説明

トンネル覆工の天端部締め固め方法

【課題】 トンネル覆工の天端部に対して、適切な締め固めを行うことにより、施工品質を向上させることが可能なトンネル覆工の天端部締め固め方法を提供する。
【解決手段】 天端部型枠(セントルクラウン24)の任意の位置又は天端部型枠(セントルクラウン24)に設けられた検査窓部30に、バイブレータ挿入孔10を開口するとともに、当該バイブレータ挿入孔10を開閉する開閉蓋を設ける。コンクリートの打設中又は打設完了後に、開閉蓋を開閉しながら、コンクリート内部に、棒状バイブレータ40を挿入して締め固めを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル覆工の天端部締め固め方法に関するものであり、特に、両側を既設のトンネル覆工に挟まれた両ラップ区間や非常駐車帯区間等に好適に適用可能なトンネル覆工の天端部締め固め方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネル覆工を施工するには、トンネル掘削面の内部にセントルと称される型枠を設置し、トンネル掘削面と型枠との間隔内にコンクリートを打設するとともに、コンクリート中にバイブレータを挿入して締め固めを行っていた。この際、特に天端部付近において、効率的に作業を行うとともに、締め固め不足による空洞の発生や強度のバラツキ等の不良箇所が発生することを防止するため、いわゆる引き抜きバイブレータシステムによる締め固め方法が開発されている(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載されたトンネル覆工のコンクリート締め固め方法は、既設のトンネル覆工の端面に、バイブレータの電力供給ケーブルをガイドするガイド手段を設け、トンネル掘削面と型枠との空隙内にコンクリートを打設する前に、ガイド手段に電力供給ケーブルを移動可能に取り付けて、バイブレータをトンネル掘削面と型枠との間隔内に配置する。そして、バイブレータを引き抜きながら、既設のトンネル覆工近辺の天端部付近に供給されたコンクリートを締め固めることにより、天端部付近に打設されたコンクリートを広範囲で締め固めることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−356099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1に記載された技術は、標準施工区間において極めて有用な方法であるが、電力供給ケーブルをガイドするガイド手段や、電力供給ケーブルの巻取装置を設置しなければならない等の制約があり、両側を既設のトンネル覆工に挟まれた両ラップ区間には適用することができなかった。この両ラップ区間は、工区境のあと施工時や、坑口部をあと施工とした時に発生する施工区間である。また、非常駐車帯区間のように、標準施工区間とはトンネル断面積や施工長さが異なる施工区間では、費用対効果の関係から、引き抜きバイブレータシステム等を用いた締め固めを行っていないのが現状である。
【0006】
このため、両ラップ区間等における天端部の締め固めでは、随時、天端部型枠に設けられた検査窓部から棒状バイブレータを挿入することにより、コンクリートの締め固めを行っていた。一般的な締め固め方法では、標準施工区間のラップ側に設けられた打設孔から、標準工法における妻側へ向かってコンクリートを打設してゆくが、両ラップ区間の施工においては、妻側の検査窓部を締め切ってしまうため、この部分において、十分な締め固めができないこともあり、施工後のトンネル覆工の表面に縞模様が現れる等、出来映えがよくない場合があった。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、両ラップ区間等におけるトンネル覆工の天端部に対して、適切な締め固めを行うことにより、施工品質を向上させることが可能なトンネル覆工の天端部締め固め方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のトンネル覆工の天端部締め固め方法は、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。すなわち、本発明のトンネル覆工の天端部締め固め方法は、トンネル掘削面の内側に設置された天端部型枠の任意の位置又は天端部型枠に設けられた検査窓部に、バイブレータ挿入孔を開口するとともに、当該バイブレータ挿入孔を開閉する開閉蓋を設ける。そして、コンクリートの打設中又は打設完了後に、開閉蓋を開閉しながら、コンクリート内部に、バイブレータを挿入して締め固めを行う、ことを特徴とするものである。
【0009】
このようなトンネル覆工の天端部締め固め方法では、予め、天端部型枠(セントルクラウン)にバイブレータ挿入孔を形成し、このバイブレータ挿入孔に開閉蓋を設けておく。そして、両ラップ区間や非常駐車帯区間において、天端部に打設したコンクリートを締め固める際に、開閉蓋を開閉しながら、型枠内にバイブレータを挿入して締め固めを行う。この際、バイブレータ挿入孔の全周方向にバイブレータを移動させることにより、バイブレータ挿入孔付近を満遍なく締め固めることができる。
【0010】
また、本発明のトンネル覆工の天端部締め固め方法は、両側を既設のトンネル覆工に挟まれた両ラップ区間や非常駐車帯区間の最も妻側において、検査窓部の周囲を囲う堰部材を設け、検査窓部を開状態としてコンクリートを打設する際に、検査窓部から天端部型枠の外部へコンクリートが流出するのを防止しながら締め固めを実施する工程を含むことが好ましい。そして、当該工程が終了した後に、堰部材を解体するとともに検査窓部から外部へ取り出し、検査窓部を閉状態として、バイブレータ挿入孔の開閉蓋を開閉しながら、コンクリート内部に、バイブレータを挿入して締め固めを行う工程を実施する。
【0011】
さらに、堰部材は、打設されるコンクリートの流れ方向の上流側が下流側よりも高くなるように形成されていることが好ましい。このようなトンネル覆工の天端部締め固め方法では、既設のトンネル覆工側から打設されたコンクリートが妻側である検査窓部へ向かって流れるが、このコンクリートは堰部材によって堰き止められる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のトンネル覆工の天端部締め固め方法では、セントルクラウンに設けられたバイブレータ挿入孔の開閉蓋を開閉しながら、コンクリート内部にバイブレータを挿入して締め固めを行うことができる。これにより、標準施工区間とは異なり通常用いられている締め固め方法を適用することができない両ラップ区間や非常駐車帯区間等において、十分な締め固めを行うことができるので、トンネル覆工の表面に縞模様等が生じることがなく、施工品質を向上させることが可能となる。
【0013】
また、締め固めを行う際に特別な装置を必要とせず、セントルクラウンの任意の位置や既存の検査窓部にバイブレータ挿入孔を設けるだけでよく、施工費用を低減することが可能となる。
【0014】
また、両側を既設のトンネル覆工に挟まれた両ラップ区間や非常駐車帯区間の最も妻側において、検査窓部の周囲を囲う堰部材を設けて、検査窓部を開状態としてコンクリートを打設する工程を含む場合には、検査窓部からのコンクリート漏れを減少させることが可能となる。さらに、打設されるコンクリートの流れ方向の上流側が下流側よりも高くなるように形成された堰部材を用いて、締め固め作業を行うことにより、特にコンクリート漏れが顕著となる検査窓部の上流側においてコンクリートを堰き止めることができるので、さらに確実にコンクリート漏れを減少させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るトンネル覆工の天端部締め固め方法を適用するトンネルの概略断面図。
【図2】バイブレータ挿入孔及び棒状バイブレータによる締め固め範囲を示す説明図。
【図3】開閉蓋の側面図(a)及び平面図(b)。
【図4】天端部型枠の内部に設置する堰部材の斜視図。
【図5】天端部型枠の内部に設置する堰部材の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<天端部締め固め方法の概要>
以下、本発明のトンネル覆工の天端部締め固め方法の実施形態を説明する。
本発明の実施形態に係るトンネル覆工の天端部締め固め方法は、両側を既設のトンネル覆工に挟まれた両ラップ区間や非常駐車帯区間に好適に適用される方法である。そして、トンネル掘削面の内側に設置された天端部型枠(セントルクラウン)の任意の位置又は天端部型枠(セントルクラウン)に設けられた既設の検査窓部に、バイブレータ挿入孔を開口する。さらに、当該バイブレータ挿入孔には、挿入孔を開閉するための開閉蓋を設ける。この開閉蓋は、通常は閉状態となっており、バイブレータを挿入する際に開状態とすることができるようになっている。
【0017】
本実施形態では、コンクリートの打設中又は打設完了後に、開閉蓋を開閉しながら、コンクリート内部に、バイブレータ(例えば、棒状バイブレータ)を挿入して締め固めを行う。そして、両側を既設のトンネル覆工に挟まれた両ラップ区間や非常駐車帯区間の最も妻側において、検査窓部を開状態としてコンクリートを打設する際に、検査窓部の周囲を囲う堰部材を設けることにより、打設中のコンクリートが検査窓部から天端部型枠(セントルクラウン)の外部へ流出することを防止するようになっている。
【0018】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態に係るトンネル覆工の天端部締め固め方法を詳細に説明する。図1〜図5は、本発明の実施形態に係るトンネル覆工の天端部締め固め方法を説明するもので、図1はトンネルの概略断面図、図2はバイブレータ挿入孔及び棒状バイブレータによる締め固め範囲を示す説明図、図3(a)は開閉蓋の側面図、図3(b)は開閉蓋の平面図、図4は堰部材の斜視図、図5は堰部材の断面図である。
【0019】
<セントル(トンネル覆工用型枠)>
トンネル覆工を施工するには、図1に示すような、セントル(トンネル覆工用型枠)20を使用する。このセントル20は、バイブレータ挿入孔10を設けた点で本発明特有なものであるが、その他の構造は一般的なトンネル覆工工事に使用するものを用いることができる。一般的なセントル20は、図1に示すように、トンネル延長方向に敷設されたレール上を走行移動する本体台車21と、この本体台車21により支持されて、覆工コンクリートの打設に用いられる鋼製型枠22と、鋼製型枠22を施工位置にセットするセントルジャッキ23とを主な構成要素としている。一般的なセントル20のトンネル延長方向の長さは、10.5m程度である。
【0020】
<バイブレータ挿入孔>
本実施形態のセントルクラウン(天端部型枠)24には、図2に示すように、型枠内部におけるコンクリートの打設状況等を観察するための検査窓部30が適宜間隔で設けられている。この検査窓部30は蓋部材31を備えており、蓋部材31は一辺がセントルクラウン24に対して回動可能に取り付けられている(図5参照)。したがって、蓋部材31の一辺を回動支点として蓋部材31を回動させることにより、検査窓部30を開閉することができる。なお、図2において、符号80は、両ラップ区間における既設コンクリートを示す。
【0021】
天端部に位置する検査窓部30には、円形のバイブレータ挿入孔10が開口されている。一般的な検査窓部30の大きさは、450mm×550mm程度となっている。バイブレータ挿入孔10は、棒状バイブレータ40及び電力供給ケーブル41を挿入可能な内径を有しており、本実施形態では、直径10cm程度となっている。なお、検査窓部30にバイブレータ挿入孔10を設けるのではなく、セントルクラウン24の適宜位置にバイブレータ挿入孔10を設けてもよい。また、バイブレータ挿入孔10の形状は円形には限られず、4角形、6角形、8角形等の多角形であってもよいし、その他の形状であってもよい。
【0022】
1つのバイブレータ挿入孔10における棒状バイブレータ40の到達距離は2m程度であるため、トンネル延長方向の長さが10.5m程度のセントル20を用いる場合には、トンネル延長方向に4箇所程度のバイブレータ挿入孔10を設ければよい(図2参照)。また、トンネル延長方向の長さが6.2m程度である非常駐車帯の場合には、トンネル延長方向に2箇所程度のバイブレータ挿入孔10を設ければよい。
【0023】
<開閉蓋>
バイブレータ挿入孔10には、開閉蓋50が取り付けられている。この開閉蓋50は、図3(a)及び図3(b)に示すように、バイブレータ挿入孔10に填り込む円盤状の部材からなり、セントルクラウン24側には、開閉蓋50を押さえるための押さえ部材60が取り付けられている。この押さえ部材60は、セントルクラウン24に設けた支持部61と、支持部61に対して回動可能に取り付けた腕部62と、腕部62の先端部に設けたナット部63と、ナット部63に螺着した押さえネジ64と、を備えている。なお、開閉蓋50の形状は円盤状には限られず、バイブレータ挿入孔10の形状に合わせて適宜な形状とすることができる。
【0024】
バイブレータ挿入孔10を塞ぐには、バイブレータ挿入孔10に開閉蓋50を嵌め込み、支持部61を回動支点として、押さえネジ64が開閉蓋50に対向する位置にまで腕部62を回動させる。この状態で、押さえネジ64を回転させて、押さえネジ64の先端部を開閉蓋50に押し付けることにより、バイブレータ挿入孔10に開閉蓋50を取り付けた状態で保持する。一方、バイブレータ挿入孔10を開くには、押さえネジ64を回転させて、押さえネジ64の先端部が開閉蓋50から離れるようにする。この状態で、支持部61を回動支点として、押さえネジ64が開閉蓋50から外れる位置にまで腕部62を回動させ、バイブレータ挿入孔10から開閉蓋50を取り外す。
【0025】
<堰部材>
堰部材70は、セントルクラウン24の内部に取り付けて、検査窓部30の周囲を囲うことにより、検査窓部30を開状態としてコンクリート81を打設する際に、検査窓部30からコンクリート81が流出することを防止するための部材である。この堰部材70は、図4及び図5に示すように、検査窓部30に対してトンネル延長方向に掛け渡す一対の棒状部材71((90mm×90mm程度の断面を有する角材(例えば端太角))と、両棒状部材71の一側部に掛け渡す上流側堰板72と、両棒状部材71の略中間部に掛け渡す下流側堰板73と、一対の棒状部材71の側面に取り付けて、上流側堰板72と下流側堰板73の側面間を閉塞する一対の側面堰板74とからなる。なお、上流側又は下流側とは、打設されるコンクリート81の流れに対する方向であり、コンクリート81の打設開始側が上流側となり、妻側が下流側となる。
【0026】
本実施形態の堰部材70では、上流側堰板72の高さが下流側堰板73の高さよりも高くなっている。また、側面堰板74の高さは、上流側堰板72から下流側堰板73に向かって斜め下り傾斜している。これにより、特に打設中のコンクリート81の漏れが顕著となる上流側においてコンクリート81を堰き止めることができる。
【0027】
堰部材70を組み立てるには、蓋部材31が開状態となった検査窓部30からセントルクラウン24の内部に、棒状部材71、上流側堰板72、下流側堰板73、側面堰板74、及び堰部材70の組立に必要なその他の部材を搬入する。そして、一対の棒状部材71を検査窓部30に掛け渡し、この棒状部材71に対して上流側堰板72、下流側堰板73、側面堰板74を取り付ける。一方、棒状部材71から、上流側堰板72、下流側堰板73、側面堰板74を取り外すことにより、堰部材70を分解することができる。分解した堰部材70は、蓋部材31が開状態となった検査窓部30から取り出す。なお、堰部材70の分解及び取り出しは、検査窓部30を開状態としてコンクリート81を打設可能な工程が終了した際に行う。その後の工程では、検査窓部30を閉状態として、バイブレータ挿入孔10から棒状バイブレータ40を挿入して締め固めを行う。
【0028】
<バイブレータ>
本実施形態で使用するバイブレータは、コンクリート81の締め固めに通常使用している棒状バイブレータ40である。この棒状バイブレータ40には、フレキシブルな電力供給ケーブル41が接続されており、バイブレータ挿入孔10からコンクリート81内へ棒状バイブレータ40を挿入すると、その自重により棒状バイブレータ40が下向きに垂れ下がる。電力供給ケーブル41を持って棒状バイブレータ40を移動させることにより、バイブレータ挿入孔10の周囲全周にわたって締め固めを行うことができる。締め固めに使用するバイブレータは棒状バイブレータ40に限定されるものではなく、施工現場の状況等に合わせて、他の形状のバイブレータを使用してもよい。
【0029】
なお、既存の技術として伸縮バイブレータシステムが知られている。この伸縮バイブレータシステムは、油圧シリンダが附属したバイブレータをセントルに設けた開口部に取り付け、油圧シリンダを駆動することにより、バイブレータを開口部からセントルの内部へ挿入して、コンクリートの締め固めを行うようになっている。すなわち、従来の伸縮バイブレータシステムでは、締め固め対象となるコンクリートに対してバイブレータが直線状に進退するだけであり、広範囲にわたる締め固めを行うためには、セントルに多数の開口部を設け、各開口部にそれぞれバイブレータを取り付ける必要がある。これに対して、本実施形態で使用する棒状バイブレータ40は、電源供給ケーブル41を持って操作することにより、バイブレータ挿入孔10の周囲を広範囲に締め固めることができ、この点で、既存の伸縮バイブレータシステムとは異なる技術となっている。本実施形態では、例えば、1つのバイブレータ挿入孔10から1本の棒状バイブレータ40を挿入することにより、バイブレータ挿入孔10の周囲の全方位にわたって深度2m〜3m程度の締め固めを行うことができる。
【0030】
<締め固め>
本発明は、両ラップ区間や非常駐車帯区間に好適に適用するものであり、天端部付近までは、通常のトンネル覆工の施工方法と同様にして、コンクリート81の打設及び締め固めを行う。また、上述したように、両側を既設のトンネル覆工に挟まれた両ラップ区間や非常駐車帯区間の最も妻側では、バイブレータ挿入口10からコンクリート81内へ棒状バイブレータ40を挿入して締め固めを行う前工程において、検査窓部30を開状態とするとともに、セントルクラウン24の内部であって検査窓部30の周囲に堰部材70を組み立てて、コンクリートの打設及び締め固めを行う。
【0031】
そして、検査窓部30を閉状態としてコンクリート81を打設しなければならない天端部付近において、コンクリート81の打設中又は打設完了後に、開閉蓋50を開閉しながら、コンクリート81の内部に、棒状バイブレータ40を挿入して締め固めを行う。この際、適宜な作業工程において、セントルクラウン24内の検査窓部30付近に堰部材70を組み立てて、コンクリート81の漏れを防止する。締め固め工程では、棒状バイブレータ40の電力供給ケーブル41を持って、バイブレータ挿入孔10の全周方向に棒状バイブレータ40を移動させることにより、バイブレータ挿入孔10付近を満遍なく締め固める。その後、作業工程が終了に近づくと、適宜なタイミングで、堰部材70を分解して、検査窓部30の蓋部材31を開状態として、セントルクラウン24の外部に取り出す。
【0032】
実際の施工現場においては、バイブレータ挿入孔10の周囲の全方位にわたって深度2m〜3m程度の締め固めを行うことができた。さらに、開閉蓋50を閉めた状態で、セントルクラウン24の外面から型枠バイブレータの振動部を押し当て、開閉蓋50の周辺部を締め固めることにより、さらにトンネル覆工の品質を向上させることができる。
【符号の説明】
【0033】
10 バイブレータ挿入孔
20 セントル
21 本体台車
22 鋼製型枠
23 セントルジャッキ
24 セントルクラウン
30 検査窓部
31 蓋部材
40 棒状バイブレータ
41 電力供給ケーブル
50 開閉蓋
60 押さえ部材
61 支持部
62 腕部
63 ナット部
64 押さえネジ
70 堰部材
71 棒状部材
72 上流側堰板
73 下流側堰板
74 側面堰板
80 既設コンクリート
81 打設中のコンクリート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル覆工の天端部締め固め方法であって、
トンネル掘削面の内側に設置された天端部型枠の任意の位置又は天端部型枠に設けられた検査窓部に、バイブレータ挿入孔を開口するとともに、当該バイブレータ挿入孔を開閉する開閉蓋を設け、
コンクリートの打設中又は打設完了後に、前記開閉蓋を開閉しながら、コンクリート内部にバイブレータを挿入して締め固めを実施する、
ことを特徴とするトンネル覆工の天端部締め固め方法。
【請求項2】
両側を既設のトンネル覆工に挟まれた両ラップ区間や非常駐車帯区間の最も妻側において、前記検査窓部の周囲を囲う堰部材を設け、前記検査窓部を開状態としてコンクリートを打設する際に、前記検査窓部から天端部型枠の外部へコンクリートが流出するのを防止しながら締め固めを実施する工程を含み、
前記工程が終了した後に、前記堰部材を解体するとともに前記検査窓部から外部へ取り出し、前記検査窓部を閉状態として、前記バイブレータ挿入孔の開閉蓋を開閉しながら、コンクリート内部にバイブレータを挿入して締め固めを行う工程を実施する、
ことを特徴とする請求項1に記載のトンネル覆工の天端部締め固め方法。
【請求項3】
前記堰部材は、打設されるコンクリートの流れ方向の上流側が下流側よりも高くなるように形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のトンネル覆工の天端部締め固め方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−99228(P2011−99228A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253763(P2009−253763)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
【Fターム(参考)】