説明

トール様受容体9のアンタゴニストとしての(+)−モルフィナンおよびその治療的使用

本発明は、トール様受容体9(TLR9)アンタゴニスト活性を含む(+)−モルフィナン、ならびに(+)−モルフィナンがTLR9の活性化を阻害するか否かを決定することによって、治療上有効となり得る(+)−モルフィナンを同定する方法を提供する。TLR9アンタゴニスト活性を含む(+)−モルフィナンを使用して、外傷性疼痛、神経因性疼痛、炎症性障害、アセトアミノフェン毒性、自己免疫障害、神経変性障害、および癌などの状態を治療する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2009年7月16日に出願された米国仮特許出願第61/226,015号および2009年12月16日に出願された米国仮特許出願第61/286,877号の利益を主張する。これらの両出願は本明細書においてそれらの全体が参照として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般に、炎症、疼痛、および他の障害を治療するための化合物および方法に関する。詳細には、本発明は、トール様受容体9(TLR9)アンタゴニスト活性を含む(+)−モルフィナン化合物、ならびにこの化合物を使用して疼痛および炎症に関連した状態を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
活性化グリア細胞は、いくつかの疾患状態の発症および維持に関与する。特に問題となっているのは、慢性および急性疼痛、炎症性障害、自己免疫障害、神経変性障害、および癌の分野において、活性化グリア細胞が悪影響を及ぼすことである。グリア細胞は、先天性免疫系において機能的に非常に重要な高度に保存された膜貫通タンパク質のファミリーである、数多くのトール様受容体(TLR)を発現することが示されている。TLRは、細菌細胞壁、ウイルスの非メチル化CpG含有DNA、および広く様々な追加の微生物構成要素から得られた、リポ多糖(LPS)などの病原体関連分子パターン(PAMP)によって活性化される。中枢神経系におけるTLRの活性化は、侵入病原体に対する防御の第1線の一部として、保護的な炎症促進性シグナル伝達カスケードを開始させることが公知である。さらに、モルヒネまたは他のオピオイド受容体アゴニストの慢性投与はグリア細胞を活性化し、オピオイドの疼痛緩和作用に逆らう炎症促進性因子の放出を引き起こすことが報告されている。活性化グリア細胞は、神経因性疼痛などの慢性疼痛状態に至る過程で、ある役割を演じることも示されている。疼痛におけるグリア細胞に関するこれら新たに特定された役割により、疼痛制御の手段として、グリア細胞活性化を標的とする臨床上有用な薬剤の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の要旨
本発明は、トール様受容体9(TLR9)の活性化を阻害し、その結果グリア細胞の活性化を遮断する(+)−モルフィナン化合物を提供する。したがって本発明の化合物は、外傷性疼痛、神経因性疼痛、炎症性障害、アセトアミノフェン毒性、自己免疫障害、神経変性障害、および癌などの状態を治療するのに使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−10、I−11、I−12、I−13、I−14、I−16、I−17、I−18、I−19、I−20、I−21、I−22、I−23、I−24、I−25、I−26、I−27、I−28、I−29、II−1、II−2、II−3、II−4、II−5、II−8、II−9、II−10、II−11、II−13、II−14、II−15、II−16、II−17、II−18、II−19、II−20、II−21、II−22、II−23、II−24、II−25、II−26、II−27、II−28、II−29、II−30、II−31、II−32、II−33、II−35、II−36、II−37、II−38、II−40、II−41、II−42、II−43、II−44、II−46、II−47、II−48、II−49、II−50、II−51、II−52、II−53、II−54、II−55、II−56、II−57、II−58、II−59、II−60、II−62、II−63、II−66、II−67、II−68、II−69、II−70、II−71、II−72、II−75、II−76、II−78、II−79、II−83、II−84、II−85、II−86、II−87、II−88、II−89、II−90、II−91、II−92、II−93、II−94、II−95、II−96、II−97、II−98、II−99、II−100、II−101、III−1、III−2、III−3、III−4、およびIII−5からなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容される塩を包含する。
【0006】
本発明の別の態様は、TLR9活性化を阻害する方法を提供する。方法は、TLR9を発現する細胞と、I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、I−11、I−12、I−13、I−14、I−15、I−16、I−17、I−18、I−19、I−20、I−21、I−22、I−23、I−24、I−25、I−26、I−27、I−28、I−29、II−1、II−2、II−3、II−4、II−5、I−6、II−7、II−8、II−9、II−10、II−11、II−12、II−13、II−14、II−15、II−16、II−17、II−18、II−19、II−20、II−21、II−22、II−23、II−24、II−25、II−26、II−27、II−28、II−29、II−30、II−31、II−32、II−33、II−34、II−35、II−36、II−37、II−38、II−39、II−40、II−41、II−42、II−43、II−44、II−45、II−46、II−47、II−48、II−49、II−50、II−51、II−52、II−53、II−54、II−55、II−56、II−57、II−58、II−59、II−60、II−61、II−62、II−63、II−65、II−66、II−67、II−68、II−69、II−70、II−71、II−72、II−74、II−75、II−76、II−77、II−78、II−79、II−80、II−81、II−82、II−83、II−84、II−85、II−86、II−87、II−88、II−89、II−90、II−91、II−92、II−93、II−94、II−95、II−96、II−97、II−98、II−99、II−100、II−101、III−1、III−2、III−3、III−4、およびIII−5からなる群から選択される化合物またはその薬学的に許容される塩とを接触させるステップを含む。
【0007】
本発明のさらに別の態様は、化合物が、外傷性疼痛、神経因性疼痛、炎症性障害、アセトアミノフェン毒性、自己免疫障害、神経変性障害、および癌からなる群から選択される状態を治療するのに治療上有効になるか否かを決定する方法であって、この化合物が(+)−モルフィナンである方法を提供する。この方法は、化合物がTLR9活性化を阻害するか否かを決定するステップを含む。
【0008】
本発明のさらなる態様は、治療を必要とする被験体の状態を治療する方法を包含する。この方法は、TLR9アンタゴニスト活性を含む少なくとも1種の化合物を被験体に投与するステップを含み、この化合物は、(+)−モルフィナンである。治療することができる状態は、外傷性疼痛、神経因性疼痛、炎症性障害、アセトアミノフェン毒性、自己免疫障害、および神経変性障害からなる群から選択される。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、治療を必要とする被験体の状態を治療する方法を提供する。この方法は、TLR9アンタゴニスト活性を含む少なくとも1種の化合物と少なくとも1種の追加の治療薬との組合せを被験体に投与するステップを含み、この化合物は、(+)−モルフィナンである。治療することができる状態は、外傷性疼痛、神経因性疼痛、炎症性障害、アセトアミノフェン毒性、自己免疫障害、神経変性障害、および癌からなる群から選択される。
【0010】
本発明の他の態様および特徴を、以下に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】図1は、トール様受容体(TLR)アンタゴニストのスクリーニングを示す。各パネルは、特定のTLRの結果を示す。プロットされているのは、各治療条件ごとの、650nmでの光学密度(OD)における、分泌されたアルカリ性ホスファターゼレポーター系の活性であり、二重に試験を行った。全ての薬剤は、10μMで試験をした。(A)は、TLR2アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR2には、10細胞/mlで、HKLMにより刺激を与えた。(B)は、TLR3アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR3には、1μg/mlで、ポリ(I:C)により刺激を与えた。(C)は、TLR4アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR4には、100ng/mlで、LPSにより刺激を与えた。(D)は、TLR5アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR5には、100ng/mlで、フラゲリンにより刺激を与えた。(E)は、TLR7アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR7には、1μg/mlで、CL097により刺激を与えた。(F)は、TLR8アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR8には、1μg/mlで、CL075により刺激を与えた。(G)は、TLR9アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR9には、100ng/mlで、CpG ODN 2006により刺激を与えた。
【図1B】図1は、トール様受容体(TLR)アンタゴニストのスクリーニングを示す。各パネルは、特定のTLRの結果を示す。プロットされているのは、各治療条件ごとの、650nmでの光学密度(OD)における、分泌されたアルカリ性ホスファターゼレポーター系の活性であり、二重に試験を行った。全ての薬剤は、10μMで試験をした。(A)は、TLR2アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR2には、10細胞/mlで、HKLMにより刺激を与えた。(B)は、TLR3アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR3には、1μg/mlで、ポリ(I:C)により刺激を与えた。(C)は、TLR4アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR4には、100ng/mlで、LPSにより刺激を与えた。(D)は、TLR5アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR5には、100ng/mlで、フラゲリンにより刺激を与えた。(E)は、TLR7アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR7には、1μg/mlで、CL097により刺激を与えた。(F)は、TLR8アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR8には、1μg/mlで、CL075により刺激を与えた。(G)は、TLR9アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR9には、100ng/mlで、CpG ODN 2006により刺激を与えた。
【図1C】図1は、トール様受容体(TLR)アンタゴニストのスクリーニングを示す。各パネルは、特定のTLRの結果を示す。プロットされているのは、各治療条件ごとの、650nmでの光学密度(OD)における、分泌されたアルカリ性ホスファターゼレポーター系の活性であり、二重に試験を行った。全ての薬剤は、10μMで試験をした。(A)は、TLR2アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR2には、10細胞/mlで、HKLMにより刺激を与えた。(B)は、TLR3アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR3には、1μg/mlで、ポリ(I:C)により刺激を与えた。(C)は、TLR4アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR4には、100ng/mlで、LPSにより刺激を与えた。(D)は、TLR5アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR5には、100ng/mlで、フラゲリンにより刺激を与えた。(E)は、TLR7アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR7には、1μg/mlで、CL097により刺激を与えた。(F)は、TLR8アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR8には、1μg/mlで、CL075により刺激を与えた。(G)は、TLR9アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR9には、100ng/mlで、CpG ODN 2006により刺激を与えた。
【図1D】図1は、トール様受容体(TLR)アンタゴニストのスクリーニングを示す。各パネルは、特定のTLRの結果を示す。プロットされているのは、各治療条件ごとの、650nmでの光学密度(OD)における、分泌されたアルカリ性ホスファターゼレポーター系の活性であり、二重に試験を行った。全ての薬剤は、10μMで試験をした。(A)は、TLR2アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR2には、10細胞/mlで、HKLMにより刺激を与えた。(B)は、TLR3アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR3には、1μg/mlで、ポリ(I:C)により刺激を与えた。(C)は、TLR4アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR4には、100ng/mlで、LPSにより刺激を与えた。(D)は、TLR5アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR5には、100ng/mlで、フラゲリンにより刺激を与えた。(E)は、TLR7アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR7には、1μg/mlで、CL097により刺激を与えた。(F)は、TLR8アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR8には、1μg/mlで、CL075により刺激を与えた。(G)は、TLR9アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR9には、100ng/mlで、CpG ODN 2006により刺激を与えた。
【図1E】図1は、トール様受容体(TLR)アンタゴニストのスクリーニングを示す。各パネルは、特定のTLRの結果を示す。プロットされているのは、各治療条件ごとの、650nmでの光学密度(OD)における、分泌されたアルカリ性ホスファターゼレポーター系の活性であり、二重に試験を行った。全ての薬剤は、10μMで試験をした。(A)は、TLR2アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR2には、10細胞/mlで、HKLMにより刺激を与えた。(B)は、TLR3アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR3には、1μg/mlで、ポリ(I:C)により刺激を与えた。(C)は、TLR4アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR4には、100ng/mlで、LPSにより刺激を与えた。(D)は、TLR5アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR5には、100ng/mlで、フラゲリンにより刺激を与えた。(E)は、TLR7アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR7には、1μg/mlで、CL097により刺激を与えた。(F)は、TLR8アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR8には、1μg/mlで、CL075により刺激を与えた。(G)は、TLR9アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR9には、100ng/mlで、CpG ODN 2006により刺激を与えた。
【図1F】図1は、トール様受容体(TLR)アンタゴニストのスクリーニングを示す。各パネルは、特定のTLRの結果を示す。プロットされているのは、各治療条件ごとの、650nmでの光学密度(OD)における、分泌されたアルカリ性ホスファターゼレポーター系の活性であり、二重に試験を行った。全ての薬剤は、10μMで試験をした。(A)は、TLR2アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR2には、10細胞/mlで、HKLMにより刺激を与えた。(B)は、TLR3アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR3には、1μg/mlで、ポリ(I:C)により刺激を与えた。(C)は、TLR4アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR4には、100ng/mlで、LPSにより刺激を与えた。(D)は、TLR5アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR5には、100ng/mlで、フラゲリンにより刺激を与えた。(E)は、TLR7アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR7には、1μg/mlで、CL097により刺激を与えた。(F)は、TLR8アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR8には、1μg/mlで、CL075により刺激を与えた。(G)は、TLR9アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR9には、100ng/mlで、CpG ODN 2006により刺激を与えた。
【図1G】図1は、トール様受容体(TLR)アンタゴニストのスクリーニングを示す。各パネルは、特定のTLRの結果を示す。プロットされているのは、各治療条件ごとの、650nmでの光学密度(OD)における、分泌されたアルカリ性ホスファターゼレポーター系の活性であり、二重に試験を行った。全ての薬剤は、10μMで試験をした。(A)は、TLR2アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR2には、10細胞/mlで、HKLMにより刺激を与えた。(B)は、TLR3アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR3には、1μg/mlで、ポリ(I:C)により刺激を与えた。(C)は、TLR4アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR4には、100ng/mlで、LPSにより刺激を与えた。(D)は、TLR5アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR5には、100ng/mlで、フラゲリンにより刺激を与えた。(E)は、TLR7アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR7には、1μg/mlで、CL097により刺激を与えた。(F)は、TLR8アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR8には、1μg/mlで、CL075により刺激を与えた。(G)は、TLR9アンタゴニストのスクリーニングを示し、TLR9には、100ng/mlで、CpG ODN 2006により刺激を与えた。
【図2A】図2は、ラットの機械的異痛症に対する(+)−ナロキソンの鎮痛作用を示す。プロットされているのは、3時点での、14日目の各治療群ごとの、50%異痛症閾値である。棒は、平均±SEMを示す。(A)は、左(影響を受けた)足に関するデータを示す。(B)は、右(影響を受けていない)足に関するデータを示す。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001対ビヒクル。
【図2B】図2は、ラットの機械的異痛症に対する(+)−ナロキソンの鎮痛作用を示す。プロットされているのは、3時点での、14日目の各治療群ごとの、50%異痛症閾値である。棒は、平均±SEMを示す。(A)は、左(影響を受けた)足に関するデータを示す。(B)は、右(影響を受けていない)足に関するデータを示す。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001対ビヒクル。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
ある(+)−モルフィナンは、TLR9の活性化、したがってグリア細胞の活性化を遮断することが発見された。このように、TLR9アンタゴニスト活性を含む(+)−モルフィナンは、疼痛、ならびに疼痛および炎症に関連した他の状態を治療するのに使用することができる。TLR9活性化の阻害は、外傷性疼痛、神経因性疼痛、炎症性障害、アセトアミノフェン毒性、自己免疫障害、神経変性障害、および癌などの状態の治療において治療上有効であり得る(+)−モルフィナンを同定する、スクリーニングツールとして使用してもよいことも発見されている。したがって本発明は、TLR9アンタゴニスト活性を含む(+)−モルフィナンと、TLR9の活性化を阻害する方法と、治療上有効な(+)−モルフィナンを同定するためのスクリーニング方法と、外傷性疼痛、神経因性疼痛、炎症性障害、アセトアミノフェン毒性、自己免疫障害、神経変性障害、および癌などの状態を治療するために、TLR9アンタゴニスト活性を含む(+)−モルフィナンを使用する方法とを提供する。
【0013】
(I)TLR9アンタゴニスト活性を含む(+)−モルフィナン
(a)式(I)を含む化合物
本発明の一態様は、TLR9アンタゴニスト活性を含む(+)−モルフィナンを提供することである。一実施形態では、(+)−モルフィナンは、式(I)またはその薬学的に許容される塩を含む
【0014】
【化1】

【0015】
(式中、
Aは、{−}C(=O){−}、{−}C(S){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH(A){−}、および{−}C(A)(A){−}からなる群から選択され、
およびAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アシルオキシ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ポリヒドロキシアルキル、アミン、およびアミドからなる群から選択され、AおよびAは、共に存在する場合、一緒になって炭素環式環または複素環式環を形成してもよく、
RおよびR’は、独立して、水素、ヒドロキシ、アミン、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、ここで、R’は、破線により表されるように任意選択であり、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12は、独立して、水素、ヒドロキシ、アミン、ハロ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、ここで、RおよびAは、一緒になって、炭素環式、複素環式、アリール、ヘテロアリール、およびこれらの組合せからなる群から選択される環または環系を形成してもよく、
Yは、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミン、およびアミドからなる群から選択され、そして
5位と6位、6位と7位、7位と8位、8位と14位の炭素原子間の破線は、炭素間単結合、炭素間二重結合、またはこれらの組合せを表し、ただし、5位と6位の炭素間に二重結合が存在する場合は、RまたはRの一方のみが存在し、6位と7位の炭素間に二重結合が存在する場合は、RまたはRの一方のみが存在し、7位と8位の炭素間に二重結合が存在する場合は、RまたはRの一方のみが存在しかつRまたはR10の一方のみが存在し、そして8位と14位の炭素間に二重結合が存在する場合は、RまたはR10の一方のみが存在しかつYが存在しない)。
【0016】
この実施形態の一代替例において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12は独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、アラルキル、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アシルオキシ、アルコキシ、ハロアルコキシル、アリール、アミン、アミド、およびハロからなる群から選択される。
【0017】
別の代替例において、R、R、R、R、R10、R11、およびR12は水素であり、Rは、水素、メチル、アルキル、アルケニル、アリル、メチルシクロアルキル、メチルシクロプロピル、メチルシクロブチル、メチルアリール、メチルフェニル、アシル、アシルアルキル、アシルシクロアルキル、アシルシクロプロピル、アシルシクロブチル、アシルアリール、アシルフェニル、アシルオキシ、アシルオキシアルキル、アシルオキシアリール、アシルオキシフェニル、アルコキシ、およびアルコキシアルキルからなる群から選択され、Rは、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アリール、ヘテロアリール、およびフラニルからなる群から選択され、RおよびRは、独立して、ヒドロキシ、アルコキシ、メトキシ、アシルオキシ、および保護ヒドロキシからなる群から選択され、Rは、ヒドロキシ、アルコキシ、メトキシ、アシルオキシ、保護ヒドロキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、ここで、RおよびAは、一緒になって、インドリル環を形成してもよく、そしてYは、水素またはヒドロキシである。表Aは、式(I)を含む例示的な化合物を示す。
表A. 式(I)を含む例示的な化合物
【表A−1】

【0018】
表A. 式(I)を含む例示的な化合物
【表A−2】

【0019】
表A. 式(I)を含む例示的な化合物
【表A−3】

【0020】
(b)式(II)を含む化合物
別の実施形態では、(+)−モルフィナンは、式(II)またはその薬学的に許容される塩を含む
【0021】
【化2】

【0022】
(式中、
Aは、{−}C(=O){−}、{−}C(S){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH(A){−}、および{−}C(A)(A){−}からなる群から選択され、
およびAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アシルオキシ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ポリヒドロキシアルキル、アミン、およびアミドからなる群から選択され、AおよびAは、共に存在する場合、一緒になって炭素環式環または複素環式環を形成してもよく、
RおよびR’は、独立して、水素、ヒドロキシ、アミン、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、ここで、R’は、破線により表されるように任意選択であり、
、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12は、独立して、水素、ヒドロキシ、アミン、ハロ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、ここで、RおよびAは、一緒になって、炭素環式、複素環式、アリール、ヘテロアリール、およびこれらの組合せからなる群から選択される環または環系を形成してもよく、
Yは、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミン、およびアミドからなる群から選択され、
6位と7位、7位と8位、8位と14位の炭素原子間の破線は、炭素間単結合、炭素間二重結合、またはこれらの組合せを表し、ただし、6位と7位の炭素間に二重結合が存在する場合は、RまたはRの一方のみが存在し、7位と8位の炭素間に二重結合が存在する場合は、RまたはRの一方のみが存在しかつRまたはR10の一方のみが存在し、そして8位と14位の炭素間に二重結合が存在する場合は、RまたはR10の一方のみが存在しかつYが存在せず、そして
6位および14位の炭素は、エーテル、アルキル、アルケニル、置換アルキル、および置換アルケニルからなる群から選択される部分によって連結されていてもよい)。
【0023】
この実施形態の一代替例において、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12は独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、アラルキル、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アシルオキシ、アルコキシ、ハロアルコキシル、アリール、アミン、アミド、およびハロからなる群から選択される。
【0024】
別の代替例において、R、R、R、R10、R11、およびR12は水素であり、Rは、水素、メチル、アルキル、アルケニル、アリル、メチルシクロアルキル、メチルシクロプロピル、メチルシクロブチル、メチルアリール、メチルフェニル、アシル、アシルアルキル、アシルシクロアルキル、アシルシクロプロピル、アシルシクロブチル、アシルアリール、アシルフェニル、アシルオキシ、アシルオキシアルキル、アシルオキシアリール、アシルオキシフェニル、アルコキシ、およびアルコキシアルキルからなる群から選択され、Rは、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アリール、ヘテロアリール、およびフラニルからなる群から選択され、Rは、ヒドロキシ、アルコキシ、メトキシ、アシルオキシ、および保護ヒドロキシからなる群から選択され、Rは、ヒドロキシ、アルコキシ、メトキシ、アシルオキシ、保護ヒドロキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、ここで、RおよびAは、一緒になって、インドリル環を形成してもよく、そしてYは、水素またはヒドロキシである。表Bは、式(II)を含む例示的な化合物を示す。
表B. 式(II)を含む例示的な化合物
【表B−1】

【0025】
表B. 式(II)を含む例示的な化合物
【表B−2】

【0026】
表B. 式(II)を含む例示的な化合物
【表B−3】

【0027】
表B. 式(II)を含む例示的な化合物
【表B−4】

【0028】
表B. 式(II)を含む例示的な化合物
【表B−5】

【0029】
表B. 式(II)を含む例示的な化合物
【表B−6】

【0030】
表B. 式(II)を含む例示的な化合物
【表B−7】

【0031】
表B. 式(II)を含む例示的な化合物
【表B−8】

【0032】
表B. 式(II)を含む例示的な化合物
【表B−9】

【0033】
表B. 式(II)を含む例示的な化合物
【表B−10】

【0034】
(c)式(III)を含む化合物
さらに別の実施形態では、TLR9アンタゴニスト活性を有する化合物は、式(III)またはその薬学的に許容される塩を含む
【0035】
【化3】

【0036】
(式中、
RおよびR’は、独立して、水素、ヒドロキシ、アミン、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、ここで、R’は、破線により表されるように任意選択であり、そして
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12は、独立して、水素、ヒドロキシ、アミン、ハロ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択される)。
【0037】
この実施形態の一代替例において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12は独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、アラルキル、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アシルオキシ、アルコキシ、ハロアルコキシル、アリール、アミン、アミド、およびハロからなる群から選択される。
【0038】
別の代替例において、R、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12は水素であり、Rは、水素、メチル、アルキル、アルケニル、アリル、メチルシクロアルキル、メチルシクロプロピル、メチルシクロブチル、メチルアリール、メチルフェニル、アシル、アシルアルキル、アシルシクロアルキル、アシルシクロプロピル、アシルシクロブチル、アシルアリール、アシルフェニル、アシルオキシ、アシルオキシアルキル、アシルオキシアリール、アシルオキシフェニル、アルコキシ、およびアルコキシアルキルからなる群から選択され、そしてR、R、およびRは、独立して、ヒドロキシ、アルコキシ、メトキシ、アシルオキシ、および保護ヒドロキシからなる群から選択される。表Cは、式(III)を含む例示的な化合物を示す。
表C. 式(III)を含む例示的な化合物
【表C】

【0039】
(d)薬学的に許容される塩
式(I)、(II)または(III)を含む化合物は、薬学的に許容される塩として提供することができる。「薬学的に許容される塩」という用語は、遊離酸または遊離塩基のアルカリ金属塩または付加塩を形成するのに一般に使用される塩を指す。塩の性質は、薬学的に許容されることを条件に、変化させてもよい。本発明の化合物の、適切な、薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸からまたは有機酸から調製することができる。そのような無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、およびリン酸である。適切な有機酸は、脂肪族酸、脂環式酸、芳香族酸、アラリファティック酸(araliphatic)、複素環式酸、カルボン酸、およびスルホン酸クラスの有機酸から選択されてもよく、その例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルゲン酸(algenic)、ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ガラクタル酸、およびガラクツロン酸である。本発明の化合物の、適切な、薬学的に許容される塩基付加塩には、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、および亜鉛から作製された金属塩、または、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、およびプロカインから作製された有機塩が含まれる。これらの塩の全ては、例えば適切な酸または塩基と本発明の化合物のいずれかと反応させることにより、対応する化合物から従来の手段によって調製することができる。
【0040】
(e)立体化学
式(I)、(II)または(III)を含む化合物のそれぞれは、偏光の回転に対して(+)配向を有する。より具体的には、各キラル炭素はRまたはS配置を有する。当業者に理解されるように、所与の化合物に関するRまたはS配置は、特定の式、すなわち(I)、(II)または(III)および化合物の置換パターンに応じて変化するであろう。
【0041】
(II)TLR9アンタゴニストの治療的使用
本発明の別の態様は、被験体の状態を治療する方法を包含する。一般に、この方法は、TLR9アンタゴニスト活性を含む少なくとも1種の(+)−モルフィナンを、単独でまたは少なくとも1種の追加の治療薬と組み合わせて被験体に投与するステップを含む。様々な障害または疾患状態は、本発明の化合物で治療することができる。一般に、化合物は、式(I)、(II)、(III)またはその薬学的に許容される塩を含む。治療することができる適切な障害および疾患には、疼痛状態、炎症性障害、アセトアミノフェン毒性、自己免疫障害、神経変性障害、および癌が含まれる。
【0042】
治療がなされる被験体は、示された状態の1種を有すると診断された任意の被験体であってもよい。あるいは、治療がなされる被験体は、これら状態の治療を必要とする被験体であってもよい。すなわち被験体は、その状態を有すると診断されまたはその状態を発症するリスクがある。被験体は、周知の診断または臨床検査を使用して、その状態を有すると診断されてもよい。さらに当業者は、異なる疾患または障害を診断するのに異なる診断または臨床検査が使用されることを理解する。診断ツールには、身体検査、患者履歴、スクリーニング試験、実験室試験、分子試験、ゲノム試験、撮像ツール、物理的試験、およびメンタル試験などが含まれるが、これらに限定するものではない。疼痛の知覚は非常に主観的であるので、McGill疼痛質問表などのツールを使用して疼痛の質(例えば、鋭い、刺すような、締め付けられるような、など)を評価してもよく、疼痛の強度は、0から10に及ぶ数値スケールを使用して定量化することができる。熟練した診断者は、疼痛の他の指標に慣れている。
【0043】
一般に、被験体はヒトになる。しかし本発明の範囲から逸脱することなく、他の哺乳類被験体を使用してもよい。適切な哺乳類被験体には、ネコやイヌなどのペット;ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、およびヤギなどの家畜動物;動物園の動物;およびヒト以外の霊長類やげっ歯類などの研究用動物が含まれる。
【0044】
(a)状態
(i)疼痛状態
一実施形態では、式(I)、(II)、(III)またはその薬学的に許容される塩を含む化合物を、単独でまたは疼痛を治療するための少なくとも1種の追加の治療薬と組み合わせて使用してもよい。本明細書で使用される「疼痛」という用語は、有害な刺激による実際のまたは知覚された、組織損傷に関連した不愉快な感覚的および感情的経験を指す。疼痛は、急性疼痛または慢性疼痛であってもよい。例えば疼痛は、非神経組織に対する損傷から生じた、外傷性または炎症性疼痛であってもよい。外傷性または炎症性疼痛の非限定的な例には、くも膜炎、関節炎、背痛、熱傷痛、中枢性疼痛症候群、癌疼痛、頭痛(片頭痛、群発性頭痛、および緊張性頭痛を含む。);頭部および顔面痛、筋肉痛(線維筋痛症を含む。)、顔面筋疼痛症候群;反射性交感神経性ジストロフィー症候群、反復性ストレス損傷、坐骨神経痛、帯状疱疹および他の皮膚障害、スポーツ損傷、脊椎管狭窄症(spinal stenosis)、術後疼痛、側頭下顎障害、外傷、および/または血管疾患もしくは損傷が含まれる。
【0045】
あるいは疼痛は、中枢または末梢神経系に対する損傷または炎症から生ずる神経因性疼痛であってもよい。神経因性疼痛は、身体の任意の部分で生じる可能性があり、熱い、火傷のような感覚であると記載されることが多く、影響を受けた個人に対して破壊的であり得る。神経因性疼痛は、急性または慢性であってもよく、神経に影響を及ぼす疾患(糖尿病など)から、外傷、外科処置、関節炎、AIDS、火傷、脳または腰椎疾患、線維筋痛、虚血後(post−eschemic)疼痛、腫瘍、ウイルス性神経痛から生ずる可能性があり、または化学療法薬が神経に影響を及ぼす可能性があるので、この神経因性疼痛は、癌治療の結果である可能性がある。多くの神経因性疼痛状態の中には、糖尿病性神経障害(糖尿病によって生ずる血管の問題に続く、神経損傷から生ずる。)、損傷の後に生ずる可能性がある反射性交感神経性ジストロフィー症候群、肢の外科的切除から生ずる可能性がある幻肢痛および切断後の疼痛、帯状疱疹の大流行後に生ずる可能性がある疱疹後神経痛、および脳または脊髄に対する外傷から生ずる可能性がある複合性局所性疼痛症候群または中枢性疼痛症候群がある。
【0046】
神経因性疼痛の特徴的な症状には、知覚過敏(すなわち、天然の刺激に対する高い感受性)、異痛症(すなわち、触覚の刺激に対する広範な圧痛または過感受性)、痛覚過敏(すなわち、疼痛に対する異常な感受性)、自発的灼熱痛、および/または幻肢痛(すなわち、存在していない疼痛の知覚)が含まれる。知覚過敏では、例えば聴覚性、脳性、味覚、筋肉、嗅覚性、夢幻性(onelric)、視覚性、または触覚性刺激を含めた感覚刺激に対する感受性が異常に増大しまたは変化することを伴う。例として、通常は痛みのない接触刺激から、痛みのある感覚が生ずる。異痛症は、例えば正常な皮膚に対する非有害性刺激を含めたこれらの刺激に関する疼痛閾値を低下させることに基づいた、熱によってまたは接触によって誘発された刺激の強化された不愉快な痛みのある知覚を含む。痛覚過敏はやはり、例えば聴覚または筋肉の刺激を含む、疼痛閾値の低下、したがって異常に増大した痛覚に基づいた、様々な刺激の過剰な知覚を含む。幻肢痛は、切断された肢で感知される疼痛など、存在していない肢の痛みの知覚、すなわち幻肢症候群を含む。
【0047】
(ii)炎症性障害
別の実施形態では、式(I)、(II)、(III)またはその薬学的に許容される塩を含む化合物を、単独で、または被験体の炎症を治療するための少なくとも1種の追加の治療薬と組み合わせて使用してもよい。例えば、炎症性障害は、関節リウマチ、脊椎関節症、痛風関節炎、骨関節炎、全身性エリテマトーデス、または若年性関節炎を含むがこれらに限定されない関節炎であってもよい。いくつかの実施形態では、炎症は、喘息、アレルギー性鼻炎、鼻腔疾患、気管支炎、結核、急性膵炎、敗血症、感染性疾患、月経痙攣、早産、腱炎、滑液包炎、乾癬、湿疹、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、皮膚炎、接触性皮膚炎、および火傷などの皮膚関連状態に関連していてもよく、または、白内障手術および屈折矯正手術などの眼科手術を含めた術後炎症からのものであってもよい。さらなる実施形態では、炎症性障害は、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群、慢性胆嚢炎、または潰瘍性大腸炎などの胃腸状態であってもよい。さらに別の実施形態では、炎症は、血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、強皮症(sclerodoma)、リウマチ熱、I型糖尿病、重症筋無力症を含む神経筋接合部疾患、多発性硬化症を含む白質疾患、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、腎炎、過敏症、損傷後に生ずる腫脹、心筋虚血、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、全身性炎症反応症候群(SIRS)、癌関連炎症、腫瘍関連新脈管形成の低減、エンドトキシンショック症候群、およびアテローム性動脈硬化症などの疾患に関連していてもよい。代替の実施形態では、炎症性障害は、網膜炎、網膜症、ぶどう膜炎、眼の光恐怖症などの眼疾患に関連していてもよく、または眼組織に対する急性損傷のものであってもよい。さらに別の実施形態では、炎症は、ウイルス感染症もしくは嚢胞性線維症に関連しているような肺の炎症、慢性閉塞性肺疾患、または急性呼吸窮迫症候群であってもよい。炎症性障害は、組織拒絶、移植片対宿主病、遅延型過敏、ならびにアルツハイマー病、パーキンソン病、および多発性硬化症などのCNS疾患の免疫媒介性および炎症性要素などに関連していてもよい。
【0048】
(iii)アセトアミノフェン毒性
さらに別の実施形態では、式(I)、(II)、(III)またはその薬学的に許容される塩を含む化合物は、単独であってもよく、またはアセトアミノフェン毒性(パラセタモール毒性としても公知である。)を治療する少なくとも1種の他の治療薬と組み合わせてもよい。高レベルのアセトアミノフェンは、肝臓(すなわち、アセトアミノフェン誘導性肝毒性)または腎臓(すなわち、アセトアミノフェン誘導性腎毒性)に損傷をもたらす可能性がある。アセトアミノフェン毒性は、アセトアミノフェンの急性過剰投与または慢性過剰投与のアセトアミノフェンから生ずる可能性がある。毒性が生ずる、摂取されたアセトアミノフェンの量は、慢性的なエタノールの使用、栄養不良(malnourishment)、または低栄養状態、絶食、または脱水を伴うウイルス性の病気、または、アセトアミノフェンを代謝する酵素系と相互に作用するある特定の医薬品の使用によって、低減させることができる。
【0049】
アセトアミノフェン誘発性肝毒性は、細胞酸化性損傷、ミトコンドリア機能不全、および続発性炎症性応答によって発現する可能性がある。細胞損傷は、高レベルの血清アラニントランスアミナーゼ(ALT)または血清アスパルテートトランスアミナーゼ(AST)によりモニタすることができ、炎症性応答は、高レベルのプロインターロイキン(IL)−1β転写物レベルによりモニタすることができる。アセトアミノフェン誘発性肝毒性は、肝細胞損傷、死、および小葉中心(ゾーンIII)肝臓壊死をもたらす可能性もある。類似の酵素反応は腎臓で生じ、ある程度の肝臓外器官機能不全に関与する可能性がある。
【0050】
(iv)自己免疫障害
さらに別の実施形態では、式(I)、(II)、(III)またはその薬学的に許容される塩を含む化合物は、単独であってもよく、または自己免疫疾患または障害を治療する少なくとも1種の他の治療薬と組み合わせてもよい。自己免疫障害は、多くの組織または器官が影響を受けるかまたは損傷する、狼瘡などの全身性のものであってもよい。あるいは自己免疫障害は、単一の器官または組織が損傷しまたは影響を受ける、I型糖尿病などの局所的なものであってもよい。自己免疫障害の非限定的な例には、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、円形脱毛症、抗リン脂質抗体症候群(APS)、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、水泡性類天疱瘡、セリアック病、シャーガス病、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、皮膚筋炎、1型糖尿病、子宮内膜症、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギランバレー症候群(GBS)、橋本甲状腺炎、化膿性汗腺炎、川崎病、IgA腎症、特発性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎、エリテマトーデス(Lupus)、混合性結合組織病、モルヘア、多発性硬化症、重症筋無力症、ナルコレプシー、神経筋緊張症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、乾癬、乾癬性関節炎、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、関節リウマチおよび若年性関節リウマチ、統合失調症、強皮症、硬化性胆管炎、シェーグレン症候群、スティッフパーソン症候群、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、血管炎、白斑、およびウェジナー肉芽腫症が含まれる。
【0051】
(v)神経変性障害
代替の実施形態では、式(I)、(II)、(III)またはその薬学的に許容される塩を含む化合物を、単独で使用してもよく、または神経変性障害を治療する少なくとも1種の他の治療薬と組み合わせて使用してもよい。神経変性障害の非限定的な例には、副腎白質萎縮症、加齢に関連した障害および認知症、アルコール依存症、アレキサンダー病、アルパーズ病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ルーゲーリック病)、毛細血管拡張性運動失調、バッテン病(シュピールマイヤー−フォークト−シェグレン−バッテン病としても公知である。)、ウシ海綿状脳症(BSE)、キャナヴァン病、脳性麻痺、コケイン症候群、大脳皮質基底核変性症(CBD)、クロイツフェルト−ヤコブ病、家族性致死性不眠症、前頭側頭葉変性症、前頭側頭性認知症(FTD)、ハンチントン病、HIV関連認知症、ケネディー病、クラッベ病、レビー小体病、神経ボレリア症、マシャド−ジョセフ病(3型脊髄小脳失調)、多系統萎縮症、多発性硬化症、ナルコレプシー、ニーマン−ピック病、パーキンソン病、ペリツェウス−メルツバッハー病、ピック病、原発性側索硬化症、進行性核上性麻痺(PSP)、精神病性障害、レフサム病、サンドホフ病、シルダー病、分裂感情障害、統合失調症、卒中、悪性貧血の後に生ずる脊髄亜急性連合変性、脊髄小脳失調、脊髄性筋萎縮症、スティール−リチャードソン−オルスゼフスキー病、脊髄ろう、および中毒性脳症が含まれる。
【0052】
(vi)癌
さらに別の実施形態では、式(I)、(II)、(III)またはその薬学的に許容される塩を含む化合物を、新生物または癌を治療する化学療法薬と組み合わせて使用してもよい。新生物は悪性でも良性でもよく、癌は原発性でも転移性であってもよく、新生物または癌は、初期でも後期でもよい。治療することができる新生物または癌の非限定的な例には、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、AIDS関連癌、AIDS関連リンパ腫、肛門癌、虫垂癌、星細胞腫(小児小脳または大脳)、基底細胞癌腫、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳幹神経膠腫、脳腫瘍(小脳星細胞腫、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、テント上未分化神経外胚葉性腫瘍、視覚路および視床下部膠腫)、乳癌、気管支腺腫/カルチノイド、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍(小児、胃腸)、原発不明の癌腫、中枢神経系リンパ腫(原発性)、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫/悪性膠腫、子宮頸癌、小児癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖障害、結腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、子宮内膜癌、上皮細胞腫、食道癌、ユーイングファミリー腫瘍のユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍(小児)、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼癌(眼内メラノーマ、網膜芽細胞腫)、胆嚢癌、胃癌、胃腸カルチノイド腫瘍、胃腸間質腫瘍、胚細胞腫瘍(小児頭蓋外、性腺外、卵巣)、妊娠性絨毛性腫瘍、神経膠腫(成人、小児脳幹、小児大脳星細胞腫、小児視覚路および視床下部)、胃カルチノイド、ヘアリー細胞白血病、頭頸部癌、肝細胞(肝臓)癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、視床下部および視覚路膠腫(小児)、眼内メラノーマ、島細胞癌、カポジ肉腫、腎癌(腎細胞癌)、喉頭癌、白血病(急性リンパ芽球性、急性骨髄性、慢性リンパ性、慢性骨髄性、毛様細胞)、口唇および口腔癌、肝臓癌(原発性)、肺癌(非小細胞、小細胞)、リンパ腫(AIDS関連、バーキット、皮膚T細胞、ホジキン、非ホジキン、原発性中枢神経系)、マクログロブリン血症(ヴァルデンストレーム)、骨の悪性線維性組織球腫/骨肉腫、髄芽細胞腫(小児)、メラノーマ、眼内メラノーマ、メルケル細胞癌腫、中皮腫(成人悪性、小児)、不顕性原発性の転移性扁平上皮性頸部癌、口腔癌、多発性内分泌新形成症候群(小児)、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、骨髄性白血病(慢性)、骨髄性白血病(成人急性、小児急性)、多発性骨髄腫、骨髄増殖性障害(慢性)、鼻腔および副鼻腔癌、鼻咽頭癌腫、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、口腔癌、口腔咽頭癌、骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫、卵巣癌、卵巣上皮癌(表面上皮−間質性腫瘍)、卵巣胚細胞腫瘍、境界悪性卵巣腫瘍、膵臓癌、膵臓癌(島細胞)、副鼻腔および鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、クロム親和性細胞腫、松果体星細胞腫、松果体胚細胞腫、松果体芽細胞腫およびテント上未分化神経外胚葉性腫瘍(小児)、下垂体アデノーマ、形質細胞新形成、胸膜肺芽細胞腫、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌腫(腎臓癌)、腎盂および尿管移行上皮癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫(小児)、唾液腺癌、肉腫(ユーイングファミリー腫瘍、カポジ、軟組織、子宮)、セザリー症候群、皮膚癌(非メラノーマ、メラノーマ)、皮膚癌腫(メルケル細胞)、小細胞肺癌、小腸癌、軟組織肉腫、扁平上皮性癌腫、不顕性原発性(転移性)の扁平上皮性頸部癌、胃癌、テント上未分化神経外胚葉性腫瘍(小児)、T細胞リンパ腫(皮膚)、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫(小児)、胸腺腫および胸腺癌腫、甲状腺癌、甲状腺癌(小児)、腎盂および尿管の移行上皮癌、栄養膜腫瘍(妊娠性)、未知の原発性部位(成人、小児)、尿管および腎盂移行上皮癌、尿道癌、子宮癌(子宮内膜)、子宮肉腫、膣癌、視覚路および視床下部膠腫(小児)、外陰癌、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、およびウィルムス腫瘍(小児)が含まれる。
【0053】
(b)治療製剤
(i)少なくとも1種の(+)−モルフィナンTLR9アンタゴニストを含む製剤
いくつかの実施形態では、治療方法は、TLR9アンタゴニスト活性を含む少なくとも1種の(+)−モルフィナンを、被験体に投与するステップを含む。一般に、TLR9アンタゴニストは、式(I)、(II)、(III)、またはその薬学的に許容される塩を含む化合物である。適切な、薬学的に許容される塩は、セクション(I)(d)で詳述している。
【0054】
本発明の化合物は、医薬組成物に製剤化されてもよく、治療上有効な用量を送達するいくつかの異なる手段により投与されてもよい。そのような組成物は、望みに応じて従来の無毒性の薬学的に許容されるキャリア、アジュバント、およびビヒクルを含有する投薬単位製剤として、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、直腸を通して、皮内に、くも膜下に、経皮的に、または局所的に投与してもよい。局所投与では、経皮パッチまたはイオン導入デバイスなどの経皮投与を使用してもよい。治療薬の調合は、例えばGennaro,A.R.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pa.(18版、1995年)と、Liberman,H.A.およびLachman,L.編、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Dekker Inc.、New York、N.Y.(1980年)に論じられている。
【0055】
経口投与用の調製物は、一般に、活性医薬品成分に加えて不活性な添加物を含有する。経口調製物は、ゼラチンカプセルに包封されていても錠剤に圧縮されていてもよい。そのような調製物に使用される一般的な添加物には、微結晶質セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、二塩基性リン酸カルシウム、または炭酸カルシウムなどの薬学的に適合性ある増量剤/希釈剤;アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、微結晶質セルロース、ゼラチン、トラガカントガム、またはポリビニルピロリドンなどの結合剤;アルギン酸、セルロース、デンプン、またはポリビニルピロリドンなどの崩壊剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、またはナトリウムステアリルフマレートなどの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロースやサッカリンなどの甘味料;ペパーミント、サリチル酸メチル、またはシトラスフレーバーなどの着香料;着色剤;および抗酸化剤(例えば、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、またはパルミチン酸レチニル)、クエン酸、またはクエン酸ナトリウムなどの保存剤が含まれる。経口調製物は、水性懸濁液、エリキシル、またはシロップとして投与してもよい。これらの場合、活性成分は、様々な甘味料または着香料、着色剤と組み合わせてもよく、そのように望む場合は乳化剤および/または懸濁剤と、ならびに水、エタノール、グリセリン、およびこれらの組合せなどの希釈剤と、組み合わせてもよい。
【0056】
非経口投与の場合(皮下、皮内、静脈内、筋肉内、および腹腔内を含む)、調製物は、水性または油をベースにした溶液であってもよい。水性溶液には、滅菌希釈液、例えば水、生理食塩液、グリセロールやプロピレングリコールなどの薬学的に許容されるポリオール、または他の合成溶媒など;ベンジルアルコール、メチルパラベン、クロロブタノール、フェノール、およびチメロサールなどの抗菌および/または抗真菌剤;アスコルビン酸または重硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;アセテート、シトレート、またはホスフェートなどのバッファー;および/または毒性を調節するための薬剤、例えば塩化ナトリウム、デキストロース、またはマンニトールやソルビトールなどのポリアルコールなどを含めてもよい。水性溶液のpHは、塩酸や水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調節してもよい。油をベースにした溶液または懸濁液は、ゴマ、落花生、オリーブ油、または鉱油をさらに含んでいてもよい。
【0057】
局所投与(例えば、経皮または経粘膜)の場合、障壁を透過させるのに適切な透過物が、調製物に一般に含められる。経粘膜投与は、鼻スプレー、エアロゾルスプレー、錠剤、または坐薬の使用を通して実現されてもよく、経皮投与は、当技術分野で一般に公知の軟膏、膏薬、ゲル、パッチ、またはクリームを介してもよい。
【0058】
被験体に投与される薬剤の量は、薬剤のタイプ、被験体、および特定の投与形態に応じて変えることができ、また変えることになる。当業者なら、投薬量は、Goodman & Goldman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics、10版(2001年)、Appendix II、475〜493頁、およびthe Physicians’ Desk Referenceの指針により決定してもよいことが理解されよう。
【0059】
(ii)組合せ製剤
他の実施形態では、治療方法は、少なくとも1種の(+)−モルフィナンTLR9アンタゴニストと少なくとも1種の他の治療薬とを含む組合せ製剤を、被験体に投与するステップを含む。一般に、TLR9アンタゴニストは、式(I)、(II)、(III)、またはその薬学的に許容される塩を含む化合物である。組合せ製剤が複数の追加の治療薬を含む場合、この治療剤を、以下に列挙する種類の1つから引き出すことができ、またはこの治療薬剤を、以下に列挙する異なる種類から引き出すことができると考えられる。
【0060】
一実施形態では、、式(I)、(II)、(III)、またはその薬学的に許容される塩を含む化合物は、鎮痛薬と組み合わせて投与されてもよい。鎮痛薬は、(−)−オピオイド鎮痛薬であってもよい。あるいは鎮痛薬は、非オピオイド鎮痛薬であってもよい。適切なオピオイド鎮痛薬の非限定的な例には、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、エトルフィン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、レボファノール、メペリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、ノルコデイン、ノルモルフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、およびプロポキシフェンが含まれる。オピオイド鎮痛薬を含むいくつかの組合せでは、組合せ製剤中のオピオイド鎮痛薬の濃度または用量は、鎮痛未満であってもよい。適切な非オピオイド鎮痛薬の例には、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン(パラセタモール)、イブプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、ジフルニゾール、ナプロキセン、ケトロラク、ジクロフェナク、トルメチン、スリンダク、フェナセチン、ピロキシカム、およびメファマン酸が含まれるが、これらに限定するものではない。他の実施形態では、鎮痛薬は、オピエート鎮痛薬と非オピオイド鎮痛薬との組合せを含んでいてもよい。例えば、アセトアミノフェンは、コデイン、ヒドロコドン、オキシコドン、プロポキシフェン、または別のオピオイド鎮痛薬と組み合わせてもよい。例示的な実施形態では、組合せは、式(I)、(II)、または(III)を含む化合物と、アセトアミノフェンとを含んでいてもよい。そのような組合せ中のアセトアミノフェンの濃度は、現在入手可能なアセトアミノフェン組合せ製剤におけるより低くてもよい。
【0061】
別の実施形態では、式(I)、(II)、(III)、またはその薬学的に許容される塩を含む化合物は、抗炎症薬と組み合わせて投与されてもよい。抗炎症薬は、天然に生ずるヒドロコルチゾン(コルチゾール)などのグルココルチコイドステロイド、またはプレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、フルドロコルチゾン、デオキシコルチコステロン、アルクロメタゾン、フルオシノニド、アルドステロン、およびこれらの誘導体などの合成グルココルチコイドであってもよい。あるいは、抗炎症薬は、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)であってもよい。適切なNSAIDの非限定的な例には、アセチルサリチル酸(アスピリン)、セレコキシブ、コリンマグネシウムサリチレート、Cox−2阻害剤、ジクロフェナク、ジフルニザル、エトドラク、フェノプロフェン、フルフェニザル、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナメート、メフェナメート、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダク、トルメチン、バルデコキシブ、およびゾメピラクが含まれる。
【0062】
さらに別の実施形態では、式(I)、(II)、(III)、またはその薬学的に許容される塩を含む化合物は、、抗生剤と組み合わせて投与されてもよい。適切な抗生剤の非限定的な例には、例えばアミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルミシン、ストレプトマイシン、およびトブラマイシンなどのアミノグリコシド;ロラカルベフなどのカルベセフェム;例えばセルタペネム、イミペネム、およびメロペネムなどのカルバペネム;例えばセファドロキシルセファゾリン、セファレキシン、セファクロル、セファマンドール、セファレキシン、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、およびセフトリアキソンなどのセファロスポリン;例えばアジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、およびトロレアンドマイシンなどのマクロライド;モノバクタム;例えばアモキシシリン、アムピシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、ピペラシリン、およびチカルシリンなどのペニシリン;例えばバシトラシン、コリスチン、およびポリミキシンBなどのポリペプチド;例えばシプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、およびトロバフロキサシンなどのキノロン;例えばマフェニド、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、およびトリメトプリム−スルファメトキサゾールなどのスルホンアミド;例えばデメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、およびオキシテトラサイクリンなどのテトラサイクリン;例えばケトコナゾール、アモキシシリン、セファレキシン、ミコナゾール、エコナゾール、アシクロビル、およびネルフィナビルなどの抗菌剤が含まれる。
【0063】
別の代替の実施形態では、式(I)、(II)、(III)、またはその薬学的に許容される塩を含む化合物は、、アセトアミノフェン毒性を治療するのに使用される薬剤と組み合わせて投与されてもよい。適切な薬剤には、アセチルシステイン(N−アセチルシステインとも呼ばれる。)、グルタチオン、および活性炭が含まれる。
【0064】
さらに別の実施形態では、式(I)、(II)、(III)、またはその薬学的に許容される塩を含む化合物は、、自己免疫治療薬と組み合わせて投与されてもよい。適切な自己免疫治療薬の非限定的な例には、アザチオプリン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シクロスポリン、ミコフェノレート、またはメトトレキセートなどの免疫抑制剤;プレドニゾンなどのコルチコステロイド;乾癬治療薬アレファセプト;エタネルセプト、インフリキシマブ、またはアダリムマブなどのTNF遮断薬;アバタセプトまたはリタキシマブなどの白血球遮断薬;らい病薬クロファジミン;およびボリノスタットなどの化学療法薬が含まれる。
【0065】
他の実施形態では、式(I)、(II)、(III)、またはその薬学的に許容される塩を含む化合物は、神経変性障害治療薬と組み合わせて投与されてもよい。典型的には、神経変性障害治療薬は、治療がなされる特定の神経変性障害に合わせて調製される。パーキンソン病の治療に適した治療薬には、レバドーパ(すなわち、L−DOPA);カルビドーパなどのデカルボキシラーゼ阻害剤;ブロモクリプチン、ペルゴリド、ロピニロール、またはプラミペキソールなどの直接作用ドーパミン作用剤;アマンタジンなどのドーパミン摂取阻害剤;トリヘキシフェニジルまたはベンズトロピンメシレートなどの抗コリンアゴニスト;L−デプレニルなどのモノアミンオキシダーゼB阻害剤;トルカポンなどのカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(methyltranferase)阻害剤;スフェラミン;およびこれらの組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。アルツハイマー病の治療に適した治療薬の非限定的な例には、ドネペジル、リバスチグミン、およびガランタミンなどのコリンエステラーゼ阻害剤;メマンチンなどのNMDA受容体アンタゴニスト;ならびにトラミプロセート、タレンフルビル、およびフェンセリンなどのアルツハイマー特効薬が含まれる。ハンチントン病の治療に使用される、標的とされる治療薬には、テトラベナジンやキセナジンなどが含まれるが、これらに限定するものではない。筋萎縮性側索硬化症(ALS)を治療するのに標的となる治療薬の非限定的な例には、リルゾール、およびメカセルミンリンファベートなどが含まれる。
【0066】
代替の実施形態では、式(I)、(II)、(III)、またはその薬学的に許容される塩を含む化合物は、、化学療法薬と組み合わせて投与されてもよい。化学療法薬は、概して迅速に分裂する細胞に影響を及ぼす細胞毒性薬であってもよく、または癌細胞の非制御状態のタンパク質に影響を及ぼす標的治療薬であってもよい。例えば、化学療法薬は、アルキル化剤、抗代謝物、抗腫瘍抗生剤、抗細胞骨格剤、トポイソメラーゼ阻害剤、抗ホルモン薬、標的治療薬、またはこれらの組合せであってもよい。アルキル化剤の非限定的な例には、アルトレタミン、ベンゾドーパ、ブスルファン、カルボプラチン、カルボクオン、カルムスチン、クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、クロロゾトシン、シスプラチン、シクロスホスファミド、ダカルバジン(DTIC)、エストラムスチン、フォテムスチン、イフォスファミド、イムプロスルファン、ロムスチン、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、メツレドーパ、ニムスチン、ノブエンビキン、フェネステリン、ピポスルファン、プレドニムスチン、ラニムスチン;テモゾロミド、チオテーパ、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、トリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)、トロホスファミド、ウラシルマスタード、およびウレドーパが含まれる。適切な抗代謝物には、アミノプテリン、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カペシタビン、カルモフル、シタラビン、またはシトシンアラビノシド(Ara−C)、ジデオキシウリジン、デノプテリン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、フルダラビン、5−フルオロウラシル(5−FU)、ゲムセタビン、ロイコボリン(フォリン酸)、6−メルカプトプリン、メトトレキセート、ペメトレキセド、プテロプテリン、チアミプリン、トリメトレキセート、およびチオグアニンが含まれるが、これらに限定するものではない。適切な抗腫瘍抗生剤の非限定的な例には、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アドリアマイシン、アウトラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、ミトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、プロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、およびゾルビシンが含まれる。適切な抗細胞骨格薬の非限定的な例には、コルチシン、ドセタキセル、マクロマイシン、パクリタキセル(タキソール)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビンが含まれる。適切なトポイソメラーゼ阻害剤には、アムサクリン、エトポシド(VP−16)、イリノテカン、RFS 2000、テニポシド、およびトポテカンが含まれるが、これらに限定するものではない。適切な抗ホルモン薬の非限定的な例は、アミノグルテチミド、4(5)−イミダゾールを阻害するアロマターゼ、ビカルタミド、フィナステリド、フルタミド、ゴセレリン、4−ヒドロキシタモキシフェン、ケオキシフェン、ロイプロリド、LY117018、ミトタン、ニルタミド、オナプリストン、ラロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェン、およびトリロスタンなどである。標的治療薬の非限定的な例には、アレムツズマブ、ベバシズマブ、カペシタビン、セツキシマブ、ゲムツズマブ、ヘレグリン、リツキシマブ、トラスツズマブなどのモノクローナル抗体;イマチニブメシレートなどのチロシンキナーゼ阻害剤;ならびにエリスロポイエチン、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−3、IL−6)、白血病阻害因子、インターフェロン、トロンボポイエチン、TNF−α、CD30リガンド、4−1BBリガンド、およびApo−1リガンドなどの成長阻害ポリペプチドが含まれる。
【0067】
当業者は、上記列挙した薬剤のいずれかの、薬学的に許容される塩、酸、または誘導体が、組合せ製剤に含まれてもよいことを理解する。組合せ製剤の投与形態は、薬剤および治療がなされる状態に応じて変えることができ、また変えることになる。適切な投与形態は、セクション(II)(b)(i)で詳述している。
【0068】
(III)TLR9活性化を阻害する方法
本発明のさらなる態様は、TLR9の活性化を阻害する方法を提供する。一般に、この方法は、TLR9を発現する細胞と、式(I)、(II)、(III)を含む化合物またはその薬学的に許容される塩とを、接触させるステップを含む。一実施形態では、この方法は、細胞と、I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、I−11、I−12、I−13、I−14、I−15、I−16、I−17、I−18、I−19、I−20、I−21、I−22、I−23、I−24、I−25、I−26、I−27、I−28、I−29、II−1、II−2、II−3、II−4、II−5、I−6、II−7、II−8、II−9、II−10、II−11、II−12、II−13、II−14、II−15、II−16、II−17、II−18、II−19、II−20、II−21、II−22、II−23、II−24、II−25、II−26、II−27、II−28、II−29、II−30、II−31、II−32、II−33、II−34、II−35、II−36、II−37、II−38、II−39、II−40、II−41、II−42、II−43、II−44、II−45、II−46、II−47、II−48、II−49、II−50、II−51、II−52、II−53、II−54、II−55、II−56、II−57、II−58、II−59、II−60、II−61、II−62、II−63、II−65、II−66、II−67、II−68、II−69、II−70、II−71、II−72、II−74、II−75、II−76、II−77、II−78、II−79、II−80、II−81、II−82、II−83、II−84、II−85、II−86、II−87、II−88、II−89、II−90、II−91、II−92、II−93、II−94、II−95、II−96、II−97、II−98、II−99、II−100、II−101、III−1、III−2、III−3、III−4、およびIII−5からなる群から選択される化合物とを接触させるステップを含む。
【0069】
TLR9の活性化を阻害する方法は、in vivoで実施してもよく、またはin vitroで実施してもよい。したがって、TLR9を発現する細胞は、上記にて詳述した被験体内に配置されていてもよい。好ましい実施形態では、細胞は、グリア細胞、小膠細胞、または星状膠細胞であってもよい。例示的な実施形態では、細胞は、中枢神経系のグリア細胞であってもよい。
【0070】
本発明は、疼痛および炎症に関連した状態を治療するのに治療上有効であると考えられる、式(I)、(II)、または(III)を含む化合物を同定する方法も提供する。適切な状態には、外傷性または神経因性疼痛、炎症性障害、アセトアミノフェン毒性、自己免疫障害、神経変性障害、および癌が含まれる。この方法は、化合物がTLR9活性化を阻害するか否かを決定するステップを含む。式(I)、(II)、(III)、またはその薬学的に許容される塩を含む化合物がTLR9活性化を阻害するか否かを決定するために、この方法は、TLR9を発現する細胞と、活性化リガンドおよび問題の化合物とを接触させるステップを含み、このTLR9活性化は、細胞が活性化リガンドのみに接触している対照状態に比べ、化合物の存在下で低減する。典型的には、問題の化合物に接触しているTLR9を発現する細胞は、in vitroである。
【0071】
典型的には、TLR9を発現する細胞は、安定な細胞系からのものである。適切な親細胞の非限定的な例には、HEK293、CHO、BHK、NSO、HDMEC、NHEK、およびNHDF細胞が含まれる。例示的な実施形態では、細胞系はHEK293であってもよい。細胞は、当業者に周知の標準的な手順を使用して、TLR9を発現するように工学改変(engineer)されてもよい。TLR9は、哺乳類由来であってもよく、好ましくはヒト由来であってもよい。
【0072】
TLR9を活性化するのに使用される活性化リガンドは、メチル化DNA、非メチル化DNA、CpGオリゴデオキシヌクレオチド、またはオリゴデオキシヌクレオチドであってもよい。例示的な実施形態では、活性化リガンドは、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)2006であってもよい。
【0073】
in vitroアッセイにおける細胞内のTLR9の活性化は、レポーターの活性を測定することによってモニタしてもよく、このレポーターの活性は、細胞内シグナル伝達分子またはNF−κBやIRF3などの誘導物質を生成することによってTLR9シグナル伝達を媒介する、アダプタータンパク質またはキナーゼの活性化に結び付けられる。適切なレポーターの非限定的な例には、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、およびGFP、または他の蛍光タンパク質が含まれる。レポーターの活性化は、ルミネセンス、蛍光、吸光度、または光学密度を介してモニタしてもよい。例示的な実施形態では、レポーターは、NF−κBにより誘導された分泌アルカリホスファターゼ(SEAP)であり、SEAPの活性化は、分光法によりモニタされる。
【0074】
一般に、TLR9アンタゴニスト活性を含む(+)−モルフィナンは、TLR9の活性化を少なくとも約10%低減させることができる。様々な実施形態では、(+)−モルフィナンは、TLR9の活性化を約10%から約15%、約15%から約20%、約20%から約25%、約25%から約30%、約30%から約35%、約35%から約40%、約40%から約45%、約45%から約50%、約50%から約55%、約55%から約60%、約60%から約70%、約70%から約80%、約80%から約90%、または約90%から約99%低減させることができる。
【0075】
in vitroスクリーニングアッセイは、TLR9アンタゴニスト活性を含む(+)−モルフィナンの最適な阻害濃度(またはIC50)を決定するのに使用してもよい。すなわち、最適な阻害濃度を得ることができるように、TLR9アンタゴニスト活性を含む(+)−モルフィナンの濃度が変化する用量依存性曲線を、作成することができる。
【0076】
定義
本明細書に記述される化合物は、不斉中心を有する。非対称的に置換された原子を含有する本発明の化合物は、光学的に活性な形態またはラセミ形態で単離することができる。特定の立体化学または異性形態が特に指示されていない限り、構造の、全てのキラル、ジアステレオマー、ラセミ形態、および全ての幾何学的異性形態が考えられる。
【0077】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用される「アシル」という用語は、有機カルボン酸の基COOHからヒドロキシ基を除去することによって形成された部分を示し、例えばRC(O)−であり、ここで、Rは、R、RO−、RN−、またはRS−であり、Rは、ヒドロカルビル、ヘテロ置換ヒドロカルビル、またはヘテロシクロであり、そしてRは、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルである。
【0078】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用される「アシルオキシ」という用語は、酸素結合(O)を介して結合された上述のアシル基を示し、例えばRC(O)O−であり、Rは、「アシル」という用語に関連して定義された通りである。
【0079】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、好ましくは、主鎖中に1から8個の炭素原子を含有し最大20個までの炭素原子を含有する低級アルキルである基を示す。これらの基は、直鎖または分枝鎖または環状であってもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、およびヘキシルなどが含まれる。
【0080】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、好ましくは、主鎖中に2から8個の炭素原子を含有し最大20個までの炭素原子を含有する低級アルケニルである基を示す。これらの基は、直鎖または分枝鎖または環状であってもよく、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、およびヘキセニルが含まれる。
【0081】
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、好ましくは、主鎖中に2から8個の炭素原子を含有し最大20個までの炭素原子を含有する低級アルキニルである基を示す。これらの基は、直鎖または分枝鎖であってもよく、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、およびヘキシニルなどが含まれる。
【0082】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用される「芳香族」という用語は、非局在化電子を含む、任意選択で置換された同素環または複素環式共役平面環または環系を示す。これらの芳香族基は、好ましくは、環部分に5から14個の原子を含有する単環式(例えば、フランまたはベンゼン)、二環式、または三環式基である。「芳香族」という用語は、以下に定義される「アリール」基を包含する。
【0083】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用される「アリール」または「Ar」という用語は、任意選択で置換された同素環式芳香族基、好ましくは環部分に6から10個の炭素を含有する単環式または二環式基、例えばフェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニル、または置換ナフチルなどを示す。
【0084】
単独でまたは別の基の一部として使用される「カルボシクロ」または「炭素環式」という用語は、環内の原子の全てが炭素であり、好ましくは各環内に5または6個の炭素原子を有する、任意選択で置換された芳香族または非芳香族の同素環式環または環系を示す。例示的な置換基には、下記の基:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシ、ケト、ケタール、ホスホ、ニトロ、およびチオの1種または複数が含まれる。
【0085】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用される「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、塩素、臭素、フッ素、およびヨウ素を指す。
【0086】
「ヘテロ原子」という用語は、炭素および水素以外の原子を指す。
【0087】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用される「ヘテロ芳香族」という用語は、少なくとも1個の環内に少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは各環内に5または6個の原子を有する、任意選択で置換された芳香族基を示す。ヘテロ芳香族基は、好ましくは、1もしくは2個の酸素原子および/または1から4個の窒素原子を環内に有し、炭素を介して分子の残りの部分に結合される。例示的な基には、フリル、ベンゾフリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル、カルバゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、およびイミダゾピリジルなどが含まれる。例示的な置換基には、下記の基:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシ、ケト、ケタール、ホスホ、ニトロ、およびチオの1種または複数が含まれる。
【0088】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用される「ヘテロシクロ」または「複素環式」という用語は、少なくとも1個の環内に少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは各環内に5または6個の原子を有する、任意選択で置換された完全飽和または不飽和の単環式または二環式の芳香族または非芳香族基を示す。ヘテロシクロ基は、好ましくは、1もしくは2個の酸素原子および/または1から4個の窒素原子を環内に有し、炭素またはヘテロ原子を介して分子の残りの部分に結合される。例示的なヘテロシクロ基には、上述のヘテロ芳香族が含まれる。例示的な置換基には、下記の基、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシ、ケト、ケタール、ホスホ、ニトロ、およびチオの1種または複数が含まれる。
【0089】
本明細書で使用される「炭化水素」および「ヒドロカルビル」という用語は、元素である炭素および水素のみからなる有機化合物または基を示す。これらの部分は、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリール部分を含む。これらの部分は、アルカリール、アルケナリール、およびアルキナリールなど、他の脂肪族または環式炭化水素基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリール部分も含む。他に指示しない限り、これらの部分は、好ましくは1から20個の炭素原子を含む。
【0090】
本明細書で使用される「保護基」という用語は、酸素原子を保護する(したがって、保護されたヒドロキシを形成する)ことが可能な基を示し、この保護基は、分子の残りの部分を妨げることなく、保護が用いられる反応に続いて除去されてもよい。例示的な保護基には、エーテル(例えば、アリル、トリフェニルメチル(トリチルまたはTr)、p−メトキシベンジル(PMB)、p−メトキシフェニル(PMP))、アセタール(例えば、メトキシメチル(MOM)、β−メトキシエトキシメチル(MEM)、テトラヒドロピラニル(THP)、エトキシエチル(EE)、メチルチオメチル(MTM)、2−メトキシ−2−プロピル(MOP)、2−トリメチルシリルエトキシメチル(SEM))、エステル(例えば、ベンゾエート(Bz)、アリルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカーボネート)、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、トリフェニルシリル(TPS)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、およびt−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)などが含まれる。様々な保護基およびその合成は、「Protective Groups in Organic Synthesis」 T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、John Wiley & Sons、1999年に見出すことができる。
【0091】
本明細書に記述される「置換ヒドロカルビル」部分は、少なくとも1個の炭素以外の原子で置換されたヒドロカルビル部分であり、炭素鎖原子が窒素、酸素、ケイ素、リン、ホウ素、またはハロゲン原子などのヘテロ原子で置換された部分、および炭素鎖が追加の置換基を含む部分を含む。これらの置換基には、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシ、ケト、ケタール、ホスホ、ニトロ、およびチオが含まれる。
【0092】
本明細書で使用される「治療する」という用語は、疾患もしくは障害の症状を阻害しもしくは緩和し;疾患もしくは障害の進行を逆転させ、阻害し、もしくは遅くし;および/または疾患もしくは障害の発祥を予防しもしくは遅延させることを指す。本明細書で使用される「治療」という用語は、他に指示しない限り、「治療する」が直前で定義されているように治療する動作を指す。
【0093】
本発明の要素またはその好ましい(1つまたは複数の)実施形態を紹介する場合、冠詞「ある、1つの(a)」、「ある、1つの(an)」、「この、前記(the)」、および「前記(said)」は、要素の1つまたは複数があることを意味するものとする。「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する」という用語は、包括的でありかつ列挙された要素以外の追加の要素であってもよいことを意味する。
【0094】
本発明について詳細に記述してきたが、添付される特許請求の範囲で定義された本発明の範囲から逸脱することなく、修正および変更が可能であることが理解されよう。
【実施例】
【0095】
下記の実施例は、本発明の様々な実施形態を例示する。
【0096】
(実施例1)
トール様受容体スクリーニング
TLR2、3、4、5、6、7、8、および9の刺激は、対応する受容体を発現するように工学改変されたHEK293細胞における転写因子NF−κBの活性化を評価することによって決定した。TLR刺激の評価は、SEAPレポーターがNF−κBにより誘発可能なプロモーターの制御下にある、NF−κB誘発性分泌アルカリホスファターゼ(SEAP)レポーター系の使用を基にした。したがって、TLRの活性化度は、生成されたSEAPレポーターの量を測定することによって、分光法により、間接的に定量化することができる。
【0097】
全体的手順。適切なTLR発現細胞を、96ウェルプレート中の成長培地に播種した(25,000〜50,000細胞/ウェル)。細胞を、適切な陽性対照リガンドで刺激し、またはリガンドを添加しなかった(陰性対照)。陽性対照リガンドは、TLR2を刺激するのにHKLMを使用し、TLR3を刺激するのにポリ(I:C)を使用し、TLR4を刺激するのにLPSを使用し、TLR5を刺激するのにFlagellinを使用し、TLR7を刺激するのにCL097を使用し、TLR8を刺激するのにCL075を使用し、TLR9を刺激するのにCpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)2006を使用した。(+)−モルフィナンがTLRのその活性化を遮断できるか否かを試験するために、細胞を、アンタゴニストで30分間前処理し、その後、陽性対照リガンドを添加した。この場合、試験化合物原液20μL(HO中100μM)を添加することによって、全体積200μLを得た。試験がなされたアンタゴニストは、(+)−ナロキソン、(+)−ナルトレキソン、シノメニン、およびジヒドロシノメニンであり、それぞれの最終濃度は10μMであった。COインキュベータ中、37℃で16〜20時間インキュベーションした後、細胞培養上澄み20μLを、QUANTI−Blue(商標)Media(InvivoGen、San Diego、CA)180μLに添加し、得られた溶液を37℃でさらに1〜3時間、製造業者の取扱説明書にしたがってインキュベートした。次いでサンプルのODを、Beckman Coulter AD 340C吸光度検出器で、650nmで読み取った。
【0098】
結果。アンタゴニストスクリーニング実験の結果を、表1および図1に示す。各アンタゴニストは、TLRの活性を阻害した。しかし最大の阻害は、TLR9で観察された(図1G参照)。これらのデータは、TLR9が(+)−モルフィナンの主要な標的であることを示す。
【0099】
【表1】

【0100】
(実施例2)
(+)−モルフィナンライブラリーのTLR9スクリーニング
分泌アルカリホスファターゼレポーターは、転写因子NF−κBにより誘発可能なプロモーターの制御下にある。100よりも多い(+)−モルフィナン化合物のライブラリーを、TLR9を発現するHEK293細胞におけるNF−κB活性化を評価することによってTLR9アンタゴニスト活性に関してスクリーニングした。このレポーター遺伝子は、NF−κBの活性化に基づき、TLRを通したシグナル伝達のモニタリングを可能にする。
【0101】
50,000細胞/ウェルを含有する96ウェルプレート(全体積200μL)では、各サンプル化合物20μLをウェルに3連で添加し、その後、37℃および5%COで30分間インキュベーションを行った。30分間のインキュベーション後、活性化剤ODN2006 20μLを各ウェルに添加した。ウェルに添加された培地は、NF−κBで誘発されたSEAP発現を検出するように設計された。16〜20時間のインキュベーション期間後、650nmでのODを、Beckman Coulter AD 340C吸光度検出器で読み取った。実験の結果を表2に示す。全ての化合物は、10μMおよび100nMの濃度で試験をした。
【0102】
【表2−1】

【0103】
【表2−2】

【0104】
【表2−3】

【0105】
【表2−4】

【0106】
【表2−5】

【0107】
【表2−6】

【0108】
【表2−7】

【0109】
【表2−8】

【0110】
【表2−9】

【0111】
【表2−10】

【0112】
【表2−11】

【0113】
【表2−12】

【0114】
【表2−13】

【0115】
【表2−14】

【0116】
【表2−15】

【0117】
【表2−16】

【0118】
【表2−17】

【0119】
【表2−18】

【0120】
【表2−19】

【0121】
【表2−20】

【0122】
【表2−21】

【0123】
【表2−22】

【0124】
【表2−23】

【0125】
このスクリーニング実験は、最大限のTLR9アンタゴニスト活性を含むそれら(+)−モルフィナン化合物を同定した。100nM程度に低い濃度であっても、一部の化合物は、90%を超えてTLR9を阻害した。
【0126】
(実施例3)
機械的異痛症における(+)−ナロキソンの鎮痛評価
神経因性疼痛は、米国人口の約1%に影響を及ぼし、管理するのが極めて難しい。通常、疼痛は慢性的で重症であり、伝統的な鎮痛薬に応答することができない。幸いにも、神経因性疼痛に関して最も広く使用されている動物モデルの1つは、患者が耐えている疼痛を厳密に模倣する。慢性絞扼性損傷(CCI)またはBennettモデルと呼ばれるこのモデルでは、ラットの坐骨神経の周りに緩く結ばれた4つのごく近くに配置された結さつが、神経の脱髄を引き起こし、その結果、長期の足の挙上(elevation)および結さつされた足を舐めるなどの自発疼痛が生じる。神経損傷肢で誘発された疼痛は、無毒性触覚刺激への応答を試験するため足底面に適用された、Von Freyフィラメントを使用して測定することができる。この高められた機械的異痛症の発症は、非常に素早く、2〜3カ月間持続する。
【0127】
この実施例では、CCI結さつを、3つの群のラットの左坐骨神経に行った。機械的異痛症のVon Frey試験を、14日目に両足に対して行って、試験薬剤の鎮痛効力を決定した。試験は、投与前と、投与30分後および90分後に行った。
【0128】
動物。合計34匹のオスSprague−Dawleyラットを、Harlan Sprague−Dawleyに注文した。動物は、特定病原体未感染であり、到着時に約175〜200gの体重であった。目視健康検査は、毛並み、四肢、および姿勢または運動の異常な徴候の評価が含まれるように、各動物に対して行った。動物を、受取り時に割り当てられた固有の耳標で、個々に特定した。動物を、透明なポリカーボネートプラスチックケージに個々に収容し、Enrich−o−cobsの敷きわらの形でケージ内を補強した。研究番号、動物番号、治療内容、種/株、および性別を特定したケージカードを、それらのケージに添付した。動物を、実験手順の開始前に、5日間順応させた。研究期間中に動物が収容される部屋番号を、研究記録で詳述した。温度を18〜26℃(64〜79°F)で、かつ相対湿度を30〜70%で維持した。温度および湿度をモニタし、日々の最小値および最大値を記録した。
【0129】
治療群。動物を、手術前に測定されたそれらのベースラインVon Freyデータに基づき、治療群に割り当てた。各群ごとの機械的異痛症のスコアを検討して、平均値および標準偏差が均質性の仮定を満足させることを確実にした。表3は、治療群を示す。31匹の動物を、研究で使用した。30匹の動物を、最初に治療群に割り当て、残りの4匹の動物は、スペアとして保持した。次いで1匹のスペアを使用して、手術中に死亡した動物の代わりにした。体重を、到着後1日目、手術前、およびその後は毎週量った。最終的な行動試験の後である14日目に、動物を、二酸化炭素窒息により安楽死させた。剖検を行わず組織も収集しなかった。
【0130】
【表3】

【0131】
手術。全ての手術は、無菌状態で行った。手術前、ラットに吸入イソフルラン麻酔薬を使用して鎮静させた。左足の毛を剃り、準備処置をした。総坐骨神経を露出させ、鈍的切開により筋肉(大腿二頭筋)を切り離すことにより、中大腿部の癒着組織から自由にした。坐骨神経の三分岐の近くで、約7mmの神経を癒着組織から切り離した。4つの結さつを、約1mm離した状態で、6.0クローミック腸線を使用して神経の周りで緩く結んだ。縫合のそれぞれは、坐骨神経の周りでこま結びにより緩く結んだ。露出部を取り囲む筋肉の短い痙攣が、所望の絞扼の指標であった。次いでその部位を、適切な縫合材料を使用して閉じた。術後のケアおよび観察を、動物の意識が回復するまで実施した。動物を、引き摺り(dragging)(不慮の手術損傷による)に関して術後1および3日目に観察し、健康障害の徴候および一般的な健康問題に関しては毎日観察した。
【0132】
行動試験。動物に、神経因性疼痛評価のための一連の行動試験を行った。機械的異痛症のVon Frey試験は、表4に従って、ランダム化に関するベースライン測定を実現するために手術前に次いで手術後14日目(試験物品の効力)に、両方の後足に関して行った。
【0133】
【表4】

【0134】
機械的異痛症。手術前に2回、動物を異痛症装置に順応させた。これにより、ラットを試験デバイスに馴染ませて装置に慣れさせ、したがってラットは試験の時にも静かであった。機械的異痛症の試験は、鎮痛化合物の抗侵害受容特性を評価するのに使用した。動物を最初に試験チャンバに馴染ませて、その疼痛閾値を評価するのに十分静かになるようにした。治療群に対してブラインドである技術者が、直径が増大していく一連のグレード付けされたナイロンフィラメント(Von Freyフィラメント)を使用して、ラットの両方の後足に軽く圧力をかけた。フィラメントを、曲がるまで、かつ痛みを感じたと見なされるそのときにラットが足を引っ込めることにより応答するまで、足の腹側面に対して直角に押圧した。閾値異痛症は、Chaplanアップダウン法を使用して決定し、試験の精神物理的スケールを使用して、各ラットごとに引っ込めるときの正確な力を得た。左右両方の後足について、各時点で試験をした。試験順序は、同側(影響を受けた)の脚の後に反対側の脚であった。2本の脚の試験の間は約20分であった。
【0135】
投与。14日目に、群1および3の動物に、表3に従いビヒクルまたは(+)−ナロキソンHClの皮下注射を行った。これらの動物には、1mL/kg投与した。14日目に、群2の動物には、表3に従いガバペンチンの腹腔内注射をした。これらの動物にも、1mL/kgで投与した。
【0136】
統計。異痛症データを、3×2分散分析により、群同士でかつ足および時点の間で比較した。データが有意であった場合(p<0.05)、Bonferroni post−hoc検定を利用して、個々の群の相違を決定した。
【0137】
結果。機械的異痛症試験は、手術前(ベースライン)と、投与前の術後14日目と、投与30分後および90分後に行った。ベースラインデータは図に含まれないが、全ての動物は、最大スコア17gを実現し、これはこの試験で使用されたフィラメントの最大の力に対して感受性がないことを示している。14日目の投与前試験では、17gのスコアに応答し続ける何匹かの動物がいた。これは、このサブセットの動物において神経因性疼痛を引き起こすので手術が有効ではなかったことを示し、したがって、これらの動物は、データ集合から取り出し、統計分析から除外した。最終的なサンプルサイズおよび異痛症データを、左足(影響を受けた。)に関しては図2Aに、右足に関しては図2B(影響を受けていない。)に示す。
【0138】
図2Aのデータは、術前ベースラインデータ(治療に関してp<0.01、時間に関してp<0.001)に関して、3群全てで左足での有意な異痛症を実証している。投与後、ガバペンチンおよび(+)−ナロキソンの両方は、30分および90分の両方で異痛症を著しく低減させるのに有効であった。右足のデータは図2Bに示されており、これらのデータは、このモデルで予測されたような右足の異痛症が無かったことを明らかにしている。機械的異痛症試験の90分の時点での閾値が、ビヒクル群で観察されたものよりも高いことが実証されたガバペンチン群を除いて、有意な群同士の差または時間による差はなかった。これは、ガバペンチンが末梢に投与されかつ堅牢な鎮静効果が両側にあったことを考えると、驚くべきことではない。
【0139】
結論。この研究は、術後14日目で試験をしたときに神経因性疼痛を実現した動物の左足の異痛症を低減させる、試験薬剤、(+)−ナロキソンの効力を試験した。この結果は、試験がなされた両方の時点で、(+)−ナロキソンによって有意な鎮静が実現されたことを示したが、これは陽性対照ガバペンチンの結果に類似していた。したがって、(+)−ナロキソンHClは、66.7mg/kgの用量を使用して14日目に投与した後、30および90分の時間的経過において神経因性疼痛を逆転させるのに有効な鎮静薬であった。
【0140】
(実施例4)
アセトアミノフェン誘発性の肝毒性を阻害し/低減させる(+)−モルフィナンの評価
アセトアミノフェン誘発性の肝損傷は、急性肝機能不全による死亡の最も一般的な原因である。(+)−モルフィナンによる治療は、アセトアミノフェン(APAP)により誘発された急性肝損傷を低減しまたは予防することができる。毒性用量のAPAPに曝された後の肝損傷を低減させるための、本明細書に開示された(+)−モルフィナン化合物の有効性について、APAP誘発性毒性のマウスモデルで試験することができる。
【0141】
このために、APAP誘発性肝毒性を、PBS中の500mg/kgの用量のAPAPの1回の腹腔内注射(ip)によって、8〜10週齢の間のオスC57BL/6マウスに誘発することができる(Imaedaら、(2009年)J. Clin. Invest.119巻(2号):305〜314頁)。(+)−モルフィナンは、APAP注射と同時に、1回の注射(皮下(sc)またはip)として10〜60mg/kgで投与してもよい。この実験モデルにおいて、(+)−モルフィナンが肝毒性を低減させる能力について、下記の群で試験することができる。
1)APAPなし、およびPBS (n=5)
2)APAPなし、および(+)−モルフィナン (n=5)
3)APAPおよびPBS (n=25)
4)APAPおよび(+)−モルフィナン (n=25)
注射後12時間で、全てのマウスを犠牲にしてもよく、下記のデータ、a)H&E染色がなされた肝組織学的検査、b)血清ALT(アラニントランスアミナーゼ)、および/またはc)Pro−IL−1β(プロ−インターロイキン1β)についての全肝臓mRNAレベルを収集することができる。
【0142】
群3は、著しい肝損傷を示すことになると予測される。しかし群4は、著しく少ない肝損傷を有し得、そのことは、(+)−モルフィナンが、毒性用量のAPAPにより誘発される損傷から肝臓を保護することを示す。
【0143】
(実施例5)
AIAモデルを使用した、炎症を阻害し/低減させる(+)−モルフィナンの評価
(+)−モルフィナンの抗炎症効果を、モデル動物系で試験することができる。例えば、アジュバント誘発関節炎(AIA)Lewisラットモデルは、関節リウマチ、すなわちTリンパ球およびマクロファージ細胞浸潤により特徴付けられる疾患の良好な動物モデルである。
【0144】
オスLewisラット(7週齢、約200g)に、不完全Freundアジュバント中のMycobacterium butyricum 0.1mlをを、尾の付け根に皮下注射することができる。ラットは、以下に示すように、対照および治療群(ラット約10匹/群)に分けることができる。動物は、マイコバクテリアの注射の日から開始して毎日2回、4週間継続して治療することができる。
1)ビヒクル:2.5ml/kgの20%HBC(2−ヒドロキシプロピル、β−シクロデキストリン)
2)プレドニゾロン(陽性対照)4.5mg/kg、ip、BID
3)(+)−モルフィナン5〜20mg/kg、sc、BID
ラットを、試験の経過中、週に2回計量してもよい。第2週から開始して、ラットを、AIAの臨床徴候に関して週に2〜3回観察することができる。このために、4本の足全てについて試験をし、最大16ポイントの下記のスケールを使用してスコアを付けてもよい。
0=炎症の徴候なし
1=中程度の発赤、腫脹の最初の兆候、関節は依然柔軟
2=中程度の発赤、中程度の腫脹、関節は依然柔軟
3=発赤、足の著しい腫脹および歪み、関節は癒着(fuse)し始め、足を使用しまたは足に体重をかけるのを躊躇
4=発赤、足の大量の腫脹および歪み、関節は完全に癒着、足を使用しまたは足に体重をかけるのを望まない
4週間の試験の終わりに、動物を安楽死させてもよく、血液/血清サンプルを、サイトカインのプロファイリングのために収集してもよく、足関節を有する足を、組織検査用に保存してもよい。
【0145】
(実施例6)
EAEモデルを使用して炎症を阻害し/低減させる(+)−モルフィナンの評価
(+)−モルフィナンが炎症を低減させる有効性についても、EAE(実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)Lewisラットモデルで試験することができる。このために、メスLewisラット(7週齢、約200g)に、モルモット脊髄エマルジョン中のMycobacterium tuberculosis 0.05mlを、後足の主な肉球のそれぞれに注射してもよい。ラットは、以下に示すように、対照および治療群(ラット約10匹/群)に分けることができる。動物は、マイコバクテリアの注射の日から開始して毎日2回治療することができる。
1)ビヒクル:2.5ml/kgの20%HBC
2)プレドニゾロン(陽性対照)4.5mg/kg、ip、BID
3)(+)−モルフィナン 5〜20mg/kg、sc、BID
ラットは、週に2回計量することができ、第2週から開始して、以下に詳述するスコアリングシステムを使用してEAEの臨床徴候を週に2〜3回観察することができる。スコアのボーダーラインにあるラットには、3.5などの半分のスコアを与えることができる。瀕死のラットは安楽死させることになる。
【0146】
【表5】

【0147】
(実施例7)
異種移植腫瘍を治療するための、化学療法薬と組み合わせた(+)−モルフィナンの評価
(+)−モルフィナンが化学療法薬の効力を増大させるか否かを決定するために、下記の試験を行ってもよい。メスヌードマウス(Hsd:Athymic Nude−Foxn1 nu/nu、5〜6週齢)に対し、右肩領域にEGFR発現ヒト腫瘍細胞を皮下注射してもよい。マウスを、下記の治療群(約10マウス/群)に分けることができる。
1)ビヒクル:生理食塩液
2)シスプラチン6mg/kg、iv、3×毎日
3)シスプラチン6mg/kg、iv、および(+)−モルフィナン20mg/kg、sc、3×毎日
4)EGFR阻害剤、iv、3×毎日
5)EGFR阻害剤、iv、および(+)−モルフィナン20mg/kg、sc、3×毎日
腫瘍の触診を、移植後7日目に開始してもよい。腫瘍は、週に3回観察し測定することができる。カリパス測定−mmを単位とする幅(スモールメジャー)×長さ(ラージメジャー)。体重を、試験の1日目(細胞移植の日)と、壊死までの毎週1回、記録することができる。げっ歯類腫瘍に関するNIH安楽死指針に従うことになる(例えば、腫瘍直径が20mmを超える場合、腫瘍が潰瘍化腫瘍である場合、腫瘍が、動物の食べる、飲む、廃棄物を排出する、呼吸する、または移動する能力を深刻に制限する場合、動物が痩せるようになり、かつ/または研究前の体重の20%超を失う場合)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−10、I−11、I−12、I−13、I−14、I−16、I−17、I−18、I−19、I−20、I−21、I−22、I−23、I−24、I−25、I−26、I−27、I−28、I−29、II−1、II−2、II−3、II−4、II−5、II−8、II−9、II−10、II−11、II−13、II−14、II−15、II−16、II−17、II−18、II−19、II−20、II−21、II−22、II−23、II−24、II−25、II−26、II−27、II−28、II−29、II−30、II−31、II−32、II−33、II−35、II−36、II−37、II−38、II−40、II−41、II−42、II−43、II−44、II−46、II−47、II−48、II−49、II−50、II−51、II−52、II−53、II−54、II−55、II−56、II−57、II−58、II−59、II−60、II−62、II−63、II−66、II−67、II−68、II−69、II−70、II−71、II−72、II−75、II−76、II−78、II−79、II−83、II−84、II−85、II−86、II−87、II−88、II−89、II−90、II−91、II−92、II−93、II−94、II−95、II−96、II−97、II−98、II−99、II−100、II−101、III−1、III−2、III−3、III−4、およびIII−5から選択される化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
TLR9を発現する細胞と、I−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、I−11、I−12、I−13、I−14、I−15、I−16、I−17、I−18、I−19、I−20、I−21、I−22、I−23、I−24、I−25、I−26、I−27、I−28、I−29、II−1、II−2、II−3、II−4、II−5、I−6、II−7、II−8、II−9、II−10、II−11、II−12、II−13、II−14、II−15、II−16、II−17、II−18、II−19、II−20、II−21、II−22、II−23、II−24、II−25、II−26、II−27、II−28、II−29、II−30、II−31、II−32、II−33、II−34、II−35、II−36、II−37、II−38、II−39、II−40、II−41、II−42、II−43、II−44、II−45、II−46、II−47、II−48、II−49、II−50、II−51、II−52、II−53、II−54、II−55、II−56、II−57、II−58、II−59、II−60、II−61、II−62、II−63、II−65、II−66、II−67、II−68、II−69、II−70、II−71、II−72、II−74、II−75、II−76、II−77、II−78、II−79、II−80、II−81、II−82、II−83、II−84、II−85、II−86、II−87、II−88、II−89、II−90、II−91、II−92、II−93、II−94、II−95、II−96、II−97、II−98、II−99、II−100、II−101、III−1、III−2、III−3、III−4、およびIII−5から選択される化合物またはその薬学的に許容される塩とを接触させるステップを含む、TLR9活性化を阻害する方法。
【請求項3】
前記細胞が哺乳類被験体内に位置している、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞がin vitroである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記細胞が、グリア細胞、小膠細胞、および星状膠細胞から選択される、請求項2から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
TLR9活性化が、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも60%、少なくとも80%、または少なくとも90%阻害される、請求項2から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
治療を必要とする被験体の状態を治療する方法であって、TLR9アンタゴニスト活性を含む少なくとも1種の化合物を前記被験体に投与するステップを含み、前記状態が、外傷性疼痛、神経因性疼痛、炎症性障害、アセトアミノフェン毒性、自己免疫障害、および神経変性障害から選択され、そして前記化合物が(+)−モルフィナンである方法。
【請求項8】
鎮痛薬、抗炎症薬、自己免疫薬、化学療法薬、神経変性薬、およびこれらの組合せから選択される少なくとも1種の追加の治療薬を前記被験体に投与するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記治療薬がアセトアミノフェンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が式(I)を含む、請求項7から9のいずれかに記載の方法
【化4】

(式中、
Aは、{−}C(=O){−}、{−}C(S){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH(A){−}、および{−}C(A)(A){−}から選択され、
およびAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アシルオキシ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ポリヒドロキシアルキル、アミン、およびアミドから選択され、AおよびAは、共に存在する場合、一緒になって炭素環式環または複素環式環を形成してもよく、
RおよびR’は、独立して、水素、ヒドロキシ、アミン、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、ここで、R’は、破線により表されるように任意選択であり、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12は、独立して、水素、ヒドロキシ、アミン、ハロ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、ここで、RおよびAは、一緒になって、炭素環式、複素環式、アリール、ヘテロアリール、およびこれらの組合せから選択される環または環系を形成してもよく、
Yは、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミン、およびアミドから選択され、
5位と6位、6位と7位、7位と8位、および8位と14位の炭素原子間の破線は、炭素間単結合、炭素間二重結合、またはこれらの組合せを表し、ただし、5位と6位の炭素間に二重結合が存在する場合は、RまたはRの一方のみが存在し、6位と7位の炭素間に二重結合が存在する場合は、RまたはRの一方のみが存在し、7位と8位の炭素間に二重結合が存在する場合は、RまたはRの一方のみが存在しかつRまたはR10の一方のみが存在し、そして8位と14位の炭素間に二重結合が存在する場合は、RまたはR10の一方のみが存在しかつYが存在しない)。
【請求項11】
、R、R、R、R10、R11、およびR12が水素であり、Rが、水素、メチル、アルキル、アルケニル、アリル、メチルシクロアルキル、メチルシクロプロピル、メチルシクロブチル、メチルアリール、メチルフェニル、アシル、アシルアルキル、アシルシクロアルキル、アシルシクロプロピル、アシルシクロブチル、アシルアリール、アシルフェニル、アシルオキシ、アシルオキシアルキル、アシルオキシアリール、アシルオキシフェニル、アルコキシ、およびアルコキシアルキルから選択され、Rが、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アリール、ヘテロアリール、およびフラニルから選択され、RおよびRが、独立して、ヒドロキシ、アルコキシ、メトキシ、アシルオキシ、および保護ヒドロキシから選択され、Rが、ヒドロキシ、アルコキシ、メトキシ、アシルオキシ、保護ヒドロキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、ここで、RおよびAは、一緒になって、インドリル環を形成してもよく、そしてYが、水素またはヒドロキシである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が式(II)を含む、請求項7から9のいずれかに記載の方法
【化5】

(式中、
Aは、{−}C(=O){−}、{−}C(S){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH(A){−}、および{−}C(A)(A){−}から選択され、
およびAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アシルオキシ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ポリヒドロキシアルキル、アミン、およびアミドから選択され、AおよびAは、共に存在する場合、一緒になって炭素環式環または複素環式環を形成してもよく、
RおよびR’は、独立して、水素、ヒドロキシ、アミン、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、ここで、R’は、破線により表されるように任意選択であり、
、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12は、独立して、水素、ヒドロキシ、アミン、ハロ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、ここで、RおよびAは、一緒になって、炭素環式、複素環式、アリール、ヘテロアリール、およびこれらの組合せから選択される環または環系を形成してもよく、
Yは、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミン、およびアミドから選択され、
6位と7位、7位と8位、8位と14位の炭素原子間の破線は、炭素間単結合、炭素間二重結合、またはこれらの組合せを表し、ただし、6位と7位の炭素間に二重結合が存在する場合は、RまたはRの一方のみが存在し、7位と8位の炭素間に二重結合が存在する場合は、RまたはRの一方のみが存在しかつRまたはR10の一方のみが存在し、そして8位と14位の炭素間に二重結合が存在する場合は、RまたはR10の一方のみが存在しかつYが存在せず、そして
6位および14位の炭素は、エーテル、アルキル、アルケニル、置換アルキル、および置換アルケニルから選択される部分によって連結されていてもよい)。
【請求項13】
、R、R、R10、R11、およびR12が水素であり、Rが、水素、メチル、アルキル、アルケニル、アリル、メチルシクロアルキル、メチルシクロプロピル、メチルシクロブチル、メチルアリール、メチルフェニル、アシル、アシルアルキル、アシルシクロアルキル、アシルシクロプロピル、アシルシクロブチル、アシルアリール、アシルフェニル、アシルオキシ、アシルオキシアルキル、アシルオキシアリール、アシルオキシフェニル、アルコキシ、およびアルコキシアルキルから選択され、Rが、水素、ハロ、アルキル、アルケニル、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アリール、ヘテロアリール、およびフラニルから選択され、Rが、ヒドロキシ、アルコキシ、メトキシ、アシルオキシ、および保護ヒドロキシから選択され、Rが、ヒドロキシ、アルコキシ、メトキシ、アシルオキシ、保護ヒドロキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、ここで、RおよびAは、一緒になって、インドリル環を形成してもよく、そしてYが、水素またはヒドロキシである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記化合物が式(III)を含む、請求項7から9のいずれかに記載の方法
【化6】

(式中、
RおよびR’は、独立して、水素、ヒドロキシ、アミン、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、ここで、R’は、破線により表されるように任意選択であり、そして
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12は、独立して、水素、ヒドロキシ、アミン、ハロ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択される)。
【請求項15】
、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12が水素であり、Rが、水素、メチル、アルキル、アルケニル、アリル、メチルシクロアルキル、メチルシクロプロピル、メチルシクロブチル、メチルアリール、メチルフェニル、アシル、アシルアルキル、アシルシクロアルキル、アシルシクロプロピル、アシルシクロブチル、アシルアリール、アシルフェニル、アシルオキシ、アシルオキシアルキル、アシルオキシアリール、アシルオキシフェニル、アルコキシ、およびアルコキシアルキルから選択され、そしてR、R、およびRが、独立して、ヒドロキシ、アルコキシ、メトキシ、アシルオキシ、および保護ヒドロキシから選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記化合物がI−1、I−2、I−3、I−4、I−5、I−6、I−7、I−8、I−9、I−10、I−11、I−12、I−13、I−14、I−15、I−16、I−17、I−18、I−19、I−20、I−21、I−22、I−23、I−24、I−25、I−26、I−27、I−28、I−29、II−1、II−2、II−3、II−4、II−5、I−6、II−7、II−8、II−9、II−10、II−11、II−12、II−13、II−14、II−15、II−16、II−17、II−18、II−19、II−20、II−21、II−22、II−23、II−24、II−25、II−26、II−27、II−28、II−29、II−30、II−31、II−32、II−33、II−34、II−35、II−36、II−37、II−38、II−39、II−40、II−41、II−42、II−43、II−44、II−45、II−46、II−47、II−48、II−49、II−50、II−51、II−52、II−53、II−54、II−55、II−56、II−57、II−58、II−59、II−60、II−61、II−62、II−63、II−65、II−66、II−67、II−68、II−69、II−70、II−71、II−72、II−74、II−75、II−76、II−77、II−78、II−79、II−80、II−81、II−82、II−83、II−84、II−85、II−86、II−87、II−88、II−89、II−90、II−91、II−92、II−93、II−94、II−95、II−96、II−97、II−98、II−99、II−100、II−101、III−1、III−2、III−3、III−4、およびIII−5から選択される、請求項7から15のいずれかに記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2012−533561(P2012−533561A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520805(P2012−520805)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/042210
【国際公開番号】WO2011/009015
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(511215045)マリンクロッド エルエルシー (12)
【Fターム(参考)】