説明

トーションダンパー装置

【課題】 設置する際に筋交いを設ける必要がなく、構造が簡単でコンパクトであり、建物内の床下や天井裏など容易に収納でき、設置箇所の制約が少ないトーションダンパー装置を提供する。
【解決手段】 内筒2の周囲に外筒3を同心状に配置するとともに、内筒2と外筒3の間に粘弾性部材または弾性部材からなるエネルギー吸収体4を介在させて相対回転可能に一体的に結合してなるトーションダンパー装置1で、外筒3の長手方向の一部を円周方向に開口し、この円環状開口3a内の内筒2に対し一端を内筒2と一体に回転可能に固定したバー6の他端を外方へ突出させ、外筒3に同外筒3を固定するための固定具7を一体的に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として建築構造用および土木構造用骨組みおよび機械設備の振動低減用で回転・ねじれ方向のエネルギーを吸収(減衰)するためのトーションダンパー装置に関する。詳しくは、円筒状または円盤状の形状をしており、内筒と外筒または相対向する一対の円板を配し、その間隙部に粘弾性部材からなるエネルギー吸収体もしくは弾性部材の少なくとも一方を介在させて相対回転可能に組み付けた構造のトーションダンパー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記した建築構造用骨組みにおいて、例えば、建築構造物(柱)の回転方向(回転変位)に対する減衰効果を向上する場合に、これまでのダンパー装置50は、図2(b)に示すように筋交い51の途中にエネルギー吸収体52を設けた構造からなっている。つまり、エネルギー吸収体52には直進方向の負荷が作用し、振動の低減が図られる。このため、図2(b)のように柱21と柱21の間の空間部において、一方の柱21・梁22との交差部から他方の柱21と梁22との交差部にわたって筋交い状に設置する、いいかえればダンパー装置50の設置箇所に壁等を設けて覆い隠すタイプであった。
【0003】
この種のダンパー装置に関する先行技術に、内筒状剛性部材を中心に外周側を順に囲繞するように口径を段階的に大きくした複数の外筒状剛性部材を配置するとともに、内外の前記各剛性部材間に粘弾性エネルギー吸収体を介在させてそれぞれ相対変位可能に一体的に結合してなるエネルギー吸収ユニット構造を備えたダンパー装置、および内筒状剛性部材の長さを外筒状剛性部材に比べて長寸にし、内筒状剛性部材の外周側に同内筒状剛性部材を囲繞するように2本の内筒状剛性部材を長手方向に間隔をあけ配置するとともに、内外の前記剛性部材間にそれぞれ粘弾性エネルギー吸収体を介在させて相対変位可能に一体的に結合してなるエネルギー吸収ユニット構造を備えたダンパー装置が提案されている。また、内筒状剛性部材と外筒状剛性部材との内外の筒状壁間に跨る延伸性プラグを、エネルギー吸収体に対し軸方向に直交する方向に貫通させて設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−278411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の先行技術に係るダンパー装置は、図29に示すように、建築構造物の相対向する柱と相対向する梁の交差部間に対角線状に配置される筋交いを設け、その筋交いの途中にダンパー装置の主要部であるエネルギー吸収体が設置されていた。したがって、筋交いなどの支持部材が必要で構造が複雑になる上、大きな設置スペースを占有し、また設置箇所を建物内に収納して外から見えないようにする場合は、壁面内などの制約を受けることになるため、非常に限られた箇所にしか設置できなかった。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、設置する際に筋交いを設ける必要がなく、構造が簡単でコンパクトであり、建物内の床下や天井裏などに容易に収納でき、設置箇所に制約が少ないトーションダンパー装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明に係るトーションダンパー装置は、内側円筒状部材または内側円柱部材の周囲に外側円筒状部材を配置するとともに、前記内側円筒状部材または内側円柱部材と外側円筒状部材との両部材間に粘弾性部材からなるエネルギー吸収体または弾性部材の少なくとも一方を介在させて前記両部材を相対回転可能に一体的に結合してなるトーションダンパー装置であって、
前記外側円筒状部材の長手方向の一部を円周方向に帯状に開口し、この帯状開口内の前記内側円筒状部材または内側円柱部材に対し一端を前記内側円筒状部材または内側円柱部材と一体回転可能に固定した、固定用レバーの他端を外方へ突出させ、前記外側円筒状部材にこの外側円筒状部材を非回転状態に固定するための固定具を一体的に設けたことを特徴とする。
【0008】
上記の構成を有する本発明のトーションダンパー装置によれば、従来の対角線(ブレース)上に配置する直線状のダンパー装置のように、構造骨組み内に対角線状に配置する必要がない。このため、ダンパー装置の設置箇所に壁などの収納部を造らなくて済み、また設置箇所の制約を受けにくい。また、ダンパー装置本体がねじれ(回転し)て衝撃や外力を吸収するので、直線方向(いいかえれば圧縮方向や引張方向)に作用する従来のダンパー装置のように、建築物内のスペースをブレース状の従来型のダンパーや,これらを収納した壁で仕切る必要がなくなり,空間を一体的に有効利用できる。さらに、構造骨組みの梁と柱の交点にダンパー装置を設置した場合は,ダンパーを天井内や床下などに収納できるために、ブレースを必要としないラーメン構造と同様な自由な空間の利用を可能にしながらも、ブレースにダンパーを配置した場合と同様な高い構造骨組みのエネルギー吸収性能を得ることができる。
【0009】
請求項2に記載のトーションダンパー装置は、内側円筒状部材または内側円柱部材の周囲に外側円筒状部材を配置するとともに、前記内側円筒状部材または内側円柱部材と外側円筒状部材との両部材間に粘弾性部材からなるエネルギー吸収体または弾性部材の少なくとも一方を介在させて前記両部材を相対回転可能に一体的に結合してなるトーションダンパー装置であって、
前記内側円筒状部材または内側円柱部材の少なくとも一端部を前記外側円筒状部材の一端開口から突出させ、前記外側円筒状部材に対して固定用レバーの一端を一体回転可能に固定し、前記内側円筒状部材または内側円柱部材にこれらの内側円筒状部材または内側円柱部材を非回転状態に固定するための固定具を一体的に設けたことを特徴とする。
【0010】
上記の構成を有する請求項2に係るトーションダンパー装置によれば、上記請求項1に係るトーションダンパー装置と同様の作用効果を期待できる。
【0011】
また、請求項1または請求項2のトーションダンパー装置において、前記内側円筒状部材または内側円柱部材の周囲における前記外側円筒状部材の配置は同心状であっても、あるいは前記内側円筒状部材または内側円柱部材の中心位置から一方へ偏心させていてもよい。同心状に配置した場合は、捻り力(エネルギー吸収力)が内側(円筒状または円柱状)部材に対する外側(円筒状)部材の回転角度に正比例して増大するのに比べて、偏心させて配置した場合には、偏心のさせ方で外側(円筒状)部材の回転角度によって捻り力(エネルギー吸収力)が変化するので、偏心のさせ方を考慮する必要がある。
【0012】
請求項3に記載のトーションダンパー装置は、内側円筒状部材または内側円柱部材の周囲に外側円筒状部材を配置するとともに、前記内側円筒状部材または内側円柱部材と外側円筒状部材との両部材間に粘弾性部材からなるエネルギー吸収体または弾性部材の少なくとも一方を介在させて前記両部材を相対回転可能に一体的に結合してなるトーションダンパー装置であって、
前記両部材間の長手方向の中間位置に前記弾性部材としての天然ゴム系弾性ゴムまたは前記粘弾性部材としてのダンパー系高減衰ゴムを加硫接着するとともに、前記天然ゴム系弾性ゴムまたはダンパー系高減衰ゴムの両側方において前記両部材間に中筒を配置し、各中筒と前記内側円筒状部材または内側円柱部材との間に前記弾性ゴムまたは前記高減衰ゴムを加硫接着し、前記外側円筒状部材の両側部にタッピングネジを前記中筒に達しないようにねじ込み、
前記内側円筒状部材または内側円柱部材の少なくとも一端部を前記外側円筒状部材の一端開口から突出させ、前記外側円筒状部材に対して固定板の一端を一体回転可能に固定し、前記内側円筒状部材または内側円柱部材の突出端部にレバーを一体回転可能に設けたことを特徴とする。
【0013】
上記構成を備えた請求項3に記載のトーションダンパー装置によれば、長手方向中間位置の天然ゴム系弾性ゴムまたはダンパー系高減衰ゴムと吸収減衰を目的とする対象物との釣り合い(中立)状態で、タッピングネジを前記中筒にねじ込むことにより、天然ゴム系弾性ゴムおよびダンパー系高減衰ゴムが複合的に機能し、釣り合い(中立)状態を原点として作動することにより,対象物の振動を効率よく吸収減衰する。
【0014】
従来は,金属製のバネと,液体や気体を用いたダンパーの,2つの部材を組み合わせることによりサスペンションを構成していた。本発明のダンパーでは,同軸上に配置された天然ゴム系弾性ゴムが従来の金属製バネの機能を発揮し,高減衰ゴム(または請求項5の延伸性プラグ)が、液体や気体を用いたいわゆるダンパーの機能を発揮する。この結果、従来2つの部材が必要であった機能を、1つの部材で機能を発揮できる。このために、サスペンション装置の小型・軽量化に有効である。
【0015】
請求項4に記載のように、前記内側円筒状部材または内側円柱部材の両端部を前記外側円筒状部材の一端開口からそれぞれ突出させ、前記内側円筒状部材または内側円柱部材の両端部に固定用レバーをそれぞれ前記内側円筒状部材または内側円柱部材と一体回転可能に固定することができる。
【0016】
このようにすれば、固定用レバーを介して内側円筒状部材または内側円柱部材を建造物の柱や梁などに対しそれらと一体に変位可能に固定することができる。
【0017】
請求項5に記載のように、前記エネルギー吸収体よりも高剛性で脆性的なプラグもしくはせん断変形能力の高い延伸性プラグの片方もしくは両方を、前記内側円筒状部材または内側円柱部材と前記外側円筒状部材との内外の筒状壁間に跨り、かつ前記エネルギー吸収体に対し軸方向に直交する方向に貫通させて設けることができる。
【0018】
このようにすれば、建造物等の特に骨組みの剛性を高めて風や小さな地震では揺れないように安定して維持できるとともに、所定の応力を超える外力が作用したときには、延伸性プラグが変形しエネルギー吸収体と一体になってエネルギーを吸収し、揺れや振動等を抑制することができる。
【0019】
請求項6に記載のように、一対の前記延伸性プラグを前記各円筒状部材または内側円柱部材の軸方向から見て左右対称に設けることができ、また請求項7に記載のように、一対の前記延伸性プラグからなる複数組の延伸性プラグを前記各円筒状部材または内側円柱部材の軸方向に位置をずらせて設けることもできる。
【0020】
このように構成すれば、エネルギー吸収体(粘弾性部材)または弾性部材と延伸性プラグとの2種類のエネルギー吸収体か弾性部材かの二者を選択して組み合わせることができ、建築物構造や木造構造などに適合した強度とエネルギー吸収力または弾性力との両方をトーションダンパー装置に持たせることができ、また延伸性プラグは、通常、エネルギー吸収体に対し必要な個数を挿入して取り付けるので、強度とエネルギー吸収力または弾性力との調整が容易に行える。
【0021】
請求項8に係るトーションダンパー装置は、相対向する一対の円板をそれらの中心部を通るセンターシャフトを介して相対回転可能に配置するとともに、前記両円板間の前記センターシャフト周りに粘弾性部材からなるエネルギー吸収体または弾性部材の少なくとも一方を介在させて前記両円板を相対回転可能に一体的に結合してなる装置本体を備えたトーションダンパー装置であって、一対の前記円板のうちの一方の円板から固定用レバーをそれぞれ半径方向に張り出して一方の前記円板と一体回転可能に設けたことを特徴とする。
【0022】
上記の構成を有する請求項8に係るトーションダンパー装置によれば、上記の請求項1および請求項2のトーションダンパー装置と同様の作用効果を期待できるほか、全体が円盤状からなるので、厚みを薄くすることで設置スペースを縮小でき、天井裏や床下などへの収納が一層容易になる。また、円板の直径や円板間の距離を拡げたり縮めたりすることにより、エネルギー吸収体の吸収能力または弾性部材の弾性力を調整することができる。
【0023】
請求項9に記載のように、前記エネルギー吸収体よりも高剛性の延伸性プラグを、前記両円板間に跨り前記エネルギー吸収体または弾性部材を貫通させて設けることができる。なお、前記エネルギー吸収体よりも高剛性の延伸性プラグを、前記両円板間に跨り前記エネルギー吸収体または弾性部材を貫通させないで設けることもできる。
【0024】
このようにすれば、建造物等の特に骨組みの剛性を高めて風や小さな地震では揺れないように安定して維持できるとともに、所定の応力を超える外力が作用したときには、延伸性プラグが変形しエネルギー吸収体または弾性部材と一体になってエネルギーを吸収または緩和し、揺れや振動等を抑制することができる。
【0025】
請求項10に係るトーションダンパー装置は、相対向する一対の円板をそれらの中心部を通るセンターシャフトを介して相対回転可能に配置するとともに、前記両円板間の前記センターシャフト周りに粘弾性部材からなるエネルギー吸収体または弾性部材の少なくとも一方を介在させて前記両円板を相対回転可能に一体的に結合してなる装置本体を備えたトーションダンパー装置であって、一対の前記円板のうち一方の円板に腕木を半径方向に張り出させその一端部を同円板と一体回転可能に固定し、前記腕木の他端部に、一端部に板状の固定具を備えた別の腕木の他端部を回転可能に連結したことを特徴とする。
【0026】
上記の構成を有する請求項10に係るトーションダンパー装置によれば、上記の請求項8のトーションダンパー装置と同様の作用効果を期待できるほか、腕木を使ってダンパー装置を設置するのが困難な箇所から位置をずらして設置することができるので、設置箇所の制約を受けにくい。例えば、梁と柱の交点や扉の隅角部からずらした位置にトーションダンパー装置を設置することができる。また、建築物を含む原子力発電所やその他の構造物に対する制振や防振の用途にも使用できるほか、機械系設備の防振用途、例えば洗濯機のドラムの防振にも使用できる。
【0027】
請求項11に係るトーションダンパー装置は、相対向する一対の円板をそれらの中心部を通るセンターシャフトを介して相対回転可能に配置するとともに、前記両円板間の前記センターシャフト周りに粘弾性部材からなるエネルギー吸収体または弾性部材の少なくとも一方を介在させて前記両円板を相対回転可能に一体的に結合してなる装置本体を備えたトーションダンパー装置であって、前記装置本体を2組備え、各組の装置本体の一方の円板にそれぞれ腕木を半径方向に張り出させ各腕木の一端部を同円板と一体回転可能に固定し、前記各腕木の他端部同士を回転可能に連結したことを特徴とする。
【0028】
上記の構成を有する請求項11に係るトーションダンパー装置は、上記請求項9のトーションダンパー装置と同様の作用効果が期待できる。
【0029】
請求項12に記載のように、前記腕木を固定した円板に対向する他方の円板に板状の固定具を一体回転可能に取り付けることができる。
【0030】
このようにすれば、剛性を向上したり地震等による揺れや振動を低減したりするなどの各種用途および設置場所の状態などに応じて、2組あるいは1組のトーションダンパー装置本体を適宜選択して使用できる。
【0031】
請求項13に記載のように、一方の前記円板の中心部から他方の前記円板の中心部に向けて前記センターシャフトを突出するとともに、他方の前記円板から前記センターシャフトの周囲を相対回転可能に囲繞する中空シャフトを突出することができる。
【0032】
このようにすれば、相対向する一対の円板がエネルギー吸収体または弾性部材に抗してセンターシャフトを中心にスムーズに相対回転する。
【0033】
請求項14に記載のように、前記エネルギー吸収体よりも高剛性の延伸性プラグを、前記両円板間に跨り前記エネルギー吸収体または弾性部材を貫通させて設けることができる。
【0034】
このようにすれば、建造物等の特に骨組みの剛性を高めて風や小さな地震では揺れないように安定して維持できるとともに、所定の応力を超える外力が作用するとそのエネルギーを吸収し、揺れや振動等を抑制することができる。
【0035】
請求項15に記載のように、前記延伸性プラグが円柱体、略円柱体または棒状体で、鉛、錫、アルミまたは亜鉛・アルミ合金の金属製部材、ゴムあるいは樹脂からなっていてもよい。
【0036】
このようにすれば、用途に応じて延伸性プラグの形状および材質を適宜選択することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係るトーションダンパー装置には、つぎのような優れた効果がある。
【0038】
・構造が簡単でコンパクトであり、建築構造用および木造構造用骨組みなどの設置箇所に応じて、エネルギー吸収体または弾性部材の厚みや装置本体の外径を任意に調整でき、また用途に応じて同様にエネルギー吸収体または弾性部材の厚みや装置本体の外径を調整することにより、エネルギー吸収能力や等価減衰定数または弾性力を容易に変更することができる。
【0039】
・特に腕木を備えたトーションダンパー装置によれば、設置スペースが十分にない箇所にも設置可能で、減衰力または弾性力を付与できるうえに、取付作業が容易である。
【0040】
・一般的な油圧ダンパー装置やエアダンパー装置に比べてメンテナンスがフリーで取り扱いが容易である。
【0041】
・従来の対角線(ブレース)上に配置する直線状のダンパー装置のように壁を造る必要がなく、装置全体がコンパクトで厚みを薄くすることができるので、天井裏や床下など室内から見えない箇所に設置できる。
【0042】
・回転方向でエネルギー吸収体または弾性部材を作用させて減衰するので、従来の直線方向に圧縮して作用させるダンパー装置に比べてエネルギー吸収能力が大きい。
【0043】
・プラグなしのトーションダンパー装置は、特に洗濯機のドラムの防振や自動車分野のオートテンショナーなど回転系のダンパーとしての適用が可能で、広範囲の分野へ展開される可能性が高い。
【0044】
・一方、プラグ付きのトーションダンパー装置は、風や小さな地震では揺れないように安定させることができ、剛性を向上できる。
【0045】
・そのほか、構造物の耐震性の向上が図れ、安価に製造可能で、雨水等の侵入がなく油漏れもなくメンテナンスがフリーで信頼性に富む。このため、新築住宅だけでなく既存の住宅にも容易に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明のトーションダンパー装置の実施例1を示す斜視図である。
【図2】本発明のトーションダンパー装置の実施例2を示す斜視図で、一部を省略して表している。
【図3】図(a)は本発明の実施例6に係るトーションダンパー装置を建造物の柱と梁の交点に設置した状態を示す正面図(説明図)、図(b)はその詳細を示す一部を拡大した側面図、図(c)は同正面図である。
【図4】本発明の実施例1に係るトーションダンパー装置を建造物の柱と梁の交点に設置した状態を示す正面図である。
【図5】図4の建造物においてトーションダンパー装置を設置した場合と設置しない場合の、層せん断力と層間変位の関係を示す線図である。
【図6】図4の建造物においてトーションダンパー装置を設置した場合と設置しない場合の、層せん断力と時間の関係を示す線図である。
【図7】図(a)は本発明のトーションダンパー装置の実施例3を示す図(b)のa−a断面図、図(b)は同斜視図である。
【図8】本実施例3に係るトーションダンパー装置を建造物の梁端に設置した状態を示す正面図で、図(a)は横向きの外力を受ける前の状態を表し、図(b)は横向きの外力を受けた状態を表している。
【図9】本発明のトーションダンパー装置の実施例4を示す斜視図である。
【図10】本発明のトーションダンパー装置の実施例5を示す斜視図である。
【図11】本発明のトーションダンパー装置の実施例6を示す斜視図である。
【図12】図(a)は本発明のトーションダンパー装置の実施例7を示す図(b)のa−a断面図、図(b)は同斜視図である。
【図13】本発明のトーションダンパー装置の実施例8を示す斜視図である。
【図14】図(a)は本発明のトーションダンパー装置の実施例9を示す図(b)のa−a断面図、図(b)は同斜視図である。
【図15】本発明のトーションダンパー装置の実施例10を示す正面図である。
【図16】トーションダンパー装置1−10を2組使用し、そで壁25の一側方の上下の隅角部に設置した状態を示す正面図である。
【図17】トーションダンパー装置1−11を2組使用し、2枚の引き戸27の開口部の天井28より上方において梁22と相対向する左右の柱21・21からなる構造骨組みに設置した状態を示す正面図である。
【図18】開口付き壁25の上下の隅角部を挟むように、2組の装置1−10のうち1組ずつの対をなす一方(裏面)の円板12をそれぞれ固定板23で固定して設置した状態を示す正面図である。
【図19】開口付き壁25の上側隅角部を挟むように、トーションダンパー装置1−11の一方(裏面)の円板12を固定板23で固定するとともに、固定板26で腕木19の一端部を固定して設置した状態を示す正面図である。
【図20】従来の直線運動するダンパー装置50を使用した変形拡大機構を扉の上側隅角部位に設置した状態を示す正面図である。
【図21】天井28内の梁22と柱21の長手方向の中間位置間に、トーションダンパー装置1−11を設置した状態を示す正面図である。
【図22】天井28内の梁22濃淡部と柱21の下端部間に、トーションダンパー装置1−11を設置した状態を示す正面図である。
【図23】図(a)は本発明のトーションダンパー装置本体を備えた実施例12に係るオートテンショナーを、エンジンに取り付けた状態を概略的に示す正面図、図(b)は同オートテンショナーの実施例を示す正面図である。
【図24】図(a)・(b)は本発明の別の実施例に係るトーションダンパー装置1−12を示すもので、図(a)は中心軸線断面図、図(b)は同側面図である。
【図25】図(a)・(b)は本発明のさらに別の実施例に係るトーションダンパー装置1−13を示すもので、図(a)は中心軸線断面図、図(b)は同側面図である。
【図26】図(a)・(b)は図24のトーションダンパー装置1−12をそれぞれ洗濯機の洗濯・脱水槽の振動抑制機構として用いた実施例を示す概念図である。
【図27】図(a)・(b)は図25のトーションダンパー装置1−13をそれぞれ洗濯機の洗濯・脱水槽の振動抑制機構として用いた実施例を示す概念図である。
【図28】図(a)(b)は従来の一般的な洗濯機用振動抑制機構を示す概念図である。
【図29】従来のダンパー装置の設置態様を示す正面図(説明図)である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明に係るトーションダンパー装置について実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0048】
図1に示すように、本実施例1に係るトーションダンパー装置1−1は、内側円筒状部材(以下、内筒という)2の周囲に外側円筒状部材(以下、外筒という)3を同心状に配置し、内筒2と外筒3の間隙部に粘弾性部材からなるエネルギー吸収体4または弾性部材4’を介在させて相対回転可能に一体的に結合した構造からなる。
【0049】
エネルギー吸収体4には、本例では、低弾性(G=0.001〜0.25N/mm2)で高減衰性能(等価減衰定数Heq=20〜40%)を発揮するポリウレタンゴムが使用され、小振動のエネルギーを吸収する。より振動の高いエネルギーを吸収する場合は、高い弾性範囲(G=0.20〜2.0N/mm2)をもちポリウレタンゴムよりも数倍〜数十倍高剛性で減衰能力が高い(Heq=20〜40%)高減衰ゴム(HDR)が使用される。高減衰ゴムなどを用いる粘弾性部材からなるエネルギー吸収体4のエネルギー吸収能力は、等価減衰定数(Heq)換算でHeq=5〜30%の範囲が実用性のある適用範囲となる。一方、逆に減衰性をあまり期待しなくても良い場合には復元材(機構)として減衰性を有しない天然ゴム系などの弾性体からなる弾性部材4’を使用する。
【0050】
外筒3の長手方向の一部を円周方向に一定幅で開口し、この円環状開口3a内の内筒2の表面に長方形状で板状の固定用バー(ステー)6の一端を内筒2と一体に回転するように固定する。固定用バー6の他端側は円環状開口3aから外方へ突出させ、バー6と外筒3の表面との間に三角形状のリブ6aを取り付けている。また、外筒3には柱や梁等に外筒3を回転しないように固定するための固定具7を一体的に設けている。この固定具7は、半円弧状に湾曲した一定幅の帯状の取付部7aと水平に張り出した一定幅の帯状の固定部7bとからなり、固定部7bにはネジ止め用のネジ孔7cが穿設されている。
【実施例2】
【0051】
図2はトーションダンパー装置の別の実施例を示す斜視図で、本実施例2のトーションダンパー装置1−2が実施例1のトーションダンパー装置1−1と相違するところは、図2に示すように外筒3の一端から内筒2の一部を外方へ突出させ、その突出した内筒2に固定具7を一体的に設けている。一方、外筒3の表面には長方形状の固定用バー6の一端をほぼ直角に固定し、固定用バー6と外筒3の表面との間に三角形状の補強用リブ6aを取り付けている。
【0052】
上記の内筒2および外筒3に適用する鋼材は、炭素鋼鋼管(STK、STKN、STKM、SS 他)を主とするが、ステンレス、アルミ、アルミ合金も適用できる。また、外筒3もしくは内筒2に一体回転可能に取り付ける固定用バー(ステー)6および固定具7は、外筒3または内筒2と同一材料を用い、溶接もしくはボルト止めで固定する(溶接が安価な方法で望ましい。)。さらに、固定用バー(ステー)6および固定具7は、回転時に変形しない剛性が必要なため、図2のように補強用リブ6aを取り付けたり、箱形断面とするのが望ましい。なお、上記各実施例のトーションダンパー装置1−1・2において、内筒2に代えて円柱状部材(ロッド)を使用することができる。
【実施例3】
【0053】
図7は本発明の実施例3に係るトーションダンパー装置1−3を示すもので、本実施例3のトーションダンパー装置1−3は、内側の円柱体2または内筒の周囲に同心状に外筒3が配置され、両部材2・3間にポリウレタンゴム4または天然ゴム系弾性ゴム4’が介在する。このポリウレタンゴム4または弾性ゴム4’は、内外の両部材2・3間に加硫接着により介設される。円柱体2は外筒3の一端から一部が突出し、円柱体2の突出部に本例では固定用バー6が直交する方向に固定されている。外筒3と円柱体2との間に弾性ゴム4’を貫通する位置もしくは貫通しない位置に左右一対の延伸性プラグ8が左右対称に跨って設けられている。延伸性プラグ8には、トリガー特性が必要なため、ポリウレタンゴムよりも高剛性で減衰性能が高い(等価減衰定数Heq=10〜40%)もの、本例では鉛が使用され、大振動のエネルギーを吸収するのに効果を発揮する。延伸性プラグ8は円柱体のほか、略円柱体又は棒状体でもよく、材質は鉛のほか、錫、アルミ又は亜鉛・アルミ合金の金属製部材、ゴムあるいは樹脂を使用することができる。
【0054】
内筒2と外筒3の間に介在させる粘弾性体(高減衰ゴムなど)4もしくは弾性体(天然ゴム系など)4’の特性として、せん断弾性係数(G)=0.1〜1.2N/mm2の範囲とし、ゴムの破断ひずみ(γ)としては全て400%以上とする。すなわち、トーションダンパー装置1が回転(ねじり変形)できる量は、粘弾性体のせん断ひずみから決まり、γ=0〜300%の範囲で設計する。γ>300%では、粘弾性体はハードニング(剛性が急に上昇)し、かつその量のバラツキが大きいために設計には適用できない。また、疲労などの耐久性を考慮する場合はγ<250%にする必要があり、この範囲では内筒2と外筒3の接着への信頼性も高い(強度が確保できる)。
【0055】
上記のトーションダンパー装置1−3は、図8に示すようにラーメン構造20の柱21と梁22の交点に取り付けられる。本例の場合、柱21から固定板23を内方に突出させて設け、外筒3を固定板23の開口内に嵌入して固着し、円柱体2は固定用レバー6を介して梁22に固定されている。例えば、一方の柱21に横向きの外力が水平方向に作用した場合に、プラグ8の変形が起こるまでは、図8(a)に示すように柱21と梁22間は直角に保持されている。そして、プラグ8の変形が起こると、円柱体2と外筒3間が相対回転してエネルギー吸収体4または弾性ゴム4’により外力を吸収または緩和する。このとき、図8(b)に示すように左右の柱21は一方向に傾斜するが、外力が作用しなくなると、エネルギー吸収体4または弾性ゴム4’の復元力により元の状態に復帰する(図8(a)参照)。また、トーションダンパー装置1−3は柱21と梁22の交差部に設置されるため、コンパクトに収まり、大きなスペースを占有することがない。
【0056】
ところで、図4に示すように、梁22と柱21で囲まれた構造骨組みの1構面(枠内)において、上記実施例1のトーションダンパー装置1−1を各交差点の合計4カ所に設置した図4では外筒3が固定具7により止具7cで梁22に固定され、内筒2が固定具6により止具6cで柱21に固定されている。この場合、構造骨組みの剛性は26%向上されるとともに、層間変形角(層間変位)は32%低減され、層せん断力(加速度)は12%低減されることを確認できた(図5・図6参照)。また、加速度は増加することなく層間変形角(層間変位)が50%以上低減された。上記のトーションダンパー装置1−1を用いずに層間変形角を50%以上低減させようとした場合、建造物のフレームの剛性を2倍以上にする必要があるが、その場合は応答加速度も2倍以上に増幅してしまう。また、剛性を2倍にしようすると壁量を2倍にする必要があり、この場合には、開口部が取れなくなるから、建造物への適用は不可能である。
【実施例4】
【0057】
図9〜図11はトーションダンパー装置の別の実施例4〜6を示す斜視図である。図9に示す実施例4に係るトーションダンパー装置1−4は、円柱体2または内筒の長手方向の中間位置に固定板24の一端が一体に固定されている。円柱体2の両側部の周囲には外筒3・3が同心状に配置され、円柱体2と各外筒3との間隙部にエネルギー吸収体4が介設されている。その他の構成については、上記実施例のトーションダンパー装置と共通するので、共通する部材には同一の符号を付して図示し、説明を省略する。
【実施例5】
【0058】
また、実施例5に係るトーションダンパー装置1−5は、図10に示すように外筒3の両側から円柱体2の一部をそれぞれ突出させ、円柱体2の両側端に固定板24がそれぞれ一体回転可能に固定されている。円柱体2と外筒3との間隙部にはエネルギー吸収体4が介設されている。その他の構成については、上記実施例のトーションダンパー装置と共通するので、共通する部材には同一の符号を付して図示し、説明を省略する。
【実施例6】
【0059】
図11はトーションダンパー装置の別の実施例を示す斜視図で、本実施例6に係るトーションダンパー装置1−6は、図11に示すように外筒3の一端から円柱体2の一部を突出させ、円柱体2の一端に固定具24が一体回転可能に固定されている。円柱体2と外筒3との間隙部にはエネルギー吸収体としてのポリウレタンゴム4が介設されている。つまり、トーションダンパー装置1−6は、図11に示すように外筒3の一端から固定具7を一体的に設けるとともに、突出した内筒2の一端に固定具24を一体的に設けている。また、本例のトーションダンパー装置1−6は、図3(a)に示すように柱21と梁22の交点に取り付けられる。柱21には内筒2が固定具24を介して止具24cで固定され、梁22には外筒3が固定具7およびスペーサー7’を介して止具7cで固定される。その他の構成については、上記実施例のトーションダンパー装置と共通するので、共通する部材には同一の符号を付して図示し、説明を省略する。
【0060】
上記の内筒2および外筒3に適用する鋼材は、炭素鋼鋼管(STK、STKN、STKM、SS他)を主とするが、ステンレス、アルミ、アルミ合金も適用できる。また、外筒3もしくは内筒2に一体回転可能に取り付ける固定具6および固定具7または固定板(固定具)24は、外筒3または内筒2と同一材料を用い、溶接もしくはボルト止めで固定する(溶接が安価な方法で望ましい)。さらに、固定具6および固定具7または固定板(固定具)24は、回転時に変形しない剛性が必要である。なお、上記各実施例のトーションダンパー装置1−1・2において、内筒2に代えて円柱状部材(ロッド)を使用することができる。 上記実施例4〜6のトーションダンパー装置1−4〜6は上記実施例3とほぼ同様の態様により建造物等で使用されるが、通常、外筒3には、外筒3を回転しないように梁や柱などの部材に固定するための固定具7(図1・図2参照)が一体的に設けられる。また、内側の円柱体2または内筒2の周囲に同心状に外筒3を配置したが、外筒3の中心軸から内側の円柱体2または内筒2を一方へ偏心させて配置してもよい。この場合、偏心のさせ方で、内側の円柱体2または内筒2に対する外筒3の相対回転角度で捻り力が変化するから、回転角度が大きくなるほど単位回転当たりの捻り力が大きくなるのが望ましい。
【実施例7】
【0061】
つぎに、図12はトーションダンパー装置のさらに別の実施例7を示す図面である。
本実施例7に係るトーションダンパー装置1−7は、相対向する一対の円板12・12を各円板12の中心部を通る支持ピン(センターシャフト)13を中心に相対回転可能に配置し、支持ピン13周りの円板12・12間に例えば天然ゴム4’を装填して加硫接着した構造の装置本体1を備えている。そして、例えば天然ゴム4’より剛性の高い鉛などの延伸性プラグ8の一対を、支持ピン13を中心に対称的に配置している。各延伸性プラグ8は各円板12・12および天然ゴム4’を貫通する孔14を穿設し、一方の円板12から他方の円板12に跨って装填される。また、対向する円板12・12には、本例では、細長い金属板からなる固定具15・15が相対向する方向に半径方向に張り出させている。
【実施例8】
【0062】
図13は実施例8に係るトーションダンパー装置1−8を示す斜視図で、図12のトーションダンパー装置1−7とは、固定具16が長方形状の金属板からなり、各円板12の外面に固定具16の一端部がそれぞれ一体回転可能に固定されるところが相違している。
【実施例9】
【0063】
図14は実施例9に係るトーションダンパー装置1−9を示す斜視図で、図12のトーションダンパー装置1−7の装置本体1とは支持ピン13の構造が相違している。
すなわち、装置本体1’おける一方の円板12の中心部から中空または中実の支持杆17が他方の円板12の中心部に向けて一体に突出し、他方の円板12の中心部からは支持杆17に対し回転可能に被装する円筒形の支持筒18が一体に突出して設けられる。そして、装置本体1’の相対向する円板12・12間の支持筒18の周囲にゴム4を装填して加硫接着した構造からなる。その他の構成については、上記実施例のトーションダンパー装置と共通するので、共通する部材には同一の符号を付して図示し、説明を省略する。
【0064】
続いて、上記実施例7〜9のトーションダンパー装置1−7〜9について、使用態様の一例を説明する。
【0065】
1) これらのトーションダンパー装置1−7〜9は、図4に示す梁22と柱21で囲まれたラーメン構造20の1構面における柱21と梁22の交差部や、図7に示す梁21と柱22の交差部に、上記した長尺のトーションダンパー装置1−1〜3と同様に設置して使用することができる。しかも、トーションダンパー装置1−7〜9の円盤状の装置本体1・1’は厚みが薄くてコンパクトなため、柱21や梁22の厚みの範囲内に収まるため、設置スペースが小さく、室内には張り出さずに体裁がよい。
【実施例10】
【0066】
2) トーションダンパー装置1−7〜9のいずれか1の装置本体1・1’に、例えば図15に示すように、一対のトーションダンパー装置本体1(1’)の一方(表面側)の円板12に細長い板状の金属製腕木19の一端部を、それぞれ2本のピン19cにより一体回転可能に取り付ける。そして、2本の腕木19の他端部同士をピン19aにて相互に回転可能に連結して実施例10に係るトーションダンパー装置1−10が構成される。この装置1−10は装置本体1(1’)の他方(裏面)の円板12をそれぞれ固定板23や固定具等を用いて梁21や柱22あるいは扉25(図16参照)などの建造物の一部に回転しないように固定することで、剛性を高めて変形を防止することができる。また、ラーメン構造20や扉25などの交差部に、トーションダンパー装置1−7〜9を設置できない場合にも使用できる。
【実施例11】
【0067】
その他、図17以降の図面に示すように、トーションダンパー装置1−7〜9のいずれか1の装置本体1・1’について、一方(裏面)の円板12に細長い板状の金属製腕木19の一端部を、一体回転可能に取り付ける。そして、例えば図17・図19に固定板26の一端側の隅角部に別の腕木19の一端部をピン19bで回転可能に連結し、2本の腕木19の他端部同士をピン19aにて相互に回転可能に連結して実施例11に係るトーションダンパー装置1−11が構成される。
【0068】
3) 図16に示すように、トーションダンパー装置1−10を2組使用し、扉25の一側方の上下の隅角部に、固定板23でそれぞれ一方の装置本体1の一方(裏面)の円板12を固定し、扉25の他側方の上下方向の中間位置付近に固定板23でそれぞれ他方の装置本体1の円板12を固定して設置している。
【0069】
図17に示すように、トーションダンパー装置1−11を2組使用し、2枚の引き戸27の開口部の天井28より上方において梁22と相対向する左右の柱21・21のラーメン構造20において、梁22の長手方向の中間部付近に、固定板23で一方の装置本体1’の一方(裏面)の円板12をそれぞれ固定し、左右の各柱21の上端部に固定板26で腕木19の一端部を固定して設置している。
【0070】
図18に示すように扉25の上下の隅角部を挟むように、2組のトーションダンパー装置1−10のうち1組ずつの対をなす装置本体1の一方(裏面)の円板12をそれぞれ固定板23で固定して設置する。
【0071】
あるいは図19に示すように、扉25の上側隅角部を挟むように、トーションダンパー装置1−11における装置本体1の一方(裏面)の円板12を固定板23で固定するとともに、固定板26で腕木19の一端部を固定して設置している。
【0072】
これらの図16あるいは図17に示すトーションダンパー装置1−10・11は、図20に示す、既存の直線運動するダンパー装置50を使用した変形拡大機構と同様の機能を有する。しかし、コンパクトで設置場所も取らないという利点があることが認められる。
【0073】
さらに図21および図22に示すように、天井28(より上方)内の梁22と柱21の長手方向の中間位置間あるいは下端部間に、トーションダンパー装置1−11における固定板23で一方の装置本体1’の一方(裏面)の円板12をそれぞれ固定し、柱21の中間位置または下端部に固定板26で腕木19の一端部をピン19bにより回転可能に連結して設置している。
【0074】
上記の図15〜図22に示すように設置された、2組もしくは1組のトーションダンパー装置1−10・11によれば、地震や横風等を受けて例えば側方から横向きの外力が作用し、扉25やラーメン構造20が菱形に変形しようとした場合に、外力に抗してそれらの変形を阻止する。特に図11の実施例7に係るトーションダンパー装置1−7のように、延伸性プラグ8を円板12・12間に跨って設けた装置本体1’を備えたトーションダンパー装置では、一定の外力を超えるまで扉25やラーメン構造20を含む建造物の剛性を高めて小振動や風力の弱い横風などによる変形を確実に阻止するとともに、一定の外力を超えると延伸性プラグ8が変形し、トーションダンパー装置1−7のエネルギー吸収体4にてエネルギーが吸収され、建造物の揺れや変形が抑えられる。この場合、地震や横風などによる外力の作用が終了した状態で、変形した延伸性プラグ8を抜き取り、新しい延伸性プラグ8と交換することができる。
【実施例12】
【0075】
図23は上記の装置本体1を自動車エンジンのオートテンショナーとして用いた実施例を示している。オートテンショナー30は本例では図14に示す装置本体1を備え、対向する一対の円板12のうち一方(表面)の円板12にアーム31の一部(先端側)を張り出して一体回転可能にピン31aで取り付け、アーム31の先端部にプーリ32を回転可能に軸支している。他方(裏面側)の円板12には固定板33を一体に取り付け、エンジン36のハウジングなどに固定している。そして、図23に示すように補機駆動用の伝動ベルト34を複数のプーリ35に掛け渡すとともに、プーリ32にも掛け渡し、本例では図23で上向き時計方向へエネルギー吸収体4(図14)により付勢することにより、伝動ベルト34の張力を一定の力で保持することができる。
特にエネルギー吸収体4に代えて、耐熱性を具備した合成ゴムなどの弾性体4’で構成することにより、エンジン36や車体の振動が弾性体4’の弾性力で吸収、緩和され、プーリ32には伝わりにくい。
【実施例13】
【0076】
図24(a)・(b)は別の実施例に係るトーションダンパー装置1−12を示すもので、外筒3の中心軸部に円柱体2または内筒が同心状に配置され、両部材2・3間にエネルギー吸収体4が介在する。このエネルギー吸収体4を構成するゴムは、中央部が減衰性を有しない(等価減衰定数換算でHeq=5%以下)天然ゴムなどのバネ系の弾性ゴム4aでその両側部が減衰性を有する(等価減衰定数換算でHeq=5%〜30%)ダンパー系の高減衰ゴム4bからなり、内外の両部材2・3間に加硫接着により介設される。円柱体2は外筒3の両端から端部がそれぞれ突出し、円柱体2の突出部に本例ではバー6の一端が円柱体2の端面に半径方向に張り出して固定されている。また外筒3には、平坦な固定板37が溶接等により一体に固定されている。高減衰ゴム4bと弾性ゴム4aの配置は逆でもよく、また左右対称でなくてもよい。さらに、高減衰ゴム4bと弾性ゴム4aの種類や長さを変えることにより、ダンパー装置1−12の性能を調整できる。
【0077】
上記のトーションダンパー装置1−12は、後述の洗濯機の洗濯・脱水槽の振動抑制機構41・45として使用される他、図示は省略するが、例えば図8に示すラーメン構造20の柱21と梁22の交点に取り付けられる。本例の場合、梁22に固定板37を介して外筒3を一体に設け、円柱体2はバー6を介して柱21に固定される。
【実施例14】
【0078】
図25(a)・(b)は別の実施例に係るトーションダンパー装置1−13を示すもので、外筒3の中心軸部に円柱体2または内筒が同心状に配置され、両部材2・3間の長手方向の中央部に天然ゴム系の弾性ゴム4a(4’)が加硫接着されている。また、天然ゴム系の弾性ゴム4aの両側部において、両部材2・3間に中筒5が配置され、各中筒5と円柱体2との間にダンパー系の高減衰ゴム4b(4)が加硫接着されている。また、外筒3の両側部で上下中心位置に左右一対ずつタッピングネジ9が、外筒3の外周面にねじ込まれているが、中筒5には達していない。このため、弾性ゴム4aは機能しているが、高減衰ゴム4bは機能していない。外筒3の両端から突出する円柱体2の両端に、それぞれレバー6の一端部が円柱体2と一体回転可能に取り付けられている。また外筒3の両端部付近に、それぞれ固定板38の一端が外筒3と一体回転可能に取り付けられている。レバー6と固定板38は、図25(b)に示すように側方より見て直交する。また、レバー6と固定板38の先端部には、取付孔6aまたは38aが穿設されている。
【0079】
なお、高減衰ゴム4bと弾性ゴム4aの配置は逆でもよく、また左右対称でなくてもよい。さらに、高減衰ゴム4bと弾性ゴム4aの種類や量(長さ)を変えることにより、ダンパー装置1−13の性能を調整できる。
【0080】
上記のトーションダンパー装置1−13は、後述の洗濯機の洗濯・脱水槽の振動抑制機構46として使用される。
【実施例15】
【0081】
図26(a)・(b)は、それぞれ洗濯機の洗濯・脱水槽の振動抑制機構として用いた実施例を示す概念図である。図26(a)に示すように、本実施例15に係る振動抑制機構41は、図24に示すトーションダンパー装置1−12を備え、内側の円柱体2(または内筒)の両端に2本の腕木44の一部(先端側)を張り出して一体回転可能にかつ直角に交差するように取り付け、各腕木44の先端部を横向きの洗濯・脱水槽42の側周壁にほぼ等間隔に当接している。一方、外筒3に一体に固定した固定板37を介して、洗濯機43のハウジング43a内の四隅部に固定している。
【0082】
このように構成することで、洗濯・脱水槽42の上下左右方向への振動に対し、対応する腕木44を介してエネルギー吸収体4または弾性部材4’が変形して振動を吸収・減衰または緩和する。なお、図26(a)から明らかなように、振動抑制機構41は設置場所が少なくて済むため、洗濯・脱水槽42を大型化したり、逆に洗濯機43を小型化できたりし、しかも振動抑制機構41のトーションダンパー装置のストロークを大きくできる。また、振動抑制機構41は洗濯・脱水槽42に対し複数組設置することもできる。
【実施例16】
【0083】
図26(b)に示すように、本実施例16の振動抑制機構45は、図24に示すトーションダンパー装置1−12を備え、内側の円柱体2(または内筒)の両端に2本の腕木44の一部(先端側)を張り出して一体回転可能にかつ30〜40°の角度で交差するように取り付けている。本例の洗濯機43は、横向きの洗濯・脱水槽42をハウジング43aのやや上部寄りに水平または開口部42aをやや上向きに備えている。他方(裏面側)の円板12には固定具(図示せず)を一体に取り付け、洗濯・脱水槽42の下方に二組の装置本体1をハウジング43a内に相対向させて固定している。4本の腕木44は菱形をなし、各腕木44の先端部を洗濯・脱水槽42の下部に当接している。なお、本例の振動抑制機構45も設置場所が少なくて済むため、洗濯・脱水槽42を大型化したり、逆に洗濯機43を小型化できたりするうえ、洗濯・脱水槽42に対し複数組設置することもできる。しかも振動抑制機構45のトーションダンパー装置1−12のストロークを大きくできる。
【実施例17】
【0084】
図27(a)・(b)は、それぞれ洗濯機の洗濯・脱水槽の振動抑制機構として用いた実施例を示す概念図で、図27(a)は正面図、図27(b)は図27(a)のb−b断面図である。図27(a)に示すように、本実施例17に係る振動抑制機構46は、図25に示すトーションダンパー装置1−13を備えている。このトーションダンパー装置1−13には、図27(b)に示すように合計4本の延伸性プラグ8が外筒3と内側円柱体2間に跨って設けられている。そして、洗濯機43のハウジング43a内において、洗濯・脱水槽42の下方の隅角部の近傍にブラケット47が前後左右の合計4つ固定され、各ブラケット47にトーションダンパー装置1−13のバー6の先端部の取付孔6aがピン47aにより枢着されている。洗濯・脱水槽42の外筒枠48の前後左右にブラケット48aが4つ固定され、トーションダンパー装置1−3の固定板38の先端部の取付孔38aがブラケット48aに対しピン48bにより枢着されている。図27(b)の符号43bは洗濯機43の洗濯物投入口である。
【0085】
この状態で、洗濯・脱水槽42および外筒枠48の荷重とトーションダンパー装置1−13の弾性ゴム4aとが釣り合って円柱体2に対する外筒3の中立位置が決定されるので、ここで、外筒3の両側部で上下中心位置に螺合されている左右一対ずつのタッピングネジ9(図25(a)参照)を、外筒3の外周面から中筒5にかけてねじ込む。これにより、外筒3と弾性ゴム4aを挟んで両側の中筒5とが一体に固定され、高減衰ゴム4bも機能する。
【0086】
このように構成することで、洗濯・脱水槽42が上下および左右方向へ振動する際の振動を、弾性ゴム4aが緩和すると同時に高減衰ゴム4bからなるエネルギー吸収体4が吸収、減衰する。また、鉛などから形成した延伸性プラグ8をエネルギー吸収体4を貫通して外筒3と内側円柱体2間に設けているので、細かい振動で洗濯・脱水槽42が揺れたりしない。なお、図27から明らかなように、振動抑制機構46は設置場所が少なくて済むため、洗濯・脱水槽42を大型化したり、逆に洗濯機43を小型化できたりし、しかも振動抑制機構46のトーションダンパー装置1−13のストロークを大きくできる。
【比較例】
【0087】
図28(a)(b)は従来の一般的な洗濯機用振動抑制機構を示す概念図である。図28(a)は洗濯・脱水槽53に対しコイルバネ51を使用した直線状の一対の振動抑制機構52で支持する構造で、洗濯機50のハウジング50a内の振動抑制機構52が占めるスペースが洗濯・脱水槽53に比べて大きい。図28(b)は洗濯・脱水槽53に対しコイルバネ51を使用した直線状とダンパー54を使用した直線状の、それぞれ一対の振動抑制機構55で支持する構造で、洗濯機50のハウジング50a内の振動抑制機構55が占めるスペースが洗濯・脱水槽53に比べて大きい。
【産業上の利用分野】
【0088】
本発明のトーションダンパー装置は、粘弾性体などのエネルギー吸収体や弾性体により捻り方向の力を発生させたり、逆にエネルギー吸収体により捻り方向の抗力で外力を吸収したり減衰したりすることができ、例えば、エンジンのオートテンショナーとして適用でき、また建築構造用および土木構造用骨組みの補強や減衰ならびに機械設備の振動低減などに利用できる。
【符号の説明】
【0089】
1−1〜13 トーションダンパー装置
1・1’装置本体
2 内側円筒状部材(内筒、円柱体)
3 外側円筒状部材(外筒)
3a円環状開口
4・4bエネルギー吸収体(粘弾性部材)
4’・4a弾性部材
5 中筒
6 バー(ステー)
6aリブ
7 固定具
7a取付部
7b固定部
7cネジ孔
8 延伸性プラグ
9 タッピングネジ
12 円板
13 支持ピン(センターシャフト)
14 孔
15 固定具
16 固定具
17 支持杆
18 支持筒
19 金属製腕木
19aピン
19bピン
20 ラーメン構造
21 柱
22 梁
23・26 固定板
24 固定具(固定板)
25 開口付き壁(扉、そで壁)
27 引き戸
28 天井
30 オートテンショナー
31 アーム
32・35 プーリ
33 固定板
34 伝動ベルト
36 エンジン
37・38 固定板
41・45・46 振動抑制機構
44 腕木
42 洗濯・脱水槽
43 洗濯機
43aハウジング
47 ブラケット
47aピン
48 外筒枠
48aブラケット
50 ダンパー装置
51 コイルバネ
52 エネルギー吸収体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側円筒状部材または内側円柱部材の周囲に外側円筒状部材を配置するとともに、前記内側円筒状部材または内側円柱部材と外側円筒状部材との両部材間に粘弾性部材からなるエネルギー吸収体または弾性部材の少なくとも一方を介在させて前記両部材を相対回転可能に一体的に結合してなるトーションダンパー装置であって、
前記外側円筒状部材の長手方向の一部を円周方向に帯状に開口し、この帯状開口内の前記内側円筒状部材または内側円柱部材に対し一端を前記内側円筒状部材または内側円柱部材と一体回転可能に固定した、固定用レバーの他端を外方へ突出させ、前記外側円筒状部材にこの外側円筒状部材を非回転状態に固定するための固定具を一体的に設けたことを特徴とするトーションダンパー装置。
【請求項2】
内側円筒状部材または内側円柱部材の周囲に外側円筒状部材を配置するとともに、前記内側円筒状部材または内側円柱部材と外側円筒状部材との両部材間に粘弾性部材からなるエネルギー吸収体または弾性部材の少なくとも一方を介在させて前記両部材を相対回転可能に一体的に結合してなるトーションダンパー装置であって、
前記内側円筒状部材または内側円柱部材の少なくとも一端部を前記外側円筒状部材の一端開口から突出させ、前記外側円筒状部材に対して固定用レバーの一端を一体回転可能に固定し、前記内側円筒状部材または内側円柱部材にこれらの内側円筒状部材または内側円柱部材を非回転状態に固定するための固定具を一体的に設けたことを特徴とするトーションダンパー装置。
【請求項3】
内側円筒状部材または内側円柱部材の周囲に外側円筒状部材を配置するとともに、前記内側円筒状部材または内側円柱部材と外側円筒状部材との両部材間に粘弾性部材からなるエネルギー吸収体または弾性部材の少なくとも一方を介在させて前記両部材を相対回転可能に一体的に結合してなるトーションダンパー装置であって、
前記両部材間の長手方向の中間位置に前記弾性部材としての天然ゴム系弾性ゴムまたは前記粘弾性部材としてのダンパー系高減衰ゴムを加硫接着するとともに、前記天然ゴム系弾性ゴムまたはダンパー系高減衰ゴムの両側方において前記両部材間に中筒を配置し、各中筒と前記内側円筒状部材または内側円柱部材との間に前記弾性ゴムまたは前記高減衰ゴムを加硫接着し、前記外側円筒状部材の両側部にタッピングネジを前記中筒に達しないようにねじ込み、
前記内側円筒状部材または内側円柱部材の少なくとも一端部を前記外側円筒状部材の一端開口から突出させ、前記外側円筒状部材に対して固定板の一端を一体回転可能に固定し、前記内側円筒状部材または内側円柱部材の突出端部にレバーを一体回転可能に設けたことを特徴とするトーションダンパー装置。
【請求項4】
前記内側円筒状部材または内側円柱部材の両端部を前記外側円筒状部材の一端開口からそれぞれ突出させ、前記内側円筒状部材または内側円柱部材の両端部に固定用レバーをそれぞれ一体回転可能に固定したことを特徴とする請求項2記載のトーションダンパー装置。
【請求項5】
前記エネルギー吸収体よりも高剛性で脆性的なプラグもしくはせん断変形能力の高い延伸性プラグの片方もしくは両方を、前記内側円筒状部材または内側円柱部材と前記外側円筒状部材との内外の筒状壁間に跨り、かつ前記エネルギー吸収体に対し軸方向に直交する方向に貫通させて設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のトーションダンパー装置。
【請求項6】
一対の前記延伸性プラグを、前記各円筒状部材または内側円柱部材の軸方向から見て左右対称に設けたことを特徴とする請求項5記載のトーションダンパー装置。
【請求項7】
一対の前記延伸性プラグからなる複数組の延伸性プラグを、前記各円筒状部材または内側円柱部材の軸方向に位置をずらせて設けたことを特徴とする請求項6記載のトーションダンパー装置。
【請求項8】
相対向する一対の円板をそれらの中心部を通るセンターシャフトを介して相対回転可能に配置するとともに、前記両円板間の前記センターシャフト周りに粘弾性部材からなるエネルギー吸収体または弾性部材の少なくとも一方を介在させて前記両円板を相対回転可能に一体的に結合してなる装置本体を備えたトーションダンパー装置であって、
一対の前記円板のうちの一方の円板から固定用レバーをそれぞれ半径方向に張り出して一方の前記円板と一体回転可能に設けたことを特徴とするトーションダンパー装置。
【請求項9】
前記エネルギー吸収体よりも高剛性の延伸性プラグを、前記各円板間に跨り前記エネルギー吸収体を貫通させて設けたことを特徴とする請求項8に記載のトーションダンパー装置。
【請求項10】
相対向する一対の円板をそれらの中心部を通るセンターシャフトを介して相対回転可能に配置するとともに、前記両円板間の前記センターシャフト周りに粘弾性部材からなるエネルギー吸収体または弾性部材の少なくとも一方を介在させて前記両円板を相対回転可能に一体的に結合してなる装置本体を備えたトーションダンパー装置であって、
一対の前記円板のうち一方の円板に腕木を半径方向に張り出してその一端部を同円板と一体回転可能に固定し、前記腕木の他端部に、一端部に板状の固定具を備えた別の腕木の他端部を回転可能に連結したことを特徴とするトーションダンパー装置。
【請求項11】
相対向する一対の円板をそれらの中心部を通るセンターシャフトを介して相対回転可能に配置するとともに、前記両円板間の前記センターシャフト周りに粘弾性部材からなるエネルギー吸収体または弾性部材の少なくとも一方を介在させて前記両円板を相対回転可能に一体的に結合してなる装置本体を備えたトーションダンパー装置であって、
前記装置本体を2組備え、各組の装置本体の一方の円板にそれぞれ腕木を半径方向に張り出し各腕木の一端部を同円板と一体回転可能に固定し、前記各腕木の他端部同士を回転可能に連結したことを特徴とするトーションダンパー装置。
【請求項12】
前記腕木を固定した前記円板に対向する他方の円板に板状の固定具を一体回転可能に取り付けたことを特徴とする請求項10または11に記載のトーションダンパー装置。
【請求項13】
一方の前記円板の中心部から他方の前記円板の中心部に向けて前記センターシャフトを突出するとともに、他方の前記円板から前記センターシャフトの周囲を相対回転可能に囲繞する中空シャフトを突出したことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のトーションダンパー装置。
【請求項14】
前記エネルギー吸収体よりも高剛性の延伸性プラグを、前記各円板間に跨り前記エネルギー吸収体を貫通させて設けたことを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載のトーションダンパー装置。
【請求項15】
前記延伸性プラグが円柱体、略円柱体又は棒状体で、鉛、錫、アルミ又は亜鉛・アルミ合金の金属製部材、ゴムあるいは樹脂からなることを特徴とする請求項14に記載のトーションダンパー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図5】
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【図6】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−12708(P2011−12708A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155409(P2009−155409)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(501267357)独立行政法人建築研究所 (28)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】