ドット構造体、磁気記録媒体およびそれらの製造方法
【課題】結晶性の良いドット構造体および、パターンドメディアを用いた磁気記録媒体において、結晶性の良い磁気記録ビットを形成し、高機能、高信頼の磁気記録装置を提供する。
【解決手段】連続的な第1の層と離散的な第2の層を有するドット構造体において、結晶構造を有する薄膜上にフォトレジストを用いて溝部を形成し、その溝部に前記薄膜の材料と同じ材料をエピタキシャル成長により埋め込んで第1の層を形成し、前記フォトレジストを除去することにより形成された溝部に前記薄膜の材料と異なる材料をエピタキシャル成長により埋め込んで第2の層を形成する。磁気記録媒体においては、下地層上にフォトレジストを用いて溝部を形成し、その溝部に下地層材料と同じ膜をエピタキシャル成長により埋め込む。その後、溶液中でフォトレジストを取り除くことで形成された溝部に記録層の磁性膜をエピタキシャル成長により埋め込む。
【解決手段】連続的な第1の層と離散的な第2の層を有するドット構造体において、結晶構造を有する薄膜上にフォトレジストを用いて溝部を形成し、その溝部に前記薄膜の材料と同じ材料をエピタキシャル成長により埋め込んで第1の層を形成し、前記フォトレジストを除去することにより形成された溝部に前記薄膜の材料と異なる材料をエピタキシャル成長により埋め込んで第2の層を形成する。磁気記録媒体においては、下地層上にフォトレジストを用いて溝部を形成し、その溝部に下地層材料と同じ膜をエピタキシャル成長により埋め込む。その後、溶液中でフォトレジストを取り除くことで形成された溝部に記録層の磁性膜をエピタキシャル成長により埋め込む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドット構造体、ドット構造を有する磁気記録媒体およびそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HDD等の磁気記録装置の高速、大容量、低コスト化には記録媒体における記録密度の向上が不可欠である。HDDは記録層となる磁性薄膜上の磁性粒子の磁化状態をデータのビット情報として用いる装置であるが、高記録密度化のためには磁性粒子を縮小する必要がある。しかし、従来の水平磁気記録媒体では磁性粒子を縮小しすぎると熱的安定性が大きく低下し、記録された磁化の方向が乱れて、記録された情報が消失してしまうため、磁性粒子の縮小化には限界があり、また、現在その限界に近づいていると考えられている。
【0003】
この問題を解決するため、近年、垂直磁気記録方式を用いた媒体が開発されている(例えば、非特許文献1参照)。垂直磁気記録媒体は熱揺らぎに強く、ビット間隔をより小さくできるため、これにより水平磁気記録媒体での磁性粒子の縮小化限界を超えた高密度化が可能となる見込みである。しかし、現在の垂直磁気記録媒体の記録膜は、従来の水平磁気記録媒体と同様に磁性薄膜であり、磁性粒子はサイズ、形状が不規則になっている。そのため、ビット間のばらつきや、再生信号にノイズが生じる問題は依然として存在する。
【0004】
この問題を解決するために、パターンドメディアと呼ばれる磁気記録媒体が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。これは、微細加工により記録層の磁性粒子のサイズ、形状を揃えて、磁性粒子をドット状にしてディスク上に形成したものであり、上記の問題を解決するのに有効である。一方、磁気記録媒体における記録層の磁性膜は、磁化容易軸を基板面に対して水平あるいは垂直に配向させるために、結晶性の良い状態で形成されることが不可欠である。そのためには、記録膜と同様に、記録膜の下地膜の結晶性も良いことが重要である。したがって、磁気記録媒体の記録膜の磁性粒子をドット状に形成するパターンドメディアにおいては、ドット構造形成時において、エッチング、金型を用いるインプリント等による機械的ダメージ等、記録膜、下地膜の結晶性が低下するようなプロセスは極力回避する必要がある。
【0005】
【非特許文献1】細江譲:「磁気記録媒体」、第28回応用磁気学会サマースクール「応用磁気の基礎」(2004.7.13−15)、第1−13頁
【非特許文献2】S. Y. Chou et al.: J. Appl. Phys. 76, 6673 (1994)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、結晶構造を有する連続的な第1の層に対して第2の層が離散的に配置されているドット構造体において、第1の層および第2の層がいずれも結晶性の良いドット構造体を提供すること、および、パターンドメディアを用いた磁気記録媒体において、記録膜、下地膜ともに結晶性の良い磁気記録媒体とその製造方法を提供し、高機能、高信頼の磁気記録装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、連続的な第1の層に対して離散的な第2の層が配置されているドット構造体において、前記第1の層が、結晶構造を有する薄膜と、前記薄膜上にフォトレジストを用いて形成された1つあるいは複数の溝部に前記薄膜の材料と同じ材料が埋め込まれて一体に形成された構造を有し、前記フォトレジストを除去することにより形成された溝部に前記薄膜の材料と異なる材料が埋め込まれて前記第2の層が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明は、連続的な第1の層に対して離散的な第2の層が配置されたドット構造体の製造方法において、結晶構造を有する薄膜の上にフォトレジストを用いて1つあるいは複数の溝部を形成し、前記溝部に前記薄膜の材料と同じ材料を埋め込んで前記第1の層を形成し、前記フォトレジストを除去することにより形成した溝部に前記薄膜の材料と異なる材料を埋め込んで離散的な前記第2の層を形成したことを特徴とする。
【0009】
本発明は、基板上に下地層を有し、前記下地層上にフォトレジストを用いて形成した1つあるいは複数の溝部に前記下地層の材料と同じ材料が埋め込まれ、前記フォトレジストを除去することにより形成された溝部に記録層の磁性膜が埋め込まれていることを特徴とする磁気記録媒体にある。
【0010】
本発明は、基板上に下地層を有し、前記下地層上にフォトレジストを用いて1つあるいは複数の溝部を形成し、前記溝部に前記下地層の材料と同じ材料を埋め込んだ後に、前記フォトレジストを除去することにより形成した溝部に記録層の磁性膜を埋め込んで製造することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法にある。
【0011】
また、本発明は、基板上に軟磁性層を有し、前記軟磁性層上に下地層を有し、前記下地層上にフォトレジストを用いて形成された1つあるいは複数の溝部に前記下地層の材料と同じ材料が埋め込まれ、前記フォトレジストを除去することにより形成された溝部に記録層の磁性膜が埋め込まれていることを特徴とする磁気記録媒体にある。
【0012】
また、本発明は、基板上に軟磁性層を形成し、前記軟磁性層上に下地層を形成し、前記下地層上にフォトレジストを用いて1つあるいは複数の溝部を形成し、前記溝部に前記下地層の材料と同じ材料を埋め込み、前記フォトレジストを除去することにより形成した溝部に記録層の磁性膜を埋め込んで製造することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法にある。
【0013】
本発明において、ドット構造体とは連続的な第1の層に対して離散的な第2の層が配置されているものをいう。本発明の磁気記録媒体において、記録層の下部にある下地層がこの第1の層に当たり、記録層の磁性膜が第2の層に当たる。
【0014】
本発明のドット構造体において第1の層にフォトレジストを用いて形成した溝部、あるいは本発明の磁気記録媒体において下地層にフォトレジストを用いて形成した溝部には、エピタキシャル成長により第1の層あるいは下地層と同じ材料を埋め込むことが好ましい。
【0015】
また、フォトレジストを溶液中で取り除いて溝部を形成し、その溝部に第2の層あるいは記録層材料をエピタキシャル成長により埋め込むことが好ましい。
【0016】
本発明の発明者は磁気記録媒体における材料構成、製造方法を再検討し、下地層上にフォトレジストを用いて溝部を形成し、その溝部に下地層材料と同じ膜をエピタキシャル成長により埋め込み、溶液中でフォトレジストを取り除くことで形成された溝部に、最後に記録層の磁性膜をエピタキシャル成長により埋め込んで形成することで、記録層の磁性膜、下地層ともに結晶性が良く、高機能、高信頼の磁気記録媒体を提供できることを見出した。
【0017】
この際、下地層の材料は、記録層に用いられる磁性元素のFe,Co,Ni等よりも最密面原子間距離、ヤング率ともに大きく、水平磁気記録媒体においては体心立方構造を有するCr、W、Mo等を含む材料を用い、垂直磁気記録媒体においては六方最密構造を有するRu、Os、Re等を含む材料を用いることが好ましい。これにより、磁性層が引張ひずみ状態となり、磁性原子の磁気モーメントが無ひずみ状態、圧縮ひずみ状態と比べて増大し、記録層の熱的安定性が向上し、再生信号が増大する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、結晶性が良く、熱的安定性に優れ、磁気記録ビットのばらつきの少ない磁気記録媒体およびドット構造体の製造が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図1から図15を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は本実施例における磁気記録媒体の断面図である。基板1上に下地層2を有し、下地層2上にドット状に記録層3が形成されている。この際、ドット状の記録層3は、下地層2上にフォトレジストを用いて溝部を形成し、その溝部に下地層材料と同じ膜を埋め込み、最後に記録層3の磁性膜を埋め込んで形成されることが望ましい。これにより、下地膜、磁性膜ともに機械的なダメージが少なく、結晶性の良好な膜となる。
【0021】
基板1は例えばガラス基板、アルミニウム基板、アルミニウム合金基板等である。記録層3はCoCrPtやCoCrPt−SiO2等のように、磁性合金、あるいは磁性合金と酸化物等のグラニュラー膜、あるいはこれらに添加元素を加えた材料等からなる。また、下地層2はCr、W、Mo等を含み、体心立方構造を有し、記録層の磁性元素のCo等よりも最密面原子間距離、ヤング率ともに大きい材料からなることが好ましい。また、記録層の磁性原子の磁化容易軸が基板に対して水平方向に配向し、さらに磁性層が引張ひずみ状態となることで、磁性原子の磁気モーメントが無ひずみ状態、圧縮ひずみ状態と比べて増大していることが好ましい。
【0022】
また、本実施例における磁気記録媒体は図2に示すように、基板1上にシード層4を有し、シード層4上に下地層2を有し、下地層2上にドット状に記録層3が形成されていても良い。この場合、シード層が無い場合に比べて下地層の体心立方構造の(100)面が基板に平行に成長しやすくなり、下地層上の磁性層の磁性原子の磁化容易軸も基板に対して水平方向に配向しやすくなる。シード層4はNi−P等のNi合金からなる。
【0023】
また、図3に示すように、基板1上にシード層4を有し、シード層4上に下地層5を有し、下地層5上に磁性材料からなる記録磁化安定化層6を有し、記録磁化安定化層6上に下地層2を有していても良い。この場合、下地層2は磁気結合層の役割も担い、記録磁化安定化層6の磁気モーメントと記録層3の磁気モーメントが反強磁性結合することで、より熱的安定性に優れた磁気記録媒体とすることが可能となる。また、下地層5上に記録磁化安定化層と非磁性の磁気結合層を交互に複数層有していても良い。
【0024】
次に、本実施例の磁気記録媒体の製造方法の1例について説明する。ここでは、図2の構造の磁気記録媒体の製造方法を図4〜7を用いて説明する。
【0025】
まず、図4に示すように、基板上1上にめっき法、スパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等によりシード層4を形成する。その後、エピタキシャル成長により下地層7を形成し、パターニング用のフォトレジスト8を塗布する。
【0026】
その後、図5に示すように、リソグラフィー、現像により溝部を形成する。
【0027】
次に、図6に示すように、下地層7と同じ材料をエピタキシャル成長により前記溝部に埋め込む。これにより、下地層7の材料と溝部に埋め込まれた材料とが一体になり、下地層2が形成される。
【0028】
その後、フォトレジスト8とフォトレジスト上に堆積した下地層材料9を、アセトン等の溶液中に浸すことで同時に取り除き、図7のように磁性材料埋め込み用溝部10を形成する。
【0029】
その後、磁性材料埋め込み用溝部10に磁性層を埋め込み、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等による平坦化処理により、図2に示す磁気記録媒体が製造される。
【0030】
なお、実際の製造プロセスでは、この後、図2の媒体上に炭素等を含む保護膜を形成し、保護膜上に潤滑材を塗布するが、ここでは省略している。
【0031】
以上により、記録層、下地層ともに結晶性が良く、熱的安定性に優れ、磁気記録ビットのばらつきの少ない磁気記録媒体が製造される。
【実施例2】
【0032】
図8は本実施例における磁気記録媒体の断面図である。基板100上に軟磁性層11を有し、軟磁性層11上に下地層12、下地層12上にドット状に記録層13が形成されている。この際、ドット状の記録層13は、下地層12上にフォトレジストを用いて溝部を形成し、その溝部に下地層材料と同じ膜を埋め込み、最後に記録層の磁性膜を埋め込んで形成されることが望ましい。これにより、下地膜、磁性膜ともに機械的なダメージが少なく、結晶性の良好な膜となる。
【0033】
基板100は例えばガラス基板、アルミニウム基板、アルミニウム合金基板等からなる。軟磁性層11はNiFe、FeTaC、CoTaZr等のように、鉄合金、ニッケル合金、コバルト合金等からなる。また、記録層13はCoCrPt、CoCrPt−SiO2等のように、磁性合金、磁性合金と酸化物等のグラニュラー膜、あるいはこれらに添加元素を加えた材料等からなる。また、下地層12はRu、Os、Re等を含み、六方最密構造を有し、記録層の磁性元素のCo等よりも最密面原子間距離、ヤング率ともに大きい材料からなることが好ましい。また、記録層の磁性原子の磁化容易軸が基板に対して垂直方向に配向し、さらに磁性層が引張ひずみ状態となることで、磁性原子の磁気モーメントが無ひずみ状態、圧縮ひずみ状態と比べて増大していることが好ましい。
【0034】
また、本実施例における磁気記録媒体は図9に示すように、基板100上にプリコート層14、プリコート層14上に軟磁性層11を有し、軟磁性層11上に下地層12を有し、下地層12上にドット状に記録層13が形成されていても良い。
【0035】
プリコート層14は基板100がガラス基板の場合にはNiTa、NiTaZr等の合金からなることが好ましく、基板100がアルミニウム基板、アルミニウム合金基板の場合には、基板材料と組成の異なるアルミニウム合金等からなることが好ましい。この場合には、プリコート層が無い場合に比べて、基板100との密着性が向上する。
【0036】
あるいは、図10に示すように、基板100上にプリコート層14、プリコート層14上に第一の軟磁性層15を有し、第一の軟磁性層15上に磁気結合層16を有し、磁気結合層16上に第二の軟磁性層17を有し、第二の軟磁性層17上に下地層12を有し、下地層12上にドット状に記録層13が形成されていても良い。
【0037】
この場合には、第一の軟磁性層15の磁気モーメントと第二の軟磁性層17の磁気モーメントが反強磁性結合することで、これらの軟磁性層からの磁気ノイズを低減することが可能となる。
【0038】
磁気結合層16はRu、Os、Re等を含む非磁性材料からなる。また、プリコート層14上に軟磁性層と磁気結合層を交互に複数層有していても良い。
【0039】
さらに、図11に示すように、第二の軟磁性層17上に下地層18を形成し、下地層18上に磁性材料からなる記録磁化安定化層19を有していても良い。この場合、記録磁化安定化層19上の下地層12は磁気結合層の役割も担い、記録磁化安定化層19の磁気モーメントと記録層3の磁気モーメントが反強磁性結合することで、より熱的安定性に優れた磁気記録媒体とすることが可能となる。
【0040】
また、下地層18上に記録磁化安定化層と非磁性の磁気結合層を交互に複数層有していても良い。
【0041】
次に、本実施例の磁気記録媒体の製造方法の1例について説明する。ここでは、図9の構造の磁気記録媒体の製造方法を図12〜15を用いて説明する。
【0042】
まず、基板上100上にめっき法、スパッタ法、CVD法等により、プリコート層14を形成し、プリコート層14上にめっき法、スパッタ法、CVD法等により、軟磁性層11を形成する。
【0043】
その後、エピタキシャル成長により下地層20を形成し、パターニング用のフォトレジスト21を塗布して、図12のようにする。
【0044】
その後、リソグラフィー、現像により、フォトレジスト21の一部を除去して溝部を形成し、図13のようにする。
【0045】
次に、下地層20と同じ材料をエピタキシャル成長により前記溝部に埋め込み、図14に示すようにする。
【0046】
その後、残ったフォトレジスト21とフォトレジスト上に堆積した下地層材料22を、アセトン等の溶液中に浸すことで同時に取り除き、図15に示すように磁性材料埋め込み用溝部23を形成する。
【0047】
その後、磁性材料埋め込み用溝部23に磁性層材料を埋め込み、CMP法等による平坦化処理により図9に示す磁気記録媒体が製造される。
【0048】
なお、実際の製造プロセスでは、この後、図9の媒体上に炭素等を含む保護膜を形成し、保護膜上に潤滑材を塗布するが、ここでは省略している。
【0049】
以上により、結晶性が良く、熱的安定性に優れ、磁気記録ビットのばらつきの少ない磁気記録媒体が製造される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施例1における磁気記録媒体の断面図。
【図2】実施例1における磁気記録媒体の別の例を示す断面図。
【図3】実施例1における磁気記録媒体の他の例を示す断面図。
【図4】図2の構造を有する磁気記録媒体の製造工程の一部を示す説明図。
【図5】図2の構造を有する磁気記録媒体の製造工程の一部を示す説明図。
【図6】図2の構造を有する磁気記録媒体の製造工程の一部を示す説明図。
【図7】図2の構造を有する磁気記録媒体の製造工程の一部を示す説明図。
【図8】実施例2における磁気記録媒体の断面図。
【図9】実施例2における磁気記録媒体の別の例を示す断面図。
【図10】実施例2における磁気記録媒体の他の例を示す断面図。
【図11】実施例2における磁気記録媒体のさらに別の例を示す断面図。
【図12】図9の構造を有する磁気記録媒体の製造工程の一部を示す説明図。
【図13】図9の構造を有する磁気記録媒体の製造工程の一部を示す説明図。
【図14】図9の構造を有する磁気記録媒体の製造工程の一部を示す説明図。
【図15】図9の構造を有する磁気記録媒体の製造工程の一部を示す説明図。
【符号の説明】
【0051】
1,100…基板、2,5,7,12,18,20…下地層、9,22…下地層材料、3,13…記録層、4…シード層、6,19…記録磁化安定化層、8,21…フォトレジスト、10,23…磁性材料埋め込み用溝部、11…軟磁性層、15…第一の軟磁性層、17…第二の軟磁性層、14…プリコート層、16…磁気結合層。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドット構造体、ドット構造を有する磁気記録媒体およびそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HDD等の磁気記録装置の高速、大容量、低コスト化には記録媒体における記録密度の向上が不可欠である。HDDは記録層となる磁性薄膜上の磁性粒子の磁化状態をデータのビット情報として用いる装置であるが、高記録密度化のためには磁性粒子を縮小する必要がある。しかし、従来の水平磁気記録媒体では磁性粒子を縮小しすぎると熱的安定性が大きく低下し、記録された磁化の方向が乱れて、記録された情報が消失してしまうため、磁性粒子の縮小化には限界があり、また、現在その限界に近づいていると考えられている。
【0003】
この問題を解決するため、近年、垂直磁気記録方式を用いた媒体が開発されている(例えば、非特許文献1参照)。垂直磁気記録媒体は熱揺らぎに強く、ビット間隔をより小さくできるため、これにより水平磁気記録媒体での磁性粒子の縮小化限界を超えた高密度化が可能となる見込みである。しかし、現在の垂直磁気記録媒体の記録膜は、従来の水平磁気記録媒体と同様に磁性薄膜であり、磁性粒子はサイズ、形状が不規則になっている。そのため、ビット間のばらつきや、再生信号にノイズが生じる問題は依然として存在する。
【0004】
この問題を解決するために、パターンドメディアと呼ばれる磁気記録媒体が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。これは、微細加工により記録層の磁性粒子のサイズ、形状を揃えて、磁性粒子をドット状にしてディスク上に形成したものであり、上記の問題を解決するのに有効である。一方、磁気記録媒体における記録層の磁性膜は、磁化容易軸を基板面に対して水平あるいは垂直に配向させるために、結晶性の良い状態で形成されることが不可欠である。そのためには、記録膜と同様に、記録膜の下地膜の結晶性も良いことが重要である。したがって、磁気記録媒体の記録膜の磁性粒子をドット状に形成するパターンドメディアにおいては、ドット構造形成時において、エッチング、金型を用いるインプリント等による機械的ダメージ等、記録膜、下地膜の結晶性が低下するようなプロセスは極力回避する必要がある。
【0005】
【非特許文献1】細江譲:「磁気記録媒体」、第28回応用磁気学会サマースクール「応用磁気の基礎」(2004.7.13−15)、第1−13頁
【非特許文献2】S. Y. Chou et al.: J. Appl. Phys. 76, 6673 (1994)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、結晶構造を有する連続的な第1の層に対して第2の層が離散的に配置されているドット構造体において、第1の層および第2の層がいずれも結晶性の良いドット構造体を提供すること、および、パターンドメディアを用いた磁気記録媒体において、記録膜、下地膜ともに結晶性の良い磁気記録媒体とその製造方法を提供し、高機能、高信頼の磁気記録装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、連続的な第1の層に対して離散的な第2の層が配置されているドット構造体において、前記第1の層が、結晶構造を有する薄膜と、前記薄膜上にフォトレジストを用いて形成された1つあるいは複数の溝部に前記薄膜の材料と同じ材料が埋め込まれて一体に形成された構造を有し、前記フォトレジストを除去することにより形成された溝部に前記薄膜の材料と異なる材料が埋め込まれて前記第2の層が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明は、連続的な第1の層に対して離散的な第2の層が配置されたドット構造体の製造方法において、結晶構造を有する薄膜の上にフォトレジストを用いて1つあるいは複数の溝部を形成し、前記溝部に前記薄膜の材料と同じ材料を埋め込んで前記第1の層を形成し、前記フォトレジストを除去することにより形成した溝部に前記薄膜の材料と異なる材料を埋め込んで離散的な前記第2の層を形成したことを特徴とする。
【0009】
本発明は、基板上に下地層を有し、前記下地層上にフォトレジストを用いて形成した1つあるいは複数の溝部に前記下地層の材料と同じ材料が埋め込まれ、前記フォトレジストを除去することにより形成された溝部に記録層の磁性膜が埋め込まれていることを特徴とする磁気記録媒体にある。
【0010】
本発明は、基板上に下地層を有し、前記下地層上にフォトレジストを用いて1つあるいは複数の溝部を形成し、前記溝部に前記下地層の材料と同じ材料を埋め込んだ後に、前記フォトレジストを除去することにより形成した溝部に記録層の磁性膜を埋め込んで製造することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法にある。
【0011】
また、本発明は、基板上に軟磁性層を有し、前記軟磁性層上に下地層を有し、前記下地層上にフォトレジストを用いて形成された1つあるいは複数の溝部に前記下地層の材料と同じ材料が埋め込まれ、前記フォトレジストを除去することにより形成された溝部に記録層の磁性膜が埋め込まれていることを特徴とする磁気記録媒体にある。
【0012】
また、本発明は、基板上に軟磁性層を形成し、前記軟磁性層上に下地層を形成し、前記下地層上にフォトレジストを用いて1つあるいは複数の溝部を形成し、前記溝部に前記下地層の材料と同じ材料を埋め込み、前記フォトレジストを除去することにより形成した溝部に記録層の磁性膜を埋め込んで製造することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法にある。
【0013】
本発明において、ドット構造体とは連続的な第1の層に対して離散的な第2の層が配置されているものをいう。本発明の磁気記録媒体において、記録層の下部にある下地層がこの第1の層に当たり、記録層の磁性膜が第2の層に当たる。
【0014】
本発明のドット構造体において第1の層にフォトレジストを用いて形成した溝部、あるいは本発明の磁気記録媒体において下地層にフォトレジストを用いて形成した溝部には、エピタキシャル成長により第1の層あるいは下地層と同じ材料を埋め込むことが好ましい。
【0015】
また、フォトレジストを溶液中で取り除いて溝部を形成し、その溝部に第2の層あるいは記録層材料をエピタキシャル成長により埋め込むことが好ましい。
【0016】
本発明の発明者は磁気記録媒体における材料構成、製造方法を再検討し、下地層上にフォトレジストを用いて溝部を形成し、その溝部に下地層材料と同じ膜をエピタキシャル成長により埋め込み、溶液中でフォトレジストを取り除くことで形成された溝部に、最後に記録層の磁性膜をエピタキシャル成長により埋め込んで形成することで、記録層の磁性膜、下地層ともに結晶性が良く、高機能、高信頼の磁気記録媒体を提供できることを見出した。
【0017】
この際、下地層の材料は、記録層に用いられる磁性元素のFe,Co,Ni等よりも最密面原子間距離、ヤング率ともに大きく、水平磁気記録媒体においては体心立方構造を有するCr、W、Mo等を含む材料を用い、垂直磁気記録媒体においては六方最密構造を有するRu、Os、Re等を含む材料を用いることが好ましい。これにより、磁性層が引張ひずみ状態となり、磁性原子の磁気モーメントが無ひずみ状態、圧縮ひずみ状態と比べて増大し、記録層の熱的安定性が向上し、再生信号が増大する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、結晶性が良く、熱的安定性に優れ、磁気記録ビットのばらつきの少ない磁気記録媒体およびドット構造体の製造が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図1から図15を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は本実施例における磁気記録媒体の断面図である。基板1上に下地層2を有し、下地層2上にドット状に記録層3が形成されている。この際、ドット状の記録層3は、下地層2上にフォトレジストを用いて溝部を形成し、その溝部に下地層材料と同じ膜を埋め込み、最後に記録層3の磁性膜を埋め込んで形成されることが望ましい。これにより、下地膜、磁性膜ともに機械的なダメージが少なく、結晶性の良好な膜となる。
【0021】
基板1は例えばガラス基板、アルミニウム基板、アルミニウム合金基板等である。記録層3はCoCrPtやCoCrPt−SiO2等のように、磁性合金、あるいは磁性合金と酸化物等のグラニュラー膜、あるいはこれらに添加元素を加えた材料等からなる。また、下地層2はCr、W、Mo等を含み、体心立方構造を有し、記録層の磁性元素のCo等よりも最密面原子間距離、ヤング率ともに大きい材料からなることが好ましい。また、記録層の磁性原子の磁化容易軸が基板に対して水平方向に配向し、さらに磁性層が引張ひずみ状態となることで、磁性原子の磁気モーメントが無ひずみ状態、圧縮ひずみ状態と比べて増大していることが好ましい。
【0022】
また、本実施例における磁気記録媒体は図2に示すように、基板1上にシード層4を有し、シード層4上に下地層2を有し、下地層2上にドット状に記録層3が形成されていても良い。この場合、シード層が無い場合に比べて下地層の体心立方構造の(100)面が基板に平行に成長しやすくなり、下地層上の磁性層の磁性原子の磁化容易軸も基板に対して水平方向に配向しやすくなる。シード層4はNi−P等のNi合金からなる。
【0023】
また、図3に示すように、基板1上にシード層4を有し、シード層4上に下地層5を有し、下地層5上に磁性材料からなる記録磁化安定化層6を有し、記録磁化安定化層6上に下地層2を有していても良い。この場合、下地層2は磁気結合層の役割も担い、記録磁化安定化層6の磁気モーメントと記録層3の磁気モーメントが反強磁性結合することで、より熱的安定性に優れた磁気記録媒体とすることが可能となる。また、下地層5上に記録磁化安定化層と非磁性の磁気結合層を交互に複数層有していても良い。
【0024】
次に、本実施例の磁気記録媒体の製造方法の1例について説明する。ここでは、図2の構造の磁気記録媒体の製造方法を図4〜7を用いて説明する。
【0025】
まず、図4に示すように、基板上1上にめっき法、スパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等によりシード層4を形成する。その後、エピタキシャル成長により下地層7を形成し、パターニング用のフォトレジスト8を塗布する。
【0026】
その後、図5に示すように、リソグラフィー、現像により溝部を形成する。
【0027】
次に、図6に示すように、下地層7と同じ材料をエピタキシャル成長により前記溝部に埋め込む。これにより、下地層7の材料と溝部に埋め込まれた材料とが一体になり、下地層2が形成される。
【0028】
その後、フォトレジスト8とフォトレジスト上に堆積した下地層材料9を、アセトン等の溶液中に浸すことで同時に取り除き、図7のように磁性材料埋め込み用溝部10を形成する。
【0029】
その後、磁性材料埋め込み用溝部10に磁性層を埋め込み、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等による平坦化処理により、図2に示す磁気記録媒体が製造される。
【0030】
なお、実際の製造プロセスでは、この後、図2の媒体上に炭素等を含む保護膜を形成し、保護膜上に潤滑材を塗布するが、ここでは省略している。
【0031】
以上により、記録層、下地層ともに結晶性が良く、熱的安定性に優れ、磁気記録ビットのばらつきの少ない磁気記録媒体が製造される。
【実施例2】
【0032】
図8は本実施例における磁気記録媒体の断面図である。基板100上に軟磁性層11を有し、軟磁性層11上に下地層12、下地層12上にドット状に記録層13が形成されている。この際、ドット状の記録層13は、下地層12上にフォトレジストを用いて溝部を形成し、その溝部に下地層材料と同じ膜を埋め込み、最後に記録層の磁性膜を埋め込んで形成されることが望ましい。これにより、下地膜、磁性膜ともに機械的なダメージが少なく、結晶性の良好な膜となる。
【0033】
基板100は例えばガラス基板、アルミニウム基板、アルミニウム合金基板等からなる。軟磁性層11はNiFe、FeTaC、CoTaZr等のように、鉄合金、ニッケル合金、コバルト合金等からなる。また、記録層13はCoCrPt、CoCrPt−SiO2等のように、磁性合金、磁性合金と酸化物等のグラニュラー膜、あるいはこれらに添加元素を加えた材料等からなる。また、下地層12はRu、Os、Re等を含み、六方最密構造を有し、記録層の磁性元素のCo等よりも最密面原子間距離、ヤング率ともに大きい材料からなることが好ましい。また、記録層の磁性原子の磁化容易軸が基板に対して垂直方向に配向し、さらに磁性層が引張ひずみ状態となることで、磁性原子の磁気モーメントが無ひずみ状態、圧縮ひずみ状態と比べて増大していることが好ましい。
【0034】
また、本実施例における磁気記録媒体は図9に示すように、基板100上にプリコート層14、プリコート層14上に軟磁性層11を有し、軟磁性層11上に下地層12を有し、下地層12上にドット状に記録層13が形成されていても良い。
【0035】
プリコート層14は基板100がガラス基板の場合にはNiTa、NiTaZr等の合金からなることが好ましく、基板100がアルミニウム基板、アルミニウム合金基板の場合には、基板材料と組成の異なるアルミニウム合金等からなることが好ましい。この場合には、プリコート層が無い場合に比べて、基板100との密着性が向上する。
【0036】
あるいは、図10に示すように、基板100上にプリコート層14、プリコート層14上に第一の軟磁性層15を有し、第一の軟磁性層15上に磁気結合層16を有し、磁気結合層16上に第二の軟磁性層17を有し、第二の軟磁性層17上に下地層12を有し、下地層12上にドット状に記録層13が形成されていても良い。
【0037】
この場合には、第一の軟磁性層15の磁気モーメントと第二の軟磁性層17の磁気モーメントが反強磁性結合することで、これらの軟磁性層からの磁気ノイズを低減することが可能となる。
【0038】
磁気結合層16はRu、Os、Re等を含む非磁性材料からなる。また、プリコート層14上に軟磁性層と磁気結合層を交互に複数層有していても良い。
【0039】
さらに、図11に示すように、第二の軟磁性層17上に下地層18を形成し、下地層18上に磁性材料からなる記録磁化安定化層19を有していても良い。この場合、記録磁化安定化層19上の下地層12は磁気結合層の役割も担い、記録磁化安定化層19の磁気モーメントと記録層3の磁気モーメントが反強磁性結合することで、より熱的安定性に優れた磁気記録媒体とすることが可能となる。
【0040】
また、下地層18上に記録磁化安定化層と非磁性の磁気結合層を交互に複数層有していても良い。
【0041】
次に、本実施例の磁気記録媒体の製造方法の1例について説明する。ここでは、図9の構造の磁気記録媒体の製造方法を図12〜15を用いて説明する。
【0042】
まず、基板上100上にめっき法、スパッタ法、CVD法等により、プリコート層14を形成し、プリコート層14上にめっき法、スパッタ法、CVD法等により、軟磁性層11を形成する。
【0043】
その後、エピタキシャル成長により下地層20を形成し、パターニング用のフォトレジスト21を塗布して、図12のようにする。
【0044】
その後、リソグラフィー、現像により、フォトレジスト21の一部を除去して溝部を形成し、図13のようにする。
【0045】
次に、下地層20と同じ材料をエピタキシャル成長により前記溝部に埋め込み、図14に示すようにする。
【0046】
その後、残ったフォトレジスト21とフォトレジスト上に堆積した下地層材料22を、アセトン等の溶液中に浸すことで同時に取り除き、図15に示すように磁性材料埋め込み用溝部23を形成する。
【0047】
その後、磁性材料埋め込み用溝部23に磁性層材料を埋め込み、CMP法等による平坦化処理により図9に示す磁気記録媒体が製造される。
【0048】
なお、実際の製造プロセスでは、この後、図9の媒体上に炭素等を含む保護膜を形成し、保護膜上に潤滑材を塗布するが、ここでは省略している。
【0049】
以上により、結晶性が良く、熱的安定性に優れ、磁気記録ビットのばらつきの少ない磁気記録媒体が製造される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施例1における磁気記録媒体の断面図。
【図2】実施例1における磁気記録媒体の別の例を示す断面図。
【図3】実施例1における磁気記録媒体の他の例を示す断面図。
【図4】図2の構造を有する磁気記録媒体の製造工程の一部を示す説明図。
【図5】図2の構造を有する磁気記録媒体の製造工程の一部を示す説明図。
【図6】図2の構造を有する磁気記録媒体の製造工程の一部を示す説明図。
【図7】図2の構造を有する磁気記録媒体の製造工程の一部を示す説明図。
【図8】実施例2における磁気記録媒体の断面図。
【図9】実施例2における磁気記録媒体の別の例を示す断面図。
【図10】実施例2における磁気記録媒体の他の例を示す断面図。
【図11】実施例2における磁気記録媒体のさらに別の例を示す断面図。
【図12】図9の構造を有する磁気記録媒体の製造工程の一部を示す説明図。
【図13】図9の構造を有する磁気記録媒体の製造工程の一部を示す説明図。
【図14】図9の構造を有する磁気記録媒体の製造工程の一部を示す説明図。
【図15】図9の構造を有する磁気記録媒体の製造工程の一部を示す説明図。
【符号の説明】
【0051】
1,100…基板、2,5,7,12,18,20…下地層、9,22…下地層材料、3,13…記録層、4…シード層、6,19…記録磁化安定化層、8,21…フォトレジスト、10,23…磁性材料埋め込み用溝部、11…軟磁性層、15…第一の軟磁性層、17…第二の軟磁性層、14…プリコート層、16…磁気結合層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的な第1の層に対して離散的な第2の層が配置されているドット構造体であり、前記第1の層が、結晶構造を有する薄膜と、前記薄膜上にフォトレジストを用いて形成された1つあるいは複数の溝部に前記薄膜の材料と同じ材料が埋め込まれて一体に形成された構造を有し、前記フォトレジストを除去することにより形成された溝部に前記薄膜の材料と異なる材料が埋め込まれて前記第2の層が形成されていることを特徴とするドット構造体。
【請求項2】
請求項1において、前記フォトレジストを用いて形成された溝部に前記薄膜の材料と同じ材料がエピタキシャル成長により埋め込まれて前記第1の層が形成されていることを特徴とするドット構造体。
【請求項3】
請求項2において、前記フォトレジストを除去することにより形成された溝部に前記薄膜の材料と異なる材料がエピタキシャル成長により埋め込まれて前記第2の層が形成されていることを特徴とするドット構造体。
【請求項4】
連続的な第1の層に対して離散的な第2の層が配置されたドット構造体の製造方法であり、結晶構造を有する薄膜の上にフォトレジストを用いて1つあるいは複数の溝部を形成し、前記溝部に前記薄膜の材料と同じ材料を埋め込んで前記第1の層を形成し、前記フォトレジストを除去して溝部を形成し、その溝部に前記薄膜の材料と異なる材料を埋め込んで離散的な前記第2の層を形成することを特徴とするドット構造体の製造方法。
【請求項5】
請求項4において、前記フォトレジストを用いて形成した溝部に前記薄膜の材料と同じ材料を溝の深さよりも浅く埋め込んで前記第1の層を形成した後に、前記フォトレジストを除去することにより形成した溝部に前記薄膜の材料と異なる材料を埋め込んで前記第2の層を形成することを特徴とするドット構造体の製造方法。
【請求項6】
請求項4において、前記薄膜の材料と同じ材料をエピタキシャル成長により埋め込んで前記第1の層を形成することを特徴とするドット構造体の製造方法。
【請求項7】
請求項4において、前記薄膜の材料と同じ材料をエピタキシャル成長により埋め込んで前記第1の層を形成した後に、前記フォトレジストを溶液中で取り除くことにより溝部を形成し、その溝部に前記薄膜の材料と異なる材料をエピタキシャル成長により埋め込んで前記第2の層を形成することを特徴とするドット構造体の製造方法。
【請求項8】
基板上に下地層を有し、前記下地層上にフォトレジストを用いて形成した1つあるいは複数の溝部に前記下地層の材料と同じ材料が埋め込まれ、前記フォトレジストを除去することにより形成された溝部に記録層の磁性膜が埋め込まれていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項9】
請求項8において、前記下地層の材料と同じ材料がエピタキシャル成長により埋め込まれていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項10】
請求項8において、前記下地層の材料と同じ材料および前記記録層の磁性膜がいずれもエピタキシャル成長により埋め込まれていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項11】
請求項8において、前記下地層がCr、W、Moのいずれかを含む材料で形成されており、前記記録層がCoを含む材料で形成されていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項12】
基板上に下地層を有し、前記下地層上にフォトレジストを用いて1つあるいは複数の溝部を形成し、前記溝部に前記下地層の材料と同じ材料を埋め込んだ後に、前記フォトレジストを除去して溝部を形成し、その溝部に記録層の磁性膜を埋め込んで製造することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項13】
請求項12において、前記フォトレジストを用いて形成した溝部に前記下地層の材料と同じ材料を溝の深さよりも浅く埋め込んだ後に、前記フォトレジストを除去することにより形成した溝部に前記記録層の磁性膜を埋め込むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項14】
請求項12において、前記下地層の材料と同じ材料をエピタキシャル成長により埋め込むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項15】
請求項12において、前記下地層の材料と同じ材料をエピタキシャル成長により埋め込んだ後に、前記フォトレジストを溶液中で取り除くことにより溝部を形成し、その溝部に前記記録層の磁性膜をエピタキシャル成長により埋め込むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項16】
請求項12において、前記下地層をCr、W、Moのいずれかを含む材料で成膜し、前記記録層をCoを含む材料で成膜することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項17】
基板上に軟磁性層を有し、前記軟磁性層上に下地層を有し、前記下地層上にフォトレジストを用いて形成された1つあるいは複数の溝部に前記下地層の材料と同じ材料が埋め込まれ、前記フォトレジストを除去することにより形成された溝部に記録層の磁性膜が埋め込まれていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項18】
請求項17において、前記下地層上に前記フォトレジストを用いて形成された前記溝部に前記下地層の材料と同じ材料がエピタキシャル成長により埋め込まれていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項19】
請求項17において、前記下地層上に前記フォトレジストを用いて形成された前記溝部に前記下地層の材料と同じ材料がエピタキシャル成長により埋め込まれ、前記フォトレジストを除去することにより形成された溝部に前記記録層の磁性膜がエピタキシャル成長により埋め込まれていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項20】
請求項17において、前記下地層がRu、Os、Reのいずれかを含む材料で形成されており、前記記録層がCoを含む材料で形成されていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項21】
基板上に軟磁性層を形成し、前記軟磁性層上に下地層を形成し、前記下地層上にフォトレジストを用いて1つあるいは複数の溝部を形成し、前記溝部に前記下地層の材料と同じ材料を埋め込み、前記フォトレジストを除去して溝部を形成し、その溝部に記録層の磁性膜を埋め込んで製造することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項22】
請求項21において、前記フォトレジストを用いて形成した溝部に前記下地層の材料と同じ材料を溝の深さよりも浅く埋め込んだ後に、前記フォトレジストを除去することにより形成した溝部に前記記録層の磁性膜を埋め込むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項23】
請求項21において、前記下地層の材料と同じ材料をエピタキシャル成長により埋め込むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項24】
請求項21において、前記下地層の材料と同じ材料をエピタキシャル成長により埋め込み、前記フォトレジストを溶液中で取り除くことにより溝部を形成し、その溝部に前記記録層の磁性膜をエピタキシャル成長により埋め込むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項25】
請求項21において、前記下地層をRu、Os、Reのいずれかを含む材料で成膜し、前記記録層をCoを含む材料で成膜することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項1】
連続的な第1の層に対して離散的な第2の層が配置されているドット構造体であり、前記第1の層が、結晶構造を有する薄膜と、前記薄膜上にフォトレジストを用いて形成された1つあるいは複数の溝部に前記薄膜の材料と同じ材料が埋め込まれて一体に形成された構造を有し、前記フォトレジストを除去することにより形成された溝部に前記薄膜の材料と異なる材料が埋め込まれて前記第2の層が形成されていることを特徴とするドット構造体。
【請求項2】
請求項1において、前記フォトレジストを用いて形成された溝部に前記薄膜の材料と同じ材料がエピタキシャル成長により埋め込まれて前記第1の層が形成されていることを特徴とするドット構造体。
【請求項3】
請求項2において、前記フォトレジストを除去することにより形成された溝部に前記薄膜の材料と異なる材料がエピタキシャル成長により埋め込まれて前記第2の層が形成されていることを特徴とするドット構造体。
【請求項4】
連続的な第1の層に対して離散的な第2の層が配置されたドット構造体の製造方法であり、結晶構造を有する薄膜の上にフォトレジストを用いて1つあるいは複数の溝部を形成し、前記溝部に前記薄膜の材料と同じ材料を埋め込んで前記第1の層を形成し、前記フォトレジストを除去して溝部を形成し、その溝部に前記薄膜の材料と異なる材料を埋め込んで離散的な前記第2の層を形成することを特徴とするドット構造体の製造方法。
【請求項5】
請求項4において、前記フォトレジストを用いて形成した溝部に前記薄膜の材料と同じ材料を溝の深さよりも浅く埋め込んで前記第1の層を形成した後に、前記フォトレジストを除去することにより形成した溝部に前記薄膜の材料と異なる材料を埋め込んで前記第2の層を形成することを特徴とするドット構造体の製造方法。
【請求項6】
請求項4において、前記薄膜の材料と同じ材料をエピタキシャル成長により埋め込んで前記第1の層を形成することを特徴とするドット構造体の製造方法。
【請求項7】
請求項4において、前記薄膜の材料と同じ材料をエピタキシャル成長により埋め込んで前記第1の層を形成した後に、前記フォトレジストを溶液中で取り除くことにより溝部を形成し、その溝部に前記薄膜の材料と異なる材料をエピタキシャル成長により埋め込んで前記第2の層を形成することを特徴とするドット構造体の製造方法。
【請求項8】
基板上に下地層を有し、前記下地層上にフォトレジストを用いて形成した1つあるいは複数の溝部に前記下地層の材料と同じ材料が埋め込まれ、前記フォトレジストを除去することにより形成された溝部に記録層の磁性膜が埋め込まれていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項9】
請求項8において、前記下地層の材料と同じ材料がエピタキシャル成長により埋め込まれていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項10】
請求項8において、前記下地層の材料と同じ材料および前記記録層の磁性膜がいずれもエピタキシャル成長により埋め込まれていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項11】
請求項8において、前記下地層がCr、W、Moのいずれかを含む材料で形成されており、前記記録層がCoを含む材料で形成されていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項12】
基板上に下地層を有し、前記下地層上にフォトレジストを用いて1つあるいは複数の溝部を形成し、前記溝部に前記下地層の材料と同じ材料を埋め込んだ後に、前記フォトレジストを除去して溝部を形成し、その溝部に記録層の磁性膜を埋め込んで製造することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項13】
請求項12において、前記フォトレジストを用いて形成した溝部に前記下地層の材料と同じ材料を溝の深さよりも浅く埋め込んだ後に、前記フォトレジストを除去することにより形成した溝部に前記記録層の磁性膜を埋め込むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項14】
請求項12において、前記下地層の材料と同じ材料をエピタキシャル成長により埋め込むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項15】
請求項12において、前記下地層の材料と同じ材料をエピタキシャル成長により埋め込んだ後に、前記フォトレジストを溶液中で取り除くことにより溝部を形成し、その溝部に前記記録層の磁性膜をエピタキシャル成長により埋め込むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項16】
請求項12において、前記下地層をCr、W、Moのいずれかを含む材料で成膜し、前記記録層をCoを含む材料で成膜することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項17】
基板上に軟磁性層を有し、前記軟磁性層上に下地層を有し、前記下地層上にフォトレジストを用いて形成された1つあるいは複数の溝部に前記下地層の材料と同じ材料が埋め込まれ、前記フォトレジストを除去することにより形成された溝部に記録層の磁性膜が埋め込まれていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項18】
請求項17において、前記下地層上に前記フォトレジストを用いて形成された前記溝部に前記下地層の材料と同じ材料がエピタキシャル成長により埋め込まれていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項19】
請求項17において、前記下地層上に前記フォトレジストを用いて形成された前記溝部に前記下地層の材料と同じ材料がエピタキシャル成長により埋め込まれ、前記フォトレジストを除去することにより形成された溝部に前記記録層の磁性膜がエピタキシャル成長により埋め込まれていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項20】
請求項17において、前記下地層がRu、Os、Reのいずれかを含む材料で形成されており、前記記録層がCoを含む材料で形成されていることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項21】
基板上に軟磁性層を形成し、前記軟磁性層上に下地層を形成し、前記下地層上にフォトレジストを用いて1つあるいは複数の溝部を形成し、前記溝部に前記下地層の材料と同じ材料を埋め込み、前記フォトレジストを除去して溝部を形成し、その溝部に記録層の磁性膜を埋め込んで製造することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項22】
請求項21において、前記フォトレジストを用いて形成した溝部に前記下地層の材料と同じ材料を溝の深さよりも浅く埋め込んだ後に、前記フォトレジストを除去することにより形成した溝部に前記記録層の磁性膜を埋め込むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項23】
請求項21において、前記下地層の材料と同じ材料をエピタキシャル成長により埋め込むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項24】
請求項21において、前記下地層の材料と同じ材料をエピタキシャル成長により埋め込み、前記フォトレジストを溶液中で取り除くことにより溝部を形成し、その溝部に前記記録層の磁性膜をエピタキシャル成長により埋め込むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項25】
請求項21において、前記下地層をRu、Os、Reのいずれかを含む材料で成膜し、前記記録層をCoを含む材料で成膜することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−99189(P2009−99189A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269235(P2007−269235)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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