ドップラー運動センサー装置およびその使用方法
血管、およびその中を運ばれる流体の特性を感知する装置および方法。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、「OPTICAL SENSOR APPARATUS AND METHOD OF USING SAME」を名称とする米国特許出願第12/119,315号、「DOPPLER MOTION SENSOR APPARATUS AND METHOD OF USING SAME」を名称とする米国特許出願第12/119,339号、「INTEGRATED HEART MONITORING DEVICE AND METHOD OF USING SAME」を名称とする米国特許出願第12/119,325号、「METHOD AND SYSTEM FOR MONITORING A HEALTH CONDITION」を名称とする米国特許出願第12/119,462号(全て2008年5月12日出願)、および、「DOPPLER MOTION SENSOR APPARATUS AND METHOD OF USING SAME」を名称とする米国特許出願第12/206,885号(2008年9月9日出願)(これらはすべて本発明と同じ発明者による)の優先権を主張し、全出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔出願の分野〕
本発明は、感知装置に関し、より具体的には、流体の速度を感知するための感知装置に関する。
【0003】
〔背景〕
医学的理由から、患者のin vivoパラメータは、ある期間にわたり監視されることを必要とする場合がある。心臓の不整脈は、心臓に血液を全身に送り出させる電気インパルスの正常なシーケンスの変化である。不整脈を検出するのに連続的な監視が必要とされることがある。これは、異常な心臓のインパルス変化が、散発的に起こるに過ぎない場合があるためである。連続的な監視により、医療関係者は、心臓の状態を特徴づけ、また、適切な治療過程を確立することができる。
【0004】
心拍数を測定する先行技術の1装置は、Medtronic(米国ミネソタ州ミネアポリス)による「Reveal」モニターである。この装置は、例えば患者の失神(卒倒)が心臓の鼓動の問題に関係しているかどうかを判断する際に使用される、植え込み型心臓モニターを含む。Revealモニターは、最大14ヶ月間、心拍数および心臓の鼓動を連続して監視する。卒倒症状の発現から目覚めた後、患者は、植え込まれたRevealモニターの上で皮膚の外側に記録装置を置き、ボタンを押して、モニターから記録装置にデータを移す。記録装置は、医師に提供され、医師は、記録装置に記憶された情報を分析して、異常な心臓の鼓動が記録されているかどうかを判断する。記録装置の使用は、自動的でも自発的(autonomic)でもなく、したがって、モニターから記録装置に情報を移すため、患者に意識があること、または別の人間の介入が必要とされる。
【0005】
別の既知のタイプの植え込み型監視装置は、トランスポンダー型装置であり、この装置では、トランスポンダーが患者に植え込まれて、その後、ハンドヘルドの電磁式読取装置で、非侵襲的にアクセスされる。後者のタイプの装置の例は、米国特許第5,833,603号に記載されている。
【0006】
〔概要〕
第1の例示的な実施形態では、信号を取得し測定値を算出するための感知装置が提供される。この感知装置は、音響エネルギーを送り、音響エネルギーを受け取り、受け取った音響エネルギーを1つまたは複数の信号に変換する1つまたは複数のトランスデューサーを含むセンサーであって、1つまたは複数のトランスデューサーは、血管の片側を向く、センサーと、1つまたは複数のトランスデューサーを操作し1つまたは複数の信号を処理して測定値を得る、算出装置と、センサーおよび算出装置を取り囲むハウジングと、を含む。
【0007】
第1の実施形態のバリエーションでは、算出装置は、血管により運ばれる流体のパラメータ値を算出するアルゴリズムを含む。その一例では、パラメータは、流体速度である。その別の例では、流体は血液であり、パラメータ値は、血液速度である。
【0008】
第1の実施形態の別のバリエーションでは、感知装置は、通信信号を送受信する通信装置をさらに含む。その一例では、通信信号は、血管の位置を表す相対位置の値、および警報のうち少なくとも一方を含む。その一例では、通信装置は、ドッキングステーション、第2の感知装置、およびエネルギー源のうち1つまたは複数に動作可能に連結されるように構成されたコネクタを含む。
【0009】
第1の実施形態のさらなるバリエーションでは、ハウジングは、皮下に植え込まれるように構成される。
【0010】
第1の実施形態のさらに別のバリエーションでは、1つまたは複数のトランスデューサーはそれぞれ、トランスデューサーセグメントの直線アレイを含む。その一例では、トランスデューサーセグメントは、音響エネルギーを伝達し、かつ受け取るために選択的に作動される。
【0011】
第1の実施形態の別のバリエーションでは、1つまたは複数のトランスデューサーのうち少なくとも1つが、1つまたは複数のトランスデューサーのうち別のものにより伝達される音響エネルギーの周波数とは異なる周波数で、音響エネルギーを伝達する。
【0012】
第1の実施形態のさらなるバリエーションでは、1つまたは複数のトランスデューサーは、互いに対して角度をなして位置付けられる。
【0013】
第1の実施形態のバリエーションでは、感知装置は、25セント硬貨を2枚重ねたのとほぼ同じ寸法である。
【0014】
第1の実施形態の別のバリエーションでは、装置は、エネルギー貯蔵装置をさらに含む。その一例では、エネルギー貯蔵装置は、エネルギー貯蔵装置を再充電するためにエネルギーを受け取るエネルギーカプラーを含む。
【0015】
第1の実施形態のさらなるバリエーションでは、各トランスデューサーは、音響エネルギー源を含み、トランスデューサーは、音響エネルギーを通過させる窓を有し、音響エネルギー源は、音響エネルギーの通過を妨げ、かつ隣接するトランスデューサー間の干渉を防ぐ材料により、部分的に囲まれている。
【0016】
第1の実施形態のなおさらなるバリエーションでは、感知装置は、第1のトランスデューサーに対してゼロより大きな角度で向けられた第2のトランスデューサーをさらに含む。一例では、第1および第2のトランスデューサーは、第1の窓および第2の窓それぞれを通じて音響エネルギーを伝達し、第1の窓は、第1のトランスデューサーと第2のトランスデューサーとの間の音響干渉を減少させる遮断材料により、少なくとも部分的に囲まれている。別の例では、第1のトランスデューサーおよび第2のトランスデューサーは、異なる周波数で音響エネルギーを伝達する。
【0017】
第1の実施形態の別のバリエーションでは、血液パラメータは血液速度を含む。一例では、感知装置は、複数の光信号を送受信するように構成された光センサーをさらに含み、算出装置は、光信号に基づいて、血管の直径、および血管と血管の方を向く壁(vessel facing wall)との間の距離を計算し、算出装置は、血液速度、直径、および距離に基づいて、血圧をさらに計算する。
【0018】
第1の実施形態のさらなるバリエーションでは、感知装置は、通信信号を送受信する通信装置をさらに含む。一例では、通信信号は距離を含む。別の例では、算出装置は、血液速度および直径に基づいて、血圧をさらに計算する。さらに別の例では、通信信号は警報を含む。
【0019】
第1の実施形態のさらに別のバリエーションでは、算出装置は、血液パラメータを用いて状態を診断し、その状態に応答して機能を実行する。一例では、その機能は、警報を伝達すること、治療を開始すること、電気ショックを施すこと、薬剤を送達すること、およびデータを連続的に通信装置と通信することのうち、少なくとも1つを含む。
【0020】
第1の実施形態のさらなるバリエーションでは、感知装置1は、ドッキングステーション、第2の感知装置、およびエネルギー源のうち1つまたは複数に動作可能に連結するように構成された、コネクタを含む。別のバリエーションでは、ハウジングは、皮下に植え込まれるように構成される。さらに別のバリエーションでは、感知装置は、25セント硬貨を2枚重ねたのとほぼ同じ寸法である。なおさらなるバリエーションでは、感知装置は、エネルギー貯蔵装置、およびエネルギー貯蔵装置を再充電するためにエネルギーを受け取るエネルギーカプラーをさらに含む。
【0021】
第2の例示的な実施形態では、信号を取得しデータを送信する方法が提供される。この方法は、感知装置を提供する工程であって、感知装置は、音響エネルギーを伝達し、音響エネルギーを受け取り、かつ音響エネルギーを1つまたは複数の信号に変換する1つまたは複数のトランスデューサーであって、血管の片側を向く、1つまたは複数のトランスデューサー、1つまたは複数のトランスデューサーを操作し、1つまたは複数の信号を処理して測定値を得る、算出装置、ならびにセンサーおよび算出装置を取り囲むハウジングを含む、工程と、1つまたは複数のトランスデューサーから音響エネルギーを伝達する工程と、1つまたは複数の信号を得るために1つまたは複数のトランスデューサーから音響エネルギーを受け取る工程と、測定値を得るために1つまたは複数の信号を処理する工程と、流体の特性を示すパラメータ値を得るために測定値を分析する工程と、を含む。
【0022】
第2の実施形態のバリエーションでは、感知装置は、血管から離れたセンサーをさらに含み、このセンサーは、1つまたは複数のトランスデューサーを含み、トランスデューサーのうち少なくとも1つは、異なる方向に向けられた2つのトランスデューサー部分を含み、この2つのトランスデューサー部分のうち少なくとも一方は、音響エネルギーが血管に当たるところで測定すると、血管の長さ方向軸に対して多くとも約20°の角度に向けられる。
【0023】
第2の実施形態のバリエーションでは、流体は血液であり、パラメータは、血圧および血液速度のうち一方である。
【0024】
第2の実施形態の別のバリエーションでは、方法は、相対位置の値を得て、相対位置の値をメモリに記憶させる工程をさらに含む。その一例では、得る工程は、相対位置の値を通信装置から受信する工程と、相対位置の値をメモリに記憶させる工程と、を含む。その別の例では、感知装置は光センサーを含み、得る工程は、相対位置情報を光センサーから受信する工程と、相対位置情報を相対位置の値に変換する工程と、を含む。
【0025】
第2の実施形態のさらに別のバリエーションでは、方法は、パラメータ値を用いて状態を診断する工程と、診断する工程に応答して機能を実行する工程と、をさらに含む。その一例では、機能は、警報を伝達すること、治療を開始すること、電気ショックを施すこと、薬剤を送達すること、およびデータを連続して通信装置と通信することのうち、少なくとも1つを含む。
【0026】
第2の実施形態のさらなるバリエーションでは、受け取る工程は、パラメータ値を算出するため、1つまたは複数のトランスデューサーのうち少なくともいくつかから、信号を連続的に得る工程を含む。
【0027】
第2の実施形態の別のバリエーションでは、1つまたは複数のトランスデューサーはそれぞれ、トランスデューサーセグメントの直線アレイを含む。その一例では、方法は、1つまたは複数のトランスデューサーセグメントを選択し、選択されなかったトランスデューサーセグメントによる音響エネルギーの伝達および受け取りを防ぐ工程をさらに含む。一例では、選択する工程は、流体の流れの方向に対する音響エネルギーの入射角を決定する工程と、入射角が20°以下である場合にトランスデューサーセグメントを選ぶ工程と、を含む。別の例では、感知装置は、光センサーをさらに含み、選択する工程は、伝達する音響エネルギーが遮られる任意のトランスデューサーセグメントを光センサーで識別する工程と、遮られないトランスデューサーセグメントを選ぶ工程と、を含む。
【0028】
第3の例示的な実施形態では、血管およびその血管を通って流れる血液のうち少なくとも一方の特性を音響的に測定する装置が提供される。この装置は、第1の側および第2の側を有するハウジングと、ハウジングに取り付けられるセンサー組立体であって、ハウジングの第1の側を通して音響エネルギーを伝達し、ハウジングの第1の側を通して音響エネルギーを受け取り、かつ音響エネルギーを信号に変換する1つまたは複数のトランスデューサーを含む、センサー組立体と、1つまたは複数のトランスデューサーを作動させ、信号を解釈して特性を決定するように構成された算出装置と、を含む。
【0029】
第3の例示的な実施形態のバリエーションでは、1つまたは複数のトランスデューサーは、2つのトランスデューサー部分を含む第1のトランスデューサーを含み、2つのトランスデューサー部分は、血管に向かって異なる方向に向けられ、この2つのトランスデューサー部分のうち一方は、音響エネルギーが血管に当たるところで測定すると、血管の長さ方向軸に対して多くとも約20°の角度で向けられる。
【0030】
第3の例示的な実施形態のバリエーションでは、センサー組立体は、音響エネルギー遮断材料を含み、音響エネルギーを伝達しかつ受け取る窓を含む。
【0031】
第3の例示的な実施形態のバリエーションでは、ハウジングは、音響エネルギー遮断材料で作られており、音響エネルギーを伝達しかつ受け取る窓を含む。
【0032】
第4の例示的な実施形態では、信号を取得し測定値を算出するシステムが提供される。システムは、患者に植え込まれる心臓装置と、音響エネルギーを伝達し、音響エネルギーを受け取り、かつ受け取った音響エネルギーを1つまたは複数の信号に変換する1つまたは複数のトランスデューサーを含むセンサーであって、1つまたは複数のトランスデューサーは、血管の片側の方を向く、センサーと、1つまたは複数のトランスデューサーを操作し、1つまたは複数の信号を処理して、静脈および動脈のうち一方を含む血管を流れる血液の血液速度値を得る、算出装置と、センサーおよび算出装置を取り囲むハウジングと、を含む。
【0033】
第4の例示的な実施形態のバリエーションでは、システムは、1つまたは複数のトランスデューサーから得た1つまたは複数の信号に基づいて通信信号を送受信する通信装置をさらに含む。
【0034】
第4の例示的な実施形態の別のバリエーションでは、心臓装置は、ハウジング内部に封入されている。
【0035】
第4の例示的な実施形態のさらなるバリエーションでは、センサーおよび算出装置は、ハウジングの外側に位置付けられた心臓装置に動作可能に連結される。
【0036】
第4の例示的な実施形態のさらに別のバリエーションでは、トランスデューサーセグメントは、音響エネルギーを伝達し受け取るように、選択的に作動される。
【0037】
第5の例示的な実施形態では、血圧を測定するように構成された感知装置が提供される。感知装置は、供給源波(source waves)を出し、反射波を検出する複数のトランスデューサーを有するドップラーセンサーであって、ドップラーセンサーは、関連する基準場所を有する、ドップラーセンサーと、基準場所と血管の近傍壁との間の第1の距離および基準場所と血管の遠隔壁との間の第2の距離を表す複数の信号を生成する複数のエミッターおよび複数の検出器を含む、光センサーと、複数の圧力計算結果それぞれについて、血管の面積を算出するため第1および第2の距離を決定するように、また、血管を通って流れる血液から反射波を検出するトランスデューサーのセグメントを決定し、それによって血液の速度を決定するように構成された、算出装置であって、速度および面積は血圧を算出するのに使用される、算出装置と、を含む。
【0038】
第5の例示的な実施形態の別のバリエーションでは、反射波を検出するトランスデューサーのセグメントは、血液の流れの方向を決定し、血液の流れの方向の+/−20°の範囲に入る波の向きを持つ反射波を検出するセグメントを、複数のトランスデューサーの中から選択することによって、決定される。
【0039】
第5の例示的な実施形態のさらなるバリエーションでは、血圧は、トランスデューサーのセグメントにより検出された反射波から得られる収縮期圧および拡張期圧それぞれに対応する複数の血液速度測定値から計算された、最大および最小の血液速度と、収縮期圧および拡張期圧に対応する時点で得られた第1および第2の距離の測定値に基づいて算出された、血管の最大および最小の直径と、に基づいている。
【0040】
添付図面と共に理解される、本発明の実施形態に関する以下の説明を参照することにより、本発明の特徴、およびそれらを得る方法がより明らかになるであろうし、本発明自体が、よりよく理解されるであろう。
【0041】
対応する参照符号は、いくつかの図面にわたって、対応する部品を示す。図面は本発明の実施形態を示すが、これらの図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、ある特徴部は、本発明をよりよく例示および説明するために、強調されているかもしれない。本明細書で述べる例示は、本発明の実施形態をいくつかの形態で例示しており、そのような例示は、いかなる方法によっても、本発明の範囲を制限するものと解釈されるものではない。
【0042】
〔詳細な説明〕
以下に論じる実施形態は、包括的であること、または、以下の詳細な説明に開示される正確な形態に本発明を限定することを意図したものではない。むしろ、実施形態は、当業者がそれらの教示を利用できるように、選択され説明されている。
【0043】
図1Aは、例示的な一実施形態による感知装置1を示す。感知装置1は、概して、ドップラーセンサー60、算出装置20、通信装置30、およびエネルギー貯蔵装置40を含む複数の構成要素を含み、これらの構成要素はそれぞれ、ボード80に取り付けられ、算出装置20と電子通信している。構成要素は、ハウジング90で囲まれている。一実施形態では、エネルギー貯蔵装置40は、外部エネルギー源46から電磁エネルギー波44を受け取るように構成されている。
【0044】
一実施形態では、感知装置1は、患者の生理学的状態を決定するように構成される。「患者」とは、生理学的状態が感知装置1により測定される人間または動物を意味する。本明細書に開示する発明は、医学的状況で説明されるが、本明細書に開示する教示は、経時的に測定を行うために小型のデータ取得組立体が望ましい、他の状況で等しく適用可能である。例えば、センサー組立体は、水没するかまたは到達が困難な適用(submersed or difficult to reach applications)、危険な環境、重量およびサイズ制限を有する適用、実地調査活動などで、望ましい場合がある。
【0045】
一実施形態では、感知装置1は、患者の身体において皮下に植え込まれる。しかしながら、感知装置1は、様々な植え込み技術を用いて異なる場所に植え込まれ得ることが理解されるべきである。例えば、感知装置1は、胸郭の下で胸腔内に植え込まれてよい。ハウジング90は、円形または楕円形のディスクの形状に形成されてよく、寸法は、25セント硬貨を2枚重ねたのとおおよそ同じである。当然のことながら、ハウジング90は、適用に応じて、様々な他の形状で構成されてよい。ハウジングは、患者の身体内部で皮下に組立体を固定するために、縫合糸を受容するよう、図1Bおよび図1Cに示す、外側に突出する4つのループ92を含むことができる。ハウジング90の形状に応じて、より多いかまたはより少ないループ92が設けられてよい。そのように固定されると、ドップラーセンサー60は内側を向いて位置付けられ、一方、以下で詳細に説明するエネルギーカプラーは、外側を向く。
【0046】
感知装置1の別の実施形態では、ドップラーセンサー60、および感知装置1の他の特徴部は、ペースメーカー、心臓再同期療法(CRT)装置、植え込み型除細動器(ICD)などといった、植え込み型心臓装置と統合される。一実施形態では、この統合は、感知装置の構成要素と心臓装置とを組み合わせることにより達成され得る。心臓装置が算出装置を含む場合、例えば、方法を実行するアルゴリズムが、第2の算出装置を加える代わりに心臓装置の算出装置と組み合わせられてよい。同様に、エネルギー貯蔵装置および通信装置は、重複(duplication)を防ぐために組み合わせられてよい。一実施形態では、感知装置のいくつかの構成要素は、ハウジング内部に含まれ、いくつかの構成要素は、心臓装置と共に含まれる。心臓装置、およびハウジング内の構成要素は、動作可能に接続される。
【0047】
別の実施形態では、感知装置1は、患者の身体の外側に位置付けられる。支持部材が設けられて、感知装置1を身体の外部に支持する。支持部材は、感知装置1に永続的または一時的に連結されることができる。一実施形態では、支持部材は、支持部材を患者の身体に接着連結する接着層を含む。別の実施形態では、支持部材は、患者の身体に対して感知装置1を保持するための、弾性であってよいベルトを含む。
【0048】
感知装置1は、超音波機器などの外部マッピングシステムの助けを借りて、皮下に植え込まれるか、または患者の上に位置付けられることができる。適切に設置することで、目的の血管が、感知装置1の感知範囲内に確実に位置する。目的の血管が大動脈である場合、感知装置1は、患者の胸部または背中の上で、本明細書に記載する方法で取得される測定値の、肋骨による干渉を減少させる場所に、位置付けられてよい。
【0049】
1.ドップラーセンサー
ドップラーセンサーは、物体に超音波を照射し、反射した超音波を受け取る、1つまたは複数のトランスデューサーを含む。目的の流体の速度は、超音波エネルギーの高周波照射波(insonifying wave)を既知の角度で流体の方へ向け、反射した超音波エネルギーの周波数シフトを測定し、次に流体の速度を計算することによって、決定することができる。ドップラー周波数シフトは、高周波照射波に平行な速度ベクトルの成分に比例する。流体の速度vは、以下の等式により決定される:
v=fd・c/(2・f・cosθ)
式中、cは、血液中の音速であり、fは、高周波照射波の周波数であり、θは、波と速度ベクトルとの間の角度であり、fdはドップラー周波数シフトである。速度測定値に基づいて血圧を計算する方法の実施形態は、図9〜図12に関して、以下に十分詳細に説明している。
【0050】
トランスデューサーは、音響エネルギーを電気信号に変換し、電気信号を音響エネルギーに変換する装置である。周波数シフトは、トランスデューサーの操作方法に応じて、様々な方法により計算されることができる。1つの操作方法では、ドップラーセンサーは、連続波センサーであってよい。連続波ドップラーセンサーは、超音波を伝達するトランスデューサー、および超音波を受け取るトランスデューサーを含む。この方法における周波数シフトは、2つの波を比較することにより直接測定される。別の方法では、パルス波ドップラーセンサーが使用され得る。パルス波ドップラーセンサーは、超音波を伝達し受け取る、単一のトランスデューサーを有する。波を伝達した後、ドップラーセンサーは、伝達操作モードから受け取り操作モードに切り替わる。周波数シフトは、その後に受け取る波同士の間で位相シフトを比較することにより測定される。連続して伝達され受け取られた複数の波は、位相シフトの計算に必要である。Kasaiまたは相互相関アルゴリズムなど、周知のアルゴリズムを用いて、受け取ったパルスと伝達されたパルスとの間の位相シフトを得ることができる。
【0051】
トランスデューサーは、コイル、圧電性物質、および他の適切なトランスデューサーを含むことができる。トランスデューサーは、音響エネルギーの狭い波、またはビームを伝達するように焦点を合わせられていてよい。トランスデューサーは、音響エネルギーの広い波、すなわち集中していない波を伝達することもできる。所望の量のエネルギーで大きな領域に超音波を照射することができる音波を伝達するために、2つまたは3つ以上のトランスデューサーが直線アレイに組み合わせられてよい。大きいとは、単一のトランスデューサーで超音波を照射し得る領域より大きな領域を意味する。直線アレイは、それらが単一のトランスデューサーを構成しているかのように駆動され得るよう、接続されてよい。直線アレイは、各トランスデューサーセグメントが別個のトランスデューサーとして動作するように接続されてもよい。
【0052】
図2は、赤血球5中にヘモグロビンを有する血液4を運ぶ血管3と、ドップラーセンサー60との間の関係を示す。ドップラーセンサー60は、血管3により運ばれる流体4の方を向いて位置付けられたトランスデューサー61を有する。トランスデューサー61により伝達される波62が、トランスデューサー61の表面に垂直な中心線63により示される方向に沿って伝わっているところが示される。矢印6は、血管3内の流体4の流れの方向を示す。ドップラーセンサー60は、感知組立体1におけるその機能を説明するために本明細書に記載されるが、本明細書に記載する他のドップラーセンサーが、同じ機能を行ってもよく、概して、本特許出願および関連特許出願におけるドップラーセンサー60への言及は、本明細書に記載する他のドップラーセンサーにも等しく適用可能である。
【0053】
一実施形態では、ドライバ装置、例えばパルス発生器が、所望の周波数に対応する出力を与える。この出力は、算出装置20と統合されるかまたは算出装置20の外部に設けられたトランジスタなどの増幅器により増幅されることができる。出力は、波形を含むことができる。算出装置20は、周波数生成機能をもたらすことができる。代替的な実施形態では、ドライバ装置により、所望の超音波周波数に対応する電圧がトランスデューサーに与えられ、トランスデューサーは、電気エネルギーを、超音波の形をした音響エネルギーに変換する。
【0054】
一実施形態では、感知装置1は、他の装置に接続され、他の装置と情報交換する、通信ポートを有する。コネクタ85が図示される。感知装置1の他の構成要素に接続されるコネクタ85の働きは、図8を参照して、以下にさらに詳細に説明される。
【0055】
図3は、反射された超音波64を示す。波64は、中心線63で示される方向に沿って伝わっているところが示される。波64は、波62とは反対の方向に伝わる。波64は、波62の周波数とは異なる周波数も有する。その差は、トランスデューサーを選択することにより決定される。一実施形態では、波62は連続波であり、波64は、波62と同時に反射される。別の実施形態では、波62は、反射波64がトランスデューサーAに到達する前にトランスデューサーAにより伝達されたパルス波である。算出装置20は、トランスデューサーAを方向付けて、波62を伝達し、波64が伝達装置Aに到達するのに必要な時間を測定することができる。波は、既知の一定の速度で軟組織の中を移動する。中心線63に沿ったトランスデューサーAから血管3までの距離は、波62の伝達と、波64の受け取りとの間の移動時間から計算され得る。
【0056】
図4は、直線アレイトランスデューサーA、BおよびCを含むドップラーセンサー70を示す。ドップラーセンサー70は、感知装置1の他の構成要素と連結または統合されることができる。トランスデューサーA、BおよびCはそれぞれ、各トランスデューサーに電力供給するドライバ装置(不図示)と動作可能に接続され、各トランスデューサーに、目的の流体まで、ある距離を移動することのできる超音波を伝達させ、流体に達したら、位相シフトした波を反射する。トランスデューサーA、BおよびCはそれぞれ、異なる周波数で駆動されて、ドップラーセンサー70により受け取られる反射波の供給源を識別することができる。便宜上、直線アレイの各トランスデューサーは、本明細書中、トランスデューサーセグメントと呼ばれる。図示の実施形態では、各直線アレイトランスデューサーは、5つのトランスデューサーセグメントを含む。トランスデューサーセグメントは、別々にまたは同時に作動されるように、動作可能に接続されることができる。1つまたは複数のトランスデューサーセグメントの別々の作動は、電力消費を制限するために望ましい。1つより多いトランスデューサーセグメントが、伝送波の範囲を広めるために同時に作動されてよい。当然のことながら、直線アレイの全セグメントが作動されると、直線アレイは、単一のトランスデューサーとして動作する。ドップラーセンサー70は、3つのこのようなトランスデューサーを含むことができる。
【0057】
トランスデューサーA、BおよびCは、互いに対して角度をなして配される。図4に示す一実施形態では、トランスデューサーBおよびCは、トランスデューサーAに対して45°の角度で、また、互いに対して90°で配される。トランスデューサーは、他のトランスデューサーに対して異なる角度で位置付けられてもよい。位置および角度は、音響エネルギーを血管から最適に反射する方向に、音響エネルギーを向けるように選択される。選択は、少なくとも部分的には、患者の解剖学的構造に基づく。患者の解剖学的構造は、感知装置1をどこに置くか、例えば、外側、または植え込まれる、前もしくは後ろに位置付けられるということを決定することができ、感知装置1の位置により、ドップラーセンサーから目的の血管までの距離が決定される。一実施形態では、トランスデューサーBおよびCは、トランスデューサーAに対して30°の角度で、また互いに対して120°の角度で、配される。
【0058】
トランスデューサーAはセグメントA1〜A5を含み、トランスデューサーBはセグメントB1〜B5を含み、トランスデューサーCはセグメントC1〜C5を含む。各セグメントは、超音波エネルギーを、波の形で伝達し受け取ることができる。各セグメントで生じセグメントに垂直に突出する矢印が、各セグメントにより伝達される波の方向を表す。さらに、矢印72、74および76が、全体としてトランスデューサーA、BおよびCによって生じる波の方向をそれぞれ表す。音響エネルギーの周波数は、トランスデューサーと標的の流体との間の距離の関数として選択される。トランスデューサーは、2〜10MHzの範囲の周波数で、概してエネルギーを与えられて、患者の軟組織を通過した後、概して3〜20cmの範囲の距離のところで、血液を運ぶ血管に到達することができる。一実施形態では、トランスデューサーA、BおよびCはそれぞれ、2〜10MHzの範囲の周波数でエネルギーを与えられる。別の実施形態では、トランスデューサーAの1つまたは複数のセグメントは、5MHzの周波数でエネルギーを与えられ、トランスデューサーBの1つまたは複数のセグメントは、4.5MHzの周波数でエネルギーを与えられ、トランスデューサーCの1つまたは複数のセグメントは、5.5MHzの周波数でエネルギーを与えられる。反射波が、直線アレイトランスデューサーの各セグメントで測定されることができる。各セグメントは、連続してエネルギーを与えられてよく、複数回、エネルギーを与えられてよい。他の実施形態では、5つより多いかまたは少ないセグメントが使用されて、トランスデューサーユニットを形成することができる。一実施形態では、10〜15個のセグメントが使用される。
【0059】
ドップラーシフトまたは周波数シフトは、衝突波に平行な速度ベクトルの成分に比例する。ドップラーシフトは波と速度ベクトルとの間の角度θの余弦に依存し(depends from)、余弦関数は0〜1の範囲であるので、速度ベクトルに平行に向けられた波により生成された信号は、最適な信号を生成する。一実施形態では、算出装置20は、角度θ=θ1が20°以下である波からのみ信号を生成する。図5は、速度ベクトル6と、図4に先に示された方向72、74および76を有する波との間の関係を、概念的に示している。図5は、速度ベクトル6に対して角度θ1で配された4本の矢印も示す。矢印74は、θ1より小さい、速度ベクトル6に対する角度を形成しているところが示される。したがって、矢印74により表される方向に向けられた波、この場合、直線アレイトランスデューサーBにより生成された波は、使用可能な信号を生成することができる。対照的に、トランスデューサーAおよびCに対応する、矢印72および76により表される方向に向けられた波は、使用可能な信号を生成しない。
【0060】
一実施形態では、感知装置1は、血管の位置および直径を検出するように構成された光センサー組立体を含む。感知装置1は、血管の位置に基づいて、どのトランスデューサーが使用可能な信号を生成しないか、また、エネルギーを節約するため、どのトランスデューサーが、使用可能な信号を生成し得るトランスデューサーから超音波を伝達するにすぎないか、を決定することができる。
【0061】
ドップラーセンサーの範囲を拡大するため、追加のトランスデューサーが、異なる角度で配されて設けられてよく、トランスデューサーのうち1つまたは複数が、速度ベクトルに対して20°以下の角度で向けられる波を生成する角度で、位置付けられてよい。一実施形態では、ドップラーセンサー70および血管3の相対位置が、時間と共に、または患者の活動レベルおよび姿勢などの他の要因によってわずかに変化したとしても、ドップラーセンサー70が十分な数の信号を得ることができるように、3つのトランスデューサーがK字型に配列される。1つのトランスデューサーにより生成される反射波は、1つより多いトランスデューサーによって受け取られることができる。しかしながら、波は、それぞれの伝達トランスデューサーに対応する周波数を有するので、ドップラーセンサー70は、対応する伝達トランスデューサーの相対位置およびその伝達周波数に基づいて信号を選択的にフィルタリングすることができ、ドップラーシフトが、適切に識別されることができる。周波数シフトは、速度、ならびに流れの方向に対応する。
【0062】
一実施形態では、直線アレイトランスデューサーA、BおよびCのセグメントにより受信された波からの信号は、波が目的の血管以外の血管に当たったときに、取り除かれる。目的の血管以外の血管の場所は、以下に説明する、相対位置データが得られるのと同じ方法で得ることができる。別の実施形態では、算出装置20は、最初に、各セグメントについて角度θを決定し、あるセグメントの角度θが使用可能な信号を生成できる場合にのみ、トランスデューサーA、BおよびCのセグメントに選択的にエネルギーを与え、それによりエネルギーが節約される。さらに、トランスデューサーの全セグメントが使用可能な信号を生成できる場合、算出装置20は、エネルギーを節約するため、生成される信号の数を制限してよい。例えば、5個全てのセグメントが使用可能な信号を生成するように位置付けられる場合、算出装置20は、3つの信号を選択して、5つの信号を生成するのに必要なエネルギーの40%を節約することができる。
【0063】
コイルを含む複数のトランスデューサーが近接して位置付けられる場合、各トランスデューサーは、その他のトランスデューサーの動作に干渉する場合がある。干渉は、適切なフィルターアルゴリズムにより無効にすることができる。しかしながら、このようにフィルタリングすることは、アルゴリズムを処理するために、追加のメモリおよびエネルギーを必要とする。図6A〜図6Dは、トランスデューサー間の干渉を最小限にするように構成されたドップラーセンサー170を示す。ドップラーセンサー170は、コイル176、177および178をそれぞれ有するトランスデューサー171、172および173を含む。図6A、図6B、図6Cおよび図6Dは、それぞれ、ドップラーセンサー171の正面図、側面図、上面図および斜視図である。トランスデューサー171、172および173は、電磁波を遮断するように構成された材料を備える、記号Xで示された3つの辺、ならびに、電磁波を通過させるように構成された材料を備える、記号Yで示された第4の辺において、コイル176、177および178を取り囲む。辺Yは、本明細書では、電磁窓と呼ばれる。遮断材料は、金属を含む任意の適切な材料であってよく、非遮断材料は、プラスチックなど、任意の適切な材料であってよい。遮断材料は、コイル176、177および178間の干渉を物理的に排除し、それにより、エネルギーを節約し、必要メモリを減少させることで感知装置1をさらに小型化することができる。トランスデューサー171、172および173は、共面に置かれるのではなく、積み重ねられる。幾何学的距離の計算に第3次元をスタッキングする、例えば導入するのを補うための計算要件(Computational requirements)が消費する資源は取るに足らない。多くの場合、スタッキング効果は、その取るに足らない効果により、完全に無視できる。
【0064】
図7は、さらに別の例示的な実施形態によるドップラーセンサーを示す。ドップラーセンサー270は、単一または直線アレイトランスデューサーであってよいトランスデューサー271〜279を含む。トランスデューサー271〜279は、3つのK字型に位置付けられ、感知装置1の外形を増大させることなく、したがって計算にスタッキング変数を導入せずに、より広い感知範囲を提供する。ハウジングの形状および感知装置1が置かれる場所に合うように、より多いかまたは少ないトランスデューサーを使用することができる。図示の実施形態では、トランスデューサー271、274および277は、3つのK字型アレイの基部を含む。トランスデューサー271および277は、トランスデューサー274に対して30°の角度で配され、それぞれが、各K字型アレイの、残りの2つの脚に対して45°の角度で配されている。
【0065】
先に論じたように、血液速度の計算には、波と血管3との間の入射角θを知ることが必要である。入射角、および血管3とドップラーセンサーとの相対位置を特徴付ける他のデータは、様々な方法で入手することができる。いったん入手すれば、基準値としてそれをメモリに保管することができる。一実施形態では、相対位置データは、外部装置により通信装置30を通じて算出装置20に提供されることができる。外部装置は、相対位置データを収容する通信装置30に、通信信号を無線送信することができる。別の実施形態では、相対位置データは、別の植え込み装置によって通信装置30を通じて算出装置20に提供されることができる。他の植え込み装置には、ペースメーカー、心臓再同期療法(CRT)装置、植込み型除細動器(ICD)などが含まれるが、これらに限定されない。さらに別の実施形態では、相対位置データは、感知装置1に含まれる別のセンサーまたはセンサー組立体により、算出装置20に与えられてよい。血管の相対位置を検出するセンサー組立体が、前記に参照したOptical Sensorの出願において提供されている。いったん選択した信号が決定されると、算出装置20は、周知の周波数シフトおよび角度アルゴリズムまたはテーブルに従って、伝達された波および受け取られた波の周波数を比較することにより、血液速度値を算出する。
【0066】
感知装置1の別の実施形態では、ドップラーセンサー、および感知装置1の他の特徴部は、ペースメーカー、心臓再同期療法(CRT)装置、植込み型除細動器(ICD)などといった植え込み型心臓装置と統合される。
【0067】
感知装置1は、電力を節約するために比較的まれに(例えば1日当たり1回または2回)血液速度の測定を実施するようにプログラムされてよいが、バッテリーテクノロジーが改善されているので、電力節約は、それほど問題ではなくなり、測定がさらに頻繁に行われ得ることを理解すべきである。さらに、感知装置1が植え込まれていない(すなわち、患者により外部で装着される)場合、電力は、コネクタ85を通じて感知装置1に与えられてよく、それによって、電力を節約して使う必要がなくなり、頻繁な測定、または連続した測定さえ可能になる。
【0068】
2.算出装置
算出装置20は、複数の構成要素を含む。これらの構成要素は、別個の構成要素であるかのように本明細書に記載されているが、構成要素は、特定用途向け集積回路などの単一の装置に組み合わせられてよい。算出装置20は、プロセッサ、メモリ、1つまたは複数のプログラム、入力、および出力を含む。メモリは、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、または他のメモリテクノロジーを含み得るが、これらに限定されない。プロセッサおよびメモリは、集積回路の中に構築されてよい。集積回路は、ドップラーセンサー60、70、170および270のうち1つまたは複数、ならびに通信装置30を含むことができる。さらに、算出装置20は、集積回路上にA/Dおよび/またはD/A変換器を含んでよい。代わりに、A/Dおよび/またはD/A変換器が別個に設けられてもよい。
【0069】
プログラムは、データに応答してタスクを実行するようプロセッサに指示する、コンピュータ命令を表す。プログラムは、メモリ中に存在する。基準データおよび測定データを含むデータもメモリ中に存在する。基準データは、外部入力に応答して、または経時的に収集された測定データの特性に応答して、ROMに記憶されてよく、または経時的に変更され得るようRAMに記憶されてもよい。測定値に応答するプロトコルも設けられてよい。プロトコルは、持続性メモリに記憶されてよく、または、RAMなど非持続性メモリに記憶されてもよい。
【0070】
算出装置20は、入力および出力を通じてドップラーセンサー60、70、170または270および通信装置30を制御する。算出装置20は、ドップラーセンサー60、70、170または270により波の数、周波数、電力レベル、および伝達を制御して、最小量のエネルギーを用いて所望の測定値を得ることができる。
【0071】
図8は、感知装置1と情報を交換するシステム300を開示する。システム300は、オプションとしてコネクタ85(図1Aに図示)を有する、感知装置1を含む。システム300は、コンピュータ302、ケーブル303によりコンピュータ302に動作可能に連結されたドッキングステーション304、および電話306も含んでよい。一実施形態では、システム300は、算出装置20により実行される処理に基づいて、感知装置1に/感知装置1から、無線で通信信号312を送受信する。
【0072】
コネクタ85は、ドッキングステーション304に差し込まれるように構成される。ドッキングステーション304上にドッキングされた感知装置1が図示される。ドッキングされている間、感知装置1は、エネルギー貯蔵装置40を充電することができる。ドッキングステーション304は、コンピュータ302に動作可能に連結されて、患者の上または中に感知装置1を置く前に算出装置20のメモリに記憶されたプログラムおよび基準値を更新する。別の実施形態では、感知装置2は、患者の外部に位置付けられ、コネクタ85は、エネルギー源に操作上連結されて、感知装置2に電力を与え、エネルギー貯蔵装置40の消耗を防ぐ。
【0073】
さらなる実施形態では、追加のセンサーおよび装置が、コネクタ85を通じて感知装置1に連結されることができる。他のセンサーおよび装置は、追加のセンサー組立体2、温度センサー、圧力センサー、および加速度計を含んでよいが、これらに限定されない。その他の装置は、算出装置を含んでも含まなくてもよい。他の装置はまた、ハウジング90内で感知装置1と組み合わせられてよい。統合感知装置が、前記に参照した関連の、Integrated Heartの出願に開示されている。感知装置1の働きは、追加のセンサーおよび装置を操作するように構成された修正プログラムを、算出装置20のメモリにダウンロードすることによって、追加のセンサーおよび装置を操作するように構成されてよい。ダウンロードは、算出装置20がドッキングステーションにドッキングされている間に行われてよい。あるいは、新しいプログラムが、算出装置40を通じて無線でダウンロードされてもよい。
【0074】
図9は、血液パラメータを測定し、測定値に対応して機能を果たすための、算出装置20において作動されるプログラムを示すフローチャートである。工程400で、算出装置20が、ドップラーセンサーから流体速度を表すトランスデューサー信号を得る。一実施形態では、トランスデューサー信号は、電圧および周波数を含む。速度信号は、反射物体により生成される波から生じることを理解するべきである。血液速度の場合、この物体は赤血球である。血液中の赤血球の速度は、血液速度を正確に表すことが概して理解される。
【0075】
工程400は、心臓周期の特定の時点で血液速度を定めるように、心臓周期データに基づいて開始されてよい。工程400はまた、通信装置30を通じて受信された外部コマンドに応じて、または、感知装置1による異常な状態の検出の結果として、開始されてもよい。トランスデューサーA、BおよびCはそれぞれ、連続してエネルギーを与えられる。一実施形態では、トランスデューサーAは、波を伝達し、その後、受け取りモードに切り替わる。ドップラーセンサー70は、トランスデューサーAの構成により決定された方法で、反射波を検出する。トランスデューサーBおよびCは、順に、同じように作動される。別の実施形態では、各トランスデューサーは、伝達要素、および受け取り要素を含み、したがって、トランスデューサーは、音響エネルギーを同時に伝達し受け取るように、作動されることができる。トランスデューサーのラベリング、またはエネルギーを与える順番は重要ではない。より多いかまたは少ないトランスデューサーを利用してもよい。トランスデューサーの数および向きは、意図する目的のために十分なデータを生成する血管3に対する角度で、データを入手するように選択される。
【0076】
工程402で、算出装置20は、信号を処理して測定値を得る。処理には、固有の信号ノイズを除去すること、信号をアナログ形態からデジタル形態に変換すること、スケーリングすること、選択されない波を取り除くこと、および、検出した信号を別様に調節してそれらの信号を測定値に変換することを含んでよい。一実施形態では、1つの心臓周期中に得られた測定値は、平均血液速度を得るために平均化される。別の実施形態では、1つの心臓周期中に得られた高い値および低い値の測定値(high and low value measurements)は、平均血液速度を得るために平均化される。ECGを用いて、血液がいつ最大速度または最小速度で流れるのかを概算することができる。処理後、測定値は、メモリに記憶されてよく、または値を保持すべきかどうか最初に決定するために分析されてもよい。工程400および402は、本明細書で提供される教示に従って所望のパラメータを算出するため十分な測定値を得るように、必要に応じて繰り返されてよい。速度測定値に基づいて血圧を計算する方法の実施形態は、図12を参照して、以下に十分詳細に説明する。
【0077】
エネルギーを節約するため、適切な信号が得られることがかなり確実である場合のみ、ドップラーセンサー70を操作することが望ましい。一実施形態では、低電力消費センサーを用いて、ドップラーセンサー70が作動される前に各トランスデューサーに対する目的の血管の角度を確かめることができる。一実施形態では、感知装置1は、前記に参照したOptical Sensorの出願において特に説明される、赤外センサー組立体2を含む。センサー組立体2は、ドップラーセンサーのトランスデューサーから伝達される波が、ほぼ20°以下の角度で血液の速度ベクトルに交差するように、感知装置1が位置付けられることを確かめる。適切に位置付けられないトランスデューサーにはエネルギーが与えられない。
【0078】
工程404で、算出装置20は測定値を分析する。分析は、測定値に基づいたパラメータデータの計算、および/または診断を含み得る。パラメータデータは、流体速度、心拍出量、心律動などといった算出値を指す。診断は、患者の異常な状態を検出するため、パラメータ値を基準値と比較することを指す。基準値は、特定の患者について、測定されたパラメータの正常値または予測値である。異常な状態が検出された場合、算出装置20は、測定値が収集されたときにそれらを通信する(不要な電力を消費する)か、または、メモリがいっぱいになるかもしくは所定の送信時間に達するまで測定値を送信するのを待つ(患者を待機期間中に不要な危険に曝す)のではなく、警報を伝達することができる。
【0079】
工程400、402および404は、同時に行われてよい。前述した速度を計算する装置および方法は、血液および他の流体の速度を計算するのに有用である。連続した流体の流れの場合の速度計算は、さらなる計算を必要としない。しかしながら、流体の流れが連続したものではなく周期的なものである場合、流れをさらに完全に特徴づけ、また、流れの特性に基づいて異常な状態を診断するために、追加の測定および計算が望ましい。
【0080】
基準値は、標的の値、および許容可能な変動範囲もしくは限界を含むことができる。基準値は、他のセンサーから、または通信装置30を通じて他の装置から入手された測定値も含んでよく、これには、相対位置の値が含まれるがこれに限定されない。
【0081】
パラメータ値は、それらが標的の基準値または範囲外である場合に、異常を示すことができる。いくつかの実施形態では、パラメータ値は、例えば移動平均などの統計値を生成でき、パラメータの統計値が、予測量を超えて、基準の統計値と異なる場合に、異常が検出される。パラメータデータが、所定量を超えて、予測値と異なる場合、算出装置20は、新しい測定サイクルを開始し、異常を診断する前にパラメータデータを確認することができる。
【0082】
1つの異常な医学的状態は、心不整脈である。算出装置20は、例えば心律動が不規則で不整脈を示すかどうかを決定するために、測定値の分析を実行するよう構成されていてよい。
【0083】
さらなる異常な医学的状態は、外部で、または追加のセンサーから得られた値を使用して検出されることができる。感知装置1に含まれ得る追加のセンサーは、前記に参照した、関連のOptical Sensorの出願、Integrated Heartの出願、およびHealth Conditionの出願に開示される。
【0084】
工程406で、算出装置20は、異常な状態、特に、定められたプロトコルに従って重篤または危険な状態と判断される状態、が検出されると、警報を送信する。警報は、警報装置を始動させるか、または治療行為を行うよう患者に警告するために使用されることができる。治療行為は、身体活動を終了させるか、または低減させる場合がある。警報は、全地球測位(GPS)情報を救急施設(emergency service)に与えることもできる。図6を参照すると、異常な状態は、存在することが発見されると、コンピュータ36に表示され、かつ/または、通信装置30によって介護者に送信されることもできる。警報は、状態に対応するテキストメッセージまたはコードを含むことができる。算出装置20はまた、異常な状態の検出に応答して連続的に、新しい測定サイクルおよび測定を開始することもできる。
【0085】
工程408で、算出装置20は、治療を開始することができる。感知装置1は、通信装置30を通じて、警報に応じて治療を実行せよという外部コマンドを受信することができる。オプションとして、プロトコルに基づいて、異常な状態は、治療を施すように構成された装置に、そのような治療を実行する(deliver)よう指示するために、用いられてもよい。治療には、例えば電気ショックまたは薬剤送達が含まれ得る。
【0086】
工程410で、パラメータ値または他の情報が、外部装置に通信される。工程410は、前記の工程のいずれとも同時に実行されてよい。パラメータ値は、メモリに記憶され、また通信装置30によって無線で送信されることができる。通信装置30からの通信信号は、異常な状態に応答して、外部で受信したコマンドに応答して、メモリの使用が所定量を超えるたびに、またはエネルギー貯蔵レベルが低いと判断されるたびに(後者の2つの状態は、メモリのオーバーフローの結果としてのデータロス、もしくはエネルギーロスを防ぐために確立された)、定期的に作動されることができる。感知装置1が通信装置30に加えて通信装置を含み得ることも理解されるべきである。例えば、通信装置30がセルラーモデムである場合、感知装置1は、バックアップブルートゥースまたはRF通信装置も含むことができる。このようなバックアップ装置は、数回の試みの後、セルラーモデムが(例えば、利用可能な電力が低い、ネットワーク範囲が不良などのため)情報を送信できないことが明らかになった状況で望ましい場合がある。このような状況では、算出装置20は、バックアップ通信装置を作動させて、情報または警報を、代替的な外部受信装置に送信することができる。
【0087】
工程410は、実質的にリアルタイムで介護者に最新情報を与えるように、例えばいったん異常な状態が検出されると、実行されることができる。工程410は、1日に1回、1週間に1回、1ヶ月に1回などといった、規則的な間隔で行われてもよい。代わりに、またはこれらの送信に加えて、算出装置20は、要求されたデータ、または要求されたデータを表す情報を通信装置30に送信させることによって、(例えばヘルスケア提供者から)通信装置30により受信されたデータの要求に応答するよう、プログラムされることができる。
【0088】
通信信号は、状態への注意を患者に喚起するように、患者の近くの設備により受信されるか、またはヘルスケア提供者、親族、もしくは他の所定のレシピエントによって、遠隔的に(ネットワークを介してなど)受信されることができる。
【0089】
ある時点での血液速度は、その時点のどこが患者の心臓周期に関係があるかによって左右される。心臓周期は、電気的成分、および流れの成分を有する。電気的成分は、心筋をポンプ運動させる電波を指す。この波は身体を通り抜け、身体に接触する電極を含むプローブで測定され得る。ECGは、心律動、特に異常な律動を測定するのに良い方法である。しかしながら、ECGは、心臓のポンプ運動能力を測定する確かな手段ではない。
【0090】
図10は、2つの心臓周期を示す、心臓の電気的活動のECGグラフ500を示している。典型的なECGは、P波、QRS群、およびT波からなる。等電位線502が、T波と、その後のP波とを分けている。PR間隔504が、P波の始まりから、QRS群の始まりまで測定される。これは通常120〜200ミリ秒の長さである。QRS群は約60〜100ミリ秒の長さである。STセグメントは、QRS群とT波とをつなぐ。典型的なSTセグメントは約80ミリ秒持続する。一実施形態では、感知装置1は、ECGセンサーと、T波、QRS群、およびP波を検出するアルゴリズムと、を含む。
【0091】
心臓周期は、様々な方法で得ることができる。一実施形態では、心臓周期は、外部装置によって通信装置30を通じて算出装置20に提供される。外部装置は、心臓周期データを収容する通信装置30に、通信信号を無線で送信することができる。別の実施形態では、心臓周期データは、別の植え込み装置によって通信装置30を通じて算出装置20に提供されることができる。他の植え込み装置には、ペースメーカー、心臓再同期療法(CRT)装置、植込み型除細動器(ICD)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
一実施形態では、心臓周期データは、感知装置1に含まれる別のセンサーまたはセンサー組立体によって算出装置20に提供されることができる。心臓周期を検出するセンサー組立体が、前記に参照したOptical Sensorの出願で提供されている。さらなる実施形態では、心臓周期データは、ECGセンサーによって算出装置20に提供されることができる。ECGセンサーを含むセンサー組立体が、前記に参照した、関連のIntegrated Heartの出願で提供されている。
【0093】
血流量と、血圧を計算するために血流量を特徴付ける方法の実施形態とを、図11〜図12を参照して説明する。先に述べたように、血液速度および血流量は、心臓周期の関数として変化する。短時間に連続して(in short succession)測定した速度測定値を用いて、収縮期および拡張期の血圧を特徴付けることができる。収縮期の動脈圧は、心臓周期の始めの辺りに起こる、動脈におけるピーク圧力である。拡張期の動脈圧は、(心臓周期の休止期における)最も低い圧力である。収縮期および拡張期の圧力の時間は、最大および最小の血液速度を予測するために概算され得る。
【0094】
血圧を計算する方法の一実施形態では、感知装置1は、収縮期圧に対応するように概算された時間における複数の速度測定値と、拡張期圧に対応するように概算された時間における追加の複数の速度測定値と、を入手する。算出装置20は、(例えば光センサー組立体2により促進された直径測定から決定された)各測定値について大動脈3の計算された内側表面積、および測定間の経過時間を用い、非圧縮性流体について、簡略化したベルヌーイ方程式:PT=PS+PD(式中、PTは全圧であり、PSは静圧であり、PDは流れ(flow stream)におけるある時点の動圧である)を適用して、速度測定値を圧力測定値に変換する。
【0095】
次に図11を参照すると、T1の時間に、動圧PD1、および直径d1は、最大血流量条件下で測定した速度測定値から決定された圧力に対応する。時間T2で、PD2は、最小血流量条件下で測定した速度測定値から決定された圧力に対応し、d2は、時間T2における直径である。大動脈3の場合、最大流動条件(PS1)下での静圧(大動脈3の外壁に対して外側に向けられる力矢印により示される)は、収縮期の血圧測定値に直接対応し、最小流動条件(PS2)下での静圧は、拡張期の血圧測定値に直接対応する。これらの計算は、層流、および血管にわたって均一な速度プロファイルを想定する。流速サンプルは、血管の中心に向けられた波から得た信号により得られてよく、これらの想定の下、流れの期間(flow period)で分割されたドップラー曲線の、分割された速度時間積分として平均速度を計算するのに使用されてよい。
【0096】
収縮期および拡張期の血圧測定値は、大動脈3を通って流れる血液の全圧(PT)をさらに算出することにより、引き出すことができる。PTは、時間の関数として変化する。これは、心臓の活動により作り出された全圧が経時的に変化するためである。例えば、血液が血管内に送り出されているとき、作り出された全圧は、血管への弁が閉じているときに存在する圧力に比べて高い。一実施形態では、全圧は、時間軸上の最小流動条件から最大流動条件への圧力の変化を算出することにより引き出される。本明細書に説明するように、これらの圧力導出は、血管の同時の直径(および面積)測定を利用する。この変化または加速現象は、大動脈3の1回拍出量および既知の弾性と関連して、当技術分野の周知の原理に従って算出装置20が全圧を決定することを可能にする。ゆえに、時間T1で、等式PT1=PS1+PD1は、PS1について解かれ、時間T2で、等式PT2=PS2+PD2はPS2について解かれる。前記のように、PS1およびPS2は、それぞれ、収縮期および拡張期の血圧測定値である。
【0097】
血圧の正確な判定を行う、1つの問題(One complication)は、測定されている血管の直径の可変性である。血液が血管を通って送り出されるとき、血管の柔軟な壁は、膨張および収縮し、それにより血圧測定を果たす(effecting)。この効果は、血管直径の変化の関数として起こる、血液の流れに対する抵抗力の変化の結果である。本開示の一実施形態は、本明細書に記載されるテクノロジーおよび以下の方法を用いて、この可変性を考慮に入れている。
【0098】
前述したように、血圧は、検討中の血管の内壁にかかる静圧に直接関係する。同じく前述したように、血圧(PS)は、血液の流れのこの静圧(PS)および動圧(PD)の和である、血管の全圧(PT)(すなわちPT=PS+PD)を用いて計算される。動圧は、本明細書に記載したように、ドップラーセンサー70を用いて直接測定される。より具体的には、PDは、流量と圧力との間の標準的な関係を用いて、血流量(速度)測定値から得られる。
【0099】
静圧は、血管の直径に一部依存している(直径の変化は抵抗の変化を生じ、これは、測定される静圧に影響する)。血管の直径は、この状況では、本明細書に述べるように、光センサー組立体2を用いて測定される。断面がほぼ円形である血管の面積は、測定された直径から直接算出される。本開示の感知装置1は、患者の心臓周期の最小(Min1、Min2、Min3)および最大(Max1、Max2、Max3)振幅付近で、密集した増分で、血管の面積を算出する。さらに具体的には、図12に示すように、時間速度積分が、1秒当たり50個のサンプルの割合で測定量のサンプルを算出することにより、生成される。各サンプルにおいて、本方法は、(光センサー組立体2を用いて直径の変化を測定することにより)血管3の面積変化を決定し、血管3を通って流れる血液4の速度の増加および減少を決定する。これらの密集したサンプル(10個のサンプルC1〜C10が、Min1で測定されたサンプルの埋め込み図(embedded view)に示されている)における個々の面積および速度の計算は、流量=面積*速度の関係に従って、血液の流量を個々に決定することを可能にする。同様の1組の10個のサンプルC1〜C10が、図12に示すサンプルのピークおよび谷のそれぞれで測定されることが理解されるべきである。単純にするため、ただ1組の10個のサンプルが、拡張した時間軸と共に描かれている。
【0100】
拡張期および収縮期の血圧測定値は、図12のグラフに示すサンプルのピーク(Max1、Max2、Max3)および谷(Min1、Min2、Min3)それぞれにおける時間速度積分測定値に対応する。本開示の一実施形態では、10個のサンプルを、ピーク(数ミリ秒だけ離れている)で測定し、10個のサンプルを、谷(数ミリ秒だけ離れている)で測定する。これらのサンプル群は、図12に示されるように、3つの連続したポンプサイクルのそれぞれについて測定される。当然ながら、より多いかまたは少ないサンプルが、適用に応じて使用され得ることが理解されるべきである。次にサンプルは、平均化され(または範囲外のサンプルを取り除く形でフィルタリングされ)、測定サンプルそれぞれの流量を決定する。
【0101】
測定シーケンスにおける各個々のサンプルから次のサンプルへの、血液の加速は、周知の式a=v2/rにより決定され、式中、vは血液4の速度であり、rは血管3の半径である(前記のように光センサー組立体2により行われた測定から得られる)。加速測定値は次に、当技術分野で周知の原理に従って、圧力に変換される(時間軸上での面積変化および速度変化を考慮する)。この圧力結果は、全圧(PT)を表し、各測定サンプルについて血管3の実際の瞬間的な直径(面積)を考慮し、それにより、血管3の柔軟性により生じる、血圧の潜在的誤差を補償する。PTおよびPDが前記のように各サンプルについて算出された状態で、PSは、各サンプルについてPS=PT−PDの関係により決定される。結果として得られた血圧測定値は、g/mm2単位であり、標準的な換算(例えば、1トル=1.3595e-5Kg/mm^2)に従ってトル単位に変換されてよい。最終的なPSには、ピークにおける10個のサンプルを平均化し、谷における10個のサンプルを平均化することにより、到達する。これにより、3つのピーク値および3つの谷値(すなわちサンプリングされた3つの心臓周期それぞれについて1個)がもたらされる。各周期について、ピークから谷への減速が(経時的に)決定され、谷から次のピークへの加速が(経時的に)決定される。これにより、3つの加速値および3つの減速値がもたらされる。3つのうち各組は、加速についての最終PTおよび減速についての最終PTをもたらすために平均化される。
【0102】
本開示の別の態様は、前述の計算に使用されるドップラー測定値を入手する方法である。より具体的には、本センサー1およびサンプリングされている血管3の、測定された幾何学的外形を用いて、本システムは、ドップラーセンサー70によって測定される反射波の関係ない部分を拒絶するように構成されることができる。前述したように、ドップラーセンサー70の直線アレイトランスデューサーにより放射される波は、全方向に動き、移動路で多くの異なる構造体から反射される。測定されている血液の流れにより反射されている信号の部分のみ、速度を決定するのに使用されるべきである。図13に関して以下で説明するように、センサー1は、この有用なデータを受信する直線トランスデューサーアレイのトランスデューサーセグメントを分離することができる。
【0103】
次に図13を参照すると、距離H1およびH2は、前記に参照した、関連のOptical Sensorの出願でさらに十分に説明されるように、光センサー組立体2により実行される光学測定に基づいて既知である。より具体的には、センサー1のサイズ、およびドップラーセンサー70の中心の場所が既知であるので、ドップラーセンサー70の中心から血管3の各縁までの距離は、本明細書に記載する光センサー組立体2により提供される測定値を用いて、計算されることができる。この例では、関連する速度情報を提供するドップラーセンサー70のトランスデューサー70Bの部分が決定される。トランスデューサー70Bの長さは、呼称X1で表されており、トランスデューサー70Bがセンサー1内に組み込まれた実際のハードウェア構成要素であるため既知である。標準的な幾何学的関係を用いて、センサー1の算出装置20は、角度αを用いて三角形H2,X1,Cの長さCを算出し、角度αは、トランスデューサー70A、70B、70CのK字型の構成に基づいて既知である。同様に、角度βも決定され得る。
【0104】
H1も前述のように光センサー組立体2を用いて測定されたので、角度β1および長さBも決定されることができ、三角形H1,X1,Bの測定値全てがもたらされる。前述のように、ドップラーテクノロジーの1つの制約は、反射信号の測定角度が流れの方向の+/−20°以内に入らなければならないことである。センサー1は、ドップラーテクノロジーの、この既知の特性を利用して、血液速度に関する重要な情報を与えるトランスデューサー70Bのセグメントの境界を表す仮の点(virtual points)を、トランスデューサー70Bに投影する。さらに具体的には、点Xnは、三角形H1,X1,Bの辺Bの下に20°の角度で線を引き、トランスデューサー70Bとのその線の交点を算出することにより得られる。同様に、点Xmは、三角形H2,X1,Cの辺Cの下に20°の角度で線を引き、トランスデューサー70Bとのその線の交点を算出することにより、得られる。点Xnと点Xmとの間、および点Xmと点Xl(トランスデューサー70Bの外側端部である)との間のトランスデューサー70Bのセグメントは、血液速度の正確な表示を与える、血液4からの反射波を受け取るトランスデューサーの領域である。したがって、トランスデューサー70Bの他のセグメントにより検出されるその他の信号は、速度を算出する際には無視されてよい。
【0105】
前記の方法で測定されている血管が、心臓のポンプ作用および/または人間の身体活動の結果として、絶えず動いていることを理解すべきである。したがって、血液速度を決定する目的で、トランスデューサー70A、70B、70Cの関連セグメントを決定することは、しばしば、最低でも速度サンプルが前記の血圧算出で得られるたびに、行われる。このデータは、さらに正確な速度測定値を生成するために平均化されてよい。
【0106】
本開示の別の態様は、血管3の湾曲が血圧測定値において説明される(accounted for)方法である。図12のピークで描かれた10個のサンプルC1〜C10のそれぞれについて、血管3の直径は、光センサー組立体2を用いて測定され、流量は、ドップラーセンサー70の関連セグメントを用いて測定される。サンプル間の経過時間も、当然既知である。本明細書に記載されるような光センサー組立体2により検出された血管3の形状を考えれば、算出装置20は、ドップラー信号の、関係のある反射部分が血管3の実質的に真っ直ぐな部分または湾曲部分を通って流れる血液から反射されているかどうかを決定することができる。血管3の検出部分が実質的に真っ直ぐである場合、加速度は、加速度=(Δ流量)/(Δ時間)の関係によって引き出される。血管3の検出部分が湾曲している場合、加速度の式は加速度=v2/r(式中rは血管3の半径)であるが、式w=(ΔΦ)/(Δ時間)(式中Φは血管3の湾曲角度)により補正される。式w=(ΔΦ)/(Δ時間)の結果は、加速度式に対する補正率(percentage correction)をもたらす。例えば、w=3である場合、補正された加速度式は、a==(v2/r)*1.3である。図12に示されるサンプルそれぞれについて加速度の算出を行うことにより、本装置は、加速度/減速度の変化を決定し、全圧を算出するため前述したようにこの決定を使用する。
【0107】
前述の血圧算出は、大動脈3の血圧を決定することに関連しているが、肺動脈が監視装置1の感知範囲内にあると仮定すると、肺動脈の血圧を決定するために同じプロセスを行うことができることを理解すべきである。Optical Sensorの出願に記載されているように、監視装置1は、肺動脈および大動脈3の酸素飽和度を測定し、どちらの血管がより高い酸素飽和度で血液を運んでいるかを決定することによって、肺動脈と大動脈3とを見分ける。その血管は大動脈3であるはずである。本発明の別の実施形態では、監視装置1は、代わりに、目的の血管(すなわち肺動脈)として、より低い酸素飽和度の血管を識別する。次に、肺動脈の場所およびサイズが、大動脈3について説明したのと同じように決定される。肺動脈の幾何学的外形が定められた状態で、肺動脈を通って流れる血液の圧力が、大動脈3に関して前述したように測定される。
【0108】
3.通信装置
再び図8を参照すると、システム300は、通信信号を送受信するように構成されている。通信装置30は、例えば携帯電話システムおよび/またはGPS衛星システムによる、双方向通信装置である。通信装置30は、通信信号を送受信するアンテナを含む。通信信号は、オプションの複数の外部通信装置のうちの1つに、またその1つから、無線で移動する。
【0109】
外部通信装置は、コンピュータ302、または、携帯電話として具現される電話306など、通信信号を無線で受信できる任意の電子装置であってよい。電話306は、救急施設の配電盤、または病院もしくは医療センターの配電盤であってもよい。通信信号とは、信号の情報をコード化するように設定または変更された特性のうち1つまたは複数を有する信号を意味する。非限定的な例として、通信信号は、音響媒体、RF媒体、赤外媒体、他の無線媒体、および前記のうちいずれかの組み合わせを含む。外部通信装置はまた、患者の身体の外側に位置する、例えば患者のベルトにクリップで留められた、リレーユニットであってもよい。リレーユニットは、通信装置30からの送信を受信する受信機、および、通信信号を別の外部通信装置に再送信する送信機を含むことができる。リレーユニットはまた、インターネットへ接続されるか、またはヘルスケア提供者のコンピュータに直接接続されるように、固定され、かつ配線で接続されていてもよい。同様に、リレーユニットは、ヘルスケア提供者から通信信号を受信し、その信号を通信装置30に送信することができる。
【0110】
通信装置30からの通信信号は、音声メッセージ、テキストメッセージ、および/または測定データを含むことができる。通信装置30により受信された通信は、更新された基準データなどのデータ、またはコマンドを含むことができる。コマンドは、例えば、患者に治療を施す、追加データを収集および送信する、または基準データを更新するなどのタスクを実行するための、算出装置20への命令を含むことができる。
【0111】
4.エネルギー貯蔵装置
再び図1A、図1Bおよび図1Cを参照すると、エネルギー貯蔵装置40を再充電するシステムが提供され得る。算出装置20は、エネルギー貯蔵装置40からエネルギーを受け取る。エネルギー貯蔵装置40は、バッテリなどのエネルギー貯蔵構成要素を含む。オプションとして、感知装置1はまた、エネルギー貯蔵装置40を充電するために外部供給源からエネルギーを受け取るエネルギーカプラーを含んでもよい。
【0112】
エネルギーカプラーの一例は、外部の電磁信号44を受信し、そのような信号を電気エネルギーに変換してエネルギー貯蔵構成要素を再充電する、誘導コイル42などの電磁装置である。外部電磁装置46が、電磁信号44を生成し、この電磁信号は、エネルギー貯蔵装置40によって受信され、電気エネルギーに変換される。エネルギー貯蔵装置40は、算出装置20に充電信号を提供することができる。算出装置20は、充電信号を基準充電信号と比較し、低充電通信信号(low charge communication signal)を開始し、患者および/またはヘルスケア提供者に警告することができる。代わりに、電圧センサーなどの検出器は、エネルギー貯蔵装置40の充電を監視し、充電が閾値より低くなると算出装置20に信号を与えるために使用されてよい。電磁装置46は、感知装置1の近くに置かれて、エネルギー貯蔵装置40を充電することができる。
【0113】
代わりに、またはさらに、エネルギーは、超音波振動の形で与えられてよい。例えば、圧電性トランスデューサーが感知装置1に含まれてよい。超音波振動は、外部から与えられてよい。トランスデューサーは、超音波振動により駆動されると電気を生成する。
【0114】
本発明は、例示的なデザインを有するものとして説明されてきたが、本発明は、本開示の趣旨および範囲内で、さらに改変されてよい。したがって、本出願は、本発明の全体的な原理を用いた、本発明のあらゆるバリエーション、使用法、または改造を含むことを意図している。さらに、本出願は、本発明が属する技術分野で既知のまたは習慣的な慣例に入る、本開示からの新発展(departures)を含むことを意図している。
【0115】
〔実施の態様〕
(1) 血圧を測定するように構成された感知装置において、
供給源波を放射し反射波を検出するための複数のトランスデューサーを有するドップラーセンサーであって、関連する基準場所を有する、ドップラーセンサーと、
前記基準場所と血管の近傍壁との間の第1の距離および前記基準場所と前記血管の遠隔壁との間の第2の距離を表す複数の信号を生成するために複数のエミッターおよび複数の検出器を含む、光センサーと、
複数の圧力計算それぞれについて、前記第1および第2の距離を決定して前記血管の面積を算出するように、また、前記血管を通って流れる血液からの反射波を検出するトランスデューサーのセグメントを決定し、それによって前記血液の速度を決定するように構成された算出装置であって、前記速度および面積は、血圧を算出するのに使用される、算出装置と、
前記ドップラーセンサー、前記光センサー、および前記算出装置を取り囲むハウジングと、
を含む、感知装置。
(2) 信号を取得し測定値を算出する感知装置において、
音響エネルギーを伝達し、音響エネルギーを受け取り、受け取った前記音響エネルギーを1つまたは複数の信号に変換するための第1のトランスデューサーを含むセンサーであって、前記第1のトランスデューサーは、哺乳動物の、血液を運ぶ血管に向かって異なる方向に向けられた2つのトランスデューサー部分を含み、前記2つのトランスデューサー部分のうち少なくとも一方は、前記音響エネルギーが前記血液を運ぶ血管に当たるところで測定すると、前記血液を運ぶ血管の長さ方向軸に対して多くとも約20°の角度で向けられている、センサーと、
前記第1のトランスデューサーを操作し、前記1つまたは複数の信号に基づいて血液パラメータを計算する算出装置と、
前記センサーおよび前記算出装置を取り囲むハウジングであって、前記ハウジングは、前記音響エネルギーが通過する、血管の方を向く壁を有し、前記血管と離間した関係で前記ハウジングを前記哺乳動物に取り付けるように構成された取り付け特徴部をさらに含む、ハウジングと、
を含む、感知装置。
(3) 信号を取得し、測定値を算出するシステムにおいて、
患者に植え込まれる心臓装置と、
血管から離間したセンサーであって、前記センサーは、音響エネルギーを伝達し、音響エネルギーを受け取り、受け取った前記音響エネルギーを1つまたは複数の信号に変換する1つまたは複数のトランスデューサーを含み、前記1つまたは複数のトランスデューサーは、前記血管の片側を向き、前記トランスデューサーのうち少なくとも1つは、異なる方向に向けられた2つのトランスデューサー部分を含み、前記2つのトランスデューサー部分のうち少なくとも一方は、前記音響エネルギーが前記血管に当たるところで測定すると、前記血管の長さ方向軸に対して多くとも約20°の角度で向けられる、センサーと、
前記1つまたは複数のトランスデューサーを操作し、前記1つまたは複数の信号を処理して、前記血管の中を流れる血液の血液速度値を得る、算出装置と、
前記センサーおよび前記算出装置を取り囲むハウジングと、
を含む、システム。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1A】感知装置の例示的な実施形態の概略的側面図である。
【図1B】図1の感知装置の、外側に向いた図である。
【図1C】図1の感知装置の斜視図である。
【図2】図1の感知装置、および血管の概略的側面図である。
【図3】図1の感知装置、および血管の概略的側面図である。
【図4】ドップラーセンサーの例示的な実施形態の概略的上面図である。
【図5】波および流体の流れの向きの、概念的なベクトル表示である。
【図6A】別の例示的な実施形態によるドップラーセンサーの概略的正面図である。
【図6B】別の例示的な実施形態によるドップラーセンサーの概略的側面図である。
【図6C】別の例示的な実施形態によるドップラーセンサーの概略的上面図である。
【図6D】別の例示的な実施形態によるドップラーセンサーの概略的斜視図である。
【図7】ドップラーセンサーの別の例示的な実施形態の概略的上面図である。
【図8】図1の感知装置から通信信号を送受信するように構成されたシステムの概念図である。
【図9】運動を測定する例示的な方法のフローチャートである。
【図10】心臓周期の概略的表示である。
【図11】血管を通って流れる流体の概念図である。
【図12】心臓周期中に得た測定値のグラフである。
【図13】例示的な実施形態によるドップラーセンサーの概念図である。
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、「OPTICAL SENSOR APPARATUS AND METHOD OF USING SAME」を名称とする米国特許出願第12/119,315号、「DOPPLER MOTION SENSOR APPARATUS AND METHOD OF USING SAME」を名称とする米国特許出願第12/119,339号、「INTEGRATED HEART MONITORING DEVICE AND METHOD OF USING SAME」を名称とする米国特許出願第12/119,325号、「METHOD AND SYSTEM FOR MONITORING A HEALTH CONDITION」を名称とする米国特許出願第12/119,462号(全て2008年5月12日出願)、および、「DOPPLER MOTION SENSOR APPARATUS AND METHOD OF USING SAME」を名称とする米国特許出願第12/206,885号(2008年9月9日出願)(これらはすべて本発明と同じ発明者による)の優先権を主張し、全出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔出願の分野〕
本発明は、感知装置に関し、より具体的には、流体の速度を感知するための感知装置に関する。
【0003】
〔背景〕
医学的理由から、患者のin vivoパラメータは、ある期間にわたり監視されることを必要とする場合がある。心臓の不整脈は、心臓に血液を全身に送り出させる電気インパルスの正常なシーケンスの変化である。不整脈を検出するのに連続的な監視が必要とされることがある。これは、異常な心臓のインパルス変化が、散発的に起こるに過ぎない場合があるためである。連続的な監視により、医療関係者は、心臓の状態を特徴づけ、また、適切な治療過程を確立することができる。
【0004】
心拍数を測定する先行技術の1装置は、Medtronic(米国ミネソタ州ミネアポリス)による「Reveal」モニターである。この装置は、例えば患者の失神(卒倒)が心臓の鼓動の問題に関係しているかどうかを判断する際に使用される、植え込み型心臓モニターを含む。Revealモニターは、最大14ヶ月間、心拍数および心臓の鼓動を連続して監視する。卒倒症状の発現から目覚めた後、患者は、植え込まれたRevealモニターの上で皮膚の外側に記録装置を置き、ボタンを押して、モニターから記録装置にデータを移す。記録装置は、医師に提供され、医師は、記録装置に記憶された情報を分析して、異常な心臓の鼓動が記録されているかどうかを判断する。記録装置の使用は、自動的でも自発的(autonomic)でもなく、したがって、モニターから記録装置に情報を移すため、患者に意識があること、または別の人間の介入が必要とされる。
【0005】
別の既知のタイプの植え込み型監視装置は、トランスポンダー型装置であり、この装置では、トランスポンダーが患者に植え込まれて、その後、ハンドヘルドの電磁式読取装置で、非侵襲的にアクセスされる。後者のタイプの装置の例は、米国特許第5,833,603号に記載されている。
【0006】
〔概要〕
第1の例示的な実施形態では、信号を取得し測定値を算出するための感知装置が提供される。この感知装置は、音響エネルギーを送り、音響エネルギーを受け取り、受け取った音響エネルギーを1つまたは複数の信号に変換する1つまたは複数のトランスデューサーを含むセンサーであって、1つまたは複数のトランスデューサーは、血管の片側を向く、センサーと、1つまたは複数のトランスデューサーを操作し1つまたは複数の信号を処理して測定値を得る、算出装置と、センサーおよび算出装置を取り囲むハウジングと、を含む。
【0007】
第1の実施形態のバリエーションでは、算出装置は、血管により運ばれる流体のパラメータ値を算出するアルゴリズムを含む。その一例では、パラメータは、流体速度である。その別の例では、流体は血液であり、パラメータ値は、血液速度である。
【0008】
第1の実施形態の別のバリエーションでは、感知装置は、通信信号を送受信する通信装置をさらに含む。その一例では、通信信号は、血管の位置を表す相対位置の値、および警報のうち少なくとも一方を含む。その一例では、通信装置は、ドッキングステーション、第2の感知装置、およびエネルギー源のうち1つまたは複数に動作可能に連結されるように構成されたコネクタを含む。
【0009】
第1の実施形態のさらなるバリエーションでは、ハウジングは、皮下に植え込まれるように構成される。
【0010】
第1の実施形態のさらに別のバリエーションでは、1つまたは複数のトランスデューサーはそれぞれ、トランスデューサーセグメントの直線アレイを含む。その一例では、トランスデューサーセグメントは、音響エネルギーを伝達し、かつ受け取るために選択的に作動される。
【0011】
第1の実施形態の別のバリエーションでは、1つまたは複数のトランスデューサーのうち少なくとも1つが、1つまたは複数のトランスデューサーのうち別のものにより伝達される音響エネルギーの周波数とは異なる周波数で、音響エネルギーを伝達する。
【0012】
第1の実施形態のさらなるバリエーションでは、1つまたは複数のトランスデューサーは、互いに対して角度をなして位置付けられる。
【0013】
第1の実施形態のバリエーションでは、感知装置は、25セント硬貨を2枚重ねたのとほぼ同じ寸法である。
【0014】
第1の実施形態の別のバリエーションでは、装置は、エネルギー貯蔵装置をさらに含む。その一例では、エネルギー貯蔵装置は、エネルギー貯蔵装置を再充電するためにエネルギーを受け取るエネルギーカプラーを含む。
【0015】
第1の実施形態のさらなるバリエーションでは、各トランスデューサーは、音響エネルギー源を含み、トランスデューサーは、音響エネルギーを通過させる窓を有し、音響エネルギー源は、音響エネルギーの通過を妨げ、かつ隣接するトランスデューサー間の干渉を防ぐ材料により、部分的に囲まれている。
【0016】
第1の実施形態のなおさらなるバリエーションでは、感知装置は、第1のトランスデューサーに対してゼロより大きな角度で向けられた第2のトランスデューサーをさらに含む。一例では、第1および第2のトランスデューサーは、第1の窓および第2の窓それぞれを通じて音響エネルギーを伝達し、第1の窓は、第1のトランスデューサーと第2のトランスデューサーとの間の音響干渉を減少させる遮断材料により、少なくとも部分的に囲まれている。別の例では、第1のトランスデューサーおよび第2のトランスデューサーは、異なる周波数で音響エネルギーを伝達する。
【0017】
第1の実施形態の別のバリエーションでは、血液パラメータは血液速度を含む。一例では、感知装置は、複数の光信号を送受信するように構成された光センサーをさらに含み、算出装置は、光信号に基づいて、血管の直径、および血管と血管の方を向く壁(vessel facing wall)との間の距離を計算し、算出装置は、血液速度、直径、および距離に基づいて、血圧をさらに計算する。
【0018】
第1の実施形態のさらなるバリエーションでは、感知装置は、通信信号を送受信する通信装置をさらに含む。一例では、通信信号は距離を含む。別の例では、算出装置は、血液速度および直径に基づいて、血圧をさらに計算する。さらに別の例では、通信信号は警報を含む。
【0019】
第1の実施形態のさらに別のバリエーションでは、算出装置は、血液パラメータを用いて状態を診断し、その状態に応答して機能を実行する。一例では、その機能は、警報を伝達すること、治療を開始すること、電気ショックを施すこと、薬剤を送達すること、およびデータを連続的に通信装置と通信することのうち、少なくとも1つを含む。
【0020】
第1の実施形態のさらなるバリエーションでは、感知装置1は、ドッキングステーション、第2の感知装置、およびエネルギー源のうち1つまたは複数に動作可能に連結するように構成された、コネクタを含む。別のバリエーションでは、ハウジングは、皮下に植え込まれるように構成される。さらに別のバリエーションでは、感知装置は、25セント硬貨を2枚重ねたのとほぼ同じ寸法である。なおさらなるバリエーションでは、感知装置は、エネルギー貯蔵装置、およびエネルギー貯蔵装置を再充電するためにエネルギーを受け取るエネルギーカプラーをさらに含む。
【0021】
第2の例示的な実施形態では、信号を取得しデータを送信する方法が提供される。この方法は、感知装置を提供する工程であって、感知装置は、音響エネルギーを伝達し、音響エネルギーを受け取り、かつ音響エネルギーを1つまたは複数の信号に変換する1つまたは複数のトランスデューサーであって、血管の片側を向く、1つまたは複数のトランスデューサー、1つまたは複数のトランスデューサーを操作し、1つまたは複数の信号を処理して測定値を得る、算出装置、ならびにセンサーおよび算出装置を取り囲むハウジングを含む、工程と、1つまたは複数のトランスデューサーから音響エネルギーを伝達する工程と、1つまたは複数の信号を得るために1つまたは複数のトランスデューサーから音響エネルギーを受け取る工程と、測定値を得るために1つまたは複数の信号を処理する工程と、流体の特性を示すパラメータ値を得るために測定値を分析する工程と、を含む。
【0022】
第2の実施形態のバリエーションでは、感知装置は、血管から離れたセンサーをさらに含み、このセンサーは、1つまたは複数のトランスデューサーを含み、トランスデューサーのうち少なくとも1つは、異なる方向に向けられた2つのトランスデューサー部分を含み、この2つのトランスデューサー部分のうち少なくとも一方は、音響エネルギーが血管に当たるところで測定すると、血管の長さ方向軸に対して多くとも約20°の角度に向けられる。
【0023】
第2の実施形態のバリエーションでは、流体は血液であり、パラメータは、血圧および血液速度のうち一方である。
【0024】
第2の実施形態の別のバリエーションでは、方法は、相対位置の値を得て、相対位置の値をメモリに記憶させる工程をさらに含む。その一例では、得る工程は、相対位置の値を通信装置から受信する工程と、相対位置の値をメモリに記憶させる工程と、を含む。その別の例では、感知装置は光センサーを含み、得る工程は、相対位置情報を光センサーから受信する工程と、相対位置情報を相対位置の値に変換する工程と、を含む。
【0025】
第2の実施形態のさらに別のバリエーションでは、方法は、パラメータ値を用いて状態を診断する工程と、診断する工程に応答して機能を実行する工程と、をさらに含む。その一例では、機能は、警報を伝達すること、治療を開始すること、電気ショックを施すこと、薬剤を送達すること、およびデータを連続して通信装置と通信することのうち、少なくとも1つを含む。
【0026】
第2の実施形態のさらなるバリエーションでは、受け取る工程は、パラメータ値を算出するため、1つまたは複数のトランスデューサーのうち少なくともいくつかから、信号を連続的に得る工程を含む。
【0027】
第2の実施形態の別のバリエーションでは、1つまたは複数のトランスデューサーはそれぞれ、トランスデューサーセグメントの直線アレイを含む。その一例では、方法は、1つまたは複数のトランスデューサーセグメントを選択し、選択されなかったトランスデューサーセグメントによる音響エネルギーの伝達および受け取りを防ぐ工程をさらに含む。一例では、選択する工程は、流体の流れの方向に対する音響エネルギーの入射角を決定する工程と、入射角が20°以下である場合にトランスデューサーセグメントを選ぶ工程と、を含む。別の例では、感知装置は、光センサーをさらに含み、選択する工程は、伝達する音響エネルギーが遮られる任意のトランスデューサーセグメントを光センサーで識別する工程と、遮られないトランスデューサーセグメントを選ぶ工程と、を含む。
【0028】
第3の例示的な実施形態では、血管およびその血管を通って流れる血液のうち少なくとも一方の特性を音響的に測定する装置が提供される。この装置は、第1の側および第2の側を有するハウジングと、ハウジングに取り付けられるセンサー組立体であって、ハウジングの第1の側を通して音響エネルギーを伝達し、ハウジングの第1の側を通して音響エネルギーを受け取り、かつ音響エネルギーを信号に変換する1つまたは複数のトランスデューサーを含む、センサー組立体と、1つまたは複数のトランスデューサーを作動させ、信号を解釈して特性を決定するように構成された算出装置と、を含む。
【0029】
第3の例示的な実施形態のバリエーションでは、1つまたは複数のトランスデューサーは、2つのトランスデューサー部分を含む第1のトランスデューサーを含み、2つのトランスデューサー部分は、血管に向かって異なる方向に向けられ、この2つのトランスデューサー部分のうち一方は、音響エネルギーが血管に当たるところで測定すると、血管の長さ方向軸に対して多くとも約20°の角度で向けられる。
【0030】
第3の例示的な実施形態のバリエーションでは、センサー組立体は、音響エネルギー遮断材料を含み、音響エネルギーを伝達しかつ受け取る窓を含む。
【0031】
第3の例示的な実施形態のバリエーションでは、ハウジングは、音響エネルギー遮断材料で作られており、音響エネルギーを伝達しかつ受け取る窓を含む。
【0032】
第4の例示的な実施形態では、信号を取得し測定値を算出するシステムが提供される。システムは、患者に植え込まれる心臓装置と、音響エネルギーを伝達し、音響エネルギーを受け取り、かつ受け取った音響エネルギーを1つまたは複数の信号に変換する1つまたは複数のトランスデューサーを含むセンサーであって、1つまたは複数のトランスデューサーは、血管の片側の方を向く、センサーと、1つまたは複数のトランスデューサーを操作し、1つまたは複数の信号を処理して、静脈および動脈のうち一方を含む血管を流れる血液の血液速度値を得る、算出装置と、センサーおよび算出装置を取り囲むハウジングと、を含む。
【0033】
第4の例示的な実施形態のバリエーションでは、システムは、1つまたは複数のトランスデューサーから得た1つまたは複数の信号に基づいて通信信号を送受信する通信装置をさらに含む。
【0034】
第4の例示的な実施形態の別のバリエーションでは、心臓装置は、ハウジング内部に封入されている。
【0035】
第4の例示的な実施形態のさらなるバリエーションでは、センサーおよび算出装置は、ハウジングの外側に位置付けられた心臓装置に動作可能に連結される。
【0036】
第4の例示的な実施形態のさらに別のバリエーションでは、トランスデューサーセグメントは、音響エネルギーを伝達し受け取るように、選択的に作動される。
【0037】
第5の例示的な実施形態では、血圧を測定するように構成された感知装置が提供される。感知装置は、供給源波(source waves)を出し、反射波を検出する複数のトランスデューサーを有するドップラーセンサーであって、ドップラーセンサーは、関連する基準場所を有する、ドップラーセンサーと、基準場所と血管の近傍壁との間の第1の距離および基準場所と血管の遠隔壁との間の第2の距離を表す複数の信号を生成する複数のエミッターおよび複数の検出器を含む、光センサーと、複数の圧力計算結果それぞれについて、血管の面積を算出するため第1および第2の距離を決定するように、また、血管を通って流れる血液から反射波を検出するトランスデューサーのセグメントを決定し、それによって血液の速度を決定するように構成された、算出装置であって、速度および面積は血圧を算出するのに使用される、算出装置と、を含む。
【0038】
第5の例示的な実施形態の別のバリエーションでは、反射波を検出するトランスデューサーのセグメントは、血液の流れの方向を決定し、血液の流れの方向の+/−20°の範囲に入る波の向きを持つ反射波を検出するセグメントを、複数のトランスデューサーの中から選択することによって、決定される。
【0039】
第5の例示的な実施形態のさらなるバリエーションでは、血圧は、トランスデューサーのセグメントにより検出された反射波から得られる収縮期圧および拡張期圧それぞれに対応する複数の血液速度測定値から計算された、最大および最小の血液速度と、収縮期圧および拡張期圧に対応する時点で得られた第1および第2の距離の測定値に基づいて算出された、血管の最大および最小の直径と、に基づいている。
【0040】
添付図面と共に理解される、本発明の実施形態に関する以下の説明を参照することにより、本発明の特徴、およびそれらを得る方法がより明らかになるであろうし、本発明自体が、よりよく理解されるであろう。
【0041】
対応する参照符号は、いくつかの図面にわたって、対応する部品を示す。図面は本発明の実施形態を示すが、これらの図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、ある特徴部は、本発明をよりよく例示および説明するために、強調されているかもしれない。本明細書で述べる例示は、本発明の実施形態をいくつかの形態で例示しており、そのような例示は、いかなる方法によっても、本発明の範囲を制限するものと解釈されるものではない。
【0042】
〔詳細な説明〕
以下に論じる実施形態は、包括的であること、または、以下の詳細な説明に開示される正確な形態に本発明を限定することを意図したものではない。むしろ、実施形態は、当業者がそれらの教示を利用できるように、選択され説明されている。
【0043】
図1Aは、例示的な一実施形態による感知装置1を示す。感知装置1は、概して、ドップラーセンサー60、算出装置20、通信装置30、およびエネルギー貯蔵装置40を含む複数の構成要素を含み、これらの構成要素はそれぞれ、ボード80に取り付けられ、算出装置20と電子通信している。構成要素は、ハウジング90で囲まれている。一実施形態では、エネルギー貯蔵装置40は、外部エネルギー源46から電磁エネルギー波44を受け取るように構成されている。
【0044】
一実施形態では、感知装置1は、患者の生理学的状態を決定するように構成される。「患者」とは、生理学的状態が感知装置1により測定される人間または動物を意味する。本明細書に開示する発明は、医学的状況で説明されるが、本明細書に開示する教示は、経時的に測定を行うために小型のデータ取得組立体が望ましい、他の状況で等しく適用可能である。例えば、センサー組立体は、水没するかまたは到達が困難な適用(submersed or difficult to reach applications)、危険な環境、重量およびサイズ制限を有する適用、実地調査活動などで、望ましい場合がある。
【0045】
一実施形態では、感知装置1は、患者の身体において皮下に植え込まれる。しかしながら、感知装置1は、様々な植え込み技術を用いて異なる場所に植え込まれ得ることが理解されるべきである。例えば、感知装置1は、胸郭の下で胸腔内に植え込まれてよい。ハウジング90は、円形または楕円形のディスクの形状に形成されてよく、寸法は、25セント硬貨を2枚重ねたのとおおよそ同じである。当然のことながら、ハウジング90は、適用に応じて、様々な他の形状で構成されてよい。ハウジングは、患者の身体内部で皮下に組立体を固定するために、縫合糸を受容するよう、図1Bおよび図1Cに示す、外側に突出する4つのループ92を含むことができる。ハウジング90の形状に応じて、より多いかまたはより少ないループ92が設けられてよい。そのように固定されると、ドップラーセンサー60は内側を向いて位置付けられ、一方、以下で詳細に説明するエネルギーカプラーは、外側を向く。
【0046】
感知装置1の別の実施形態では、ドップラーセンサー60、および感知装置1の他の特徴部は、ペースメーカー、心臓再同期療法(CRT)装置、植え込み型除細動器(ICD)などといった、植え込み型心臓装置と統合される。一実施形態では、この統合は、感知装置の構成要素と心臓装置とを組み合わせることにより達成され得る。心臓装置が算出装置を含む場合、例えば、方法を実行するアルゴリズムが、第2の算出装置を加える代わりに心臓装置の算出装置と組み合わせられてよい。同様に、エネルギー貯蔵装置および通信装置は、重複(duplication)を防ぐために組み合わせられてよい。一実施形態では、感知装置のいくつかの構成要素は、ハウジング内部に含まれ、いくつかの構成要素は、心臓装置と共に含まれる。心臓装置、およびハウジング内の構成要素は、動作可能に接続される。
【0047】
別の実施形態では、感知装置1は、患者の身体の外側に位置付けられる。支持部材が設けられて、感知装置1を身体の外部に支持する。支持部材は、感知装置1に永続的または一時的に連結されることができる。一実施形態では、支持部材は、支持部材を患者の身体に接着連結する接着層を含む。別の実施形態では、支持部材は、患者の身体に対して感知装置1を保持するための、弾性であってよいベルトを含む。
【0048】
感知装置1は、超音波機器などの外部マッピングシステムの助けを借りて、皮下に植え込まれるか、または患者の上に位置付けられることができる。適切に設置することで、目的の血管が、感知装置1の感知範囲内に確実に位置する。目的の血管が大動脈である場合、感知装置1は、患者の胸部または背中の上で、本明細書に記載する方法で取得される測定値の、肋骨による干渉を減少させる場所に、位置付けられてよい。
【0049】
1.ドップラーセンサー
ドップラーセンサーは、物体に超音波を照射し、反射した超音波を受け取る、1つまたは複数のトランスデューサーを含む。目的の流体の速度は、超音波エネルギーの高周波照射波(insonifying wave)を既知の角度で流体の方へ向け、反射した超音波エネルギーの周波数シフトを測定し、次に流体の速度を計算することによって、決定することができる。ドップラー周波数シフトは、高周波照射波に平行な速度ベクトルの成分に比例する。流体の速度vは、以下の等式により決定される:
v=fd・c/(2・f・cosθ)
式中、cは、血液中の音速であり、fは、高周波照射波の周波数であり、θは、波と速度ベクトルとの間の角度であり、fdはドップラー周波数シフトである。速度測定値に基づいて血圧を計算する方法の実施形態は、図9〜図12に関して、以下に十分詳細に説明している。
【0050】
トランスデューサーは、音響エネルギーを電気信号に変換し、電気信号を音響エネルギーに変換する装置である。周波数シフトは、トランスデューサーの操作方法に応じて、様々な方法により計算されることができる。1つの操作方法では、ドップラーセンサーは、連続波センサーであってよい。連続波ドップラーセンサーは、超音波を伝達するトランスデューサー、および超音波を受け取るトランスデューサーを含む。この方法における周波数シフトは、2つの波を比較することにより直接測定される。別の方法では、パルス波ドップラーセンサーが使用され得る。パルス波ドップラーセンサーは、超音波を伝達し受け取る、単一のトランスデューサーを有する。波を伝達した後、ドップラーセンサーは、伝達操作モードから受け取り操作モードに切り替わる。周波数シフトは、その後に受け取る波同士の間で位相シフトを比較することにより測定される。連続して伝達され受け取られた複数の波は、位相シフトの計算に必要である。Kasaiまたは相互相関アルゴリズムなど、周知のアルゴリズムを用いて、受け取ったパルスと伝達されたパルスとの間の位相シフトを得ることができる。
【0051】
トランスデューサーは、コイル、圧電性物質、および他の適切なトランスデューサーを含むことができる。トランスデューサーは、音響エネルギーの狭い波、またはビームを伝達するように焦点を合わせられていてよい。トランスデューサーは、音響エネルギーの広い波、すなわち集中していない波を伝達することもできる。所望の量のエネルギーで大きな領域に超音波を照射することができる音波を伝達するために、2つまたは3つ以上のトランスデューサーが直線アレイに組み合わせられてよい。大きいとは、単一のトランスデューサーで超音波を照射し得る領域より大きな領域を意味する。直線アレイは、それらが単一のトランスデューサーを構成しているかのように駆動され得るよう、接続されてよい。直線アレイは、各トランスデューサーセグメントが別個のトランスデューサーとして動作するように接続されてもよい。
【0052】
図2は、赤血球5中にヘモグロビンを有する血液4を運ぶ血管3と、ドップラーセンサー60との間の関係を示す。ドップラーセンサー60は、血管3により運ばれる流体4の方を向いて位置付けられたトランスデューサー61を有する。トランスデューサー61により伝達される波62が、トランスデューサー61の表面に垂直な中心線63により示される方向に沿って伝わっているところが示される。矢印6は、血管3内の流体4の流れの方向を示す。ドップラーセンサー60は、感知組立体1におけるその機能を説明するために本明細書に記載されるが、本明細書に記載する他のドップラーセンサーが、同じ機能を行ってもよく、概して、本特許出願および関連特許出願におけるドップラーセンサー60への言及は、本明細書に記載する他のドップラーセンサーにも等しく適用可能である。
【0053】
一実施形態では、ドライバ装置、例えばパルス発生器が、所望の周波数に対応する出力を与える。この出力は、算出装置20と統合されるかまたは算出装置20の外部に設けられたトランジスタなどの増幅器により増幅されることができる。出力は、波形を含むことができる。算出装置20は、周波数生成機能をもたらすことができる。代替的な実施形態では、ドライバ装置により、所望の超音波周波数に対応する電圧がトランスデューサーに与えられ、トランスデューサーは、電気エネルギーを、超音波の形をした音響エネルギーに変換する。
【0054】
一実施形態では、感知装置1は、他の装置に接続され、他の装置と情報交換する、通信ポートを有する。コネクタ85が図示される。感知装置1の他の構成要素に接続されるコネクタ85の働きは、図8を参照して、以下にさらに詳細に説明される。
【0055】
図3は、反射された超音波64を示す。波64は、中心線63で示される方向に沿って伝わっているところが示される。波64は、波62とは反対の方向に伝わる。波64は、波62の周波数とは異なる周波数も有する。その差は、トランスデューサーを選択することにより決定される。一実施形態では、波62は連続波であり、波64は、波62と同時に反射される。別の実施形態では、波62は、反射波64がトランスデューサーAに到達する前にトランスデューサーAにより伝達されたパルス波である。算出装置20は、トランスデューサーAを方向付けて、波62を伝達し、波64が伝達装置Aに到達するのに必要な時間を測定することができる。波は、既知の一定の速度で軟組織の中を移動する。中心線63に沿ったトランスデューサーAから血管3までの距離は、波62の伝達と、波64の受け取りとの間の移動時間から計算され得る。
【0056】
図4は、直線アレイトランスデューサーA、BおよびCを含むドップラーセンサー70を示す。ドップラーセンサー70は、感知装置1の他の構成要素と連結または統合されることができる。トランスデューサーA、BおよびCはそれぞれ、各トランスデューサーに電力供給するドライバ装置(不図示)と動作可能に接続され、各トランスデューサーに、目的の流体まで、ある距離を移動することのできる超音波を伝達させ、流体に達したら、位相シフトした波を反射する。トランスデューサーA、BおよびCはそれぞれ、異なる周波数で駆動されて、ドップラーセンサー70により受け取られる反射波の供給源を識別することができる。便宜上、直線アレイの各トランスデューサーは、本明細書中、トランスデューサーセグメントと呼ばれる。図示の実施形態では、各直線アレイトランスデューサーは、5つのトランスデューサーセグメントを含む。トランスデューサーセグメントは、別々にまたは同時に作動されるように、動作可能に接続されることができる。1つまたは複数のトランスデューサーセグメントの別々の作動は、電力消費を制限するために望ましい。1つより多いトランスデューサーセグメントが、伝送波の範囲を広めるために同時に作動されてよい。当然のことながら、直線アレイの全セグメントが作動されると、直線アレイは、単一のトランスデューサーとして動作する。ドップラーセンサー70は、3つのこのようなトランスデューサーを含むことができる。
【0057】
トランスデューサーA、BおよびCは、互いに対して角度をなして配される。図4に示す一実施形態では、トランスデューサーBおよびCは、トランスデューサーAに対して45°の角度で、また、互いに対して90°で配される。トランスデューサーは、他のトランスデューサーに対して異なる角度で位置付けられてもよい。位置および角度は、音響エネルギーを血管から最適に反射する方向に、音響エネルギーを向けるように選択される。選択は、少なくとも部分的には、患者の解剖学的構造に基づく。患者の解剖学的構造は、感知装置1をどこに置くか、例えば、外側、または植え込まれる、前もしくは後ろに位置付けられるということを決定することができ、感知装置1の位置により、ドップラーセンサーから目的の血管までの距離が決定される。一実施形態では、トランスデューサーBおよびCは、トランスデューサーAに対して30°の角度で、また互いに対して120°の角度で、配される。
【0058】
トランスデューサーAはセグメントA1〜A5を含み、トランスデューサーBはセグメントB1〜B5を含み、トランスデューサーCはセグメントC1〜C5を含む。各セグメントは、超音波エネルギーを、波の形で伝達し受け取ることができる。各セグメントで生じセグメントに垂直に突出する矢印が、各セグメントにより伝達される波の方向を表す。さらに、矢印72、74および76が、全体としてトランスデューサーA、BおよびCによって生じる波の方向をそれぞれ表す。音響エネルギーの周波数は、トランスデューサーと標的の流体との間の距離の関数として選択される。トランスデューサーは、2〜10MHzの範囲の周波数で、概してエネルギーを与えられて、患者の軟組織を通過した後、概して3〜20cmの範囲の距離のところで、血液を運ぶ血管に到達することができる。一実施形態では、トランスデューサーA、BおよびCはそれぞれ、2〜10MHzの範囲の周波数でエネルギーを与えられる。別の実施形態では、トランスデューサーAの1つまたは複数のセグメントは、5MHzの周波数でエネルギーを与えられ、トランスデューサーBの1つまたは複数のセグメントは、4.5MHzの周波数でエネルギーを与えられ、トランスデューサーCの1つまたは複数のセグメントは、5.5MHzの周波数でエネルギーを与えられる。反射波が、直線アレイトランスデューサーの各セグメントで測定されることができる。各セグメントは、連続してエネルギーを与えられてよく、複数回、エネルギーを与えられてよい。他の実施形態では、5つより多いかまたは少ないセグメントが使用されて、トランスデューサーユニットを形成することができる。一実施形態では、10〜15個のセグメントが使用される。
【0059】
ドップラーシフトまたは周波数シフトは、衝突波に平行な速度ベクトルの成分に比例する。ドップラーシフトは波と速度ベクトルとの間の角度θの余弦に依存し(depends from)、余弦関数は0〜1の範囲であるので、速度ベクトルに平行に向けられた波により生成された信号は、最適な信号を生成する。一実施形態では、算出装置20は、角度θ=θ1が20°以下である波からのみ信号を生成する。図5は、速度ベクトル6と、図4に先に示された方向72、74および76を有する波との間の関係を、概念的に示している。図5は、速度ベクトル6に対して角度θ1で配された4本の矢印も示す。矢印74は、θ1より小さい、速度ベクトル6に対する角度を形成しているところが示される。したがって、矢印74により表される方向に向けられた波、この場合、直線アレイトランスデューサーBにより生成された波は、使用可能な信号を生成することができる。対照的に、トランスデューサーAおよびCに対応する、矢印72および76により表される方向に向けられた波は、使用可能な信号を生成しない。
【0060】
一実施形態では、感知装置1は、血管の位置および直径を検出するように構成された光センサー組立体を含む。感知装置1は、血管の位置に基づいて、どのトランスデューサーが使用可能な信号を生成しないか、また、エネルギーを節約するため、どのトランスデューサーが、使用可能な信号を生成し得るトランスデューサーから超音波を伝達するにすぎないか、を決定することができる。
【0061】
ドップラーセンサーの範囲を拡大するため、追加のトランスデューサーが、異なる角度で配されて設けられてよく、トランスデューサーのうち1つまたは複数が、速度ベクトルに対して20°以下の角度で向けられる波を生成する角度で、位置付けられてよい。一実施形態では、ドップラーセンサー70および血管3の相対位置が、時間と共に、または患者の活動レベルおよび姿勢などの他の要因によってわずかに変化したとしても、ドップラーセンサー70が十分な数の信号を得ることができるように、3つのトランスデューサーがK字型に配列される。1つのトランスデューサーにより生成される反射波は、1つより多いトランスデューサーによって受け取られることができる。しかしながら、波は、それぞれの伝達トランスデューサーに対応する周波数を有するので、ドップラーセンサー70は、対応する伝達トランスデューサーの相対位置およびその伝達周波数に基づいて信号を選択的にフィルタリングすることができ、ドップラーシフトが、適切に識別されることができる。周波数シフトは、速度、ならびに流れの方向に対応する。
【0062】
一実施形態では、直線アレイトランスデューサーA、BおよびCのセグメントにより受信された波からの信号は、波が目的の血管以外の血管に当たったときに、取り除かれる。目的の血管以外の血管の場所は、以下に説明する、相対位置データが得られるのと同じ方法で得ることができる。別の実施形態では、算出装置20は、最初に、各セグメントについて角度θを決定し、あるセグメントの角度θが使用可能な信号を生成できる場合にのみ、トランスデューサーA、BおよびCのセグメントに選択的にエネルギーを与え、それによりエネルギーが節約される。さらに、トランスデューサーの全セグメントが使用可能な信号を生成できる場合、算出装置20は、エネルギーを節約するため、生成される信号の数を制限してよい。例えば、5個全てのセグメントが使用可能な信号を生成するように位置付けられる場合、算出装置20は、3つの信号を選択して、5つの信号を生成するのに必要なエネルギーの40%を節約することができる。
【0063】
コイルを含む複数のトランスデューサーが近接して位置付けられる場合、各トランスデューサーは、その他のトランスデューサーの動作に干渉する場合がある。干渉は、適切なフィルターアルゴリズムにより無効にすることができる。しかしながら、このようにフィルタリングすることは、アルゴリズムを処理するために、追加のメモリおよびエネルギーを必要とする。図6A〜図6Dは、トランスデューサー間の干渉を最小限にするように構成されたドップラーセンサー170を示す。ドップラーセンサー170は、コイル176、177および178をそれぞれ有するトランスデューサー171、172および173を含む。図6A、図6B、図6Cおよび図6Dは、それぞれ、ドップラーセンサー171の正面図、側面図、上面図および斜視図である。トランスデューサー171、172および173は、電磁波を遮断するように構成された材料を備える、記号Xで示された3つの辺、ならびに、電磁波を通過させるように構成された材料を備える、記号Yで示された第4の辺において、コイル176、177および178を取り囲む。辺Yは、本明細書では、電磁窓と呼ばれる。遮断材料は、金属を含む任意の適切な材料であってよく、非遮断材料は、プラスチックなど、任意の適切な材料であってよい。遮断材料は、コイル176、177および178間の干渉を物理的に排除し、それにより、エネルギーを節約し、必要メモリを減少させることで感知装置1をさらに小型化することができる。トランスデューサー171、172および173は、共面に置かれるのではなく、積み重ねられる。幾何学的距離の計算に第3次元をスタッキングする、例えば導入するのを補うための計算要件(Computational requirements)が消費する資源は取るに足らない。多くの場合、スタッキング効果は、その取るに足らない効果により、完全に無視できる。
【0064】
図7は、さらに別の例示的な実施形態によるドップラーセンサーを示す。ドップラーセンサー270は、単一または直線アレイトランスデューサーであってよいトランスデューサー271〜279を含む。トランスデューサー271〜279は、3つのK字型に位置付けられ、感知装置1の外形を増大させることなく、したがって計算にスタッキング変数を導入せずに、より広い感知範囲を提供する。ハウジングの形状および感知装置1が置かれる場所に合うように、より多いかまたは少ないトランスデューサーを使用することができる。図示の実施形態では、トランスデューサー271、274および277は、3つのK字型アレイの基部を含む。トランスデューサー271および277は、トランスデューサー274に対して30°の角度で配され、それぞれが、各K字型アレイの、残りの2つの脚に対して45°の角度で配されている。
【0065】
先に論じたように、血液速度の計算には、波と血管3との間の入射角θを知ることが必要である。入射角、および血管3とドップラーセンサーとの相対位置を特徴付ける他のデータは、様々な方法で入手することができる。いったん入手すれば、基準値としてそれをメモリに保管することができる。一実施形態では、相対位置データは、外部装置により通信装置30を通じて算出装置20に提供されることができる。外部装置は、相対位置データを収容する通信装置30に、通信信号を無線送信することができる。別の実施形態では、相対位置データは、別の植え込み装置によって通信装置30を通じて算出装置20に提供されることができる。他の植え込み装置には、ペースメーカー、心臓再同期療法(CRT)装置、植込み型除細動器(ICD)などが含まれるが、これらに限定されない。さらに別の実施形態では、相対位置データは、感知装置1に含まれる別のセンサーまたはセンサー組立体により、算出装置20に与えられてよい。血管の相対位置を検出するセンサー組立体が、前記に参照したOptical Sensorの出願において提供されている。いったん選択した信号が決定されると、算出装置20は、周知の周波数シフトおよび角度アルゴリズムまたはテーブルに従って、伝達された波および受け取られた波の周波数を比較することにより、血液速度値を算出する。
【0066】
感知装置1の別の実施形態では、ドップラーセンサー、および感知装置1の他の特徴部は、ペースメーカー、心臓再同期療法(CRT)装置、植込み型除細動器(ICD)などといった植え込み型心臓装置と統合される。
【0067】
感知装置1は、電力を節約するために比較的まれに(例えば1日当たり1回または2回)血液速度の測定を実施するようにプログラムされてよいが、バッテリーテクノロジーが改善されているので、電力節約は、それほど問題ではなくなり、測定がさらに頻繁に行われ得ることを理解すべきである。さらに、感知装置1が植え込まれていない(すなわち、患者により外部で装着される)場合、電力は、コネクタ85を通じて感知装置1に与えられてよく、それによって、電力を節約して使う必要がなくなり、頻繁な測定、または連続した測定さえ可能になる。
【0068】
2.算出装置
算出装置20は、複数の構成要素を含む。これらの構成要素は、別個の構成要素であるかのように本明細書に記載されているが、構成要素は、特定用途向け集積回路などの単一の装置に組み合わせられてよい。算出装置20は、プロセッサ、メモリ、1つまたは複数のプログラム、入力、および出力を含む。メモリは、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、または他のメモリテクノロジーを含み得るが、これらに限定されない。プロセッサおよびメモリは、集積回路の中に構築されてよい。集積回路は、ドップラーセンサー60、70、170および270のうち1つまたは複数、ならびに通信装置30を含むことができる。さらに、算出装置20は、集積回路上にA/Dおよび/またはD/A変換器を含んでよい。代わりに、A/Dおよび/またはD/A変換器が別個に設けられてもよい。
【0069】
プログラムは、データに応答してタスクを実行するようプロセッサに指示する、コンピュータ命令を表す。プログラムは、メモリ中に存在する。基準データおよび測定データを含むデータもメモリ中に存在する。基準データは、外部入力に応答して、または経時的に収集された測定データの特性に応答して、ROMに記憶されてよく、または経時的に変更され得るようRAMに記憶されてもよい。測定値に応答するプロトコルも設けられてよい。プロトコルは、持続性メモリに記憶されてよく、または、RAMなど非持続性メモリに記憶されてもよい。
【0070】
算出装置20は、入力および出力を通じてドップラーセンサー60、70、170または270および通信装置30を制御する。算出装置20は、ドップラーセンサー60、70、170または270により波の数、周波数、電力レベル、および伝達を制御して、最小量のエネルギーを用いて所望の測定値を得ることができる。
【0071】
図8は、感知装置1と情報を交換するシステム300を開示する。システム300は、オプションとしてコネクタ85(図1Aに図示)を有する、感知装置1を含む。システム300は、コンピュータ302、ケーブル303によりコンピュータ302に動作可能に連結されたドッキングステーション304、および電話306も含んでよい。一実施形態では、システム300は、算出装置20により実行される処理に基づいて、感知装置1に/感知装置1から、無線で通信信号312を送受信する。
【0072】
コネクタ85は、ドッキングステーション304に差し込まれるように構成される。ドッキングステーション304上にドッキングされた感知装置1が図示される。ドッキングされている間、感知装置1は、エネルギー貯蔵装置40を充電することができる。ドッキングステーション304は、コンピュータ302に動作可能に連結されて、患者の上または中に感知装置1を置く前に算出装置20のメモリに記憶されたプログラムおよび基準値を更新する。別の実施形態では、感知装置2は、患者の外部に位置付けられ、コネクタ85は、エネルギー源に操作上連結されて、感知装置2に電力を与え、エネルギー貯蔵装置40の消耗を防ぐ。
【0073】
さらなる実施形態では、追加のセンサーおよび装置が、コネクタ85を通じて感知装置1に連結されることができる。他のセンサーおよび装置は、追加のセンサー組立体2、温度センサー、圧力センサー、および加速度計を含んでよいが、これらに限定されない。その他の装置は、算出装置を含んでも含まなくてもよい。他の装置はまた、ハウジング90内で感知装置1と組み合わせられてよい。統合感知装置が、前記に参照した関連の、Integrated Heartの出願に開示されている。感知装置1の働きは、追加のセンサーおよび装置を操作するように構成された修正プログラムを、算出装置20のメモリにダウンロードすることによって、追加のセンサーおよび装置を操作するように構成されてよい。ダウンロードは、算出装置20がドッキングステーションにドッキングされている間に行われてよい。あるいは、新しいプログラムが、算出装置40を通じて無線でダウンロードされてもよい。
【0074】
図9は、血液パラメータを測定し、測定値に対応して機能を果たすための、算出装置20において作動されるプログラムを示すフローチャートである。工程400で、算出装置20が、ドップラーセンサーから流体速度を表すトランスデューサー信号を得る。一実施形態では、トランスデューサー信号は、電圧および周波数を含む。速度信号は、反射物体により生成される波から生じることを理解するべきである。血液速度の場合、この物体は赤血球である。血液中の赤血球の速度は、血液速度を正確に表すことが概して理解される。
【0075】
工程400は、心臓周期の特定の時点で血液速度を定めるように、心臓周期データに基づいて開始されてよい。工程400はまた、通信装置30を通じて受信された外部コマンドに応じて、または、感知装置1による異常な状態の検出の結果として、開始されてもよい。トランスデューサーA、BおよびCはそれぞれ、連続してエネルギーを与えられる。一実施形態では、トランスデューサーAは、波を伝達し、その後、受け取りモードに切り替わる。ドップラーセンサー70は、トランスデューサーAの構成により決定された方法で、反射波を検出する。トランスデューサーBおよびCは、順に、同じように作動される。別の実施形態では、各トランスデューサーは、伝達要素、および受け取り要素を含み、したがって、トランスデューサーは、音響エネルギーを同時に伝達し受け取るように、作動されることができる。トランスデューサーのラベリング、またはエネルギーを与える順番は重要ではない。より多いかまたは少ないトランスデューサーを利用してもよい。トランスデューサーの数および向きは、意図する目的のために十分なデータを生成する血管3に対する角度で、データを入手するように選択される。
【0076】
工程402で、算出装置20は、信号を処理して測定値を得る。処理には、固有の信号ノイズを除去すること、信号をアナログ形態からデジタル形態に変換すること、スケーリングすること、選択されない波を取り除くこと、および、検出した信号を別様に調節してそれらの信号を測定値に変換することを含んでよい。一実施形態では、1つの心臓周期中に得られた測定値は、平均血液速度を得るために平均化される。別の実施形態では、1つの心臓周期中に得られた高い値および低い値の測定値(high and low value measurements)は、平均血液速度を得るために平均化される。ECGを用いて、血液がいつ最大速度または最小速度で流れるのかを概算することができる。処理後、測定値は、メモリに記憶されてよく、または値を保持すべきかどうか最初に決定するために分析されてもよい。工程400および402は、本明細書で提供される教示に従って所望のパラメータを算出するため十分な測定値を得るように、必要に応じて繰り返されてよい。速度測定値に基づいて血圧を計算する方法の実施形態は、図12を参照して、以下に十分詳細に説明する。
【0077】
エネルギーを節約するため、適切な信号が得られることがかなり確実である場合のみ、ドップラーセンサー70を操作することが望ましい。一実施形態では、低電力消費センサーを用いて、ドップラーセンサー70が作動される前に各トランスデューサーに対する目的の血管の角度を確かめることができる。一実施形態では、感知装置1は、前記に参照したOptical Sensorの出願において特に説明される、赤外センサー組立体2を含む。センサー組立体2は、ドップラーセンサーのトランスデューサーから伝達される波が、ほぼ20°以下の角度で血液の速度ベクトルに交差するように、感知装置1が位置付けられることを確かめる。適切に位置付けられないトランスデューサーにはエネルギーが与えられない。
【0078】
工程404で、算出装置20は測定値を分析する。分析は、測定値に基づいたパラメータデータの計算、および/または診断を含み得る。パラメータデータは、流体速度、心拍出量、心律動などといった算出値を指す。診断は、患者の異常な状態を検出するため、パラメータ値を基準値と比較することを指す。基準値は、特定の患者について、測定されたパラメータの正常値または予測値である。異常な状態が検出された場合、算出装置20は、測定値が収集されたときにそれらを通信する(不要な電力を消費する)か、または、メモリがいっぱいになるかもしくは所定の送信時間に達するまで測定値を送信するのを待つ(患者を待機期間中に不要な危険に曝す)のではなく、警報を伝達することができる。
【0079】
工程400、402および404は、同時に行われてよい。前述した速度を計算する装置および方法は、血液および他の流体の速度を計算するのに有用である。連続した流体の流れの場合の速度計算は、さらなる計算を必要としない。しかしながら、流体の流れが連続したものではなく周期的なものである場合、流れをさらに完全に特徴づけ、また、流れの特性に基づいて異常な状態を診断するために、追加の測定および計算が望ましい。
【0080】
基準値は、標的の値、および許容可能な変動範囲もしくは限界を含むことができる。基準値は、他のセンサーから、または通信装置30を通じて他の装置から入手された測定値も含んでよく、これには、相対位置の値が含まれるがこれに限定されない。
【0081】
パラメータ値は、それらが標的の基準値または範囲外である場合に、異常を示すことができる。いくつかの実施形態では、パラメータ値は、例えば移動平均などの統計値を生成でき、パラメータの統計値が、予測量を超えて、基準の統計値と異なる場合に、異常が検出される。パラメータデータが、所定量を超えて、予測値と異なる場合、算出装置20は、新しい測定サイクルを開始し、異常を診断する前にパラメータデータを確認することができる。
【0082】
1つの異常な医学的状態は、心不整脈である。算出装置20は、例えば心律動が不規則で不整脈を示すかどうかを決定するために、測定値の分析を実行するよう構成されていてよい。
【0083】
さらなる異常な医学的状態は、外部で、または追加のセンサーから得られた値を使用して検出されることができる。感知装置1に含まれ得る追加のセンサーは、前記に参照した、関連のOptical Sensorの出願、Integrated Heartの出願、およびHealth Conditionの出願に開示される。
【0084】
工程406で、算出装置20は、異常な状態、特に、定められたプロトコルに従って重篤または危険な状態と判断される状態、が検出されると、警報を送信する。警報は、警報装置を始動させるか、または治療行為を行うよう患者に警告するために使用されることができる。治療行為は、身体活動を終了させるか、または低減させる場合がある。警報は、全地球測位(GPS)情報を救急施設(emergency service)に与えることもできる。図6を参照すると、異常な状態は、存在することが発見されると、コンピュータ36に表示され、かつ/または、通信装置30によって介護者に送信されることもできる。警報は、状態に対応するテキストメッセージまたはコードを含むことができる。算出装置20はまた、異常な状態の検出に応答して連続的に、新しい測定サイクルおよび測定を開始することもできる。
【0085】
工程408で、算出装置20は、治療を開始することができる。感知装置1は、通信装置30を通じて、警報に応じて治療を実行せよという外部コマンドを受信することができる。オプションとして、プロトコルに基づいて、異常な状態は、治療を施すように構成された装置に、そのような治療を実行する(deliver)よう指示するために、用いられてもよい。治療には、例えば電気ショックまたは薬剤送達が含まれ得る。
【0086】
工程410で、パラメータ値または他の情報が、外部装置に通信される。工程410は、前記の工程のいずれとも同時に実行されてよい。パラメータ値は、メモリに記憶され、また通信装置30によって無線で送信されることができる。通信装置30からの通信信号は、異常な状態に応答して、外部で受信したコマンドに応答して、メモリの使用が所定量を超えるたびに、またはエネルギー貯蔵レベルが低いと判断されるたびに(後者の2つの状態は、メモリのオーバーフローの結果としてのデータロス、もしくはエネルギーロスを防ぐために確立された)、定期的に作動されることができる。感知装置1が通信装置30に加えて通信装置を含み得ることも理解されるべきである。例えば、通信装置30がセルラーモデムである場合、感知装置1は、バックアップブルートゥースまたはRF通信装置も含むことができる。このようなバックアップ装置は、数回の試みの後、セルラーモデムが(例えば、利用可能な電力が低い、ネットワーク範囲が不良などのため)情報を送信できないことが明らかになった状況で望ましい場合がある。このような状況では、算出装置20は、バックアップ通信装置を作動させて、情報または警報を、代替的な外部受信装置に送信することができる。
【0087】
工程410は、実質的にリアルタイムで介護者に最新情報を与えるように、例えばいったん異常な状態が検出されると、実行されることができる。工程410は、1日に1回、1週間に1回、1ヶ月に1回などといった、規則的な間隔で行われてもよい。代わりに、またはこれらの送信に加えて、算出装置20は、要求されたデータ、または要求されたデータを表す情報を通信装置30に送信させることによって、(例えばヘルスケア提供者から)通信装置30により受信されたデータの要求に応答するよう、プログラムされることができる。
【0088】
通信信号は、状態への注意を患者に喚起するように、患者の近くの設備により受信されるか、またはヘルスケア提供者、親族、もしくは他の所定のレシピエントによって、遠隔的に(ネットワークを介してなど)受信されることができる。
【0089】
ある時点での血液速度は、その時点のどこが患者の心臓周期に関係があるかによって左右される。心臓周期は、電気的成分、および流れの成分を有する。電気的成分は、心筋をポンプ運動させる電波を指す。この波は身体を通り抜け、身体に接触する電極を含むプローブで測定され得る。ECGは、心律動、特に異常な律動を測定するのに良い方法である。しかしながら、ECGは、心臓のポンプ運動能力を測定する確かな手段ではない。
【0090】
図10は、2つの心臓周期を示す、心臓の電気的活動のECGグラフ500を示している。典型的なECGは、P波、QRS群、およびT波からなる。等電位線502が、T波と、その後のP波とを分けている。PR間隔504が、P波の始まりから、QRS群の始まりまで測定される。これは通常120〜200ミリ秒の長さである。QRS群は約60〜100ミリ秒の長さである。STセグメントは、QRS群とT波とをつなぐ。典型的なSTセグメントは約80ミリ秒持続する。一実施形態では、感知装置1は、ECGセンサーと、T波、QRS群、およびP波を検出するアルゴリズムと、を含む。
【0091】
心臓周期は、様々な方法で得ることができる。一実施形態では、心臓周期は、外部装置によって通信装置30を通じて算出装置20に提供される。外部装置は、心臓周期データを収容する通信装置30に、通信信号を無線で送信することができる。別の実施形態では、心臓周期データは、別の植え込み装置によって通信装置30を通じて算出装置20に提供されることができる。他の植え込み装置には、ペースメーカー、心臓再同期療法(CRT)装置、植込み型除細動器(ICD)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
一実施形態では、心臓周期データは、感知装置1に含まれる別のセンサーまたはセンサー組立体によって算出装置20に提供されることができる。心臓周期を検出するセンサー組立体が、前記に参照したOptical Sensorの出願で提供されている。さらなる実施形態では、心臓周期データは、ECGセンサーによって算出装置20に提供されることができる。ECGセンサーを含むセンサー組立体が、前記に参照した、関連のIntegrated Heartの出願で提供されている。
【0093】
血流量と、血圧を計算するために血流量を特徴付ける方法の実施形態とを、図11〜図12を参照して説明する。先に述べたように、血液速度および血流量は、心臓周期の関数として変化する。短時間に連続して(in short succession)測定した速度測定値を用いて、収縮期および拡張期の血圧を特徴付けることができる。収縮期の動脈圧は、心臓周期の始めの辺りに起こる、動脈におけるピーク圧力である。拡張期の動脈圧は、(心臓周期の休止期における)最も低い圧力である。収縮期および拡張期の圧力の時間は、最大および最小の血液速度を予測するために概算され得る。
【0094】
血圧を計算する方法の一実施形態では、感知装置1は、収縮期圧に対応するように概算された時間における複数の速度測定値と、拡張期圧に対応するように概算された時間における追加の複数の速度測定値と、を入手する。算出装置20は、(例えば光センサー組立体2により促進された直径測定から決定された)各測定値について大動脈3の計算された内側表面積、および測定間の経過時間を用い、非圧縮性流体について、簡略化したベルヌーイ方程式:PT=PS+PD(式中、PTは全圧であり、PSは静圧であり、PDは流れ(flow stream)におけるある時点の動圧である)を適用して、速度測定値を圧力測定値に変換する。
【0095】
次に図11を参照すると、T1の時間に、動圧PD1、および直径d1は、最大血流量条件下で測定した速度測定値から決定された圧力に対応する。時間T2で、PD2は、最小血流量条件下で測定した速度測定値から決定された圧力に対応し、d2は、時間T2における直径である。大動脈3の場合、最大流動条件(PS1)下での静圧(大動脈3の外壁に対して外側に向けられる力矢印により示される)は、収縮期の血圧測定値に直接対応し、最小流動条件(PS2)下での静圧は、拡張期の血圧測定値に直接対応する。これらの計算は、層流、および血管にわたって均一な速度プロファイルを想定する。流速サンプルは、血管の中心に向けられた波から得た信号により得られてよく、これらの想定の下、流れの期間(flow period)で分割されたドップラー曲線の、分割された速度時間積分として平均速度を計算するのに使用されてよい。
【0096】
収縮期および拡張期の血圧測定値は、大動脈3を通って流れる血液の全圧(PT)をさらに算出することにより、引き出すことができる。PTは、時間の関数として変化する。これは、心臓の活動により作り出された全圧が経時的に変化するためである。例えば、血液が血管内に送り出されているとき、作り出された全圧は、血管への弁が閉じているときに存在する圧力に比べて高い。一実施形態では、全圧は、時間軸上の最小流動条件から最大流動条件への圧力の変化を算出することにより引き出される。本明細書に説明するように、これらの圧力導出は、血管の同時の直径(および面積)測定を利用する。この変化または加速現象は、大動脈3の1回拍出量および既知の弾性と関連して、当技術分野の周知の原理に従って算出装置20が全圧を決定することを可能にする。ゆえに、時間T1で、等式PT1=PS1+PD1は、PS1について解かれ、時間T2で、等式PT2=PS2+PD2はPS2について解かれる。前記のように、PS1およびPS2は、それぞれ、収縮期および拡張期の血圧測定値である。
【0097】
血圧の正確な判定を行う、1つの問題(One complication)は、測定されている血管の直径の可変性である。血液が血管を通って送り出されるとき、血管の柔軟な壁は、膨張および収縮し、それにより血圧測定を果たす(effecting)。この効果は、血管直径の変化の関数として起こる、血液の流れに対する抵抗力の変化の結果である。本開示の一実施形態は、本明細書に記載されるテクノロジーおよび以下の方法を用いて、この可変性を考慮に入れている。
【0098】
前述したように、血圧は、検討中の血管の内壁にかかる静圧に直接関係する。同じく前述したように、血圧(PS)は、血液の流れのこの静圧(PS)および動圧(PD)の和である、血管の全圧(PT)(すなわちPT=PS+PD)を用いて計算される。動圧は、本明細書に記載したように、ドップラーセンサー70を用いて直接測定される。より具体的には、PDは、流量と圧力との間の標準的な関係を用いて、血流量(速度)測定値から得られる。
【0099】
静圧は、血管の直径に一部依存している(直径の変化は抵抗の変化を生じ、これは、測定される静圧に影響する)。血管の直径は、この状況では、本明細書に述べるように、光センサー組立体2を用いて測定される。断面がほぼ円形である血管の面積は、測定された直径から直接算出される。本開示の感知装置1は、患者の心臓周期の最小(Min1、Min2、Min3)および最大(Max1、Max2、Max3)振幅付近で、密集した増分で、血管の面積を算出する。さらに具体的には、図12に示すように、時間速度積分が、1秒当たり50個のサンプルの割合で測定量のサンプルを算出することにより、生成される。各サンプルにおいて、本方法は、(光センサー組立体2を用いて直径の変化を測定することにより)血管3の面積変化を決定し、血管3を通って流れる血液4の速度の増加および減少を決定する。これらの密集したサンプル(10個のサンプルC1〜C10が、Min1で測定されたサンプルの埋め込み図(embedded view)に示されている)における個々の面積および速度の計算は、流量=面積*速度の関係に従って、血液の流量を個々に決定することを可能にする。同様の1組の10個のサンプルC1〜C10が、図12に示すサンプルのピークおよび谷のそれぞれで測定されることが理解されるべきである。単純にするため、ただ1組の10個のサンプルが、拡張した時間軸と共に描かれている。
【0100】
拡張期および収縮期の血圧測定値は、図12のグラフに示すサンプルのピーク(Max1、Max2、Max3)および谷(Min1、Min2、Min3)それぞれにおける時間速度積分測定値に対応する。本開示の一実施形態では、10個のサンプルを、ピーク(数ミリ秒だけ離れている)で測定し、10個のサンプルを、谷(数ミリ秒だけ離れている)で測定する。これらのサンプル群は、図12に示されるように、3つの連続したポンプサイクルのそれぞれについて測定される。当然ながら、より多いかまたは少ないサンプルが、適用に応じて使用され得ることが理解されるべきである。次にサンプルは、平均化され(または範囲外のサンプルを取り除く形でフィルタリングされ)、測定サンプルそれぞれの流量を決定する。
【0101】
測定シーケンスにおける各個々のサンプルから次のサンプルへの、血液の加速は、周知の式a=v2/rにより決定され、式中、vは血液4の速度であり、rは血管3の半径である(前記のように光センサー組立体2により行われた測定から得られる)。加速測定値は次に、当技術分野で周知の原理に従って、圧力に変換される(時間軸上での面積変化および速度変化を考慮する)。この圧力結果は、全圧(PT)を表し、各測定サンプルについて血管3の実際の瞬間的な直径(面積)を考慮し、それにより、血管3の柔軟性により生じる、血圧の潜在的誤差を補償する。PTおよびPDが前記のように各サンプルについて算出された状態で、PSは、各サンプルについてPS=PT−PDの関係により決定される。結果として得られた血圧測定値は、g/mm2単位であり、標準的な換算(例えば、1トル=1.3595e-5Kg/mm^2)に従ってトル単位に変換されてよい。最終的なPSには、ピークにおける10個のサンプルを平均化し、谷における10個のサンプルを平均化することにより、到達する。これにより、3つのピーク値および3つの谷値(すなわちサンプリングされた3つの心臓周期それぞれについて1個)がもたらされる。各周期について、ピークから谷への減速が(経時的に)決定され、谷から次のピークへの加速が(経時的に)決定される。これにより、3つの加速値および3つの減速値がもたらされる。3つのうち各組は、加速についての最終PTおよび減速についての最終PTをもたらすために平均化される。
【0102】
本開示の別の態様は、前述の計算に使用されるドップラー測定値を入手する方法である。より具体的には、本センサー1およびサンプリングされている血管3の、測定された幾何学的外形を用いて、本システムは、ドップラーセンサー70によって測定される反射波の関係ない部分を拒絶するように構成されることができる。前述したように、ドップラーセンサー70の直線アレイトランスデューサーにより放射される波は、全方向に動き、移動路で多くの異なる構造体から反射される。測定されている血液の流れにより反射されている信号の部分のみ、速度を決定するのに使用されるべきである。図13に関して以下で説明するように、センサー1は、この有用なデータを受信する直線トランスデューサーアレイのトランスデューサーセグメントを分離することができる。
【0103】
次に図13を参照すると、距離H1およびH2は、前記に参照した、関連のOptical Sensorの出願でさらに十分に説明されるように、光センサー組立体2により実行される光学測定に基づいて既知である。より具体的には、センサー1のサイズ、およびドップラーセンサー70の中心の場所が既知であるので、ドップラーセンサー70の中心から血管3の各縁までの距離は、本明細書に記載する光センサー組立体2により提供される測定値を用いて、計算されることができる。この例では、関連する速度情報を提供するドップラーセンサー70のトランスデューサー70Bの部分が決定される。トランスデューサー70Bの長さは、呼称X1で表されており、トランスデューサー70Bがセンサー1内に組み込まれた実際のハードウェア構成要素であるため既知である。標準的な幾何学的関係を用いて、センサー1の算出装置20は、角度αを用いて三角形H2,X1,Cの長さCを算出し、角度αは、トランスデューサー70A、70B、70CのK字型の構成に基づいて既知である。同様に、角度βも決定され得る。
【0104】
H1も前述のように光センサー組立体2を用いて測定されたので、角度β1および長さBも決定されることができ、三角形H1,X1,Bの測定値全てがもたらされる。前述のように、ドップラーテクノロジーの1つの制約は、反射信号の測定角度が流れの方向の+/−20°以内に入らなければならないことである。センサー1は、ドップラーテクノロジーの、この既知の特性を利用して、血液速度に関する重要な情報を与えるトランスデューサー70Bのセグメントの境界を表す仮の点(virtual points)を、トランスデューサー70Bに投影する。さらに具体的には、点Xnは、三角形H1,X1,Bの辺Bの下に20°の角度で線を引き、トランスデューサー70Bとのその線の交点を算出することにより得られる。同様に、点Xmは、三角形H2,X1,Cの辺Cの下に20°の角度で線を引き、トランスデューサー70Bとのその線の交点を算出することにより、得られる。点Xnと点Xmとの間、および点Xmと点Xl(トランスデューサー70Bの外側端部である)との間のトランスデューサー70Bのセグメントは、血液速度の正確な表示を与える、血液4からの反射波を受け取るトランスデューサーの領域である。したがって、トランスデューサー70Bの他のセグメントにより検出されるその他の信号は、速度を算出する際には無視されてよい。
【0105】
前記の方法で測定されている血管が、心臓のポンプ作用および/または人間の身体活動の結果として、絶えず動いていることを理解すべきである。したがって、血液速度を決定する目的で、トランスデューサー70A、70B、70Cの関連セグメントを決定することは、しばしば、最低でも速度サンプルが前記の血圧算出で得られるたびに、行われる。このデータは、さらに正確な速度測定値を生成するために平均化されてよい。
【0106】
本開示の別の態様は、血管3の湾曲が血圧測定値において説明される(accounted for)方法である。図12のピークで描かれた10個のサンプルC1〜C10のそれぞれについて、血管3の直径は、光センサー組立体2を用いて測定され、流量は、ドップラーセンサー70の関連セグメントを用いて測定される。サンプル間の経過時間も、当然既知である。本明細書に記載されるような光センサー組立体2により検出された血管3の形状を考えれば、算出装置20は、ドップラー信号の、関係のある反射部分が血管3の実質的に真っ直ぐな部分または湾曲部分を通って流れる血液から反射されているかどうかを決定することができる。血管3の検出部分が実質的に真っ直ぐである場合、加速度は、加速度=(Δ流量)/(Δ時間)の関係によって引き出される。血管3の検出部分が湾曲している場合、加速度の式は加速度=v2/r(式中rは血管3の半径)であるが、式w=(ΔΦ)/(Δ時間)(式中Φは血管3の湾曲角度)により補正される。式w=(ΔΦ)/(Δ時間)の結果は、加速度式に対する補正率(percentage correction)をもたらす。例えば、w=3である場合、補正された加速度式は、a==(v2/r)*1.3である。図12に示されるサンプルそれぞれについて加速度の算出を行うことにより、本装置は、加速度/減速度の変化を決定し、全圧を算出するため前述したようにこの決定を使用する。
【0107】
前述の血圧算出は、大動脈3の血圧を決定することに関連しているが、肺動脈が監視装置1の感知範囲内にあると仮定すると、肺動脈の血圧を決定するために同じプロセスを行うことができることを理解すべきである。Optical Sensorの出願に記載されているように、監視装置1は、肺動脈および大動脈3の酸素飽和度を測定し、どちらの血管がより高い酸素飽和度で血液を運んでいるかを決定することによって、肺動脈と大動脈3とを見分ける。その血管は大動脈3であるはずである。本発明の別の実施形態では、監視装置1は、代わりに、目的の血管(すなわち肺動脈)として、より低い酸素飽和度の血管を識別する。次に、肺動脈の場所およびサイズが、大動脈3について説明したのと同じように決定される。肺動脈の幾何学的外形が定められた状態で、肺動脈を通って流れる血液の圧力が、大動脈3に関して前述したように測定される。
【0108】
3.通信装置
再び図8を参照すると、システム300は、通信信号を送受信するように構成されている。通信装置30は、例えば携帯電話システムおよび/またはGPS衛星システムによる、双方向通信装置である。通信装置30は、通信信号を送受信するアンテナを含む。通信信号は、オプションの複数の外部通信装置のうちの1つに、またその1つから、無線で移動する。
【0109】
外部通信装置は、コンピュータ302、または、携帯電話として具現される電話306など、通信信号を無線で受信できる任意の電子装置であってよい。電話306は、救急施設の配電盤、または病院もしくは医療センターの配電盤であってもよい。通信信号とは、信号の情報をコード化するように設定または変更された特性のうち1つまたは複数を有する信号を意味する。非限定的な例として、通信信号は、音響媒体、RF媒体、赤外媒体、他の無線媒体、および前記のうちいずれかの組み合わせを含む。外部通信装置はまた、患者の身体の外側に位置する、例えば患者のベルトにクリップで留められた、リレーユニットであってもよい。リレーユニットは、通信装置30からの送信を受信する受信機、および、通信信号を別の外部通信装置に再送信する送信機を含むことができる。リレーユニットはまた、インターネットへ接続されるか、またはヘルスケア提供者のコンピュータに直接接続されるように、固定され、かつ配線で接続されていてもよい。同様に、リレーユニットは、ヘルスケア提供者から通信信号を受信し、その信号を通信装置30に送信することができる。
【0110】
通信装置30からの通信信号は、音声メッセージ、テキストメッセージ、および/または測定データを含むことができる。通信装置30により受信された通信は、更新された基準データなどのデータ、またはコマンドを含むことができる。コマンドは、例えば、患者に治療を施す、追加データを収集および送信する、または基準データを更新するなどのタスクを実行するための、算出装置20への命令を含むことができる。
【0111】
4.エネルギー貯蔵装置
再び図1A、図1Bおよび図1Cを参照すると、エネルギー貯蔵装置40を再充電するシステムが提供され得る。算出装置20は、エネルギー貯蔵装置40からエネルギーを受け取る。エネルギー貯蔵装置40は、バッテリなどのエネルギー貯蔵構成要素を含む。オプションとして、感知装置1はまた、エネルギー貯蔵装置40を充電するために外部供給源からエネルギーを受け取るエネルギーカプラーを含んでもよい。
【0112】
エネルギーカプラーの一例は、外部の電磁信号44を受信し、そのような信号を電気エネルギーに変換してエネルギー貯蔵構成要素を再充電する、誘導コイル42などの電磁装置である。外部電磁装置46が、電磁信号44を生成し、この電磁信号は、エネルギー貯蔵装置40によって受信され、電気エネルギーに変換される。エネルギー貯蔵装置40は、算出装置20に充電信号を提供することができる。算出装置20は、充電信号を基準充電信号と比較し、低充電通信信号(low charge communication signal)を開始し、患者および/またはヘルスケア提供者に警告することができる。代わりに、電圧センサーなどの検出器は、エネルギー貯蔵装置40の充電を監視し、充電が閾値より低くなると算出装置20に信号を与えるために使用されてよい。電磁装置46は、感知装置1の近くに置かれて、エネルギー貯蔵装置40を充電することができる。
【0113】
代わりに、またはさらに、エネルギーは、超音波振動の形で与えられてよい。例えば、圧電性トランスデューサーが感知装置1に含まれてよい。超音波振動は、外部から与えられてよい。トランスデューサーは、超音波振動により駆動されると電気を生成する。
【0114】
本発明は、例示的なデザインを有するものとして説明されてきたが、本発明は、本開示の趣旨および範囲内で、さらに改変されてよい。したがって、本出願は、本発明の全体的な原理を用いた、本発明のあらゆるバリエーション、使用法、または改造を含むことを意図している。さらに、本出願は、本発明が属する技術分野で既知のまたは習慣的な慣例に入る、本開示からの新発展(departures)を含むことを意図している。
【0115】
〔実施の態様〕
(1) 血圧を測定するように構成された感知装置において、
供給源波を放射し反射波を検出するための複数のトランスデューサーを有するドップラーセンサーであって、関連する基準場所を有する、ドップラーセンサーと、
前記基準場所と血管の近傍壁との間の第1の距離および前記基準場所と前記血管の遠隔壁との間の第2の距離を表す複数の信号を生成するために複数のエミッターおよび複数の検出器を含む、光センサーと、
複数の圧力計算それぞれについて、前記第1および第2の距離を決定して前記血管の面積を算出するように、また、前記血管を通って流れる血液からの反射波を検出するトランスデューサーのセグメントを決定し、それによって前記血液の速度を決定するように構成された算出装置であって、前記速度および面積は、血圧を算出するのに使用される、算出装置と、
前記ドップラーセンサー、前記光センサー、および前記算出装置を取り囲むハウジングと、
を含む、感知装置。
(2) 信号を取得し測定値を算出する感知装置において、
音響エネルギーを伝達し、音響エネルギーを受け取り、受け取った前記音響エネルギーを1つまたは複数の信号に変換するための第1のトランスデューサーを含むセンサーであって、前記第1のトランスデューサーは、哺乳動物の、血液を運ぶ血管に向かって異なる方向に向けられた2つのトランスデューサー部分を含み、前記2つのトランスデューサー部分のうち少なくとも一方は、前記音響エネルギーが前記血液を運ぶ血管に当たるところで測定すると、前記血液を運ぶ血管の長さ方向軸に対して多くとも約20°の角度で向けられている、センサーと、
前記第1のトランスデューサーを操作し、前記1つまたは複数の信号に基づいて血液パラメータを計算する算出装置と、
前記センサーおよび前記算出装置を取り囲むハウジングであって、前記ハウジングは、前記音響エネルギーが通過する、血管の方を向く壁を有し、前記血管と離間した関係で前記ハウジングを前記哺乳動物に取り付けるように構成された取り付け特徴部をさらに含む、ハウジングと、
を含む、感知装置。
(3) 信号を取得し、測定値を算出するシステムにおいて、
患者に植え込まれる心臓装置と、
血管から離間したセンサーであって、前記センサーは、音響エネルギーを伝達し、音響エネルギーを受け取り、受け取った前記音響エネルギーを1つまたは複数の信号に変換する1つまたは複数のトランスデューサーを含み、前記1つまたは複数のトランスデューサーは、前記血管の片側を向き、前記トランスデューサーのうち少なくとも1つは、異なる方向に向けられた2つのトランスデューサー部分を含み、前記2つのトランスデューサー部分のうち少なくとも一方は、前記音響エネルギーが前記血管に当たるところで測定すると、前記血管の長さ方向軸に対して多くとも約20°の角度で向けられる、センサーと、
前記1つまたは複数のトランスデューサーを操作し、前記1つまたは複数の信号を処理して、前記血管の中を流れる血液の血液速度値を得る、算出装置と、
前記センサーおよび前記算出装置を取り囲むハウジングと、
を含む、システム。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1A】感知装置の例示的な実施形態の概略的側面図である。
【図1B】図1の感知装置の、外側に向いた図である。
【図1C】図1の感知装置の斜視図である。
【図2】図1の感知装置、および血管の概略的側面図である。
【図3】図1の感知装置、および血管の概略的側面図である。
【図4】ドップラーセンサーの例示的な実施形態の概略的上面図である。
【図5】波および流体の流れの向きの、概念的なベクトル表示である。
【図6A】別の例示的な実施形態によるドップラーセンサーの概略的正面図である。
【図6B】別の例示的な実施形態によるドップラーセンサーの概略的側面図である。
【図6C】別の例示的な実施形態によるドップラーセンサーの概略的上面図である。
【図6D】別の例示的な実施形態によるドップラーセンサーの概略的斜視図である。
【図7】ドップラーセンサーの別の例示的な実施形態の概略的上面図である。
【図8】図1の感知装置から通信信号を送受信するように構成されたシステムの概念図である。
【図9】運動を測定する例示的な方法のフローチャートである。
【図10】心臓周期の概略的表示である。
【図11】血管を通って流れる流体の概念図である。
【図12】心臓周期中に得た測定値のグラフである。
【図13】例示的な実施形態によるドップラーセンサーの概念図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血圧を測定するように構成された感知装置において、
供給源波を放射し反射波を検出するための複数のトランスデューサーを有するドップラーセンサーであって、関連する基準場所を有する、ドップラーセンサーと、
前記基準場所と血管の近傍壁との間の第1の距離および前記基準場所と前記血管の遠隔壁との間の第2の距離を表す複数の信号を生成するために複数のエミッターおよび複数の検出器を含む、光センサーと、
複数の圧力計算それぞれについて、前記第1および第2の距離を決定して前記血管の面積を算出するように、また、前記血管を通って流れる血液からの反射波を検出するトランスデューサーのセグメントを決定し、それによって前記血液の速度を決定するように構成された算出装置であって、前記速度および面積は、血圧を算出するのに使用される、算出装置と、
前記ドップラーセンサー、前記光センサー、および前記算出装置を取り囲むハウジングと、
を含む、感知装置。
【請求項2】
信号を取得し測定値を算出する感知装置において、
音響エネルギーを伝達し、音響エネルギーを受け取り、受け取った前記音響エネルギーを1つまたは複数の信号に変換するための第1のトランスデューサーを含むセンサーであって、前記第1のトランスデューサーは、哺乳動物の、血液を運ぶ血管に向かって異なる方向に向けられた2つのトランスデューサー部分を含み、前記2つのトランスデューサー部分のうち少なくとも一方は、前記音響エネルギーが前記血液を運ぶ血管に当たるところで測定すると、前記血液を運ぶ血管の長さ方向軸に対して多くとも約20°の角度で向けられている、センサーと、
前記第1のトランスデューサーを操作し、前記1つまたは複数の信号に基づいて血液パラメータを計算する算出装置と、
前記センサーおよび前記算出装置を取り囲むハウジングであって、前記ハウジングは、前記音響エネルギーが通過する、血管の方を向く壁を有し、前記血管と離間した関係で前記ハウジングを前記哺乳動物に取り付けるように構成された取り付け特徴部をさらに含む、ハウジングと、
を含む、感知装置。
【請求項3】
信号を取得し、測定値を算出するシステムにおいて、
患者に植え込まれる心臓装置と、
血管から離間したセンサーであって、前記センサーは、音響エネルギーを伝達し、音響エネルギーを受け取り、受け取った前記音響エネルギーを1つまたは複数の信号に変換する1つまたは複数のトランスデューサーを含み、前記1つまたは複数のトランスデューサーは、前記血管の片側を向き、前記トランスデューサーのうち少なくとも1つは、異なる方向に向けられた2つのトランスデューサー部分を含み、前記2つのトランスデューサー部分のうち少なくとも一方は、前記音響エネルギーが前記血管に当たるところで測定すると、前記血管の長さ方向軸に対して多くとも約20°の角度で向けられる、センサーと、
前記1つまたは複数のトランスデューサーを操作し、前記1つまたは複数の信号を処理して、前記血管の中を流れる血液の血液速度値を得る、算出装置と、
前記センサーおよび前記算出装置を取り囲むハウジングと、
を含む、システム。
【請求項1】
血圧を測定するように構成された感知装置において、
供給源波を放射し反射波を検出するための複数のトランスデューサーを有するドップラーセンサーであって、関連する基準場所を有する、ドップラーセンサーと、
前記基準場所と血管の近傍壁との間の第1の距離および前記基準場所と前記血管の遠隔壁との間の第2の距離を表す複数の信号を生成するために複数のエミッターおよび複数の検出器を含む、光センサーと、
複数の圧力計算それぞれについて、前記第1および第2の距離を決定して前記血管の面積を算出するように、また、前記血管を通って流れる血液からの反射波を検出するトランスデューサーのセグメントを決定し、それによって前記血液の速度を決定するように構成された算出装置であって、前記速度および面積は、血圧を算出するのに使用される、算出装置と、
前記ドップラーセンサー、前記光センサー、および前記算出装置を取り囲むハウジングと、
を含む、感知装置。
【請求項2】
信号を取得し測定値を算出する感知装置において、
音響エネルギーを伝達し、音響エネルギーを受け取り、受け取った前記音響エネルギーを1つまたは複数の信号に変換するための第1のトランスデューサーを含むセンサーであって、前記第1のトランスデューサーは、哺乳動物の、血液を運ぶ血管に向かって異なる方向に向けられた2つのトランスデューサー部分を含み、前記2つのトランスデューサー部分のうち少なくとも一方は、前記音響エネルギーが前記血液を運ぶ血管に当たるところで測定すると、前記血液を運ぶ血管の長さ方向軸に対して多くとも約20°の角度で向けられている、センサーと、
前記第1のトランスデューサーを操作し、前記1つまたは複数の信号に基づいて血液パラメータを計算する算出装置と、
前記センサーおよび前記算出装置を取り囲むハウジングであって、前記ハウジングは、前記音響エネルギーが通過する、血管の方を向く壁を有し、前記血管と離間した関係で前記ハウジングを前記哺乳動物に取り付けるように構成された取り付け特徴部をさらに含む、ハウジングと、
を含む、感知装置。
【請求項3】
信号を取得し、測定値を算出するシステムにおいて、
患者に植え込まれる心臓装置と、
血管から離間したセンサーであって、前記センサーは、音響エネルギーを伝達し、音響エネルギーを受け取り、受け取った前記音響エネルギーを1つまたは複数の信号に変換する1つまたは複数のトランスデューサーを含み、前記1つまたは複数のトランスデューサーは、前記血管の片側を向き、前記トランスデューサーのうち少なくとも1つは、異なる方向に向けられた2つのトランスデューサー部分を含み、前記2つのトランスデューサー部分のうち少なくとも一方は、前記音響エネルギーが前記血管に当たるところで測定すると、前記血管の長さ方向軸に対して多くとも約20°の角度で向けられる、センサーと、
前記1つまたは複数のトランスデューサーを操作し、前記1つまたは複数の信号を処理して、前記血管の中を流れる血液の血液速度値を得る、算出装置と、
前記センサーおよび前記算出装置を取り囲むハウジングと、
を含む、システム。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2011−521678(P2011−521678A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509041(P2011−509041)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【国際出願番号】PCT/IB2009/006082
【国際公開番号】WO2009/138882
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(510300740)カーディオ・アート・テクノロジーズ・リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】Cardio Art Technologies, Ltd.
【住所又は居所原語表記】26 Haharoshet Street, Or Yehuda, Israel
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【国際出願番号】PCT/IB2009/006082
【国際公開番号】WO2009/138882
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(510300740)カーディオ・アート・テクノロジーズ・リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】Cardio Art Technologies, Ltd.
【住所又は居所原語表記】26 Haharoshet Street, Or Yehuda, Israel
【Fターム(参考)】
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