トンネル用耐火パネルおよびそれを用いたトンネル耐火構造
【課題】例えば山岳トンネルその他各種のトンネルに耐火内装材等として用いられるトンネル用耐火パネルおよびそれを用いたトンネル耐火構造において、耐火パネル内への湧水等の浸入を良好に防止すると共に、耐衝撃性や耐爆裂性等を向上させる。
【解決手段】トンネル覆工Fの内面に敷設されるトンネル用耐火パネル1であって、耐火性を有するパネル本体10の背面側に、耐熱性および止水性を有する補強用シート材11を積層して一体的に固着したことを特徴とする。また耐火性を有するパネル本体10の背面側に、耐熱性および止水性を有する補強用シート材11を積層して一体的に固着してなる耐火パネル1を、トンネル覆工Fの内面のトンネル軸方向および周方向に並べて配置し、その各耐火パネル1を間隔保持部材2を介してトンネル覆工内面に所定の間隔をおいて取付け支持させたことを特徴とする。
【解決手段】トンネル覆工Fの内面に敷設されるトンネル用耐火パネル1であって、耐火性を有するパネル本体10の背面側に、耐熱性および止水性を有する補強用シート材11を積層して一体的に固着したことを特徴とする。また耐火性を有するパネル本体10の背面側に、耐熱性および止水性を有する補強用シート材11を積層して一体的に固着してなる耐火パネル1を、トンネル覆工Fの内面のトンネル軸方向および周方向に並べて配置し、その各耐火パネル1を間隔保持部材2を介してトンネル覆工内面に所定の間隔をおいて取付け支持させたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば山岳トンネルやシールドトンネル、その他各種のトンネルに耐火内装材等として用いられるトンネル用耐火パネルおよびそれを用いたトンネル耐火構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記のようなトンネルを耐火構造にする技術は、種々提案されており、その1つとしてトンネル覆工内面に所定の大きさ形状の耐火パネルをトンネル軸方向および周方向に並べて敷設するようにしたものは知られている(例えば下記特許文献1、2参照)。
【0003】
上記のようなトンネル覆工内面に敷設する耐火パネルは、耐火性能を有することはもちろんであるが、トンネル構造体の一部として使用するものであるから、種々の特性が要求され、その1つとして先ず地山内から浸透してくる湧水に対する止水性や耐久性が要求される。例えば、シールドトンネルは工場等で予め作製された水密性の高いセグメントを防水パッキン等を介して現場で組立てながら覆工を構築するので、覆工内への水の浸透は少ないが、山岳トンネルは覆工用コンクリートを現場で打設して覆工を構築するものであるから、シールドトンネルに比べて透水性が高く、地山内から覆工内に浸透してきた水の処理が重要となる。
【0004】
また例えば道路トンネルに使用する耐火パネルは、自動車事故による衝撃によって破損したり火災による温度上昇によって爆裂したりしないように、耐衝撃性や耐爆裂性等を有することが望ましく、また火災発生時に隣り合う耐火パネル間の隙間から火炎が進入して覆工が変質したり劣化して耐久性が低下しないようにする必要がある。
【0005】
そこで下記特許文献1においては、隣り合う耐火パネル間の背面側(覆工側)にロックウールやセラミックブランケット等の火炎巻込防止材(継目閉塞材)を設置してパネル間の背面側に火炎が進入しないようにしているが、上記のような火炎巻込防止材を耐火パネルと覆工との間に介在させると、覆工内に流入してきた湧水を覆工と耐火パネルとの間から下方に流出させる際の水の流れを妨げるおそれがある。
【0006】
これに対し、下記特許文献2においては、トンネル覆工内面に敷設した耐火パネル(耐火被覆板)の継目の裏面側にバックアップ材を配置し、そのバックアップ材および上記耐火パネルと覆工内面との間に所定の間隔をおいてスペーサを介在させることによって、上記耐火パネル及びバックアップ材と覆工内面との間から湧水を下方に流すようにしているが、上記バックアップ材の固定が不充分となり勝ちで該バックアップ材と耐火被覆板との間に往々にして隙が生じたり剥離する等のおそれがある。
【0007】
また上記のような耐火パネルとしては、例えば珪酸カルシウムやセラミックその他各種材質のものが用いられ、また性状としてはボード状またはマット状のものが多く用いられているが、その材質や性状によっては、耐火パネルの背面側に流れる湧水に長時間浸かった状態にあると、該パネルが膨潤したり変質して外観体裁を損ねたり、耐火性能・常時性能が低下する等の不具合がある。
【0008】
さらに上記のような耐火パネルは、耐火性能を最大限に確保する一方で衝撃に対しては比較的弱いものが多く、例えば自動車事故等で衝撃を受けたときには、破損して飛び散ったり、火災による熱で爆裂する等のおそれがある。そこで、下記特許文献3および特許文献4においては、耐火材中に強化繊維や繊維質材料を混入して補強することが提案されているが、必ずしも充分な耐衝撃性や耐爆裂性等を得ることができない等の問題があった。
【0009】
【特許文献1】特開2005−42456号公報
【特許文献2】特開2005−155083号公報
【特許文献3】特開2001−122670号公報
【特許文献4】特開2003−300769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて提案されたもので、トンネル覆工内面に敷設される耐火パネル内への湧水等の浸入を良好に防止できると共に、耐衝撃性や耐爆裂性等に優れたトンネル用耐火パネルおよびそれを用いたトンネル耐火構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために本発明によるトンネル用耐火パネルおよびそれを用いたトンネル耐火構造は、以下の構成としたものである。すなわち、本発明によるトンネル用耐火パネルは、トンネル覆工内面に敷設されるトンネル用耐火パネルであって、耐火性を有するパネル本体の、トンネル覆工内面に敷設したとき該覆工内面と対面する側である背面側に、耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材を積層して一体的に固着したことを特徴とする。
【0012】
上記パネル本体としては、例えばけい酸カルシウムやセラミック等その他耐火性を有するものであれば各種材質のものが使用可能であり、また上記パネル本体の性状としては、ボード状またはマット状その他適宜である。さらに上記の耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材としては、例えばパネル本体と反対側面に多数の凹溝条を有するポリエチレンやEVA樹脂等の合成樹脂シートや、あるいはガラスクロス等を用いることができる。また、それらのシート材は、パネル本体の背面側に積層して溶着もしくは接着材等で一体的に固着すればよい。
【0013】
また本発明によるトンネル耐火構造は、耐火性を有するパネル本体の背面側に、耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材を積層して一体的に固着してなる耐火パネルを、その背面側をトンネル覆工内面に対面させてトンネル軸方向および周方向に並べて配置し、その各耐火パネルを間隔保持部材を介してトンネル覆工内面に所定の間隔をおいて取付け支持させたことを特徴とする。
【0014】
この場合、トンネル周方向に隣り合う耐火パネルを互いに突き合わせて配置し、その上側に位置する耐火パネルの補強用シート材の下端部を、下側に位置する耐火パネルの補強用シート材の上端部背面に重ねて配置すると共に、トンネル軸方向に隣り合う耐火パネル間の背面とトンネル覆工内面との間にトンネル周方向に延びる継目閉塞材を介在させるとよい。また上記補強用シート材のパネル本体と固着する面とは反対側の面には、必要に応じてトンネル周方向に延びる凹溝条をトンネル軸方向に所定の間隔をおいて多数設けるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるトンネル用耐火パネルは、上記のように耐火性を有するパネル本体の背面側に耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材を積層して一体的に固着したことによって、上記パネル本体内への水の浸入を良好に防止することができ、ひいてはトンネル内への漏水を防止することができると共に、上記補強用シート材によってパネル本体が背面側から補強され、耐衝撃性や耐爆裂性もしくはひび割れ防止効果を向上させることができる。その結果、例えば前記従来の繊維強化タイプの耐火パネルよりも耐衝撃性を向上させることが可能となると共に、自動車事故等による衝撃や熱によって万一パネル本体が破損したり爆裂した場合にも、上記シート材がパネル本体を拘束して該パネル本体が飛散するのを良好に防止することが可能となる。
【0016】
なお、上記の補強用シート材として、前述のようにパネル本体と反対側面に多数の凹溝条を有するポリエチレンやEVA樹脂等の合成樹脂シートを用いると、そのシートを熱風溶着機等で溶融してパネル本体の背面に容易に溶着することができる。また上記の凹溝条によって、湧水の排水方向を下方に誘導案内して良好に排水することが可能となる。さらに上記補強用シート材としてガラスクロスを用いた場合には、不燃性で耐火温度も高く、パネル本体の補強効果を更に向上させることができる。
【0017】
また本発明によるトンネル耐火構造は、上記のように耐火性を有するパネル本体の背面に耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材を積層して一体的に固着してなる耐火パネルを、その背面側をトンネル覆工内面に対面させてトンネル軸方向および周方向に並べて配置し、その各耐火パネルを間隔保持部材を介してトンネル覆工内面に所定の間隔をおいて取付け支持させるようにしたので、上記耐火パネルの発明と同様に耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材によってパネル本体内への水の浸入を防止できると共に、覆工内に湧水が浸透してきた場合には、その覆工内面と耐火パネルとの間の隙間を通って下方に円滑に排出することができる。また上記の補強用シート材によって上記耐火パネルの発明と同様に耐衝撃性や耐爆裂性もしくはひび割れ防止効果を向上させることができる。
【0018】
なお、この場合、前述のようにトンネル周方向に隣り合う耐火パネルを互いに突き合わせて配置し、その上側に位置する耐火パネルの補強用シート材の下端部を、下側に位置する耐火パネルの補強用シート材の上端部背面に重ねて配置すると、パネル本体内および耐火パネルの内側のトンネル内への水の浸入を更に良好に防止できる。またトンネル軸方向に隣り合う耐火パネル間の背面とトンネル覆工内面との間にトンネル周方向に延びる継目閉塞材を介在させると、例えばカーブ等のトンネル湾曲部でトンネル軸方向に隣り合うパネル間に隙間が生じた場合にも、その隙間から耐火パネルの背面側に火災発生時の火炎が入り込むのを防止すると共に湧水の浸入を防止することができる。
【0019】
しかも上記継目閉塞材はトンネル軸方向に隣り合う耐火パネル間にトンネル周方向にのみ設けるので、トンネル覆工内面と耐火パネルとの間のトンネル周方向の水の流れを許容して例えば山岳トンネルのように湧水が多いトンネルにあっても良好に排水することができる。さらに上記補強用シート材のパネル本体と反対側の面に、上記のようにトンネル周方向に延びる多数の凹溝条を設けると、上記トンネル周方向の水の流れを更に円滑にして効率よく排水することが可能となるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明によるトンネル用耐火パネルおよびそれを用いたトンネル耐火構造を図に示す実施形態に基づいて具体的に説明する。図1は本発明による耐火パネルの一実施形態を示す斜視図である。
【0021】
本実施形態の耐火パネル1は、図1に示すように耐火性を有するパネル本体10の背面側に、耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材11を積層して溶着等により一体的に固着した構成である。
【0022】
上記パネル本体10としては、例えばけい酸カルシウムやセラミック等その他耐火性を有するものであれば各種材質のものが使用可能であるが、本実施形態においてはけい酸カルシウムよりなるボード状の耐火材が用いられている。また上記補強用シート材11としては、耐衝撃性および止水性を有し、上記パネル本体10の背面に積層固着することによって該パネル本体を補強できるものであれば材質は適宜であるが、本実施形態においては、ポリエチレンまたはEVA樹脂からなる合成樹脂シートが用いられている。
【0023】
上記耐火パネル1は、本実施形態においては全体形状を略方形、特に図の場合は長方形状に形成すると共に、敷設する覆工内面の曲面に沿うように予め湾曲させた状態に形成したものであるが、耐火パネルの材質や覆工内面の曲率等によっては平滑に形成する場合もある。また上記補強用シート材11の背面側、すなわちパネル本体10と反対側の面にはストライプ状の凸リブ11rを所定の間隔をおいて多数形成することによって、その隣り合う凸リブ11r・11r間に凹溝条11gを設けたもので、その凹溝条11gの長手方向一端側のシート材11の辺11bはパネル本体10よりも長く形成されている。
【0024】
図2〜図11は上記の耐火パネル1を用いた本発明によるトンネル耐火構造の一実施形態を示すもので、本実施形態は図2に示すように地山Gを掘削して形成したトンネルTの内面にコンクリート等よりなる覆工Fを形成し、その覆工Fの内面に上記耐火パネル1を、トンネル軸方向および周方向に並べた状態で間隔保持部材2により上記覆工内面との間に所定の間隔をおいて取付け支持させた構成である。
【0025】
上記補強用シート材11の凸リブ11rおよび凹溝条11gは、その長手方向がトンネル周方向に向いた状態で配置され、上記パネル本体10よりも長く形成したシート材11の辺11bは下側になるように配置されている。またトンネル周方向に隣り合う耐火パネル1・1は、トンネル両側下部から順に積み上げるようにして互いに突き合わせた状態で配置され、その上側に位置する耐火パネル1の補強用シート材11のパネル本体10よりも下側に突出する辺(以下、下側突出辺という)11bは、図4に示すように下側に位置する耐火パネル1のシート材11の上端部11aの背面に重なるように配置されている。
【0026】
さらにトンネル軸方向に隣り合う耐火パネル1・1間の背面とトンネル覆工内面との間には、図5に示すようにトンネル周方向に延びる継目閉塞材3が介在されている。その継目閉塞材3の材質としては耐火性もしくは不燃性のものを用い、覆工Fの内面または耐火パネル1の背面もしくは上記両面に接着材等で固定するとよい。本実施形態においては上記継目閉塞材3として耐火パネル1と同材質のものが用いられ、覆工Fの内面に接着材3aで固着した構成である。なお、上記継目閉塞材3と、それに隣接する耐火パネル1・1とはそれぞれの周方向の継ぎ目位置が一致しないように千鳥状に配置されている。
【0027】
上記各耐火パネル1を覆工Fの内面に取付け支持させる間隔保持部材2は、本実施形態においては、図7および図8に示すようにトンネル覆工内面への取付孔20を有する断面コ字形の取付基部2aの上側の端部に、上方に突出する差込片2bを設け、取付基部2aの下側の端部に、下方に突出する一対の差込片2c・2cと、その間に下方に突出する押え片2dを設けた構成である。上記両差込片2c・2cと押え片2dとは、それらの厚さ方向に僅かにずらして設けられ、その両差込片2c・2cと押え片2dとの間に後述する係止金具4を挟んで固定する構成である。
【0028】
上記間隔保持金具2は、上記取付基部2aに設けた取付孔20にボルト21等を挿通してトンネル覆工内面に打設したアンカー5等にねじ込むことによって、覆工Fの内面に取付ける構成であり、上記取付孔20を上下方向の長孔とすることによって、その長さ範囲内で覆工Fに対する間隔保持金具2の取付位置を調整できるようにしている。一方、耐火パネル1の背面側(覆工側)の上下両辺部には、前記の差込片2b・2cを挿入係合させる係止金具4が設けられ、その係止金具4は、本実施形態においては各耐火パネル1の背面側の上下両辺部にそれぞれ3つずつ設けられ、それに対応して前記のアンカー5と間隔保持金具2とが覆工内面に設けられている。
【0029】
上記各係止金具4は、本実施形態においては、図5および図7に示すように長手方向両端部が厚さ方向に段差状に屈曲した全体略帯板状に形成され、その両端部を、耐火パネル1内に予め埋設したインサートナット6等にボルト7等で取付けた構成である。その各係止金具4の長手方向中間部と耐火パネル1の補強用シート材11との間には、図4および図8に示すようにスリット状の隙間が形成され、その隙間内に前記間隔保持金具2の差込片2b・2cを差し込むことによって、上記係止金具4を介して耐火パネル1を間隔保持金具2に係合保持させる構成である。又その際、下側の差込片2c・2cと、その間に設けた押え片2dとで各パネル1の上側の係止金具4を、その厚さ方向両側から挟んで固定するように構成されている。
【0030】
上記のように本発明による耐火パネル1は、耐火性を有するパネル本体10の背面側に耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材11を積層して一体的に固着したことによって、上記パネル本体10内への水の浸入を良好に防止することができると共に、上記補強用シート材11によってパネル本体10が背面側から補強され、耐衝撃性や耐爆裂性もしくはひび割れ防止効果を向上させることができる。その結果、例えば前記従来の繊維強化タイプの耐火パネルよりも耐衝撃性を向上させることが可能となると共に、自動車事故等による衝撃や熱によって万一パネル本体が破損したり爆裂した場合にも、上記シート材11が伸びながらパネル本体10を拘束して該パネル本体10が飛散したり崩落するのを良好に防止することができる。
【0031】
また上記の補強用シート材11として、ポリエチレンやEVA樹脂等の合成樹脂シートを用いると、そのシートを熱風溶着機等で溶融してパネル本体10の背面に容易に溶着することができる。特にEVA樹脂は柔軟性・溶着性に優れ、万一燃えても有毒ガスがでないことが立証されている。また補強用シート材11の背面側に多数の凹溝条11gを設けると、それによって湧水を所定の方向、例えば後述する図11のようにトンネル側壁の下方に配置させた集水用の穴あき管15の方向に誘導案内することが可能となると共に、その凹溝条11gを形成するための凸リブ11rを補強用シート材11の背面側に多数設けると、補強用シート材11および耐火パネル全体の強度が増し、耐火パネル10の耐衝撃性や耐爆裂性等を更に向上させることができる。
【0032】
また本発明によるトンネル耐火構造は、上記のように耐火性を有するパネル本体10の背面に耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材11を積層して一体的に固着してなる耐火パネル1を、トンネル覆工Fの内面のトンネル軸方向および周方向に並べて配置し、その各耐火パネル1を間隔保持部材2を介してトンネル覆工内面に所定の間隔をおいて取付け支持させるようにしたので、上記と同様に耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材11によってパネル本体10内への水の浸入を防止できると共に、上記覆工F内に湧水が浸透してきた場合には、その覆工内面と耐火パネル1との間の隙間を通って下方に円滑に排出することができる。また上記の補強用シート材11によって耐火パネルの耐衝撃性や耐爆裂性もしくはひび割れ防止効果を向上させることができる。
【0033】
この場合、上記実施形態のようにトンネル周方向に隣り合う耐火パネル1・1を互いに突き合わせて配置し、その上側に位置する耐火パネル1の補強用シート材11の下側突出辺11bを、下側に位置する耐火パネル1の補強用シート材11の上端部背面に重ねて配置すると、パネル本体10内および耐火パネル1の内側のトンネル内への水の浸入を更に良好に防止できる。また例えばトンネルが軸線方向に湾曲している場合には、その湾曲部の外側においてトンネル軸方向に隣り合うパネル間に隙間が生じ勝ちであるが、そのような場合にも、上記のようにトンネル軸方向に隣り合う耐火パネル1・1間のパネル背面とトンネル覆工内面との間にトンネル周方向に延びる継目閉塞材3を介在させると、上記の隙間から耐火パネル1内に火災発生時の火炎が進入したり、湧水がトンネル内に浸入するのを良好に防止することができる。
【0034】
しかも、上記の継目閉塞材3はトンネル軸方向に隣り合う耐火パネル1・1間の背面側にトンネル周方向にのみ設けるので、トンネル覆工内面と耐火パネル1との間のトンネル周方向の水の流れを阻害することがなく、例えば山岳トンネルのように湧水が多いトンネルにあっても良好に排水することができる。さらに上記補強用シート材11のパネル本体10と反対側の面に、上記のように多数の凹溝条11gを設けると、上記トンネル周方向の水の流れを更に円滑にして効率よく排水することができるものである。
【0035】
なお、前記のようにしてトンネル両側下部から上方に向かって耐火パネル1を順に積み上げるようにして敷設して行った後の天端部付近の処理は適宜であるが、その一例を図9および図10に示す。図9は左右両側から積み上げていった最上位の耐火パネル1・1間に、それらの耐火パネルとほぼ同様に構成した補助パネル1’を、一対のアンカー50とボルト51・ナット52とで取付け、その補助パネル1’に設けた補強用シート材11のトンネル周方向両側辺11b・11bを補助パネル1’のパネル本体10よりも長く突出させて、その突出辺11b・11bを上記最上位の耐火パネル1・1の各補強用シート材11の端部に重ねて配置した構成である。図中、9は上記補助パネル1’とトンネル覆工Fの内面との間に介在させた間隔保持部材である。
【0036】
図10はトンネルの左右両側から積み上げていった最上位の耐火パネル1・1間に、補助パネル1’を、上記最上位の耐火パネル1・1を係合保持させた間隔保持部材2に、ボルト13とナット14とで取付け、その間隔保持部材2と、それに隣接する上記最上位の耐火パネル1・1の端部とを覆うようにして耐衝撃性および止水性を有するシート材12をトンネル覆工Fの内面にアンカー53とボルト54等で取付けた構成である。そのシート材12は、本例においては上記各耐火パネル1の補強用シート材11と同材質のものが用いられている。上記シート材12のトンネル周方向両端部12a・12aは最上位の耐火パネル1・1の各補強用シート材11上に、単に載置するか、或いは必要に応じて溶着等で固着してもよい。上記補助パネル1’は、本例においては上記耐火パネル1のパネル本体10と同材質の耐火材のみからなるものを用いたが、その上面に上記耐火パネル1と同様の補強用シート材11を有するものを用いることもできる。なお、上記図9および図10における各耐火パネル1の補強用シート材11およびシート材12には前記と同様の凸リブ11rと凹溝条11gとが設けられているが図には省略した。
【0037】
一方、最下位置にある耐火パネル1の補強用シート材11の下端部は、例えば図11のようにパネル本体10の下方に大きく突出させて、周壁面に多数の貫通小穴を有する穴あき管15等に巻き付けると、補強用シート材11の背面側の凹溝条11g等に沿って流下してきた水を、上記穴あき管15内に集めた後、トンネル底部中央部に設けた排水溝(不図示)等を介して若しくは上記穴あき管15から直接トンネル外部に排水することができる。上記最下位置にある耐火パネル1は、図の場合はトンネル底部に打設したインバートコンクリート16上に支持部材17等を介して載置し、下向きの差込片2cと押え片2dとを省略した間隔保持金具2’で支持させた構成であるが、その間隔保持金具2’の代わりに前記と同様の間隔保持金具2を用いることもできる。図中、18は上記補強用シート材11の下部を固定するための押え部材である。
【0038】
上記実施形態は、図5(a)および(b)に示すように継目閉塞材3を介在させる位置のパネル本体10の背面側には補強用シート材11を設けることなく、上記継目閉塞材3がパネル本体10の背面に直接接触するようにしたが、例えば図12(a)のようにパネル本体10の背面全面に補強用シート材11を設けてもよい。その場合、上記補強用シート材11の継目閉塞材3との当接位置には、図の場合は凸リブ11rを設けたが、場合によっては該凸リブ11rを省略することもできる。
【0039】
また図12(b)のようにトンネル軸方向に隣り合う耐火パネル1・1のうちのいずれか一方の耐火パネル1の補強用シート材11の側辺11cをパネル本体10よりも突出させて、他方の耐火パネル1の補強用シート材11の側端部11dの背面に重ねて配置するようにしてもよい。この場合にも継目閉塞材3との当接位置および上記側辺11cと側端部11dとの重なり部の凸リブ11rは図のように省略してもよく、或いは設けてもよい。上記のように一方の側辺11cを突出させて他方の端部11dに重ねると、トンネル軸方向に隣り合う耐火パネル1・1間からの水の浸入を、より確実に防止することができる。さらに上記継目閉塞材3の弾発力等によって一方の端部11cを他方の端部11dに圧接させるようにすると、上記の水の浸入を更に確実に防止することが可能となる。
【0040】
さらに上記実施形態は、補強用シート材11として、その背面側、すなわちパネル本体10と反対側の面に多数の凸リブ11rと凹溝条11gを有するポリエチレンやEVA樹脂等の合成樹脂シートを用いたが、上記凸リブ11rと凹溝条11gは必ずしも設けなくてもよく、また上記の材質以外の合成樹脂シートを用いることもできる。さらに合成樹脂シート以外にも耐衝撃性および止水性を有し、パネル本体10を補強し得るものであれば各種の材質のものを補強用シート材11として使用することができる。
【0041】
図13はその一例を示すもので、補強用シート材11としてメッシュ状にしたガラスクロスをパネル本体10の背面側に積層して一体的に固着したものである。特に、図の場合は補強用シート材11として厚さ0.17mm程度の傾斜格子状に編んだガラスクロス(ガラス繊維製の布)を、パネル本体10の背面側に積層してエポキシ樹脂等の接着材で一体的に固着した構成である。
【0042】
上記のようなガラスクロスを補強用シート材11として用いると、不燃性で耐火温度および補強効果も高く、例えば上記と同等の繊維を耐火パネルの材料に混入した所謂繊維入り耐火パネルに比して、局部的な衝撃がかかったときのひび割れ抑制効果が高いことが種々の試験により確認されている。なお上記のようなガラスクロスを用いた補強用シート材11の背面側にも、必要に応じて前記と同様の凸リブ11rや凹溝条11gを設けるようにしてもよく、そのようにすると、前記と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように本発明によるトンネル用耐火パネルおよびそれを用いたトンネル耐火構造によれば、パネル本体の背面側に積層固着した補強用シート材によってパネル本体内およびトンネル内への水の浸入を良好に防止できると共に、上記補強用シート材によってパネル本体が背面側から補強され、耐衝撃性や耐爆裂性もしくはひび割れ防止効果を向上させることができる。その結果、例えば前記従来の繊維強化タイプの耐火パネルよりも耐衝撃性を向上させることができると共に、自動車事故等による衝撃や熱によって万一パネル本体が破損したり爆裂した場合にも、上記シート材がパネル本体を拘束して飛散するのを防止できるもので、止水性や耐火性能がよく、しかも施工が容易な耐火構造が求められている例えば山岳トンネルや道路トンネル等に特に有効に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による耐火パネルの一実施形態を示す斜視図。
【図2】上記耐火パネルを用いたトンネル耐火構造の一実施形態を示す斜視図。
【図3】(a)はその一部の横断正面図、(b)はその内面図、(c)は(b)におけるc−c断面図。
【図4】(a)は図3(a)におけるA部の拡大図、(b)は更にその一部の拡大図。
【図5】(a)は図3(c)におけるB部の拡大図、(b)は更にその一部の拡大図。
【図6】図5(a)におけるC−Cから見た背面図。
【図7】耐火パネルの内面側から見たパネル取付部の分解斜視図。
【図8】耐火パネルの背面側から見たパネル取付部の分解斜視図。
【図9】(a)はトンネル上部の耐火パネル取付部の横断面図、(b)は(a)におけるb部の拡大図。
【図10】トンネル上部の耐火パネル取付部の変更例を示す横断面図。
【図11】最下位の耐火パネル取付部の横断面図。
【図12】トンネル軸方向に隣り合う耐火パネル当接部の変更例を示す横断平面図。
【図13】本発明による耐火パネルの他の実施形態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0045】
1 耐火パネル
10 パネル本体
11 補強用シート材
11a 上端部
11b 下側突出辺
11c 側辺
11d 側端部
11g 凹溝条
11r 凸リブ
2 間隔保持部材
2a 取付基部
2b、2c 差込片
2d 押え片
3 継目閉塞材
4 係止金具
5 アンカー
6 インサートナット
7 ボルト
20 取付孔
21 ボルト
T トンネル
G 地山
F 覆工
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば山岳トンネルやシールドトンネル、その他各種のトンネルに耐火内装材等として用いられるトンネル用耐火パネルおよびそれを用いたトンネル耐火構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記のようなトンネルを耐火構造にする技術は、種々提案されており、その1つとしてトンネル覆工内面に所定の大きさ形状の耐火パネルをトンネル軸方向および周方向に並べて敷設するようにしたものは知られている(例えば下記特許文献1、2参照)。
【0003】
上記のようなトンネル覆工内面に敷設する耐火パネルは、耐火性能を有することはもちろんであるが、トンネル構造体の一部として使用するものであるから、種々の特性が要求され、その1つとして先ず地山内から浸透してくる湧水に対する止水性や耐久性が要求される。例えば、シールドトンネルは工場等で予め作製された水密性の高いセグメントを防水パッキン等を介して現場で組立てながら覆工を構築するので、覆工内への水の浸透は少ないが、山岳トンネルは覆工用コンクリートを現場で打設して覆工を構築するものであるから、シールドトンネルに比べて透水性が高く、地山内から覆工内に浸透してきた水の処理が重要となる。
【0004】
また例えば道路トンネルに使用する耐火パネルは、自動車事故による衝撃によって破損したり火災による温度上昇によって爆裂したりしないように、耐衝撃性や耐爆裂性等を有することが望ましく、また火災発生時に隣り合う耐火パネル間の隙間から火炎が進入して覆工が変質したり劣化して耐久性が低下しないようにする必要がある。
【0005】
そこで下記特許文献1においては、隣り合う耐火パネル間の背面側(覆工側)にロックウールやセラミックブランケット等の火炎巻込防止材(継目閉塞材)を設置してパネル間の背面側に火炎が進入しないようにしているが、上記のような火炎巻込防止材を耐火パネルと覆工との間に介在させると、覆工内に流入してきた湧水を覆工と耐火パネルとの間から下方に流出させる際の水の流れを妨げるおそれがある。
【0006】
これに対し、下記特許文献2においては、トンネル覆工内面に敷設した耐火パネル(耐火被覆板)の継目の裏面側にバックアップ材を配置し、そのバックアップ材および上記耐火パネルと覆工内面との間に所定の間隔をおいてスペーサを介在させることによって、上記耐火パネル及びバックアップ材と覆工内面との間から湧水を下方に流すようにしているが、上記バックアップ材の固定が不充分となり勝ちで該バックアップ材と耐火被覆板との間に往々にして隙が生じたり剥離する等のおそれがある。
【0007】
また上記のような耐火パネルとしては、例えば珪酸カルシウムやセラミックその他各種材質のものが用いられ、また性状としてはボード状またはマット状のものが多く用いられているが、その材質や性状によっては、耐火パネルの背面側に流れる湧水に長時間浸かった状態にあると、該パネルが膨潤したり変質して外観体裁を損ねたり、耐火性能・常時性能が低下する等の不具合がある。
【0008】
さらに上記のような耐火パネルは、耐火性能を最大限に確保する一方で衝撃に対しては比較的弱いものが多く、例えば自動車事故等で衝撃を受けたときには、破損して飛び散ったり、火災による熱で爆裂する等のおそれがある。そこで、下記特許文献3および特許文献4においては、耐火材中に強化繊維や繊維質材料を混入して補強することが提案されているが、必ずしも充分な耐衝撃性や耐爆裂性等を得ることができない等の問題があった。
【0009】
【特許文献1】特開2005−42456号公報
【特許文献2】特開2005−155083号公報
【特許文献3】特開2001−122670号公報
【特許文献4】特開2003−300769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて提案されたもので、トンネル覆工内面に敷設される耐火パネル内への湧水等の浸入を良好に防止できると共に、耐衝撃性や耐爆裂性等に優れたトンネル用耐火パネルおよびそれを用いたトンネル耐火構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために本発明によるトンネル用耐火パネルおよびそれを用いたトンネル耐火構造は、以下の構成としたものである。すなわち、本発明によるトンネル用耐火パネルは、トンネル覆工内面に敷設されるトンネル用耐火パネルであって、耐火性を有するパネル本体の、トンネル覆工内面に敷設したとき該覆工内面と対面する側である背面側に、耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材を積層して一体的に固着したことを特徴とする。
【0012】
上記パネル本体としては、例えばけい酸カルシウムやセラミック等その他耐火性を有するものであれば各種材質のものが使用可能であり、また上記パネル本体の性状としては、ボード状またはマット状その他適宜である。さらに上記の耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材としては、例えばパネル本体と反対側面に多数の凹溝条を有するポリエチレンやEVA樹脂等の合成樹脂シートや、あるいはガラスクロス等を用いることができる。また、それらのシート材は、パネル本体の背面側に積層して溶着もしくは接着材等で一体的に固着すればよい。
【0013】
また本発明によるトンネル耐火構造は、耐火性を有するパネル本体の背面側に、耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材を積層して一体的に固着してなる耐火パネルを、その背面側をトンネル覆工内面に対面させてトンネル軸方向および周方向に並べて配置し、その各耐火パネルを間隔保持部材を介してトンネル覆工内面に所定の間隔をおいて取付け支持させたことを特徴とする。
【0014】
この場合、トンネル周方向に隣り合う耐火パネルを互いに突き合わせて配置し、その上側に位置する耐火パネルの補強用シート材の下端部を、下側に位置する耐火パネルの補強用シート材の上端部背面に重ねて配置すると共に、トンネル軸方向に隣り合う耐火パネル間の背面とトンネル覆工内面との間にトンネル周方向に延びる継目閉塞材を介在させるとよい。また上記補強用シート材のパネル本体と固着する面とは反対側の面には、必要に応じてトンネル周方向に延びる凹溝条をトンネル軸方向に所定の間隔をおいて多数設けるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるトンネル用耐火パネルは、上記のように耐火性を有するパネル本体の背面側に耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材を積層して一体的に固着したことによって、上記パネル本体内への水の浸入を良好に防止することができ、ひいてはトンネル内への漏水を防止することができると共に、上記補強用シート材によってパネル本体が背面側から補強され、耐衝撃性や耐爆裂性もしくはひび割れ防止効果を向上させることができる。その結果、例えば前記従来の繊維強化タイプの耐火パネルよりも耐衝撃性を向上させることが可能となると共に、自動車事故等による衝撃や熱によって万一パネル本体が破損したり爆裂した場合にも、上記シート材がパネル本体を拘束して該パネル本体が飛散するのを良好に防止することが可能となる。
【0016】
なお、上記の補強用シート材として、前述のようにパネル本体と反対側面に多数の凹溝条を有するポリエチレンやEVA樹脂等の合成樹脂シートを用いると、そのシートを熱風溶着機等で溶融してパネル本体の背面に容易に溶着することができる。また上記の凹溝条によって、湧水の排水方向を下方に誘導案内して良好に排水することが可能となる。さらに上記補強用シート材としてガラスクロスを用いた場合には、不燃性で耐火温度も高く、パネル本体の補強効果を更に向上させることができる。
【0017】
また本発明によるトンネル耐火構造は、上記のように耐火性を有するパネル本体の背面に耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材を積層して一体的に固着してなる耐火パネルを、その背面側をトンネル覆工内面に対面させてトンネル軸方向および周方向に並べて配置し、その各耐火パネルを間隔保持部材を介してトンネル覆工内面に所定の間隔をおいて取付け支持させるようにしたので、上記耐火パネルの発明と同様に耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材によってパネル本体内への水の浸入を防止できると共に、覆工内に湧水が浸透してきた場合には、その覆工内面と耐火パネルとの間の隙間を通って下方に円滑に排出することができる。また上記の補強用シート材によって上記耐火パネルの発明と同様に耐衝撃性や耐爆裂性もしくはひび割れ防止効果を向上させることができる。
【0018】
なお、この場合、前述のようにトンネル周方向に隣り合う耐火パネルを互いに突き合わせて配置し、その上側に位置する耐火パネルの補強用シート材の下端部を、下側に位置する耐火パネルの補強用シート材の上端部背面に重ねて配置すると、パネル本体内および耐火パネルの内側のトンネル内への水の浸入を更に良好に防止できる。またトンネル軸方向に隣り合う耐火パネル間の背面とトンネル覆工内面との間にトンネル周方向に延びる継目閉塞材を介在させると、例えばカーブ等のトンネル湾曲部でトンネル軸方向に隣り合うパネル間に隙間が生じた場合にも、その隙間から耐火パネルの背面側に火災発生時の火炎が入り込むのを防止すると共に湧水の浸入を防止することができる。
【0019】
しかも上記継目閉塞材はトンネル軸方向に隣り合う耐火パネル間にトンネル周方向にのみ設けるので、トンネル覆工内面と耐火パネルとの間のトンネル周方向の水の流れを許容して例えば山岳トンネルのように湧水が多いトンネルにあっても良好に排水することができる。さらに上記補強用シート材のパネル本体と反対側の面に、上記のようにトンネル周方向に延びる多数の凹溝条を設けると、上記トンネル周方向の水の流れを更に円滑にして効率よく排水することが可能となるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明によるトンネル用耐火パネルおよびそれを用いたトンネル耐火構造を図に示す実施形態に基づいて具体的に説明する。図1は本発明による耐火パネルの一実施形態を示す斜視図である。
【0021】
本実施形態の耐火パネル1は、図1に示すように耐火性を有するパネル本体10の背面側に、耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材11を積層して溶着等により一体的に固着した構成である。
【0022】
上記パネル本体10としては、例えばけい酸カルシウムやセラミック等その他耐火性を有するものであれば各種材質のものが使用可能であるが、本実施形態においてはけい酸カルシウムよりなるボード状の耐火材が用いられている。また上記補強用シート材11としては、耐衝撃性および止水性を有し、上記パネル本体10の背面に積層固着することによって該パネル本体を補強できるものであれば材質は適宜であるが、本実施形態においては、ポリエチレンまたはEVA樹脂からなる合成樹脂シートが用いられている。
【0023】
上記耐火パネル1は、本実施形態においては全体形状を略方形、特に図の場合は長方形状に形成すると共に、敷設する覆工内面の曲面に沿うように予め湾曲させた状態に形成したものであるが、耐火パネルの材質や覆工内面の曲率等によっては平滑に形成する場合もある。また上記補強用シート材11の背面側、すなわちパネル本体10と反対側の面にはストライプ状の凸リブ11rを所定の間隔をおいて多数形成することによって、その隣り合う凸リブ11r・11r間に凹溝条11gを設けたもので、その凹溝条11gの長手方向一端側のシート材11の辺11bはパネル本体10よりも長く形成されている。
【0024】
図2〜図11は上記の耐火パネル1を用いた本発明によるトンネル耐火構造の一実施形態を示すもので、本実施形態は図2に示すように地山Gを掘削して形成したトンネルTの内面にコンクリート等よりなる覆工Fを形成し、その覆工Fの内面に上記耐火パネル1を、トンネル軸方向および周方向に並べた状態で間隔保持部材2により上記覆工内面との間に所定の間隔をおいて取付け支持させた構成である。
【0025】
上記補強用シート材11の凸リブ11rおよび凹溝条11gは、その長手方向がトンネル周方向に向いた状態で配置され、上記パネル本体10よりも長く形成したシート材11の辺11bは下側になるように配置されている。またトンネル周方向に隣り合う耐火パネル1・1は、トンネル両側下部から順に積み上げるようにして互いに突き合わせた状態で配置され、その上側に位置する耐火パネル1の補強用シート材11のパネル本体10よりも下側に突出する辺(以下、下側突出辺という)11bは、図4に示すように下側に位置する耐火パネル1のシート材11の上端部11aの背面に重なるように配置されている。
【0026】
さらにトンネル軸方向に隣り合う耐火パネル1・1間の背面とトンネル覆工内面との間には、図5に示すようにトンネル周方向に延びる継目閉塞材3が介在されている。その継目閉塞材3の材質としては耐火性もしくは不燃性のものを用い、覆工Fの内面または耐火パネル1の背面もしくは上記両面に接着材等で固定するとよい。本実施形態においては上記継目閉塞材3として耐火パネル1と同材質のものが用いられ、覆工Fの内面に接着材3aで固着した構成である。なお、上記継目閉塞材3と、それに隣接する耐火パネル1・1とはそれぞれの周方向の継ぎ目位置が一致しないように千鳥状に配置されている。
【0027】
上記各耐火パネル1を覆工Fの内面に取付け支持させる間隔保持部材2は、本実施形態においては、図7および図8に示すようにトンネル覆工内面への取付孔20を有する断面コ字形の取付基部2aの上側の端部に、上方に突出する差込片2bを設け、取付基部2aの下側の端部に、下方に突出する一対の差込片2c・2cと、その間に下方に突出する押え片2dを設けた構成である。上記両差込片2c・2cと押え片2dとは、それらの厚さ方向に僅かにずらして設けられ、その両差込片2c・2cと押え片2dとの間に後述する係止金具4を挟んで固定する構成である。
【0028】
上記間隔保持金具2は、上記取付基部2aに設けた取付孔20にボルト21等を挿通してトンネル覆工内面に打設したアンカー5等にねじ込むことによって、覆工Fの内面に取付ける構成であり、上記取付孔20を上下方向の長孔とすることによって、その長さ範囲内で覆工Fに対する間隔保持金具2の取付位置を調整できるようにしている。一方、耐火パネル1の背面側(覆工側)の上下両辺部には、前記の差込片2b・2cを挿入係合させる係止金具4が設けられ、その係止金具4は、本実施形態においては各耐火パネル1の背面側の上下両辺部にそれぞれ3つずつ設けられ、それに対応して前記のアンカー5と間隔保持金具2とが覆工内面に設けられている。
【0029】
上記各係止金具4は、本実施形態においては、図5および図7に示すように長手方向両端部が厚さ方向に段差状に屈曲した全体略帯板状に形成され、その両端部を、耐火パネル1内に予め埋設したインサートナット6等にボルト7等で取付けた構成である。その各係止金具4の長手方向中間部と耐火パネル1の補強用シート材11との間には、図4および図8に示すようにスリット状の隙間が形成され、その隙間内に前記間隔保持金具2の差込片2b・2cを差し込むことによって、上記係止金具4を介して耐火パネル1を間隔保持金具2に係合保持させる構成である。又その際、下側の差込片2c・2cと、その間に設けた押え片2dとで各パネル1の上側の係止金具4を、その厚さ方向両側から挟んで固定するように構成されている。
【0030】
上記のように本発明による耐火パネル1は、耐火性を有するパネル本体10の背面側に耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材11を積層して一体的に固着したことによって、上記パネル本体10内への水の浸入を良好に防止することができると共に、上記補強用シート材11によってパネル本体10が背面側から補強され、耐衝撃性や耐爆裂性もしくはひび割れ防止効果を向上させることができる。その結果、例えば前記従来の繊維強化タイプの耐火パネルよりも耐衝撃性を向上させることが可能となると共に、自動車事故等による衝撃や熱によって万一パネル本体が破損したり爆裂した場合にも、上記シート材11が伸びながらパネル本体10を拘束して該パネル本体10が飛散したり崩落するのを良好に防止することができる。
【0031】
また上記の補強用シート材11として、ポリエチレンやEVA樹脂等の合成樹脂シートを用いると、そのシートを熱風溶着機等で溶融してパネル本体10の背面に容易に溶着することができる。特にEVA樹脂は柔軟性・溶着性に優れ、万一燃えても有毒ガスがでないことが立証されている。また補強用シート材11の背面側に多数の凹溝条11gを設けると、それによって湧水を所定の方向、例えば後述する図11のようにトンネル側壁の下方に配置させた集水用の穴あき管15の方向に誘導案内することが可能となると共に、その凹溝条11gを形成するための凸リブ11rを補強用シート材11の背面側に多数設けると、補強用シート材11および耐火パネル全体の強度が増し、耐火パネル10の耐衝撃性や耐爆裂性等を更に向上させることができる。
【0032】
また本発明によるトンネル耐火構造は、上記のように耐火性を有するパネル本体10の背面に耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材11を積層して一体的に固着してなる耐火パネル1を、トンネル覆工Fの内面のトンネル軸方向および周方向に並べて配置し、その各耐火パネル1を間隔保持部材2を介してトンネル覆工内面に所定の間隔をおいて取付け支持させるようにしたので、上記と同様に耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材11によってパネル本体10内への水の浸入を防止できると共に、上記覆工F内に湧水が浸透してきた場合には、その覆工内面と耐火パネル1との間の隙間を通って下方に円滑に排出することができる。また上記の補強用シート材11によって耐火パネルの耐衝撃性や耐爆裂性もしくはひび割れ防止効果を向上させることができる。
【0033】
この場合、上記実施形態のようにトンネル周方向に隣り合う耐火パネル1・1を互いに突き合わせて配置し、その上側に位置する耐火パネル1の補強用シート材11の下側突出辺11bを、下側に位置する耐火パネル1の補強用シート材11の上端部背面に重ねて配置すると、パネル本体10内および耐火パネル1の内側のトンネル内への水の浸入を更に良好に防止できる。また例えばトンネルが軸線方向に湾曲している場合には、その湾曲部の外側においてトンネル軸方向に隣り合うパネル間に隙間が生じ勝ちであるが、そのような場合にも、上記のようにトンネル軸方向に隣り合う耐火パネル1・1間のパネル背面とトンネル覆工内面との間にトンネル周方向に延びる継目閉塞材3を介在させると、上記の隙間から耐火パネル1内に火災発生時の火炎が進入したり、湧水がトンネル内に浸入するのを良好に防止することができる。
【0034】
しかも、上記の継目閉塞材3はトンネル軸方向に隣り合う耐火パネル1・1間の背面側にトンネル周方向にのみ設けるので、トンネル覆工内面と耐火パネル1との間のトンネル周方向の水の流れを阻害することがなく、例えば山岳トンネルのように湧水が多いトンネルにあっても良好に排水することができる。さらに上記補強用シート材11のパネル本体10と反対側の面に、上記のように多数の凹溝条11gを設けると、上記トンネル周方向の水の流れを更に円滑にして効率よく排水することができるものである。
【0035】
なお、前記のようにしてトンネル両側下部から上方に向かって耐火パネル1を順に積み上げるようにして敷設して行った後の天端部付近の処理は適宜であるが、その一例を図9および図10に示す。図9は左右両側から積み上げていった最上位の耐火パネル1・1間に、それらの耐火パネルとほぼ同様に構成した補助パネル1’を、一対のアンカー50とボルト51・ナット52とで取付け、その補助パネル1’に設けた補強用シート材11のトンネル周方向両側辺11b・11bを補助パネル1’のパネル本体10よりも長く突出させて、その突出辺11b・11bを上記最上位の耐火パネル1・1の各補強用シート材11の端部に重ねて配置した構成である。図中、9は上記補助パネル1’とトンネル覆工Fの内面との間に介在させた間隔保持部材である。
【0036】
図10はトンネルの左右両側から積み上げていった最上位の耐火パネル1・1間に、補助パネル1’を、上記最上位の耐火パネル1・1を係合保持させた間隔保持部材2に、ボルト13とナット14とで取付け、その間隔保持部材2と、それに隣接する上記最上位の耐火パネル1・1の端部とを覆うようにして耐衝撃性および止水性を有するシート材12をトンネル覆工Fの内面にアンカー53とボルト54等で取付けた構成である。そのシート材12は、本例においては上記各耐火パネル1の補強用シート材11と同材質のものが用いられている。上記シート材12のトンネル周方向両端部12a・12aは最上位の耐火パネル1・1の各補強用シート材11上に、単に載置するか、或いは必要に応じて溶着等で固着してもよい。上記補助パネル1’は、本例においては上記耐火パネル1のパネル本体10と同材質の耐火材のみからなるものを用いたが、その上面に上記耐火パネル1と同様の補強用シート材11を有するものを用いることもできる。なお、上記図9および図10における各耐火パネル1の補強用シート材11およびシート材12には前記と同様の凸リブ11rと凹溝条11gとが設けられているが図には省略した。
【0037】
一方、最下位置にある耐火パネル1の補強用シート材11の下端部は、例えば図11のようにパネル本体10の下方に大きく突出させて、周壁面に多数の貫通小穴を有する穴あき管15等に巻き付けると、補強用シート材11の背面側の凹溝条11g等に沿って流下してきた水を、上記穴あき管15内に集めた後、トンネル底部中央部に設けた排水溝(不図示)等を介して若しくは上記穴あき管15から直接トンネル外部に排水することができる。上記最下位置にある耐火パネル1は、図の場合はトンネル底部に打設したインバートコンクリート16上に支持部材17等を介して載置し、下向きの差込片2cと押え片2dとを省略した間隔保持金具2’で支持させた構成であるが、その間隔保持金具2’の代わりに前記と同様の間隔保持金具2を用いることもできる。図中、18は上記補強用シート材11の下部を固定するための押え部材である。
【0038】
上記実施形態は、図5(a)および(b)に示すように継目閉塞材3を介在させる位置のパネル本体10の背面側には補強用シート材11を設けることなく、上記継目閉塞材3がパネル本体10の背面に直接接触するようにしたが、例えば図12(a)のようにパネル本体10の背面全面に補強用シート材11を設けてもよい。その場合、上記補強用シート材11の継目閉塞材3との当接位置には、図の場合は凸リブ11rを設けたが、場合によっては該凸リブ11rを省略することもできる。
【0039】
また図12(b)のようにトンネル軸方向に隣り合う耐火パネル1・1のうちのいずれか一方の耐火パネル1の補強用シート材11の側辺11cをパネル本体10よりも突出させて、他方の耐火パネル1の補強用シート材11の側端部11dの背面に重ねて配置するようにしてもよい。この場合にも継目閉塞材3との当接位置および上記側辺11cと側端部11dとの重なり部の凸リブ11rは図のように省略してもよく、或いは設けてもよい。上記のように一方の側辺11cを突出させて他方の端部11dに重ねると、トンネル軸方向に隣り合う耐火パネル1・1間からの水の浸入を、より確実に防止することができる。さらに上記継目閉塞材3の弾発力等によって一方の端部11cを他方の端部11dに圧接させるようにすると、上記の水の浸入を更に確実に防止することが可能となる。
【0040】
さらに上記実施形態は、補強用シート材11として、その背面側、すなわちパネル本体10と反対側の面に多数の凸リブ11rと凹溝条11gを有するポリエチレンやEVA樹脂等の合成樹脂シートを用いたが、上記凸リブ11rと凹溝条11gは必ずしも設けなくてもよく、また上記の材質以外の合成樹脂シートを用いることもできる。さらに合成樹脂シート以外にも耐衝撃性および止水性を有し、パネル本体10を補強し得るものであれば各種の材質のものを補強用シート材11として使用することができる。
【0041】
図13はその一例を示すもので、補強用シート材11としてメッシュ状にしたガラスクロスをパネル本体10の背面側に積層して一体的に固着したものである。特に、図の場合は補強用シート材11として厚さ0.17mm程度の傾斜格子状に編んだガラスクロス(ガラス繊維製の布)を、パネル本体10の背面側に積層してエポキシ樹脂等の接着材で一体的に固着した構成である。
【0042】
上記のようなガラスクロスを補強用シート材11として用いると、不燃性で耐火温度および補強効果も高く、例えば上記と同等の繊維を耐火パネルの材料に混入した所謂繊維入り耐火パネルに比して、局部的な衝撃がかかったときのひび割れ抑制効果が高いことが種々の試験により確認されている。なお上記のようなガラスクロスを用いた補強用シート材11の背面側にも、必要に応じて前記と同様の凸リブ11rや凹溝条11gを設けるようにしてもよく、そのようにすると、前記と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように本発明によるトンネル用耐火パネルおよびそれを用いたトンネル耐火構造によれば、パネル本体の背面側に積層固着した補強用シート材によってパネル本体内およびトンネル内への水の浸入を良好に防止できると共に、上記補強用シート材によってパネル本体が背面側から補強され、耐衝撃性や耐爆裂性もしくはひび割れ防止効果を向上させることができる。その結果、例えば前記従来の繊維強化タイプの耐火パネルよりも耐衝撃性を向上させることができると共に、自動車事故等による衝撃や熱によって万一パネル本体が破損したり爆裂した場合にも、上記シート材がパネル本体を拘束して飛散するのを防止できるもので、止水性や耐火性能がよく、しかも施工が容易な耐火構造が求められている例えば山岳トンネルや道路トンネル等に特に有効に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による耐火パネルの一実施形態を示す斜視図。
【図2】上記耐火パネルを用いたトンネル耐火構造の一実施形態を示す斜視図。
【図3】(a)はその一部の横断正面図、(b)はその内面図、(c)は(b)におけるc−c断面図。
【図4】(a)は図3(a)におけるA部の拡大図、(b)は更にその一部の拡大図。
【図5】(a)は図3(c)におけるB部の拡大図、(b)は更にその一部の拡大図。
【図6】図5(a)におけるC−Cから見た背面図。
【図7】耐火パネルの内面側から見たパネル取付部の分解斜視図。
【図8】耐火パネルの背面側から見たパネル取付部の分解斜視図。
【図9】(a)はトンネル上部の耐火パネル取付部の横断面図、(b)は(a)におけるb部の拡大図。
【図10】トンネル上部の耐火パネル取付部の変更例を示す横断面図。
【図11】最下位の耐火パネル取付部の横断面図。
【図12】トンネル軸方向に隣り合う耐火パネル当接部の変更例を示す横断平面図。
【図13】本発明による耐火パネルの他の実施形態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0045】
1 耐火パネル
10 パネル本体
11 補強用シート材
11a 上端部
11b 下側突出辺
11c 側辺
11d 側端部
11g 凹溝条
11r 凸リブ
2 間隔保持部材
2a 取付基部
2b、2c 差込片
2d 押え片
3 継目閉塞材
4 係止金具
5 アンカー
6 インサートナット
7 ボルト
20 取付孔
21 ボルト
T トンネル
G 地山
F 覆工
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル覆工内面に敷設されるトンネル用耐火パネルであって、耐火性を有するパネル本体の、トンネル覆工内面に敷設したとき該覆工内面と対面する側である背面側に、耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材を積層して一体的に固着したことを特徴とするトンネル用耐火パネル。
【請求項2】
上記補強用シート材として、上記パネル本体と固着する面とは反対側の面に多数の凹溝条を有する合成樹脂シートを、上記パネル本体の背面に溶着もしくは接着材等で一体的に固着してなる請求項1に記載のトンネル用耐火パネル。
【請求項3】
上記補強用シート材として、ガラスクロスを、上記パネル本体の背面に溶着もしくは接着材等で一体的に固着してなる請求項1に記載のトンネル用耐火パネル。
【請求項4】
耐火性を有するパネル本体の背面側に、耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材を積層して一体的に固着してなる耐火パネルを、その背面側をトンネル覆工内面に対面させてトンネル軸方向および周方向に並べて配置し、その各耐火パネルを間隔保持部材を介してトンネル覆工内面に所定の間隔をおいて取付け支持させたことを特徴とするトンネル耐火構造。
【請求項5】
トンネル周方向に隣り合う耐火パネルを互いに突き合わせて配置し、その上側に位置する耐火パネルの補強用シート材の下端部を、下側に位置する耐火パネルの補強用シート材の上端部背面に重ねて配置すると共に、トンネル軸方向に隣り合う耐火パネル間の背面とトンネル覆工内面との間にトンネル周方向に延びる継目閉塞材を介在させてなる請求項4に記載のトンネル耐火構造。
【請求項6】
上記補強用シート材のパネル本体と固着する面とは反対側の面に、トンネル周方向に延びる凹溝条をトンネル軸方向に所定の間隔をおいて多数設けてなる請求項4または5に記載のトンネル耐火構造。
【請求項1】
トンネル覆工内面に敷設されるトンネル用耐火パネルであって、耐火性を有するパネル本体の、トンネル覆工内面に敷設したとき該覆工内面と対面する側である背面側に、耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材を積層して一体的に固着したことを特徴とするトンネル用耐火パネル。
【請求項2】
上記補強用シート材として、上記パネル本体と固着する面とは反対側の面に多数の凹溝条を有する合成樹脂シートを、上記パネル本体の背面に溶着もしくは接着材等で一体的に固着してなる請求項1に記載のトンネル用耐火パネル。
【請求項3】
上記補強用シート材として、ガラスクロスを、上記パネル本体の背面に溶着もしくは接着材等で一体的に固着してなる請求項1に記載のトンネル用耐火パネル。
【請求項4】
耐火性を有するパネル本体の背面側に、耐衝撃性および止水性を有する補強用シート材を積層して一体的に固着してなる耐火パネルを、その背面側をトンネル覆工内面に対面させてトンネル軸方向および周方向に並べて配置し、その各耐火パネルを間隔保持部材を介してトンネル覆工内面に所定の間隔をおいて取付け支持させたことを特徴とするトンネル耐火構造。
【請求項5】
トンネル周方向に隣り合う耐火パネルを互いに突き合わせて配置し、その上側に位置する耐火パネルの補強用シート材の下端部を、下側に位置する耐火パネルの補強用シート材の上端部背面に重ねて配置すると共に、トンネル軸方向に隣り合う耐火パネル間の背面とトンネル覆工内面との間にトンネル周方向に延びる継目閉塞材を介在させてなる請求項4に記載のトンネル耐火構造。
【請求項6】
上記補強用シート材のパネル本体と固着する面とは反対側の面に、トンネル周方向に延びる凹溝条をトンネル軸方向に所定の間隔をおいて多数設けてなる請求項4または5に記載のトンネル耐火構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−14062(P2008−14062A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−187624(P2006−187624)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000126609)株式会社エーアンドエーマテリアル (99)
【出願人】(000129758)株式会社ケー・エフ・シー (120)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000126609)株式会社エーアンドエーマテリアル (99)
【出願人】(000129758)株式会社ケー・エフ・シー (120)
【Fターム(参考)】
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