トンネル補強構造、トンネル補強構造の構築方法およびトンネル補強構造の補修方法
【課題】簡易迅速に組み立てることが可能なトンネル補強構造を提供することを課題とする。
【解決手段】既設トンネルTの覆工T1内面に沿って配置される複数の補強パネル10,10,…と、少なくともトンネル周方向に隣り合う補強パネル10同士を連結する複数の連結手段20,20,…と、を具備するトンネル補強構造1であって、各連結手段20は、補強パネル10の表面側に配置される表側接続プレート21と、補強パネル10の裏面側に配置される裏側接続プレート22とを有し、表側接続プレート21および裏側接続プレート22は、トンネル周方向に隣り合う補強パネル10同士の突合部に対応する位置で折れ曲がっている。
【解決手段】既設トンネルTの覆工T1内面に沿って配置される複数の補強パネル10,10,…と、少なくともトンネル周方向に隣り合う補強パネル10同士を連結する複数の連結手段20,20,…と、を具備するトンネル補強構造1であって、各連結手段20は、補強パネル10の表面側に配置される表側接続プレート21と、補強パネル10の裏面側に配置される裏側接続プレート22とを有し、表側接続プレート21および裏側接続プレート22は、トンネル周方向に隣り合う補強パネル10同士の突合部に対応する位置で折れ曲がっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル補強構造、トンネル補強構造の構築方法およびトンネル補強構造の補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既設トンネルの補強構造として、既設トンネルの覆工内面に沿って複数の補強パネルを配置したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のトンネル補強構造においては、トンネル周方向に隣り合う補強パネル同士を、円弧状の凹部および凸部を介して連結している。すなわち、特許文献1のトンネル補強構造は、トンネル周方向に隣り合う補強パネル同士をピン接合したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−231522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
補強パネル同士をピン接合する構成では、接合時の角度調節(位置決め)が困難になるとともに、角度調節後においては、両者の取付角度を保持するための治具を利用する必要があるので、簡易迅速な作業を阻害する要因となる。
【0005】
このような観点から、本発明は、簡易迅速に組み立てることが可能なトンネル補強構造およびその構築方法を提供すること、並びに、前記トンネル補強構造の補修を簡易かつ迅速に行うことが可能なトンネル補強構造の補修方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決する本発明の第一のトンネル補強構造は、既設トンネルの覆工内面に沿って配置される複数の補強パネルと、少なくともトンネル周方向に隣り合う前記補強パネル同士を連結する複数の連結手段と、を具備するものであって、前記各連結手段は、前記補強パネルの表面側に配置される表側接続プレートと、前記補強パネルの裏面側に配置される裏側接続プレートとを有し、前記表側接続プレートおよび前記裏側接続プレートが、トンネル周方向に隣り合う前記補強パネル同士の突合部に対応する位置で折れ曲がっていることを特徴としている。
【0007】
かかるトンネル補強構造によれば、簡易かつ迅速に組み立てることが可能である。そのため、工期短縮による工事費の削減が可能となる。また、限られた時間しか確保することができない供用中のトンネルの補強に対しても好適に採用することができる。
なお、補強パネル同士は、トンネル周方向に隣り合う補強パネルをトンネル軸方向にずらすいわゆる「千鳥組み」にて組み立ててもよいし、トンネル軸方向にずらさないいわゆる「イモ継ぎ」にて組み立ててもよい。
【0008】
また、前記トンネル補強構造は、前記各補強パネルが、平板状を呈しており、前記トンネル周方向に連設された複数の前記補強パネルにより、折れ線状の断面形状を呈する新設覆工が形成されていてもよい。
かかるトンネル補強構造によれば、補強パネルの製作が容易なため、トンネル補強構造の材料費の低減化が可能となる。
【0009】
また、前記表側接続プレートおよび前記裏側接続プレートが、前記補強パネルを挟んで対向していれば、補強パネルを組み立てる際に連結手段をガイドとして使用することが可能となる。これにより、より組立作業が容易になる。
【0010】
また、前記トンネル補強構造において、前記各連結手段は、前記補強パネルに設けた貫通孔に挿通されるボルトを有し、前記表側接続プレートには、前記ボルトの軸部を挿通可能な挿通孔が形成されており、前記裏側接続プレートには、前記ボルトの軸部を螺合可能な雌ネジが形成されており、前記表側接続プレート側から前記挿通孔および前記貫通孔に挿通した前記ボルトの軸部を前記雌ネジに螺合させることで、前記表側接続プレートおよび前記裏側接続プレートを前記補強パネルに固定してもよい。
これにより、トンネル補強構造の組み立てをさらに簡易かつ迅速に行うことが可能となる。
【0011】
また、前記トンネル補強構造において、前記複数の連結手段のうちの少なくとも一部の表側接続プレートが、トンネル軸方向に並設された2枚のプレート部材で形成されていてもよい。
これにより、トンネル補強構造の閉合部(例えば頂部等)の補強パネルの設置をより簡易かつ迅速に行うことが可能となる。
【0012】
また、前記補強パネルは、前記連結手段が配置される継手部と、当該継手部に隣接する一般部とを有し、前記継手部の肉厚が前記一般部の肉厚よりも大きく形成されていてもよい。
これにより、補強パネルの軽量化が可能となり、取り扱いが容易となることで、施工性の向上を図ることができる。
【0013】
また、前記補強パネルのトンネル軸方向の端部の肉厚が、トンネル軸方向の端縁に向うに従って漸減していれば、組み立て時の作業性がより向上する。
【0014】
また、前記補強パネルの平面形状が、六角形を呈していれば、組み立て時の補強パネルの挿入をより容易に行うことが可能となり、施工性の向上を図ることができる。
【0015】
また、複数の前記連結手段のうちの少なくとも一部により、トンネル軸方向に隣り合う補強パネル同士が連結されていてもよいし、複数の前記補強パネルが千鳥組みされており、複数の前記連結手段の少なくとも一部が、三つの前記補強パネルに跨って配置されていてもよい。
これにより、簡易にトンネル周方向およびトンネル軸方向で一体化されたトンネル補強構造を構築することができる。
【0016】
また、本発明の第二のトンネル補強構造は、既設トンネルの覆工内面に沿って配置される複数の補強パネルと、少なくともトンネル周方向に隣り合う前記補強パネル同士を連結する複数の連結手段と、を具備するものであって、前記各連結手段は、前記補強パネルの表面側または前記補強パネルの裏面側に配置される接続プレートを有し、前記接続プレートが、トンネル周方向に隣り合う前記補強パネル同士の突合部に対応する位置で折れ曲がっていることを特徴としている。
かかるトンネルの補強構造によれば、第一のトンネル補強構造と同様の作用効果を得ることができる。
【0017】
また、本発明のトンネル補強構造の構築方法は、既設トンネルの覆工内面に沿って複数の補強パネルを配置し、トンネル周方向に隣り合う補強パネル同士を、屈折した形状の表側接続プレートおよび裏側接続プレートを介して連結するものであって、前記表側接続プレートのうち、その折り目よりも下側に位置する下取付部を、先行して設置する第一の補強パネルの上縁部の表面に取り付けるとともに、前記裏側接続プレートのうち、その折り目よりも下側に位置する下取付部を、前記第一の補強パネルの上縁部の裏面に取り付けることで、前記表側接続プレートの折り目よりも上側に位置する上取付部と前記裏側接続プレートの折り目よりも上側に位置する上取付部とを対向させておき、前記表側接続プレートの上取付部および前記裏側接続プレートの上取付部をガイドにして、前記第一の補強パネルの上側に配置する第二の補強パネルをトンネル軸方向にスライドさせることで、前記第一の補強パネルに対する前記第二の補強パネルの位置決めを行うことを特徴としている。
【0018】
かかるトンネル補強構造の構築方法によれば、簡易かつ迅速にトンネル補強構造を構築することが可能となるため、施工に要する費用の削減や、供用中のトンネルの使用停止時間を短くすることができる。
【0019】
また、本発明のトンネル補強構造の補修方法は、補強パネルを交換する方法であって、補修対象の前記補強パネルを固定する前記表側接続プレートまたは前記プレート部材を、補修対象外の前記補強パネルを貫通する1本のボルトを支点として回転させることで、当該表側接続プレートまたは前記プレート部材を補修対象の前記補強パネルと当接しない位置にずらす工程と、補修対象の前記補強パネルを新たな補強パネルと交換する工程と、前記表側接続プレートまたは前記プレート部材を回転させてもとの位置に戻し、当該表側接続プレートまたはプレート部材を介して前記新たな補強パネルを固定する工程と、を備えることを特徴としている。
【0020】
かかるトンネル補強構造の補修方法によれば、簡易かつ迅速に、トンネル補強構造を部分的に補修することが可能となるため、補修に要する費用の削減や、供用中のトンネルの使用停止時間を短くすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、トンネル補強構造を簡易迅速に組み立てることが可能になる。また、本発明によれば、当該トンネル補強構造の補修を簡易かつ迅速に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の好適な実施の形態にかかるトンネル補強構造を示す断面図である。
【図2】図1に示すトンネル補強構造の補強パネルを示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図3】同補強パネルの連結状況を示す断面図である。
【図4】図1に示すトンネル補強構造の表側接続プレートを示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図5】図1に示すトンネル補強構造の裏側接続プレートを示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C断面図である。
【図6】(a)は裏側接続プレートの雌ネジを示す断面図であって、(b)(a)の雌ネジの変形例を示す断面図である。
【図7】(a)〜(c)は図1に示すトンネル補強構造の施工手順を示す断面図である。
【図8】補強パネルの組み立て状況を示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図9】(a)〜(d)はトンネル補強構造の閉合方法を示す平面図である。
【図10】プレート部材を示す平面図である。
【図11】(a)〜(c)はトンネル補強構造の補修方法を示す平面図である。
【図12】補強パネルの変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の一例を詳細に説明する。
本実施形態に係るトンネル補強構造1は、図1に示すように、既設トンネルTの覆工T1内面に沿って配置される複数の補強パネル10と、少なくともトンネル周方向に隣り合う補強パネル10同士を連結する複数の連結手段20と、を具備している。
【0024】
トンネル補強構造1は、補強パネル10,10,…を、連結手段20,20,…を介してトンネルTの周方向に連設することで、折れ線状の断面形状を呈する新設覆工(トンネル補強構造1)を形成している。
【0025】
補強パネル10は、図2(a)および(b)に示すように、平板状を呈している。
本実施形態では、補強パネル10として、繊維補強コンクリートにより形成されたプレキャスト部材を使用するものとする。
【0026】
補強パネル10は、連結手段20が配置される継手部11,11,11と、継手部11,11,11に隣接する一般部12,12とを有している。
継手部11,11,11は、トンネル軸方向に間隔をあけて配置されており、一般部12,12は隣り合う継手部11,11の間に配置されている。
【0027】
継手部11は、一般部12よりも大きな肉厚に形成されており、連結手段20を介して伝達される応力に対して十分な耐力を有している。
補強パネル10は、背面側が平面を呈し、表面側に継手部11と一般部12の肉厚による凹凸が形成されている。
【0028】
継手部11には、連結手段10のボルト23を挿通するための貫通孔13が形成されている。本実施形態では、両端の継手部11にそれぞれ1列2段、中央の継手部11に2列2段の貫通孔13を形成することで、1枚の補強パネル10に対して貫通孔13を8箇所形成している。なお、貫通孔13の配置や数量は限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。
【0029】
なお、本実施形態では、補強パネル10の長手方向(トンネル軸方向)に対する両端部と中央部との計3箇所に継手部11を形成するものとするが、継手部11と一般部12の配置は限定されるものではなく、補強パネル10の組み立て方法や補強パネル10の形状等に応じて適宜設定すればよい。
また、本実施形態では、トンネル周方向に対する補強パネル10の肉厚を同一としているが、トンネル周方向で継手部11と一般部12とに分割して肉厚を変化させてもよい。また、補強パネル10は、全体的に肉厚が一定であってもよい。
【0030】
補強パネル10は、人力による取り扱いが可能な重量および大きさとなる形状を有している。本実施形態では板厚を継手部11で20mm、一般部12で15mm、長さを1200mm、幅を300mmとし、重量が15kgfに形成されたものを使用する。
なお、補強パネル10の形状や補強パネル10を構成する材料は限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。
【0031】
連結手段20は、図3に示すように、補強パネル10の表面側(トンネル内空側)に配置される表側接続プレート21と、補強パネル10の裏面側(地山側)に配置される裏側接続プレート22と、補強パネル10に設けられた貫通孔13に挿通されるボルト23を有している。
【0032】
本実施形態では、連結手段20をステンレスにより構成することで、地下水等による腐食を防止している。なお、連結手段20を構成する材料は限定されるものではなく、適宜公知の材料から選定して採用することが可能である。また、連結手段20は防錆塗料を塗布することで防食を図ってもよい。
【0033】
表側接続プレート21は、図3および図4(b)に示すように、トンネルTの周方向に隣り合う補強パネル10同士の突合部に対応する位置で折れ曲がっており、その折れ点(折り目)よりも上側に位置する上取付部21aと下側に位置する下取付部21bとを備えている。
表側接続プレート21には、図4(a)および(b)に示すように、ボルト23の軸部を挿通可能な挿通孔24が形成されている。
【0034】
挿通孔24は、上取付部21aと下取付部21bにそれぞれ2ヶ所ずつ形成されている。挿通孔24は、ボルト23の軸部の直径よりも大きな内径からなるトンネル軸方向に長い長孔であって、補強パネル10同士の連結時のズレを吸収可能な形状を有している。なお、挿通孔24は、ボルト23の軸部の直径よりも大きな内径からなる丸孔であってもよく、挿通孔24の形状は限定されるものではない。
【0035】
裏側接続プレート22は、図3および図5(b)に示すように、トンネルTの周方向に隣り合う補強パネル10同士の突合部に対応する位置で折れ曲がっており、その折れ点(折り目)よりも上側に位置する上取付部22aと下側に位置する下取付部22bとを備えている。
裏側接続プレート22には、図5(a)および(b)に示すように、ボルト23の軸部を螺合可能な雌ネジ25が形成されている。
【0036】
雌ネジ25は、上取付部22aと下取付部22bにそれぞれ2ヶ所ずつ形成されている。雌ネジ25は、図6(a)に示すように、裏側接続プレート22の角部に形成された貫通孔の内壁面にネジ加工を施すことにより形成されている。
なお、雌ネジ25の形成方法は前記の方法に限定されるものではなく、例えば、図6(b)に示すように、裏側接続プレート22の背面(地山側面)の裏側接続プレート22に形成された貫通孔25aに対応する位置にナット25bを固定するなど、適宜、形成すればよい。
【0037】
表側接続プレート21と裏側接続プレート22は、図3に示すように、補強パネル10を挟んで対向しており、表側接続プレート21側から挿通孔24および貫通孔13に挿通したボルト23の軸部を、雌ネジ25に螺合させることで、表側接続プレート21および裏側接続プレート22が補強パネル10に固定されている。
【0038】
表側接続プレート21と裏側接続プレート22の折り曲げ角度は同じ角度に形成されている。また、表側接続プレート21の上取付部21aと裏側接続プレート22の上取付部22aおよび同下取付部21bと同下取付部22bは、それぞれ平行に配設されている。
【0039】
次に、本実施形態に係るトンネル補強構造の構築方法について説明する。
本実施形態では、既設トンネルTの覆工T1内面に沿って複数の補強パネル10,10,…を配置し、トンネルTの周方向に隣り合う補強パネル10同士を、屈折した形状の表側接続プレート21および裏側接続プレート22を介して連結することで、トンネル補強構造1を構築する。
【0040】
トンネル補強構造1の構築は、図7に示すように、既設トンネルTの脚部にベースコンクリート30を打設し、このベースコンクリート30を利用して補強パネル10同士を周方向で連結する。
【0041】
ベースコンクリート30は、トンネル補強構造1の基礎部材として機能する。図7(a)および(b)に示すように、既設トンネルTの脚部T2の前面を掘削し、脚部T2を露出させた後、脚部T2の前面にコンクリートを打設することにより形成する。
このとき、ベースコンクリート30は、後施工アンカー31により脚部T2に固定されている。
【0042】
また、ベースコンクリート30の上部に表側接続プレート21の下取付部21bと裏側接続プレート22の下取付部22bとを埋設することで、図7(b)に示すように、ベースコンクリート30の上面に表側接続プレート21の上取付部21aと裏側接続プレート22の上取付部22aを突設させておく。
【0043】
補強パネル10の組み立ては、図7(c)に示すように、まず、最下段の補強パネル10をベースコンクリート30から突設された上取付部21a、22aを介してベースコンクリート30に固定する。
そして、補強パネル10を下方から積み上げ、トンネルTの頂部において閉合することによりトンネル補強構造1を構築する。
【0044】
本実施形態では、図8(a)に示すように、複数の補強パネル10,10,…を千鳥組みすることにより補強構造1を構築するものとする。連結手段20は、三枚の補強パネル10,10,10に跨って配置されているため、トンネル周方向で隣り合う補強パネル10同士を連結するとともに、トンネル軸方向に隣り合う補強パネル10同士を連結する。
【0045】
補強パネル10の組み立ては、図8(a)に示すように、まず、表側接続プレート21の下取付部21bを、先行して設置された第一の補強パネル10aの上縁部の表面に取り付けるとともに、裏側接続プレート22の下取付部22bを、第一の補強パネル10aの上縁部の裏面に取り付けることで、表側接続プレート21の上取付部21aと裏側接続プレート22の上取付部22aとを対向させておく。
次に、表側接続プレート21の上取付部21aおよび裏側接続プレート22の上取付部22aをガイドにして、第一の補強パネル10aの上側に配置する第二の補強パネル10bをトンネル軸方向にスライドさせることで、第一の補強パネル10aに対する第二の補強パネル10bの位置決めを行う。
【0046】
ここで、補強パネル10は、図8(b)に示すように、トンネル軸方向の端部の肉厚が、トンネル軸方向の端縁に向うに従って漸減していることで、第二の補強パネル10bをトンネル軸方向にスライドさせて表側接続プレート21と裏側接続プレート22の間に挿入しやすい形状を有している。
【0047】
トンネルTの頂部における閉合は、図9(a)に示すように、先行して配置されたトンネル周方向に隣接する左右(図面では上下)の補強パネル10,10の間に、頂部用補強パネル100を嵌め込むことにより行う。
【0048】
本実施形態では、頂部用補強パネル100を固定する連結手段20として、図10に示すように、トンネル軸方向に並設された2枚のプレート部材211,212で形成された表側接続プレート21’を有したものを使用する。
プレート部材211,212は、トンネル周方向に隣接する補強パネル10,10に跨って配設されるとともに、プレート部材211,212同士の突合せ面(隙間)が、トンネル軸方向に隣接する補強パネル10同士の突合せ面と重なるように配設される(図9(d)参照)。
【0049】
図9(a)に示すように、設置される頂部用補強パネル100とトンネル軸方向に隣接する補強パネル10は、トンネル周方向で隣接する補強パネル10,10と、プレート部材211,211を介して固定されている。
【0050】
一方、設置される頂部用補強パネル100側にはプレート部材212は設置されておらず、裏側接続プレート22が露出している。そのため、頂部用補強パネル100の設置は、トンネルTの半径方向から嵌め込むことが可能となっている。
なお、プレート部材212は、隣接する補強パネル10,10側のみがボルトにより固定された状態で配置されていてもよい。このとき、プレート部材212は、回転した状態で配置されていることで、裏側接続プレート22が露出しており、頂部用補強パネル100のトンネルTの半径方向からの嵌め込みを妨げることがないように配置しておく。
【0051】
頂部用補強パネル100は、図9(b)に示すように、所定の箇所に嵌め込まれた後、プレート部材212,212により端部を固定することで、トンネル軸方向およびトンネル周方向に隣接する補強パネル10,10,10に連結される。また、頂部用補強パネル100は、その中間部においてトンネル周方向に隣接する補強パネル10,10と連結手段20を介して連結される。このとき、頂部用補強パネル100の中間部の固定に使用する連結手段20は、図9(c)に示すように、後行して設置されるトンネル周方向で隣り合う補強パネル10,10の設置の簡素化を目的として、プレート部材211,211により行い、プレート部材212,212は当該補強パネル10,10の配置後に固定する。
【0052】
後行して設置される補強パネル10,10を所定の位置に配置したら、図9(d)に示すように、当該補強パネル10,10と頂部用補強パネル100との連結を行う。
同様の作業を繰り返すことにより、トンネル軸方向に連続したトンネル補強構造を構築する。
【0053】
なお、補強パネル10の自重によりトンネル補強構造1が撓むことを防止するために、所定箇所に配設されたアンカーボルト等により、一部の補強パネル10を覆工T1に固定してもよい。
【0054】
補強パネル10同士を連結手段20を介して連結して新設覆工2が形成されたら、補強パネル10と覆工T1との間に形成された隙間に裏込め材3を充填し、トンネル補強構造1と覆工T1とを一体構造とする(図1参照)。裏込め材3の充填は、トンネルTの脚部から頂部に向かって行う。
なお、裏込め材を構成する材料は限定されるものではなく、適宜公知の材料の中から選定して採用すればよい。また、裏込め材3の充填は、新設覆工2が形成される前に、補強パネル10の組み立てに伴って行ってもよく、その施工順序は限定されるものではない。
【0055】
次に、本実施形態に係るトンネル補強構造の補修方法について説明する。
本実施形態では、図11(a)に示すように、プレート部材211,212からなる表側接続プレート21’により固定された補修対象パネル101を交換する場合について説明する。
【0056】
トンネル補強構造の補修は、まず、破損が生じることなどにより交換する必要がある補修対象パネル101を固定するプレート部材211,212を、図11(b)に示すように、補修対象パネル101に隣接する補修対象外の補強パネル10を貫通する1本のボルト23を支点として回転させることで、プレート部材211,212を補修対象パネル101と当接しない位置にずらす。
なお、プレート部材211とプレート部材212との間には、予め隙間が形成されていてもよい。プレート部材211,212同士の間に隙間が形成されていることにより、プレート部材211,212の回転を容易に行うことが可能となる。
【0057】
そして、補修対象パネル101を新たな補強パネル102と交換したら、図11(c)に示すように、プレート部材211,212を回転させてもとの位置に戻し、プレート部材211,212を介して新たな補強パネル102を固定する。
【0058】
本実施形態では補修対象パネル101がプレート部材211,212(図10参照)により固定されている場合について説明したが、1枚のプレートからなる表側接続プレート21(図4(a)参照)により固定された補修対象パネル101を交換する場合についても同様に行うことが可能である。
【0059】
以上、本実施形態に係るトンネル補強構造1およびトンネル補強構造の構築方法によれば、既設トンネルTの断面形状に対して、接続プレート(表側接続プレート21および裏側接続プレート22)を利用することにより柔軟に対応することができる。つまり、平板状の補強プレート10を既設トンネルTの断面形状に応じた角度を有した連結手段20により連結することで、既設トンネルTの覆工T1に沿ったトンネル補強構造1を構築することができる。
【0060】
また、補強プレート10として、平板状の部材を使用することが可能なため、トンネルの断面形状に限定されることなく、補強プレート10を使用することができ、標準寸法として量産することが可能となる。これにより、安価にトンネル補強構造を構築することができる。
【0061】
また、補強プレート10として、人力により取り扱える形状のものを使用することで、大掛かりな建設機械を採用することなく、人力にて老朽トンネルの覆工保護を行うことができる。
そのため、小断面トンネルについても補強することができるとともに、トンネル補強構造1の構築時にも完全にトンネルを封鎖せずに、施工を行うことも可能である。
【0062】
補強プレート10として、高強度の繊維補強コンクリートを採用しているため、補強プレート10の薄肉化、軽量化が可能となるとともに、耐久性に優れたトンネル補強構造1を構築することができる。
【0063】
連結手段20として、表側接続プレート21と裏側接続プレート22とを備えたものを使用するため、トンネル補強構造を構築する際に、連結手段20をガイドとして補強プレート10を配置することができるため、作業をより簡易かつ迅速に行うことができる。
【0064】
各補強プレート10は、トンネル周方向とトンネル軸方向とで連結されているため、作用応力を効果的に分散させて、優れた補強効果を得ることができる。
【0065】
以上、本発明について、好適な実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の各実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜設計変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、本発明に係るトンネル補強構造1およびその構築方法が適用可能なトンネル形式は限定されるものではなく、例えば、山岳トンネルやシールドトンネル等、あらゆるトンネルに採用することができる。また、トンネルの用途も限定されるものではなく、例えば鉄道トンネル、道路トンネル、下水道トンネル、用水トンネル等にも採用可能である。
【0066】
また、本発明のトンネル補強構造1およびその構築方法が採用可能なトンネルの断面形状も限定されるものではなく、円形断面、矩形断面、馬蹄形断面等、あらゆる断面形状に採用可能である。
【0067】
また、前記実施形態では、表側接続プレート21と裏側接続プレート22とを備えた連結手段20により、補強パネル10を表面側と裏面側とから挟んだ状態で隣り合う補強パネル10同士を連結するものとしたが、補強パネル10の表面側または裏面側のいずれか一方に配置される接続プレート(表側接続プレート21または裏側接続プレート22)を有した連結手段により、隣り合う補強パネル10同士を連結してもよい。
【0068】
また、前記実施形態では、平面形状が矩形状の補強パネル10を使用する場合について説明したが、例えば、図12に示すように平面形状が六角形を呈した補強パネル10’を使用することで、組み立て作業の簡素化を図ってもよく、補強パネル10の形状は限定されるものではない。
【0069】
また、前記実施形態では、トンネルTの頂部の補強パネル10の連結手段20として、2枚のプレート部材211,212からなる表側接続プレート21’を有したものを使用したが、表側接続プレート21’の使用箇所はトンネルTの頂部に限定されるものではない。例えば、既設トンネルの覆工の劣化状況により、劣化の進行が早いことが予想される補強パネル10を予め表側接続プレート21’により固定しておくことで、交換作業を容易に行うものとしてもよい。
【0070】
また、トンネル補強構造の閉合箇所は、トンネルTの頂部に限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。
また、トンネル補強構造の閉合時に使用する連結手段20には、必ずしも2枚のプレート部材211,212を備えたものを使用する必要はない。
【符号の説明】
【0071】
1 トンネル補強構造
10 補強パネル
11 継手部
12 一般部
13 貫通孔
20 連結手段
21 表側接続プレート
21a 上取付部
21b 下取付部
22 裏側接続プレート
22a 上取付部
22b 下取付部
23 ボルト
24 挿通孔
25 雌ネジ
T 既設トンネル
T1 覆工
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル補強構造、トンネル補強構造の構築方法およびトンネル補強構造の補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既設トンネルの補強構造として、既設トンネルの覆工内面に沿って複数の補強パネルを配置したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のトンネル補強構造においては、トンネル周方向に隣り合う補強パネル同士を、円弧状の凹部および凸部を介して連結している。すなわち、特許文献1のトンネル補強構造は、トンネル周方向に隣り合う補強パネル同士をピン接合したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−231522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
補強パネル同士をピン接合する構成では、接合時の角度調節(位置決め)が困難になるとともに、角度調節後においては、両者の取付角度を保持するための治具を利用する必要があるので、簡易迅速な作業を阻害する要因となる。
【0005】
このような観点から、本発明は、簡易迅速に組み立てることが可能なトンネル補強構造およびその構築方法を提供すること、並びに、前記トンネル補強構造の補修を簡易かつ迅速に行うことが可能なトンネル補強構造の補修方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決する本発明の第一のトンネル補強構造は、既設トンネルの覆工内面に沿って配置される複数の補強パネルと、少なくともトンネル周方向に隣り合う前記補強パネル同士を連結する複数の連結手段と、を具備するものであって、前記各連結手段は、前記補強パネルの表面側に配置される表側接続プレートと、前記補強パネルの裏面側に配置される裏側接続プレートとを有し、前記表側接続プレートおよび前記裏側接続プレートが、トンネル周方向に隣り合う前記補強パネル同士の突合部に対応する位置で折れ曲がっていることを特徴としている。
【0007】
かかるトンネル補強構造によれば、簡易かつ迅速に組み立てることが可能である。そのため、工期短縮による工事費の削減が可能となる。また、限られた時間しか確保することができない供用中のトンネルの補強に対しても好適に採用することができる。
なお、補強パネル同士は、トンネル周方向に隣り合う補強パネルをトンネル軸方向にずらすいわゆる「千鳥組み」にて組み立ててもよいし、トンネル軸方向にずらさないいわゆる「イモ継ぎ」にて組み立ててもよい。
【0008】
また、前記トンネル補強構造は、前記各補強パネルが、平板状を呈しており、前記トンネル周方向に連設された複数の前記補強パネルにより、折れ線状の断面形状を呈する新設覆工が形成されていてもよい。
かかるトンネル補強構造によれば、補強パネルの製作が容易なため、トンネル補強構造の材料費の低減化が可能となる。
【0009】
また、前記表側接続プレートおよび前記裏側接続プレートが、前記補強パネルを挟んで対向していれば、補強パネルを組み立てる際に連結手段をガイドとして使用することが可能となる。これにより、より組立作業が容易になる。
【0010】
また、前記トンネル補強構造において、前記各連結手段は、前記補強パネルに設けた貫通孔に挿通されるボルトを有し、前記表側接続プレートには、前記ボルトの軸部を挿通可能な挿通孔が形成されており、前記裏側接続プレートには、前記ボルトの軸部を螺合可能な雌ネジが形成されており、前記表側接続プレート側から前記挿通孔および前記貫通孔に挿通した前記ボルトの軸部を前記雌ネジに螺合させることで、前記表側接続プレートおよび前記裏側接続プレートを前記補強パネルに固定してもよい。
これにより、トンネル補強構造の組み立てをさらに簡易かつ迅速に行うことが可能となる。
【0011】
また、前記トンネル補強構造において、前記複数の連結手段のうちの少なくとも一部の表側接続プレートが、トンネル軸方向に並設された2枚のプレート部材で形成されていてもよい。
これにより、トンネル補強構造の閉合部(例えば頂部等)の補強パネルの設置をより簡易かつ迅速に行うことが可能となる。
【0012】
また、前記補強パネルは、前記連結手段が配置される継手部と、当該継手部に隣接する一般部とを有し、前記継手部の肉厚が前記一般部の肉厚よりも大きく形成されていてもよい。
これにより、補強パネルの軽量化が可能となり、取り扱いが容易となることで、施工性の向上を図ることができる。
【0013】
また、前記補強パネルのトンネル軸方向の端部の肉厚が、トンネル軸方向の端縁に向うに従って漸減していれば、組み立て時の作業性がより向上する。
【0014】
また、前記補強パネルの平面形状が、六角形を呈していれば、組み立て時の補強パネルの挿入をより容易に行うことが可能となり、施工性の向上を図ることができる。
【0015】
また、複数の前記連結手段のうちの少なくとも一部により、トンネル軸方向に隣り合う補強パネル同士が連結されていてもよいし、複数の前記補強パネルが千鳥組みされており、複数の前記連結手段の少なくとも一部が、三つの前記補強パネルに跨って配置されていてもよい。
これにより、簡易にトンネル周方向およびトンネル軸方向で一体化されたトンネル補強構造を構築することができる。
【0016】
また、本発明の第二のトンネル補強構造は、既設トンネルの覆工内面に沿って配置される複数の補強パネルと、少なくともトンネル周方向に隣り合う前記補強パネル同士を連結する複数の連結手段と、を具備するものであって、前記各連結手段は、前記補強パネルの表面側または前記補強パネルの裏面側に配置される接続プレートを有し、前記接続プレートが、トンネル周方向に隣り合う前記補強パネル同士の突合部に対応する位置で折れ曲がっていることを特徴としている。
かかるトンネルの補強構造によれば、第一のトンネル補強構造と同様の作用効果を得ることができる。
【0017】
また、本発明のトンネル補強構造の構築方法は、既設トンネルの覆工内面に沿って複数の補強パネルを配置し、トンネル周方向に隣り合う補強パネル同士を、屈折した形状の表側接続プレートおよび裏側接続プレートを介して連結するものであって、前記表側接続プレートのうち、その折り目よりも下側に位置する下取付部を、先行して設置する第一の補強パネルの上縁部の表面に取り付けるとともに、前記裏側接続プレートのうち、その折り目よりも下側に位置する下取付部を、前記第一の補強パネルの上縁部の裏面に取り付けることで、前記表側接続プレートの折り目よりも上側に位置する上取付部と前記裏側接続プレートの折り目よりも上側に位置する上取付部とを対向させておき、前記表側接続プレートの上取付部および前記裏側接続プレートの上取付部をガイドにして、前記第一の補強パネルの上側に配置する第二の補強パネルをトンネル軸方向にスライドさせることで、前記第一の補強パネルに対する前記第二の補強パネルの位置決めを行うことを特徴としている。
【0018】
かかるトンネル補強構造の構築方法によれば、簡易かつ迅速にトンネル補強構造を構築することが可能となるため、施工に要する費用の削減や、供用中のトンネルの使用停止時間を短くすることができる。
【0019】
また、本発明のトンネル補強構造の補修方法は、補強パネルを交換する方法であって、補修対象の前記補強パネルを固定する前記表側接続プレートまたは前記プレート部材を、補修対象外の前記補強パネルを貫通する1本のボルトを支点として回転させることで、当該表側接続プレートまたは前記プレート部材を補修対象の前記補強パネルと当接しない位置にずらす工程と、補修対象の前記補強パネルを新たな補強パネルと交換する工程と、前記表側接続プレートまたは前記プレート部材を回転させてもとの位置に戻し、当該表側接続プレートまたはプレート部材を介して前記新たな補強パネルを固定する工程と、を備えることを特徴としている。
【0020】
かかるトンネル補強構造の補修方法によれば、簡易かつ迅速に、トンネル補強構造を部分的に補修することが可能となるため、補修に要する費用の削減や、供用中のトンネルの使用停止時間を短くすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、トンネル補強構造を簡易迅速に組み立てることが可能になる。また、本発明によれば、当該トンネル補強構造の補修を簡易かつ迅速に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の好適な実施の形態にかかるトンネル補強構造を示す断面図である。
【図2】図1に示すトンネル補強構造の補強パネルを示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図3】同補強パネルの連結状況を示す断面図である。
【図4】図1に示すトンネル補強構造の表側接続プレートを示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図5】図1に示すトンネル補強構造の裏側接続プレートを示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C断面図である。
【図6】(a)は裏側接続プレートの雌ネジを示す断面図であって、(b)(a)の雌ネジの変形例を示す断面図である。
【図7】(a)〜(c)は図1に示すトンネル補強構造の施工手順を示す断面図である。
【図8】補強パネルの組み立て状況を示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図9】(a)〜(d)はトンネル補強構造の閉合方法を示す平面図である。
【図10】プレート部材を示す平面図である。
【図11】(a)〜(c)はトンネル補強構造の補修方法を示す平面図である。
【図12】補強パネルの変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の一例を詳細に説明する。
本実施形態に係るトンネル補強構造1は、図1に示すように、既設トンネルTの覆工T1内面に沿って配置される複数の補強パネル10と、少なくともトンネル周方向に隣り合う補強パネル10同士を連結する複数の連結手段20と、を具備している。
【0024】
トンネル補強構造1は、補強パネル10,10,…を、連結手段20,20,…を介してトンネルTの周方向に連設することで、折れ線状の断面形状を呈する新設覆工(トンネル補強構造1)を形成している。
【0025】
補強パネル10は、図2(a)および(b)に示すように、平板状を呈している。
本実施形態では、補強パネル10として、繊維補強コンクリートにより形成されたプレキャスト部材を使用するものとする。
【0026】
補強パネル10は、連結手段20が配置される継手部11,11,11と、継手部11,11,11に隣接する一般部12,12とを有している。
継手部11,11,11は、トンネル軸方向に間隔をあけて配置されており、一般部12,12は隣り合う継手部11,11の間に配置されている。
【0027】
継手部11は、一般部12よりも大きな肉厚に形成されており、連結手段20を介して伝達される応力に対して十分な耐力を有している。
補強パネル10は、背面側が平面を呈し、表面側に継手部11と一般部12の肉厚による凹凸が形成されている。
【0028】
継手部11には、連結手段10のボルト23を挿通するための貫通孔13が形成されている。本実施形態では、両端の継手部11にそれぞれ1列2段、中央の継手部11に2列2段の貫通孔13を形成することで、1枚の補強パネル10に対して貫通孔13を8箇所形成している。なお、貫通孔13の配置や数量は限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。
【0029】
なお、本実施形態では、補強パネル10の長手方向(トンネル軸方向)に対する両端部と中央部との計3箇所に継手部11を形成するものとするが、継手部11と一般部12の配置は限定されるものではなく、補強パネル10の組み立て方法や補強パネル10の形状等に応じて適宜設定すればよい。
また、本実施形態では、トンネル周方向に対する補強パネル10の肉厚を同一としているが、トンネル周方向で継手部11と一般部12とに分割して肉厚を変化させてもよい。また、補強パネル10は、全体的に肉厚が一定であってもよい。
【0030】
補強パネル10は、人力による取り扱いが可能な重量および大きさとなる形状を有している。本実施形態では板厚を継手部11で20mm、一般部12で15mm、長さを1200mm、幅を300mmとし、重量が15kgfに形成されたものを使用する。
なお、補強パネル10の形状や補強パネル10を構成する材料は限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。
【0031】
連結手段20は、図3に示すように、補強パネル10の表面側(トンネル内空側)に配置される表側接続プレート21と、補強パネル10の裏面側(地山側)に配置される裏側接続プレート22と、補強パネル10に設けられた貫通孔13に挿通されるボルト23を有している。
【0032】
本実施形態では、連結手段20をステンレスにより構成することで、地下水等による腐食を防止している。なお、連結手段20を構成する材料は限定されるものではなく、適宜公知の材料から選定して採用することが可能である。また、連結手段20は防錆塗料を塗布することで防食を図ってもよい。
【0033】
表側接続プレート21は、図3および図4(b)に示すように、トンネルTの周方向に隣り合う補強パネル10同士の突合部に対応する位置で折れ曲がっており、その折れ点(折り目)よりも上側に位置する上取付部21aと下側に位置する下取付部21bとを備えている。
表側接続プレート21には、図4(a)および(b)に示すように、ボルト23の軸部を挿通可能な挿通孔24が形成されている。
【0034】
挿通孔24は、上取付部21aと下取付部21bにそれぞれ2ヶ所ずつ形成されている。挿通孔24は、ボルト23の軸部の直径よりも大きな内径からなるトンネル軸方向に長い長孔であって、補強パネル10同士の連結時のズレを吸収可能な形状を有している。なお、挿通孔24は、ボルト23の軸部の直径よりも大きな内径からなる丸孔であってもよく、挿通孔24の形状は限定されるものではない。
【0035】
裏側接続プレート22は、図3および図5(b)に示すように、トンネルTの周方向に隣り合う補強パネル10同士の突合部に対応する位置で折れ曲がっており、その折れ点(折り目)よりも上側に位置する上取付部22aと下側に位置する下取付部22bとを備えている。
裏側接続プレート22には、図5(a)および(b)に示すように、ボルト23の軸部を螺合可能な雌ネジ25が形成されている。
【0036】
雌ネジ25は、上取付部22aと下取付部22bにそれぞれ2ヶ所ずつ形成されている。雌ネジ25は、図6(a)に示すように、裏側接続プレート22の角部に形成された貫通孔の内壁面にネジ加工を施すことにより形成されている。
なお、雌ネジ25の形成方法は前記の方法に限定されるものではなく、例えば、図6(b)に示すように、裏側接続プレート22の背面(地山側面)の裏側接続プレート22に形成された貫通孔25aに対応する位置にナット25bを固定するなど、適宜、形成すればよい。
【0037】
表側接続プレート21と裏側接続プレート22は、図3に示すように、補強パネル10を挟んで対向しており、表側接続プレート21側から挿通孔24および貫通孔13に挿通したボルト23の軸部を、雌ネジ25に螺合させることで、表側接続プレート21および裏側接続プレート22が補強パネル10に固定されている。
【0038】
表側接続プレート21と裏側接続プレート22の折り曲げ角度は同じ角度に形成されている。また、表側接続プレート21の上取付部21aと裏側接続プレート22の上取付部22aおよび同下取付部21bと同下取付部22bは、それぞれ平行に配設されている。
【0039】
次に、本実施形態に係るトンネル補強構造の構築方法について説明する。
本実施形態では、既設トンネルTの覆工T1内面に沿って複数の補強パネル10,10,…を配置し、トンネルTの周方向に隣り合う補強パネル10同士を、屈折した形状の表側接続プレート21および裏側接続プレート22を介して連結することで、トンネル補強構造1を構築する。
【0040】
トンネル補強構造1の構築は、図7に示すように、既設トンネルTの脚部にベースコンクリート30を打設し、このベースコンクリート30を利用して補強パネル10同士を周方向で連結する。
【0041】
ベースコンクリート30は、トンネル補強構造1の基礎部材として機能する。図7(a)および(b)に示すように、既設トンネルTの脚部T2の前面を掘削し、脚部T2を露出させた後、脚部T2の前面にコンクリートを打設することにより形成する。
このとき、ベースコンクリート30は、後施工アンカー31により脚部T2に固定されている。
【0042】
また、ベースコンクリート30の上部に表側接続プレート21の下取付部21bと裏側接続プレート22の下取付部22bとを埋設することで、図7(b)に示すように、ベースコンクリート30の上面に表側接続プレート21の上取付部21aと裏側接続プレート22の上取付部22aを突設させておく。
【0043】
補強パネル10の組み立ては、図7(c)に示すように、まず、最下段の補強パネル10をベースコンクリート30から突設された上取付部21a、22aを介してベースコンクリート30に固定する。
そして、補強パネル10を下方から積み上げ、トンネルTの頂部において閉合することによりトンネル補強構造1を構築する。
【0044】
本実施形態では、図8(a)に示すように、複数の補強パネル10,10,…を千鳥組みすることにより補強構造1を構築するものとする。連結手段20は、三枚の補強パネル10,10,10に跨って配置されているため、トンネル周方向で隣り合う補強パネル10同士を連結するとともに、トンネル軸方向に隣り合う補強パネル10同士を連結する。
【0045】
補強パネル10の組み立ては、図8(a)に示すように、まず、表側接続プレート21の下取付部21bを、先行して設置された第一の補強パネル10aの上縁部の表面に取り付けるとともに、裏側接続プレート22の下取付部22bを、第一の補強パネル10aの上縁部の裏面に取り付けることで、表側接続プレート21の上取付部21aと裏側接続プレート22の上取付部22aとを対向させておく。
次に、表側接続プレート21の上取付部21aおよび裏側接続プレート22の上取付部22aをガイドにして、第一の補強パネル10aの上側に配置する第二の補強パネル10bをトンネル軸方向にスライドさせることで、第一の補強パネル10aに対する第二の補強パネル10bの位置決めを行う。
【0046】
ここで、補強パネル10は、図8(b)に示すように、トンネル軸方向の端部の肉厚が、トンネル軸方向の端縁に向うに従って漸減していることで、第二の補強パネル10bをトンネル軸方向にスライドさせて表側接続プレート21と裏側接続プレート22の間に挿入しやすい形状を有している。
【0047】
トンネルTの頂部における閉合は、図9(a)に示すように、先行して配置されたトンネル周方向に隣接する左右(図面では上下)の補強パネル10,10の間に、頂部用補強パネル100を嵌め込むことにより行う。
【0048】
本実施形態では、頂部用補強パネル100を固定する連結手段20として、図10に示すように、トンネル軸方向に並設された2枚のプレート部材211,212で形成された表側接続プレート21’を有したものを使用する。
プレート部材211,212は、トンネル周方向に隣接する補強パネル10,10に跨って配設されるとともに、プレート部材211,212同士の突合せ面(隙間)が、トンネル軸方向に隣接する補強パネル10同士の突合せ面と重なるように配設される(図9(d)参照)。
【0049】
図9(a)に示すように、設置される頂部用補強パネル100とトンネル軸方向に隣接する補強パネル10は、トンネル周方向で隣接する補強パネル10,10と、プレート部材211,211を介して固定されている。
【0050】
一方、設置される頂部用補強パネル100側にはプレート部材212は設置されておらず、裏側接続プレート22が露出している。そのため、頂部用補強パネル100の設置は、トンネルTの半径方向から嵌め込むことが可能となっている。
なお、プレート部材212は、隣接する補強パネル10,10側のみがボルトにより固定された状態で配置されていてもよい。このとき、プレート部材212は、回転した状態で配置されていることで、裏側接続プレート22が露出しており、頂部用補強パネル100のトンネルTの半径方向からの嵌め込みを妨げることがないように配置しておく。
【0051】
頂部用補強パネル100は、図9(b)に示すように、所定の箇所に嵌め込まれた後、プレート部材212,212により端部を固定することで、トンネル軸方向およびトンネル周方向に隣接する補強パネル10,10,10に連結される。また、頂部用補強パネル100は、その中間部においてトンネル周方向に隣接する補強パネル10,10と連結手段20を介して連結される。このとき、頂部用補強パネル100の中間部の固定に使用する連結手段20は、図9(c)に示すように、後行して設置されるトンネル周方向で隣り合う補強パネル10,10の設置の簡素化を目的として、プレート部材211,211により行い、プレート部材212,212は当該補強パネル10,10の配置後に固定する。
【0052】
後行して設置される補強パネル10,10を所定の位置に配置したら、図9(d)に示すように、当該補強パネル10,10と頂部用補強パネル100との連結を行う。
同様の作業を繰り返すことにより、トンネル軸方向に連続したトンネル補強構造を構築する。
【0053】
なお、補強パネル10の自重によりトンネル補強構造1が撓むことを防止するために、所定箇所に配設されたアンカーボルト等により、一部の補強パネル10を覆工T1に固定してもよい。
【0054】
補強パネル10同士を連結手段20を介して連結して新設覆工2が形成されたら、補強パネル10と覆工T1との間に形成された隙間に裏込め材3を充填し、トンネル補強構造1と覆工T1とを一体構造とする(図1参照)。裏込め材3の充填は、トンネルTの脚部から頂部に向かって行う。
なお、裏込め材を構成する材料は限定されるものではなく、適宜公知の材料の中から選定して採用すればよい。また、裏込め材3の充填は、新設覆工2が形成される前に、補強パネル10の組み立てに伴って行ってもよく、その施工順序は限定されるものではない。
【0055】
次に、本実施形態に係るトンネル補強構造の補修方法について説明する。
本実施形態では、図11(a)に示すように、プレート部材211,212からなる表側接続プレート21’により固定された補修対象パネル101を交換する場合について説明する。
【0056】
トンネル補強構造の補修は、まず、破損が生じることなどにより交換する必要がある補修対象パネル101を固定するプレート部材211,212を、図11(b)に示すように、補修対象パネル101に隣接する補修対象外の補強パネル10を貫通する1本のボルト23を支点として回転させることで、プレート部材211,212を補修対象パネル101と当接しない位置にずらす。
なお、プレート部材211とプレート部材212との間には、予め隙間が形成されていてもよい。プレート部材211,212同士の間に隙間が形成されていることにより、プレート部材211,212の回転を容易に行うことが可能となる。
【0057】
そして、補修対象パネル101を新たな補強パネル102と交換したら、図11(c)に示すように、プレート部材211,212を回転させてもとの位置に戻し、プレート部材211,212を介して新たな補強パネル102を固定する。
【0058】
本実施形態では補修対象パネル101がプレート部材211,212(図10参照)により固定されている場合について説明したが、1枚のプレートからなる表側接続プレート21(図4(a)参照)により固定された補修対象パネル101を交換する場合についても同様に行うことが可能である。
【0059】
以上、本実施形態に係るトンネル補強構造1およびトンネル補強構造の構築方法によれば、既設トンネルTの断面形状に対して、接続プレート(表側接続プレート21および裏側接続プレート22)を利用することにより柔軟に対応することができる。つまり、平板状の補強プレート10を既設トンネルTの断面形状に応じた角度を有した連結手段20により連結することで、既設トンネルTの覆工T1に沿ったトンネル補強構造1を構築することができる。
【0060】
また、補強プレート10として、平板状の部材を使用することが可能なため、トンネルの断面形状に限定されることなく、補強プレート10を使用することができ、標準寸法として量産することが可能となる。これにより、安価にトンネル補強構造を構築することができる。
【0061】
また、補強プレート10として、人力により取り扱える形状のものを使用することで、大掛かりな建設機械を採用することなく、人力にて老朽トンネルの覆工保護を行うことができる。
そのため、小断面トンネルについても補強することができるとともに、トンネル補強構造1の構築時にも完全にトンネルを封鎖せずに、施工を行うことも可能である。
【0062】
補強プレート10として、高強度の繊維補強コンクリートを採用しているため、補強プレート10の薄肉化、軽量化が可能となるとともに、耐久性に優れたトンネル補強構造1を構築することができる。
【0063】
連結手段20として、表側接続プレート21と裏側接続プレート22とを備えたものを使用するため、トンネル補強構造を構築する際に、連結手段20をガイドとして補強プレート10を配置することができるため、作業をより簡易かつ迅速に行うことができる。
【0064】
各補強プレート10は、トンネル周方向とトンネル軸方向とで連結されているため、作用応力を効果的に分散させて、優れた補強効果を得ることができる。
【0065】
以上、本発明について、好適な実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の各実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜設計変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、本発明に係るトンネル補強構造1およびその構築方法が適用可能なトンネル形式は限定されるものではなく、例えば、山岳トンネルやシールドトンネル等、あらゆるトンネルに採用することができる。また、トンネルの用途も限定されるものではなく、例えば鉄道トンネル、道路トンネル、下水道トンネル、用水トンネル等にも採用可能である。
【0066】
また、本発明のトンネル補強構造1およびその構築方法が採用可能なトンネルの断面形状も限定されるものではなく、円形断面、矩形断面、馬蹄形断面等、あらゆる断面形状に採用可能である。
【0067】
また、前記実施形態では、表側接続プレート21と裏側接続プレート22とを備えた連結手段20により、補強パネル10を表面側と裏面側とから挟んだ状態で隣り合う補強パネル10同士を連結するものとしたが、補強パネル10の表面側または裏面側のいずれか一方に配置される接続プレート(表側接続プレート21または裏側接続プレート22)を有した連結手段により、隣り合う補強パネル10同士を連結してもよい。
【0068】
また、前記実施形態では、平面形状が矩形状の補強パネル10を使用する場合について説明したが、例えば、図12に示すように平面形状が六角形を呈した補強パネル10’を使用することで、組み立て作業の簡素化を図ってもよく、補強パネル10の形状は限定されるものではない。
【0069】
また、前記実施形態では、トンネルTの頂部の補強パネル10の連結手段20として、2枚のプレート部材211,212からなる表側接続プレート21’を有したものを使用したが、表側接続プレート21’の使用箇所はトンネルTの頂部に限定されるものではない。例えば、既設トンネルの覆工の劣化状況により、劣化の進行が早いことが予想される補強パネル10を予め表側接続プレート21’により固定しておくことで、交換作業を容易に行うものとしてもよい。
【0070】
また、トンネル補強構造の閉合箇所は、トンネルTの頂部に限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。
また、トンネル補強構造の閉合時に使用する連結手段20には、必ずしも2枚のプレート部材211,212を備えたものを使用する必要はない。
【符号の説明】
【0071】
1 トンネル補強構造
10 補強パネル
11 継手部
12 一般部
13 貫通孔
20 連結手段
21 表側接続プレート
21a 上取付部
21b 下取付部
22 裏側接続プレート
22a 上取付部
22b 下取付部
23 ボルト
24 挿通孔
25 雌ネジ
T 既設トンネル
T1 覆工
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設トンネルの覆工内面に沿って配置される複数の補強パネルと、
少なくともトンネル周方向に隣り合う前記補強パネル同士を連結する複数の連結手段と、を具備するトンネル補強構造であって、
前記各連結手段は、前記補強パネルの表面側に配置される表側接続プレートと、前記補強パネルの裏面側に配置される裏側接続プレートとを有し、
前記表側接続プレートおよび前記裏側接続プレートが、トンネル周方向に隣り合う前記補強パネル同士の突合部に対応する位置で折れ曲がっていることを特徴とするトンネル補強構造。
【請求項2】
前記各補強パネルが、平板状を呈しており、
前記トンネル周方向に連設された複数の前記補強パネルにより、折れ線状の断面形状を呈する新設覆工が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のトンネル補強構造。
【請求項3】
前記表側接続プレートおよび前記裏側接続プレートが、前記補強パネルを挟んで対向していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトンネル補強構造。
【請求項4】
前記各連結手段は、前記補強パネルに設けた貫通孔に挿通されるボルトを有し、
前記表側接続プレートには、前記ボルトの軸部を挿通可能な挿通孔が形成されており、
前記裏側接続プレートには、前記ボルトの軸部を螺合可能な雌ネジが形成されており、
前記表側接続プレート側から前記挿通孔および前記貫通孔に挿通した前記ボルトの軸部を前記雌ネジに螺合させることで、前記表側接続プレートおよび前記裏側接続プレートを前記補強パネルに固定したことを特徴とする請求項3に記載のトンネル補強構造。
【請求項5】
前記複数の連結手段のうちの少なくとも一部の表側接続プレートが、トンネル軸方向に並設された2枚のプレート部材で形成されていることを特徴とする、請求項4に記載のトンネル補強構造。
【請求項6】
前記補強パネルは、前記連結手段が配置される継手部と、当該継手部に隣接する一般部とを有し、
前記継手部の肉厚が前記一般部の肉厚よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のトンネル補強構造。
【請求項7】
前記補強パネルのトンネル軸方向の端部の肉厚が、トンネル軸方向の端縁に向うに従って漸減していることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のトンネル補強構造。
【請求項8】
前記補強パネルの平面形状が、六角形を呈していることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のトンネル補強構造。
【請求項9】
複数の前記連結手段のうちの少なくとも一部により、トンネル軸方向に隣り合う補強パネル同士が連結されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のトンネル補強構造。
【請求項10】
複数の前記補強パネルが千鳥組みされており、
複数の前記連結手段の少なくとも一部が、三つの前記補強パネルに跨って配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のトンネル補強構造。
【請求項11】
既設トンネルの覆工内面に沿って配置される複数の補強パネルと、
少なくともトンネル周方向に隣り合う前記補強パネル同士を連結する複数の連結手段と、を具備するトンネル補強構造であって、
前記各連結手段は、前記補強パネルの表面側または前記補強パネルの裏面側に配置される接続プレートを有し、
前記接続プレートが、トンネル周方向に隣り合う前記補強パネル同士の突合部に対応する位置で折れ曲がっていることを特徴とするトンネル補強構造。
【請求項12】
既設トンネルの覆工内面に沿って複数の補強パネルを配置し、トンネル周方向に隣り合う補強パネル同士を、屈折した形状の表側接続プレートおよび裏側接続プレートを介して連結することで、トンネル補強構造を構築する方法であって、
前記表側接続プレートのうち、その折り目よりも下側に位置する下取付部を、先行して設置する第一の補強パネルの上縁部の表面に取り付けるとともに、前記裏側接続プレートのうち、その折り目よりも下側に位置する下取付部を、前記第一の補強パネルの上縁部の裏面に取り付けることで、前記表側接続プレートの折り目よりも上側に位置する上取付部と前記裏側接続プレートの折り目よりも上側に位置する上取付部とを対向させておき、
前記表側接続プレートの上取付部および前記裏側接続プレートの上取付部をガイドにして、前記第一の補強パネルの上側に配置する第二の補強パネルをトンネル軸方向にスライドさせることで、前記第一の補強パネルに対する前記第二の補強パネルの位置決めを行うことを特徴とするトンネル補強構造の構築方法。
【請求項13】
請求項4に記載のトンネル補強構造を補修する方法であって、
補修対象の前記補強パネルを固定する前記表側接続プレートを、補修対象外の前記補強パネルを貫通する1本のボルトを支点として回転させることで、当該表側接続プレートを補修対象の前記補強パネルと当接しない位置にずらす工程と、
補修対象の前記補強パネルを新たな補強パネルと交換する工程と、
前記表側接続プレートを回転させてもとの位置に戻し、当該表側接続プレートを介して前記新たな補強パネルを固定する工程と、を備えることを特徴とするトンネル補強構造の補修方法。
【請求項14】
請求項5に記載のトンネル補強構造を補修する方法であって、
補修対象の前記補強パネルを固定する前記プレート部材を、補修対象外の前記補強パネルを貫通する1本のボルトを支点として回転させることで、当該プレート部材を補修対象の前記補強パネルと当接しない位置にずらす工程と、
補修対象の前記補強パネルを新たな補強パネルと交換する工程と、
前記プレート部材を回転させてもとの位置に戻し、当該プレート部材を介して前記新たな補強パネルを固定する工程と、を備えることを特徴とするトンネル補強構造の補修方法。
【請求項1】
既設トンネルの覆工内面に沿って配置される複数の補強パネルと、
少なくともトンネル周方向に隣り合う前記補強パネル同士を連結する複数の連結手段と、を具備するトンネル補強構造であって、
前記各連結手段は、前記補強パネルの表面側に配置される表側接続プレートと、前記補強パネルの裏面側に配置される裏側接続プレートとを有し、
前記表側接続プレートおよび前記裏側接続プレートが、トンネル周方向に隣り合う前記補強パネル同士の突合部に対応する位置で折れ曲がっていることを特徴とするトンネル補強構造。
【請求項2】
前記各補強パネルが、平板状を呈しており、
前記トンネル周方向に連設された複数の前記補強パネルにより、折れ線状の断面形状を呈する新設覆工が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のトンネル補強構造。
【請求項3】
前記表側接続プレートおよび前記裏側接続プレートが、前記補強パネルを挟んで対向していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトンネル補強構造。
【請求項4】
前記各連結手段は、前記補強パネルに設けた貫通孔に挿通されるボルトを有し、
前記表側接続プレートには、前記ボルトの軸部を挿通可能な挿通孔が形成されており、
前記裏側接続プレートには、前記ボルトの軸部を螺合可能な雌ネジが形成されており、
前記表側接続プレート側から前記挿通孔および前記貫通孔に挿通した前記ボルトの軸部を前記雌ネジに螺合させることで、前記表側接続プレートおよび前記裏側接続プレートを前記補強パネルに固定したことを特徴とする請求項3に記載のトンネル補強構造。
【請求項5】
前記複数の連結手段のうちの少なくとも一部の表側接続プレートが、トンネル軸方向に並設された2枚のプレート部材で形成されていることを特徴とする、請求項4に記載のトンネル補強構造。
【請求項6】
前記補強パネルは、前記連結手段が配置される継手部と、当該継手部に隣接する一般部とを有し、
前記継手部の肉厚が前記一般部の肉厚よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のトンネル補強構造。
【請求項7】
前記補強パネルのトンネル軸方向の端部の肉厚が、トンネル軸方向の端縁に向うに従って漸減していることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のトンネル補強構造。
【請求項8】
前記補強パネルの平面形状が、六角形を呈していることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のトンネル補強構造。
【請求項9】
複数の前記連結手段のうちの少なくとも一部により、トンネル軸方向に隣り合う補強パネル同士が連結されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のトンネル補強構造。
【請求項10】
複数の前記補強パネルが千鳥組みされており、
複数の前記連結手段の少なくとも一部が、三つの前記補強パネルに跨って配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のトンネル補強構造。
【請求項11】
既設トンネルの覆工内面に沿って配置される複数の補強パネルと、
少なくともトンネル周方向に隣り合う前記補強パネル同士を連結する複数の連結手段と、を具備するトンネル補強構造であって、
前記各連結手段は、前記補強パネルの表面側または前記補強パネルの裏面側に配置される接続プレートを有し、
前記接続プレートが、トンネル周方向に隣り合う前記補強パネル同士の突合部に対応する位置で折れ曲がっていることを特徴とするトンネル補強構造。
【請求項12】
既設トンネルの覆工内面に沿って複数の補強パネルを配置し、トンネル周方向に隣り合う補強パネル同士を、屈折した形状の表側接続プレートおよび裏側接続プレートを介して連結することで、トンネル補強構造を構築する方法であって、
前記表側接続プレートのうち、その折り目よりも下側に位置する下取付部を、先行して設置する第一の補強パネルの上縁部の表面に取り付けるとともに、前記裏側接続プレートのうち、その折り目よりも下側に位置する下取付部を、前記第一の補強パネルの上縁部の裏面に取り付けることで、前記表側接続プレートの折り目よりも上側に位置する上取付部と前記裏側接続プレートの折り目よりも上側に位置する上取付部とを対向させておき、
前記表側接続プレートの上取付部および前記裏側接続プレートの上取付部をガイドにして、前記第一の補強パネルの上側に配置する第二の補強パネルをトンネル軸方向にスライドさせることで、前記第一の補強パネルに対する前記第二の補強パネルの位置決めを行うことを特徴とするトンネル補強構造の構築方法。
【請求項13】
請求項4に記載のトンネル補強構造を補修する方法であって、
補修対象の前記補強パネルを固定する前記表側接続プレートを、補修対象外の前記補強パネルを貫通する1本のボルトを支点として回転させることで、当該表側接続プレートを補修対象の前記補強パネルと当接しない位置にずらす工程と、
補修対象の前記補強パネルを新たな補強パネルと交換する工程と、
前記表側接続プレートを回転させてもとの位置に戻し、当該表側接続プレートを介して前記新たな補強パネルを固定する工程と、を備えることを特徴とするトンネル補強構造の補修方法。
【請求項14】
請求項5に記載のトンネル補強構造を補修する方法であって、
補修対象の前記補強パネルを固定する前記プレート部材を、補修対象外の前記補強パネルを貫通する1本のボルトを支点として回転させることで、当該プレート部材を補修対象の前記補強パネルと当接しない位置にずらす工程と、
補修対象の前記補強パネルを新たな補強パネルと交換する工程と、
前記プレート部材を回転させてもとの位置に戻し、当該プレート部材を介して前記新たな補強パネルを固定する工程と、を備えることを特徴とするトンネル補強構造の補修方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−285844(P2010−285844A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142150(P2009−142150)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】
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