説明

ドットパターン読取ユニット及びこれを備えたマウス

【課題】 ハイライトを防ぎつつ、少ない光源で効率良くドットパターンを照射することができるドットパターンの読み取り技術を提供する。
【解決手段】 媒体面に形成されたドットパターンドットパターンを光学的に読み取るドットパターン読取ユニットを備えたマウスであって、前記ドットパターンが形成された媒体面に対して光を照射する照射光源と、前記ドットパターンからの反射光をカメラに入射させるためのレンズと、前記照射光源からの照射光及び媒体面からの反射光の出入口となる開口部が形成され、媒体面と当接するマウス本体と、を備え、前記マウス本体の媒体面と当接する底面には、マウス本体より延出する透明樹脂で構成された延出部が設けられており、前記延出部には、前記媒体面を視認可能な穴部を形成し、この穴部を介して媒体面のドットパターンに光を照射し、該ドットパターンを読み取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書籍等の印刷物等の媒体面に形成されたドットパターン情報を光学的に読み取る技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光センサを用いて絵本やゲームカードに印刷されたバーコードを読み取り特定の音声を発音させる音声発生玩具が提案されている。これらの音声発生玩具では、読み込んだバーコードに対応した音声情報をメモリから読み出すことで多種の音声情報を再生できるようにしていた。
【0003】
しかし、このようなバーコードを用いた技術は、紙面上にバーコード印刷用の紙面領域を設けなければならず、かつバーコードは情報処理システムが読み取るためのものであり、絵本や書籍の読者にとっては目視でそのコード内容を把握しかねるものであったため、限られた紙面上にバーコードが印刷されていることは読者にとって煩わしく絵本等書籍の価値を下げかねないものとなっていた。
【0004】
さらに、上記のようにバーコード技術は、紙面上に限られた文字、図形、記号に重ねて印刷することができないために、これらの文字、図形、記号等に対して音声再生を行いたい場合に文字等の近傍にバーコードを印刷するしかなく、読者にとって直感的に文字等に別の音声情報が付加されにくい特性を有していた。
【0005】
この点について特許文献1にはドットパターンで印刷されたコード情報を読み取って情報を再生させる方法が提案されている。この特許文献1に記載の技術は、ブロック領域内のドットパターンの配置の仕方によってデータを定義するとともに、データドットパターンではあり得ないドットパターン、たとえば目視可能な大径円のドットでマーカーを定義することにより、これを同期信号として機能させている。従って、この技術では、ドットを所定の法則で二次元方向に印刷したドットパターンを図32に示すようなペン型のスキャナで読み取り、このスキャナの走査速度と走査方向を情報処理装置で解析して予め対応付けられた音声等の情報を再生させる。
【0006】
このようなドットコード技術におけるドットコードの読み取りは、例えばドットコードが印刷された印刷面に光源を照射し、ドットコードが印刷された部分とドットコードが印刷されない部分の反射光の明暗や色の違いによりドットコードを読み取るものである。このようにドットコードを読み取る際は、照射面にハイライトが生じないように照射しなければならず、ハイライトが生じると、反射光の違いで正確にドットパターンを認識できず、その結果ドットパターンの意味するコードを解析できなくなるおそれがある。
【0007】
例えば、前記特許文献1に記載のドットコードの読取装置100は、1ドットコードを光照する光源101と、この光源101の前面つまり照射側に配置された第1の偏光フィルタ102と、レンズ103と、レンズ103の前面に配置された第2の偏光フィルタ104とを備え、第1の偏光フィルタ102と第2の偏光フィルタ104のパターン面が直交するように配置されている(図32参照)。
【0008】
この読取装置100によれば、光源101から照射されたランダムな光は、第1の偏光フィルタ102で偏波面が制限され、例えばP波が照射される。そして、正反射成分はそのまま偏波面が保存されてP波としてドットコードが印刷された印刷面から返ってくる。しかし、第2の偏光フィルタ104の偏波面が第1の偏光フィルタ102と直交しているので、この正反射成分はこの第2の偏光フィルタ104で遮断される。一方、第1の偏光フィルタ102から出てきた光でドットコードにあたって輝度情報として戻ってきたものについては、偏光面がランダムになり、P波とS波の両方を持っている。そのうち、P波については、第2の偏光フィルタ104でカットされ、それと直交するS波については、第2の偏光フィルタ104を通過してレンズ103に入射する。これによりドットコードを解析することができる。
【0009】
該読取装置100によれば、光源101の前面に第1の偏光フィルタ102が配置されているため、光源101からの照射光は、直接ドットコードに照射されず間接光として照射される。そのため、光源101からの光は分散され、ハイライトを生じさせにくくすることができる。しかし、該読取装置100では、第1の偏光フィルタ102と第2の偏向フィルタ104を用いているため、光源101からの光量が減衰してしまい、解析すべきドットコードに十分な光を照射できないおそれがある。また、十分な光量を得るためには、光源101を複数設けることが考えられるが、光源101の増大は消費電力及びコストの増大を招くこととなる。
【特許文献1】特開平10−261059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、ハイライトを防ぎつつ、少ない光源で効率良くドットパターンを照射することができるドットパターンの読み取り技術を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、媒体面に形成されたドットパターンに対応した情報を再生するために、該ドットパターンをカメラで光学的に読み取るドットパターン読取ユニットであって、前記ドットパターンが形成された媒体面に対して光を照射する光源と、前記ドットパターンからの反射光をカメラに入射させるためのレンズと、中空部を有する筒状であり、その先端に光源からの照射光及び媒体面からの反射光の出入口となる開口部が形成されたノーズ部と、を備え、前記光源とレンズとは、前記ノーズ部の開口部を臨むようにノーズ部の中空部に配置されており、前記ノーズ部の中空部を隔成する中空部面に鏡面処理が施されており、前記光源からの照射光は、ノーズ部の中空部面を反射して開口部からドットパターンに照射されることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るドットパターン読取ユニットは、ノーズ部が筒状に形成されており、このノーズ部の中空部に光源とレンズとが配置されているため、光源からの照射光がノーズ部の内周面を周方向に反射しながら媒体面に照射される。この反射光は、間接光としてドットパターンに照射されるため、スポットや影を形成することなくほぼ均一になる。ドットパターンに均一に照射された光は、媒体面を反射し、レンズに入射する。例えば、レンズより後退した位置に、カメラユニットを配置することにより、反射光を撮像し、ドットパターンの解析を行うことができる。
【0013】
ここで、光源からの直接光が開口部から照射され、紙面から直接反射光としてレンズに入射されると、紙面に照射された光源の光が反射光として直接レンズに入射されるため、光のハイライトになってしまいドットが消えた画像となり解析ができなくなる。
【0014】
これを防ぐために、ノーズ部内で光源の位置を調整することも可能であるが、光源の位置調整だけではペン(読取装置)を傾けたときに、その角度によっては光源からの直接光が紙面から反射されて直接反射光として入射されてしまうことがあり、なおハイライトが生じる可能性がある。
【0015】
そのために、開口部近傍に光源を配置することも考えられるが、光源と紙面の距離が近いために光のスポットが発生しやすく、また光源のオン・オフを制御するスイッチ機構を配置しにくいという問題があった。
また、先端部に光源が配置されることになるので振動の影響を受けやすく破損の要因となる。
さらに光源の取付け作業性も容易ではなかった。
さらに、ペン先の構造及び紙面との角度の関係で1つの光源では影を生じることがあり、それを補填するために当該影部分を照射する別の光源が必要となっていた。
【0016】
そこで本願発明では、開口部から紙面に照射される光を全て間接光とし、円周方向に反射しながら光源の対向側からも照射できることにより、その間接光の紙面からの反射光をより均一な明るさになるようにした。尚、間接光で照射した反射光はハイライトを生じない特性を有している。
【0017】
本発明のように光学的にドットパターンを読み取る技術においては、ドットパターン周辺とドットパターンの色の変化率によってドットパターンの有無を読み取るため、媒体面に照射される光のコントラストが問題となる。例えば、光が照射される媒体面において、暗い部分と明るい部分の立ち上がりエッジが急峻である場合や影が生じている場合、スポット的に一部分に光が照射された場合等には、ドットパターンの読み取りミスが生じやすくなる。従って、媒体面に照射する光は出来る限り均一であることが望ましいが、本ユニットに搭載されるドットパターンの解析プログラムは、照射光による媒体面の明暗の急峻な変化率を解析するため、完全に均一である必要はなく、穏やかに媒体面の照射光が変化するグラデーションであれば問題なくドットパターンを読み取ることができる。
【0018】
前記光源とは、光を照射して、媒体面からの反射光をレンズに入射させてドットパターンを解析できるものであれば良く、例えば、赤外線を吸収するインクでドットパターンを形成した場合には、赤外線LEDを用いることができる。この構成によれば、媒体面に赤外線LEDを照射すると、ドットパターンが形成された部分は赤外線を吸収し、拡散反射をしない。一方、ドットパターンが印刷されていない部分は、赤外線を吸収せず、拡散反射する。この拡散反射した光は、レンズに入射され、反射光を発しないドットパターンだけが黒く写り、ドットパターンを読み取ることができる。また、光源として紫外線や特定の波長を有する光を用いても良い。
【0019】
なお、前記ドットパターンは、赤外線域波長において発色しないインク、例えば、トナー等のカーボンインク、赤外線インク、透明インクで印刷することが望ましい。可視光域波長において視認でき、赤外線領域で赤外線を反射するインクを用いることによって他の情報を媒体面に印刷している場合であっても、この情報に影響されることなく、ドットパターンの読み取りが可能となる。前記カメラは、前記媒体面からの反射光を取り込むためのものであり、CCD又はC−MOS等の撮像素子を備えた構成が好適である。
【0020】
CCD、C−MOS等の撮像素子とは、カメラのレンズを通して入ってくる光の強弱を電気信号に変換、転送するためのものである。C−MOSは、構造がCCDと比較して単純であるため、CCDに比べて消費電力が少なくすることができる。しかし、暗い場所ではCCDの方がC−MOSに比べて、画像が優れている。従って、用途に応じて適宜なものを選択することが望ましい。
【0021】
前記レンズは、媒体面からの反射光を適宜に入射させるものであれば良く、種々の構成とすることができるが、例えば、光源として前記赤外線波長の光を発光するLEDを用いた場合には、レンズ前面にIRフィルタ(可視光線遮断フィルタ)を装着し、ドットパターンが形成されていない部分から発せられる可視光線を遮断し、赤外線のみをレンズに入射させる構成とすることが望ましい。
【0022】
前記ドットパターン読取ユニットは、前記ノーズ部の中空部は、前記レンズから開口部に向かって次第に大径となるテーパ状に形成されており、前記光源は、前記レンズの周辺に少なくとも1つ設けられており、該光源の照射光が内周面を周方向に反射しながら前記開口部からドットパターンに照射されることが望ましい。
前記ノーズ部の中空部が先端の開口部に向かってテーパ状に形成されているため、中空部面を周方向に反射した照射光を拡散させて媒体面に照射させることができる。なお、光源の設置数は、少なくても1つであれば良く、必要な光量に応じて適宜に選択すべきであるが、レンズを挟んで対向する位置で対になるように複数配置すると、より均一に光が照射でき好適である。
【0023】
また、本発明に係るドットパターン読取ユニットは、前記ドットパターンが形成された媒体面に対して光を照射する光源と、前記ドットパターンからの反射光をカメラに入射させるためのレンズと、中空部を有する筒状であり、その先端に前記媒体面からの反射光の入口となる開口部を形成され、その内部が導光路として機能するライトガイドと、を備え、前記レンズは、前記ライトガイドの開口部を臨むようにライトガイドの中空部に配置され、前記光源は、前記ライトガイド内の基端近傍に配置されており、前記光源からの照射光は、前記ライトガイドの内部を進行し前記開口部を隔成する端面よりドットパターンに照射されることを特徴としても良い。
【0024】
前記ライトガイドとは、透明樹脂製であり、その内部に照射光を進行させて、前記開口部を隔成する端面に光源からの照射光を集光させる。前記構成の読取ユニットによれば、光源がライトガイド内の基端近傍に配置されているため、光源からの照射光はライトガイド内に照射され、ライトガイドの内面(中空部側の面)をたとえば平滑にしておくことによって、この内面で反射される。このようにライトガイドの内面(中空部側の面)を平滑面とすることにより、所定角度以下(臨界角以下)の入射光は中空部に放射されるが、所定角度以上(臨界角以上)の入射光はライトガイド内に全反射されて閉じこめられる。このように、ライトガイド内で反射した光は、周方向にさらに反射を繰り返して、先端に形成された開口部を隔成する端面より媒体面に照射される。すなわち、光源からの照射光は直接ドットパターンに照射されずに、ライトガイド内で反射した間接光として照射される。そのため、媒体面に拡散された光が照射され、ハイライトを防ぐことが可能となる。また、前記ライトガイドの形状を先端に向かって先細状に形成することにより、光源から種々の方向に照射される光を適切に前記開口部を隔成する端面に集光することができるため、さらに効率良くドットパターンの読み取りを行うことができる。
【0025】
また、ライトガイド内の光をより効率的に端面から照射させるためには、ライトガイドの中空部側面にライトガイド内部に対して光を反射する鏡面処理を施しても良い。これによりライドガイド内部でどのような角度で光が入射したとしてもライトガイド内に光を閉じこめて端面から効率的に照射させることが可能となる。
【0026】
なお、ライトガイドは透明体で構成した場合で説明したが、中空構造のものであっても良い。
【0027】
さらに、前記ライトガイドの開口部を隔成する端面は、梨地面であり、前記ドットパターンへの照射光は該梨地面で拡散されることが望ましい。上述のように、光源からの照射光は、ライトガイドの開口部を隔成する端面より媒体面に照射されるが、媒体面に照射する照射光は、読取精度を高めるためには、ドットの部分は濃くなるようにし、それ以外の部分ではできるだけ濃淡が出ないようにすることが望ましい。前記ライトガイドの開口部を隔成する端面を梨地面として、梨地面で光を拡散させることにより、端面が平滑面である場合と比較して照射光が拡散し、より均一な光を媒体面に照射することができ、正確なドットパターンの読み取りが可能となる。
【0028】
加えて、前記ライトガイドの外周には、ライトガイドを内包する外枠部材が設けられていることが望ましい。ライトガイドの外周に外枠部材を設けることにより、ライトガイド外周面から外に透過する照射光を全てライトガイド内に反射させることができるため、ライトガイド先端部から外に漏れた光源からの直接光による媒体表面からの直接反射光がレンズに入射されて生じるハイライトを防ぐことができるとともに、光量の減衰を防ぐことが可能となる。さらに、ライトガイドは外枠部材に内包されているため、ライトガイドを外枠部材によって保護し、ライトガイドの破損を防ぐことができる。
【0029】
また、本発明に係るドットパターン読取ユニットの前記光源のレンズ側には、撮影方向に延出した遮光部を設けても良い。前述のように光源から媒体面に直接光が照射すると、ハイライトが生じドットパターンの正確な読み取りができなくなる。そのため、光源からの直接照射光は、全て前記ノーズ部又は前記ライトガイドに反射させ間接光とすることが望ましい。しかし、ノーズ部又はライトガイドの形状等によっては、光源からの照射光がノーズ部又はライトガイド先端部を透過し、媒体面に直接照射してしまうことがある。このような場合には、媒体面に直接照射される光源からの直接光を遮断するための遮光部を設けることにより、媒体面へ直接照射させる光を遮断して、ハイライトを防ぐことが可能となる。
【0030】
前記遮光部は、光を透過させないものであれば良く、その材質及び形状は制限されない。例えば、臨界角よりも大きい角度の入射光は全反射するという特性を利用して遮光部を筒体、中空部を有する直方体で形成し、前記光源の外周を覆うように配置する構成が挙げられる。また、遮光部を用いた場合には、遮断された分の光量が減衰するため、光量を確保したい場合においては、媒体面に直接照射させる光の通路に、光を反射させるために鏡面処理を施した鏡面部材を設けても良い。該鏡面部材を併せて設けることにより、前記光源から直接媒体面に光が照射されることを防ぐことができるとともに、光量の減衰を防ぐことができるため少ない光源であっても効率良くドットパターンの読み取りを行うことができる。
【0031】
さらに、本発明に係るドットパターン読取ユニットは、内部にインクが充填され、捺印可能なインクユニットを備えていても良い。インクユニットを併せて設けることにより、ドットパターンを読み取り、その結果を媒体面に記すことができる。このインクユニットは、媒体面に近接させて設けることが望ましく、例えば、ノーズ部の先端、又はライトガイドの先端が好適である。さらに、ドットパターンの解析結果と連動させることにより、解析結果に応じて自動的に捺印を行う構成とすることも可能である。
【0032】
前記インクユニットに用いるインクとしては、例えば、赤外線波長を吸収するインク(カーボンインク、赤外線インク、透明インク)や赤外線を反射するインク(ノンカーボンインク等)のいずれも用いることができる。
【0033】
加えて、本発明は、前記ドットパターン読取ユニットとペン型の読取装置本体を備えたことを特徴とするドットパターン読取装置であっても良い。ペン型の読取装置本体を備えることにより、筆記具のペンと同様の感覚で扱うことができ、操作が容易となる。また、前記インクユニットを併せて設けることにより、容易にドットパターンの読み取り結果を媒体面に記すことができる。
【0034】
また、前記ドットパターン読取装置は、前記光源からの照射光の点灯・消灯及び/又は前記カメラの撮影を制御するスイッチ機構と、前記ノーズ部又はライトガイドと読取装置本体との間に配置された弾性部材と、を備え、前記ノーズ部又はライトガイドは、読取装置本体の軸方向において可動であり、弾性部材の弾性力に抗して可動することにより、前記スイッチが操作されることを特徴としても良い。前記スイッチを設けることにより、例えば、電池使用の場合、電力の消費を抑えるため待機時に微弱な電流を流しておき、スイッチが入った際に光源及びカメラに必要な電流が流れるような機構にしたり、スイッチのオン動作により光源と撮像素子の解析回路をアクティブ状態にし、カメラでの撮影後は光源をオフ状態に戻しつつ、撮像素子は一定時間はアクティブ状態を維持させても良い。撮像素子としてC−MOSを用いた場合、CCDに比較して起動時の立ち上がり時間を要するため、このような制御を行うことにより、C−MOSで短時間で断続的にドットパターンを読み込む場合に有利である。
【0035】
また、本発明は、媒体面に形成されたドットパターンに対応した情報を再生するために、該ドットパターンを光学的に読み取るドットパターン読取ユニットを備えたマウスであって、媒体面に形成されたドットパターンに対応した情報を再生するために、前記ドットパターンが形成された媒体面に対して光を照射する照射光源と、前記ドットパターンからの反射光をカメラに入射させるためのレンズと、前記照射光源からの照射光及び媒体面からの反射光の出入口となる開口部が形成され、媒体面と当接するマウス本体と、を備え、前記マウス本体の媒体面と当接する底面には、マウス本体より延出する透明樹脂で構成された延出部が設けられており、前記延出部には、前記媒体面を視認可能な穴部を形成し、この穴部を介して媒体面のドットパターンに光を照射し、該ドットパターンを読み取ることを特徴としても良い。また、この延出部にノンカーボンインクで読取位置を示す十字状のマークを設けておいても良い。
【0036】
前記構成のマウスによれば、照射光源からの照射光をドットパターンが記載された媒体面に照射させて、ドットパターンを読み取ることができる。また、マウス本体の底面に視認可能な穴部を形成することにより、この穴部から視認でドットパターンの位置を確認することができる。すなわち、読み取り可能なドットパターンの位置を正確に把握することができ、正確なマウスの操作が可能であるとともに、読み取りの精度を向上させることが可能となる。
【0037】
さらに、本発明は、媒体面に形成されたドットパターンに対応した情報を再生するために、該ドットパターンを光学的に読み取るドットパターン読取ユニットを備えたマウスであって、前記ドットパターンが形成された媒体面に対して光を照射する照射光源と、前記ドットパターンからの反射光が入射するレンズと、前記照射光源からの照射光及び媒体面からの反射光の出入口となる開口部が形成されたマウス本体と、前記開口部からドットパターンが形成された媒体面の読取点の中心を照射するポインタ光源と、を備え、前記ポインタ光源からのポインタ光を媒体面に照射しつつ、前記照射光源の照射光を前記ドットパターンに照射し、その照射光の反射光により前記ドットパターンを読み取ることを特徴としても良い。
【0038】
前記構成のマウスは、媒体面の読取点を照射するポインタ光源を備えているため、このマウスによっても読み取るドットパターンの位置を正確に把握しつつ操作することができる。なお、本発明に係るドットパターンの読取ユニットを備えたマウスは、前記構成に加えて、必要に応じライトガイド、遮光部を設ける構成、及びマウス本体に鏡面処理を施す構成としても良い。前述した読取ユニットと同様に、スポット光や影による不均一な媒体面への照射及び光量の減衰等により正確なドットパターンの読み取りができない場合には、前記ライトガイド等を適宜に設けることにより、効率良くかつ正確にドットパターンの読み取りを行うことが可能となる。
【0039】
また、前記マウス本体には、捺印可能なインクユニットを設けることが望ましい。これにより、ドットパターンを読み取り、その結果を媒体面に記すことができる。このインクユニットは、媒体面に当設させて設けることが望ましく、マウス本体の底面が好適である。また、前記底面の延出部に設けることにより、マウスを操作する際においても視認可能であるため、捺印状態を確認しつつマウスを操作することができる。
なお、インクユニットに用いるインクとしては、例えば、赤外線波長を吸収するインク(カーボンインク、赤外線インク、透明インク)や赤外線を反射するインク(ノンカーボンインク等)のいずれも用いることができる。
【0040】
以上のように本発明によれば、ハイライトを防ぎつつ、少ない光源で効率良く媒体面に均一に照射し、ドットパターンを光学的に読み取ることが可能である。また、必要に応じ、鏡面処理を施したり、ライトガイド、遮光部を設けることにより、適宜な位置に光を照射し、正確にドットパターンを読み取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0042】
図1は、ドットパターン読取ユニット20Aの内部構造を示す説明図である。このドットパターン読取ユニット20Aは、図示しないペン型ドットパターン読取装置本体に装着されており、媒体面Xに形成されたドットパターンを読み取る。ドットパターン読取ユニット20Aは、内部に中空部が形成され、その先端に開口部1aを有するノーズ部1と、このノーズ部の開口部1aを臨む位置に配置されたレンズ2と、このレンズ2と同一面状に配置され、ドットパターンが形成された媒体面Xに光を照射する光源としてのLED3と、LED3とレンズ2との間から撮影方向に延出した遮光部4と、レンズ2から後退した位置に配置されたC−MOSカメラ5と、を備えている。
【0043】
なお、開口部1aには同図に示すキャップ部材17が装着され開口部1aを閉塞している。このキャップ部材17はガラス又は合成樹脂の透光材料で構成されており、レンズ2による媒体面Xの撮像には影響を与えないようにしつつ、内部空間への塵挨等の侵入を防止している。
【0044】
前記LED3とその側部から延出した遮光部4は、LED3からの照射光がノーズ部1の開口部1aに直接照射しないように構成されており、LED3からの照射光は、ノーズ部1の中空部を隔成する中空部面1b又は遮光部4に照射され、この反射光が開口部1aから外部に間接光として照射する。そのため、解析すべきドットパターンが形成された媒体面Xに照射される照射光は、一回以上反射した間接光となるため拡散した状態となり、ノーズ部1の開口部1aからほぼ均一にドットパターンに照射されハイライトを防ぐことができる。
【0045】
また、前記ノーズ部1の中空部面1bには鏡面処理が施されている。鏡面処理を施すことにより、光を完全に反射させることができ、LED3の光量を減衰させることなく効率良く照射することができるとともに、照射された光を拡散及び減衰させることなく、中空部内で反射させることができる。さらに、LED3がレンズ2を中心にしてそれぞれ対向する位置に複数設けられているため、向かい合うLED3が対向する中空部面1bからもLED3からの照射光を反射して媒体面Xを照射することができる。すなわち、一方向からのみならず、種々の方向から媒体面Xに光を照射させることができるため、図2に示すように、ドットパターンが形成された媒体面Xに対して傾斜した状態であってもLED3からの光を撮影面(読取面)に対して均一に照射させることが可能である。なお、同図では複数のLED3を配置した場合で説明したが、1個のLED3だけでもノーズ部1の中空部面1bを周方向に反射しながら媒体面Xに照射されるため、同様の効果を得ることができる。
【0046】
図3は、図1に示したドットパターン読取ユニット20AのLED3の配置とノーズ部1の中空部面1bの形状を異ならせたドットパターン読取ユニット20Bである。このドットパターン読取ユニット20Bは、ノーズ部1の中空部がレンズ2から開口部1aに向かって次第に大径となるテーパ状に形成されており、LED3の先端がユニット中心軸に対して傾斜して配置されている。
【0047】
このドットパターン読取ユニット20Bは、図1に示したドットパターン読取ユニット20Aと異なり、遮光部4を備えていないが、LED3からの照射光がノーズ部1の中空部面1bに照射するように傾斜した状態に配置されている。LED3からの照射光は直接媒体面Xに照射されず、一度中空部面1bを反射して媒体面Xに照射されるため、光が拡散されハイライトを生じない。また、このドットパターン読取ユニット20Bにおいても、LED3はレンズ2を挟んで対向する位置に複数設けられているため、ドットパターンをより均一に照射することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、LED3は複数個配置しているが、LED3は必ずしも複数配置する必要はなく、1個だけでも良い。本実施形態では、ドットパターン読取ユニット20Aによって前述のように照射光がユニット内を反射しながらそれぞれが対向する位置からも媒体面を照射する構造を有しているため、少ない数の照射光源、例えば1個のLED3であってもハイライトの発生を防止でき、高い読取精度を得ることができる。
【0049】
次いで、LED3からの照射光の点灯・消灯及びC−MOSカメラ5の撮影を制御するスイッチ機構を備えたドットパターン読取ユニットの実施形態を示す。
図4及び図5は前記で説明した図1に示したようなドットパターン読取ユニットに対してスイッチ機構を設けた構造のものであり、図6及び図7は図3に示したようなドットパターン読取ユニットに対してスイッチ機構を設けた構造のものである。なお、このスイッチは、物理的に電気回路の接点の開閉を行うスイッチであってもよいし、電子的なセンサーやフォトスイッチであってもよい。
【0050】
図4に示すドットパターン読取ユニット20Cは、ノーズ部1の外周を覆う外枠部材6と、ノーズ部1に係合する弾性部材としてのスプリング7と、LED3の点灯・消灯とC−MOSカメラ5を制御するスイッチ8と、を備えており、ノーズ部1は外枠部材6に沿って読取装置の軸方向に可動である。尚、このスイッチ8は、物理的に電気回路の接点の開閉を行うスイッチであっても良いし、電子的なセンサやフォトスイッチであっても良い。
【0051】
このドットパターン読取ユニット20Cは、前記ノーズ部1がスプリング7の弾性力に抗して可動することによりスイッチ8が操作され、オン状態となる。最初のスイッチ8のオンにより、LED3と、C−MOSカメラ5と解析回路がオン状態になる。次にドットパターン読取ユニット20Cを持ち上げるとスイッチ8がオフとなり、LED3もオフとなるが、C−MOSカメラ5はそのまま所定時間待機状態が維持される。解析回路は、ドットパターンの解析が終了すると自動的にオフ状態となる。また、スイッチ8を押したままの状態で、ドットパターン読取ユニット20Cをドラッグすると、オン状態を維持したままで、所定サイクルのC−MOSカメラ5の読み取り及び解析処理を実行することができる。
【0052】
図5に示すドットパターン読取ユニット20Dは、弾性部材としてリングラバー(O−リング)9を用いている。前記スプリング7とリングラバー9を比較すると、リングラバー9は、装着時の高い弾性力を得るため、リングラバーの太さはある程度のものが適しており、装着時の安定性を得るためにスプリング7と比較して大きなリング直径を要する。一方、スプリング7は、リングラバー9より部材のスプリング直径を小さくすることができるが、弾性力を確保するため装着時に高さを要する。従って、図4のドットパターン読取ユニット20Dは、スプリング7の高さを確保するため、ノーズ部1の中空部面1bの上方を長め(相当部分)に切り欠いている。すなわち、弾性部材は、読取ユニットの形状等に応じて、適宜に選択することが望ましい。
【0053】
また、いずれのドットパターン読取ユニット20C、20Dにおいても外枠部材6に爪部6aを突設するとともに、ノーズ部1の外周面に爪部6aと噛み合う突部1cが設けられており、ノーズ部1と外枠部材6との係合が弾性部材の弾性力によって外れないように構成されている。
【0054】
次いで、図3に示したドットパターン読取ユニット20Bとほぼ同じ構造のものにスイッチ8を設けた構造の実施形態を図6及び図7に示す。
図6のドットパターン読取ユニット20Gは、LED3、レンズ2の構造は、図3と同様である。しかし、ノーズ部1が本体には固定されておらず、ノーズ部1の外周に設けられた外枠部材6と、スイッチ8と、リングラバー9とを備えている。また、ノーズ部1は、弾性部材が係合し軸方向に可動する。
【0055】
一方、図7のドットパターン読取ユニット20Eも、LED3、レンズ2の構造は、図3と同様である。しかし、ノーズ部1の外周は、先細状ではなく同径に形成されており、ノーズ部1の外周に設けられた外枠部材6と、スイッチ8と、リングラバー9と、を備えている。また、ノーズ部1は、中空部を隔成する内ノーズ部10aと、外枠部材6と係合する外ノーズ部10bに分割されており、外ノーズ部10bのみ弾性部材が係合し軸方向に可動し、内ノーズ部10aは可動しない。すなわち、LED3の光が照射される中空部面1bは移動しないため、安定した状態で光を媒体面Xに照射することができる。
【0056】
前記ドットパターン読取ユニット20Eにはスイッチ8が埋設されており、このスイッチ8と外ノーズ部10bとの間には、弾性部材としてのリングラバー9が装着されている。外ノーズ部10bは、外枠部材6に沿って軸方向に可動であり、リングラバー9の弾性力に抗する方向に外ノーズ部10bを押圧することにより、スイッチ8が操作される。また、この読取ユニット20Eは、外ノーズ部10bの外周が軸方向において同径に形成されているため、先端は大径になるが、その外形はスタンプ状である。そのため、ドットパターン読取ユニット20Eを傾斜させず垂直方向にスタンプを捺印する感覚で、安定的にドットパターンの読み取りが可能となる。
なお、リングラバー9の代わりに図4で示したようなスプリング7を用いても良いことはいうまでもない。
【0057】
さらに、このドットパターン読取ユニット20Eの安定性を生かして、インクユニットを設けても良い。図8及び図9に示すドットパターン読取ユニット20Fは、図7のドットパターン読取ユニット20Eにインクユニットを設けたものであり、当該インクユニットは、内ノーズ部10aに充填されたインク11と、その先端に設けられた捺印部12とで構成されている。
前記インクユニットを設けることにより、ドットパターンの読み取りに応じて、読み取り結果等を記す等種々の用途に用いることが可能となる。
【0058】
例えば、ドットパターン読取ユニット20Eを装着した読取装置を用いて、ドットパターンの印刷面を撮像したときに、撮像及び解析が完了すると図示しない電子音発生部から例えば「ピッ!!」というような電子音を発生させて操作者に読取が完了したことを通知できるようにしても良い。そして、この読取が完了とともにインクユニットからインクを充填して捺印部12により媒体面に捺印を施しても良い。これにより当該ドットパターンを読取装置で読み取ったことを後から目視で確認できる。なお、撮像及び解析の完了は前述のような電子音の他、読取装置に設けられた確認用LEDを発光させたり、読取装置が液晶表示部やパーソナルコンピュータに接続されている場合には、当該液晶表示部に読取完了を示す文字、図形等の表示を行っても良い。
【0059】
このとき、図9に示すように、外ノーズ部10bの先端が媒体面により押圧されて外ノーズ部10bの基端(図では上端)がリングラバー9を付勢してこのリングラバー9の反対方向(反外ノーズ部方向)への押圧力によりスイッチ8が操作される距離をYとし、外ノーズ部10bの先端が媒体面により押圧されて外ノーズ部10bが押し上げられて捺印部12が媒体面に当接されるまでの距離をZとした場合、Y<Zとしておくことによりダブルスイッチ機構を実現できる。
【0060】
すなわち、媒体面に対して当該ドットパターン読取ユニット20Hを押し込むと、まず外ノーズ部10bが押し上げられてYの距離を上昇するとスイッチ8が操作される。次に、Zの距離に達すると捺印部12が媒体面に当接された内部のインク11による捺印が実行される。このようなダブルスイッチ機構により、まずスイッチ8の操作で電子音を発生させて操作者に読取を確認させた後に、操作者がさらに押圧し、媒体面に捺印を行うことにより目視でのドットパターンの認識完了を知ることができる。
【0061】
さらに、本実施形態の読取ユニットを用いて読取装置を構成した場合、以下のような使用方法もある。
例えば解答用紙(媒体)に正解のエリアと不正解のエリアを設けておき、それぞれ異なるドットパターンを印刷しておく。そして、回答者が正解のエリアで読取装置を操作した場合には、当該正解のエリアのドットパターンがレンズを介して像影素子で撮像され、さらに当該ドットパターンに対応するコードが解析回路で解析されてその解析結果によって、インクユニットを制御し、充填されたインク11が捺印部12を介して媒体面に浸出するようにしておく。これにより、回答者が読取装置で正解のエリアを選択した場合にのみ、当該エリアに捺印を施すことも可能となる。
【0062】
本実施形態において、前記インクユニットに用いるインクとしては、例えば、赤外線波長を吸収するインク(カーボンインク、赤外線インク、透明インク)や赤外線を反射するインク(ノンカーボンインク等)のいずれも用いることができる。
【0063】
例えば、ドットパターンを読み取ったことを解析するコンピュータとインクユニットを制御することにより、ドットパターンを正確に読み取った場合には、インク11が捺印部12に補充され、捺印可能となり、正確に読み取れない場合には、インク11が充填されず捺印不可能となる機構にすることもできる。 例えば、ドットパターンを読み取ったことを解析するコンピュータと複数のインクユニットを制御することにより、択一的な選択とマーキングを行う場合には、まず第1の選択枝(第1のドットパターン)を選択して捺印部12によってスタンプを行った後、誤りに気が付いて第2の選択枝(第2のドットパターン)を選択しようとした場合、読取装置に修正ボタンを設けておき、修正ボタンを押しながら前記第1の選択枝(第1のドットパターン)を再度選択した場合には、コンピュータ側で第1の選択を取り消すとともに、捺印部12には前記インク11とは別のインクが充填されて、前記第1の選択枝(第1のドットパターン)上に重ねてスタンプ(取消スタンプ)が行われる。このとき、取消スタンプはインク11の可視的な色素を透明にするインク消しのようなものであっても良いし、インク11とは別の色のインクであっても良い。
【0064】
この状態で、前記修正ボタンを解除して、正解である第2の選択枝(第2のドットパターン)を読取装置で選択することにより、再度第2のドットパターンが選択されてコンピュータに読み取られるとともに、インクユニットの捺印部12には本来のインク11が充填されて第1のインク11でのスタンプが行われる。
【0065】
さらに、例えば、2種類のインク11を別々に充填し、テストの答えとして記載されたドットパターンを読み取り、自動的に正解なら一方のインクで捺印し、不正解なら他方のインクで捺印する機構とすることができる。加えて、外部から視認可能な外周にランプ等を設置し、ドットパターンを正確に読み取った場合にランプが点灯する、又は音が鳴る等の構成を付加することにより、ユーザーは、ランプや音により確認して捺印することも可能である。
【0066】
前述したドットパターン読取ユニットは、インクユニットのみならず、筆記具としての機能を兼ね備えていても良い。図10は、筆記具としてのペン13を装着したドットパターン読取ユニット20Iを示した図である。通常ペン等の筆記具で印字する際は、傾斜させた状態で用いるため、ドットパターン読取ユニット20Iの外周は、45度まで傾斜可能になるように形成されている。ドットパターン読取ユニット20Iによれば、解析結果を捺印して記すだけでなく、必要に応じてペン13により印字等をすることも可能となる。この場合、ペン13の先端近傍の媒体面(ドットパターンが形成された媒体面)を撮像することにより、撮像中心から離れた位置のペン13の印字の際の筆跡や移動距離等を正確に解析することも可能となる。
【0067】
さらに、図11に示すように、装着されるペン13の端部にスイッチ8を設けて、ドットパターンの読取と印字機能を切り替えるように構成しても良いし、ドットパターンを正しく認識した際のみペン13の印字が可能になるように構成することもできる。
【0068】
なお、図10に用いたドットパターン読取ユニット20Iを用いた場合、XY座標やコードを登録したドットパターンの印刷面上でペン13を用いて文字や記号を記入すると、ペン13のスイッチ8がオン状態となったときのペン13の軌跡に対応したドットパターンが読み取られるようにしても良い。
また、ドットパターンを読み込んで解析結果を表示あるいは音声で確認した後に、ペンで紙面上にチェック等を記入しても良い。
ドローイング軌跡を入力するときはドットパターンはXY座標が登録されていることが望ましい。紙面にチェックボックスが印刷されており、ペン13を用いて当該チェックボックスのチェックのみを行う場合には所定のコードが登録されていれば良い。
【0069】
次いで、前記ノーズ部1に代えてライトガイド14を用いたドットパターン読取ユニットの実施形態を説明する。図12は、ライトガイドを備えたドットパターン読取ユニット30Aの内部構造を示す図である。なお、光源であるLED3、レンズ2は、前述したノーズ部1を備えたドットパターン読取ユニットと同様であるため同符号を用いて説明を省略する。
【0070】
ドットパターン読取ユニット30Aは、中空部を有する筒状で、その先端に開口部14aが形成され、内部が導光路として機能するライトガイド14を備え、前記ライトガイド14の開口部14aを臨むようにライトガイド14の中空部にレンズ2が配置されている。また、開口部14aには透明ガラス板又は透明プラスチック板からなるキャップ部材17が取り付けられており、開口部14aを閉塞することにより内部空間への塵挨等の侵入を防止している。
【0071】
LED3は、ライトガイド14の基端近傍に配置されており、LED3からの照射光は、ライトガイド14の内部を進行し、開口部14aを隔成するライトガイド14の端面14bより媒体面Xに拡散した状態で照射される。
【0072】
前記ライトガイド14は、透明樹脂製であり、その内部が導光路として機能し、LED3からの照射光は、開口部14aを隔成する端面14bに集光される。このライトガイド14は、臨界角αより大きな入射角で光が内側から外側に向かうと外へ透過せずに内側に反射する(図12、矢印A)。しかし、臨界角αよ小さい入射角で光が内側から外側に向かうと外へ透過してしまう(図12、矢印B)。従って、ライトガイドの形状は、LED3からの照射光が透過しないように形成することが望ましく、図12に示すライトガイド14の形状は、照射光の入射角をより大きくするために先端先細状、すなわち中空部の径が先端にいくにしたがって小径となるように形成されている。
【0073】
また、同図のドットパターン読取ユニット30Aにおいて、ライトガイド14が中空部を有する筒状に形成されているため、LED3からの照射光はライトガイド内部を周方向に進行し、中空部を隔てて反対側となる端面14bまで到達する。従って、LED3の直下に位置する端面14bのみならず、対向する端面14bからも媒体面Xに照射することができる。なお、LED3の照射効率を高めるために、図13に示すようにLED3の照射先端をライトガイド14内に突出させた構造としても良い。
【0074】
図14は、図13で示したドットパターン読取ユニット30Bで用いられるライトガイド14を示したもので、同図に示すように、その側面が緩やかなテーパ状に形成され、その基端面(図では上面)には円周方向に溝14eが形成されている。この溝14eに前記LED3の先端が入り込むようにしてドットパターン読取ユニット30Bが組み立てられるようになっている。
【0075】
図13で示したライトガイド14の開口部に臨む端面14bは、下方(媒体面)に向かって拡開するように傾斜しており、この端面14bの傾きは、ライトガイド14の開口部14aとレンズ2を結ぶ線と同一の傾き、すなわち、ライトガイド14の端面14bから軸方向に延長した線上(図12および図13では破線で表示)にレンズ2が配置される位置関係となっている。ライトガイド14の端面14bをこのように傾斜させて形成することにより、ライトガイド14の端面14bからの照射光が直接レンズ2に入射すること、及び媒体面Xに直接反射することを防ぐことができ、媒体面Xをほぼ均一に照射することが可能となる。
【0076】
なお、ドットパターン読取ユニットを媒体面Xから離した状態でドットパターンの読み取りを行うと、LED3からの照射光が直接ライトガイド14の先端部分を透過し、媒体面Xで反射した直接反射光が入射することによりハイライトを生じることがある。
【0077】
このようなハイライトを防ぐ方法として、LED3の照射光を一部遮断する方法が挙げられる。例えば、LED3の照射光が直接ライトガイド14の先端部から外部に漏れると、この照射光はライトガイド14内で一度も反射されていないいわゆる直接照射光として媒体面を照射することになるため、この媒体面からの反射光がレンズ2に入射されたときに一部にハイライトが生じる。このようなライトガイド14の先端部から媒体面に照射された直接照射光が原因となるハイライトを防止するために、図15に示すドットパターン読取ユニット30Cでは、LED3の側部のライトガイド14内に遮光部4として空隙(遮光穴)を設けている。このような穴状の遮光部4を設けることにより、この遮光部4の側面に対して臨界角よりも大きな入射角で入射する光はその側面で遮光部4の空隙内に反射するようになり、その結果、LED3から照射された直接照射光がライトガイド14の内部を進行してライトガイド14の先端部分から媒体面を照射することを防止できる。
前記遮光部4は、LED3の直接照射光のライトガイド14の先端部からの照射を抑制できる構成であればその長さ、形状を変更しても良い。
【0078】
このように、遮光部4としての空隙を設けることにより、ライトガイド14の端面14b及びその先端部から媒体面Xに照射される照射光は全てライトガイド内で少なくとも一度は反射された間接光となり、ライトガイド14内で拡散反射された光をドットパターンに照射させることができる。また、ノーズ部1の中空部側に位置する遮光部4を隔成する面に鏡面処理を施して、光源からの照射光を無駄なく反射させるようにしても良い。
【0079】
さらに、遮光部4を構成する遮光穴内に、図16左図に示すように、光を遮断する部材からなる遮光板4aを挿入しても良い。また、遮光板4aの代わりに図16右図に示すように、遮光穴自体の内面に鏡面処理15aを施しても良い。
【0080】
また、遮光部4の穴形状として図16ではその空間が円柱形状のものを図示したが、図17に示すようにその空間が立方体形状となるものであっても良い。同図左図は立方体形状の穴の一側面に遮光板4aを挿入した構造、同図右図は立方体形状の穴の4側面に鏡面処理15aを施したものを示している。
【0081】
なお、前記遮光部4を備えたドットパターン読取ユニット30Cは、遮光部4によって遮断された分の光量が減衰するため、十分な光量を得られないおそれがある。このような場合には、LED3からの照射光を遮断せず十分に活用するために、LED3の照射方向を調整し、出来るだけ遮光部4に照射させる光を少なくすることが望ましい。例えば、LED3を外周方向に向けて照射させることにより、遮光部4に照射される光量を少なくできるとともに、ライトガイド14内部を周方向に進行させて中空部を挟んだ反対側のライトガイド先端部まで透過させることができる。従って、ライトガイドの端面14bからの照射光の光量を増やすことができ、少ない光量であっても効率良くドットパターンを照射することが可能となる。
【0082】
次に、ハイライトを防ぐ方法としては、ライトガイド14自体に鏡面処理を施す方法が挙げられる。図18は、ライトガイド14の外周面14dに鏡面処理を施したドットパターン読取ユニット30Dであり、図19は、ライトガイド14の外周面14dと中空部面14cにおいて、ライトガイド内方に向かって鏡面処理を施したドットパターン読取ユニット30Eである。ライトガイド14の外周面14dに鏡面処理を施すことにより、LED3から照射された光はライトガイド14の外周面14dから外に透過しない。そのため、LED3からの直接照射光がライトガイド先端部を透過して媒体面Xに照射されないため、前記直接照射光の媒体面での反射光がレンズに入射されることにより生じるハイライトを防ぐことができる。
【0083】
なお、鏡面処理を施す箇所は、撮影箇所となるライトガイド14の先端部分のみでも良いが、精度上どの部分まで鏡面処理を施すかの判断が困難である。また、一部に鏡面処理を施すことと全体に鏡面処理を施すことの作業の手間は若干の差異であり、コストも殆ど変わらないため、全体に施すことが望ましい。さらに、ライトガイド14の外周面14d全体に鏡面処理を施すことにより、LED3からの光の照射角が臨界角に対して小さい場合においても完全反射できるため、多量の光をライトガイド14の端面14bから照射させることができ、媒体面Xに照射する光量の増やすことができる。
【0084】
また、ライトガイドの中空部面14cにもライトガイド内方に向かって鏡面処理を施すことにより、ライトガイド14の中空部に透過する光も遮断することができ、ライトガイド14内部の大部分の光を端面14bに集光し、媒体面Xに照射することが可能となる。このようにライトガイド14の外周面14dと中空部面14cに鏡面処理を施す際は、ライトガイド14の端面14bを残して外周面14dと中空部面14cに鏡面処理を施しても良いが、施工効率等を考慮し、ライトガイド14全体に鏡面処理を施した後、端面14bとLED3の埋め込み部分を加工する方法が効率も良く好適である。
【0085】
加えて、ハイライトを防ぐ方法としては、ライトガイド14の外周14dを覆う外枠部材を設ける方法が挙げられる。図20は、ライトガイド14の外周面14dに外枠部材6(カバー)を設けたドットパターン読取ユニット30Fである。外枠部材6を設けることにより、ライトガイド14の外周面14dに鏡面処理を施した場合と同様にライトガイド14の外周面14dから外に光が透過することを防止することができる。さらに、外枠部材6を設けることにより、ライトガイド14自体を保護することができる。加えて、例えば、読取装置本体と同一の材質を用いることにより、読取装置全体として一体感が生じ、意匠的にも優れた読取装置となる。
【0086】
上述のように、ハイライトを防ぐ方法としては、種々の方法があり、実施形態を例示して説明したが、本発明は、これら実施形態に限られるものではなく、可能な限りこれらの組み合わせをも含むものである。
【0087】
次に、ライトガイド14を用いた技術において、ライトガイド14の内側面14cをどのように形成すべきかについて、図21を用いて説明する。
15同図において、Qとは、鉛直方向においてレンズ2の焦点距離の合う限界面であり、鉛直方向におけるQ面とライトガイド14との距離は鉛直方向撮影可能範囲hである。Q面上でレンズ2の中心K1とLED3の中心K2との中間点をQcとして、QcとLED3の中心K2を結んだ直線とライトガイド14の中空部面14cとの交差点をPとする。このようにして、点Pを求め、ライトガイド14の中空部面14cをPから鉛直方向に立ち上がる形状にする。
【0088】
このようにライトガイド14の中空部面14cを形成することにより、鉛直方向撮影可能範囲h内の最大値において媒体面Xで直接反射する場合であっても、その反射光がレンズ2に入射することによるハイライトは、撮影すべきドットパターンの周辺に発生しているだけであるため、ドットパターンの読取りが可能となる。すなわち、前記構成により、レンズ2の焦点が合うh未満の距離でドットパターンを読み取る場合には、撮影すべき媒体面Xの内側で直接反射する光は無くなり、ハイライトが生じなくなる。
【0089】
次に、スイッチ機構を設けたドットパターン読取ユニットの実施形態を説明する。
図22に示すドットパターン読取ユニット30Hは、レンズ2と同一面上であり、ライトガイド14と当接部分に配置されたスイッチ8と、ライトガイド14の中空部に嵌合する弾性部材としてのスプリング7と、ライトガイド14をスプリング7の弾性力に抗して支持する外枠部材6と、を有している。スイッチ機構等は、前述したノーズ部を備えた読取ユニットと同様であるため説明は省略する。ライトガイド14が媒体面Xと接触し、後退することによりスイッチ8が操作され、LED3が点灯、消灯し、撮像・解析が行われる。なお、LED3からの照射光をより効率的にライトガイド14内に導くために、図23に示すように、LED3の照射先端部をライトガイド14内に突出させた構成としても良い。同図に示した構造とすることにより、LED3の照射光がより多くライトガイド14内に導かれるため、開口部からの照射効率を高めることができる。
【0090】
図24は、このようなドットパターン読取ユニット30Gに用いられるライトガイドの構造を示した斜視図である。
同図に示すようにライトガイド14は、ライトガイド14の基端面(図で上端面)に凹凸が設けられている(図24参照)。この凹部に前記LED3の照射先端部が入り込む構造となっている。
【0091】
また、前記スイッチ8を設けたドットパターン読取ユニットにおいて、弾性部材としてリングラバーを用いた場合には、LED3の配置がリングラバーの内側となり、ライトガイド14内に入射せずライトガイド14の外に漏れる照射光が多くなるおそれがある。そのため、リングラバーを用いる場合には、LED3からの照射光をライトガイド14の外周面14dで反射させるために鏡面処理を施したり、外に透過する光を遮断するための外枠部材6を設けることが望ましい。
【0092】
加えて、前記ライトガイド14は透明樹脂製であり、レンズ2と同一の材質を用いることによりレンズ2と一体化させて形成することができる。図25は、ライトガイド14とレンズ2を一体化させて形成したドットパターン読取ユニット30Iである。レンズ2とライトガイド14を一体化して形成することにより、作業の効率が向上するとともに、レンズ2とライトガイド14の位置関係を正確に保つことが可能となり、組立時の誤差による焦点のずれを防止することが可能となる。ちなみに、図25において、ライトガイド14内には遮光部4(遮光溝)が設けられているが、このような遮光部4を設けた構造も前記一体成形で得ることができる。
【0093】
以上、本実施形態で説明したドットパターン読取ユニットは、単体で構成しても良いし、ペン型読取装置の先端に取り付けても良い。また、ドットパターン読取ユニットは携帯電話端末に外部接続端子に装着できるようにしても良い。さらに、ドットパターン読取ユニットは携帯電話端末に内蔵しても良い。
【0094】
次いで、ドットパターンに対応した情報を再生するために該ドットパターンをカメラ5で光学的に読み取るドットパターン読取ユニットを備えたマウスの実施形態を説明する。
図26及び27に示したマウス40Aは、ドットパターンが形成された媒体面Xに対して光を照射する照射光源としてのLED3と、ドットパターンからの反射光を入射させるためのレンズ2と、LED3からの照射光及び媒体面Xからの反射光の出入口となる開口部41cが形成されたマウス本体41と、開口部41cからドットパターンが形成された媒体面Xの読取点42Aを照射するポインタ光源42と、LED3の照射方向前方に配置され、内部が導光路として機能するライトガイド14と、CCDカメラ16(CMOSカメラでも良い)と、を備え、ポインタ光源42からのポインタ光を媒体面Xに照射しつつ、LED3の照射光をドットパターンに照射し、その照射光の反射光によりドットパターンを読み取る。なお、LED3、レンズ2、ライトガイド14及びドットパターンを読み取る機構については、前述のドットパターン読取ユニットと同様であるため同符号を用いて説明を省略する。また、開口部41cにはガラス板又は透明樹脂板からなるキャップ部材17を取り付けてマウス内部への塵挨の侵入を防止するようにしても良い。
【0095】
前記ポインタ光源42によって媒体面Xの読取点42Aが照射されるため、読取可能なドットパターンの位置を正確に認識することができ、読み取るべきドットパターンに対して適切にマウス40Aを操作することが可能となる。なお、マウス40Aは、マウス本体41の外周面に読取機能を作動させるスイッチ43を備えおき、必要なときのみ読取機能を作動させることができる。このとき、前記スイッチ43の操作により通常のマウス機能を停止させることができ、左右のマウスボタン401a,401bのいずれかを撮影ボタンとして読取機能を作動させても良い。
また、読取機能を作動させるスイッチ43を特に設けなくても、例えば左右のマウスボタン(401a,401b)を同時に押した場合に読取機能が作動するようにしても良い。
【0096】
次に、図28に示した変形例のマウス40Bを説明する。
このマウス40Bは、前記LED3からの照射光及び媒体面Xからの反射光の出入口となる開口部41cが形成され、媒体面Xと当接するマウス本体41を備え、マウス本体41の媒体面と当接する底面には、マウス本体41より延出する延出部41aが設けられており、この延出部41aには、媒体面Xを視認可能な穴部41bが形成され、この穴部41bを介して媒体面Xのドットパターンに光を照射し、該ドットパターンを読み取ることができる。
【0097】
このマウス40Bは、詳細な構造の説明は省略するが、前記LED3からの照射光をガイドするライトガイド14の延出部41aが設けられており、この延出部41aには、媒体面Xを視認可能な穴部41bが形成され、この穴部41bを介して媒体面Xのドットパターンに光を照射し、該ドットパターンを読み取ることができる。
【0098】
このマウス40Bによれば、前記延出部41aの穴部41bから視認可能な箇所以外のドットパターンを読み込むおそれがないため、必要な箇所のドットパターンを正確に読み取ることができる。なお、前記延出部41aは、種々の材質を用いることができるが、例えば、透明の材質とすることにより、延出部41aを通して媒体面Xを視認しやすいとともに、穴部41b周辺からも照射光が媒体面Xに照射されるため多くの照射光が照射され、光量を確保することできる。更に、延出部41aとライトガイドを一体化させることにより、光量を多くし、より均一に媒体面Xを照射できる。また、前記延出部41aに、インクユニットを設けることにより、ドットパターンの読取だけでなく、ドットパターンの解析結果やコンピュータ情報を記すことができる。
【0099】
また、この延出部41aには、前記穴部41bの代わりに、図29に示すような読取位置を示す十字状のマーク41dを設けても良い。このマークは赤外線を透過するインク(ノーカーボンインク)を用いて十字形状に塗布することにより形成されている。そして、このマークは延出部41aの上面側又は下面側に設けられている。このように形成することにより、該マークは撮像時の焦点距離からずれた位置となるため、撮像に影響を与えることがなく、目視可能なマークを設けることが可能となる。
【0100】
図30は、図27で説明したマウス40Aの内部構造の変形例を示したものである。
同図において、 撮像素子であるCCDカメラ(CMOSカメラでも良い)はマウス本体を構成する底板上に設けられており、上部に設けられた鏡面反射板402に対してその撮影光軸を立設した状態で配置されている。
前記鏡面反射板402の側部にはLED3とポインタ光源42とが配置されている。このような構造は、読取ユニットが装着されるマウスの高さ(厚さ)を低く(薄く)したい場合に有効である。また、レンズから撮影面までの距離を長くすることにより焦点の合う奥行きを深くすることにより、平滑でない凹凸のある媒体面を撮像する際でも焦点が合うようにしたい場合に有効である。
【0101】
なお、以上の説明においては、通常の印刷に用いるインクと、ドットパターンの印刷に用いるインク(黒色)の特性を変更して、ドットパターンについては赤外線を吸収・反射するいずれかの特性をもったインクで印刷し、赤外線フィルターを用いてドットパターンのみを読み取ることを前提に説明したが、かならずしもこのような印刷手法を用いなくてもよい。
たとえば、通常の印刷はシアン(青系)、マゼンダ(赤系)、イエロー(黄系)のインクで行い、印刷としての黒色はこの3色を合成して黒の近似色で印刷する。そして、ドットパターンのみブラック(黒色:墨色)を用いて印刷する。
【0102】
このように、黒色のインクをドットパターンの印刷のみに使用することとすれば、ドットパターンの印刷時のみに特性の異なるインクに変更する必要がなくなり、ドットパターンに対して通常の可視光線を照射しても、色分解処理を行うことによりドットパターンの黒色のみを検出することが可能となる。
【0103】
この場合、本発明で説明したドットパターン読取ユニットについても、さらに簡易な構造で実現することができる。これを示したものが図31である。
同図に示したドットパターン読取ユニット30Jは、その先端に透光性材料で構成された外枠部材6が取り付けられている簡易な構造であり、LEDも偏光フィルタも有していない。
このような構造において、外枠部材6は透光性材料であるため、外光が内部空間に入り込み、開口部から媒体の読取面を照射する。レンズ2は、このように外光に照射された媒体面を読み取り、図示しない内部回路により色分解処理を行いブラック(黒色)の印刷、すなわちドットパターンのみを読み取る。
このとき、この実施例では媒体面(印刷面)上において、黒色はドットパターンにしか用いられていないため、外光等の自然光または屋内照明等で照射された媒体面からの反射光のうち黒色のみを検出すればドットパターンの読み取りが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
以上説明したように、本発明は、ドットパターンを光学的に読み取るドットパターン読取技術であって、ドットパターンを形成した書籍、絵本等の出版分野、写真シール、入力用にドットパターンを形成したシール、ゲーム用のボード、フィギュア、ぬいぐるみ等のキャラクタ商品等の玩具コンピュータ分野、パーソナルコンピュータ、セットトップボックス、テレビ等のモニタ画面のタッチパネル、偽造防止やトレースのためのセキュリティ分野、単体スキャナとしての電子機器、ボイスレコーダ、携帯端末等のコンピュータ分野に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】遮光部を設けたドットパターン読取ユニットの内部構造を示す説明図である(鉛直設置時)。
【図2】媒体面Xに対する照射光の反射状態を示す説明図である(傾斜設置時)。
【図3】ノーズ部の中空部をテーパ状に形成したドットパターン読取ユニットの内部構造を示す説明図である。
【図4】スイッチ機構を設けたドットパターン読取ユニットの内部構造を示す説明図(1)である。
【図5】スイッチ機構を設けたドットパターン読取ユニットの内部構造を示す説明図(2)である。
【図6】ドットパターン読取ユニットの内部構造を示す説明図(3)である。
【図7】ドットパターン読取ユニットの内部構造を示す説明図(4)である。
【図8】スイッチ機構を設けたドットパターン読取ユニッの内部構造を示す説明図(5)である。
【図9】スイッチ機構及びインクユニットを備えたドットパターン読取ユニットの内部構造を示す説明図である。
【図10】ペンを装着したドットパターン読取ユニットの内部構造を示す説明図である。
【図11】図10のドットパターン読取ユニットにスイッチ機構を設けた図である。
【図12】ドットパターン読取ユニットの照射光経路の説明図である。
【図13】ライトガイドを備えたドットパターン読取ユニットの内部構造を示す説明図である。
【図14】図13に示したドットパターン読取ユニットに用いられるライトガイドの斜視図である。
【図15】ドットパターン読取ユニット内での照射光の照射状態を示す説明図である。
【図16】遮光部4の構造の一例を示す斜視図である(筒体)。
【図17】遮光部4の構造の一例を示す斜視図である(直方体)。
【図18】ライトガイドに鏡面処理を施したドットパターン読取ユニットの照射光の反射状態を示す説明図(1)である。
【図19】ライトガイドに鏡面処理を施したドットパターン読取ユニットの照射光の反射状態を示す説明図(2)である。
【図20】外枠部材6を備えたドットパターン読取ユニットの照射光の反射状態を示す説明図である。
【図21】ライトガイドの形状と照射光との関係を示した図である。
【図22】スイッチ機構を備えたドットパターン読取ユニットを示す説明図(1)である。
【図23】スイッチ機構を備えたドットパターン読取ユニットを示す説明図(2)である。
【図24】回転止めを形成したライトガイドの斜視図である。
【図25】レンズとライトガイドを一体形成したドットパターン読取ユニットを示す説明図である。
【図26】ドットパターン読取ユニットを備えたマウスの平面図(1)である。
【図27】図27のマウスの内部構造を説明するためのA−A断面図である。
【図28】ドットパターン読取ユニットを備えたマウスの平面図(2)である。
【図29】ドットパターン読取ユニットを備えたマウスの平面図(3)である
【図30】ドットパターン読取ユニットを備えた他のマウスの内部構造を説明するための断面図である。
【図31】ドットパターン読取ユニットの変形例を示す図である。
【図32】従来のドットパターン読取装置の構成図である。
【符号の説明】
【0106】
1 ノーズ部
1a,14a,41c 開口部
2,103 レンズ
3 LED
4 遮光部
5 C−MOSカメラ
6 外枠部材
7 スプリング
8 スイッチ
9 リングラバー
10a 内ノーズ部
10b 外ノーズ部
11 インク
12 捺印部
13 ペン
14 ライトガイド
14b 端面
14c 中空部面
15a 鏡面処理
16 CCDカメラ
17 キャップ部材
20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20H,20I,30A,30B,30C,30D,30E,30F,30G,30H,30I,30J ドットパターン読取ユニット
40A,40B,40C マウス
41 マウス本体
41a 延出部
41b 穴部
41d マーク
42 ポインタ光源
42A 読取点
43 スイッチ
100 読取装置
101 光源
102 第1の偏光フィルタ
104 第2の偏光フィルタ
401a,401b マウスボタン
402 鏡面反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体面に形成されたドットパターンに対応した情報を再生するために、該ドットパターンを光学的に読み取るドットパターン読取ユニットを備えたマウスであって、
前記ドットパターンが形成された媒体面に対して光を照射する照射光源と、
前記ドットパターンからの反射光が入射するレンズと、
前記照射光源からの照射光及び媒体面からの反射光の出入口となる開口部が形成され、媒体面と当接するマウス本体と、を備え、
前記マウス本体の媒体面と当接する底面には、マウス本体より延出する延出部が設けられており、
前記延出部には、前記媒体面を視認可能な穴部が形成され、この穴部を介して媒体面のドットパターンに光を照射し、該ドットパターンを読み取ることを特徴とするドットパターン読取ユニットを備えたマウス。
【請求項2】
媒体面に形成されたドットパターンに対応した情報を再生するために、該ドットパターンを光学的に読み取るドットパターン読取ユニットを備えたマウスであって、
前記ドットパターンが形成された媒体面に対して光を照射する照射光源と、
前記ドットパターンからの反射光が入射するレンズと、
前記照射光源からの照射光及び媒体面からの反射光の出入口となる開口部が形成されたマウス本体と、
前記開口部からドットパターンが形成された媒体面の読取点を照射するポインタ光源と、を備え、
前記ポインタ光源からのポインタ光を媒体面に照射しつつ、前記照射光源の照射光を前記ドットパターンに照射し、その照射光の反射光により前記ドットパターンを読み取ることを特徴とするドットパターン読取ユニットを備えたマウス。
【請求項3】
前記照射光源の照射方向前方に配置され、内部が導光路として機能するライトガイドを備え、
前記照射光源からの照射光は、前記ライトガイドの内部を透過し、ドットパターンに対して照射されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のドットパターン読取ユニットを備えたマウス。
【請求項4】
前記マウス本体には、捺印可能なインクユニットが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のドットパターン読取ユニットを備えたマウス。
【請求項5】
前記延出部にはドットパターンの読取位置を示すマークが設けられている請求項1から請求項4のいずれかに記載のドットパターン読取ユニットを備えたマウス。
【請求項6】
前記マークは前記延出部の表面にノンカーボンインクを塗布することにより設けられている請求項5記載のドットパターン読取ユニットを備えたマウス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2007−213612(P2007−213612A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121023(P2007−121023)
【出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【分割の表示】特願2006−513659(P2006−513659)の分割
【原出願日】平成16年5月24日(2004.5.24)
【出願人】(503349741)
【Fターム(参考)】