、適所に設置し、それら灯具取着体には、複数個のLEDモジュール、各LEDモジュールを個別に制御可能な電源入力部および調光ユニット、ならびに各LEDモジュールのメンテナンス情報を個別に検知可能な各種センサーと、各センサーから得られた個別のメンテナンス情報を蓄積し、無線通信情報に変換すると共に、各LEDモジュールの照明光のそれ自体に重調・送信可能とする定置可視光通信モジュールとを設けてなるトンネル用照明灯具群を形成する一方、トンネル内を走行可能なデータ収集車両に、当該定置可視光通信モジュールからのメンテナンス情報を受信可能な移動可視光通信器と、同移動可視光通信器の受信情報を演算処理可能な情報処理端末、および/または、同受信情報を記録可能な記録媒体とを搭載し、当該データ収集車両がトンネル内を走行通過する過程で、各LEDモジュールの各種メンテナンス情報を取得可能とし、同各種メンテナンス情報に基づき各LEDモジュールの個別の保守・管理を可能なものとした構成からなるトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムとなる。
【0010】
更には、トンネル入り口および出口付近の内壁面に沿って車両走行方向に対して所定角度をなす帯状の灯具取着体を複数、適所に設置し、それら灯具取着体には、複数個のLEDモジュール、各LEDモジュールを個別に制御可能な電源入力部および調光ユニット、ならびに各LEDモジュールのメンテナンス情報を個別に検知可能な各種センサーと、各センサーから得られた個別のメンテナンス情報を蓄積し、無線通信情報に変換すると共に、各LEDモジュールの照明光のそれ自体に重調・送信可能とする定置可視光通信モジュールとを設けてなるトンネル用照明灯具群を形成する一方、トンネル内を走行可能なデータ収集車両に、当該定置可視光通信モジュールからのメンテナンス情報を受信可能な移動可視光通信器と、同移動可視光通信器の受信情報を演算処理可能な情報処理端末、および/または、同受信情報を記録可能な記録媒体とを搭載し、当該データ収集車両がトンネル内を走行通過する過程で、各LEDモジュールの各種メンテナンス情報を取得可能とし、同各種メンテナンス情報に基づき各LEDモジュールの個別の保守・管理を可能なものとしたトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムということもできる。
【0011】
(関連する発明)
上記したトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムに関連し、この発明には、それを利用したトンネル用照明灯具群の保守・管理方法も包含している。
即ち、この発明の基本をなす前記何れかのトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムを用い、データ収集車両がトンネル内を走行通過する過程で、トンネル用照明灯具群の各定置可視光通信モジュール、各調光ユニットおよび各LEDモジュールと、当該データ収集車両搭載の移動可視光通信器との間で、各LEDモジュールの個別の明るさ、電流、電圧、故障の有無、消費電力、LED寿命予測値などの各種メンテナンス情報を送受信し、該受信情報を車載情報処理端末で演算処理するか、または、同受信情報を記録媒体に記録した後、該記録媒体に記録した受信情報を別の場所に有る情報処理端末で演算処理するかして、各LEDモジュール毎の各種メンテナンス情報を取得した上、データ収集車両によるデータ収集作業とは別に、その後にトンネル内走行車線の一部かまたは全部かを一時的に閉鎖して行うメンテナンス作業にて、当該演算処理にて得たメンテナンス情報に基づき、メンテナンスが必要と判明したLEDモジュールを1個単位毎に清掃、交換または調整する保守・管理作業を行うようにしてなる、この発明の基本をなす前記何れかのトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムを利用したトンネル用照明灯具群の保守・管理方法である。
【発明の効果】
【0012】
以上のとおり、この発明のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムは、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、従前までであれば、照明灯具類の故障や交換の時期などは、これまで蓄積された経験値などを頼りにしてメンテナンス時期を予測管理せざるを得ず、作業効率と安全性とを優先させるあまり、未だ寿命に至っていないかもしれない照明灯具であっても交換してしまうことが少なくなかったが、データ収集車両に搭載した移動可視光通信器または移動無線通信器により、各LEDモジュールのメンテナンス情報を定置可視光通信モジュールを介した可視光通信または無線通信によって簡便に入手することが可能となり、一個々々のLEDモジュールを正確且つ効率的に調整、洗浄および交換することができて、メンテナンス作業のためのトンネル内車線の封鎖時間を大幅に短縮することができると共に、メンテナンス作業の負担を格段に軽減することができる上、個々のLEDモジュールの寿命を最大限に延ばし、一段と経済性に秀れた照明技術を提供することができるものとなる。
【0013】
加えて、複数個のLEDモジュールを収容可能な箱型の灯具取着体を複数、適所に設置してなるトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムは、複数個のLEDモジュールを灯具取着体毎一まとめにして密閉状に設置できることから、設置作業を格段に迅速なものとすることができる上、防水性に秀れてキャビテーション清掃も容易でメンテナンス作業を従前までよりも遙かに簡単に終えることができるという特徴を有するものとなり、また、帯状の灯具取着体を複数、適所に設置してなるトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムは、複数個のLEDモジュールを個別、点在状に高い自由度を持って設置することができるから、特にトンネルの入り口や出口付近など外光が差し込む場所や光線にムラを生じ易い場所などを均質に照明できるよう調整することが格段に容易になり、設置場所の様々な条件に応じ、適切な照明を実現できるよう自在に配置調整できる上に、設置後も個々のLEDモジュールを簡便に移動、調節可能で、しかも、各LEDモジュールを同一部品の組み合わせからなるものとすることができることから、大量生産による大幅なコスト削減を達成可能にするという効果を奏するものとなる。
【0014】
さらに、LEDモジュールが当該灯具取着体の骨格形状部分に着脱自在に固着可能なベース部を有し、同ベース部に対して垂直軸心回りに回動調節自在な回転調節機構と、同ベース部に対して水平軸心回りに回動調節自在な傾動調節機構とを介して装着してなるものは、特に、梯子型や柵型または板型の何れかの帯状骨格形のものとした各灯具取着体に効率的に取り付けることができ、設置現場での移動、再設置および調節が容易で、設置作業の格段の効率化を実現化することができる上、短柱状外周壁に放熱フィンを形成した筒型ボディーは、LEDユニットの発光に伴う発熱を効果的に冷却し、一層の長寿命化を達成可能なものとすることができる。
【0015】
各定置可視光通信モジュールおよび各調光ユニットの制御を受けて各LEDモジュールが発する通信用可視光が、トンネル内走行車両の一般運転者の視覚で明暗変化などの違和感を一切感知できず、安全走行可能な照度に維持したままの条件下にて高速通信可能としてなるものは、データ収集車両は勿論のこと、トンネル内を通過する一般車両を含めた全ての通行者の視認性を安全に確保することができるという格別の効果を奏するものとなる。
【0016】
そして、この発明のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムを利用するようにしたトンネル用照明灯具群の保守・管理方法にあっては、データ収集車両の走行中に、各定置可視光通信モジュールと移動可視光通信器との間で、各LEDモジュールの個別の明るさ、電流、電圧、故障の有無、消費電力、LED寿命予測値などの各種メンテナンス情報を効率的に送受信し、それらのメンテナンス情報に基づいた保守・管理作業を効率的に行うことができるようになり、しかもトンネル内走行車線の一部または全部を一時的に閉鎖して行うメンテナンス作業が、極めて短時間の中に、しかも必要最小限度の要所々々についてだけ迅速に実施することができるものとなり、作業効率の大幅な改善、交通渋滞の緩和、および照明故障への予測的対応等々、従前までに比較して格段に秀れたメンテナンス技術を提供できるものになるという極めて大きな効果が期待できることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
トンネル用照明灯具群は、トンネル内壁面に沿って複数個のLEDモジュールを配するようにし、トンネル内を安全に通行するための照明を可能とする機能を果たすものであり、各LEDモジュールのメンテナンス情報を個別に検知し、当該メンテナンス情報をトンネル内を走行するデータ収集車両に向けて送受信可能なものとし、より具体的には、後述する実施例に示すように、各LEDモジュールのメンテナンス情報を個別に検知可能な各種センサーと、各センサーから得られた個別のメンテナンス情報を蓄積し、無線通信情報に変換すると共に、各LEDモジュールの照明光のそれ自体に重調・送信可能とする定置可視光通信モジュールとを有するものとしなければならない。
【0018】
灯具取着体は、複数個のLEDモジュールをトンネル内壁面に沿って所望箇所に夫々固定可能であり、各LEDモジュールの照明光を所望の方向に向けるよう支持可能とする機能を担うものであり、充分な強度を持って各LEDモジュールを支持可能なものとしなければならず、後述する実施例に示すように、防水性をもって複数個のLEDモジュールを収容可能とした箱型のものとすることができる外、複数個のLEDモジュールを夫々個別の向きに支持可能とする梯子型、柵型、または、板型の何れかとした帯状のものとすることができる。
【0019】
LEDモジュールは、光源となるLEDユニットを灯具取着体の適所に所望の姿勢に固定可能とすると共に、LEDユニットに電源入力部および調光ユニットを接続可能とする機能を分担するものであって、機械的強度ならびに電機的安全性を確保できるよう灯具取着体に装着できるものとしなければならず、後述する実施例に示すように、箱型灯具取着体内の適所にスペーサーなどの姿勢調整機構を介して装着可能なものとすることが可能である外、梯子型、柵型、または、板型の何れかの帯状骨格形のものとし灯具取着体の適所に、着脱自在に固着可能なベース部を有し、同ベース部に対して垂直軸心回りに回動調節自在な回転調節機構と、同ベース部に対して水平軸心回りに回動調節自在な傾動調節機構とを介して装着可能なものとすることができる。
【0020】
LEDモジュールのベース部は、灯具取着体の適所にLEDモジュールを着脱自在に固着可能とし、同LEDモジュールのLEDユニットを所望の方向に向けるよう姿勢調節、支持可能とする機能を果たし、充分な強度をもって取り付けできるものとしなければならず、また、LEDモジュールの回転調節機構は、当該ベース部に対するLEDユニットの姿勢を垂直軸心回りに回動調節自在に支持可能とする機能を担い、さらに、LEDモジュールの傾動調節機構は、当該ベース部に対するLEDユニットの姿勢を水平軸心回りに回動調節自在に支持可能とする機能を持ち、前記回転調節機構および傾動調節機構は、何れも、後述する実施例に示すように、蝶螺子や一体型レバーなどを設け、工具類を用いずとも簡単に弛緩、緊締、調節操作可能なものとするのが望ましい。
【0021】
LEDモジュールのLEDユニットは、当該LEDモジュールの光源となってトンネル照明灯と可視光通信灯との双方の機能を担うものであり、より具体的には発光ダイオードであって、マルチチップLEDか、またはシングルチップLEDかの何れか一方からなり、電源入力部および調光ユニットに接続し、トンネル内を充分な輝度で照明可能なものとしなければならず、定置可視光通信モジュールおよび調光ユニットの制御を受けてLEDモジュールが発する通信用可視光が、トンネル内走行車両の一般運転者の視覚で明暗変化などの違和感を一切感知できず、安全走行可能な照度に維持したままの条件下にて高速可視光通信可能としてなるものとすべきである。
【0022】
電源入力部は、LEDモジュール、調光ユニットおよび定置可視光通信モジュールなどの各部に対して電力を安定供給可能とする機能を担い、外部からの電力配線を接続するか、バッテリーや太陽電池などからの電力供給源から配線、接続してなるものとすることができ、調光ユニットは、LEDモジュールにおけるLEDユニットの発光条件を所定の規制の下、自動的に調整可能とする機能を担うものであり、LEDユニットへの電力供給を個別に制御可能とすると共に、各種センサーで検知したLEDユニットのメンテナンス情報をデータ収集車両の移動可視光通信器に送信可能、且つ、同移動可視光通信器からのメンテナンス情報を自動的に受信し、その受信したメンテナンス情報に従って各LEDユニットへの電力供給量を個別に制御可能とするものとしなければならず、一個のLEDユニットに一個の調光ユニットを設けたものとすることができる外、複数個のLEDユニットを一個の調光ユニットで個別に制御可能なものとすることができ、さらに、移動可視光通信器からの可視光信号を、前記各種センサーの中の光センサーで受信可能なものとすることができる。
【0023】
各種センサーは、各LEDモジュールの個別のメンテナンス情報を検知し、その値を定置可視光通信モジュールおよび調光ユニットに自動的に伝達可能とする機能を分担しており、明るさ、電流、電圧、故障の有無、消費電力、LED寿命予測値などの各種メンテナンス情報の少なくとも何れか1つを検知可能なものとし、各LEDユニット毎のメンテナンス情報を個別に検知可能なものとしなければならず、設置作業性やメンテナンス性などを考慮すると、各LEDモジュールか、各LEDユニットかの何れかに設けたものとするのが望ましく、定置可視光通信モジュールからの信号を受けてメンテナンス情報を検知し、その検出値を同定置可視光通信モジュールに出力するよう動作するものとすることができる。
【0024】
定置可視光通信モジュールは、調光ユニットを通じて各LEDモジュールを介し、走行中のデータ収集車両が搭載した移動可視光通信器に対し、可視光通信可能とする機能を担うものであり、各種センサーから得られた個別のメンテナンス情報を蓄積し、無線通信情報に変換すると共に、各LEDモジュールの照明光のそれ自体に重調・送信可能なものとしなければならず、さらに、データ収集車両搭載の移動可視光通信器が発した調光信号などの各種可視光信号、またはそれ以外の無線信号などを受信可能なものとすることが可能であり、その通信用可視光が、後述する実施例にも示すように、各LEDユニットの調光ユニットによる高速変調制御により、トンネル内走行車両の一般運転者の視覚で明暗変化などの違和感を一切感知できず、安全走行可能な照度に維持したままの条件下にて高速通信可能になるものとすべきであり、例えば、フリッカー現象を抑制可能と言われる70Hz〜100Hzの範囲を超える周波数か、望ましくは120Hzを超える周波数で可視光送受信可能なものとするのが望ましく、個々のLEDユニットの調光ユニット毎に一個の定置可視光通信モジュールを設けたものとすることができる外、複数個のLEDユニットの調光ユニットをまとめたものに、一個の定置可視光通信モジュールを設けたものとしたり、更には、複数個の定置可視光通信モジュール同士が自動的に連繋し、統一された可視光通信を可能とするよう制御可能なものとしたりすることができる。
【0025】
また、定置可視光通信モジュールは、移動可視光通信器からの信号を受信し、その受信信号に基づき、各調光ユニットの制御に補正を加え、各LEDユニットの光量を調節できるようにしたものとすべきであり、データ収集車両が収集したメンテナンス情報に基づき、各LEDユニットへの電力供給量を個別に遠隔操作して調整可能なものとするのが望ましいといえる。
【0026】
データ収集車両は、移動可視光通信器または移動無線通信器を搭載し、当該定置可視光通信モジュールおよび各LEDユニットが発する可視光通信情報を逐次安定受信可能な速度でトンネル内を安全走行可能とする機能を担うものであり、移動可視光通信器の受信情報を演算処理可能な情報処理端末、および/または、同受信情報を記録可能な記録媒体とを搭載したものとしなければならず、通常の乗用車両に移動可視光通信器または移動無線通信器を搭載したものとすることができる外、道路保守パトロール用や、トンネル施設清掃用、トンネル施設メンテナンス用などの各種の作業用車両を兼用するものとし、それらに状況に応じた通信機を搭載させるようにしたものとすることが可能である。
【0027】
移動可視光通信器または移動無線通信器とも、データ収集車両に搭載し、当該定置可視光通信モジュールおよび各LEDユニットが発する可視光通信情報を逐次安定受信可能とする機能を担い、受信したメンテナンス情報を一時的に蓄積可能なものとするか、または、データ収集車両に搭載した情報処理端末、および/または、同受信情報を記録可能な記録媒体に送信するものとしなければならず、情報処理端末や記録媒体などを介して取り出したメンテナンス情報は、車載の該情報処理端末か、または、トンネル照明の管理施設に設置した情報処理端末などを用いて解析し、その解析結果に従いメンテナンス作業を行うことができるようにしたものとすべきである。
【0028】
データ収集車両搭載の情報処理端末は、移動可視光通信器または移動無線通信器が受信したメンテナンス情報をその場で演算処理し、即座に各調光ユニットの補正やメンテナンス作業の開始を可能とし、および/または、移動可視光通信器または移動無線通信器が受信したメンテナンス情報を記録媒体に記録可能とするかの何れかの機能を果たすものであり、各調光ユニットへの補正信号は、移動可視光通信器の場合、それ自体か、または、それによって制御された車両の例えばヘッドライトやサーチライト、警光灯、警告灯などの各種LEDライト、または、可視光通信専用に搭載した通信用LEDライトなどを通じて送信することが可能である。
【0029】
当該トンネル用照明灯具群の保守・管理方法は、定置可視光通信モジュールと移動可視光通信器または移動無線通信器との間で、各LEDモジュールの個別の明るさ、電流、電圧、故障の有無、消費電力、LED寿命予測値などの各種メンテナンス情報を送受信すべきであるが、それら各種メンテナンス情報の中の少なくとも1つのメンテナンス情報を送受信するようにしたものとすることが可能であり、後述する実施例に示すように、LEDモジュール1個単位毎の電流、電圧の制御などは、データ収集車両の走行中に、車載情報処理端末および移動可視光通信器または移動無線通信器を通じ、作業車が直接作業することなく、遠隔操作によって調節するようにして制御することが可能であり、また、LEDモジュールの1個単位毎の清掃、交換作業などは、データ収集車両の走行と同時に行うことは殆ど不可能なので、メンテナンス情報を収集した後に、改めて清掃車両やメンテナンス車両などを利用し、ピンポイントで車線を封鎖するなどして実施することができる。
【0030】
また、当該トンネル用照明灯具群の保守・管理方法は、情報処理端末が、各LEDモジュール個別のメンテナンス情報に基づき、各LEDモジュール設置場所毎の照明基準照度と比較し、設置当初に過剰となる光量分を該照明基準照度付近まで自動的に減光制御できめものとし、この自動検知および減光制御を長期間に渡って継続的に繰り返すと共に、LEDユニットの寿命劣化や汚れなどに起因する減光の進展に応じ、自動的に光量加減制御し、当該照明基準照度付近の検知照度値を自動的に維持可能とするよう演算処理し、該演算処理したメンテナンス制御情報をデータ収集車両の移動可視光通信器からトンネル用照明灯具群の各定置可視光通信モジュールに送信し、該メンテナンス制御情報を受けた各調光ユニットが、各LEDモジュールへの供給電流および電圧を個別に調節制御可能なものとなるようにすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例1】
【0031】
図1のメンテナンスシステムの概念図、図2のメンテナンスシステムのブロック図、図3のLEDモジュールの底面図、図4の断面化したLEDモジュールの側面図、および図5のトンネル用照明灯具群の概念図に示す事例は、トンネル内壁面に沿って複数の灯具取着体2の夫々に複数個のLEDモジュール3、電源入力部4、調光ユニット5、各種センサー6,6,……、および、定置可視光通信モジュール7を設けてなるトンネル用照明灯具群1を形成する一方、データ収集車両8に、移動可視光通信器9、情報処理端末90、および/または、記録媒体91とを搭載し、当該データ収集車両8がトンネル内を走行通過する過程で、各LEDモジュール3,3,……の各種メンテナンス情報を取得可能とし、同各種メンテナンス情報に基づき各LEDモジュール3,3,……の個別の保守・管理を可能なものとした、この発明のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムにおける代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【0032】
それら図1ないし図5の各図からも明確に把握できるとおり、この発明のトンネル用照明灯具群1は、トンネルの入り口および出口付近ではなく、深部がわとなる内壁面に沿って車両走行方向に対して所定角度をなすようにした箱型灯具取着体2の複数を、トンネル内を安全走行可能な状態に照明可能とするよう、所定の間隔置きとなる適所夫々に落下しないよう設置し、各箱型灯具取着体2は、複数個のLEDモジュール3,3,……夫々を個別の姿勢に調節可能であり、各LEDモジュール3,3,……を個別に制御可能な電源入力部4および調光ユニット5、ならびに、各LEDモジュール3,3,……のメンテナンス情報を個別に検知可能な各種センサー6,6,……と、それら各センサー6,6,……から得られた個別のメンテナンス情報を蓄積し、無線通信情報に変換すると共に、各LEDモジュール3,3,……の照明光のそれ自体に重調・送信可能とする定置可視光通信モジュール7,7,……とを設けてある。
【0033】
当該定置可視光通信モジュール7,7,……は、将来性を考慮すると可視光通信として規格化された通信方式を採用すべきであり、例えば、データ形式をJEITA規格CP−1222準拠とし、送信変調方式がサブキャリア28.5KHz、4値PPM形式で通信速度は4.8Kbpsの仕様としたものとする。
【0034】
図1および図2に示すように、当該定置可視光通信モジュール7,7,……と連繋して当該トンネル用照明灯具群1のメンテナンスシステムを形成するデータ収集車両8は、その車内適所に、各定置可視光通信モジュール7,7,……が発するメンテナンス情報を受信可能な移動可視光通信器9と、同移動可視光通信器9の受信情報を演算処理可能な情報処理端末90、および、同情報処理端末90にUSB(Universal Serial Bus)やLAN(Local Area Network)などの各種ポートや、カードスロットなどを介して接続可能、且つ、取り外して持ち運び自在な、USBメモリーやポータブルハードディスクなどの受信情報を記録可能な記録媒体91とを搭載してなるものである。
【実施例2】
【0035】
図6の帯状に配したトンネル用照明灯具群の底面がわから見た概念図、図7の帯状に配したトンネル用照明灯具群の側面がわから見た概念図、図8の個別設置可能なLEDモジュールの斜視図、図9の個別設置可能なLEDモジュールの側面図、図10の一部に変更を加えたメンテナンスシステムの概念図、および図11のLED照明寿命曲線のグラフに示す事例は、この発明のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムにおける代表的な他の実施例を示すものである。
前記実施例1に示したトンネル用照明灯具群1は、図6ないし図10に示すように、トンネル入り口および出口付近の昼間太陽光が差し込む範囲の内壁面に沿って車両走行方向に対して所定角度をなす梯子型か柵型、または板型かの何れかの帯状骨格形のケーブルラックなどからなる灯具取着体2を設置し、トンネル内の照明状況を確認しながら、図8および図9に示すように、LEDモジュール3の複数個を個別に設置してなるものとしてあり、各LEDモジュール3は、当該灯具取着体2の骨格形状部分の適所に着脱自在に固着可能なアルミニウム合金製、矩形プレート状であって、四角夫々にボルト結合用の取付孔を穿設してなるベース部30を有し、該ベース部30の中央には、同ベース部30に対して中央の垂直蝶螺子で垂直軸心回り(図9の矢印A方向)に回動調節自在、且つ仮固定可能な回転調節機構34と、同ベース部30に対して左右の水平蝶螺子で水平軸心回り(図9の矢印B方向)に回動調節自在、且つ仮固定可能な傾動調節機構35とを介して装着し、短柱状外周壁に放熱フィン32を形成したアルミニウム合金製、筒型ボディー31の先端開口33内にLEDユニット36を、その発光部37を先端がわ外部に露出するよう内蔵し、基端より延伸した電源ケーブル40が、図6、図7、および図10に示すように、調光ユニット5を経由して電源入力部4に接続してなるものとし、各LEDモジュール3のベース部30をボルト・ナット、蝶螺子・ナット、または蝶ナット・ボルト、および、必要に応じてブラケット類などを用い、当該灯具取着体2の骨格形状部分の適所に、個別に仮固定してなるものに置き換えたものとすることができる。
【0036】
さらに、図10に示してあるように、データ収集車両8に搭載した移動可視光通信器9で受信した各種メンテナンス情報に基づき、車載の情報処理端末90か、または、該車載情報処理端末90に接続可能な記録媒体91などを利用して各種メンテナンス情報を持ち出し、同メンテナンス情報を読み取り・書き込み可能なデータ収集車両8外の情報処理端末92かの何れかにより、図11に示すLED照明寿命曲線に従い、各LEDモジュール3,3,……設置当初に過剰となる光量分を設置箇所毎の照明基準照度付近まで自動的に減光制御可能とすると共に、各LEDユニット36,36,……の寿命劣化や各LEDモジュール3,3,……の発光部37,37,……汚れ、および、洗浄・メンテナンスによる光量復旧などに起因する減光の進展や復帰などの各状況に応じて、各LEDモジュール3,3,……個別の電流、電圧制御を可能とする各種データを演算処理、作成した上、データ収集車両8搭載の移動可視光通信器9を介して、各LEDモジュール3,3,……の電流・電圧制御を遠隔的に加減操作し、同図11中に示すとおり、設置場所毎の照明基準照度付近の検知照度値を自動的に維持可能とするよう、維持制御可能なものとし、こうしたデータ収集車両8による各種メンテナンス情報の収集および光減光制御などを長期間に渡って継続的に繰り返すことが出来るようにしてある。
【0037】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の実施例1に示すトンネル用照明灯具群1のメンテナンスシステムは、図1、図2および図5に示すとおり、トンネルの深部がわに配された各LEDモジュール3,3,……の各種センサー6,6,……が、自動的に各LEDモジュール3,3,……の明るさ、電流、電圧、故障の有無、消費電力、LED寿命予測値などの各種測定値を検知し、定置可視光通信モジュール7がそれら測定値を一時的に蓄積しならが調光ユニット5に送信し得るようにするものとなり、該調光ユニット5は、各LEDモジュール3,3,……の発光制御中に渡って常時、各種測定値を照明光それ自体に、トンネル内走行車両の一般運転者の視覚で明暗変化などの違和感を一切感知できず、安全走行可能な照度に維持したままの条件下にて高速通信可能に重調・送信するよう制御するものとなり、したがって、一般の運転手は、通常の照明と同等に、トンネル内走行中の視覚的安全を確保することができるものとなる。
【0038】
データ収集車両8がトンネル内に進入し、安全な速度で走行しながら、移動可視光通信器9を動作させると、各LEDモジュール3,3,……から発光出力されている可視光通信信号を受信し、車両搭載の情報処理端末90にメンテナンス情報信号を自動的且つ連続的に取り込み、蓄積するものとなり、該データ収集車両8に乗車している作業者が、走行中か、安全な場所にデータ収集車両8を停車させた後かの何れかの段階で情報処理端末90を操作し、メンテナンス情報信号を適宜演算処理するか、または、例えばUSBメモリーなどのリムーバブルメディアのような持ち運び自在な記録媒体91に保存して、データ収集車両8外の適所に設置された情報処理端末92などの演算処理装置を用いて演算処理し、得られたメンテナンス情報に基づき、各LEDモジュール3,3,……の1個毎について清掃、調節または交換するようにするかの何れかの対応をすべきかどうかについて判断を下す。
【0039】
各LEDモジュール3,3,……への供給電流および電圧の調節操作は、データ収集車両8の移動可視光通信器9を利用して行うことが可能であり、車載の情報処理端末90か、車外の適所に設置された情報処理端末92かの何れかで、先に収集したメンテナンス情報に基づき演算処理し、車外情報処理端末92の場合にはリムーバブルメディアなどの記録媒体91や、無線LAN(Local Area NetWork)その他の無線、有線通信などの何れかを適宜利用し、各LEDモジュール3,3,……の調節値を車載の情報処理端末90に一時的に記憶させた上、データ収集車両8をトンネル内で走行させながら、各定置可視光通信モジュール7,7,……に可視光通信して調節値を送信し、同調節値を受信した各定置可視光通信モジュール7,7,……は、各LEDモジュール3,3,……の各調光ユニット5,5,……に調節値信号を送信し、これを受けた各調光ユニット5,5,……は、各調節値に応じて各LEDモジュール3,3,……への供給電流および電圧を個別に制御するものとなる。
【0040】
また、各LEDモジュール3,3,……の清掃は、各LEDユニット36,6,……の汚れ具合を検知し、前述のような可視光通信によって得られたメンテナンス情報から清掃を要すると判断された場合に、該当するトンネル用照明灯具群1付近の車線を閉鎖して安全を確保し、キャビテーション清掃車などの図示しない清掃・メンテナンス車輌を持ち込み、各LEDモジュール3,3,……を洗浄するようにするものとし、さらにまた、メンテナンス情報から破損や老朽化によって交換を要すると判断されたLEDモジュール3やLEDユニット36も、車線を閉鎖してメンテナンス車輌を持ち込み該当するものだけを効率的に交換することができるものとなる。
【0041】
(実施例2の作用・効果)
この発明の実施例2に示すトンネル用照明灯具群1のメンテナンスシステムは、図6ないし図10、図11のLED照明寿命曲線のグラフ、図12の帯状に配したトンネル用照明灯具群の輝度分布図、表1のトンネル用照明灯具群1の設置条件表、表2の照度表、図13の従来型照明の輝度分布図、表3の従来型LED照明の設置条件表、および、表4の従来型LED照明の照度表に示すとおり、トンネルの出入り口付近の内壁面に設置した帯状骨格形の灯具取着体2に、図8および図9に示してあるLEDモジュール3,3,……の複数個を適宜間隔置き毎、点在状に設置してなるから、図12および図13のように、道路巾Wが7.25m、道路長Lが12.5mのトンネル内範囲の照明性能について、図13の従来型LED照明灯具群と比較すると、当該実施例2におけるトンネル用照明灯具群1の照明性能の方が、図12のようにムラが少なく、走行中にドライバーが明暗差を認識することは無く、一段と高い安全を確保可能なものとすることが可能である。
【0042】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0043】
さらに、前記実施例2のトンネル用照明灯具群1は、表5−a、表5−bの基本照明計算表、表6−a、表6−b、表6−cの東名高速道路におけるトンネル(上り)入り口部照明器具セラメタランプ(セラミックメタルハライドランプ)配置表群、および、表7−a、表7−b、表7−cの連絡道、照明計算結果表に示してあるように、前記基本照明計算表5−aおよび表5−bに従って実際に設置し、性能の確認実験を行った。
【表5−a】
【表5−b】
【表6−a】
【表6−b】
【表6−c】
【表7−a】
【表7−b】
【表7−c】
【0044】
以上の各表からも明確に実証されているとおり、トンネル内壁の様々な設置箇所に設置した帯状骨格形の各灯具取着体2,2,……に、設置場所毎の各種条件に応じて過不足無く、最適な台数のLEDモジュール3,3,……のみを、最適な箇所に配置してなるトンネル用照明灯具群1は、最小限度の設置経費と電力消費量とを達成することができるものとなる上、図11に示すLED照明寿命曲線に従い、各LEDモジュール3,3,……の電流・電圧制御を遠隔的に加減操作するという、この発明のメンテナンスシステムを利用した保守・管理方法により、トンネル内の照明を常時安全な状態に維持、管理することができると共に、各LEDユニット36,36,……の寿命を最大限に延命化し、且つ、消費電力量を最小限に抑えることが可能になるという秀れた特徴を発揮するものとなる。
【0045】
(結 び)
叙述の如く、この発明のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステム、および、それを利用したトンネル用照明灯具群の保守・管理方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造および設置も容易で、従前からの保守、管理技術に比較して、メンテナンス作業の作業負担を大幅に軽減できると共に、遥かに経済的なものとすることができる上、従前までのメンテナンス技術では、各LEDモジュールの個別の管理が不可能なため、照明の安定化と電力消費量の削減、ならびに、LEDユニットの長寿命化といった様々な課題を克服するのが困難なものであり、各LEDモジュールの個別管理を断念せざるを得なかった国道や市町村道のような各種一般道路のトンネルを管理する公共団体はもとより、自動車専用道路や高速道路などのトンネルを管理する企業や道路管理業界にあっても、高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図面は、この発明のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステム、および、それを利用したトンネル用照明灯具群の保守・管理方法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】メンテナンスシステムの概要を示す概念図である。
【図2】メンテナンスシステムの概要を示すブロック図である。
【図3】LEDモジュールを示す底面図である。
【図4】断面化したLEDモジュールを示す側面図である。
【図5】トンネル用照明灯具群を示す概念図である。
【図6】帯状トンネル用照明灯具群の概要を示す底面図である。
【図7】帯状トンネル用照明灯具群の概要を示す側面図である。
【図8】個別設置可能なLEDモジュールを示す斜視図である。
【図9】個別設置可能なLEDモジュールを示す側面図である。
【図10】一部に変更を加えたメンテナンスシステムを示す概念図である。
【図11】LED照明寿命曲線を示すグラフである。
【図12】トンネル用照明灯具群の輝度分布を示す分布図である。
【図13】従来型照明灯具の輝度分布を示す分布図である。
【符号の説明】
【0047】
1 トンネル用照明灯具群
2 灯具取着体
3 LEDモジュール
30 同 ベース部
31 同 筒型ボディー
32 同 放熱フィン
33 同 先端開口
34 同 回転調節機構
35 同 傾動調節機構
36 同 LEDユニット
37 同 発光部
4 電源入力部
5 調光ユニット
6 各種センサー
7 定置可視光通信モジュール
8 データ収集車両
9 移動可視光通信器
90 同 情報処理端末
91 同 記録媒体
92 同 外部情報処理端末
W 道路巾
L 道路長
【技術分野】
【0001】
この発明は、LED(発光ダイオード)を利用した照明技術に関連するものであり、特に、従来型のトンネル照明用蛍光灯灯具などに置き換えて設置したLED照明灯具利用のトンネル用照明灯具群のためのメンテナンス技術に関連するものであり、特にトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムを製造、提供および設置する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、トンネル用照明灯具群の保守・管理に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを製造するため、および、設置のための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
LED照明灯具は、従来型の蛍光灯などを利用した照明灯具に比較して消費電力の低減化や長寿命化などが達成可能という特性を有し、二酸化炭素排出量の削減や経済性に秀れるなどの有効性を活かそうとする目的から開発が進み、年を追う毎に発光効率および輝度が増し、近年では、トンネル用照明灯具としての応用も実現化されつつあり、特に、トンネル用照明に利用可能な高出力LEDは、最近のHID灯(高輝度放電ランプ)に比較すると、明らかに光量の不足が見られるものの、LEDの特徴を生かした光学設計でそれらを克服すると共に、さらなる省エネ化の検討を重ねた結果、概ね実用化できるところまで改良されてきている。
【0003】
しかしながら、実用化に向けた試作実験を繰り返す過程で、現在開発中のトンネル用LED灯具を、さらに効率化、長寿命化するために、LEDの使用開始当初には、電力の供給を削減して光量を適正値に調整し、長期間に亘って使用する過程では、適正な時期に清掃して汚れによる遮光を阻止すると共に、日中、トンネル外の明るさに合わせて減光する制御を加えたり、同LEDが、寿命の末期に至って次第に光量が落ちてきたときには、その光量の低下に応じて電力の供給を増加し、一定の輝度を確保するための制御したりするなど、灯具を適正に管理して確りとした予防保全をする必要があると云うことに着目した。
【0004】
(従来の技術)
(従来の技術)
こうした状況を指向し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記する特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、トンネルに設置した照明器具による路面輝度を計測可能な路面輝度測定装置を有し、この路面輝度測定装置による路面輝度のセンシングデータを通信ケーブルまたは無線を介して通信入力し、所要の路面輝度となるよう照明器具の出力を制御可能な制御装置を有してなり、道路およびトンネルにおいて適切な路面輝度を確保すると共に、従来に比べて消費電力の節減を可能としたものや、同特許文献1(2)および1(3)などに見られるような、トンネル内の進行方向に沿って所定区間毎に無線部を持つ照明制御受信装置を配置し、同照明制御受信装置に照明機器を接続し、当該照明制御受信装置に対して無線回線で無線制御情報を送信可能な無線部を持つ移動型操作器を設け、該移動型操作器は、当該照明制御受信装置に無線制御情報を周期的に送信し、同照明制御受信装置は、受信した無線制御情報に基づき照明機器を制御可能としてなるもの、また、同特許文献1(4)などのように、トンネル内に設置した複数の照明装置の夫々に子局を有する照明制御装置を設け、各子局と制御指令情報の無線通信が可能な親局を設置した上、各子局には夫々個別の識別番号を付与し、個々の監視制御を可能とし、トンネル内の配線や配管ケーブル数を最小限にして工事費の低減化を可能としてなるものなどが散見される。
【0005】
前者特許文献1(1)ないし(4)に示されているようなトンネル、道路用照明設備の各種制御システムなどは、何れも通信ケーブルやケーブル用の配管、ケーブルラックなどの設置を最小限度に削減することができるという利点を有しているが、メンテナンス情報を送受信するための専用送受信機器やアンテナなどの設備が不可欠であり、それらの設置およびメンテナンスに関して別途経費を要するという新たな課題が生じるという問題があった。
【特許文献1】(1)特開2001−148295号公報 (2)特開2008−84724号公報 (3)特開2008−177075号公報 (4)特開2005−116506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種トンネル、道路用の照明灯具類の制御システムなどは、何れも通信ケーブルや無線設備などの設置が不可欠で、設置コストおよびメンテナンスコストを増大してしまうという課題を伴うものであり、永年に亘ってトンネル用照明設備の開発、提供に携わり、既に自らにおいて各種高出力LED照明灯具の試作および実験を繰り返し、実用に結びつけてきている中、その過程で得られた様々な知見、および実験データからの情報などに基づき、照明機能上からは勿論のこと、製造、設置工程ならびに設置後の無線通信を利用した保守、管理作業上からも、LED照明灯具を更に適正且つ経済的に設置、メンテナンス可能とするための構成につき、更なる改善の可能性を痛感するに至ったものである。
【0007】
(発明の目的)
そこで、この発明は、照明制御情報やメンテナンス情報の通信設備を最小限度に削減し、より経済性に秀れ、且つ効率的にメンテナンス作業を進めることができる新たなトンネル照明灯具用の保守、管理技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステム、および、それを利用した新規のトンネル用照明灯具群の保守・管理方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、トンネル内壁面に沿って車両走行方向に対して所定角度をなす箱型または帯状の灯具取着体複数を適所に設置し、それら灯具取着体には、複数個のLEDモジュール、各LEDモジュールを個別に制御可能な電源入力部および調光ユニット、ならびに各LEDモジュールのメンテナンス情報を個別に検知可能な各種センサーと、各センサーから得られた個別のメンテナンス情報を蓄積し、無線通信情報に変換すると共に、各LEDモジュールの照明光のそれ自体に重調・送信可能とする定置可視光通信モジュールとを設けてなるトンネル用照明灯具群を形成する一方、トンネル内を走行可能なデータ収集車両に、当該定置可視光通信モジュールからのメンテナンス情報を受信可能な移動可視光通信器と、同移動可視光通信器の受信情報を演算処理可能な情報処理端末、および/または、同受信情報を記録可能な記録媒体とを搭載し、当該データ収集車両がトンネル内を走行通過する過程で、各LEDモジュールの各種メンテナンス情報を取得可能とし、同各種メンテナンス情報に基づき各LEDモジュールの個別の保守・管理を可能なものとした構成を要旨とするトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムである。
【0009】
この基本的な構成からなるトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムは、その表現を変えて示すならば、トンネル深部がわとなる内壁面に沿って車両走行方向に対して所定角度をなす箱型の灯具取着体を複数、適所に設置し、それら灯具取着体には、複数個のLEDモジュール、各LEDモジュールを個別に制御可能な電源入力部および調光ユニット、ならびに各LEDモジュールのメンテナンス情報を個別に検知可能な各種センサーと、各センサーから得られた個別のメンテナンス情報を蓄積し、無線通信情報に変換すると共に、各LEDモジュールの照明光のそれ自体に重調・送信可能とする定置可視光通信モジュールとを設けてなるトンネル用照明灯具群を形成する一方、トンネル内を走行可能なデータ収集車両に、当該定置可視光通信モジュールからのメンテナンス情報を受信可能な移動可視光通信器と、同移動可視光通信器の受信情報を演算処理可能な情報処理端末、および/または、同受信情報を記録可能な記録媒体とを搭載し、当該データ収集車両がトンネル内を走行通過する過程で、各LEDモジュールの各種メンテナンス情報を取得可能とし、同各種メンテナンス情報に基づき各LEDモジュールの個別の保守・管理を可能なものとした構成からなるトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムとなる。
【0010】
更には、トンネル入り口および出口付近の内壁面に沿って車両走行方向に対して所定角度をなす帯状の灯具取着体を複数、適所に設置し、それら灯具取着体には、複数個のLEDモジュール、各LEDモジュールを個別に制御可能な電源入力部および調光ユニット、ならびに各LEDモジュールのメンテナンス情報を個別に検知可能な各種センサーと、各センサーから得られた個別のメンテナンス情報を蓄積し、無線通信情報に変換すると共に、各LEDモジュールの照明光のそれ自体に重調・送信可能とする定置可視光通信モジュールとを設けてなるトンネル用照明灯具群を形成する一方、トンネル内を走行可能なデータ収集車両に、当該定置可視光通信モジュールからのメンテナンス情報を受信可能な移動可視光通信器と、同移動可視光通信器の受信情報を演算処理可能な情報処理端末、および/または、同受信情報を記録可能な記録媒体とを搭載し、当該データ収集車両がトンネル内を走行通過する過程で、各LEDモジュールの各種メンテナンス情報を取得可能とし、同各種メンテナンス情報に基づき各LEDモジュールの個別の保守・管理を可能なものとしたトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムということもできる。
【0011】
(関連する発明)
上記したトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムに関連し、この発明には、それを利用したトンネル用照明灯具群の保守・管理方法も包含している。
即ち、この発明の基本をなす前記何れかのトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムを用い、データ収集車両がトンネル内を走行通過する過程で、トンネル用照明灯具群の各定置可視光通信モジュール、各調光ユニットおよび各LEDモジュールと、当該データ収集車両搭載の移動可視光通信器との間で、各LEDモジュールの個別の明るさ、電流、電圧、故障の有無、消費電力、LED寿命予測値などの各種メンテナンス情報を送受信し、該受信情報を車載情報処理端末で演算処理するか、または、同受信情報を記録媒体に記録した後、該記録媒体に記録した受信情報を別の場所に有る情報処理端末で演算処理するかして、各LEDモジュール毎の各種メンテナンス情報を取得した上、データ収集車両によるデータ収集作業とは別に、その後にトンネル内走行車線の一部かまたは全部かを一時的に閉鎖して行うメンテナンス作業にて、当該演算処理にて得たメンテナンス情報に基づき、メンテナンスが必要と判明したLEDモジュールを1個単位毎に清掃、交換または調整する保守・管理作業を行うようにしてなる、この発明の基本をなす前記何れかのトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムを利用したトンネル用照明灯具群の保守・管理方法である。
【発明の効果】
【0012】
以上のとおり、この発明のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムは、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、従前までであれば、照明灯具類の故障や交換の時期などは、これまで蓄積された経験値などを頼りにしてメンテナンス時期を予測管理せざるを得ず、作業効率と安全性とを優先させるあまり、未だ寿命に至っていないかもしれない照明灯具であっても交換してしまうことが少なくなかったが、データ収集車両に搭載した移動可視光通信器または移動無線通信器により、各LEDモジュールのメンテナンス情報を定置可視光通信モジュールを介した可視光通信または無線通信によって簡便に入手することが可能となり、一個々々のLEDモジュールを正確且つ効率的に調整、洗浄および交換することができて、メンテナンス作業のためのトンネル内車線の封鎖時間を大幅に短縮することができると共に、メンテナンス作業の負担を格段に軽減することができる上、個々のLEDモジュールの寿命を最大限に延ばし、一段と経済性に秀れた照明技術を提供することができるものとなる。
【0013】
加えて、複数個のLEDモジュールを収容可能な箱型の灯具取着体を複数、適所に設置してなるトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムは、複数個のLEDモジュールを灯具取着体毎一まとめにして密閉状に設置できることから、設置作業を格段に迅速なものとすることができる上、防水性に秀れてキャビテーション清掃も容易でメンテナンス作業を従前までよりも遙かに簡単に終えることができるという特徴を有するものとなり、また、帯状の灯具取着体を複数、適所に設置してなるトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムは、複数個のLEDモジュールを個別、点在状に高い自由度を持って設置することができるから、特にトンネルの入り口や出口付近など外光が差し込む場所や光線にムラを生じ易い場所などを均質に照明できるよう調整することが格段に容易になり、設置場所の様々な条件に応じ、適切な照明を実現できるよう自在に配置調整できる上に、設置後も個々のLEDモジュールを簡便に移動、調節可能で、しかも、各LEDモジュールを同一部品の組み合わせからなるものとすることができることから、大量生産による大幅なコスト削減を達成可能にするという効果を奏するものとなる。
【0014】
さらに、LEDモジュールが当該灯具取着体の骨格形状部分に着脱自在に固着可能なベース部を有し、同ベース部に対して垂直軸心回りに回動調節自在な回転調節機構と、同ベース部に対して水平軸心回りに回動調節自在な傾動調節機構とを介して装着してなるものは、特に、梯子型や柵型または板型の何れかの帯状骨格形のものとした各灯具取着体に効率的に取り付けることができ、設置現場での移動、再設置および調節が容易で、設置作業の格段の効率化を実現化することができる上、短柱状外周壁に放熱フィンを形成した筒型ボディーは、LEDユニットの発光に伴う発熱を効果的に冷却し、一層の長寿命化を達成可能なものとすることができる。
【0015】
各定置可視光通信モジュールおよび各調光ユニットの制御を受けて各LEDモジュールが発する通信用可視光が、トンネル内走行車両の一般運転者の視覚で明暗変化などの違和感を一切感知できず、安全走行可能な照度に維持したままの条件下にて高速通信可能としてなるものは、データ収集車両は勿論のこと、トンネル内を通過する一般車両を含めた全ての通行者の視認性を安全に確保することができるという格別の効果を奏するものとなる。
【0016】
そして、この発明のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムを利用するようにしたトンネル用照明灯具群の保守・管理方法にあっては、データ収集車両の走行中に、各定置可視光通信モジュールと移動可視光通信器との間で、各LEDモジュールの個別の明るさ、電流、電圧、故障の有無、消費電力、LED寿命予測値などの各種メンテナンス情報を効率的に送受信し、それらのメンテナンス情報に基づいた保守・管理作業を効率的に行うことができるようになり、しかもトンネル内走行車線の一部または全部を一時的に閉鎖して行うメンテナンス作業が、極めて短時間の中に、しかも必要最小限度の要所々々についてだけ迅速に実施することができるものとなり、作業効率の大幅な改善、交通渋滞の緩和、および照明故障への予測的対応等々、従前までに比較して格段に秀れたメンテナンス技術を提供できるものになるという極めて大きな効果が期待できることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
トンネル用照明灯具群は、トンネル内壁面に沿って複数個のLEDモジュールを配するようにし、トンネル内を安全に通行するための照明を可能とする機能を果たすものであり、各LEDモジュールのメンテナンス情報を個別に検知し、当該メンテナンス情報をトンネル内を走行するデータ収集車両に向けて送受信可能なものとし、より具体的には、後述する実施例に示すように、各LEDモジュールのメンテナンス情報を個別に検知可能な各種センサーと、各センサーから得られた個別のメンテナンス情報を蓄積し、無線通信情報に変換すると共に、各LEDモジュールの照明光のそれ自体に重調・送信可能とする定置可視光通信モジュールとを有するものとしなければならない。
【0018】
灯具取着体は、複数個のLEDモジュールをトンネル内壁面に沿って所望箇所に夫々固定可能であり、各LEDモジュールの照明光を所望の方向に向けるよう支持可能とする機能を担うものであり、充分な強度を持って各LEDモジュールを支持可能なものとしなければならず、後述する実施例に示すように、防水性をもって複数個のLEDモジュールを収容可能とした箱型のものとすることができる外、複数個のLEDモジュールを夫々個別の向きに支持可能とする梯子型、柵型、または、板型の何れかとした帯状のものとすることができる。
【0019】
LEDモジュールは、光源となるLEDユニットを灯具取着体の適所に所望の姿勢に固定可能とすると共に、LEDユニットに電源入力部および調光ユニットを接続可能とする機能を分担するものであって、機械的強度ならびに電機的安全性を確保できるよう灯具取着体に装着できるものとしなければならず、後述する実施例に示すように、箱型灯具取着体内の適所にスペーサーなどの姿勢調整機構を介して装着可能なものとすることが可能である外、梯子型、柵型、または、板型の何れかの帯状骨格形のものとし灯具取着体の適所に、着脱自在に固着可能なベース部を有し、同ベース部に対して垂直軸心回りに回動調節自在な回転調節機構と、同ベース部に対して水平軸心回りに回動調節自在な傾動調節機構とを介して装着可能なものとすることができる。
【0020】
LEDモジュールのベース部は、灯具取着体の適所にLEDモジュールを着脱自在に固着可能とし、同LEDモジュールのLEDユニットを所望の方向に向けるよう姿勢調節、支持可能とする機能を果たし、充分な強度をもって取り付けできるものとしなければならず、また、LEDモジュールの回転調節機構は、当該ベース部に対するLEDユニットの姿勢を垂直軸心回りに回動調節自在に支持可能とする機能を担い、さらに、LEDモジュールの傾動調節機構は、当該ベース部に対するLEDユニットの姿勢を水平軸心回りに回動調節自在に支持可能とする機能を持ち、前記回転調節機構および傾動調節機構は、何れも、後述する実施例に示すように、蝶螺子や一体型レバーなどを設け、工具類を用いずとも簡単に弛緩、緊締、調節操作可能なものとするのが望ましい。
【0021】
LEDモジュールのLEDユニットは、当該LEDモジュールの光源となってトンネル照明灯と可視光通信灯との双方の機能を担うものであり、より具体的には発光ダイオードであって、マルチチップLEDか、またはシングルチップLEDかの何れか一方からなり、電源入力部および調光ユニットに接続し、トンネル内を充分な輝度で照明可能なものとしなければならず、定置可視光通信モジュールおよび調光ユニットの制御を受けてLEDモジュールが発する通信用可視光が、トンネル内走行車両の一般運転者の視覚で明暗変化などの違和感を一切感知できず、安全走行可能な照度に維持したままの条件下にて高速可視光通信可能としてなるものとすべきである。
【0022】
電源入力部は、LEDモジュール、調光ユニットおよび定置可視光通信モジュールなどの各部に対して電力を安定供給可能とする機能を担い、外部からの電力配線を接続するか、バッテリーや太陽電池などからの電力供給源から配線、接続してなるものとすることができ、調光ユニットは、LEDモジュールにおけるLEDユニットの発光条件を所定の規制の下、自動的に調整可能とする機能を担うものであり、LEDユニットへの電力供給を個別に制御可能とすると共に、各種センサーで検知したLEDユニットのメンテナンス情報をデータ収集車両の移動可視光通信器に送信可能、且つ、同移動可視光通信器からのメンテナンス情報を自動的に受信し、その受信したメンテナンス情報に従って各LEDユニットへの電力供給量を個別に制御可能とするものとしなければならず、一個のLEDユニットに一個の調光ユニットを設けたものとすることができる外、複数個のLEDユニットを一個の調光ユニットで個別に制御可能なものとすることができ、さらに、移動可視光通信器からの可視光信号を、前記各種センサーの中の光センサーで受信可能なものとすることができる。
【0023】
各種センサーは、各LEDモジュールの個別のメンテナンス情報を検知し、その値を定置可視光通信モジュールおよび調光ユニットに自動的に伝達可能とする機能を分担しており、明るさ、電流、電圧、故障の有無、消費電力、LED寿命予測値などの各種メンテナンス情報の少なくとも何れか1つを検知可能なものとし、各LEDユニット毎のメンテナンス情報を個別に検知可能なものとしなければならず、設置作業性やメンテナンス性などを考慮すると、各LEDモジュールか、各LEDユニットかの何れかに設けたものとするのが望ましく、定置可視光通信モジュールからの信号を受けてメンテナンス情報を検知し、その検出値を同定置可視光通信モジュールに出力するよう動作するものとすることができる。
【0024】
定置可視光通信モジュールは、調光ユニットを通じて各LEDモジュールを介し、走行中のデータ収集車両が搭載した移動可視光通信器に対し、可視光通信可能とする機能を担うものであり、各種センサーから得られた個別のメンテナンス情報を蓄積し、無線通信情報に変換すると共に、各LEDモジュールの照明光のそれ自体に重調・送信可能なものとしなければならず、さらに、データ収集車両搭載の移動可視光通信器が発した調光信号などの各種可視光信号、またはそれ以外の無線信号などを受信可能なものとすることが可能であり、その通信用可視光が、後述する実施例にも示すように、各LEDユニットの調光ユニットによる高速変調制御により、トンネル内走行車両の一般運転者の視覚で明暗変化などの違和感を一切感知できず、安全走行可能な照度に維持したままの条件下にて高速通信可能になるものとすべきであり、例えば、フリッカー現象を抑制可能と言われる70Hz〜100Hzの範囲を超える周波数か、望ましくは120Hzを超える周波数で可視光送受信可能なものとするのが望ましく、個々のLEDユニットの調光ユニット毎に一個の定置可視光通信モジュールを設けたものとすることができる外、複数個のLEDユニットの調光ユニットをまとめたものに、一個の定置可視光通信モジュールを設けたものとしたり、更には、複数個の定置可視光通信モジュール同士が自動的に連繋し、統一された可視光通信を可能とするよう制御可能なものとしたりすることができる。
【0025】
また、定置可視光通信モジュールは、移動可視光通信器からの信号を受信し、その受信信号に基づき、各調光ユニットの制御に補正を加え、各LEDユニットの光量を調節できるようにしたものとすべきであり、データ収集車両が収集したメンテナンス情報に基づき、各LEDユニットへの電力供給量を個別に遠隔操作して調整可能なものとするのが望ましいといえる。
【0026】
データ収集車両は、移動可視光通信器または移動無線通信器を搭載し、当該定置可視光通信モジュールおよび各LEDユニットが発する可視光通信情報を逐次安定受信可能な速度でトンネル内を安全走行可能とする機能を担うものであり、移動可視光通信器の受信情報を演算処理可能な情報処理端末、および/または、同受信情報を記録可能な記録媒体とを搭載したものとしなければならず、通常の乗用車両に移動可視光通信器または移動無線通信器を搭載したものとすることができる外、道路保守パトロール用や、トンネル施設清掃用、トンネル施設メンテナンス用などの各種の作業用車両を兼用するものとし、それらに状況に応じた通信機を搭載させるようにしたものとすることが可能である。
【0027】
移動可視光通信器または移動無線通信器とも、データ収集車両に搭載し、当該定置可視光通信モジュールおよび各LEDユニットが発する可視光通信情報を逐次安定受信可能とする機能を担い、受信したメンテナンス情報を一時的に蓄積可能なものとするか、または、データ収集車両に搭載した情報処理端末、および/または、同受信情報を記録可能な記録媒体に送信するものとしなければならず、情報処理端末や記録媒体などを介して取り出したメンテナンス情報は、車載の該情報処理端末か、または、トンネル照明の管理施設に設置した情報処理端末などを用いて解析し、その解析結果に従いメンテナンス作業を行うことができるようにしたものとすべきである。
【0028】
データ収集車両搭載の情報処理端末は、移動可視光通信器または移動無線通信器が受信したメンテナンス情報をその場で演算処理し、即座に各調光ユニットの補正やメンテナンス作業の開始を可能とし、および/または、移動可視光通信器または移動無線通信器が受信したメンテナンス情報を記録媒体に記録可能とするかの何れかの機能を果たすものであり、各調光ユニットへの補正信号は、移動可視光通信器の場合、それ自体か、または、それによって制御された車両の例えばヘッドライトやサーチライト、警光灯、警告灯などの各種LEDライト、または、可視光通信専用に搭載した通信用LEDライトなどを通じて送信することが可能である。
【0029】
当該トンネル用照明灯具群の保守・管理方法は、定置可視光通信モジュールと移動可視光通信器または移動無線通信器との間で、各LEDモジュールの個別の明るさ、電流、電圧、故障の有無、消費電力、LED寿命予測値などの各種メンテナンス情報を送受信すべきであるが、それら各種メンテナンス情報の中の少なくとも1つのメンテナンス情報を送受信するようにしたものとすることが可能であり、後述する実施例に示すように、LEDモジュール1個単位毎の電流、電圧の制御などは、データ収集車両の走行中に、車載情報処理端末および移動可視光通信器または移動無線通信器を通じ、作業車が直接作業することなく、遠隔操作によって調節するようにして制御することが可能であり、また、LEDモジュールの1個単位毎の清掃、交換作業などは、データ収集車両の走行と同時に行うことは殆ど不可能なので、メンテナンス情報を収集した後に、改めて清掃車両やメンテナンス車両などを利用し、ピンポイントで車線を封鎖するなどして実施することができる。
【0030】
また、当該トンネル用照明灯具群の保守・管理方法は、情報処理端末が、各LEDモジュール個別のメンテナンス情報に基づき、各LEDモジュール設置場所毎の照明基準照度と比較し、設置当初に過剰となる光量分を該照明基準照度付近まで自動的に減光制御できめものとし、この自動検知および減光制御を長期間に渡って継続的に繰り返すと共に、LEDユニットの寿命劣化や汚れなどに起因する減光の進展に応じ、自動的に光量加減制御し、当該照明基準照度付近の検知照度値を自動的に維持可能とするよう演算処理し、該演算処理したメンテナンス制御情報をデータ収集車両の移動可視光通信器からトンネル用照明灯具群の各定置可視光通信モジュールに送信し、該メンテナンス制御情報を受けた各調光ユニットが、各LEDモジュールへの供給電流および電圧を個別に調節制御可能なものとなるようにすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例1】
【0031】
図1のメンテナンスシステムの概念図、図2のメンテナンスシステムのブロック図、図3のLEDモジュールの底面図、図4の断面化したLEDモジュールの側面図、および図5のトンネル用照明灯具群の概念図に示す事例は、トンネル内壁面に沿って複数の灯具取着体2の夫々に複数個のLEDモジュール3、電源入力部4、調光ユニット5、各種センサー6,6,……、および、定置可視光通信モジュール7を設けてなるトンネル用照明灯具群1を形成する一方、データ収集車両8に、移動可視光通信器9、情報処理端末90、および/または、記録媒体91とを搭載し、当該データ収集車両8がトンネル内を走行通過する過程で、各LEDモジュール3,3,……の各種メンテナンス情報を取得可能とし、同各種メンテナンス情報に基づき各LEDモジュール3,3,……の個別の保守・管理を可能なものとした、この発明のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムにおける代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【0032】
それら図1ないし図5の各図からも明確に把握できるとおり、この発明のトンネル用照明灯具群1は、トンネルの入り口および出口付近ではなく、深部がわとなる内壁面に沿って車両走行方向に対して所定角度をなすようにした箱型灯具取着体2の複数を、トンネル内を安全走行可能な状態に照明可能とするよう、所定の間隔置きとなる適所夫々に落下しないよう設置し、各箱型灯具取着体2は、複数個のLEDモジュール3,3,……夫々を個別の姿勢に調節可能であり、各LEDモジュール3,3,……を個別に制御可能な電源入力部4および調光ユニット5、ならびに、各LEDモジュール3,3,……のメンテナンス情報を個別に検知可能な各種センサー6,6,……と、それら各センサー6,6,……から得られた個別のメンテナンス情報を蓄積し、無線通信情報に変換すると共に、各LEDモジュール3,3,……の照明光のそれ自体に重調・送信可能とする定置可視光通信モジュール7,7,……とを設けてある。
【0033】
当該定置可視光通信モジュール7,7,……は、将来性を考慮すると可視光通信として規格化された通信方式を採用すべきであり、例えば、データ形式をJEITA規格CP−1222準拠とし、送信変調方式がサブキャリア28.5KHz、4値PPM形式で通信速度は4.8Kbpsの仕様としたものとする。
【0034】
図1および図2に示すように、当該定置可視光通信モジュール7,7,……と連繋して当該トンネル用照明灯具群1のメンテナンスシステムを形成するデータ収集車両8は、その車内適所に、各定置可視光通信モジュール7,7,……が発するメンテナンス情報を受信可能な移動可視光通信器9と、同移動可視光通信器9の受信情報を演算処理可能な情報処理端末90、および、同情報処理端末90にUSB(Universal Serial Bus)やLAN(Local Area Network)などの各種ポートや、カードスロットなどを介して接続可能、且つ、取り外して持ち運び自在な、USBメモリーやポータブルハードディスクなどの受信情報を記録可能な記録媒体91とを搭載してなるものである。
【実施例2】
【0035】
図6の帯状に配したトンネル用照明灯具群の底面がわから見た概念図、図7の帯状に配したトンネル用照明灯具群の側面がわから見た概念図、図8の個別設置可能なLEDモジュールの斜視図、図9の個別設置可能なLEDモジュールの側面図、図10の一部に変更を加えたメンテナンスシステムの概念図、および図11のLED照明寿命曲線のグラフに示す事例は、この発明のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムにおける代表的な他の実施例を示すものである。
前記実施例1に示したトンネル用照明灯具群1は、図6ないし図10に示すように、トンネル入り口および出口付近の昼間太陽光が差し込む範囲の内壁面に沿って車両走行方向に対して所定角度をなす梯子型か柵型、または板型かの何れかの帯状骨格形のケーブルラックなどからなる灯具取着体2を設置し、トンネル内の照明状況を確認しながら、図8および図9に示すように、LEDモジュール3の複数個を個別に設置してなるものとしてあり、各LEDモジュール3は、当該灯具取着体2の骨格形状部分の適所に着脱自在に固着可能なアルミニウム合金製、矩形プレート状であって、四角夫々にボルト結合用の取付孔を穿設してなるベース部30を有し、該ベース部30の中央には、同ベース部30に対して中央の垂直蝶螺子で垂直軸心回り(図9の矢印A方向)に回動調節自在、且つ仮固定可能な回転調節機構34と、同ベース部30に対して左右の水平蝶螺子で水平軸心回り(図9の矢印B方向)に回動調節自在、且つ仮固定可能な傾動調節機構35とを介して装着し、短柱状外周壁に放熱フィン32を形成したアルミニウム合金製、筒型ボディー31の先端開口33内にLEDユニット36を、その発光部37を先端がわ外部に露出するよう内蔵し、基端より延伸した電源ケーブル40が、図6、図7、および図10に示すように、調光ユニット5を経由して電源入力部4に接続してなるものとし、各LEDモジュール3のベース部30をボルト・ナット、蝶螺子・ナット、または蝶ナット・ボルト、および、必要に応じてブラケット類などを用い、当該灯具取着体2の骨格形状部分の適所に、個別に仮固定してなるものに置き換えたものとすることができる。
【0036】
さらに、図10に示してあるように、データ収集車両8に搭載した移動可視光通信器9で受信した各種メンテナンス情報に基づき、車載の情報処理端末90か、または、該車載情報処理端末90に接続可能な記録媒体91などを利用して各種メンテナンス情報を持ち出し、同メンテナンス情報を読み取り・書き込み可能なデータ収集車両8外の情報処理端末92かの何れかにより、図11に示すLED照明寿命曲線に従い、各LEDモジュール3,3,……設置当初に過剰となる光量分を設置箇所毎の照明基準照度付近まで自動的に減光制御可能とすると共に、各LEDユニット36,36,……の寿命劣化や各LEDモジュール3,3,……の発光部37,37,……汚れ、および、洗浄・メンテナンスによる光量復旧などに起因する減光の進展や復帰などの各状況に応じて、各LEDモジュール3,3,……個別の電流、電圧制御を可能とする各種データを演算処理、作成した上、データ収集車両8搭載の移動可視光通信器9を介して、各LEDモジュール3,3,……の電流・電圧制御を遠隔的に加減操作し、同図11中に示すとおり、設置場所毎の照明基準照度付近の検知照度値を自動的に維持可能とするよう、維持制御可能なものとし、こうしたデータ収集車両8による各種メンテナンス情報の収集および光減光制御などを長期間に渡って継続的に繰り返すことが出来るようにしてある。
【0037】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の実施例1に示すトンネル用照明灯具群1のメンテナンスシステムは、図1、図2および図5に示すとおり、トンネルの深部がわに配された各LEDモジュール3,3,……の各種センサー6,6,……が、自動的に各LEDモジュール3,3,……の明るさ、電流、電圧、故障の有無、消費電力、LED寿命予測値などの各種測定値を検知し、定置可視光通信モジュール7がそれら測定値を一時的に蓄積しならが調光ユニット5に送信し得るようにするものとなり、該調光ユニット5は、各LEDモジュール3,3,……の発光制御中に渡って常時、各種測定値を照明光それ自体に、トンネル内走行車両の一般運転者の視覚で明暗変化などの違和感を一切感知できず、安全走行可能な照度に維持したままの条件下にて高速通信可能に重調・送信するよう制御するものとなり、したがって、一般の運転手は、通常の照明と同等に、トンネル内走行中の視覚的安全を確保することができるものとなる。
【0038】
データ収集車両8がトンネル内に進入し、安全な速度で走行しながら、移動可視光通信器9を動作させると、各LEDモジュール3,3,……から発光出力されている可視光通信信号を受信し、車両搭載の情報処理端末90にメンテナンス情報信号を自動的且つ連続的に取り込み、蓄積するものとなり、該データ収集車両8に乗車している作業者が、走行中か、安全な場所にデータ収集車両8を停車させた後かの何れかの段階で情報処理端末90を操作し、メンテナンス情報信号を適宜演算処理するか、または、例えばUSBメモリーなどのリムーバブルメディアのような持ち運び自在な記録媒体91に保存して、データ収集車両8外の適所に設置された情報処理端末92などの演算処理装置を用いて演算処理し、得られたメンテナンス情報に基づき、各LEDモジュール3,3,……の1個毎について清掃、調節または交換するようにするかの何れかの対応をすべきかどうかについて判断を下す。
【0039】
各LEDモジュール3,3,……への供給電流および電圧の調節操作は、データ収集車両8の移動可視光通信器9を利用して行うことが可能であり、車載の情報処理端末90か、車外の適所に設置された情報処理端末92かの何れかで、先に収集したメンテナンス情報に基づき演算処理し、車外情報処理端末92の場合にはリムーバブルメディアなどの記録媒体91や、無線LAN(Local Area NetWork)その他の無線、有線通信などの何れかを適宜利用し、各LEDモジュール3,3,……の調節値を車載の情報処理端末90に一時的に記憶させた上、データ収集車両8をトンネル内で走行させながら、各定置可視光通信モジュール7,7,……に可視光通信して調節値を送信し、同調節値を受信した各定置可視光通信モジュール7,7,……は、各LEDモジュール3,3,……の各調光ユニット5,5,……に調節値信号を送信し、これを受けた各調光ユニット5,5,……は、各調節値に応じて各LEDモジュール3,3,……への供給電流および電圧を個別に制御するものとなる。
【0040】
また、各LEDモジュール3,3,……の清掃は、各LEDユニット36,6,……の汚れ具合を検知し、前述のような可視光通信によって得られたメンテナンス情報から清掃を要すると判断された場合に、該当するトンネル用照明灯具群1付近の車線を閉鎖して安全を確保し、キャビテーション清掃車などの図示しない清掃・メンテナンス車輌を持ち込み、各LEDモジュール3,3,……を洗浄するようにするものとし、さらにまた、メンテナンス情報から破損や老朽化によって交換を要すると判断されたLEDモジュール3やLEDユニット36も、車線を閉鎖してメンテナンス車輌を持ち込み該当するものだけを効率的に交換することができるものとなる。
【0041】
(実施例2の作用・効果)
この発明の実施例2に示すトンネル用照明灯具群1のメンテナンスシステムは、図6ないし図10、図11のLED照明寿命曲線のグラフ、図12の帯状に配したトンネル用照明灯具群の輝度分布図、表1のトンネル用照明灯具群1の設置条件表、表2の照度表、図13の従来型照明の輝度分布図、表3の従来型LED照明の設置条件表、および、表4の従来型LED照明の照度表に示すとおり、トンネルの出入り口付近の内壁面に設置した帯状骨格形の灯具取着体2に、図8および図9に示してあるLEDモジュール3,3,……の複数個を適宜間隔置き毎、点在状に設置してなるから、図12および図13のように、道路巾Wが7.25m、道路長Lが12.5mのトンネル内範囲の照明性能について、図13の従来型LED照明灯具群と比較すると、当該実施例2におけるトンネル用照明灯具群1の照明性能の方が、図12のようにムラが少なく、走行中にドライバーが明暗差を認識することは無く、一段と高い安全を確保可能なものとすることが可能である。
【0042】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0043】
さらに、前記実施例2のトンネル用照明灯具群1は、表5−a、表5−bの基本照明計算表、表6−a、表6−b、表6−cの東名高速道路におけるトンネル(上り)入り口部照明器具セラメタランプ(セラミックメタルハライドランプ)配置表群、および、表7−a、表7−b、表7−cの連絡道、照明計算結果表に示してあるように、前記基本照明計算表5−aおよび表5−bに従って実際に設置し、性能の確認実験を行った。
【表5−a】
【表5−b】
【表6−a】
【表6−b】
【表6−c】
【表7−a】
【表7−b】
【表7−c】
【0044】
以上の各表からも明確に実証されているとおり、トンネル内壁の様々な設置箇所に設置した帯状骨格形の各灯具取着体2,2,……に、設置場所毎の各種条件に応じて過不足無く、最適な台数のLEDモジュール3,3,……のみを、最適な箇所に配置してなるトンネル用照明灯具群1は、最小限度の設置経費と電力消費量とを達成することができるものとなる上、図11に示すLED照明寿命曲線に従い、各LEDモジュール3,3,……の電流・電圧制御を遠隔的に加減操作するという、この発明のメンテナンスシステムを利用した保守・管理方法により、トンネル内の照明を常時安全な状態に維持、管理することができると共に、各LEDユニット36,36,……の寿命を最大限に延命化し、且つ、消費電力量を最小限に抑えることが可能になるという秀れた特徴を発揮するものとなる。
【0045】
(結 び)
叙述の如く、この発明のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステム、および、それを利用したトンネル用照明灯具群の保守・管理方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造および設置も容易で、従前からの保守、管理技術に比較して、メンテナンス作業の作業負担を大幅に軽減できると共に、遥かに経済的なものとすることができる上、従前までのメンテナンス技術では、各LEDモジュールの個別の管理が不可能なため、照明の安定化と電力消費量の削減、ならびに、LEDユニットの長寿命化といった様々な課題を克服するのが困難なものであり、各LEDモジュールの個別管理を断念せざるを得なかった国道や市町村道のような各種一般道路のトンネルを管理する公共団体はもとより、自動車専用道路や高速道路などのトンネルを管理する企業や道路管理業界にあっても、高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図面は、この発明のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステム、および、それを利用したトンネル用照明灯具群の保守・管理方法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】メンテナンスシステムの概要を示す概念図である。
【図2】メンテナンスシステムの概要を示すブロック図である。
【図3】LEDモジュールを示す底面図である。
【図4】断面化したLEDモジュールを示す側面図である。
【図5】トンネル用照明灯具群を示す概念図である。
【図6】帯状トンネル用照明灯具群の概要を示す底面図である。
【図7】帯状トンネル用照明灯具群の概要を示す側面図である。
【図8】個別設置可能なLEDモジュールを示す斜視図である。
【図9】個別設置可能なLEDモジュールを示す側面図である。
【図10】一部に変更を加えたメンテナンスシステムを示す概念図である。
【図11】LED照明寿命曲線を示すグラフである。
【図12】トンネル用照明灯具群の輝度分布を示す分布図である。
【図13】従来型照明灯具の輝度分布を示す分布図である。
【符号の説明】
【0047】
1 トンネル用照明灯具群
2 灯具取着体
3 LEDモジュール
30 同 ベース部
31 同 筒型ボディー
32 同 放熱フィン
33 同 先端開口
34 同 回転調節機構
35 同 傾動調節機構
36 同 LEDユニット
37 同 発光部
4 電源入力部
5 調光ユニット
6 各種センサー
7 定置可視光通信モジュール
8 データ収集車両
9 移動可視光通信器
90 同 情報処理端末
91 同 記録媒体
92 同 外部情報処理端末
W 道路巾
L 道路長
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内壁面に沿って車両走行方向に対して所定角度をなす箱型または帯状の灯具取着体複数を適所に設置し、それら灯具取着体には、複数個のLEDモジュール、各LEDモジュールを個別に制御可能な電源入力部および調光ユニット、ならびに各LEDモジュールのメンテナンス情報を個別に検知可能な各種センサーと、各センサーから得られた個別のメンテナンス情報を蓄積し、無線通信情報に変換すると共に、各LEDモジュールの照明光のそれ自体に重調・送信可能とする定置可視光通信モジュールとを設けてなるトンネル用照明灯具群を形成する一方、トンネル内を走行可能なデータ収集車両に、当該定置可視光通信モジュールからのメンテナンス情報を受信可能な移動可視光通信器または移動無線通信器と、それら通信器の受信情報を演算処理可能な情報処理端末、および/または、同受信情報を記録可能な記録媒体とを搭載し、当該データ収集車両がトンネル内を走行通過する過程で、各LEDモジュールの各種メンテナンス情報を取得可能とし、同各種メンテナンス情報に基づき各LEDモジュールの個別の保守・管理を可能なものとしてなるトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステム。
【請求項2】
トンネル深部がわとなる内壁面に沿って車両走行方向に対して所定角度をなす箱型の灯具取着体複数を適所に設置し、それら灯具取着体には、複数個のLEDモジュール、各LEDモジュールを個別に制御可能な電源入力部および調光ユニット、ならびに各LEDモジュールのメンテナンス情報を個別に検知可能な各種センサーと、各センサーから得られた個別のメンテナンス情報を蓄積し、無線通信情報に変換すると共に、各LEDモジュールの照明光のそれ自体に重調・送信可能とする定置可視光通信モジュールとを設けてなるトンネル用照明灯具群を形成する一方、トンネル内を走行可能なデータ収集車両に、当該定置可視光通信モジュールからのメンテナンス情報を受信可能な移動可視光通信器または移動無線通信器と、それら通信器の受信情報を演算処理可能な情報処理端末、および/または、同受信情報を記録可能な記録媒体とを搭載し、当該データ収集車両がトンネル内を走行通過する過程で、各LEDモジュールの各種メンテナンス情報を取得可能とし、同各種メンテナンス情報に基づき各LEDモジュールの個別の保守・管理を可能なものとしてなるトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステム。
【請求項3】
トンネル入り口および出口付近の内壁面に沿って車両走行方向に対して所定角度をなす帯状の灯具取着体複数を適所に設置し、それら灯具取着体には、複数個のLEDモジュール、各LEDモジュールを個別に制御可能な電源入力部および調光ユニット、ならびに各LEDモジュールのメンテナンス情報を個別に検知可能な各種センサーと、各センサーから得られた個別のメンテナンス情報を蓄積し、無線通信情報に変換すると共に、各LEDモジュールの照明光のそれ自体に重調・送信可能とする定置可視光通信モジュールとを設けてなるトンネル用照明灯具群を形成する一方、トンネル内を走行可能なデータ収集車両に、当該定置可視光通信モジュールからのメンテナンス情報を受信可能な移動可視光通信器または移動無線通信器と、それら通信器の受信情報を演算処理可能な情報処理端末、および/または、同受信情報を記録可能な記録媒体とを搭載し、当該データ収集車両がトンネル内を走行通過する過程で、各LEDモジュールの各種メンテナンス情報を取得可能とし、同各種メンテナンス情報に基づき各LEDモジュールの個別の保守・管理を可能なものとしてなるトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステム。
【請求項4】
トンネル用照明灯具群は、各灯具取着体が、トンネル内壁面に沿って車両通行方向に平行かまたは直交するかの何れか一方の配置関係に設置した梯子型や柵型か、または板型かの何れかの帯状骨格形のものとし、同骨格形状とした各灯具取着体の複数箇所夫々に点在状に適宜装着した複数個のLEDモジュールは夫々、当該灯具取着体の骨格形状部分に着脱自在に固着可能なベース部を有し、該ベース部には、同ベース部に対して垂直軸心回りに回動調節自在な回転調節機構と、同ベース部に対して水平軸心回りに回動調節自在な傾動調節機構とを介して装着し、短柱状外周壁に放熱フィンを形成した筒型ボディー先端開口内にLEDユニットを、その発光部を先端がわ外部に露出するよう内蔵してなるものとした、請求項1または3何れか一方記載のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステム。
【請求項5】
各定置可視光通信モジュールおよび各調光ユニットの制御を受けて各LEDモジュールが発する通信用可視光が、トンネル内走行車両の一般運転者の視覚で明暗変化などの違和感を一切感知できず、安全走行可能な照度に維持したままの条件下にて高速通信可能としてなるものとした、請求項1ないし4何れか一項記載のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステム。
【請求項6】
請求項1ないし5何れか一項記載のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムを用い、データ収集車両がトンネル内を走行通過する過程で、トンネル用照明灯具群の各定置可視光通信モジュール、各調光ユニットおよび各LEDモジュールと、当該データ収集車両搭載の移動可視光通信器または移動無線通信器との間で、各LEDモジュールの個別の明るさ、電流、電圧、故障の有無、消費電力、LED寿命予測値などの各種メンテナンス情報を送受信し、該受信情報を車載情報処理端末で演算処理するか、または、同受信情報を記録媒体に記録した後、該記録媒体に記録した受信情報を別の場所に有る情報処理端末で演算処理するかして、各LEDモジュール毎の各種メンテナンス情報を取得した上、データ収集車両によるデータ収集作業とは別に、その後にトンネル内走行車線の一部かまたは全部かを一時的に閉鎖して行うメンテナンス作業にて、当該演算処理にて得たメンテナンス情報に基づき、メンテナンスが必要と判明したLEDモジュールを1個単位毎に清掃、交換または調整する保守・管理作業を行うようにしてなる、請求項1ないし5何れか一項記載のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムを利用したトンネル用照明灯具群の保守・管理方法。
【請求項7】
情報処理端末が、各LEDモジュール個別のメンテナンス情報に基づき、各LEDモジュール設置場所毎の照明基準照度と比較し、設置当初に過剰となる光量分を該照明基準照度付近まで自動的に減光制御し、この自動検知および減光制御を長期間に渡って継続的に繰り返すと共に、LEDユニットの寿命劣化や汚れなどに起因する減光の進展に応じて、自動的に光量加減制御し、当該照明基準照度付近の検知照度値を自動的に維持可能とするよう演算処理し、該演算処理したメンテナンス制御情報をデータ収集車両の移動可視光通信器からトンネル用照明灯具群の各定置可視光通信モジュールに送信し、該メンテナンス制御情報を受けた各調光ユニットが、各LEDモジュールへの供給電流および電圧を個別に調節制御可能なものとしてなる、請求項6記載のトンネル用照明灯具群の保守・管理方法。
【請求項1】
トンネル内壁面に沿って車両走行方向に対して所定角度をなす箱型または帯状の灯具取着体複数を適所に設置し、それら灯具取着体には、複数個のLEDモジュール、各LEDモジュールを個別に制御可能な電源入力部および調光ユニット、ならびに各LEDモジュールのメンテナンス情報を個別に検知可能な各種センサーと、各センサーから得られた個別のメンテナンス情報を蓄積し、無線通信情報に変換すると共に、各LEDモジュールの照明光のそれ自体に重調・送信可能とする定置可視光通信モジュールとを設けてなるトンネル用照明灯具群を形成する一方、トンネル内を走行可能なデータ収集車両に、当該定置可視光通信モジュールからのメンテナンス情報を受信可能な移動可視光通信器または移動無線通信器と、それら通信器の受信情報を演算処理可能な情報処理端末、および/または、同受信情報を記録可能な記録媒体とを搭載し、当該データ収集車両がトンネル内を走行通過する過程で、各LEDモジュールの各種メンテナンス情報を取得可能とし、同各種メンテナンス情報に基づき各LEDモジュールの個別の保守・管理を可能なものとしてなるトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステム。
【請求項2】
トンネル深部がわとなる内壁面に沿って車両走行方向に対して所定角度をなす箱型の灯具取着体複数を適所に設置し、それら灯具取着体には、複数個のLEDモジュール、各LEDモジュールを個別に制御可能な電源入力部および調光ユニット、ならびに各LEDモジュールのメンテナンス情報を個別に検知可能な各種センサーと、各センサーから得られた個別のメンテナンス情報を蓄積し、無線通信情報に変換すると共に、各LEDモジュールの照明光のそれ自体に重調・送信可能とする定置可視光通信モジュールとを設けてなるトンネル用照明灯具群を形成する一方、トンネル内を走行可能なデータ収集車両に、当該定置可視光通信モジュールからのメンテナンス情報を受信可能な移動可視光通信器または移動無線通信器と、それら通信器の受信情報を演算処理可能な情報処理端末、および/または、同受信情報を記録可能な記録媒体とを搭載し、当該データ収集車両がトンネル内を走行通過する過程で、各LEDモジュールの各種メンテナンス情報を取得可能とし、同各種メンテナンス情報に基づき各LEDモジュールの個別の保守・管理を可能なものとしてなるトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステム。
【請求項3】
トンネル入り口および出口付近の内壁面に沿って車両走行方向に対して所定角度をなす帯状の灯具取着体複数を適所に設置し、それら灯具取着体には、複数個のLEDモジュール、各LEDモジュールを個別に制御可能な電源入力部および調光ユニット、ならびに各LEDモジュールのメンテナンス情報を個別に検知可能な各種センサーと、各センサーから得られた個別のメンテナンス情報を蓄積し、無線通信情報に変換すると共に、各LEDモジュールの照明光のそれ自体に重調・送信可能とする定置可視光通信モジュールとを設けてなるトンネル用照明灯具群を形成する一方、トンネル内を走行可能なデータ収集車両に、当該定置可視光通信モジュールからのメンテナンス情報を受信可能な移動可視光通信器または移動無線通信器と、それら通信器の受信情報を演算処理可能な情報処理端末、および/または、同受信情報を記録可能な記録媒体とを搭載し、当該データ収集車両がトンネル内を走行通過する過程で、各LEDモジュールの各種メンテナンス情報を取得可能とし、同各種メンテナンス情報に基づき各LEDモジュールの個別の保守・管理を可能なものとしてなるトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステム。
【請求項4】
トンネル用照明灯具群は、各灯具取着体が、トンネル内壁面に沿って車両通行方向に平行かまたは直交するかの何れか一方の配置関係に設置した梯子型や柵型か、または板型かの何れかの帯状骨格形のものとし、同骨格形状とした各灯具取着体の複数箇所夫々に点在状に適宜装着した複数個のLEDモジュールは夫々、当該灯具取着体の骨格形状部分に着脱自在に固着可能なベース部を有し、該ベース部には、同ベース部に対して垂直軸心回りに回動調節自在な回転調節機構と、同ベース部に対して水平軸心回りに回動調節自在な傾動調節機構とを介して装着し、短柱状外周壁に放熱フィンを形成した筒型ボディー先端開口内にLEDユニットを、その発光部を先端がわ外部に露出するよう内蔵してなるものとした、請求項1または3何れか一方記載のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステム。
【請求項5】
各定置可視光通信モジュールおよび各調光ユニットの制御を受けて各LEDモジュールが発する通信用可視光が、トンネル内走行車両の一般運転者の視覚で明暗変化などの違和感を一切感知できず、安全走行可能な照度に維持したままの条件下にて高速通信可能としてなるものとした、請求項1ないし4何れか一項記載のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステム。
【請求項6】
請求項1ないし5何れか一項記載のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムを用い、データ収集車両がトンネル内を走行通過する過程で、トンネル用照明灯具群の各定置可視光通信モジュール、各調光ユニットおよび各LEDモジュールと、当該データ収集車両搭載の移動可視光通信器または移動無線通信器との間で、各LEDモジュールの個別の明るさ、電流、電圧、故障の有無、消費電力、LED寿命予測値などの各種メンテナンス情報を送受信し、該受信情報を車載情報処理端末で演算処理するか、または、同受信情報を記録媒体に記録した後、該記録媒体に記録した受信情報を別の場所に有る情報処理端末で演算処理するかして、各LEDモジュール毎の各種メンテナンス情報を取得した上、データ収集車両によるデータ収集作業とは別に、その後にトンネル内走行車線の一部かまたは全部かを一時的に閉鎖して行うメンテナンス作業にて、当該演算処理にて得たメンテナンス情報に基づき、メンテナンスが必要と判明したLEDモジュールを1個単位毎に清掃、交換または調整する保守・管理作業を行うようにしてなる、請求項1ないし5何れか一項記載のトンネル用照明灯具群のメンテナンスシステムを利用したトンネル用照明灯具群の保守・管理方法。
【請求項7】
情報処理端末が、各LEDモジュール個別のメンテナンス情報に基づき、各LEDモジュール設置場所毎の照明基準照度と比較し、設置当初に過剰となる光量分を該照明基準照度付近まで自動的に減光制御し、この自動検知および減光制御を長期間に渡って継続的に繰り返すと共に、LEDユニットの寿命劣化や汚れなどに起因する減光の進展に応じて、自動的に光量加減制御し、当該照明基準照度付近の検知照度値を自動的に維持可能とするよう演算処理し、該演算処理したメンテナンス制御情報をデータ収集車両の移動可視光通信器からトンネル用照明灯具群の各定置可視光通信モジュールに送信し、該メンテナンス制御情報を受けた各調光ユニットが、各LEDモジュールへの供給電流および電圧を個別に調節制御可能なものとしてなる、請求項6記載のトンネル用照明灯具群の保守・管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−142204(P2012−142204A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294603(P2010−294603)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(509148164)中日本ハイウエイ・エンジニアリング名古屋株式会社 (4)
【出願人】(508136205)浜井電球工業株式会社 (6)
【出願人】(000103633)オーデリック株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(509148164)中日本ハイウエイ・エンジニアリング名古屋株式会社 (4)
【出願人】(508136205)浜井電球工業株式会社 (6)
【出願人】(000103633)オーデリック株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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