説明

ドアフラップ

【課題】 軟質で、かつ、軽量であり、しかも耐久性に優れた自動改札機に好適なドアフラップを提供する。
【解決手段】 芯金をクッション材で覆って構成されるドアフラップにおいて、前記クッション材は、前記芯金側が高発泡率で柔軟性に富んだ軟質部に形成され、その軟質部の外側が表皮部に形成された合成樹脂からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面が硬く、その内部が柔らかくなるようにしたドアフラップに係り、特に、自動改札機の改札通路を開閉するのに好適なドアフラップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動改札機は、無効券又は無札者を検知したときに、その無効券所持者又は無札者の改札通路の通過を阻止するためにその自動改札機に設けられているドアフラップが閉じられるように構成されている。そして、そのドアフラップは、モータにより回転される回転軸に設けられた鋼製の板材からなる芯金をクッション材で覆って構成されていて、そのクッション材としては、合成樹脂製の発泡体が用いられている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−307145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記ドアフラップは、芯金がクッション材で覆われているが、そのクッション材がウレタンフォーム(ポリウレタンフォーム)の場合は、安価で、かつ、丈夫であるという特長を有する反面、クッション性が低く、つまり柔らかさが十分でなく、しかも質量が大きいという欠点があった。
【0004】
このような欠点を解決するためには、ウレタンフォームの発泡性を高めることが考えられるが、発泡性の高いウレタンフォームは、クッション性が高まり、質量も小さくなるが、経時変化によりウレタンフォームにヒビ割れが発生し、ドアフラップの耐久性が低下してしまうという欠点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、軽量で、かつ、クッション性に富み、しかも耐久性に優れたドアフラップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るドアフラップは、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、芯金をクッション材で覆って構成されるドアフラップにおいて、前記クッション材は、前記芯金側が高発泡率で柔軟性に富んだ軟質部に形成され、その軟質部の外側が表皮部に形成された合成樹脂からなることを特徴としている。
本発明の請求項2に記載のドアフラップは、合成樹脂は、ウレタンフォームからなることを特徴としている。
本発明の請求項3に記載のドアフラップは、表皮部の外側は、被膜で覆われていることを特徴としている。
本発明の請求項4に記載のドアフラップは、芯金をクッション材で覆って構成されるドアフラップにおいて、前記クッション材は、高発泡率で柔軟性に富んだ軟質部に形成された合成樹脂からなり、その軟質部の外側が被膜で覆われていることを特徴としている。
本発明の請求項5に記載のドアフラップは、合成樹脂は、ウレタンフォームからなることを特徴としている。
本発明の請求項6に記載のドアフラップは、そのドアフラップは、自動改札機の改札通路を開閉するものであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1に記載のドアフラップは、芯金をクッション材で覆って構成されるドアフラップのクッション材が芯金側が高発泡率で柔軟性に富んだ軟質部に形成され、その軟質部の外側が表皮部に形成された合成樹脂からなるので、クッション材のクッションを向上させることができるとともに、表皮部で内部の軟質部を保護することができるので、ドアフラップの耐久性を高めることができる。また、クッション材の内部の空間の割合が大きいので、ドアフラップ全体の質量を小さくすることができるという効果がある。
本発明の請求項2に記載のドアフラップは、合成樹脂がウレタンフォームからなるので、質量の小さいドアフラップを安価に得ることができる。
本発明の請求項3に記載のドアフラップは、表皮部の外側が被膜で覆われているので、より耐久性が高まり、また、その被膜の色彩を選択することによりドアフラップを容易に色付けすることができる。
本発明の請求項4に記載のドアフラップは、芯金をクッション材で覆って構成されるドアフラップのクッション材が高発泡率で柔軟性に富んだ軟質部に形成された合成樹脂からなり、その軟質部の外側が被膜で覆われているので、耐久性に優れたドアフラップとすることができるとともに、質量の小さいドアフラップとすることができる。しかも、被膜の色彩を選択することによりドアフラップを容易に色付けすることができる。
本発明の請求項5に記載のドアフラップは、合成樹脂がウレタンフォームからなるので、質量の小さいドアフラップを安価に得ることができる。
本発明の請求項6に記載のドアフラップは、自動改札機の改札通路を開閉する自動改札機用としているので、仮に利用者がドアフラップに接触しても利用者に与える衝撃が小さく、また、ドアフラップが軽量なので、自動改札機の本体が受ける振動を小さくすることができ、自動改札機の本体自身の寿命を延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。図1は、一実施の形態に係るドアフラップDの断面図であり、後述する図4のX−X線拡大断面図に相当し、自動改札機用のドアフラップとして示されている。
【0009】
図1中、1はドアフラップDの芯金であって、鋼製の方形(四角形)の板材からなり、その一辺側は図示しない回転軸(後述する図4の符号11参照)に取付けられている。なお、この芯金1は、ドアフラップDの所定の強度を維持する範囲で開口(窓)を設けて芯金1自身の質量を軽減することもできる。
【0010】
図1中、2は、芯金1を覆うように設けられたウレタンフォーム(ポリウレタンフォーム)からなるクッション材である。このクッション材2は、芯金1を装着した型にウレタンフォームの原料を注入して成形すると、芯金1を覆うようにして芯金1の周囲に一体的に形成される。なお、このクッション材2は、芯金1の左右側を別々に成形し、後にボルトナットや接着剤等により芯金1に着脱自在に取付けるようにし、クッション材2を交換可能にしてもよい。
【0011】
上記クッション材2は、芯金1側が高発泡率の柔軟性に富んだ軟質部2aに形成され、その軟質部2aの外側、すなわちクッション材2の外側は緻密で傷がつきにくく、しかも、可撓性を有していて内部の軟質部2aの柔軟性に対応して(追随して)変形できる所定の強度を有する表皮部2bに形成されている。具体的には、軟質部2aの発泡率は5〜6倍で、気泡の占める割合は50〜70%であり、そして、その軟質部2の外側に位置する表皮部2bは、その軟質部2aの表層を覆うスキン層に形成されている。
【0012】
上述のように、クッション材2の内部が高発泡率で軟質部2aに形成されていることにより、ドアフラップDは柔らかく、したがって、ドアフラップDが利用者に接触しても利用者に与える衝撃が小さくなるという特長がある。また、クッション材2の表面が傷のつきにくい表皮部2bで覆われているので、この表皮部2bが内部の軟質部2aを保護する役目を果たし、ドアフラップDの耐久性を高めることができるという効果がある。
【0013】
内部が発泡性の高い軟質部2aで、その軟質部2aの表面が硬い表皮部2bで覆われている上述のクッション材2は、ウレタンフォームの成形時に同時に得られる。このようなウレタンフォームの生成のメカニズムは必ずしも明確ではないが、型内で原料を一気に膨張させることによって得ることができる。このような膨張は、原料の配合割合、原料がクリームタイプになるまでの時間(従来よりも早い10秒程度)、発泡剤(環境に優しいフロン)の種類、液温(23℃以下)及び型温(従来より低温)等を適宜選択することにより得るこができる。
【0014】
図2は、本発明の他の実施の形態に係るドアフラップD′を示したもので、ここでは、上記図1に示される表皮部2bの表面を合成樹脂からなる被膜2cで覆ってクッション材2′としている。このように、被膜2cで覆うと、硬質の表皮部2bの生成に必要以上に注意を払うことなくドアフラップD′の耐久性をより高めることができるとともに、被膜2cの色彩を選択することによりドアフラップD′に簡単に色彩を付すことが可能となる。なお、被膜2cとしては、上述の合成樹脂製に限らず、布製や皮製とすることもできる。
【0015】
図3は、本発明のさらに他の実施の形態に係るドアフラップD″を示している。ここに示されるドアフラップD″は、軟質部2aの表面を直接被膜2cで覆ってクッション材2″が構成されている。このドアフラップD″は、硬質の表皮部2bの生成に注意を払うことなく成形できるので簡単に製造することができる。
【0016】
図4は、上記構成からなるドアフラップ(図示の例では図1に示されるドアフラップD)を組込んだ自動改札機のドア駆動ユニットである。このドア駆動ユニットは、モータMと、そのモータMの回転を減速する減速機10と、その減速機10の出力によりドアフラップDの取付けられている回転軸11を回動させるリンク機構12と、モータMの回転軸に制動力(ブレーキ)を付与する摩擦板クラッチやマグネットクラッチからなる制動装置13とから構成されている。
【0017】
上記構成からなるドア駆動ユニットは、ドアフラップD(ドアフラップが図2に示されるドアフラップD′又は図3に示されるドアフラップD″においても同じ。)が上述のように内部が発泡率が高く、ドアフラップDの質量が小さく構成されているので、ドアフラップDの開閉動作を容易に行える特長がある。また、ドアフラップDは、所定の開位置及び閉位置で回動を停止させられるが、ドアフラップDの質量が小さい分、ドアフラップDの開閉時に発生する振動を小さくすることができる。
【0018】
なお、上述の例では、ドアフラップD,D′,D″は自動改札機用としたが、例えば、建物のドア等にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ドアフラップの断面図である。
【図2】本発明の他の実施の形態に係るドアフラップの断面図である。
【図3】本発明のさらに他の実施の形態に係るドアフラップの断面図である。
【図4】ドア駆動ユニットの概略構成図である。
【符号の説明】
【0020】
D,D′,D″ ドアフラップ
1 芯金
2,2′,2″ クッション材
2a 軟質部
2b 表皮部
2c 被膜
M モータ
10 減速機
11 回転軸
12 リンク機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯金をクッション材で覆って構成されるドアフラップにおいて、
前記クッション材は、前記芯金側が高発泡率で柔軟性に富んだ軟質部に形成され、その軟質部の外側が表皮部に形成された合成樹脂からなることを特徴とするドアフラップ。
【請求項2】
請求項1に記載のドアフラップにおいて、合成樹脂は、ウレタンフォームからなることを特徴とするドアフラップ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のドアフラップにおいて、表皮部の外側は、被膜で覆われていることを特徴とするドアフラップ。
【請求項4】
芯金をクッション材で覆って構成されるドアフラップにおいて、
前記クッション材は、高発泡率で柔軟性に富んだ軟質部に形成された合成樹脂からなり、その軟質部の外側が被膜で覆われていることを特徴とするドアフラップ。
【請求項5】
請求項4に記載のドアフラップにおいて、合成樹脂は、ウレタンフォームからなることを特徴とするドアフラップ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のドアフラップにおいて、そのドアフラップは、自動改札機の改札通路を開閉するものであることを特徴とするドアフラップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−48397(P2006−48397A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−228987(P2004−228987)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】