説明

トーチバーナー

【課題】金属配管の表面を効率良く加熱して、配管内部の氷を短時間で融解させることができるトーチバーナーを提供する。
【解決手段】本トーチバーナーは、所定のガスボンベに着脱自在な取付部5及び6と、取付部5及び6に設けられたノズル部7及び遮炎板8とを備える。遮炎板8は、ノズル部7の一側にノズル部7に沿って配置され、その先端部が、ノズル部7の先端部よりも取付部5及び6から離れた位置で、ノズル部7側に湾曲される。また、ノズル部7は、先端部から遮炎板8の先端部側に向けて、平形の炎を吹き付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配管の表面を炙って配管(の内部)を加熱するためのトーチバーナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1及び2には、水道管内や製氷機の配管内の水が凍結するのを防止するため、或いは、凍結してしまった配管内の氷を融解させるための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−336138号公報
【特許文献2】特開2000−346510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2に記載された機器は、水道設備や製氷機内に予め設置しておくものである。このため、例えば、このような機器が備えられていない冷凍庫設備では、ドレン配管(霜取り時に出る水のための配水管)が何らかの理由によって凍結し、詰まってしまうことがある。かかる場合は、裸火によって金属配管の表面を炙り、内部の融解作業を行わなければならない。
【0005】
図4及び図5は従来のトーチバーナーを用いた融解作業を示す図である。
図4及び図5において、1は金属製のドレン配管、2はドレン配管1の内部で凍ってしまった氷、10は従来のトーチバーナーのバーナーノズル、11はバーナーノズル10が取り付けられる燃料ガスカートリッジボンベである。従来のトーチバーナーでは、バーナーノズル10からの炎がドレン配管1の1点に集中して当たってしまうため、ドレン配管1内部の氷2を溶解させるために長い時間が掛かってしまうといった問題があった。特に、ドレン配管1の長手方向には極狭い範囲にしか炎を当てることができないため、凍結部分が長い場合は、溶解作業が長時間に渡ってしまう。
【0006】
また、ドレン配管1の近傍、例えば、裏側に障害物12がある場合、バーナーノズル10からの炎が障害物12に当たらないように慎重に作業を行わなければならず、作業性を悪化させる大きな要因となっていた。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、金属配管の表面を効率良く加熱して、配管内部の氷を短時間で融解させることができるトーチバーナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るトーチバーナーは、所定のガスボンベに着脱自在な取付部と、取付部に設けられたノズル部と、取付部に設けられ、ノズル部の一側にノズル部に沿って配置され、その先端部が、ノズル部の先端部よりも取付部から離れた位置で、ノズル部側に湾曲された遮炎板と、を備え、ノズル部は、先端部から遮炎板の先端部側に向けて、平形の炎を吹き付けるものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係るトーチバーナーであれば、金属配管の表面を効率良く加熱して、配管内部の氷を短時間で融解させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1におけるトーチバーナーを用いた融解作業を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1におけるトーチバーナーを用いた融解作業を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1におけるトーチバーナーを用いた融解作業を示す図である。
【図4】従来のトーチバーナーを用いた融解作業を示す図である。
【図5】従来のトーチバーナーを用いた融解作業を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明をより詳細に説明するため、添付の図面に従ってこれを説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0012】
実施の形態1.
図1乃至図3はこの発明の実施の形態1におけるトーチバーナーを用いた融解作業を示す図である。図2は図1の要部側面図、図3は図1の要部平面図を示している。
図1乃至図3において、1は冷凍庫内の金属製のドレン配管(霜取り時に出る水のための配水管)、2はドレン配管1の内部で凍ってしまった氷である。本トーチバーナーは、ドレン配管1を裸火によって外側から加熱し、その内部の氷2を融解させるためのものである。本トーチバーナーは、バーナーノズル3と燃料ガスカートリッジボンベ4とにより、その要部が構成される。
【0013】
バーナーノズル3は、燃料ガスカートリッジボンベ4に着脱自在に固定される。なお、燃料ガスカートリッジボンベ4は、市販品及び専用品の何れであっても構わない。バーナーノズル3には、取付部5及び6、ノズル部7、遮炎板8が備えられている。
【0014】
取付部5は、バーナーノズル3を燃料ガスカートリッジボンベ4に取り付けるためのものであり、所定の規格を有する燃料ガスカートリッジボンベ4に着脱自在に構成されている。取付部6は、ノズル部7及び遮炎板8を取付部5に連結する連結継手を構成する。即ち、ノズル部7と遮炎板8とは、取付部6に設けられている。取付部6は、燃料ガスカートリッジボンベ4が直立の時に水平に配置される所定の軸を中心にして、取付部5に対して回転自在に(例えば、360°回転するように)設けられている。
【0015】
ノズル部7は、全体として平形を呈し、且つ、取付部6に固定された一端部側から先端部に近づくにつれて幅が広がる略扇形状を呈している。なお、上記「略」とは、完全な扇形状だけでなく、図に示すような平面視台形状・三角形状等も含むことを意味する。上記形状を呈するノズル部7の先端部からは、放射状に炎が噴出する。なお、ノズル部7の先端部からは、ノズル部7の形状と同様に、全体として幅が大きく厚みが小さい平形状に炎が噴出される。
【0016】
遮炎板8は、ノズル部7からの炎をガイドし、炎が加熱対象物以外の場所に広がることを防止するためのものである。遮炎板8は、例えば、耐熱ひずみ性に優れた材質の金属板から構成される。遮炎板8は、一端部が取付部6に固定されており、ノズル部7の一側にノズル部7に沿って配置されている。遮炎板8は、ノズル部7よりも幅が広く、且つ、一端部側から先端部に近づくにつれて幅が広がる略扇形状を呈する。即ち、遮炎板8は、ノズル部7とノズル部7から噴出する炎とを一側から覆うように配置されている。このため、遮炎板8をノズル部7の反対側から見ると、ノズル部7とノズル部7から噴出する炎とは、遮炎板8の陰に隠れてしまう(図3参照)。
【0017】
遮炎板8は、その先端部が、ノズル部7の先端部よりも取付部6から離れた位置に配置され、ノズル部7側に所定の曲率で湾曲されている。この先端部の湾曲は、ノズル部7から噴出された炎の向きをその湾曲した面に沿って曲げるためのものである。
【0018】
上記構成を有するトーチバーナーを使用して、ドレン配管1(及び、その内部の氷2)を加熱する場合、燃料ガスカートリッジボンベ4が正立状態で使用することができるように、先ず、取付部6(ノズル部7及び遮炎板8)の向きをドレン配管1の向きに合わせる。そして、遮炎板8の先端部(湾曲部分)をドレン配管1の湾曲に合わせて対向させ、ノズル部7から炎を噴出させる。
【0019】
ノズル部7は、その先端部から遮炎板8の先端部側に向けて炎を放射状に吹き付ける。このため、バーナーノズル3を上記の通り配置することにより、ノズル部7からの炎は、遮炎板8に沿って進み、遮炎板8とドレン配管1との間に導かれる。また、その炎による熱は、遮炎板8とドレン配管1との間を通過した後、遮炎板8の先端部の湾曲に沿って伝わり、ドレン配管1の裏側にも達する。
【0020】
本構成のトーチバーナーであれば、ノズル部7から幅広の炎をドレン配管1の長手に沿って広範囲に(例えば、ドレン配管1の裏面側にも)当てることができ、ドレン配管1の表面を効率良く加熱して、内部の氷2を短時間で融解させることができる。
【0021】
なお、図2に示す9は冷凍庫内に配置された障害物(例えば、他の配管等)である。本構成のトーチバーナーであれば、例えば、障害物9がドレン配管1の裏側に近接して配置されている場合であっても、ノズル部7からの炎を障害物9に当てることなく、ドレン配管1を効率的に加熱することができる。
【0022】
また、取付部6を取付部5に対して360°回転自在に構成しておけば、ドレン配管1の向きがどのような場合であっても、燃料ガスカートリッジボンベ4を正立状態で使用することができる。(例えば、図3を縦向きに配置されたドレン配管1に対する溶融作業(加熱作業)として見ることも可能である。)
【0023】
冷凍庫内といった低温環境下では、燃料ガスカートリッジボンベ4内の燃料ガスが液化してしまい、燃料ガスカートリッジボンベ4を逆さにして使用すると、ノズル部7から液化した燃料が噴出して火力が突然変化することがある。本トーチバーナーであれば、ドレン配管1の向きに関わらず燃料ガスカートリッジボンベ4を常に正立状態で使用することができるため、ノズル部7からの火力を常に安定した状態に保つことができる。
【符号の説明】
【0024】
1 ドレン配管
2 氷
3、10 バーナーノズル
4、11 燃料ガスカートリッジボンベ
5、6 取付部
7 ノズル部
8 遮炎板
9、12 障害物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のガスボンベに着脱自在な取付部と、
前記取付部に設けられたノズル部と、
前記取付部に設けられ、前記ノズル部の一側に前記ノズル部に沿って配置され、その先端部が、前記ノズル部の先端部よりも前記取付部から離れた位置で、前記ノズル部側に湾曲された遮炎板と、
を備え、
前記ノズル部は、先端部から前記遮炎板の先端部側に向けて、平形の炎を吹き付けることを特徴とするトーチバーナー。
【請求項2】
前記取付部は、
所定のガスボンベに着脱自在な第1取付部と、
前記第1取付部に設けられ、前記第1取付部に対し、所定の軸を中心に回転自在な第2取付部と、
を備え、
前記ノズル部と前記遮炎板とは、前記第2取付部に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のトーチバーナー。
【請求項3】
前記ノズル部は、先端部から前記遮炎板の先端部側に向けて、放射状に炎を吹き付けることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトーチバーナー。
【請求項4】
前記ノズル部は、先端部に近づくにつれて幅が広がる略扇形状を呈し
前記遮炎板は、前記ノズル部よりも幅が広く、且つ、先端部に近づくにつれて幅が広がる略扇形状を呈する
ことを特徴とする請求項3に記載のトーチバーナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−211733(P2012−211733A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77867(P2011−77867)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)