説明

ドキサゾシン及びその塩の製造方法

本発明は、ドキサゾシン又はその塩の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ドキサゾシン又はその塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景及び先行技術)
ドキサゾシンは、4-アミノ-2-[4-(1,4-ベンゾジオキサン-2-カルボニル)ピペラジン-1-イル]-6,7-ジメトキシキナゾリンとして化学的に公知であり、式Iにより表される。
【化1】

キナゾリン化合物であるドキサゾシンは、高血圧、前立腺肥大及び血清低密度リポタンパク質上昇の治療に使用されるα1アドレナリン受容体遮断薬である。これは、自律神経系におけるノルエピネフリンのα受容体への結合を阻害し、これにより、血管拡張及び末梢血管抵抗の低下を引き起し、血圧の低下をもたらす。
【0003】
US4188390は、ドキサゾシン、その医薬として許容し得る塩及びそれらの製造方法を開示している。US'390は、塩酸ドキサゾシンの製造のみを包含しており、ドキサゾシン塩基は含まれていない。
塩酸ドキサゾシンは、下記の反応スキーム1に表されるように、4-アミノ-2-クロロ-6,7-ジメトキシキナゾリンをN-(1,4-ベンゾジオキサン-2-カルボニル)ピペラジンと反応させることによって製造される。
【化2】

開示の方法に関する主な問題は、ピペラジンとエチル2,3-ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン-2-カルボキシラートとの反応の結果、ビスアミド不純物が形成されることである。
【0004】
Organic Preparations and Procedures International (2003); 35; 603-608には、n-ブタノールの存在下で(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)(ピペラジン-1-イル)メタノンを、2-クロロ-6,7-ジメトキシキナゾリン-4-アミンで処理して塩酸ドキサゾシンを得て;これをアンモニア水溶液で更に処理してドキサゾシン塩基を得ることによるドキサゾシン合成方法が記載されている。
しかし、Organic Preparations and Procedures International (2003)に記載されている該方法は、工業規模での取り扱いに都合の悪い塩化チオニルのような高毒性試薬の使用を含む。工程中の該試薬の使用はまた、式Aの二量体不純物などの望ましくない副生成物の生成を招き、これは最終生成物の全体収率に影響を与える。したがって、この方法による塩酸ドキサゾシンの製造は、プラント規模で実施可能なものではない。
【化3】

【0005】
他の特許は、メシル酸ドキサゾシン及びその多形の製造を開示している。
先行技術から、ドキサゾシンの製造方法の開示がないことは明らかである。公知方法は、塩基で処理してドキサゾシンを得るドキサゾシン塩の製造を提供する。したがって、本発明者らは、単純で、規模の拡大が容易で、かつ産業上許容し得るドキサゾシンの製造方法を開発する必要があるものとしている。
【0006】
(発明の目的)
本発明の主な目的は、ドキサゾシン塩基又はその医薬として許容し得る塩の製造方法を提供することである。
本発明の別の目的は、経済的で、環境に優しく、かつ産業上許容し得るドキサゾシンの製造方法を提供することである。
【発明の概要】
【0007】
(発明の概要)
本発明の第1の態様により、下記の反応スキーム2に表されるように、式(II)の2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシン-2-カルボン酸誘導体を、6,7-ジメトキシ-2-(ピペラジン-1-イル)キナゾリン-4-アミン(III)と反応させることを含む、式(I)のドキサゾシン塩基の製造方法を提供する。
【化4】

【0008】
本発明の方法のドキサゾシン塩基は、適当な活性化剤若しくはカップリング剤、又はそれらの混合物の存在下で、反応を行うことによって製造される。
したがって、本発明の一態様において、R=OHの場合、縮合反応は、カップリング剤の存在下で行われる。
一実施態様において、R=OHの場合、ドキサゾシンは、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシン-2-カルボン酸(IV)を、6,7-ジメトキシ-2-(ピペラジン-1-イル)キナゾリン-4-アミン(III)と、カップリング剤の存在下で縮合して、式(I)のドキサゾシンを形成することを含む方法によって製造される。該ドキサゾシンは、任意にその塩に変換され得る。
【化5】

【0009】
一実施態様において、用語「カップリング剤」は、高反応性中間体の形成による遊離カルボキシル基の活性化ができる化学物質を意味し、これはアミノ官能基による容易な求核攻撃を受けて、ペプチド結合を形成する。更なる実施態様において、用語「カップリング剤」は、式(IV)及び式(III)の化合物をカップリングして、式(I)のドキサゾシンを形成する化学物質を意味する。
【0010】
反応に使用されるカップリング剤は、カルボジイミド、アミニウム又はホスホニウム塩などの群から選択することができる。カップリング剤は、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ヒドロキシベンゾトリアゾール、[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-オール、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、O-ベンゾトリアゾール-N,N,N',N'-テトラメチルウランヘキサフルオロホスファート、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファートから選択される。好ましくは、本発明の方法に使用されるカップリング剤は、ジシクロヘキシルカルボジイミドである。
【0011】
別の実施態様により、Rが-OHではない場合、式(IV)の化合物は、活性化剤で処理されて、対応する式Vの化合物が得られる。
【化6】

式中、R'は、-OH基以外のRによって定義される基を表す。
【0012】
一実施態様により、Rが-OHではない場合、式(IV)の化合物は、活性化剤で処理されて、R'が下記に定義される対応する式Vの化合物が得られる。
【化7】

【0013】
別の態様により、以下を含むドキサゾシンの製造方法を提供する:
(a) 2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシン-2-カルボン酸(IV)を、活性化剤で縮合して、対応する式(V)の中間体化合物を得ること;及び
(b) 式(V)の中間体化合物を6,7-ジメトキシ-2-(ピペラジン-1-イル)キナゾリン-4-アミン(III)と反応させて、ドキサゾシン(I)を得ること。
該ドキサゾシンは、任意にその塩に変換され得る。
【化8】

【0014】
一実施態様において、用語「活性化剤」は、置換又は除去反応のための官能基を活性化する試薬を意味し得る。更なる実施態様において、用語「活性化剤」は、式(IV)の化合物を活性化して、式(V)の化合物を形成する試薬を意味し得る。
ドキサゾシン塩基の製造に使用される活性化剤は、N,N'-カルボニルジイミダゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、N-ヒドロキシスクシンイミド、N-ヒドロキシフタルイミド、ペンタフルオロフェノール、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン又はアルキルクロロホルマートから選択することができる。
【0015】
好ましい実施態様において、Rはイミダゾール環であり、式(V)の化合物は式(VA)を有する。
【化9】

好適には、該反応は、式(V)の中間体化合物の単離なしに行われる。言い換えると、該中間体は、反応混合物から単離されない。
【0016】
ドキサゾシン塩基(I)の製造方法に使用される溶媒は、アセトニトリル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル又はジクロロメタンから選択される。好ましくは、使用される溶媒は、テトラヒドロフランである。
一態様において、上記方法から得られるドキサゾシンは、溶媒を別の溶媒と交換することによって反応混合物から単離される。
一実施態様において、使用される第2の溶媒は、アセトニトリル、アセトン、ジメチルホルムアミド又はジクロロメタンから選択され;好ましくは、該溶媒は、アセトンである。
【0017】
本発明の方法におけるカップリング剤又は活性化剤の使用は、式(A)の二量体不純物を最大0.01%まで最小化させる。
別の実施態様において、ドキサゾシン塩の製造に使用される溶媒は、極性非プロトン性溶媒である。
【0018】
本発明の更に別の態様により、式(VA)の(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-2-イル)(1H-イミダゾール-1-イル)メタノンを提供する。
本発明の更に別の態様により、上記方法に従い製造されたドキサゾシン塩基を提供する。
本発明の別の態様により、上記方法に従い製造されたドキサゾシン塩を提供する。
【0019】
本発明の更なる態様により、上記方法に従い製造されたドキサゾシン又はその塩を、1以上の賦形剤とともに含む医薬組成物を提供する。
本発明の別の態様により、アテローム性動脈硬化症の治療に使用するための、上記方法に従い製造されたドキサゾシン又はその塩を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(発明の詳細な説明)
ここで本発明を、その様々な態様がより十分に理解され、かつ認識され得るように、特定の好ましい、かつ任意の実施態様と組み合わせて詳細に説明する。
本発明は、単純で、経済的で、かつ規模の拡大が容易な、高収率及び高純度のドキサゾシンの合成方法を提供する。
【0021】
本発明の一実施態様において、下記の反応スキーム2に示されるように、ドキサゾシン(I)の合成方法を提供する。
【化10】

【0022】
したがって、一実施態様において、R=OHの場合、縮合反応はカップリング剤の存在下で行われる。
一実施態様において、R=OHの場合、ドキサゾシン(I)又はその塩の製造方法は、以下を含む:
(a) 2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシン-2-カルボン酸(IV)を
【化11】

6,7-ジメトキシ-2-(ピペラジン-1-イル)キナゾリン-4-アミン(III)と
【化12】

カップリング剤の存在下で反応させること。
【0023】
ドキサゾシン塩基の製造に使用されるカップリング剤は、カルボジイミド、アミニウム又はホスホニウム塩などの群から選択することができる。カップリング剤は、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ヒドロキシベンゾトリアゾール、[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-オール、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、O-ベンゾトリアゾール-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファートから選択される。
【0024】
好ましい実施態様において、本発明の方法に使用されるカップリング剤は、ジシクロヘキシルカルボジイミドである。
別の実施態様において、Rが-OHではない場合、式(IV)の化合物は、活性化剤で処理されて、対応する式(V)の中間体が得られる。
【0025】
別の態様により、ドキサゾシン(I)の製造方法は、以下を含む:
(a) 2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-カルボン酸(IV)を
【化13】

活性化剤で縮合して、式(V)の2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン誘導体を得ること;
【化14】

(b) 式(V)の化合物を6,7-ジメトキシ-2-(ピペラジン-1-イル)キナゾリン-4-アミン(III)と反応させて、
【化15】

式(I)のドキサゾシンを得ること。
該ドキサゾシンは、任意にその塩に変換され得る。
【0026】
ドキサゾシン塩の製造に使用される酸は、塩酸のような無機酸、又はメタンスルホン酸のような有機酸であり得る。
本発明の方法に使用される活性化剤は、N,N'-カルボニルジイミダゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、N-ヒドロキシスクシンイミド、N-ヒドロキシフタルイミド、ペンタフルオロフェノール、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン又はアルキルクロロホルマートから選択される。
【0027】
好ましい実施態様において、使用される活性化剤は、N,N'-カルボニルジイミダゾールである。
更なる実施態様において、活性化剤がN,N'-カルボニルジイミダゾールである場合、式Vの化合物は、下記式を有する。
【化16】

好適には、該反応は、式(V)の中間体化合物の単離なしに行われる。言い換えると、該中間体は、反応混合物から単離されない。
【0028】
一実施態様において、該方法は、ワンポット法である。言い換えると、本発明のドキサゾシン(I)の製造をもたらす工程は、単一の反応容器で行われる。
別の実施態様において、式(I)のドキサゾシンの製造方法に使用される溶媒は、アセトニトリル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルアセタート又はジクロロメタンから選択される。好ましくは、使用される溶媒は、テトラヒドロフランである。
本発明の方法は、好ましくは、40℃未満の温度で行われる。
【0029】
一実施態様において、上記方法から得られるドキサゾシンは、溶媒を別の溶媒と交換することによって反応混合物から単離される。
一実施態様において、第2の溶媒は、アセトニトリル、アセトン、ジメチルホルムアミド又はジクロロメタンから選択される極性非プロトン性溶媒である。好ましくは、ドキサゾシンは、アセトン溶媒を使用することによって、反応混合物から単離される。
本発明のドキサゾシンは、ドキサゾシンを極性溶媒、例えば、メタノールなどのC1-C4アルコールに懸濁させること、及び該混合物を還流まで加熱することによって、任意に再結晶化することができる。得られた懸濁液を、冷却し、濾過し、50〜65℃で乾燥させる。
【0030】
本発明の方法におけるカップリング剤又は活性化剤の使用は、式(A)の二量体不純物を最大0.01%まで最小化させる。
本発明のドキサゾシン塩は、ドキサゾシン塩基(I)を、アセトニトリル、アセトン又はジクロロメタンから選択される極性非プロトン性溶媒に溶解することによって製造される。好ましくは、ドキサゾシン(I)はアセトンに溶解される。
【0031】
本発明の方法のドキサゾシン塩は、メタノール、エタノール、n-ブタノール又はイソプロパノール、主にメタノールのような極性溶媒を使用して精製される。
一実施態様において、本発明の方法は、生成物の喪失を排除し、多段反応器に関する使用コストを削減させ、クリーンアップを減少させ、これにより、該方法をより産業上実施可能なものにさせる。
【0032】
最も好ましい実施態様において、本発明の方法を下記のスキーム3に示す。
【化17】

【0033】
更なる態様において、本発明は、上記方法に従い製造されたドキサゾシン又はその塩を、1以上の賦形剤とともに含む医薬組成物を提供する。
本発明はまた、アテローム性動脈硬化症の治療のための、上記方法に従い製造されたドキサゾシン又はその塩の使用にも関する。
好ましい実施態様を含む下記の実施例は、本発明の実施を例示するものであり、示される個々が、本発明の好ましい実施態様の例として、及びそれを例示的に記載するためのものであることが理解されよう。本発明は、添付の特許請求項の範囲内で修正され得ることが理解されよう。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-カルボン酸(0.38mol;68.51g)及びテトラヒドロフラン(500ml)を加え、内容物を20〜25℃で5〜10分間撹拌して、透明溶液を得た。N,N-カルボニルジイミダゾール(0.407mol;66.28g)をテトラヒドロフラン(500ml)とともに該溶液に加え、20〜25℃で2時間撹拌を続けて溶液Aを得た。別の丸底フラスコにおいて、6,7-ジメトキシ-2-(ピペラジン-1-イル)キナゾリン-4-アミン(0.346mol;100g)及びテトラヒドロフラン(1000ml)を加え、26〜28℃で5〜10分間撹拌してスラリーを得た。溶液Aを、2〜2.5時間以内に25〜28℃で該スラリーに滴加した。反応をHPLCで監視した。得られた透明な反応塊に木炭を加え、内容物を26〜28℃で45分間撹拌した。該内容物をセライトで濾過し、テトラヒドロフランで洗浄した。溶媒を、減圧下35℃で蒸留して、固体残渣を得た。アセトン(1000ml)を、該固体に加え、内容物を2時間還流した。25〜28℃に冷却して、該スラリーを濾過し、アセトンで洗浄し、減圧下60℃で乾燥させて、110gのドキサゾシン塩基(HPLC純度99.4%)を得た。
【0035】
(実施例2)
工程A−0.0172mol(3.096g)の2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-カルボン酸及び25mlのテトラヒドロフランを、丸底フラスコに加えた。該反応混合物を、20〜25℃で5〜10分間撹拌した。該透明溶液に、N,N-カルボニルジイミダゾール(0.018mol;2.92g)及び25mlのテトラヒドロフランを加え、20〜25℃で2時間撹拌した。該溶液を濃縮して、1-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-イルカルボニル)-1H-イミダゾールを得た。
工程B−別の丸底フラスコにて、6,7-ジメトキシ-2-(ピペラジン-1-イル)キナゾリン-4-アミン(0.017mol;4.913g)及びテトラヒドロフラン(50ml)を加えて、26〜28℃で5〜10分間撹拌した。このスラリーに、テトラヒドロフラン中の1-(2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-イルカルボニル)-1H-イミダゾールの溶液を、2〜2.5時間以内に室温で滴加した。得られた透明な反応塊を木炭処理(charcoalize)し、26〜28℃で45分間撹拌した。該スラリーをセライトで濾過し、テトラヒドロフランで洗浄した。溶媒を減圧下35℃で蒸留し、固体を得た。アセトン(1000ml)を該固体に加え、2時間還流した。室温まで冷却して、該スラリーを濾過し、アセトンで洗浄し、減圧下60℃で乾燥させて、固体を得た。
工程C−工程Bから得られた固体に、メタノール(52ml)を加え、内容物を1時間還流まで加熱した。該スラリーを室温まで冷却し、濾過し、メタノールで洗浄し、減圧下60℃で乾燥して、5.5gの純粋なドキサゾシン塩基(HPLC純度99.26%)を得た。
【0036】
(実施例3)
反応容器において、0.25mol(45.0g)の2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキシン-2-カルボン酸、テトラヒドロフラン(328ml)及び6,7-ジメトキシ-2-(ピペラジン-1-イル)キナゾリン-4-アミン(0.22mol;63.58g)を加えて、20〜25℃で5〜10分間撹拌した。得られた混合物にジシクロヘキシルカルボジイミド(0.26mol;54.0g)を加え、かつ撹拌を20〜25℃で1.5時間続けた。得られた反応塊に木炭を加え、内容物を26〜28℃で45分間撹拌した。内容物をセライトで濾過し、テトラヒドロフランで洗浄した。溶媒を、減圧下35℃で蒸留して、固体残渣を得た。アセトン(1000ml)を該固体に加え、内容物を2時間還流した。25〜28℃に冷却して、該スラリーを濾過し、アセトンで洗浄し、減圧下60℃で乾燥させて、93gのドキサゾシン塩基(HPLC純度99.0%)を得た。
【0037】
(実施例4)
ドキサゾシン塩基(0.277mol;125g)をアセトン(1875ml)に加え、25℃で撹拌してスラリーを得た。該スラリーを10〜15℃に冷却して、メタンスルホン酸(0.33mol;31.96g)をそれに加えた。内容物を10〜15℃で10〜15分間撹拌し、次いで25℃で2時間撹拌を続けた。得られた固体を濾過し、アセトンで洗浄し、50〜55℃で乾燥させて固体を得た。該固体を、メタノール(1500ml)中で1時間還流することによって精製した。該スラリーを室温まで冷却し、濾過し、メタノールで洗浄し、次いで減圧下60℃で乾燥させて、135gの純粋なメシル酸ドキサゾシン(HPLC純度99.81%)を得た。
【0038】
(実施例5)
ドキサゾシン塩基(0.110mol;49.61g)をアセトン(750ml)に加え、25℃で撹拌してスラリーを得た。該スラリーを10〜15℃に冷却して、塩酸溶液をpHが2〜3になるまで加えた。内容物を10〜15℃で10〜15分間撹拌し、次いで撹拌を25℃で2時間続けた。得られた固体を濾過し、アセトンで洗浄し、50〜55℃で乾燥させて、固体生成物を得た。該固体を、メタノール(600ml)を用いて1時間還流することによって精製した。スラリーを室温まで冷却し、濾過し、メタノールで洗浄し、次いで減圧下60℃で乾燥させて、51gの純粋な塩酸ドキサゾシン(HPLC純度99.77%)を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物を
【化1】

(式中、
【化2】

である。)、
式(III)の6,7-ジメトキシ-2-(ピペラジン-1-イル)キナゾリン-4-アミンと
【化3】

縮合することを含む、式(I)のドキサゾシンの製造方法。
【請求項2】
R=OHの場合に、縮合がカップリング剤の存在下で行われる、請求項1記載のドキサゾシンの製造方法。
【請求項3】
前記カップリング剤が、カルボジイミド、アミニウム又はホスホニウム塩から選択される、請求項2記載のドキサゾシンの製造方法。
【請求項4】
前記カップリング剤が、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジルネチルアミノプロピル)カルボジイミド、ヒドロキシベンゾトリアゾール、[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-オール、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、O-ベンゾトリアゾール-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファートから選択される、請求項2又は3記載のドキサゾシンの製造方法。
【請求項5】
前記カップリング剤が、ジシクロヘキシルカルボジイミドである、請求項2〜4のいずれか一項記載のドキサゾシンの製造方法。
【請求項6】
Rが-OHではなく、式(IV)の化合物が活性化剤と反応して、対応する中間体(V)になり、
【化4】

式中、R'は、-OH基以外のRにより定義される基を表す、請求項1記載のドキサゾシンの製造方法。
【請求項7】
前記使用される活性化剤が、N,N'-カルボニルジイミダゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、N-ヒドロキシスクシンイミド、N-ヒドロキシフタルイミド、ペンタフルオロフェノール、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン又はアルキルクロロホルマートから選択される、請求項6記載のドキサゾシンの製造方法。
【請求項8】
前記使用される活性化剤が、N,N'-カルボニルジイミダゾールである、請求項6又は7記載のドキサゾシンの製造方法。
【請求項9】
式(V)の中間体が、式(III)の化合物と反応される前に単離されない、請求項6〜8のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項記載のドキサゾシン塩基を溶媒に溶解すること、次いで酸で処理することを含む、ドキサゾシン塩の製造方法。
【請求項11】
前記溶媒が、アセトニトリル、アセトン、ジクロロメタン又はそれらの混合物から選択される、請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
前記使用される酸が、無機酸、好ましくは塩酸であり、又は有機酸、好ましくはメタンスルホン酸である、請求項10又は11記載の製造方法。
【請求項13】
(a) 式(IV)の2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシン-2-カルボン酸を
【化5】

式(III)の6,7-ジメトキシ-2-(ピペラジン-1-イル)キナゾリン-4-アミンと
【化6】

ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下で縮合して、ドキサゾシンを得ること;及び
(b) 任意にドキサゾシンをその塩に変換すること;を含む、ドキサゾシンの製造方法。
【請求項14】
(a) 式(IV)の2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシン-2-カルボン酸を
【化7】

N,N'-カルボニルジイミダゾールと縮合して、式(VA)の(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシン-2-イル)-イミダゾール-1-イル-メタノン
【化8】

を得ること;
(b) 式(VA)の化合物を、式(III)の6,7-ジメトキシ-2-(ピペラジン-1-イル)キナゾリン-4-アミンと
【化9】

反応させて、式(I)のドキサゾシンを得ること;及び
(c) 任意にドキサゾシンをその塩に変換すること;を含む、ドキサゾシンの製造方法。
【請求項15】
前記ドキサゾシンが、その塩に変換される場合に、前記ドキサゾシン塩が、酸付加塩である、請求項13又は14記載の製造方法。
【請求項16】
前記酸付加塩が、無機酸、好ましくは塩酸のものであり、又は有機酸、好ましくはメタンスルホン酸のものである、請求項15記載の製造方法。
【請求項17】
前記方法が、ワンポット法である、請求項6〜8及び14のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項18】
前記式(VA)の(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシン-2-イル)-イミダゾール-1-イル-メタノンが、式(III)の6,7-ジメトキシ-2-(ピペラジン-1-イル)キナゾリン-4-アミンとの反応の前に単離されない、請求項14記載の製造方法。
【請求項19】
前記縮合反応が、アセトニトリル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジクロロメタン又はそれらの混合物から選択される溶媒の存在下で行われる、請求項1〜18のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項20】
前記使用される溶媒が、テトラヒドロフランである、請求項19記載の製造方法。
【請求項21】
溶媒を第2の溶媒と交換することによって、ドキサゾシンを単離することを更に含む、請求項19又は20記載の製造方法。
【請求項22】
前記第2の溶媒が、極性非プロトン性溶媒である、請求項21記載の製造方法。
【請求項23】
前記第2の溶媒が、アセトニトリル、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン又はそれらの混合物から選択される、請求項21又は22記載の製造方法。
【請求項24】
式(VA)の(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシン-2-イル)-イミダゾール-1-イル-メタノン:
【化10】


【請求項25】
実施例を参照して、実質的に本明細書中に記載される、式(VA)の化合物の製造方法。
【請求項26】
実施例を参照して、実質的に本明細書中に記載される、ドキサゾシンの製造方法。
【請求項27】
実施例を参照して、実質的に本明細書中に記載される、ドキサゾシン塩の製造方法。

【公表番号】特表2012−521400(P2012−521400A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501371(P2012−501371)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000545
【国際公開番号】WO2010/109185
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(511109180)シプラ・リミテッド (17)
【Fターム(参考)】