説明

トンネル用照明装置

【課題】固体発光素子においてロスとして発生する熱を適切に処理することが可能なトンネル用の照明装置を提供する。
【解決手段】下方に取付部8を有する長尺な板材の側面に複数の固体発光素子4を並べて固定したフレーム3と、固体発光素子4に電源から電力を供給する配線と、フレーム3の取付部8を固定する反射面12を内側に有する反射板5と、反射板5の反射面12を開口部方向に向けて、その内側に固定収納するケース2と、ケース2の開口部を封鎖する透光性を有するカバー6と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体発光素子を光源としたトンネル内の照明に用いられるトンネル用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル用照明装置としては、特許文献1に開示されるように、従来、蛍光ランプを光源した照明装置が主に使用されてきた。しかしながら、蛍光ランプは、突然玉切れを起こすことがあり、その場合は、ランプ交換を行うメンテナンスを実施する必要が発生していた。
【0003】
上記問題を解決する新たな光源として、固体発光素子、特に発光ダイオード(以下、「LED」と記載する。)が注目を集めている。LEDは、寿命が長いこともさることながら、蛍光ランプと異なり、突然の玉切れが発生することがない。従って、トンネル用照明装置は、LEDを光源としたものとすることで、上記メンテナンスを行う必要がなくなるというメリットが生ずる。
【0004】
ところで、LEDを光源として使用する場合には、それからロスとして発生する熱の処理が重要となる。もし、熱の処理が十分に行われていないと、LEDの寿命が短くなるなどの問題が生じる。特許文献2では、LEDからロスとして発生する熱を処理するために、フィンをLEDに取り付けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−16259号公報
【特許文献2】特開2009−245621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、トンネル用照明装置は、トンネル内の漏水等からLED等を守るために、防水型とする必要がある。即ち、前記トンネル用照明装置は、密閉された空間内にLEDが配設される。従って、特許文献2に開示されるようにLEDに前記フィンを取り付けたとしても、密閉された空間の外にLEDでロスとして発生した熱を排出することはできない。即ち、特許文献2に開示される方法では、前記熱を適切に処理することはできない。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決することを目的としてなされたものであり、固体発光素子においてロスとして発生する熱を適切に処理することが可能なトンネル用照明装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1のトンネル用照明装置は、下方に取付部を有する長尺な板材の側面に複数の固体発光素子を並べて固定したフレームと、前記固体発光素子に電源から電力を供給する配線と、前記フレームの前記取付部を固定する反射面を内側に有する反射板と、該反射板の前記反射面を開口部方向に向けて、その内側に固定収納するケースと、該ケースの前記開口部を封鎖する透光性を有するカバーと、を具備することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2のトンネル用照明装置は、前記フレーム、及び前記反射板が、金属により構成されることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3のトンネル用照明装置は、前記フレームの長手方向に対し直交する断面において、前記反射面が、放物線形状として構成されると共に、前記固体発光素子が、該反射面である放物線形状の焦点に配設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載のトンネル用照明装置は、複数の固体発光素子を並べて固定したフレームの取付部が、反射板の反射面に固定されている。また、前記反射板は、ケースに固定収納されている。これにより、前記固体発光素子でロスとして発生した熱は、フレームと、反射板とを介してケースに伝熱することができ、該ケースより、その外部へ排出することができる。また、前記反射板が有する熱容量により、前記熱が該反射板に蓄積しても、その温度上昇が抑えられるので、該反射板とフレームを介して接続されている前記固体発光素子の温度上昇も抑えられる。以上により、本トンネル用照明装置では、前記固体発光素子でロスとして発生した熱を適切に処理し、該熱により該固体発光素子が悪影響を受けることを防止することができる。
【0012】
請求項2に記載のトンネル用照明装置は、金属により前記フレーム、及び前記反射板が構成されているので、前記固体発光素子でロスとして発生した熱を迅速に、該フレームを介して該反射板に拡散することができる。これにより、前記固体発光素子の周辺に前記熱が蓄積されることを防止することができる。
【0013】
請求項3に記載のトンネル用照明装置は、前記固体発光素子から発せられた光が、放物線形状を有する前記反射面により平行光とされ照明に使用される。これにより、本トンネル用照明装置は、前記固体発光素子から発せられた光の拡散を抑え、その照明領域を明るく照らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態のトンネル用照明装置の斜視図。
【図2】図1のA方向から見たトンネル用照明装置の正面図。
【図3】フレームへの固体発光素子、パイプ、端子部の取付を説明する斜視図。
【図4】ケース、及び口金部を省略した、反射板の反射面とフレームの取付部との取付を説明する拡大斜視図。
【図5】図2のB−B面における拡大断面図。
【図6】図2のC−C面における拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。本発明のトンネル用照明装置1(以下、単に「照明装置1」と記載する。)は、ケース2、フレーム3、固体発光素子4、反射板5等を有し構成される。本照明装置1は、固体発光素子4でロスとして発生した熱を適切に処理することができ、該固体発光素子4の長寿命性等の優れた特徴を発揮させることができる照明装置である。
【0016】
本照明装置1は、図1、及び2に示すように、一方向に開口部2aを有した箱状のケース2を有しており、該ケース2が開口部2a方向へ固体発光素子4から発せられた光を放出し、照明を行う。ケース2内には、フレーム3、固体発光素子4、反射板5等の構成要素が配設されている。また、ケース2の開口部2aは、図5、及び6に示すように、透光性を有するカバー6により封鎖されている。ケース2は、樹脂、金属等、カバー6は、樹脂、ガラス等、何れも防水性を有する材料により構成され、またケース2と、カバー6との間には、図外のパッキンが挿入されている。従って、ケース2とカバー6とから構成される内部空間7は密封状態となり、水の浸入が防止される。なお、図示した本照明装置1においては、フレーム3が2つ備えられているが、該フレーム3が1つ備えられるものであっても、3つ以上備えられるものであってもよい。
【0017】
前記フレーム3は、金属等熱伝導性に優れた材料(例えば、アルミニウム。)より構成され、図3に示すように、長尺な板材により構成される。また、フレーム3には、その下方に、かつ、横方向に突出した反射板5への取付用の取付部8が設けられている。このフレーム3には、まず、長手方向に沿った左右の側面に、ライン状に並べられた複数の固体発光素子4が、図外の電子配線用の基板を介して固定される。そして、フレーム3の外側には、その長手方向に沿って、透光性を有し、前記取付部8との干渉を回避するために切欠が一方向に設けられた固体発光素子4の保護用のパイプ11が、該フレーム3の端部方向からスライドさせることにより挿入されている。前記保護用パイプ11が挿入された後、フレーム3の長手方向の両端には、ケース2に内側に相対し設けられている口金部9に挿抜可能、かつ、前記基板を介して固体発光素子に配線されている端子ピン10aを有する端子部10が取り付けられる。なお、前記口金部9には、図外の電源から配線が行われているので、端子ピン10aが口金部9に挿入されることにより、固体発光素子4は、前記電源から電力の供給を受けることが可能となる。
【0018】
前記固体発光素子4は、LED、エレクトロルミネッセンス等であり、特にLEDに構成することが望ましい。これは、LEDが、蛍光ランプ等と比較して長寿命であり、突然のため切れも発生せず、発光効率も蛍光ランプに匹敵するからである。
【0019】
前記反射板5は、金属等熱伝導性がよく、また固体発光素子4から発せられた光を効率よく反射できる材料(例えば、アルミニウム。)により構成され、内部空間7全域に配置されている。また、図4乃至6に示すように、反射板5はその内側に鏡面仕上げされた反射面12が設けられている。
【0020】
ここで、固体発光素子4、端子部10、パイプ11が取り付けられて一体となったフレーム3は、前記取り付けられた端子部10の端子ピン10aが口金部9に挿入される。その後、前記反射面12の内側の頂点部分には、上記一体となったフレーム3の取付部8が、互いの長手方向に沿って螺子、リベット8a等により接続される。また、反射板5は、前記反射面12をケース2の開口部方向に向けた状態で、自身が具備する脚部5aをケース2に螺子、リベット5b等を使用して取り付けられている。
【0021】
また、反射板5の反射面12は、フレーム3(照明装置1)の長手方向に対し直交する断面が放物線形状に形成されており、その放物線形状の焦点には、固体発光素子4が配設されている(図5参照)。このように構成されることにより、固体発光素子4から発せられる光は、平行光とされて開口部2aから放射されて、照明に使用される。
【0022】
以上のように構成される本照明装置1での固体発光素子4でロスとして発生した熱は、固体発光素子4とケース2、カバー6が、内部空間7内の空気により接続されているため、当該空気を介して伝熱されるものの、空気の熱伝導率は低いため、当該空気を介した固体発光素子4からケース2、カバー6への伝熱は効率的には行われない。
【0023】
そこで、本照明装置1においては、まず、固体発光素子4を、金属等熱伝導性に優れた材料より構成されているフレーム3に、図外の薄い(例えば、厚み1mm。)基板を介して固定している。これにより、前記熱は、フレーム3に迅速に拡散される。また、本照明装置1においては、フレーム3の取付部8を、反射板5の反射面12に、互いの長手方向に沿って、固定している。すなわち、フレーム3の取付部8と、反射板5の反射面12とを広い面積で固定しているので、フレーム3から反射板5(反射面12)に効率よく伝熱することができる。また、反射板5は、フレーム3と同様に、金属等熱伝導性に優れた材料により構成しているため、前記熱は、この反射板5にも接続にも迅速に拡散される。加えて、照明装置1では、反射板5をカバー6が取り付けられているケース2に固定しているので、前記熱が固体発光素子4付近に蓄積されることを防止しつつ、該熱を、基板、フレーム3、反射板5を介してケース2、カバー6に効率よく伝熱して、内部空間7の外部へ排出することができる。
【0024】
ところで、カバー6は樹脂等熱伝導性の低い材料されており、ケース2も樹脂等熱伝導性の低い材料により構成されることがある。このような場合には、上記のように、前記熱をケース2、カバー6に伝熱する経路を基板、フレーム3、及び反射板5により構成しても、ケース2、カバー6で前記熱の伝導速度が抑えられてしまい、該内部空間7の外部への前記熱の排出はスムーズに行われない。従って、このような場合には、固体発光素子4の温度上昇が危惧される。しかしながら、この問題も、本照明装置1では、上記構成により解消している。
【0025】
具体的には、反射板5は、図2に示すように、内部空間7全域に配設されており、その体積がフレーム3と比較しても大きなものとなっているので、大きな熱容量を有している。従って、ケース2、カバー6からの、内部空間7の外部への排出がスムーズに行われない場合、即ち反射板5に滞在する熱量が多くなる場合であっても、該反射板5の温度上昇は、大きな熱容量を有していることに基づき、低く抑えられる。ここで、上記のように、固体発光素子4と反射板5は、熱伝導性に優れた材料により構成されているフレーム3、及び薄い基板を介して接続されている。即ち、固体発光素子4と反射板5の間での温度差は小さくなるため、上記のように反射板5の温度上昇が抑えられることで、固体発光素子4の温度上昇も低く抑えられる。
【0026】
以上説明したように、本照明装置1は、固体発光素子4でロスとして発生した熱を、該固体発光素子4が配設されるフレーム3、反射板5とを介して、ケース2、カバー6に伝熱し、該ケース2、カバー6より内部空間7の外部へ排出できること、及び、反射板5の熱容量を利用して、固体発光素子4の温度上昇を抑えられることという特徴を有している。これら特徴により、本照明装置1は、密閉状態である内部空間7内に配設される固体発光素子4でロスとして発生した熱を、適切に処理することができ、もって、固体発光素子4に前記熱による悪影響が及ぶことを回避することができる。
【0027】
さらに、本照明装置1では、反射板5の反射面12が、フレーム3(照明装置1)の長手方向に対して直交する断面が放物線形状として構成されており、その放物線形状の焦点には、固体発光素子4が配設されている。このように構成されることにより、固体発光素子4から発せられる光は平行光とされて照明に使用される。以上に基づき、本照明装置1は、固体発光素子4から発せられた光の拡散を抑え、その照明領域を明るく照らすことができる。
【0028】
なお、本実施の形態で示した照明装置1は、本発明に係るトンネル用照明装置の一態様にすぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記においては、鏡面仕上げされた金属からなる反射面12を用いたものを説明したが、鏡面仕上げでない、金属からなる反射面の表面に所望の反射率、拡散率を備えた樹脂からなる反射部材を貼り付けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係るトンネル用照明装置は、道路用、鉄道用等を問わず適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 トンネル用照明装置(照明装置)
2 ケース
4 固体発光素子
5 反射板
7 内部空間
8 取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に取付部を有する長尺な板材の側面に複数の固体発光素子を並べて固定したフレームと、
前記固体発光素子に電源から電力を供給する配線と、
前記フレームの前記取付部を固定する反射面を内側に有する反射板と、
該反射板の前記反射面を開口部方向に向けて、その内側に固定収納するケースと、
該ケースの前記開口部を封鎖する透光性を有するカバーと、を具備することを特徴とするトンネル用照明装置。
【請求項2】
前記フレーム、及び前記反射板が、金属により構成されることを特徴とする請求項1に記載のトンネル用照明装置。
【請求項3】
前記フレームの長手方向に対し直交する断面において、前記反射面が、放物線形状として構成されると共に、前記固体発光素子が、該反射面である放物線形状の焦点に配設されることを特徴とする請求項1又は2に記載のトンネル用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−100586(P2011−100586A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253575(P2009−253575)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000000147)伊藤忠商事株式会社 (43)
【Fターム(参考)】