説明

ドライクリーニング方法および基板処理装置

【課題】基板に熱による悪影響を与えず、基板を効率良く加熱して基板表面のドライクリーニングを行うことができ、装置上の問題も生じないドライクリーニング方法を提供すること。
【解決手段】減圧排気可能な処理室内に設けられた載置台に基板を載置し、基板表面をドライクリーニングするドライクリーニング方法は、処理室内にクリーニングガスを導入し、クリーニングガスを基板上に吸着させる工程と、クリーニングガスを基板上に吸着させた後、処理室内に、熱エネルギーが与えられたエネルギー媒体ガスを導入し、該エネルギー媒体ガスから基板上の前記クリーニングガスに熱エネルギーを供給して、前記基板表面でクリーニング反応を進行させる工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウエハのような基板の表面をドライクリーニングするドライクリーニング方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、半導体デバイスの高速化、配線パターンの微細化、高集積化の要求に対応して、配線間の容量の低下ならびに配線の導電性向上およびエレクトロマイグレーション耐性の向上が求められており、それに対応した技術として、配線材料にアルミニウム(Al)やタングステン(W)よりも導電性が高くかつエレクトロマイグレーション耐性に優れている銅(Cu)を用い、層間絶縁膜として低誘電率膜(Low−k膜)を用いたCu多層配線技術が注目されている。
【0003】
Cuは酸化されやすく、その表面には容易に抵抗の高い酸化銅が形成されてコンタクトをとり難くなる等の問題が生じるため、Cu表面に形成された酸化膜を除去する必要がある。
【0004】
Cu表面の酸化膜を除去する方法としては、プラズマを用いたドライクリーニングが用いられてきたが、プラズマを用いた場合には下地のCuにダメージを与えるおそれがあるため、プラズマを使用せずに基板表面をドライクリーニングする方法として、有機酸ドライクリーニング(例えば特許文献1)、水素アニール(例えば特許文献2)、一酸化炭素アニール(例えば特許文献2)等が検討されている。
【0005】
一方、シリコンウエハ表面やシリコンウエハに形成されたシリサイド表面にも酸化膜が形成されやすく、この場合にも酸化膜が形成されることによりコンタクトがとり難くなるという問題が生じるため、シリコンやシリサイド表面に形成された酸化膜を除去する必要がある。
【0006】
シリコン酸化膜を除去する方法としては、シリコン酸化膜表面にHFガス等を吸着させて反応生成物を形成させた後、高温アニールにより反応生成物を気化させるCOR(Chemical Oxide Removal)と称される方法が提案されている(特許文献3)
【0007】
しかしながら、従来の銅酸化膜のドライクリーニング方法は、上記特許文献1〜3に示すように、基板(半導体ウエハ)の裏面側から基板を加熱して基板表面の反応性を確保するのが一般的であり、少なくとも約150℃以上に基板を加熱する必要があるため、Low−k膜の劣化やCu/Low−k膜への熱ストレスによる悪影響が懸念される。また、酸化膜除去反応は基板の極表面で生じればよいのであるが、基板全体を加熱する必要がありエネルギー効率が悪いという問題がある。
【0008】
また、CORの場合には、HFガス等を吸着させて反応させるチャンバと高温アニールとは一般的に別チャンバで行われるため、装置設置面積が大きくなり、またこれらチャンバ間で基板を搬送するための複雑な搬送機構が必要となってしまう。また、高温アニールの際には、やはり基板の裏面側から基板を加熱することとなり、基板への熱影響が懸念される。
【特許文献1】特開2003―218198号公報
【特許文献2】特開平6−97160号公報
【特許文献3】特開2005−39185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、基板に熱による悪影響を与えず、基板を効率良く加熱して基板表面のドライクリーニングを行うことができ、装置上の問題も生じないドライクリーニング方法および基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点では、減圧排気可能な処理室内に設けられた載置台に基板を載置し、基板表面をドライクリーニングするドライクリーニング方法であって、前記処理室内にクリーニングガスを導入し、クリーニングガスを基板上に吸着させる工程と、クリーニングガスを基板上に吸着させた後、前記処理室内に、熱エネルギーが与えられたエネルギー媒体ガスを導入し、該エネルギー媒体ガスから基板上の前記クリーニングガスに熱エネルギーを供給して、前記基板表面でクリーニング反応を進行させる工程とを含むことを特徴とするドライクリーニング方法を提供する。
【0011】
上記第1の観点において、前記クリーニングガスの導入と前記エネルギー媒体ガスの導入との間に、前記処理室内にパージガスを導入して処理室内をパージする工程を有してもよい。また、前記クリーニングガスを基板上に吸着させる工程と、前記処理室内に前記エネルギー媒体ガスを導入し、クリーニング反応を進行させる工程とを、前記処理室内にパージガスを導入して処理室内をパージする工程を挟んで交互に行うようにすることもできる。
【0012】
さらに、前記エネルギー媒体ガスは、前記処理室内の基板に供給される直前に熱エネルギーを与えられるようにすることができる。前記クリーニングガスは、前記載置台に載置された基板に対して平行なガス流が形成されるように供給されるようにすることができる。また、前記エネルギー媒体ガスは、前記載置台に載置された基板に対して垂直なガス流が形成されるように供給されるようにすることができる。さらに、前記エネルギー媒体ガスとしては、不活性ガスを用いることができる。
【0013】
本発明の第2の観点では、減圧排気可能な処理室内に設けられた載置台に基板を載置し、基板表面をドライクリーニングするドライクリーニング方法であって、前記処理室内に加熱されたクリーニングガスを導入し、基板表面でクリーニングガスによるクリーニング反応を生じさせることを特徴とするドライクリーニング方法を提供する。
【0014】
上記第2の観点において、前記クリーニングガスは、前記載置台に載置された基板に対して垂直なガス流が形成されるように供給されるようにすることができる。
【0015】
上記第1および第2の観点において、前記クリーニングガスは、基板上の酸化膜または有機系汚染物質と反応してこれらを除去するものとすることができる。また、前記クリーニング反応は、80〜300℃の温度で進行させることが好ましい。
【0016】
本発明の第3の観点では、基板を収容してクリーニング処理を行う処理室と、前記処理室内で基板を載置する載置台と、前記処理室内にクリーニングガスを導入するクリーニングガス導入機構と、前記処理室内に熱エネルギーが与えられたエネルギー媒体ガスを導入するエネルギー媒体導入機構と、前記処理室内を排気する排気機構と、前記処理室内に前記クリーニングガスを導入して基板表面にクリーニングガスを吸着させた後、前記エネルギー媒体ガスを前記処理室内に導入し、該エネルギー媒体ガスから基板上の前記クリーニングガスに熱エネルギーを供給して、前記基板表面でクリーニング反応を進行させるように制御する制御機構とを具備することを特徴とする基板処理装置を提供する。
【0017】
上記第3の観点において、前記クリーニングガス導入機構および前記排気機構は、前記載置台に載置された基板に対して平行なガス流が形成されるように前記クリーニングガスを導入し排気するようにすることができる。また、前記エネルギー媒体導入機構および前記排気機構は、前記載置台に載置された基板に対して垂直なガス流が形成されるように前記エネルギー媒体ガスを導入し排気するようにすることができる。この場合に、前記エネルギー媒体導入機構は、前記エネルギー媒体ガスを処理容器内に吐出するシャワーヘッドを有する構成とすることができる。また、前記エネルギー媒体導入機構は、前記シャワーヘッドに設けられた前記エネルギー媒体ガスに熱エネルギーを与えるヒーターを有する構成とすることができる。
【0018】
本発明の第4の観点では、基板を収容してクリーニング処理を行う処理室と、前記処理室内で基板を載置する載置台と、前記処理室内に加熱されたクリーニングガスを導入するクリーニングガス導入機構と、前記処理室内を排気する排気機構とを具備し、前記クリーニングガス導入機構から前記処理室内に導入された前記クリーニングガスにより、基板表面でクリーニングガスによるクリーニング反応を生じさせることを特徴とする基板処理装置を提供する。
【0019】
上記第4の観点において、前記クリーニングガス導入機構および前記排気機構は、前記載置台に載置された基板に対して垂直なガス流が形成されるように前記クリーニングガスを導入し排気するようにすることができる。この場合に、前記クリーニングガス導入機構は、前記クリーニングガスを処理容器内に吐出するシャワーヘッドを有する構成とすることができる。また、前記クリーニングガス機構は、前記シャワーヘッドに設けられた前記クリーニングガスを加熱するヒーターを有する構成とすることができる。
【0020】
本発明の第5の観点では、コンピュータ上で動作し、処理装置を制御するプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記プログラムは、実行時に、上記第1の観点または第2の観点のドライクリーニング方法が行われるようにコンピュータに処理装置を制御させることを特徴とする記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、処理室内にクリーニングガスを導入し、クリーニングガスを基板上に吸着させた後、処理室内に、熱エネルギーが与えられたエネルギー媒体ガスを導入し、該エネルギー媒体ガスから基板上の前記クリーニングガスに熱エネルギーを供給して、前記基板表面でクリーニング反応を進行させるので、クリーニングが必要な基板の表面のみが加熱され、基板への熱影響を極めて少なくすることができ、基板に形成された膜の熱による劣化や熱ストレスによる悪影響を回避することができる。また、基板全体を加熱する必要がないので、エネルギー効率が高い。さらに、CORのように2チャンバの装置が不要であり、装置設置面積が大きくなることを回避することができる。さらにまた、クリーニングの際の温度は高々300℃程度でよいので、エネルギー媒体ガスの加熱に特別な性能のヒーターは必要ではなく、装置コストの上昇を招くことはない。
【0022】
また、本発明によれば、処理室内に加熱されたクリーニングガスを導入し、基板表面でクリーニングガスによるクリーニング反応を生じさせるようにしたので、同様に、クリーニングが必要な基板の表面のみが加熱され、基板に形成された膜の熱による劣化や熱ストレスによる悪影響を回避することができ、基板全体を加熱する必要がないので、エネルギー効率が高いといった効果が奏される。また、同様に装置設置面積が大きくなることが回避され、装置コストの上昇を招くこともない。さらに、加熱されたクリーニングガスを供給するのみであるから、極めて簡易にクリーニングを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るドライクリーニング方法を実施するために用いられる処理装置の一例を模式的に示す断面図である。
【0024】
この処理装置100は、気密に構成された略円筒状のチャンバ1を有している。チャンバ1の底壁1aの中央部には円形の開口部2が形成されており、この開口部2には、チャンバ1内で半導体基板であるウエハWを水平に支持するための載置台3が設けられている。載置台3と底壁1aとの間には断熱部4が設けられており、チャンバ1の底壁1aと気密に接合されている。
【0025】
チャンバ1の側壁1bには、排気口5が形成されており、そこに接続された排気管6を介して、高速真空ポンプを含む排気装置7が接続されている。排気管6にはコンダクタンス可変バルブ6aが設けられており、チャンバ1からの排気量を調節できるようになっている。そしてこの排気装置7を作動させることによりチャンバ1内のガスが排気され、排気管6を介してチャンバ1内を所定の真空度まで高速に減圧することが可能となっている。
【0026】
チャンバ1の天壁1cには、シャワーヘッド10が設けられている。このシャワーヘッド10の上壁には、シャワーヘッド10内にガスを導入するガス導入口12が設けられており、このガス導入口12にエネルギー媒体ガスを供給する配管13が接続されている。ガス導入口12に接続する配管13の他端は、エネルギー媒体ガスを供給するためのエネルギー媒体ガス供給源23に接続されている。配管13には、マスフローコントローラ21とその前後のバルブ22が設けられている。エネルギー媒体ガスとしては、He、Ar、Kr、Xe、N等の不活性ガスを好適に用いることができる。
【0027】
シャワーヘッド10の内部には拡散室14が形成されており、下部には、載置台3に向けてエネルギー媒体ガスを吐出するための多数の吐出孔11が形成されている。そして、ガス導入口12から導入されたガスは、この拡散室14の空間で拡散され、吐出孔11からチャンバ1内に載置台3に載置されたウエハWに対して垂直に吐出される。
【0028】
シャワーヘッド10の各吐出孔11の周囲には、シャワーヘッド10内でエネルギー媒体ガスを加熱するための加熱手段であるヒーター15が設けられている。このヒーター15の周囲は、熱伝導率の低い材料、例えば耐熱性合成樹脂、石英、セラミックスなどによる断熱部16が設けられ、断熱されている。そして、ヒーター15の内側を通過するエネルギー媒体ガスが、瞬時に、かつ効率よく加熱される。
【0029】
チャンバ1の側壁1bの排気口5と対向する側には、ガス導入口17が設けられており、チャンバ1内にクリーニングガスとパージガスを供給するための配管18が接続されている。配管18の他端側は二つに分岐しており、その一方は、マスフローコントローラ24aとその前後のバルブ25a,25aを介してクリーニングガス供給源26に接続され、また、他方はマスフローコントローラ24bとその前後のバルブ25b,25bを介してパージガス供給源27に接続されている。
【0030】
クリーニングガス供給源26は、ウエハWの表面をクリーニングするためのクリーニングガスを供給するものである。この際のクリーニングは、例えば、ウエハWを構成するシリコンや、ウエハW表面の金属膜、シリコン膜、シリサイド膜、ウエハW配線表面等に形成された金属酸化膜や有機汚染物質等のクリーニング対象を除去するものである。
【0031】
クリーニングガスとしてはクリーニング対象の種類に応じて、種々のものを用いることができる。例えばウエハWに形成されたCu配線上の酸化膜(酸化銅)を除去するためには、有機酸等の有機化合物やNH(アンモニア)等を用いることができ、シリコン上の酸化膜(酸化シリコン)を除去するためには、HF(フッ化水素)やNH(アンモニア)等を用いることができ、CoSiOxやNiSiOx等のシリサイド上の酸化膜の場合には、有機酸とHFとの混合物を好適に用いることができる。有機汚染物質をクリーニング除去するためには、例えば、酸化銅を除去する際と同様、有機酸等の有機化合物を用いることができる。
【0032】
酸化銅や有機汚染物質の除去の際にクリーニングガスとして用いられる有機化合物としては、有機酸、アルコール、アルデヒド等を挙げることができる。この中でも有機酸が好ましく、有機酸としてはカルボン酸を好適に用いることができる。カルボン酸としては、蟻酸(HCOOH)、酢酸(CHCOOH)、プロピオン酸(CHCHCOOH)、酪酸(CH(CHCOOH)、吉草酸(CH(CHCOOH)などを挙げることができ、これらの中では蟻酸(HCOOH)が好ましい。
【0033】
一方、パージガス供給源27は、パージガスを供給できるように構成されている。パージガスは、気相中に残留した原料ガス、反応により生成した気相中の副生成物、および熱エネルギーを多く含むエネルギー媒体ガスをパージするためのガスであり、例えばArガス、Heガス、Nガス等の不活性ガスやHガス等を挙げることができる。このパージガスを導入することにより、配管18内の残留原料ガスの排気や、チャンバ1内雰囲気の置換による反応副生成物の除去、ウエハWの冷却などを行うことができる。
【0034】
載置台3には、ウエハWを支持して昇降させるため、例えば3本のウエハ支持ピン(図示せず)が載置台3の表面に対して突没可能に設けられている。
【0035】
載置台3の内部には、温度調節媒体室30が形成されており、導入路31aから、予め所定の温度に設定された温度調節媒体として、例えば水やフッ素系不活性液体であるガルデン(商品名)などを導入し、排出路31bから排出することによって載置台3の温度を調節できるように構成されている。
【0036】
チャンバ1の側壁1bには、処理装置100に隣接する搬送室(図示せず)との間でウエハWの搬入出を行うための搬入出口と、この搬入出口を開閉するゲートバルブとが設けられている(いずれも図示を省略)。
【0037】
処理装置100の各構成部は、マイクロプロセッサ(コンピュータ)を備えたプロセスコントローラ50に接続されて制御されるようになっている。また、プロセスコントローラ50には、オペレータが処理装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、処理装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース51が接続されている。さらに、プロセスコントローラ50には、処理装置100で実行される各種処理をプロセスコントローラ50の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて処理装置の各構成部に処理を実行させるためのプログラムすなわちレシピが格納された記憶部52が接続されている。レシピは記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、ハードディスク等の固定的なものであってもよいし、CDROM、DVD等の可搬性のものであってもよい。さらに、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース51からの指示等にて任意のレシピを記憶部52から呼び出してプロセスコントローラ50に実行させることで、プロセスコントローラ50の制御下で、処理装置100でのクリーニング処理が行われる。
【0038】
次に、このような処理装置100を用いて、ウエハW上の所定の膜に形成された酸化膜をドライクリーニングにより除去する手順について、図2のフローチャートを参照しながら説明する。
【0039】
まず、図示しないゲートバルブを開にして搬入出口から、ウエハWをチャンバ1内に搬入し、載置台3上に載置する(工程1)。次いで、温度調節媒体室30に所定温度の温度調節媒体を導入して、クリーニングガスがウエハWの表面に吸着しやすい温度に温調する(工程2)。
【0040】
そして、排気装置7の真空ポンプによりチャンバ1内を排気しつつ、バルブ25aを開にして、クリーニングガス供給源26からクリーニングガスをマスフローコントローラ24aによって流量制御しつつガス導入口17を介してチャンバ1内に供給し、ウエハW表面に吸着させる(工程3)。すなわち、チャンバ1内にクリーニングガスを導入しつつ、排気装置7によりチャンバ1内を排気することにより、図1中に白矢印で示すように、ガス導入口17から排気口5へ向けて、載置台3に載置されたウエハWの表面に平行な方向にクリーニングガスの流れが形成され、これによりウエハW表面にクリーニングガスが物理吸着または化学吸着される。
【0041】
次に、バルブ25aを閉じ、バルブ25bを開にして、パージガス供給源27からパージガスをマスフローコントローラ24bによって流量制御しつつガス導入口17を介してチャンバ1内に供給しつつチャンバ1内を排気することにより、チャンバ1内をパージし、チャンバ1内に気相状態で残留するクリーニングガスを除去する(工程4)。
【0042】
次に、エネルギー媒体ガスをチャンバ内に導入するに先立って、一旦、チャンバ1内を昇圧する(工程5)。この工程は、次にエネルギー媒体ガスをチャンバに導入する際に、エネルギー媒体ガスの膨張による温度低下を防止するとともに、ウエハWの表面に吸着しているクリーニングガスの脱離、拡散を抑制するために行われる。
【0043】
昇圧は、例えば、引き続きパージガスを導入しながら、排気口5と排気装置7との間の排気管6に介在されたコンダクタンス可変バルブ6aにより、排気コンダクタンスを調節することにより行なうことが可能である。この際に、チャンバ1内の圧力は、例えば500〜5000Paの範囲内の所定の圧力とすることが好ましい。
【0044】
なお、処理時間を短縮する目的で、工程4と工程5とを同時に実施すること、つまり、チャンバ1内へのパージガス導入開始と同時に前記圧力調節手段により排気量を調節して昇圧することも可能である。
【0045】
次に、バルブ25bを閉じ、バルブ22を開けて、エネルギー媒体ガス供給源23からエネルギー媒体ガスをマスフローコントローラ21によって流量制御しつつ配管13およびガス導入口12を介してシャワーヘッド10の拡散室14内に導入し、そこでヒーター15により熱エネルギーを受けたエネルギー媒体ガスをチャンバ1内に吐出させ、吸着したクリーニングガスに熱エネルギーを与える(工程6)。すなわち、エネルギー媒体ガスは、ヒーター15により与えられた熱エネルギーをウエハW(基板)の表面に吸着されたクリーニングガスに輸送し、クリーニング反応を生じさせる。
【0046】
このとき、拡散室14内に導入されたエネルギー媒体ガスは、シャワーヘッド10の下部に設けられた多数の吐出孔11を通して、図1中黒矢印で示すように対向配置されたウエハWの表面にほぼ垂直に噴射される。この際、エネルギー媒体ガスはヒーター15により所定の高温まで加熱され、十分な熱エネルギーを持った状態でウエハWの表面に衝突する。
【0047】
エネルギー媒体ガスの加熱温度は、クリーニング反応に応じて80℃以上300℃以下の所望の温度とすることが好ましい。より好ましくは200℃以下である。この際のチャンバ1内の圧力は、クリーニング反応を効率よく進行させる観点から、工程5の際の上昇させた圧力を維持することが好ましい。
【0048】
上述したように、ウエハWの表面には、クリーニングガスが吸着された状態になっており、そこに高温のエネルギー媒体ガスが吹き付けられることによりクリーニング反応に必要な熱エネルギーが効率良く供給される。その結果、ウエハWの表面でクリーニング反応が進行し、ウエハW表面に形成された酸化膜や有機汚染物質等のクリーニング対象が除去される。
【0049】
例えば、ウエハWに形成されたCu配線上の酸化銅膜を蟻酸によってクリーニング除去する場合には、図3の(a)に示すように、酸化銅膜(CuO)201を覆うように蟻酸(HCOOH)202が吸着している状態で、図3の(b)に示すようにエネルギー媒体ガスにより、熱エネルギーを与えると、以下の(1)式に示す反応により、酸化銅膜201が除去される。
CuO+2HCOOH→2Cu(HCOO)↑+HO↑ …(1)
【0050】
また、ウエハWのシリコン部分に形成された酸化シリコンをフッ化水素(HF)によってクリーニング除去する場合には、以下の(2)式に示す反応により酸化シリコン膜が除去される。
SiO+4HF→SiF↑+2HO↑ …(2)
【0051】
なお、エネルギー媒体ガスは、シャワーヘッド10内に導入する以前に予め外部の加熱手段により所定温度まで加熱しておくことも可能であり、この場合、シャワーヘッド10の下部に設けられたヒーター15は、エネルギー媒体ガスの温度を最終調節するための補助加熱手段として機能させることができる。
【0052】
工程6のクリーニングが終了した時点で、バルブ22を閉じ、エネルギー媒体ガスの導入を停止する。そして、この時点でウエハW表面の酸化膜等が除去されていればクリーニングを終了するが、一回の操作で酸化物等を除去することは困難であるため、後述するようにクリーニングガスを吸着させる工程と、エネルギー媒体ガスによるクリーニング反応を生じさせる工程とを含む一連の工程を複数回繰り返すことが好ましい。
【0053】
このような場合には、エネルギー媒体ガスの供給を停止した後、チャンバ1内の圧力を降下させることが好ましい(工程7)。クリーニング反応の後にチャンバ1内を減圧することにより、エネルギー媒体ガスを排気してウエハWの表面へのエネルギー供給を速やかに停止することができ、かつウエハW表面の熱を速やかに取り除くことができる。これにより、次のクリーニングガスの吸着の準備を迅速に行うことができる。また、このように圧力を降下させることにより、反応副生成物のウエハW表面からの離脱を促進する作用、反応後の気相副生成物の排出を促してガスパージ工程を短縮する作用を期待することができる。
【0054】
この際の減圧は、プロセスコントローラ50の制御の下で、コンダクタンス可変バルブ6aを全開にして、排気装置7によりチャンバ1内を排気することにより行うことができる。この際には、工程5で昇圧した圧力分だけを降下させることが好ましい。これにより次回のサイクルでクリーニングガス供給時の圧力調節を兼ねることが可能になる。
【0055】
次に、バルブ25bを開にして、再びパージガス供給源27からパージガスをマスフローコントローラ24bによって流量制御しつつガス導入口17を介してチャンバ1内に供給しつつ排気装置7によりチャンバ1内を排気してチャンバ1内をパージする(工程8)。これにより、エネルギー媒体ガスによって輸送された熱エネルギーを取り除き、かつ、反応によって生じた気相中およびウエハW表面に吸着された副生成物を除去し、次のサイクルのクリーニングガスの吸着に備える。
【0056】
以上のように、クリーニングガスをウエハWの表面に吸着させる工程、チャンバ1内をパージガスによってパージする工程、エネルギー媒体ガスによってウエハW表面のクリーニングガスに熱エネルギーを供給してクリーニング反応を生じさせる工程(工程2〜8)により、最初に吸着させたクリーニングガスにより生じた反応分だけウエハW表面の酸化膜等が除去される。そして、形成された酸化膜等の厚さに応じてこれら工程2〜8を所定回数繰り返すことにより、ウエハW表面の酸化膜等を完全に除去することができる。
なお、工程5の昇圧および工程7の減圧は、任意の工程であり、チャンバ1内を一定圧力に維持した状態で工程4のパージ、工程6の反応および工程8のパージを実施することも可能である。
【0057】
以上のようにして、ウエハW表面の酸化膜等が除去された後、図示しないゲートバルブを開にして搬入出口からウエハWを搬出する(工程9)。以上のようにして、1枚のウエハWに対してクリーニング処理が終了する。
【0058】
このようにクリーニングを行う際には、クリーニング反応のための熱エネルギーをウエハWの上方から供給されるエネルギー媒体ガスにより与えるため、クリーニングが必要なウエハWの表面のみが加熱され、ウエハWへの熱影響を極めて少なくすることができ、ウエハWに形成された膜の熱による劣化や熱ストレスによる悪影響を回避することができる。このため、特に熱影響が懸念されるCu/Low−k膜構造を有するウエハに有効である。また、ウエハ全体を加熱する必要がないので、エネルギー効率が高い。
【0059】
さらに、クリーニングの際の温度は高々300℃程度でよいので、エネルギー媒体ガスを加熱するためのヒーター15も特別な性能が必要ではなく低コストのものでよく、装置コストも低いものとすることができる。さらにまた、CORのように2チャンバの装置が不要であり、装置設置面積が大きくなることを回避することができる。
【0060】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態に係るドライクリーニング方法を実施するために用いられる処理装置の一例を模式的に示す断面図である。
【0061】
この処理装置101では、第1の実施形態の成膜装置100とは異なり、加熱したクリーニングガスをシャワーヘッドを介して供給する方法を実施するものである。
【0062】
具体的には、チャンバ1の天壁1cには、シャワーヘッド60が設けられている。このシャワーヘッド60は、上段ブロック体61、中段ブロック体62、下段ブロック体63で構成されている。そして、下段ブロック体63にはガスを吐出する吐出孔64と65とが交互に形成されている。上段ブロック体61の上面には、第1のガス導入口66と、第2のガス導入口67とが形成されている。
【0063】
第1のガス導入口66は、途中で2分岐しているガスライン72を介して希釈ガス供給源83およびクリーニングガス供給源86へ接続され、第2のガス導入口67は、ガスライン73を介してパージガス供給源89に接続されている。ガスライン72の希釈ガス供給源83側の分岐ラインには、マスフローコントローラ81とその前後のバルブ82が設けられており、クリーニングガス供給源86側の分岐ラインには、マスフローコントローラ84とその前後のバルブ85が設けられている。また、ガスライン73には、マスフローコントローラ87とその前後のバルブ88が設けられている。希釈ガスはクリーニングガスを希釈するためのものであり、He、Ar、Kr、Xe、N等の不活性ガスを好適に用いることができる。
【0064】
上段ブロック体61の中では、第1のガス導入口66から多数のガス通路68が分岐している。中段ブロック体62にはガス通路69が形成されており、上記ガス通路68がこれらガス通路69に連通している。さらにこのガス通路69が下段ブロック体63の複数の吐出孔64に連通している。また、上段ブロック体61の中では、第2のガス導入口67から多数のガス通路70が分岐している。中段ブロック体62にはガス通路71が形成されており、上記ガス通路70がこれらガス通路71に連通している。さらにこのガス通路71が下段ブロック体63の吐出孔65に連通している。
【0065】
各吐出孔64の周囲には、シャワーヘッド60内で処理ガスおよび希釈ガスを加熱するための加熱手段であるヒーター74が設けられている。さらに、ヒーター74の周囲は、熱伝導率の低い材料として、例えば耐熱性合成樹脂、石英、セラミックスなどによる断熱部75が設けられ、断熱されている。
【0066】
そして、クリーニングガス供給源86からのクリーニングガスが必要に応じて希釈ガス供給源83からの希釈ガスに希釈されてガスライン72を介してシャワーヘッド60に至り、ヒーター74により加熱されて吐出孔64から吐出され、加熱されたクリーニングガスが直接ウエハWの表面に供給されるようになっている。このように本実施形態では、クリーニングガスをウエハWに吸着させる必要がないので、上記ガスの他、例えば、酸化銅膜を除去するガスとしてHガスやCOを用いることができる。
【0067】
チャンバ1の底壁1aには、2カ所に排気口76が形成されており、これらにそれぞれ接続された排気管77を介して、高速真空ポンプを含む排気装置7が接続されている。そして、この排気装置7を作動させることによりチャンバ1内のガスが排気され、排気管77を介してチャンバ1内を所定の真空度まで高速に減圧することが可能となる。また、配管77の排気口76と排気装置7との間の部分にそれぞれ設けられたコンダクタンス可変バルブ78により、プロセスコントローラ50の制御の下で、排気コンダクタンスを調節し、チャンバ1内の圧力を調節し、昇圧あるいは降圧させることができる。
【0068】
他の構成は図1の装置と同じであるので、図1と同じものには同じ符号を付して説明を省略する。
【0069】
このように構成された処理装置101は、図5のフローチャートに示すように、まず、図示しないゲートバルブを開にして搬入出口から、ウエハWをチャンバ1内に搬入し、載置台3上に載置する(工程11)。次いで、温度調節媒体室30に所定温度の温度調節媒体を導入して、ウエハWを所定の温度に温調する(工程12)。
【0070】
そして、排気装置7の真空ポンプによりチャンバ1内を排気しつつ、バルブ85を開にして、クリーニングガス供給源86からクリーニングガスをマスフローコントローラ84によって流量制御しつつガスライン72およびガス導入口66を介してシャワーヘッド60に導入し、吐出孔64を通過する間にヒーター64で加熱しつつチャンバ1内に吐出させる(工程13)。この際に、必要に応じて希釈ガス供給源83から希釈ガスを供給して、クリーニングガスを希釈してもよい。この加熱されたクリーニングガスがウエハW表面に到達すると、ウエハW表面に形成された酸化膜や有機汚染物質等のクリーニング対象との間でクリーニング反応が生じ、これらクリーニング対象が除去される。
【0071】
例えば、ウエハWに形成されたCu配線上の酸化銅膜を蟻酸によってクリーニング除去する場合には、図6に示すように、酸化銅膜(CuO)211に対して加熱された蟻酸(HCOOH)212を直接供給することにより、上記(1)式に示す反応が生じ、酸化銅膜211が除去される。
【0072】
また、本実施形態では、上述したように、酸化銅膜を除去する際にHガスやCOガスを用いることもでき、Hガスを用いた際には、以下の(3)式に示す反応により、また、COガスを用いた際には、以下の(4)式に示す反応により、酸化銅膜を除去することができる。
CuO+H→2Cu+HO …(3)
CuO+CO→2Cu+CO …(4)
【0073】
工程13のクリーニングが終了した時点で、バルブ85を閉じてクリーニングガスの導入を停止し、バルブ88を開けてパージガス供給源89からパージガスを供給しつつ排気装置7によりチャンバ1内を排気してチャンバ1内をパージする(工程14)。これにより、チャンバ1およびシャワーヘッド60からクリーニングガスを除去するとともに、ウエチャンバ1内の温度を低下させる。
【0074】
その後、図示しないゲートバルブを開にして搬入出口からウエハWを搬出する(工程15)。以上のようにして、1枚のウエハWに対してクリーニング処理が終了する。
【0075】
本実施形態においては、加熱されたクリーニングガスをウエハWの表面に供給するため、従前の実施形態と同様、基本的にクリーニングが必要なウエハWの表面のみが加熱され、ウエハWへの熱影響を極めて少なくすることができ、ウエハWに形成された膜の熱による劣化や熱ストレスによる悪影響を回避することができる。このため、特に熱影響が懸念されるCu/Low−k膜構造を有するウエハに有効である。また、ウエハ全体を加熱する必要がないので、エネルギー効率が高い。さらに、クリーニングガスを供給するのみであるから、極めて簡易にクリーニングを行うことができる。
【0076】
また、クリーニングガスの供給時間を調整することにより、1回のクリーニングガスの供給によりクリーニング対象を除去することが可能である。ただし、加熱されたクリーニングガスを長時間ウエハWに供給すると、ウエハW全体の温度が上昇してしまうおそれがある。そのような場合には、加熱されたクリーニングガスの供給とパージガスの供給とを交互に複数回繰り返すことによりウエハWの温度上昇を抑制することが可能である。
【0077】
さらに、本実施形態においてもクリーニングの際の温度は高々300℃程度でよいので、装置コストも低いものとすることができ、さらに1チャンバでの処理であるため、装置設置面積が大きくなることを回避することができる。
【0078】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、種々の変形が可能である。
例えば、第1の実施形態では、シャワーヘッドの吐出孔の周囲に、エネルギー媒体ガスを加熱するヒーターを設け、第2の実施形態では、シャワーヘッドの吐出孔の周囲にクリーニングガスを加熱するヒーターを設けたが、これに限らず拡散室14内等、他の部分にヒーター設けることも可能である。
【0079】
また、上記実施形態では載置台として固定式のものを用いたが、水平面に回転可能な機構を備えたものを用いることもできる。これにより、クリーニング反応をより均一に進行させることができる。
【0080】
さらに、上記実施形態では半導体ウエハに形成された酸化膜や有機不純物をクリーニング除去する例について示したが、これに限らず、クリーニングガスとの反応で除去できるクリーニング対象であれば適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、例えば各種半導体装置の製造過程で半導体ウエハの表面に形成された酸化膜や有機不純物の除去に好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るドライクリーニング方法を実施するために用いられる処理装置の一例を模式的に示す断面図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るドライクリーニング方法を説明するフローチャート。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るドライクリーニング方法の具体例を示す模式図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るドライクリーニング方法を実施するために用いられる処理装置の一例を模式的に示す断面図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るドライクリーニング方法を説明するフローチャート。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るドライクリーニング方法の具体例を示す模式図。
【符号の説明】
【0083】
1;チャンバ
2;開口部
3;載置台
4;断熱部
7;排気装置
10,60;シャワーヘッド
15,74;ヒーター
17,66,67;ガス導入口
23;エネルギー媒体ガス供給源
26,86;クリーニングガス供給源
27,89;パージガス供給源
30;温度調節媒体室
50;プロセスコントローラ
83;希釈ガス供給源
100;処理装置
W;半導体ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧排気可能な処理室内に設けられた載置台に基板を載置し、基板表面をドライクリーニングするドライクリーニング方法であって、
前記処理室内にクリーニングガスを導入し、クリーニングガスを基板上に吸着させる工程と、
クリーニングガスを基板上に吸着させた後、前記処理室内に、熱エネルギーが与えられたエネルギー媒体ガスを導入し、該エネルギー媒体ガスから基板上の前記クリーニングガスに熱エネルギーを供給して、前記基板表面でクリーニング反応を進行させる工程と
を含むことを特徴とするドライクリーニング方法。
【請求項2】
前記クリーニングガスの導入と前記エネルギー媒体ガスの導入との間に、前記処理室内にパージガスを導入して処理室内をパージする工程を有することを特徴とする請求項1に記載のドライクリーニング方法。
【請求項3】
前記クリーニングガスを基板上に吸着させる工程と、前記処理室内に前記エネルギー媒体ガスを導入し、クリーニング反応を進行させる工程とを、前記処理室内にパージガスを導入して処理室内をパージする工程を挟んで交互に行うことを特徴とする請求項1に記載のドライクリーニング方法。
【請求項4】
前記エネルギー媒体ガスは、前記処理室内の基板に供給される直前に熱エネルギーを与えられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のドライクリーニング方法。
【請求項5】
前記クリーニングガスは、前記載置台に載置された基板に対して平行なガス流が形成されるように供給されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のドライクリーニング方法。
【請求項6】
前記エネルギー媒体ガスは、前記載置台に載置された基板に対して垂直なガス流が形成されるように供給されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のドライクリーニング方法。
【請求項7】
前記エネルギー媒体ガスは、不活性ガスであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のドライクリーニング方法。
【請求項8】
減圧排気可能な処理室内に設けられた載置台に基板を載置し、基板表面をドライクリーニングするドライクリーニング方法であって、
前記処理室内に加熱されたクリーニングガスを導入し、基板表面でクリーニングガスによるクリーニング反応を生じさせることを特徴とするドライクリーニング方法。
【請求項9】
前記クリーニングガスは、前記載置台に載置された基板に対して垂直なガス流が形成されるように供給されることを特徴とする請求項8に記載のドライクリーニング方法。
【請求項10】
前記クリーニングガスは、基板上の酸化膜または有機系汚染物質と反応してこれらを除去するものであることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のドライクリーニング方法。
【請求項11】
前記クリーニング反応は、80〜300℃の温度で進行させることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のドライクリーニング方法。
【請求項12】
基板を収容してクリーニング処理を行う処理室と、
前記処理室内で基板を載置する載置台と、
前記処理室内にクリーニングガスを導入するクリーニングガス導入機構と、
前記処理室内に熱エネルギーが与えられたエネルギー媒体ガスを導入するエネルギー媒体導入機構と、
前記処理室内を排気する排気機構と、
前記処理室内に前記クリーニングガスを導入して基板表面にクリーニングガスを吸着させた後、前記エネルギー媒体ガスを前記処理室内に導入し、該エネルギー媒体ガスから基板上の前記クリーニングガスに熱エネルギーを供給して、前記基板表面でクリーニング反応を進行させるように制御する制御機構と
を具備することを特徴とする基板処理装置。
【請求項13】
前記クリーニングガス導入機構および前記排気機構は、前記載置台に載置された基板に対して平行なガス流が形成されるように前記クリーニングガスを導入し排気することを特徴とする請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記エネルギー媒体導入機構および前記排気機構は、前記載置台に載置された基板に対して垂直なガス流が形成されるように前記エネルギー媒体ガスを導入し排気することを特徴とする請求項12または請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記エネルギー媒体導入機構は、前記エネルギー媒体ガスを処理容器内に吐出するシャワーヘッドを有することを特徴とする請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記エネルギー媒体導入機構は、前記シャワーヘッドに設けられた前記エネルギー媒体ガスに熱エネルギーを与えるヒーターを有することを特徴とする請求項15に記載の基板処理装置。
【請求項17】
基板を収容してクリーニング処理を行う処理室と、
前記処理室内で基板を載置する載置台と、
前記処理室内に加熱されたクリーニングガスを導入するクリーニングガス導入機構と、
前記処理室内を排気する排気機構と
を具備し、
前記クリーニングガス導入機構から前記処理室内に導入された前記クリーニングガスにより、基板表面でクリーニングガスによるクリーニング反応を生じさせることを特徴とする基板処理装置。
【請求項18】
前記クリーニングガス導入機構および前記排気機構は、前記載置台に載置された基板に対して垂直なガス流が形成されるように前記クリーニングガスを導入し排気することを特徴とする請求項17に記載の基板処理装置。
【請求項19】
前記クリーニングガス導入機構は、前記クリーニングガスを処理容器内に吐出するシャワーヘッドを有することを特徴とする請求項18に記載の基板処理装置。
【請求項20】
前記クリーニングガス機構は、前記シャワーヘッドに設けられた前記クリーニングガスを加熱するヒーターを有することを特徴とする請求項19に記載の基板処理装置。
【請求項21】
コンピュータ上で動作し、処理装置を制御するプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記プログラムは、実行時に、請求項1から請求項11のいずれかのドライクリーニング方法が行われるようにコンピュータに処理装置を制御させることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−218276(P2009−218276A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58028(P2008−58028)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】