説明

トンネル防水構造用の防水シート

【課題】 一次覆工の不陸に沿って固定された凹凸のある通水層であっても、十分な強度で防水シートを当該通水層に固定することができるトンネルの防水構造を提供する。
【解決手段】 アーチ状に掘削したトンネルの地山の内面又は一次覆工の内面に設けられ、地山の内面又は一次覆工の内面に内面を覆うように固定された不織布、織布又はネットからなる通水層と、通水層を覆った状態で通水層に固定された防水シートによる防水層とを備える。防水シートを通水層に固定する面ファスナが、トンネルのアーチ方向に間隔をあけて複数列設けられ、かつ、面ファスナが、点状面ファスナと線状面ファスナとからなる。面ファスナの各列は、それぞれ防水シート上の水をトンネルの側端部へ流出させるべく面ファスナが間隔をあけて設けられてなることが好ましい。また、面ファスナの複数の列は、点状面ファスナが配列された点状面ファスナ列と、線状面ファスナが配列された線状面ファスナ列とが交互に設けられてなることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてNATM工法で掘削したトンネルの一次覆工面に配置される防水構造に用いる防水シートに関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル建設に際しては、出来上がったトンネルが堅牢であることは勿論、十分な防水性を備えたものであることが望まれる。その理由は、特に寒冷地のトンネルで、防水性がないとトンネル内に滲出した水が凍って氷柱となってトンネル内に垂下し、事故の原因になるばかりでなく、トンネル自体が凍結して歪が生じ、この歪が解凍後に残留して長い年月の間に損壊に至るおそれがあるからである。
【0003】
従来、NATM工法によりアーチ状に掘削したトンネルの地山に形成した一次覆工面に設置する防水構造に用いる防水シートについては、数多くの提案がなされている。一例として、図5に断面図で示した構造の防水シートがある。図5の防水シート10は、通水層として作用する適宜幅の不織布11の表面に、この不織布11より幅広のEVA樹脂などによる防水シート材12を、その幅方向の複数個所で溶着13又は接着することにより積層し、前記の不織布11の図5における左右両側部11a,11bの部位と裏面略中央部に設けたセンター取付ヒレ14とを取付部として、例えばこれらの取付部をコンクリート釘5によって一次覆工面に固定することにより、防水シート10が一次覆工面に固定されるようになっている。
【0004】
しかし、コンクリート釘5による一次覆工層への固定箇所は、不織布11の左右両側部11a,11bと略中央部のセンター取付ヒレ14の箇所に限定されているため、これらの固定箇所が一次覆工層に設けられた支保工などに対面すると、コンクリート釘5を打込むことができず、一次覆工層への防水シート10が固定したい箇所で固定できないことがあった。
【0005】
この点に鑑み、一次覆工層に不織布(通水層)を釘止め等により固定し、しかる後、防水シート材を前記不織布(通水層)に固定するようにした防水シートが特許文献1や同2により提案された。提案された防水シートにおける防水シート材の不織布(通水層)への固定は、防水シート材の裏面に面ファスナの雄部材を設け、この面ファスナ雄部材を不織布(通水層)に対向させて防水シート材を不織布へ押圧し、面ファスナを不織布(通水層)に係着させることによりなされている。この構造により、不織布(通水層)の釘止め位置を一次履工の支保工などを避けた任意の位置に選択できるから、防水シートを固定位置を設計通りに施工することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2729986号公報
【特許文献2】特許第4207068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
不織布による通水層に、防水シート材の裏面に設けた面ファスナ雄部材によって取付るようにした防水シートは、特許文献1のものは面ファスナの雄部材が防水シート材に点在する形で設けられている。また、特許文献2では帯状の防水シート材の裏面に、当該防水シート材の長手方向に沿って平行な線状となるように面ファスナの雄部材が設けられている。しかし、面ファスナの雄部材が防水シート材の裏面に点在するように設けられた防水シートでは、一次覆工面の不陸がある凹凸面に貼設された不織布(通水層)に対して、面ファスナ雄部材が点在していることにより、シート材の全面的な固着ができず、固定力が不足する面があった。一方、防水シート材の長手方向すなわちアーチ方向に沿って線状に面ファスナ雄部材を設けた構造のシート材では、防水シート材がトンネルのアーチ方向に沿って曲がり難くなるため、先にトンネルのアーチ方向に沿って貼設された不織布に対する係着作業が行い難いのみならず、不陸のある一次覆工面の凹凸に固定された不織布(通水層)に対して面ファスナ雄部材が係着されない箇所が生じると、その部が通水層である不織布から浮き、全体として通水層に対する防水シートの固定力が不十分になることがあった。
【0008】
そこで、本発明は、一次覆工面の不陸に沿って固定された凹凸のある不織布などによる通水層であっても、作業が行い易く、十分な固着強度で防水シート材を当該通水層に固定することができるトンネル用の防水シートを提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決することを目的としてなされたトンネルの防水構造用の本発明防水シートの構成は、アーチ状に掘削したトンネルの一次覆工面に覆設される不織布,織布又は網などによる通水層と、この通水層を覆って固定される防水シート材による防水層とから成るトンネルの防水構造に用いる防水シートにおいて、防水シートは、前記通水層に固定される面ファスナの雄部材が、防水シート材の裏面に、トンネルの奥行き方向に沿って間隔をあけて複数列設けられていると共に複数列の面ファスナの雄部材は、防水シート材の裏面に点在状および線在面に設けたことを特徴とする。
ここで、点在状とは、防水シート材の裏面に対して面状ファスナの雄部材の集合体が適宜平面形状で散点状に配置されていることをいい、また、線在状とは前記雄部材の集合体が適宜長さの線状をなすように配置されていることをいう。以下、この明細書において同じである。
【0010】
本発明では、防水シート材を通水層に固定するための面ファスナの雄部材が、トンネルの奥行き方向に沿って間隔をあけて、当該シート材裏面に、点在状と線在状で複数列設けられていることにより、防水シート材の通水層への固定を通水層の凹凸面の有無に拘らず、防水シート全面において略均一にできる。また、面ファスナの雄部材は、トンネルの奥行き方向に間隔をあけて点在状と線在状に複数列設けられていることにより、防水シート材はトンネルのアーチ方向にも奥行方向に沿っても曲げ易く、一次覆工面の不陸により凹凸になった通水層であっても、十分な係着強度で防水シート材を固定できる。
【0011】
特に、面ファスナ雄部材が点在状と線在状に設けられていることにより、トンネルのアーチ面に沿って帯状の防水シート材の曲げフレキシビリティーが高まるので作業性が良好であり、これにより十分な係着強度で防水シート材を通水層に固定することができる。従って、一次覆工面の不陸に沿って凹凸面に形成された通水層であっても、十分な係着強度で防水シート材をその通水層に固定することができる。
【0012】
本発明防水シートでは、施工された防水シート材の通水層側の面に水が溜まることがあっても、その水をトンネルの側壁下部へ流出させることができるように、面ファスナの雄部材は、互に間隔をあけて配置している。この配置において、面ファスナ雄部材の複数の列は、点在状の面ファスナ雄部材の配列と、線在状の面ファスナ雄部材の列が、交互になるように配置するとよい。ここで、点在に配置する面ファスナ雄部材は、雄部材集団の形状を平面から見て円形、楕円形、或は、多角形などの任意の面形状にでき、また、線在状に配置する面ファスナ雄部材は、その雄部材を細長い線状の面ファスナ雄部材に形成する。
なお、列設される面ファスナ雄部材の列の間隔は、天井側の部分を、トンネルの両側壁の部分よりも狭い間隔で形成するとよい。係着部にかかる防水シート材の重量を天井側で好適に支えるためである。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、不織布などによる通水層に係着される防水シート材に設ける面ファスナの雄部材の配置態様に工夫を凝らしたので、一次覆工面に先に固定された通水層に対する係着固定作業が行い易いのみならず、この作業において、一次覆工面の不陸に沿って凹凸に形成された通水層であっても、十分な係着強度で防水シート材をその通水層に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明防水シートを適用するトンネルの一例を示す概略断面図。
【図2】本発明防水シートにおける防水シート材に面ファスナ雄部材を点在状と線在状に配設した状態の一例を示す平面図。
【図3】本実施形態において2枚の防水シート材側縁の接合部を説明するための要部の断面図で、(a)は2枚の防水シートの側縁を対向させた状態を示す図、(b)は2枚の防水シートの側縁を接合し、接合部分を一方の防水シート材の側に折り曲げた状態を示す図。
【図4】本発明防水シートにおける防水シート材に配設する面ファスナ雄部材の配置パターンの他の例を示す要部の平面図で、(a)は線在状の面ファスナ雄部材を同一方向に傾斜させて設けた例を示す図、(b)は線在状の面ファスナ雄部材を互い違いに傾斜させて設けた例を示す図。
【図5】従来のトンネル防水構造に用いられる防水シートの一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、トンネルの防水構造に用いる本発明防水シートの一実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1及び図3に示すように、本実施形態例におけるトンネルの防水構造は、掘削したトンネル1の地山2の内面2aに形成した吹付コンクリート等の一次覆工3の内面3aに設けられる。本実施形態例のトンネルの防水構造は、一次覆工3の内面3aに固定された不織布による通水層4と、通水層4を覆ってこの層4に固定された防水シート材6による防水層と、防水シート材6を通水層4に固定するため防水シート材6の裏面に設けた面ファスナの雄部材7とを備えたものである。尚、本実施形態では、トンネルの防水構造を一次覆工3の内面3aに設けた場合について説明するが、本発明は掘削したトンネル1の地山2の内面にトンネルの防水構造を設けたものに適用できることは言うまでもない。
【0016】
通水層4は、透水性及び可撓性を有し、面ファスナ7の雄部材が係着されて防水シート材6が固定されるもので、一例として緩衝性のある不織布で形成されている。通水層4としては、トンネルの防水構造に用いられる公知のもの、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン等の合成繊維よりなる不織布、織布又は網等を用いることができる。通水層4は、所定の箇所をコンクリート釘5等の固定部材で一次覆工3の内面3aにその内面3aを覆うように固定される。通水層4の不織布を用いたときの厚さは、2〜6mm程度が望ましいが、トンネルの出入口付近で5mm前後、それ以外の場所で3mm前後の厚さが経験的に望ましい。
【0017】
防水層は、通水層4を覆う防水シート材6によって形成されている。防水シート材6としては、例えば、EVA樹脂、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂等で形成されたシート材を用いる。防水シート材6の厚さは、施工時の作業性、作業時の破れ防止や曲がり易さを考慮すると、約0.6〜2.0mm程度が好ましい。実際には0.8mm程度であれば十分である。
【0018】
ここで、図2の防水シート材6は、設置するトンネル1のアーチ方向(周方向ということもある。)の長さに対応する長さを有する帯状に形成したものである。防水シート材6の長さは、このシート材6を設置するトンネル1によって任意に設定できる。このように、防水シート材6は、このシート材6を設置するトンネル1のアーチ方向の長さに対応する長さの帯状に形成することにより、1枚の防水シート材6でトンネル1のアーチ方向全長の防水構造を形成することができる。なお、防水シート材6の形状は、帯状に限定されない。
【0019】
防水シート材6における左右幅方向の両縁部は、図2及び図4に点線によって模式的に示すように、隣接する防水シート6の側縁部と互いに接合するための接合しろ6aとして機能する。すなわち、防水シート材6をトンネル1のアーチ方向に沿って一次覆工面3aに固定したら、先に固定されている防水シート材6の側縁の接合しろ6aを溶接(接合)し、順次、防水シート6材をその下に設置されている通水層4へ固定しつつ接合しろ6aでの接合を行ってアーチ型に防水層を形成しつつトンネル1の奥行き方向に延びて施工される。
【0020】
防水シート材6の左右幅は、この防水シート材6の取付方法などにより任意に設定できるが、取付を手作業で取付を行う場合には、接合しろ6aを除いた部分の幅、すなわち実際に通水層4を覆う幅は大きくても4000mm以下であり、具体的には2000mm前後の寸法が好ましい。因みに、実際に通水層4を覆う部分の幅を2000mm、その外側の左右の接合しろ6aを夫々に100mmの幅で形成した場合には、防水シート材6の幅は、2200mmである。また、機械により防水シート材6の取付を行う場合には、手作業で取付を行う場合に比して大きく、例えば、通水層4を覆う幅を5000〜10000mm前後の寸法にすることもある。
【0021】
面ファスナの雄部材7は、通水層4を形成する繊維に絡むように係着されて防水シート材6を通水層4に固定するための部材である。面ファスナの雄部材7の一例としては、防水シート材6に固着される平板状の基部と、この基部の上面側に突出して多数設けられた、先端が鉤状や茸状などに形成された係止突起とを備えたものを用いる。係止突起は、通水層4に係着されるものであればその先端の形状は茸状や鉤状に限定されず、フック状や他の形状であってもよい。面ファスナ7における基部の防水シート材6への固着は、例えば、接着剤や粘着剤等、防水シート材6に孔をあけない態様でなされる。
【0022】
次に面ファスナ7の雄部材の設置態様の例について説明する。面ファスナの雄部材は、防水シート材6を通水層4に固定するためのものであり、本発明では、トンネル1の奥行き方向に沿って防水シート材6の裏面に間隔をあけて複数列設けられている。複数列の面ファスナの雄部材7は、点在状の面ファスナ雄部材7aと線在状の面ファスナ雄部材7bにより形成されている。点在状の面ファスナ雄部材7aは、その平面形状で、例えば、円形、楕円形、三角形や四角形などの多角形から選ばれた1つの形状又は2つ以上の形状の組合せで形成したものを用いることができる。線在状の面ファスナ雄部材7bは、雄部材が細長い線状に形成されたものである。
【0023】
防水シート材6の裏面においてトンネル1の長手方向に沿って間隔をあけて配置された面ファスナの雄部材7は、例えば、図2に示すように、点在状の面ファスナ7aを配列された点在状の列と、線在状の面ファスナ雄部材7bが配列された線在状の列とを交互に配列したものが典型例である。また、線在状の面ファスナ雄部材7bは、その長手方向がトンネル1の長手方向(防水シート材6の幅方向)に関して、平行(図2参照)でも傾斜した状態でもよい。線在状の面ファスナ雄部材7bを、トンネル1の長手方向(防水シート材6の幅方向)に関して傾斜させる場合は、図4(a)に例示するように、同一方向に傾斜させてもよいし、図4(b)に例示するように、互い違いになるように傾斜させてもよい。
【0024】
前記面ファスナ雄部材7の配列間隔は、図2,図4に例示した間隔に限られるものではなく、防水シート材6を通水層4に十分に固定し得るものであれば任意である。また、この複数の面ファスナ雄部材7の列の間隔は、トンネル1の天井側と両側壁の側では面ファスナの雄部材7が通水層4に係着されたときに掛かる荷重が、天井側が大きいので、トンネル1の両側壁部分の間隔を天井側の間隔よりも広くすることができる。
【0025】
次に、上述のように構成される本発明防水シートを用いたトンネルの防水構造の施工について概設する。NATM工法などにより掘削したトンネル1の地山2に形成した吹付コンクリート等による一次覆工3の内面3aに、一例として不織布の通水層4をコンクリート釘5によって前記内面3aを覆うように固定する。この通水層4に面ファスナの雄部材7を対向させた1枚の防水シート材6を当該シート材6の表面側から押して通水層4に押し付ける。この押し付けにより面ファスナ7の係止突起が通水層4に係着されるので、防水シート材6はトンネル1のアーチ方向に沿って一時覆工面に展設される。
【0026】
防水シート材6の通水層4への係着固定は、最初に防水シート材6の中央部位をトンネル1の天井部分に位置した通水層に押し付け、引きつづいてこの防水シート材6の中央部位から左右の両端部方向に向けて徐々に押し付ける箇所を移動して行う。これにより、一次覆工3の内面3aに沿って配設された通水層に凹凸面があっても、その凹凸面に防水シート材6の面がよく馴染むので、一次覆工内面3aに沿って防水シート材6を面ファスナ7によって通水層4に係着固定することができる。ここで、防水シート材6として透明又は半透明のシートを用いれば、その表面から面ファスナの雄部材7と通水層の係着状況が確認できるので、防水シート材6の通水層4への固定作業を容易且つ確実に行うことができる。
【0027】
本発明では、防水シート材6に面ファスナ7がトンネル1の奥行き方向において間隔をあけて複数列設けられていることにより、防水シート6材はトンネル1のアーチ方向及び奥行き方向のいずれの方向に沿っても容易に曲げることができるので、トンネル1の一次覆工3の不陸に沿って凹凸面が形成された通水層4であっても、その凹凸によく馴染んで一次覆工内面3aに沿った防水構造を形成することができる。
【0028】
また、本発明防水シートでは、面ファスナの雄部材7が、点在状の面ファスナ雄部材7aの列と線在状の面ファスナ雄部材7bの列が交互に配列されているにより、凹凸面のある通水層4であっても、よくその凹凸に馴染んで一次覆工の内面3aに十分な強度で防水シート材6と通水層4とが積層固定された防水構造を形成することができる。
【0029】
上記のようにして、この防水シート材6の通水層4への固定防水シート材6同士の接合しろ6aの接合を地山2を順次行うことにより、トンネル1の長手方向にアーチ型に延びる防水層構造を一時覆工面の上に形成することができるので、この防水構造の上から二次コンクリートを打設して二次覆工8(図1参照)を形成することにより、一例としてNATM工法によるトンネル1が構築される。
【0030】
以上に述べたように、トンネルの防水構造に本発明防水シートを用いれば、防水シート材6に点在状と線在状の面ファスナ雄部材7をトンネル1の奥行き方向に沿って間隔をあけて複数列設けて、これを通水層との係着手段としたので、防水シート材6のアーチ方向及び奥行き方向のいずれかの方向でも曲げが容易であり、従って、この防水シート材6の通水層4への固定を防水シート材6全面においてほぼ均一にすることができる。この特性によって一次覆工3の不陸に沿って凹凸面が形成されたような通水層4であっても、よくその凹凸に馴染んで防水シート材6を当該通水層4に十分な強度で固定することができる。このように、本発明防水シートを用いると、信頼性及び耐久性の高いトンネルの防水構造を容易に施工することが可能となるので、本発明防水シートは、各種のトンネルの防水構造およびその施工に有効に利用し得る。
【符号の説明】
【0031】
1 トンネル
2 地山
2a 内面
3 一次覆工
3a 内面
4 通水層
5 コンクリート釘
6 防水シート材
7 面ファスナ
8 二次覆工


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーチ状に掘削したトンネルの地山の内面又は一次覆工の内面に設けられ、前記地山の内面又は前記一次覆工の内面に前記内面を覆うように固定される不織布、織布又は網による通水層と、前記通水層を覆うようにその通水層に固定される防水シート材による防水層とを備えたトンネルの防水構造に用いる防水シートであって、
前記防水シート材を前記通水層に固定する面ファスナの雄部材を、前記トンネルの奥行き方向に沿って間隔をあけて複数列設けると共に、前記面ファスナの雄部材は、点在状の面ファスナ雄部材と線在状の面ファスナ雄部材により形成したことを特徴とするトンネルの防水構造に用いる防水シート。
【請求項2】
面ファスナ雄部材の複数の列は、点在状の面ファスナの雄部材の列と、線在状の面ファスナの雄部材の列とが交互に設けられた請求項1に記載の防水シート。
【請求項3】
面ファスナの雄部材の各列は、防水シート材上の水をトンネルの側壁の下端部へ流出させることができる配置態様で防水シート材に設けられた請求項1又は2に記載の防水シート。
【請求項4】
点在状の面ファスナ雄部材は、平面から見て円形、楕円形又は多角形の少なくとも1つの形状に形成され、線在状の面ファスナ雄部材は、細長い線状に形成された請求項1〜3のいずれかに記載の防水シート。
【請求項5】
面ファスナ雄部材の列の間隔は、前記トンネルの両側壁の部分を天井側の部分よりも広く形成した請求項1〜4のいずれかに記載の防水シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−82603(P2012−82603A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228785(P2010−228785)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(505132770)株式会社エイチ・アール・オー (5)
【出願人】(502198320)株式会社エイチケーエス (4)
【Fターム(参考)】