ドップラレーダ装置の試験装置
【課題】外乱による干渉を低減し、かつ回路規模を小さくすると同時に精度の良いドップラシフトした周波数の信号を生成する低コストのドップラレーダ装置の試験装置を提供する。
【解決手段】送受信兼用のアンテナ9と、このアンテナ9を通じて基準周波数f0のマイクロ波を信号4として入力するとともに、アンテナ9に対してドップラシフトした信号5(f0+fd)を出力するLOポート18と、ドップラ周波数fdの信号6を入力するIFポート19と、ドップラ周波数fdの信号6により基準周波数f0のマイクロ波の信号4を周波数変換して、ドップラシフトした信号5(f0+fd)をLOポート18に出力する混合回路20とを有する周波数変換器13とを備える。
【解決手段】送受信兼用のアンテナ9と、このアンテナ9を通じて基準周波数f0のマイクロ波を信号4として入力するとともに、アンテナ9に対してドップラシフトした信号5(f0+fd)を出力するLOポート18と、ドップラ周波数fdの信号6を入力するIFポート19と、ドップラ周波数fdの信号6により基準周波数f0のマイクロ波の信号4を周波数変換して、ドップラシフトした信号5(f0+fd)をLOポート18に出力する混合回路20とを有する周波数変換器13とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドップラレーダ装置の性能を試験し評価するためのドップラレーダ装置の試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドップラレーダ装置はドップラ効果を利用したレーダ装置で、主に速度計測用や動作感知用に使用される(特許文献1)。
【0003】
図7は、ドップラレーダの原理説明に供される説明図である。ドップラレーダ装置1のアンテナ2から照射された基準周波数f0の信号4は、移動体である車両等の測定対象物3により反射される。測定対象物3から反射した信号は、測定対象物3の移動速度Vによりドップラシフトした周波数f0+fdの信号5となる。このドップラシフトした周波数f0+fdの信号5をアンテナ2で受信し、ドップラレーダ装置1内で基準周波数f0の信号4との積からドップラ周波数fdの信号6を生成する。この場合、測定対象物3の移動速度Vとドップラ周波数fdの信号6との間には、次の(1)式の関係が成り立つ。
【0004】
fd=(2V/c)×f0 …(1)
このため、ドップラ周波数fdの信号6より測定対象物3の移動速度Vを求めることができる。ここで、cは光速を表す。以上がドップラレーダの原理である。
【0005】
このように動作するドップラレーダ装置1の性能を試験する方式として、以下に説明する第1〜第3の方式が考えられる。
【0006】
第1の方式では、そのドップラレーダ装置1が測定の対象とする実際の目標あるいは擬似目標を移動させることにより測定対象物(目標)に実際にマイクロ波を照射して試験を行う。
【0007】
この第1の方式による試験方法では、ドップラレーダ装置1の設置場所に似通った環境で試験できる反面、それに見合う環境が必要であり、広い場所が必要となり、また時間がかかり試験コストも高い。
【0008】
図8は、ドップラレーダ装置1の試験を簡易的に行うための第2の方式の構成説明図である。この試験装置では、図7に示したアンテナ2と測定対象物3とを、可変減衰器7とドップラ信号発生器8との組合せに置き換えている。可変減衰器7の減衰量は、アンテナ2と測定対象物3の間のマイクロ波の減衰量と等価になるよう調整する。またドップラ信号発生器8は物理的な羽根で構成され、中心を軸に機械的に回転させ、羽根の一点が測定対象物3の移動速度Vに等価となるように速度を調整する。これによりドップラレーダ装置1から出力された基準周波数f0の信号4に対してドップラシフトした周波数f0+fdの信号5を生成し、ドップラレーダ装置1に送信する。
【0009】
この第2方式による試験方法では、ドップラ信号発生器8内の羽根の回転が機械的に行われるため、羽根の回転速度を正確に制御するには複雑で大掛かりな制御器を必要とする。このため精度のよいドップラシフトした周波数f0+fdの信号5を作ることが困難である。また機械的運動を行うため故障が発生しやすく信頼性が低い。さらに、アンテナを含めた試験が行われないという不都合がある。
【0010】
図9、図10は、第3の方式の構成説明図である。この第3の方式では、機械的にドップラ周波数fdを制御する上記の第2の方式(図8)とは異なり、電気的にドップラ周波数fdを制御する。
【0011】
図9では、試験装置のアンテナ9により受信した基準周波数f0の信号4と別途、信号発生器12からのドップラ周波数fdの信号6を周波数変換器11を用いて掛け算し、生成したドップラシフトした周波数f0+fdの信号5をアンテナ9から送信する。
【0012】
この図9例の方式では、サーキュレータ10を用いるため、送受信アンテナを一つにまとめることができる反面、サーキュレータ10には高いアイソレーション特性が要求される。サーキュレータ10のアイソレーション特性が悪い場合、周波数変換器11において多数の高調波が生成され、試験の精度が悪化する。また、一般にサーキュレータ10は、所望の性能を出すために精度の良い設置条件が必要であり、この傾向は高周波になるほど大きくなる。加えて高価である。
【0013】
図10の方式は図9の方式からサーキュレータ10を省いて、基準周波数f0の信号4を受信するアンテナ9とドップラシフトした周波数f0+fdを有する信号5を送信するアンテナ9と送受信アンテナを分けたものである。この図10例の試験装置では、アンテナ9が二つ必要であるため構造が大きくなる。
【0014】
【特許文献1】特開平11−306487号(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記した実際の目標あるいは擬似目標を移動させ、実際の試験場所と似通った環境で行う第1の方式では、基準周波数f0の信号4が外部の影響により多重に反射して測定対象物3に届くことがある。この場合、多重干渉によりドップラ周波数f0+fdの精度が落ちる。外乱の影響の少ない環境を選定し、指向性の良いアンテナを使用することによりドップラ周波数f0+fdの精度は向上するが、その影響を完全に消し去ることは困難である。またこの条件に見合う環境が必要であり、時間がかかりかつコストが高い。
【0016】
室内での試験が可能な上記した第2及び第3の方式では、上述したように精度の良いドップラシフトした周波数f0+fdの信号5を生成することが困難である。しかも、図8に示した第2の方式では、特殊な機械部品を含むので、室内で測定が可能といえども装置が大型になる。図9、図10に示した第3の方式では、1アンテナ化とサーキュレータの削除が同時に実現できないため回路規模が大きくなる。
【0017】
この発明は、このような種々の課題を考慮してなされたものであり、外乱による干渉を低減し、かつ回路規模を小さくすると同時に精度の良いドップラシフトした周波数の信号を生成することを可能とする低コストのドップラレーダ装置用試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明のドップラレーダ装置の試験装置は、送受信兼用のアンテナと、周波数変換器とから構成され、この周波数変換器は、前記アンテナを通じて基準周波数の信号を入力するとともに、前記アンテナに対してドップラシフトした信号を出力する入出力兼用端子と、ドップラ周波数の信号を入力する入力端子と、を備え、前記入力端子を通じて供給される前記ドップラ周波数の信号により前記入出力端子を通じて供給される前記基準周波数の信号を周波数変換して前記ドップラシフトした信号を生成し、前記入出力兼用端子に出力するように構成される。
【0019】
この場合、周波数変換器は、90°ハイブリッド回路と二つのダイオードで構成されたシングルバランスドミキサとすることができる。
【0020】
なお、ドップラ周波数の信号は、信号発生器により発生された信号とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、送受信兼用のアンテナと周波数変換器により試験装置を構成しているので、回路規模の小さいドップラレーダ装置の試験装置が得られる。
【0022】
回路規模が小さいので、低コスト化ができる。
【0023】
送受信兼用アンテナを、ドップラレーダ装置のアンテナに近接配置することで、外乱による干渉を低減することができる。
【0024】
また、信号発生器を使用することで、精度の良いドップラシフトした周波数の信号を生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に参照する図面において、上記図7〜図10に示したものと対応するものには同一の符号を付けてその詳細な説明は省略する。
【0026】
外乱の影響を減らし、かつ装置を小型化するために上述した第3の方式である電気的にドップラシフトした周波数f0+fdの信号5を生成する方式を選択する。しかし、この方式においては1アンテナ化とサーキュレータの削減の課題を同時に解決する必要がある。
【0027】
そこでサーキュレータを介さない、図1に示す、この実施形態に係るドップラレーダ装置の試験装置(単に、試験装置ともいう。)100を考案した。
【0028】
図1は、試験装置100とドップラレーダ装置1とからなるドップラレーダ試験システム102の構成を示している。
【0029】
この場合、試験装置100は、基本的に、送受信兼用のアンテナ9と、このアンテナ9に接続される周波数変換器13とを有する。
【0030】
周波数変換器13は、アンテナ9を通じてドップラレーダ装置1から基準周波数f0のマイクロ波を信号5として入力するとともにアンテナ9に対してドップラシフトした信号5を出力する入出力兼用端子としてのLOポート18と、ドップラ周波数fdの信号6(単に、ドップラ信号6ともいう。)を入力する入力端子としてのIFポート19と、一端が接地された50[Ω]の終端器14の他端が接続されるRFポート17と、ドップラ周波数fdの信号6により基準周波数f0のマイクロ波の信号4を周波数変換してドップラシフトした周波数f0+fdの信号5を出力する混合回路(混合器)20を有する。
【0031】
なお、周波数変換器13のIFポート19には、ドップラ周波数fdを所望周波数に設定可能(調整可能)で、かつ振幅を所望の定振幅に設定可能な、定振幅連続波の信号6を発生する信号発生器(Signal Generator)12が接続されている。
【0032】
基本的には、以上のように構成されるドップラレーダ試験システム102において、ドップラレーダ装置1のアンテナ2から基準周波数f0の信号4が、試験装置100のアンテナ9に照射される。
【0033】
試験装置100は、アンテナ9で受信した基準周波数f0の信号4と信号発生器12により発生されたドップラ周波数fdの信号6を周波数変換器13の混合回路20により掛け算して、所望のドップラ周波数f0+fdの信号5のみをアンテナ9からドップラレーダ装置1に送信する。
【0034】
上述したように、ドップラレーダ装置1は、このドップラシフトした周波数f0+fdの信号5をアンテナ2で受信し、ドップラレーダ装置1内で基準周波数f0の信号4との積からドップラ周波数fdの信号6を生成する。上記(1)式により移動速度Vが求められる。
【0035】
この実施形態に係る図1例の試験装置100では、図9、図10で説明した試験装置に比較して、信号伝送経路が短くかつシンプルであるため、周波数変換器13において不要な高調波成分は生成されにくく、ドップラシフトした周波数f0+fdの精度が良い。また、アンテナ9、周波数変換器13、信号発生器12のみので構成されるため、回路規模は小さく低コストとなる。
【0036】
さらに、全体として小規模である試験装置100をドップラレーダ装置1に近接して設置することが可能となり、測定環境外乱の影響をほぼ無視して測定することができる。
【0037】
この試験装置100では周波数変換器13の構成が重要となる。
【0038】
図2は、周波数変換器13の構成例を示している。この周波数変換器13を構成する混合回路20は、マイクロストリップラインを用いた90°ハイブリッド回路15にダイオード16を二つ付加したシングルバランスドミキサの構造になっている。
【0039】
図3の模式図を用いて、この周波数変換器13の動作原理を説明する。LOポート18及びIFポート19にそれぞれVLcosωLt、VIcosωItの電圧を印加する。ここでVL、VIは振幅、ωL、ωIは角周波数である。このとき二つのダイオード16にかかる電圧V1及び電圧V2は、それぞれ(2)式と(3)式で与えられる。
【0040】
V1=−VLsinωLt+VIcosωIt …(2)
V2= VLcosωLt+VIcosωIt …(3)
電圧V1、V2が印加されたとき、ダイオード16を流れる電流I1及びI2は、図4にも示すようにテーラー展開を用いて(4)式及び(5)式のように表される。
【0041】
I1=aV1+bV12+cV13+…
=a(−VLsinωLt+VIcosωIt)+
b(VL2sin2ωLt−2VLVIsinωLtcosωIt+VI2cos2ωIt)+…
=−aVLsinωLt+aVIcosωIt+(bVL2/2)(1−sin2ωLt)+(bVI2/2)(1+sin2ωIt)−bVLVI{sin(ωL−ωI)t+sin(ωL+ωI)t+… …(4)
I2=−aV2+bV22−cV23+…
=−a(VLcosωLt+VIcosωIt)+
b(VL2cos2ωLt−2VLVIcosωLtcosωIt+VI2cos2ωIt)−…
=−aVLcosωLt−aVIcosωIt+(bVL2/2)(1+sin2ωLt)+(bVI2/2)(1+sin2ωIt)+bVLVI{cos(ωL−ωI)t+cos(ωL+ωI)t+… …(5)
(4)、(5)式において、a、b、cは、任意定数である。ここでは簡便のため3次以降の項を省いている。このとき電流I1及びI2に含まれる各周波数成分を(6)、(7)式に示す。
【0042】
I1に含まれる各周波数成分
ωL成分:−aVLsinωLt
ωL−ωI成分:−bVLVIsin(ωL−ωI)t
ωL+ωI成分:−bVLVIsin(ωL+ωI)t …(6)
I2に含まれる各周波数成分
ωL成分:−aVLsinωLt
ωL−ωI成分:bVLVIcos(ωL−ωI)t
ωL+ωI成分:bVLVIcos(ωL+ωI)t …(7)
ダイオード16に生じる電流の各周波数成分は、90°ハイブリッド回路15を通じて足し合わされ、LOポート18に出力される。LOポート18に出力される電流ILOの各周波数成分は次の(8)〜(10)式で表される。
【0043】
ωL成分:(1/2)(−aVLcosωLt+aVLsinωLt)=0 …(8)
ωL−ωI成分:(1/2){(−bVLVIsin(ωL−ωI)t)−bVLVIsin(ωL−ωI)t}=−bVLVIsin(ωL−ωI)t …(9)
ωL+ωI成分:(1/2){−bVLVIsin(ωL+ωI)t−bVLVIsin(ωL+ωI)t}=−bVLVIsin(ωL+ωI)t …(10)
(9)、(10)式より各ダイオード16で生じた所望の周波数成分は、90°ハイブリッド回路15を通してLOポート18で同相となり強め合うことがわかる。また(8)式より入力信号の周波数成分ωLはLOポート18に現れないことがわかる。これより90°ハイブリッド回路15を用いたシングルバランスドミキサを周波数変換器13として使用することにより、入力ポートであるLOポート18に入力された周波数f0の信号4が周波数変換器13によりアップコンバートされて周波数f0+fdの信号5となり、同一ポートであるLOポート18に戻ってくることがわかる。なお、RFポート17に発生した信号は50[Ω]終端器14により終端される(接地に吸収される)。
【0044】
上記周波数変換器13を用いることにより、小型かつ低コストで、さらに環境外乱の影響を受けず、同時に精度の良いドップラシフトした周波数f0+fdを生成する試験装置100を構築することができる。
【0045】
図5は、この試験装置100を電波式速度計24の性能評価に使用したドップラレーダ試験システム120の構成を示している。
【0046】
速度計24はKバンドのドップラレーダ装置であり、道路を走行する車の速度を検出する装置である。
【0047】
速度計24と試験装置100はお互いのアンテナ2、9同士を向かい合わせ、その間隔は20cm程度として測定環境外乱の影響が無い状態とした。試験装置100に付加されているアンテナ9はホーンタイプのアンテナを使用した。
【0048】
試験装置100に使用した周波数変換器の方式は90°ハイブリッド回路15を含むシングルバランスタイプとした。
【0049】
図6は、周波数変換器13のレイアウト及び部品実装図を示す。面積が25[mm]×25[mm]、厚さが0.2[mm]、誘電率が3.38の高周波用両面基板を使用し、ビア21の直径を0.3[mm]とした。90°ハイブリッド回路15は高周波基板にマイクロストリップラインのパターンを用いて形成した。90°ハイブリッド回路15のタイプはブランチラインハイブリッドである。また90°ハイブリッド回路15の使用帯域を広げるため、段数を2段とした。この基板上に高周波用表面実装タイプのダイオード16及びチップ抵抗器による終端器14(100[Ω]のチップ抵抗器を並列)を実装し、周波数変換器13を製作した。この周波数変換器13を貫通孔22を通してケースにネジ止めし、コネクタを取り付けた。このコネクタを介してホーンアンテナであるアンテナ9と接続した。
【0050】
また、ドップラ周波数fdの信号6を発生する信号発生器12は、[kHz]オーダの連続波を発生できるファンクションジェネレータを使用した。
【0051】
このように構成することで、小型、低コストで環境外乱の影響を受けず、かつ精度の良いドップラシフトした周波数f0+fdを発生できる試験装置100を構築することができる。
【0052】
すなわち、ホーンアンテナであるアンテナ9、ファンクションジェネレータである信号発生器12、及び高周波表面実装基板である周波数変換器13のみで試験装置100を構成することにより精度の良いドップラシフトした周波数f0+fdの生成を可能とすると共に装置の小型化、低コスト化を同時に達成した。
【0053】
以上説明したように、上述した実施形態によれば、マイクロストリップラインで形成した簡易なパターンをもつ基板に二つのダイオード16を実装し、アンテナ9及びコネクタを付加するのみで周波数変換器13を形成できるため、装置を小型かつ安価に実現できる。装置が小型なので小スペースの環境で試験できる。しかも、ドップラレーダ装置1や速度計と、試験装置100とのそれぞれのアンテナ2、9間を近接することにより、外乱の影響を無視することができるため、測定評価が安定する。
【0054】
信号発生器12を用いて電気的にドップラ周波数を生成するので、精度の良いドップラシフトした周波数f0+fdの信号を生成できる。また使用した周波数変換器13の性能により、他の不要波出力を抑圧できるため測定の精度が向上する。
【0055】
なお、複数の周波数が混在したドップラ周波数を生成すれば、複数ターゲットを想定したドップラ信号を擬似的に作り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この実施形態に係るドップラレーダ装置の試験装置を含む試験システムの構成図である。
【図2】周波数変換器の模式的実装図である。
【図3】周波数変換器の回路図である。
【図4】ダイオードの電流と電圧の関係式を示す説明図である。
【図5】試験装置を電波式速度計の性能評価に使用した試験システムの構成図である。
【図6】周波数変換器の一例を示すレイアウトを示す部品配置図である。
【図7】ドップラレーダ装置の動作説明に供される説明図である。
【図8】機械的にドップラ周波数を作り出す方式の説明図である。
【図9】サーキュレータを含み、電気的にドップラ周波数を作り出す方式の説明図である。
【図10】送受信アンテナを個別とし、電気的にドップラ周波数を作り出す方式の説明図である。
【符号の説明】
【0057】
1…ドップラレーダ装置 2、9…アンテナ
4…基準周波数の信号 3…測定対象物
5…ドップラシフトした周波数の信号 6…ドップラ周波数の信号
7…可変減衰器 8…ドップラ信号発生器
10…サーキュレータ 11、13…周波数変換器
12…信号発生器 14…終端器
15…90゜ハイブリッド回路 16…ダイオード
17…RFポート 18…LOポート
19…IFポート 20…混合回路(混合器)
21…ビア 22…貫通孔
24…速度計 100…試験装置
102、120…ドップラレーダ試験システム
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドップラレーダ装置の性能を試験し評価するためのドップラレーダ装置の試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドップラレーダ装置はドップラ効果を利用したレーダ装置で、主に速度計測用や動作感知用に使用される(特許文献1)。
【0003】
図7は、ドップラレーダの原理説明に供される説明図である。ドップラレーダ装置1のアンテナ2から照射された基準周波数f0の信号4は、移動体である車両等の測定対象物3により反射される。測定対象物3から反射した信号は、測定対象物3の移動速度Vによりドップラシフトした周波数f0+fdの信号5となる。このドップラシフトした周波数f0+fdの信号5をアンテナ2で受信し、ドップラレーダ装置1内で基準周波数f0の信号4との積からドップラ周波数fdの信号6を生成する。この場合、測定対象物3の移動速度Vとドップラ周波数fdの信号6との間には、次の(1)式の関係が成り立つ。
【0004】
fd=(2V/c)×f0 …(1)
このため、ドップラ周波数fdの信号6より測定対象物3の移動速度Vを求めることができる。ここで、cは光速を表す。以上がドップラレーダの原理である。
【0005】
このように動作するドップラレーダ装置1の性能を試験する方式として、以下に説明する第1〜第3の方式が考えられる。
【0006】
第1の方式では、そのドップラレーダ装置1が測定の対象とする実際の目標あるいは擬似目標を移動させることにより測定対象物(目標)に実際にマイクロ波を照射して試験を行う。
【0007】
この第1の方式による試験方法では、ドップラレーダ装置1の設置場所に似通った環境で試験できる反面、それに見合う環境が必要であり、広い場所が必要となり、また時間がかかり試験コストも高い。
【0008】
図8は、ドップラレーダ装置1の試験を簡易的に行うための第2の方式の構成説明図である。この試験装置では、図7に示したアンテナ2と測定対象物3とを、可変減衰器7とドップラ信号発生器8との組合せに置き換えている。可変減衰器7の減衰量は、アンテナ2と測定対象物3の間のマイクロ波の減衰量と等価になるよう調整する。またドップラ信号発生器8は物理的な羽根で構成され、中心を軸に機械的に回転させ、羽根の一点が測定対象物3の移動速度Vに等価となるように速度を調整する。これによりドップラレーダ装置1から出力された基準周波数f0の信号4に対してドップラシフトした周波数f0+fdの信号5を生成し、ドップラレーダ装置1に送信する。
【0009】
この第2方式による試験方法では、ドップラ信号発生器8内の羽根の回転が機械的に行われるため、羽根の回転速度を正確に制御するには複雑で大掛かりな制御器を必要とする。このため精度のよいドップラシフトした周波数f0+fdの信号5を作ることが困難である。また機械的運動を行うため故障が発生しやすく信頼性が低い。さらに、アンテナを含めた試験が行われないという不都合がある。
【0010】
図9、図10は、第3の方式の構成説明図である。この第3の方式では、機械的にドップラ周波数fdを制御する上記の第2の方式(図8)とは異なり、電気的にドップラ周波数fdを制御する。
【0011】
図9では、試験装置のアンテナ9により受信した基準周波数f0の信号4と別途、信号発生器12からのドップラ周波数fdの信号6を周波数変換器11を用いて掛け算し、生成したドップラシフトした周波数f0+fdの信号5をアンテナ9から送信する。
【0012】
この図9例の方式では、サーキュレータ10を用いるため、送受信アンテナを一つにまとめることができる反面、サーキュレータ10には高いアイソレーション特性が要求される。サーキュレータ10のアイソレーション特性が悪い場合、周波数変換器11において多数の高調波が生成され、試験の精度が悪化する。また、一般にサーキュレータ10は、所望の性能を出すために精度の良い設置条件が必要であり、この傾向は高周波になるほど大きくなる。加えて高価である。
【0013】
図10の方式は図9の方式からサーキュレータ10を省いて、基準周波数f0の信号4を受信するアンテナ9とドップラシフトした周波数f0+fdを有する信号5を送信するアンテナ9と送受信アンテナを分けたものである。この図10例の試験装置では、アンテナ9が二つ必要であるため構造が大きくなる。
【0014】
【特許文献1】特開平11−306487号(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記した実際の目標あるいは擬似目標を移動させ、実際の試験場所と似通った環境で行う第1の方式では、基準周波数f0の信号4が外部の影響により多重に反射して測定対象物3に届くことがある。この場合、多重干渉によりドップラ周波数f0+fdの精度が落ちる。外乱の影響の少ない環境を選定し、指向性の良いアンテナを使用することによりドップラ周波数f0+fdの精度は向上するが、その影響を完全に消し去ることは困難である。またこの条件に見合う環境が必要であり、時間がかかりかつコストが高い。
【0016】
室内での試験が可能な上記した第2及び第3の方式では、上述したように精度の良いドップラシフトした周波数f0+fdの信号5を生成することが困難である。しかも、図8に示した第2の方式では、特殊な機械部品を含むので、室内で測定が可能といえども装置が大型になる。図9、図10に示した第3の方式では、1アンテナ化とサーキュレータの削除が同時に実現できないため回路規模が大きくなる。
【0017】
この発明は、このような種々の課題を考慮してなされたものであり、外乱による干渉を低減し、かつ回路規模を小さくすると同時に精度の良いドップラシフトした周波数の信号を生成することを可能とする低コストのドップラレーダ装置用試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明のドップラレーダ装置の試験装置は、送受信兼用のアンテナと、周波数変換器とから構成され、この周波数変換器は、前記アンテナを通じて基準周波数の信号を入力するとともに、前記アンテナに対してドップラシフトした信号を出力する入出力兼用端子と、ドップラ周波数の信号を入力する入力端子と、を備え、前記入力端子を通じて供給される前記ドップラ周波数の信号により前記入出力端子を通じて供給される前記基準周波数の信号を周波数変換して前記ドップラシフトした信号を生成し、前記入出力兼用端子に出力するように構成される。
【0019】
この場合、周波数変換器は、90°ハイブリッド回路と二つのダイオードで構成されたシングルバランスドミキサとすることができる。
【0020】
なお、ドップラ周波数の信号は、信号発生器により発生された信号とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、送受信兼用のアンテナと周波数変換器により試験装置を構成しているので、回路規模の小さいドップラレーダ装置の試験装置が得られる。
【0022】
回路規模が小さいので、低コスト化ができる。
【0023】
送受信兼用アンテナを、ドップラレーダ装置のアンテナに近接配置することで、外乱による干渉を低減することができる。
【0024】
また、信号発生器を使用することで、精度の良いドップラシフトした周波数の信号を生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に参照する図面において、上記図7〜図10に示したものと対応するものには同一の符号を付けてその詳細な説明は省略する。
【0026】
外乱の影響を減らし、かつ装置を小型化するために上述した第3の方式である電気的にドップラシフトした周波数f0+fdの信号5を生成する方式を選択する。しかし、この方式においては1アンテナ化とサーキュレータの削減の課題を同時に解決する必要がある。
【0027】
そこでサーキュレータを介さない、図1に示す、この実施形態に係るドップラレーダ装置の試験装置(単に、試験装置ともいう。)100を考案した。
【0028】
図1は、試験装置100とドップラレーダ装置1とからなるドップラレーダ試験システム102の構成を示している。
【0029】
この場合、試験装置100は、基本的に、送受信兼用のアンテナ9と、このアンテナ9に接続される周波数変換器13とを有する。
【0030】
周波数変換器13は、アンテナ9を通じてドップラレーダ装置1から基準周波数f0のマイクロ波を信号5として入力するとともにアンテナ9に対してドップラシフトした信号5を出力する入出力兼用端子としてのLOポート18と、ドップラ周波数fdの信号6(単に、ドップラ信号6ともいう。)を入力する入力端子としてのIFポート19と、一端が接地された50[Ω]の終端器14の他端が接続されるRFポート17と、ドップラ周波数fdの信号6により基準周波数f0のマイクロ波の信号4を周波数変換してドップラシフトした周波数f0+fdの信号5を出力する混合回路(混合器)20を有する。
【0031】
なお、周波数変換器13のIFポート19には、ドップラ周波数fdを所望周波数に設定可能(調整可能)で、かつ振幅を所望の定振幅に設定可能な、定振幅連続波の信号6を発生する信号発生器(Signal Generator)12が接続されている。
【0032】
基本的には、以上のように構成されるドップラレーダ試験システム102において、ドップラレーダ装置1のアンテナ2から基準周波数f0の信号4が、試験装置100のアンテナ9に照射される。
【0033】
試験装置100は、アンテナ9で受信した基準周波数f0の信号4と信号発生器12により発生されたドップラ周波数fdの信号6を周波数変換器13の混合回路20により掛け算して、所望のドップラ周波数f0+fdの信号5のみをアンテナ9からドップラレーダ装置1に送信する。
【0034】
上述したように、ドップラレーダ装置1は、このドップラシフトした周波数f0+fdの信号5をアンテナ2で受信し、ドップラレーダ装置1内で基準周波数f0の信号4との積からドップラ周波数fdの信号6を生成する。上記(1)式により移動速度Vが求められる。
【0035】
この実施形態に係る図1例の試験装置100では、図9、図10で説明した試験装置に比較して、信号伝送経路が短くかつシンプルであるため、周波数変換器13において不要な高調波成分は生成されにくく、ドップラシフトした周波数f0+fdの精度が良い。また、アンテナ9、周波数変換器13、信号発生器12のみので構成されるため、回路規模は小さく低コストとなる。
【0036】
さらに、全体として小規模である試験装置100をドップラレーダ装置1に近接して設置することが可能となり、測定環境外乱の影響をほぼ無視して測定することができる。
【0037】
この試験装置100では周波数変換器13の構成が重要となる。
【0038】
図2は、周波数変換器13の構成例を示している。この周波数変換器13を構成する混合回路20は、マイクロストリップラインを用いた90°ハイブリッド回路15にダイオード16を二つ付加したシングルバランスドミキサの構造になっている。
【0039】
図3の模式図を用いて、この周波数変換器13の動作原理を説明する。LOポート18及びIFポート19にそれぞれVLcosωLt、VIcosωItの電圧を印加する。ここでVL、VIは振幅、ωL、ωIは角周波数である。このとき二つのダイオード16にかかる電圧V1及び電圧V2は、それぞれ(2)式と(3)式で与えられる。
【0040】
V1=−VLsinωLt+VIcosωIt …(2)
V2= VLcosωLt+VIcosωIt …(3)
電圧V1、V2が印加されたとき、ダイオード16を流れる電流I1及びI2は、図4にも示すようにテーラー展開を用いて(4)式及び(5)式のように表される。
【0041】
I1=aV1+bV12+cV13+…
=a(−VLsinωLt+VIcosωIt)+
b(VL2sin2ωLt−2VLVIsinωLtcosωIt+VI2cos2ωIt)+…
=−aVLsinωLt+aVIcosωIt+(bVL2/2)(1−sin2ωLt)+(bVI2/2)(1+sin2ωIt)−bVLVI{sin(ωL−ωI)t+sin(ωL+ωI)t+… …(4)
I2=−aV2+bV22−cV23+…
=−a(VLcosωLt+VIcosωIt)+
b(VL2cos2ωLt−2VLVIcosωLtcosωIt+VI2cos2ωIt)−…
=−aVLcosωLt−aVIcosωIt+(bVL2/2)(1+sin2ωLt)+(bVI2/2)(1+sin2ωIt)+bVLVI{cos(ωL−ωI)t+cos(ωL+ωI)t+… …(5)
(4)、(5)式において、a、b、cは、任意定数である。ここでは簡便のため3次以降の項を省いている。このとき電流I1及びI2に含まれる各周波数成分を(6)、(7)式に示す。
【0042】
I1に含まれる各周波数成分
ωL成分:−aVLsinωLt
ωL−ωI成分:−bVLVIsin(ωL−ωI)t
ωL+ωI成分:−bVLVIsin(ωL+ωI)t …(6)
I2に含まれる各周波数成分
ωL成分:−aVLsinωLt
ωL−ωI成分:bVLVIcos(ωL−ωI)t
ωL+ωI成分:bVLVIcos(ωL+ωI)t …(7)
ダイオード16に生じる電流の各周波数成分は、90°ハイブリッド回路15を通じて足し合わされ、LOポート18に出力される。LOポート18に出力される電流ILOの各周波数成分は次の(8)〜(10)式で表される。
【0043】
ωL成分:(1/2)(−aVLcosωLt+aVLsinωLt)=0 …(8)
ωL−ωI成分:(1/2){(−bVLVIsin(ωL−ωI)t)−bVLVIsin(ωL−ωI)t}=−bVLVIsin(ωL−ωI)t …(9)
ωL+ωI成分:(1/2){−bVLVIsin(ωL+ωI)t−bVLVIsin(ωL+ωI)t}=−bVLVIsin(ωL+ωI)t …(10)
(9)、(10)式より各ダイオード16で生じた所望の周波数成分は、90°ハイブリッド回路15を通してLOポート18で同相となり強め合うことがわかる。また(8)式より入力信号の周波数成分ωLはLOポート18に現れないことがわかる。これより90°ハイブリッド回路15を用いたシングルバランスドミキサを周波数変換器13として使用することにより、入力ポートであるLOポート18に入力された周波数f0の信号4が周波数変換器13によりアップコンバートされて周波数f0+fdの信号5となり、同一ポートであるLOポート18に戻ってくることがわかる。なお、RFポート17に発生した信号は50[Ω]終端器14により終端される(接地に吸収される)。
【0044】
上記周波数変換器13を用いることにより、小型かつ低コストで、さらに環境外乱の影響を受けず、同時に精度の良いドップラシフトした周波数f0+fdを生成する試験装置100を構築することができる。
【0045】
図5は、この試験装置100を電波式速度計24の性能評価に使用したドップラレーダ試験システム120の構成を示している。
【0046】
速度計24はKバンドのドップラレーダ装置であり、道路を走行する車の速度を検出する装置である。
【0047】
速度計24と試験装置100はお互いのアンテナ2、9同士を向かい合わせ、その間隔は20cm程度として測定環境外乱の影響が無い状態とした。試験装置100に付加されているアンテナ9はホーンタイプのアンテナを使用した。
【0048】
試験装置100に使用した周波数変換器の方式は90°ハイブリッド回路15を含むシングルバランスタイプとした。
【0049】
図6は、周波数変換器13のレイアウト及び部品実装図を示す。面積が25[mm]×25[mm]、厚さが0.2[mm]、誘電率が3.38の高周波用両面基板を使用し、ビア21の直径を0.3[mm]とした。90°ハイブリッド回路15は高周波基板にマイクロストリップラインのパターンを用いて形成した。90°ハイブリッド回路15のタイプはブランチラインハイブリッドである。また90°ハイブリッド回路15の使用帯域を広げるため、段数を2段とした。この基板上に高周波用表面実装タイプのダイオード16及びチップ抵抗器による終端器14(100[Ω]のチップ抵抗器を並列)を実装し、周波数変換器13を製作した。この周波数変換器13を貫通孔22を通してケースにネジ止めし、コネクタを取り付けた。このコネクタを介してホーンアンテナであるアンテナ9と接続した。
【0050】
また、ドップラ周波数fdの信号6を発生する信号発生器12は、[kHz]オーダの連続波を発生できるファンクションジェネレータを使用した。
【0051】
このように構成することで、小型、低コストで環境外乱の影響を受けず、かつ精度の良いドップラシフトした周波数f0+fdを発生できる試験装置100を構築することができる。
【0052】
すなわち、ホーンアンテナであるアンテナ9、ファンクションジェネレータである信号発生器12、及び高周波表面実装基板である周波数変換器13のみで試験装置100を構成することにより精度の良いドップラシフトした周波数f0+fdの生成を可能とすると共に装置の小型化、低コスト化を同時に達成した。
【0053】
以上説明したように、上述した実施形態によれば、マイクロストリップラインで形成した簡易なパターンをもつ基板に二つのダイオード16を実装し、アンテナ9及びコネクタを付加するのみで周波数変換器13を形成できるため、装置を小型かつ安価に実現できる。装置が小型なので小スペースの環境で試験できる。しかも、ドップラレーダ装置1や速度計と、試験装置100とのそれぞれのアンテナ2、9間を近接することにより、外乱の影響を無視することができるため、測定評価が安定する。
【0054】
信号発生器12を用いて電気的にドップラ周波数を生成するので、精度の良いドップラシフトした周波数f0+fdの信号を生成できる。また使用した周波数変換器13の性能により、他の不要波出力を抑圧できるため測定の精度が向上する。
【0055】
なお、複数の周波数が混在したドップラ周波数を生成すれば、複数ターゲットを想定したドップラ信号を擬似的に作り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この実施形態に係るドップラレーダ装置の試験装置を含む試験システムの構成図である。
【図2】周波数変換器の模式的実装図である。
【図3】周波数変換器の回路図である。
【図4】ダイオードの電流と電圧の関係式を示す説明図である。
【図5】試験装置を電波式速度計の性能評価に使用した試験システムの構成図である。
【図6】周波数変換器の一例を示すレイアウトを示す部品配置図である。
【図7】ドップラレーダ装置の動作説明に供される説明図である。
【図8】機械的にドップラ周波数を作り出す方式の説明図である。
【図9】サーキュレータを含み、電気的にドップラ周波数を作り出す方式の説明図である。
【図10】送受信アンテナを個別とし、電気的にドップラ周波数を作り出す方式の説明図である。
【符号の説明】
【0057】
1…ドップラレーダ装置 2、9…アンテナ
4…基準周波数の信号 3…測定対象物
5…ドップラシフトした周波数の信号 6…ドップラ周波数の信号
7…可変減衰器 8…ドップラ信号発生器
10…サーキュレータ 11、13…周波数変換器
12…信号発生器 14…終端器
15…90゜ハイブリッド回路 16…ダイオード
17…RFポート 18…LOポート
19…IFポート 20…混合回路(混合器)
21…ビア 22…貫通孔
24…速度計 100…試験装置
102、120…ドップラレーダ試験システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送受信兼用のアンテナと、
このアンテナに接続される周波数変換器と、を有し、
前記周波数変換器は、
前記アンテナを通じて基準周波数の信号を入力するとともに、前記アンテナに対してドップラシフトした信号を出力する入出力兼用端子と、
ドップラ周波数の信号を入力する入力端子と、を備え、
前記入力端子を通じて供給される前記ドップラ周波数の信号により前記入出力兼用端子を通じて供給される前記基準周波数の信号を周波数変換してドップラシフトした信号を生成し、前記入出力兼用端子に出力する
ことを特徴とするドップラレーダ装置の試験装置。
【請求項2】
請求項1記載のドップラレーダ装置の試験装置において、
前記周波数変換器は、90°ハイブリッド回路と二つのダイオードで構成されたシングルバランスドミキサである
ことを特徴とするドップラレーダ装置の試験装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のドップラレーダ装置の試験装置において、
前記ドップラ周波数の信号は、信号発生器により発生された信号である
ことを特徴とするドップラレーダ装置の試験装置。
【請求項1】
送受信兼用のアンテナと、
このアンテナに接続される周波数変換器と、を有し、
前記周波数変換器は、
前記アンテナを通じて基準周波数の信号を入力するとともに、前記アンテナに対してドップラシフトした信号を出力する入出力兼用端子と、
ドップラ周波数の信号を入力する入力端子と、を備え、
前記入力端子を通じて供給される前記ドップラ周波数の信号により前記入出力兼用端子を通じて供給される前記基準周波数の信号を周波数変換してドップラシフトした信号を生成し、前記入出力兼用端子に出力する
ことを特徴とするドップラレーダ装置の試験装置。
【請求項2】
請求項1記載のドップラレーダ装置の試験装置において、
前記周波数変換器は、90°ハイブリッド回路と二つのダイオードで構成されたシングルバランスドミキサである
ことを特徴とするドップラレーダ装置の試験装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のドップラレーダ装置の試験装置において、
前記ドップラ周波数の信号は、信号発生器により発生された信号である
ことを特徴とするドップラレーダ装置の試験装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−23152(P2006−23152A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200419(P2004−200419)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】
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