説明

ドキュメント認証改善方法

【課題】ドキュメントの保全性を改善して、またフォレンジック検査の効率向上を図る。
【解決手段】ドキュメント上の基点マーカ130を用いた偽造防止方法である。基点マーカ130は、ドキュメント上の隠し保全フィーチャ150の在る場所に関するエンコードされた情報を含み、検査者はこれらの隠し保全フィーチャ150の在る場所140を特定して、ドキュメントの真偽を判定できるようにする。基点マーカ130の印刷方法、保全フィーチャ150の作成方法、また保全フィーチャ150を検出するのに必要な器具や方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、偽造防止方法と信憑性検証方法と偽造防止ドキュメントとに関する。本方法は、様々な保全マークの場所特定時のフォレンジック検査の効率を高めることで、ドキュメントの保全性を改善するものである。
【背景技術】
【0002】
大多数の印刷ドキュメントは、その信憑性を保証するのに十分信頼に足る手段を必要とする。これらのドキュメントには、紙幣、譲渡可能証券、株券、小切手、切符等が含まれる。銀行券、パスポート、小切手、他の本質的有価ドキュメントでは、ドキュメントの信憑性の信頼度は格別重要であり、何故なら社会の構成員は誰も何時でもドキュメントの保持者や利用者となりうるからである。
【0003】
有効なドキュメントの保全フィーチャについての規範は、策定が比較的容易である。保全フィーチャは、恒久的でかつ耐性がなければならない。この種の保全フィーチャは、複製を困難にし、潜在的な偽造を抑止させるようにもしなければならない。加えて、保全フィーチャは最終的なドキュメントの一般保持者や利用者に利用可能な手段による即効的な発見を可能にしなければならない。その信憑性に公衆が幅広く依拠する銀行券や他のドキュメントについては、保全フィーチャは通常の照光状態の下で識別可能かつ検証可能としなければならない。
【0004】
カラー複写機や他の作像システムの人気の増大やカラー複写機の技術的品質の改善が、この種の偽造ドキュメント作成の増加に通じてきた。
【0005】
ドキュメント用の多種多様な保全フィーチャが、先に提案されている。この種の保全フィーチャの例には、ホログラムや回折格子等の光学的可変デバイス、セキュリティスレッドやセキュリティストリップ、縮小写真印画、透かし、微細線や細線細工パターン、さらに色遷移インクや蛍光インクや燐光インクが含まれる。
【0006】
保全マークすなわち偽造防止フィーチャの3つの一般的カテゴリが存在し、それはI型(オバート型)、II型(コバート型)、III(フォレンジック型)である。これら全てのカテゴリには、保全対象である品目上への画像の形成が要求される。
【0007】
I型フィーチャは目立って存在し、すなわちそれらは通常追加の画質改善あるいは器具を用いることなく人の裸眼に視認可能である。しかしながら、I型フィーチャは入手あるいは再生が困難である。I型フィーチャはしばしば、包装デザインやマーケティング戦略に組み込まれる。
【0008】
II型フィーチャは隠し技術、すなわち追加の画質改善あるいは器具を用いずに人の裸眼では視認不能である。II型フィーチャは通常、紫外(UV)光等の携帯型手持ち式現場装置を用いて検証される。現場器具を用いることで、II型フィーチャは難なく視認することができる。
【0009】
III型フィーチャもまた、隠し技術である。しかしながら、III型フィーチャは一般に現場器具を用いて検査することも検証することもできない。その代り、特殊な器具を用いた検査が要求される。通常、この検査は検査室にて行われる。偽造者はしばしばIII型フィーチャが存在することすら知らず、たとえIII型フィーチャがその品目の何処かに存在することが知れていたとしても、それを発見できない。
【0010】
重要な印刷物は、しばしば複数レベルの保全策を含んでいる。例えば、米国の10ドル紙幣は少なくとも5個の保全フィーチャ、すなわち、通し番号と透かしとセキュリティスレッドと縮小写真印画と色遷移インクとを含んでいる。これらの保全フィーチャの存在が偽造の全体量を低減し、偽造をより困難とし、偽造紙幣を検出することのできる信頼度を概ね増している。
【0011】
たとえ特別な器具を用いたとしても、III型のフィーチャはその小さなサイズと他の要因が故に、ドキュメントを認証しようと試行する検査者が検出するのは困難なようである。この問題は、分析するドキュメントが大量でかつ/または検査を行なう人がその品目の何処にIII型保全フィーチャが隠されているか知らないときに、悪化する。I型とII型のフィーチャは、検査はより簡単であるが、偽造者が検出することもより容易であり、かくして偽造者は複製を試みる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
全体的なドキュメントの保全性を改善し、フォレンジック検査の効率もまた向上させる保全方法を発展させることが望ましい筈である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、様々な実施形態において、ドキュメント上の基点マーカを用いた偽造防止方法を開示するものである。基点マーカは、ドキュメント上の他の隠し保全フィーチャの場所に関するエンコードされた情報を含み、検査者がこれらの隠し保全フィーチャの場所を特定してドキュメントの信憑性を検証できるようにするものである。
【0014】
本願明細書に開示するのは、信頼できる機関により下地上の隠し保全フィーチャの場所を特定する難しさを低減する方法であって、下地上に隠し保全フィーチャを印刷する工程と、下地上に基点マーカを印刷する工程で、基点マーカが隠し保全フィーチャの場所に関する情報をエンコードする工程とを含むものである。
【0015】
基点マーカは、透明インクで印刷することができる。別の選択肢では、基点マーカは可視とする。
【0016】
隠し保全フィーチャは、マイクロ・タガント、ナノテキスト、不可視バーコード、不可視画像、デジタル透かし、隠しレンズ状画像、あるいは隠し偏光画像とすることができる。
【0017】
基点マーカは、下地の余白に印刷することができる。別の選択肢として、基点マーカは下地の白色の背景の上に黄色インクにて印刷することができる。
【0018】
エンコードする情報には、隠し保全フィーチャの種別および/または隠し保全フィーチャを検出するのに必要な器具または方法もまた含めることができる。
【0019】
同様に開示するのが、ドキュメントの信憑性を検証する方法であり、それはドキュメント上に基点マーカを配置する工程で、基点マーカが情報をエンコードし、このエンコード情報がドキュメント上の隠し保全マークの場所の開示を想定したものである工程と、基点マーカ内のエンコード情報をデコードし、エンコード情報が実際に場所情報を備えているかどうか判定する工程とを含むものである。
【0020】
本方法はさらに、基点マーカから検索される場所を検査し、隠し保全マークがドキュメントに存在するかどうか判定する工程を含む。
【0021】
同様に開示されるのは、改善された保全性を有するドキュメントであり、それは隠し保全フィーチャと、隠し保全フィーチャの場所に関する情報でエンコードした基点マーカとを備える。
【0022】
本開示のこれらのならびに他の非限定的特徴を、より具体的に下記に開示する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】画質改善を用いずに人の眼に写る本開示の例示偽造防止ドキュメントの外観を示す。
【図2】検査室にある特別な器具を用いた分析期間中の図1のドキュメントの一部分130を示す。
【図3】偽造防止ドキュメントを作成する例示処理工程のフローチャートである。
【図4】疑わしいドキュメントの信憑性を検証する例示処理工程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願明細書に開示する構成要素と処理工程と装置のより完全な理解は、添付図面を参照することで得ることができる。これらの図面は、本開示を実証する便宜と容易さとに基づく単なる概略表現に過ぎず、それ故にその装置あるいは構成要素の相対的な大きさや寸法を示し、かつ/または例示実施形態の範囲を規定しあるいは限定する意図のないものである。
【0025】
明瞭さに配慮し、下記の説明では特定の用語を用いるが、これらの用語は図面中の図解用に選択された実施形態の具体的構造だけを言及する意図があるものであり、本開示の範囲を規定あるいは限定する意図はないものである。図面と下記の説明において、同様の参照符号が同様の機能の構成要素を指すことを理解されたい。
【0026】
量に関連して用いられる修飾語「約」は提示する値を含むものであり、文脈が記述する意味を有する(例えば、それは少なくとも具体的な量の計測に関連する一定程度の誤差を含む)。範囲の文脈で使用するときに、修飾語「約」はまた2つの端点の絶対値により規定される範囲を開示するものとして考えられたい。例えば、「約2から約10」の範囲はまた「2から10」の範囲もまた開示するものである。
【0027】
用語「オバート」あるいは「人の裸眼に」は、裸眼であるいは眼鏡やコンタクトレンズ等の通常の矯正手段のいずれかで左右とも(20フィート離れた1/3インチ径のテキストを識別できる)視力1.0を有する人物による通常の照光条件下で見ることのできるマークを指す。
【0028】
用語「コバート」は、左右の視力1.0の人物が通常の照光条件下で見ることはできないが、追加の器具の助けを借りて視認可能にできるマークを指す。
【0029】
本開示は、偽造がより困難で、改善された保全性を有し、かつ/または改善された信憑性または偽造検証を可能にするドキュメントに関するものである。一般に、この種ドキュメントは少なくとも一つの隠し保全フィーチャと基点マーカとを含んでいる。基点マーカは、1(または複数)の隠し保全フィーチャの場所に関する情報でエンコードされる。基点マーカは個別の解読キー、すなわちその信憑性を検証しようとしているドキュメントとは別個で物理的にはその上にないキーを用いてデコードされる。1(または複数)の場所の1(または複数)の隠し保全フィーチャの存否が、信憑性または偽造の証拠を提供する。
【0030】
本開示はまた、下地上の隠し保全フィーチャの場所を特定し、この種のドキュメントの偽造の難しさを増大させ、あるいはドキュメントの信憑性を検証する、これらの難しさを低減する方法に関するものである。本方法は、隠し保全フィーチャの下地上への印刷と、下地への基点マーカの印刷とを含むものである。基点マーカは、隠し保全フィーチャの場所に関する情報がエンコードされる。
【0031】
同様に開示されるのが、ドキュメントの信憑性の検証方法である。本方法は、ドキュメント上に基点マーカを配置する工程と、基点マーカ内にエンコードされた情報をデコードして基点マーカが隠し保全フィーチャの場所を記述しているかどうか判別する工程とを含むものである。場所情報の欠如は基点マーカが複製されあるいは偽造されたことの信号とすることができ、あるいはデコードされた場所における隠し保全フィーチャの不在は、ドキュメントが偽造されたとの信号とすることができる。
【0032】
図1は、人の裸眼に見える際の例示下地100を示す。下地は、紙や被膜やアセテート等の保全マークを付着させることのできる実質的にはあらゆる媒体もしくは表面とすることができる。下地100は主作像領域110を含んでおり、ここにドキュメントの可視コンテンツを構成する情報が適用される。例えば、書籍の所定頁の主作像領域は、テキストおよび/または図を印刷する領域となる筈である。下地100は、主非作像領域120、すなわち「余白空間」もまた含んでいる。非作像領域は、適用情報が実質空であると指定される領域である。例えば、書籍の1枚の頁上の非作像領域は通常、頁の4辺(上辺と底辺と左右の側辺)の余白である。
【0033】
基点マーカ130は、下地100上に配置される。ここに図示するように、基点マーカ130は余白空間120内に配置される。しかしながら、基点マーカ110は余白ではなく主作像領域に配置することもできる。幾つかの異なるドキュメント全体で、基点マーカが各ドキュメント上で概ね同一場所になければならないことが考えられる。これが、ドキュメントの認証に固有の難しさを低減する。
【0034】
基点マーカ130は、オバートあるいはコバートの保全マークとすることができる。この点で、ドキュメント上の基点マーカにとって偽造者により複製されることが望ましいことがあり、何故なら基点マーカは複製されたドキュメントを複製(すなわち、原作ではない)かあるいは信憑性がないかのいずれかとして明かす隠し保全フィーチャに関する情報をエンコードするからである。一部実施形態では、基点マーカは透明もしくは半透明のインクでもって印刷される。他の実施形態では、基点マーカは下地の白色の背景上に黄色あるいは他の明るい色のインクで印刷される。
【0035】
基点マーカは、少なくとも1個の隠し保全フィーチャ150の場所140に関する情報でもってエンコードされる。隠し保全フィーチャ自体は、コバートかフォレンジックのいずれかであり、望ましくはフォレンジックである。
【0036】
この点で、基点マーカ130には情報を担持する任意の形態を取らせることができる。例えば、基点マーカは1次元あるいは2次元のバーコードとすることができる。別の選択肢として、基点マーカは絵テキスト、すなわち矢印等の情報分与画像とすることができる。一般に、可能などのようなマークも下地上の隠し保全フィーチャの場所あるいは場所群に関する情報のエンコードに用いることができる。
【0037】
一般に、基点マーカは、検出し抽出しデコードすることのできる情報をエンコードするマークパターンである。マークパターンは、より小さなマークから作り上げられる。この種のマークは、通常電子写真印刷を検討するときに一般に検討されるドットとすることができるが、四角形、三角形、不規則形状あるいは検出が可能なその他等、他の任意の形状とすることもできる。一部実施形態では、マークパターンの個別マークを極端に小さくして人の裸眼に視覚的に明らかとならないようにすることができる。例えば、インチ当たり300ドット(dpi)の印刷システムの各画素は約85μmの平均直径を有する。一般に、1画素とは個別に印刷することのできる最小のマークである。個別画素は、人の裸眼が視認するのは極めて困難である。
【0038】
マークパターン内の全マークには、同一の大きさおよび/または形状を持たせることができる。各マークは、検出時にそこから識別することができるようその最近傍のものから離間させるべきである。検出システムの精度に応じ、マークは少なくとも1画素分の幅や3画素分、あるいは少なくとも5画素分だけその最近傍のものから離間させることができる。こうして、特定の場所ではなく各マークのおおよその場所を用いて基点マーカのマークパターンを特定することができる。これにより、基点マーカを検出し、ドキュメントの認証期間中にデコードするときに、マークパターン内の個別マークの若干の見当合わせのずれが補償できるようになる。
【0039】
基点マーカが1(または複数)の保全フィーチャの1(または複数)の場所に関する全ての必要な情報をエンコードできる限り、基点マーカの大きさや形状は特に重要ではない。特定の実施形態では、基点マーカは複数のブロックで構成され、各ブロックが1つの隠し保全フィーチャの場所に関する情報を含んでいる。ブロックは矩形としたり、あるいは正多角形等の他の形状としたりすることができる。一部実施形態では、ブロックは2方向の行と列に配置することのできるブロック配列を形成するよう、互いに組み付けて基点マーカを作成することのできる三角形、六角形、台形、またはその他とする。図1に示す如く、基点マーカ130は2個のブロック132,134で出来ている。ここで、各ブロックは2次元バーコードとして図示してある。
【0040】
基点マーカは、隠し保全フィーチャの場所に関するエンコードされた情報を含んでいる。ここでも、基点マーカをデコードする解読キーは、その信憑性を検証しようとするドキュメントとは物理的に別個とすべきである。例えば、基点マーカがバーコードである場合、場所情報は統一商品コード(UPC:Universal Product Code)規格だけを用いてエンコードすべきではなく、何故ならドキュメントの信憑性を検証しようとする信頼できる機関だけでなく、その規格は偽造者にも利用可能な筈だからである。
【0041】
隠し保全フィーチャ150は、人の裸眼には可視ではない。特定の実施形態では、隠し保全フィーチャはIII型マーク、すなわちフォレンジックマークである。隠し保全フィーチャは、マイクロ・タガント、ナノテキスト、不可視バーコード、不可視画像、デジタル透かし、隠しレンズ状画像、または隠し偏光画像とすることができる。マイクロ・タガントは1から1000μmの範囲の大きさを有する粒子であり、それは下地自体とは異なり、フォレンジック器具を用いて検出可能な分光法的、磁気的、光学的および/または電気的特性を有する。ナノテキストは、約100nmから約900nmの範囲の非常に小さな大きさで印刷されるテキストであり、テキストはフォレンジック器具なしでは読み取りが困難である。不可視バーコードや可視画像は、白色の背景上に黄色線等の極めて微細な線を用いて印刷される。デジタル透かしは裸眼では知覚可能ではないものの、特別なコンピュータアルゴリズムにより検出可能な印刷画像内の微細な変化を収集したものである。レンズ状画像は、深度の幻視、すなわち異なる角度から画像を視認した際に変化したり移動したりする能力を有する画像である。偏光画像は、一対の異なる偏光フィルタを用いて左右の眼に至る光を制限し、左右の眼は画像の一部しか視認できず、左右両眼で全体画像が見られるものである。
【0042】
図2は、図1の基点マーカ120内でエンコードされた場所140の拡大図である。ここに、隠し保全フィーチャ150が示されている。
【0043】
本願明細書に記載する如く、ドキュメントには1以上の隠し保全フィーチャの場所をエンコードする基点マーカが含まれる。ドキュメントには、複数の基点マーカを含めることもできる。各基点マーカは、1個、2個、3個、4個またはそれを上回る隠し保全フィーチャの場所でもってエンコードされる筈である。
【0044】
基点マーカと1(または複数)の隠し保全フィーチャは通常、デジタル印刷、電子写真印刷、インクジェット印刷、あるいは他の任意種の印刷を介して印刷することができる。
【0045】
基点マーカを検出し、基点マーカ内の場所情報をデコードし、1(または複数)の隠し保全フィーチャに関する1(または複数)の場所を検査するのに、様々な計算環境が使用できる筈であることが考えられる。当業者は、プログラムモジュール等のコンピュータにより実行可能な命令を単一のコンピュータにより実行し、これらタスクを果たすことができることを理解するであろう。一般に、プログラムモジュールは特定のタスクを実行したり特定の抽象化データ種を実装したりするルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造等を含む。さらに、当業者はコンピュータハードウェアが携帯デバイス、複数プロセッサシステム、マイクロプロセッサ準拠あるいはプログラム可能な家電製品、ネットワーク接続されたパーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、メインフレームコンピュータ等を含む多くの異なる形態をとることができることを理解するであろう。
【0046】
検出モジュールは、1以上のアルゴリズムを用いて基点マーカ内に含まれる情報を抽出することができる。アルゴリズムには、データを解釈する1以上の公式、等式、方法等を含めることができる。パターン内のマーク間の距離と加えてマークの大きさ、形状、色、向き等もまた分析し、基点マーカのマークパターン内にエンコードされた情報をデコードすることができる。検出モジュールには、特定の基点マーカをデコードするのに必要な解読情報を含むデータベースもまた含めることができる。
【0047】
原ドキュメントには、必要に応じて1以上のオバート保全マークを含めることができる。一部実施形態では、オバート保全マークは色遷移インク、ホログラム、または熱変色性材料とされる。熱変色性材料は、温度変化に起因して色を変える能力を有する材料である。
【0048】
本開示のドキュメントには、追加のコバートおよび/またはフォレンジック保全フィーチャもまた含めることができる。この種のフィーチャは偽造に対する困難さとコストとを増大させることができ、かくして抑止効果を有する。
【0049】
図3は、改善された保全性を有するドキュメントを調製する方法300用のフローチャートである。下地310を準備する。画像と、隠し保全フィーチャと、基点マーカをドキュメント上に印刷するが、ここでは参照番号320,330,340として示してある。工程320において言及した「画像」は、ドキュメントの視覚的なコンテンツを提供するテキストおよび/または図である。この結果が、改善された保全性を有するドキュメントとなる。
【0050】
本願明細書で言及する画像や隠し保全フィーチャや基点マーカの印刷は、別の要素を印刷する前にこれら3個の要素の一つをその全体で印刷することを必要とすると解釈すべきでないことに、留意されたい。実際は、大半のインクジェット印刷機では、ドキュメントは下地の頂部から下地の底部へ印刷されることになる。これら3個の要素を作り上げているマークは、画像や隠し保全フィーチャや基点マーカの一部としてのその指示に基づかず、下地上の自らの場所に基づき印刷されることになる。
【0051】
図4は、フォレンジック検査者が所与のドキュメントが真性かあるいは原作であって、複製あるいは偽造でないことを検証する検証工程400を示すフローチャートである。検査者は、先ずドキュメント上の基点マーカ410の場所を特定する。基点マーカが人の眼に可視である場合、マーカの場所を特定する器具は不要である。しかしながら、基点マーカが透明かあるいは隠されている場合、器具が必要となる。次に、検査者は基点マーカにエンコードされた情報420をデコードする。この情報には、ドキュメント内に存在する少なくとも1つの隠し保全フィーチャの場所が含まれる。エンコードされた情報には、隠し保全フィーチャの種別と、隠し保全フィーチャの検出に必要な器具と方法もまた含めることができる。器具上で使用すべき設定に関する情報は、基点マーカにエンコードすることもできる。検査者が一旦その情報を解読すると、彼女/彼はそこでその情報を用いて少なくとも1つの隠し保全フィーチャ430の場所を特定することができる。基点マーカが示す場所の隠し保全フィーチャの不在は、ドキュメントが偽造か複製であることを示すものとなる。
【0052】
隠し保全フィーチャの検出に用いられる高度に専門化された技術、特にフォレンジック保全フィーチャは、費用を要しかつ時間を浪費する。本開示の製品と処理工程とを用いることで、フォレンジック検査者は所与のドキュメント上の特定の場所に対する彼又は彼女の探索を制限し、ドキュメントの信憑性をより迅速に検証することができる。かくして、費用と時間の節約を達成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信頼できる機関が下地上の隠し保全フィーチャの場所を特定する難しさを低減する方法であって、
下地上に隠し保全フィーチャを印刷する工程と、
下地の上に基点マーカを印刷する工程で、基点マーカが隠し保全フィーチャの場所に関する情報をエンコードするものである工程とを含む、方法。
【請求項2】
ドキュメントの信憑性の検証方法であって、
ドキュメント上の基点マーカの場所を特定する工程で、基点マーカが情報をエンコードし、エンコードされた情報がドキュメント上の隠し保全マークの場所を開示するよう想定したものである工程と、
基点マーカ内にエンコードされた情報をデコードし、エンコード情報が実際に場所情報を備えているかどうか判定する工程とを含む、方法。
【請求項3】
改善された保全性を有するドキュメントであって、
隠し保全フィーチャと、
隠し保全フィーチャの場所に関する情報でもってエンコードした基点マーカとを備える、ドキュメント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−15998(P2012−15998A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121074(P2011−121074)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】