説明

ドプラセンサー

【課題】排尿に関する測定を適切に行うことができるドプラセンサーを提供する。
【解決手段】外尿道口から体外に向けて放出される尿に関する測定に用いられるドプラセンサー1であって、指に取り付け可能な構造を有している筐体10と、筐体10に設けられており、筐体10の指側とは異なる側から波動エネルギーを送信する送信部11と、筐体に設けられており、筐体10の指側とは異なる側において、送信部11が送出した波動エネルギーの反射波を受信する受信部12と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿に関する測定に用いられるドプラセンサー等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
尿流動態学(ウロダイナミクス、Urodynamics)および関連する尿動態計測は泌尿器科学のみならず全身状態に関する医学にも情報を提供する重要な計測である。すなわちこの計測は蓄尿、排尿の過程、また膀胱内に存在する尿の量、また排尿反射に始まる排尿動作における排出量(排尿量)の時間経過、排出速度(尿速)、また排出速度の時間経過などが含まれるが、その中で排出速度と排出量の瞬時値、および排出量瞬時値の積分による排出量の時間経過、が重要な計測項目となる。
【0003】
これらの尿流動態学的パラメーター(Urodynamics parameters)の計測は、排出された尿の(容積に代えて)重量の時間経過を尿を受ける容器にはかりをつけて計測するという原始的な方法のほか、最近は特許文献1、2および非特許文献1などに見るごとく、空中を飛散落下する尿の水滴群を電磁波または空中超音波により観測、特にそれらの反射波のドプラシフトを捕足して計測ないし推定する手法が提案され、また一部は試験的に実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−223772号公報(第1頁、第1図等)
【特許文献2】特開2004−100357号公報(第1頁、第1図等)
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】SPIE volume 1039, pp385-386 (13th IRMMW session F1.8, Dec.1988)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらのドプラ尿流動態学計測(Doppler Urodynamics)はいずれも計測手段を便器(尿器)の側に搭載するものであり、この計測を行うためには被検者はこのような設備がある便器または尿器のある所まで出掛けて排尿をせねばならない、という問題があった。これは被検者の自然な日常生活を維持しつつその状況下での動態計測を行うという思想には適わない。患者の病態を把握するための真の尿流動態学はそのような自然な日常生活の中でしか計れない可能性がある。つまり、従来においては、日常生活に近い、自然でストレスの少ない状況下で、被検者が適切に排尿に関する測定を行うことができない、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のドプラセンサーは、外尿道口から体外に向けて放出される尿に関する測定に用いられるドプラセンサーであって、指に取り付け可能な構造を有している筐体と、筐体に設けられており、筐体の指側とは異なる側から波動エネルギーを送信する送信部と、筐体に設けられており、筐体の指側とは異なる側において、送信部が送出した波動エネルギーの反射波を受信する受信部と、を備えたドプラセンサーである。
【0008】
かかる構成により、ドプラセンサーの筐体を指に取り付けることで、被検者が適切に排尿に関する測定を行うことができる。
【0009】
また、本発明のドプラセンサーは、前記ドプラセンサーにおいて、送信部が送信した波動エネルギーと、受信部が受信した反射波とを用いてドプラシフト成分を取得するドプラ処理部を更に備えたドプラセンサーである。
【0010】
かかる構成により、ドプラシフト成分を取得して、排尿に関する分析を行うことができる。
【0011】
また、本発明のドプラセンサーは、前記ドプラセンサーにおいて、ドプラ処理部が取得するドプラシフト成分から、外尿道口から体外に向けて放出される尿の視線速度に対応するドプラシフト成分を選択的に抽出するフィルタ部を更に備えたドプラセンサーである。
【0012】
かかる構成により、視線速度に対応したドプラシフト成分だけを選択的に取得して、排尿に関する分析を精度良く行うことができる。
【0013】
また、本発明のドプラセンサーは、前記ドプラセンサーにおいて、ドプラシフト成分を用いて尿の排出速度に関する情報である尿流速情報を取得する分析部を更に備えたドプラセンサーである。
【0014】
かかる構成により、尿流速の評価に用いられる情報を出力することできる。
【0015】
また、本発明のドプラセンサーは、前記ドプラセンサーにおいて、分析部は、受信部が異なる時刻において受信した反射波のそれぞれについて、尿流速情報と、反射波の取得時刻とを取得し、この尿流速情報と、時間軸とを対応付けた尿流速度曲線を取得するドプラセンサーである。
【0016】
かかる構成により、尿流速の変化を示す情報を出力することができる。
【0017】
また、本発明のドプラセンサーは、前記ドプラセンサーにおいて、ドプラシフト成分の強度を示す情報を用いて、尿流量の瞬間値に関する情報である瞬間尿流量情報を取得する分析部を更に備えたドプラセンサーである。
【0018】
かかる構成により、瞬間的な尿流量の評価に用いられる情報を出力することができる。
【0019】
また、本発明のドプラセンサーは、前記ドプラセンサーにおいて、分析部は、瞬間尿流量情報を積分して、排出された尿の総量に関する情報を取得するドプラセンサーである。
【0020】
かかる構成により、尿の排出力の総量の評価に用いられる情報を出力することができる。
【0021】
また、本発明のドプラセンサーは、前記ドプラセンサーにおいて、ドプラシフト成分を音声として出力する出力部を更に備えたドプラセンサーである。
【0022】
かかる構成により、音声によって、尿の排出状況を表すことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によるドプラセンサーによれば、排尿に関する測定を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態にかかるドプラセンサーの構造の一例を示す模式図
【図2】同測定システムの構成を示すブロック図
【図3】同ドプラセンサーの動作について説明するフローチャート
【図4】同測定システムの使用状況を示す模式図
【図5】同ドプラセンサーの、スペクトラム時系列図(図5(a))、周波数軸上の信号強度分布(図5(b))、尿流速度曲線(図5(c))の一例を示す図
【図6】同ドプラセンサーの変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、ドプラセンサー等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0026】
(実施の形態)
図1は、本実施の形態にかかるドプラセンサーの構造の一例を示す模式図である。ドプラセンサー1は、外尿道口から体外に向けて放出される尿に関する測定に用いられるものである。ドプラセンサーとは、例えば、ドプラセンサーから離れる方向またはドプラセンサー近づく方向に運動する物体を、ドプラ効果を利用して検出するセンサーである。
【0027】
ドプラセンサー1は、指に取り付け可能な構造の筐体10を有している。ドプラセンサー1は、送信部11と、受信部12と、回路30とを、筐体10に備えている。また、回路30には、ここでは、一例として、ドプラセンサー1が取得した情報を出力するための信号線57が接続されている。
【0028】
筐体10の材質等は問わない。受信部12や、回路30の指に取り付け可能な構造とは、例えば、図1に示すような、指輪上の形状を有する構造である。また、指に挟んで止めることが可能なクリップや、指に結びつける帯や、指に巻いて止めるベルト等を有する構造であってもよい。この具体例においては、筐体10が指を通すためのリング部19を備えている場合を例に挙げて説明する。このリング部19は一部に切り欠き等を有していても良い。
【0029】
送信部11は、波動エネルギーを出力する。波動エネルギーとは、音波や電磁波である。送信部11は、指に取り付けた状態で、筐体10の指側とは異なる側から波動エネルギーを送信可能となるように、筐体10に設けられている。例えば、送信部11は、波動エネルギーを送信される部位(例えば、出射面等)が、筐体10の指側とは異なる側に位置するよう、筐体10に設けられている。送信部11は、少なくとも送信する部位以外は、筐体10内に格納されていることが好ましい。
【0030】
受信部12は、送信部11が送信した波動エネルギーの反射波を受信する。例えば、受信部12は、体外に向けて放出される尿によって反射した波動エネルギーの反射波を受信する。受信部12は、指に取り付けた状態で、筐体10の指側とは異なる側において、送信部11が送信した波動エネルギーの反射波が受信可能となるように、筐体10に設けられている。例えば、受信部12は、波動エネルギーを受信する部位(例えば、受信面等)が、筐体10の指側とは異なる側に位置するよう、筐体10に設けられている。送信部11の波動エネルギーと受信する部位と、受信部12の反射波を受信する部位とは、ほぼ同じ方向に向けて隣接して配置されているようにすることが、反射波を適切に受信できるようにする上で好ましい。受信部12は、少なくとも送信する部位以外は、筐体10内に格納されていることが好ましい。受信部12は、ホモダイン検波器を有していても良い。
【0031】
本実施の形態においては、波動エネルギーとして、例えば、可視または近赤外のコヒーレント光を用いることが可能である。この場合には、送信部11および受信部12は、それぞれ、可視または近赤外の光を出射するレーザーダイオードおよびこれらの波長の光を受光するフォトダイオードで実現される。また、送信部11および受信部12には、レンズや集束性反射器などの、可視または近赤外のコヒーレント光の出射や、受光を支援する支援手段を併設することが好ましい。
【0032】
また、波動エネルギーとして、例えば、ミリ波ないしテラヘルツ波領域の電磁波を用いることが可能である。この場合には、送信部11および受信部12は、それぞれ、各々ガンダイオードや集積化発振回路およびショットキーバリヤダイオードで実現することができる。また、これらの素子や回路については、固有のアンテナに追加してホーンやレンズや集束性反射器などの支援手段を併設することが好ましい。
【0033】
また、波動エネルギーとして、例えば、空中超音波を用いることが可能である。この場合には、送信部11および受信部12は、それぞれ、PZTやPVDF、VDF−TrFEなどの圧電性物質を用いる電気音響変換器を用いることが可能である。これらの変換器には集束性反射器などの支援手段を併設することが好ましい。
【0034】
電磁波の場合も空中超音波の場合も、計測の対象となる尿の液滴の寸法の分布に鑑みて、空間における波長が数mmになる周波数領域がこの目的には最も好ましい。これは空中超音波の場合数十KHz、電磁波の場合は数十GHzの領域になる。それぞれ例として50GHzのミリ波および50kHzの空中超音波の波長はともに6mmほどであり、本願の目的には最も適している領域にある。特に空中超音波の場合は周波数が20KHz〜200KHzの領域が好ましい。
【0035】
回路30は、例えば、後述するドプラ処理部13、フィルタ部14、分析部15、出力部16等を有している。なお、回路30の代わりに、同様の機能を有する専用の集積回路や、同様の機能を有するCPUやメモリ等が設けられていても良い。回路30は、筐体10内に設けられていることが好ましい。送信部11および受信部12と、回路30とは、配線等により接続されている。
【0036】
図2は、本実施の形態における測定システムの構成を示すブロック図である。
測定システム100は、ドプラセンサー1と、測定装置2とを備えている。
【0037】
ドプラセンサー1は、送信部11、受信部12、ドプラ処理部13、フィルタ部14、分析部15、および出力部16を備えている。
測定装置2は、情報受信部21、蓄積部22、格納部23を備えている。
【0038】
ドプラ処理部13は、送信部11が送信した波動エネルギーと、受信部12が受信した反射波とを用いてドプラシフト成分を取得する。ここで取得すべきドプラシフト成分とは、反射波から送信部11が送信した波動エネルギーの周波数成分を除いたものである。このような周波数成分の選択的な取得はドプラ受信機一般において常識事項であり、これは例えば、反射波信号を送信信号でもって乗積検波したのちにローカットフィルタで直流ないし超低周波数成分を除去することで行うことができる。この処理には様々な変形例があるが、この段階のドプラシフトを有する成分のみを特定的に受信する方法は本発明の実施上の自由度の範囲内であり、本発明の本質に関わる事はない。
【0039】
フィルタ部14は、ドプラ処理部13が取得するドプラシフト成分から、さらに、外尿道口から体外に向けて放出される尿の視線速度に対応するドプラシフト成分を選択的に抽出する。尿の視線速度に対応するドプラシフト成分を選択的に抽出するということは、ドプラ処理部13が取得したドプラシフト成分から、視線速度に対応する周波数帯を選択的に抽出することである。つまり、予め指定された周波数帯(視線速度に対応すると考えられる周波数帯)を選択的に抽出することと考えても良い。このことは、視線速度に対応しない周波数帯を選択的に除外することも含む概念である。なお、ここでの視線速度に対応する周波数帯とは、必ずしも厳密に、視線速度に対応する周波数帯以外の周波数を含まないことを意味するものではなく、明らかに視線速度に対応しないと判断される周波数帯を除いた周波数帯と考えても良い。視線速度とは、視線方向に沿った速度成分のことであり、通常は、奥行き方向に沿った速度成分である。ここでの視線方向は、送信部11から波動エネルギーが送信される方向や、受信部12が反射波を受信する方向と考えても良い。例えば、外尿道口からの尿の排出される方向と考えても良い。尿の速度の値域としては自然落下の液滴の場合も含めると秒速数cmから考えなければならないが、最大でも秒速1m弱程度までである。波長が6mmの波においてはその呈するドプラシフトの値域は計測視線との斜交を考えない最大値でおおよそ300Hz程度、最小値でおおよそ数Hzとなる。しかし、尿に関する計測上はこの遅い方の端はあまり重要でない。従って、波動エネルギーとして空中超音波を用いる場合においては、フィルタ部14は、尿の視線速度に適合するドプラシフト成分を選択的に抽出するフィルタとして、15Hzから300Hz程度のオーディオ周波数領域の下方に位置する周波数帯域のバンドパスフィルタであってもよい。つまり、フィルタ部14は、例えば、15Hzから300Hzの範囲内の周波数帯域をドプラ処理部13が取得したドプラシフト成分から抽出するバンドパスフィルタであってもよい。この場合、以下に続く信号分析、信号計測の装置や技法もまた基本的にオーディオ領域において汎用される装置や技法を援用して行うことができる。これによって、視線速度の情報を選択的に獲得することが可能となる。なお、このドプラフィルタへの要求仕様は、波動エネルギーとして用いる波の空中における波長に依存するので、波長が同じなら電磁波の場合も空中超音波の場合も同じである。
【0040】
分析部15は、ドプラシフト成分を用いて尿の排出速度に関する情報である尿流速情報を取得する。尿流速情報は、例えば、尿の排出速度の値であっても良いし、排出速度が高速であるか低速であるか等を文字や点数等の指標で表す情報であっても良い。また、ドプラシフト成分は、尿の排出速度に応じて変化するため、尿流速情報は、ドプラシフト成分(例えば、強度がピークとなる周波数)であっても良い。尿流速情報は、尿流量を評価するための情報と考えても良い。ここでのドプラシフト成分は、例えば、ドプラ処理部13が取得したドプラシフト成分や、フィルタ部14が選択的に抽出したドプラシフト成分である。フィルタ部14が選択的に抽出したドプラシフト成分は、具体的には、尿の視線方向に対応したドプラシフト成分であり、本実施の形態においては、分析部15は、ドプラシフト成分として、このフィルタ部14が抽出したドプラシフト成分を用いることが好ましい。かかることは以下においても同様である。分析部15は、例えば、ドプラ処理部13が取得したドプラシフト成分(または、フィルタ部14が選択的に抽出した外尿道口から体外に向けて放出される尿の視線速度に対応するドプラシフト成分)のうちの周波数の主成分を取得して、この周波数を用いて、尿流速情報を取得する。ドプラシフト成分の主成分とは、例えば、ドプラシフト成分のうちの強度がピークとなる周波数である。但し、ドプラシフト成分の主成分は、他の手法等で取得しても良い。主成分は、代表値と考えても良い。分析部15は、例えば、尿流速情報として、この周波数と、送信部11が送信した周波数とを用いて、尿の排出速度を算出する。分析部15は、特に、ドプラシフト成分のうちの高周波数帯の主成分となる周波数を用いて、尿流速情報を取得するようにしてもよい。
【0041】
また、分析部15は、ドプラシフト成分の強度を示す情報を用いて、尿流量の瞬間値に関する情報である瞬間尿流量情報を取得してもよい。ここでのドプラシフト成分は、例えば、ドプラ処理部13が取得したドプラシフト成分や、フィルタ部14が選択的に抽出したドプラシフト成分である。例えば、分析部15は、ドプラシフト成分のうちの、主成分(代表値)の周波数の強度を検出し、この強度を用いて、尿流量の瞬間値に関する情報である瞬間尿流量情報を取得してもよい。主成分の周波数とは、例えば、強度がピークとなる周波数である。この場合、分析部15は、ドプラシフト成分のうちのピークの強度を検出し、この強度を用いて瞬間尿流量情報を取得してもよい。瞬間尿流量情報は、例えば、尿流量の瞬間値そのものであっても良い。例えば、ドプラシフト成分の強度は、反射源(ここでは尿)の物量そのものをかなり忠実に反映する事は原理上も明らかなことであり、それはドプラセンサー1の空間的感度分布の勘案のもとに反射波が受理されている領域における排出中の尿の流量の瞬間値を良く代弁する。このため、予め、尿流量と、強度の値との対応関係を示す演算式(例えば比例式)等を実験等により求めておくようにして、この演算式等から、強度がピークとなる周波数の強度に対応する瞬間的な尿流量を演算により取得するようにしても良い。また、瞬間尿流量情報を取得する際に、ドプラシフト成分の強度を、この強度に対応する周波数を用いて算出される視線速度で補正しても良い。また、なお、瞬間尿流量情報は、例えば、瞬間的な尿流量を「多い」「少ない」等の指標で表す情報であっても良い。また、ドプラシフト成分の強度は、尿の排出量に対応して変化するため、瞬間尿流量情報は、上記で取得したピークの強度の値であっても良い。瞬間尿流量情報は、尿流量の瞬間値の評価に用いられる情報と考えても良い。
【0042】
また、分析部15は、分析部15が取得した瞬間尿流量情報を積分して、排出された尿の総量に関する情報を取得するようにしてもよい。尿流量の総量に関する情報は、瞬間尿流量情報と同様の情報である。尿流量の総量に関する情報は、尿流量の総量の評価に用いられる情報と考えても良い。排出された尿の総量とは、例えば、所定の期間内における尿の排出された総量である。例えば、分析部15は、異なる複数の時刻において取得された反射波について取得されたドプラシフト成分(フィルタ部16で抽出されたものでも良い)を用いて、各時刻の瞬間尿流量情報を取得し、この瞬間尿流量情報を積分して尿流量の総量に関する情報を取得する。この複数の時刻は、尿の排出開始から排出終了までの期間内の連続した複数の時刻であることが好ましい。
【0043】
また、分析部15は、受信部12が異なる時刻において受信した反射波のそれぞれについて、尿流速情報と、反射波の取得時刻とを取得し、この尿流速情報と、時間軸とを対応付けた尿流速度曲線を取得するようにしても良い。例えば、分析部15は、異なる複数の時刻において取得された反射波について取得されたドプラシフト成分をそれぞれ用いて、尿流速情報と、この尿流速情報を取得するために用いた反射波の取得時刻とを取得して、この情報を用いて、取得時刻を時間軸とした尿流速情報のグラフである尿流速度曲線を取得する。このドプラシフト成分は、フィルタ部14により抽出されたドプラシフト成分であっても良い。尿流速度曲線を取得する際には、尿流速情報と取得時刻とをプロットしたグラフに対して、スムージング処理や、ノイズ除去処理や、近似処理等を行うようにしても良い。
【0044】
例えば、分析部15は、ドプラ処理部13が取得したドプラシフト成分(または、フィルタ部14が取得したドプラシフト成分)のうちの主成分(例えばピークの周波数)を、複数の時刻において受信部12が受信した反射波についてそれぞれ取得する。ここでの主成分は、高周波帯域の主成分としても良い。
【0045】
分析部15は、例えば、ドプラ処理部13が取得したドプラシフト成分のうちの、フィルタ部14が抽出したドプラシフト成分から、高周波帯域の主成分、例えば、高周波帯域における各周波数のうちの、最も高い出力強度を示す周波数を取得する。ここでは、この周波数を尿流速情報とする。この処理を、複数の時刻において受信した反射波について得られたドプラシフト成分について繰り返す。この複数の時刻は、尿の排出開始から排出終了までの期間内の連続した複数の時刻であることが好ましい。そして、強度がピークとなる周波数である尿流速情報と、各ドプラシフト成分に対応する反射波を取得した時刻の情報とを取得する。そして、取得した周波数と、時刻の情報とを順次、図示しない記憶媒体等に蓄積していく。そして、蓄積したこれらの情報を用いて、時間軸と、周波数の値とを対応付けた時系列のグラフである尿流速度曲線を取得する。尿流速情報である周波数は、尿流速に対応するものであるため、この尿流速度曲線により、尿流速の変化を知ることができる。
【0046】
出力部16は、受信部12が受信した反射波を用いて得られた情報を出力する。反射波を用いて得られた情報は、例えば、出力部16が受信した反射波を示す情報そのものであっても良いし、ドプラ処理部13が反射波を用いて取得したドプラシフト成分や、フィルタ部14が取得(抽出)した尿の視線速度に対応するドプラシフト成分であっても良い。また、分析部15が取得した尿流速情報や、瞬間尿流量情報や、尿流量の総量に関する情報や、尿流量曲線等であってもよい。ここでの、出力とは、ディスプレイへの表示、プロジェクターを用いた投影、プリンタへの印字、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。外部の装置への送信は、有線通信を用いても良いし、無線通信を用いても良い。
【0047】
また、出力部16は、ドプラシフト成分を音声として出力するようにしても良い。例えば、ドプラ処理部13が取得したドプラシフト成分(または、フィルタ部14が取得したドプラシフト成分)を音声として出力するようにしても良い。例えば、波動エネルギーがオーディオ周波数領域の空中超音波である場合、このドプラシフト成分をそのまま、オーディオ波形として出力しても良いし、必要に応じて、増幅等の加工を行っても良い。また、波動エネルギーがオーディオ周波数領域でなくても、周波数をオーディオ周波数領域までシフトさせて出力するようにしても良い。例えば、出力部16は、スピーカーやヘッドフォン等の出力デバイス等で、可聴化して出力する。人間の聴覚は時として如何なる電子的分析より優れた判断力を持つ場合があり、最も簡便にはこのただ聴くだけと言う主観的分析が有益な場合もある。
【0048】
出力部16は、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。出力部16は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。出力部16は、情報を出力するための物理的なインターフェース等と考えても良い。
【0049】
情報受信部21は、ドプラセンサー1の出力部16から送信される情報を受信する。情報受信部21は、通常、無線または有線の通信手段で実現される。
【0050】
蓄積部22は、情報受信部21が受信した情報を、格納部23に蓄積する。
【0051】
格納部23には、情報受信部21が受信した情報が蓄積される。格納部23は、揮発性または不揮発性の記憶媒体等により実現される。
【0052】
なお、測定装置2は、ユーザ等の指示に応じて、格納部23に格納されている情報を出力するための情報出力部(図示せず)を備えていても良い。この出力は、上記の出力部16の出力と同様である。
【0053】
次に、ドプラセンサー1の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。
【0054】
(ステップS301)送信部11は、波動エネルギーを送信する。
【0055】
(ステップS302)受信部12は、波動エネルギーの反射波を受信する。
【0056】
(ステップS303)受信部12は、反射波の受信時刻を、図示しない時計等から取得する。
【0057】
(ステップS304)ドプラ処理部13は、送信部11が送信した波動エネルギーと、受信部12が受信した反射波とを用いて、ドプラシフト成分を取得する。
【0058】
(ステップS305)フィルタ部14は、ドプラシフト成分に対して、フィルタ処理を行う。例えば、予め指定された周波数帯のドプラシフト成分を抽出する。
【0059】
(ステップS306)分析部15は、フィルタ部14により抽出されたドプラシフト成分から、尿流速情報を取得する。例えば、分析部15は、ドプラシフト成分の周波数分布における強度がピークとなる周波数を、尿流速情報として取得する。
【0060】
(ステップS307)分析部15は、フィルタ部14により抽出されたドプラシフト成分から、尿流量の瞬間値に関する情報である瞬間尿流量情報を取得する。例えば、分析部15は、ドプラシフト成分の周波数分布における最大の強度の値、あるいはこの最大の強度の値を示す指標や、この最大の強度を変換して得た尿流量を、瞬間尿流量情報として取得しても良い。
【0061】
(ステップS308)分析部15は、ステップS306で取得した尿流速情報と、ステップS307で取得した瞬間尿流量情報とを、ステップS303で取得した時刻と対応付けて、図示しない記憶媒体等に蓄積する。
【0062】
(ステップS309)送信部11は、尿に関する測定を終了するか否かを判断する。例えば、被検者等から測定を終了する操作を受け付けた場合、測定を終了することを判断する。測定を終了する場合、ステップS310に進み、終了しない場合、ステップS301に戻る。
【0063】
(ステップS310)分析部15は、ステップS308で時刻と対応付けて蓄積した尿流速情報を、時刻順に順次読み出して、尿流速情報と時刻とを対応付けた尿流速度曲線を取得する。
【0064】
(ステップS311)分析部15は、ステップS308で時刻と対応付けて蓄積した複数の瞬間尿流量情報を積分して、尿流量の総量に関する情報を取得する。
【0065】
(ステップS312)出力部16は、尿流速度曲線と尿流量の総量に関する情報とを出力する。そして、処理を終了する。
【0066】
なお、ここでは、反射波を取得するごとに、随時、尿流速情報と瞬間尿流量情報を取得する例について説明したが、反射波を取得するごとに、反射波と、この反射波の取得時刻とを対応付けて、図示しない記憶媒体等に蓄積しておくようにし、排尿に関する測定の終了後に、反射波と取得時刻との組の全てを順次読み出して、読み出した反射波に対して、上記のステップS304からステップS308の処理を繰り返し、その後、ステップS310以降の処理を行うようにしても良い。
【0067】
また、上記においては、説明の便宜上、ドプラセンサー1が、複数の処理ステップによって時分割動作する場合について説明したが、本実施の形態においては、ドプラセンサー1が、必ずしも上記のような時分割動作を行う必要はない。本実施の形態においては、ドプラセンサー1がデジタル回路であるかアナログ回路であるかによらず、上記の各動作(あるいはその一部)に相当する動作を並列動作するようにしてもよい。例えば、ドプラセンサー1がアナログ回路で構成される場合等においては、上記の各処理ステップに相当する動作を並列動作するようにしてもよい。例えば、ドプラセンサー1の送信部11と受信部12とが、波動エネルギーの送信する処理と受信する処理とを一体的に連続動作するようにしても良い。
【0068】
以下、本実施の形態の測定システムの具体例について説明する。ここでは、特に、ドプラセンサー1で排尿に関する測定を行い、尿流速度曲線を出力する処理について説明する。
【0069】
図4は、本実施の形態における測定システム100を使用している状況を示す模式図である。ドプラセンサー1は、リング形状を有しており、外性器51を持った状態で、送信部11の波動エネルギーを送信する部位と、受信部12の反射波を受信する部位とが、排尿方向を向くよう、被検者の外性器51を持つ手55の人差し指等に嵌められる。ドプラセンサー1の出力部16と、測定装置2の情報受信部21とは、信号線57によって有線接続されている。信号線57は、例えば、係留手段56によって、被検者の手首等に係留されている。
【0070】
被検者が排尿を行うと、ドプラセンサー1の送信部11から出力された波動エネルギー53が、排出された尿52で反射され、反射波54が受信部12によって受信される。送信部11から出力や、受信部12による受信は、例えば、予め指定された一定または不定の間隔等で繰り返し行われる。反射波54の受信が行われるごとに、ドプラ処理部13は、波動エネルギー53の周波数と、反射波54の周波数とを用いて、ドプラシフト成分を取得する。そして、フィルタ部14は、予め指定された周波数帯のドプラシフト成分を抽出することで、視線速度に対応したドプラシフト成分を取得することができる。
【0071】
次に、分析部15は、フィルタ部14が抽出したドプラシフト成分を周波数分析する。具体的には、ドプラシフト成分の周波数ごとの信号の強度の分布(例えば、スペクトラム)を取得する。このドプラシフト成分の周波数分析の結果から、その視線速度とその分布を知ることができる。
【0072】
次に、得られた周波数分析の結果等を用いて、分析部15は、尿流速の時系列グラフである尿流速度曲線を取得する。尿流速度曲線を導出する演算は、方式上も技術的にも体内の血流をそのドプラ信号により評価分析する場合と同様のものが利用可能であり、その汎用技術をほぼそのまま援用することが可能である。しかしながら本発明の好ましい実施例の1つとしては、以下に示すような、対象とする尿の液滴群の集団走行の状況に適応したスペクトラム情報の分析処理を行う。
【0073】
図5(a)は、40KHzの空中超音波CW(連続波)を用いたドプラセンサー1による排尿行為の一工程に関して得られた、ドプラスペクトラム時系列図である。この時間軸上の一の時刻Aにおいて周波数軸上の信号強度分布(すなわち、ドプラシフト成分のスペクトラムであるドプラスペクトラム)を模式的に書き出すと一例として図5(b)のようになる。これにおいて、低周波数域(LF)から中庸周波数域(MF)まではアーティファクトもしくはドプラ見込み角が大きくなる(視線と液滴の走行とが平行からかけはなれている)成分であり、ここでの関心事である尿流速度の評価には邪魔になる成分である。尿流の正味を代弁するのはこの中の高周波数域(HF)に有意に存在する成分であり、代表値としてその領域の局所ピーク(黒矢印50)の位置を求めれば良い事になる。そこでそのための信号処理においては、まず、ノイズレベル以下を無視するように図示の点線Bで示したレベル以下の値を除去し、その後に、適応的に周波数軸の下の方から除々に除外領域を高めてゆきつつグラフのギザギザを除くための丸め処理とピーク検出処理を行い、検出されつつあるピークの位置が安定したところで処理を打ち切り、その段階で検出されるピーク位置の周波数を、一の時刻Aでのドプラシフト周波数の代表値(主成分)とする。そして、時刻A以外の各時刻について周波数の代表値を取得する。そして、このようにして取得した時刻と、周波数の代表とを有する情報を用いて、時間軸と代表値とを対応付けたグラフが得る。そして、これを必要に応じてスムージング処理および係数乗算を施した後、尿流速度曲線の推定値として利用する。図5(c)に尿流速度曲線の一例を模式的に示す。すなわち本発明の好ましい実施例においてはこのように各場面でのドプラスペクトラムに適応的に低域除去を実施しつつ、その高速度域の主成分を同定することにより尿流速度曲線を推定する手続が併設される。なお、この処理は、単に一例を述べたものであり、目的に応じて、適宜、適切な処理を行うようにしても良い。
【0074】
出力部16は、上記のようにして分析部15が取得した尿流速度曲線を示す情報を、測定装置2に対して送信する。
【0075】
測定装置2の情報受信部21が、尿流速度曲線を示す情報を受信すると、蓄積部22は、受信した尿流速速度曲線を示す情報を、格納部23に蓄積する。
【0076】
以上、本実施の形態によれば、被験者が指に取り付けたドプラセンサー1で、排出される尿に関する測定を行うことができるため、検査用の便器等のある場所に移動しなくても検査が可能となり、例えば、日常生活に近い、自然でストレスの少ない状況下で、被検者が適切に排尿に関する測定を行うことができ、排尿に関する測定を適切に行うことができる。
【0077】
特に、本発明の実施によれば個人が保持可能な簡易な装置でもって個人レベルで自己の尿流動態計測が行えるので、自己管理医学ないし予防医学などの観点からも好ましいものである。
【0078】
なお、上記実施の形態においては、ドプラセンサー1において、ドプラシフト成分を取得したり、ドプラシフト成分から特定の周波数帯の成分を抽出したり、尿流速情報や、瞬間尿流量情報や、尿流量の総量に関する情報や、尿流速度曲線を取得したりするようにしたが、これらの処理の一部や全部を、測定装置2で行うようにしても良い。例えば、これらの処理を行うドプラ処理部13や、フィルタ部14や、分析部15等を、ドプラセンサー1に設ける代わりに、測定装置2に設けるようにして、これらの処理を測定装置2において行うようにしても良い。また。この場合、出力部16は、適宜、送信部11が送信した波動エネルギーの周波数等の情報や、受信部12が受信した反射波や、ドプラ処理部13が取得したドプラシフト成分や、フィルタ部14が抽出したドプラシフト成分等を、順次、測定装置2に送信するようにすればよい。
【0079】
また、本実施の形態においては、ドプラセンサー1が受信した反射波を用いて、上記のような処理を、実時間的に処理するようにしても良いし、一旦、ドプラセンサー1の内部に設けられた記憶媒体(図示せず)や、測定装置2の格納部23等に、反射波等を蓄積するようにして、反射波等の測定を終了した後等に処理するようにしても良い。
【0080】
また、ドプラセンサー1と、測定装置2との接続を無線接続とすることで、処理の割り当て等の自由度を高めることができる。また、受信部12が受信する反射波や、ドプラシフト成分が、波形信号であるため、携帯電話等の音声チャンネルを利用して、これらの波形信号を、ドプラセンサー1から、遠方の測定装置2に伝送して処理することも可能であり、尿量の時間曲線や排出量総量の推定値などを知ることができる。ただし、携帯電話において良く見られるごとく音声信号の取り扱い経路の途中に自動レベル調整やスペクトラム適応的な、またスペクトラム再編集的な処理が介在する場合には各々の条件に合わせて適切な考慮が必要になる場合があり得るので一定の注意を要する。
【0081】
図6は、本実施の形態のドプラセンサー1の変形例を示す図である。このドプラセンサーにおいては、側方に押しボタンスイッチ18が設けられており、これを隣の指で挟むように押すことでもって計測開始の指示をドプラセンサー1の送信部11や受信部12等に与えるようにしても良い。すなわち今これから排尿する旨の指示を送信部11や受信部12等に伝えることができる。
【0082】
なお、上記実施の形態において、ドプラセンサー1は、超音波を用いるものであっても、電磁波を用いるものであってもよい。また、ドプラセンサー1は、パルス波送信によるパルスドプラの方式であっても連続波(CW)送信によるCWドプラの方式であっても原理上は同じであるのでどちらでもよい。ただし、好ましい配置上の工夫によればパルスドプラ方式の場合においては、送信部11や受信部12等の電子回路は複雑化するが、波動エネルギーの送信と受信とは1つのアンテナまたはトランデューサーで時分割的に行うようにすることができるので、装置の小型化ないし装置の物理量の節約には役立つ場合がある。
【0083】
また、ミリ波においては自己検波作用を合せ持つ自励発振回路、特に発振起動限界近くに設定された軟らかい発振回路(マージナルオシレーター)を送受信に兼用の回路としてアンテナと一体化して用いると送受信とドプラ検波に必要なアンテナやホーン、レンズ、反射器や、電子回路の量を極限まで減縮できるので、これもまた好ましい実施例となる。
【0084】
なお、上記の具体例においては、ドプラセンサー1を、男子外性器51を保持する手の指(またはそれに近隣の指)にはめて使用する場合について説明したが、女子の場合はかかるドプラセンサーをはめた指を図示せぬ外尿道口の近傍に置くだけで同じ作用効果を得ることができる。
【0085】
また、上記各実施の形態において、ドプラ処理部13、フィルタ部14、分析部15、蓄積部22等の各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。
【0086】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上のように、本発明にかかるドプラセンサーは、尿の流速や流量などの計測に用いられるセンサー等として適しており、特に、被験者が自らの放つ尿に関する計測を行うために利用するドプラセンサー等として有用である。
【符号の説明】
【0088】
1 ドプラセンサー
2 測定装置
10 筐体
11 送信部
12 受信部
13 ドプラ処理部
14 フィルタ部
15 分析部
16 出力部
18 ボタンスイッチ
19 リング部
21 情報受信部
22 蓄積部
23 格納部
30 回路
100 測定システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外尿道口から体外に向けて放出される尿に関する測定に用いられるドプラセンサーであって、
指に取り付け可能な構造を有している筐体と、
前記筐体に設けられており、前記筐体の指側とは異なる側から波動エネルギーを送信する送信部と、
前記筐体に設けられており、前記筐体の指側とは異なる側において、前記送信部が送出した波動エネルギーの反射波を受信する受信部と、を備えたドプラセンサー。
【請求項2】
前記送信部が送信した波動エネルギーと、前記受信部が受信した反射波とを用いてドプラシフト成分を取得するドプラ処理部を更に備えた請求項1記載のドプラセンサー。
【請求項3】
前記ドプラ処理部が取得するドプラシフト成分から、外尿道口から体外に向けて放出される尿の視線速度に対応するドプラシフト成分を選択的に抽出するフィルタ部を更に備えた請求項2記載のドプラセンサー。
【請求項4】
前記ドプラシフト成分を用いて尿の排出速度に関する情報である尿流速情報を取得する分析部を更に備えた請求項2または請求項3記載のドプラセンサー。
【請求項5】
前記分析部は、前記受信部が異なる時刻において受信した反射波のそれぞれについて、前記尿流速情報と、反射波の取得時刻とを取得し、当該尿流速情報と、時間軸とを対応付けた尿流速度曲線を取得する請求項4記載のドプラセンサー。
【請求項6】
ドプラシフト成分の強度を示す情報を用いて、尿流量の瞬間値に関する情報である瞬間尿流量情報を取得する分析部を更に備えた請求項2または請求項3記載のドプラセンサー。
【請求項7】
前記分析部は、前記瞬間尿流量情報を積分して、排出された尿の総量に関する情報を取得する請求項6記載のドプラセンサー。
【請求項8】
前記波動エネルギーは、ミリ波またはテラヘルツ波の領域の電磁波である請求項1から請求項7いずれか記載のドプラセンサー。
【請求項9】
前記波動エネルギーは、周波数が20kHz以上200kHz以下である空中超音波である請求項1から請求項7いずれか記載のドプラセンサー。
【請求項10】
前記波動エネルギーは、可視または近赤外のコヒーレント光である請求項1から請求項7いずれか記載のドプラセンサー。
【請求項11】
前記ドプラシフト成分を音声として出力する出力部を更に備えた請求項2または請求項3記載のドプラセンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−34548(P2013−34548A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171217(P2011−171217)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(504258527)国立大学法人 鹿児島大学 (284)
【出願人】(505210115)国立大学法人旭川医科大学 (17)
【Fターム(参考)】