説明

ドライバ注意力強化のためのドライバの核体温操作方法及び装置

【課題】長期間に亘って車両ドライバの眠気を減少させる。
【解決手段】本発明は、車両ドライバの核体温を下げて眠気を減少させるシステム、方法及び装置を提供する。1つの実施形態においては、体温センサは、車両ドライバの核体温を示すデータを記録し、そのデータを体温調節器に送る。体温調節器は、ドライバの核体温が、覚醒状態に対応する1又は複数の日周期体温と同じであるか否かを決定する。車両ドライバの核体温が睡眠に対応する日周期体温と同じである場合は、体温調節器は、車両ドライバは核体温を下げる。1つの実施形態においては、体温調節器は、静脈叢又は動静脈吻合に物理的に接触する物質を冷却し、車両ドライバを最も効率的に冷却する車両ドライバの身体の一部を冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年1月25日付けの米国特許仮出願第60/886,653号を基礎とする優先権を主張し、この出願はその全体がここに引用される。
【0002】
本発明は、一般的には、ドライバ及び車両の安全に関する。より具体的には、車両ドライバの核体温を下げ眠気を防止することに関する。
【背景技術】
【0003】
人は眠くなると、注意力及び反応速度が低下する。しかしながら、長時間車両を操作していると、人は眠くなることが多い。それ故、眠気は、運転のような車両の操作中の多くの事故の原因となっている。特に長期間の運転後、車両ドライバは眠くなり、困難な状況に敏速に反応することができなくなることが多い。反応時間の増大が、事故を引き起こす車両制御の喪失の原因となる。
【0004】
眠い状態で車両を運転する又は操作することは危険であるが故に、従来の安全システムは、車両ドライバを覚醒状態に保とうとする。多くの従来の方法は、車両ドライバの瞼が開閉する頻度を観察し、又は車両ドライバの目の動作を測定し、眠気の兆候を検出する。これらの従来の安全システムは、眠気の兆候を検出すると、警告音を発し又は他の動作を取り、車両ドライバに注意を促す。
【0005】
しかしながら、これらの従来の安全システムは、車両ドライバの注意力を一時的に増大させるに過ぎない。これらのシステムは、短時間の間、ドライバの覚醒を増大させるだけなので、車両の運転又は操作が続く場合、車両ドライバは、再び眠気を催すことが多い。さらには、警告が繰返し発せられると、車両ドライバは警告に対し鈍感になってしまい、警告の長期的な効果は減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,602,277号公報
【特許文献2】米国特許第6,656,208号公報
【特許文献3】米国特許第6,974,442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、長期間に亘って車両ドライバの眠気を減少させる方法及び装置が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車両ドライバの核体温を下げ、眠気を弱めるシステム、方法及び装置を提供する。ある実施形態においては、体温計のような体温センサが、車両ドライバの核体温を示すデータを記録する。体温センサは、車両ドライバの核体温を示すデータを、体温調節器に渡す。体温調節器は、車両ドライバの核体温を示すデータが、睡眠状態に関連付けられた1又は複数の日周体温を示す記憶されたデータと同じであるか否かを決定する。車両ドライバの核体温を示すデータが、眠気状態に関連付けられた1又は複数の日周体温を示すデータと同じであると決定すると、体温調節器は、車両ドライバの核体温を下げる。他の実施形態においては、体温調節器は、車両ドライバの掌のような車両ドライバの身体表面に物理的に接触している物質を、車両ドライバの核体温より低い温度にまで冷却する。1つの実施形態においては、冷却された物質が、静脈叢及び/又は動静脈吻合に物理的に接触し、体温調節器が、車両ドライバを最も効率的に冷却することを可能にする。1つの実施形態においては、体温調節器は、真空源をも含む。その真空源は、冷却された身体表面の周辺部分の圧力を下げ、冷却された物質に物理的に接触している車両ドライバの身体表面を通じて、車両ドライバの血流を促進することによって、ドライバを冷却するのに必要な時間を短縮する。
【0009】
1つの実施形態においては、車両ドライバの核体温が最初に決定される。車両ドライバの核体温が眠気状態に関連付けられた体温であるか否かがこのとき決定される。車両ドライバの核体温が眠気状態と関連付けられている場合は、車両ドライバの核体温が下げられる。1つの実施形態においては、特定の時間間隔毎に、車両ドライバの核体温が下げられる。代替的に、覚醒状態に関連付けられた核体温のような、特定の核体温に達するまで、車両ドライバの体温は下げられる。
【0010】
本明細書に記載される特徴や効果は限定されたものではなく、特に、図面、明細書及び特許請求の範囲を見た当業者には多くの追加的特徴や効果が明らかになるであろう。さらに、本明細書で使用される用語は、主として読みやすさや教育目的から選択されており、本発明の主旨を限定するために選択されているのではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】人間の体温と人間の睡眠サイクルとの間の関係を示す図である。
【図2】人間の皮膚の動静脈吻合の図である。
【図3】本発明の1つの実施形態に係る車両ドライバの核体温を調節するためのコンピュータシステムの図である。
【図4】本発明の1つの実施形態に係る車両ドライバの核体温調節システムの車両における実装例の図である。
【図5】本発明の1つの実施形態に係る体温調節器の図である。
【図6】本発明の1つの実施形態に係る、眠気探査に基づく車両ドライバ体温調節方法のフローチャートである。
【図7】本発明の1つの実施形態に係る、車両操作時間に基づく車両ドライバ体温調節方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以降、本発明の好適な実施形態を、図面を参照しつつ説明する。同様の参照番号は同一の又は機能的に同様の要素を示している。また、各参照番号の最も左の数字は、その番号が最初に用いられた図の番号に対応している。
【0013】
本明細書において、“ある実施形態”又は“1つの実施形態”と言う場合は、本発明の少なくとも1つの実施形態に、その実施形態に関連して記述される1つの特徴又は構造が含まれていることを意味する。本明細書のあちこちに“ある実施形態では”という語が出現しても、必ずしも同一の実施形態を指しているわけではない。
【0014】
後記する詳細説明のいくつかの部分は、アルゴリズム用語や、コンピュータメモリ内のデータビット操作を示す象徴的な表現による。これらのアルゴリズム的な説明や表現は、情報処理分野の当業者が、自らの業績の要旨を、同分野の他の当業者に最も効率的に伝えるために用いる手段である。アルゴリズムとは、ここでは、そして一般的にも、ある所望の結果に至る複数のステップ(命令)の首尾一貫したシーケンスのことを言う。ステップとは、物理量に対する物理的操作を要求するステップのことである。通常、必ずしも必要条件ではないが、それらの数値は、記憶され、転送され、合成され、比較されかつ操作され得る、電子的、磁気的又は光学的信号の形を取る。これらの信号のことを、ビット、値、要素、シンボル、文字、語又は番号等と呼ぶことが主として用語の共通化の理由から便宜である。さらに、物理量に対する物理的操作を要求するステップの配列のうちいくつかのものは、一般性を失うことなく、モジュール又はコードデバイスと呼ぶことが便宜である。
【0015】
しかし、このような用語の全ては適当な物理量と関連付けられており、これらの物理量に付された単なる便宜的なラベルに過ぎない。後記において特段の説明がない限り、明細書本文全体を通じて、“処理”、“コンピューティング”、“計算”、“決定”又は“表示”等の用語を用いた説明は、(電子的な)物理量としてのデータを、コンピュータシステムのメモリ、レジスタ又は他の情報ストレージのなかで操作しかつ変形するコンピュータシステムや同様の電子的コンピューティングデバイスの動作や処理のことを言う。
【0016】
本発明のいくつかの側面は、アルゴリズムの形になったプロセスステップや命令を含む。本発明のプロセスステップや命令は、ソフトウエア、ファームウエア又はハードウエアによって実施され、ソフトウエアで実施される場合は、ダウンロードされることが可能であり、多様なオペレーティングシステムが用いる別のプラットフォームから操作されることも可能である。
【0017】
本発明は、操作を実行する装置にも関する。この装置は、所与の目的を達成する専用装置であってもよいし、コンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって動作する汎用コンピュータであってもよい。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータが読取り可能な媒体に記憶され得る。その媒体とは、コンピュータシステムバスに接続可能な、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、CD−ROM、電磁光学的ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、電磁的又は光学的カード、ASIC又は電子的命令を記憶し得るあらゆる媒体を含むが、これらに限定されない。さらに、本明細書で言うコンピュータは、単体のプロセッサを含んでもよいし、コンピュータ能力を増加させるために複数のプロセッサを用いた装置であってもよい。
【0018】
ここでいうアルゴリズムやディスプレイは、もともと特定のコンピュータや他の装置に関係している訳ではない。ここで教示される内容に従って、プログラムとともに多様な一般目的システムが使用され得る。又は、必要とされる方法ステップを実行するためにさらに特化した装置を作成することも便宜である。これらのシステムのそれぞれについてどのような構成が必要となるかは、後記する明細書本文から明らかになる。さらには、本発明は特定のプログラム言語を参照して記載されるものではない。本発明の教示を実装するために、多様なプログラム言語が使用され得る。後記において特定の言語に言及した場合、それは本発明の実施可能性及びベストモードを開示するためである。
【0019】
さらに、本明細書で使用される言語は、主として読み易さ及び教育目的から選択されているのであって、本発明の主旨を限定するために選択されているのではない。従って、本発明の開示は、特許請求の範囲にて記述されている本発明の範囲を例示するものであるが限定するものではない。
【0020】
図1は、人間の体温と人間の睡眠サイクルとの間の関係を示す。図1に示されるように、24時間の間に、人間の核体温は、周期的に上下する。睡眠が欠けている期間130の間でさえ、人間の核体温は、一般的に「日周期リズム」と呼ばれる周期的な変動を維持する。
【0021】
人体内の核体温の上昇は、疲労に対応していることが研究の結果判明している。さらに、体温は睡眠開始前に、ピーク110、120まで上昇することが分かっている。実際に、人間の核体温は、睡眠状態に入った後、特に、受動的に低下した筋緊張に関連付けられた所謂非急速眼球運動(NREM)睡眠状態の間、低下する。睡眠状態の間中、体温は低下し、目が覚めるとき、最低値すなわちボトム112に達する。したがって、人間の核体温の変動は、人間の睡眠及び覚醒のタイミングに影響を与える。体温と睡眠との間にこの関係があるが故に、体温に影響を与えれば、人間の覚醒状態を延長することができる。
【0022】
人間の核体温のピーク110、120と眠気の開始との間には相関関係があり、人間の核体温のボトム112と覚醒状態との間に対応関係があることから、人間の核体温がピーク110、120に近づいているときに、この核体温を下げれば、人間が睡眠状態に入るのを防ぐことができる。しかしながら、人体が有する多くの身体的メカニズム及びシステムは、外部からの情報が急速に又は劇的に核体温を修正することを防ぐ。特に、人体は脳幹の前視床下部に身体サーモスタットを有しており、この身体サーモスタットが、体温を維持するための1つ又は複数のメカニズムを始動する。例えば、急激に体温が降下する場合、身体サーモスタットは、身体の末端部(例えば、手足)に流れる血流を減らし、身体の核への血流を増やす。反対に、急激な体温上昇があると、身体サーモスタットは、血管を拡張し、身体の末端部へ向かう血流を増やし、身体を冷却する。体温を一定に保ち調節する人間の体温調節システムには、他のメカニズムも存在する。
【0023】
核体温を安定させようとするこの傾向を援ける解剖学的メカニズムの一環として、人間及び他の哺乳動物は、身体から熱を放散し得る静脈叢及び動静脈吻合のような特別な血管を有している。図2は、人体内の動静脈吻合200の説明図である。しかしながら、静脈叢も同じ構造を有し、人体内で同じ機能を果たす。静脈叢及び動静脈吻合200は、掌、瞼の下の頬及び足の裏に存在する。血液を毛細血管から静脈叢及び/又は動静脈吻合200に向けて流すことによって、人体はすばやく熱を放散する。このように、静脈叢及び動静脈吻合200は、人体に対するラジエータとして機能し、急速に核体温を調節する。
【0024】
しかしながら、静脈叢及び動静脈吻合は、血液循環システムを使用して身体を暖める又は冷やすためにも使用され得る。例えば、外部熱源を静脈叢及び動静脈吻合に接触させると、静脈叢及び動静脈吻合200を通る血液が暖められ、温められた血液は心臓へ環流する。血液循環システムは、この温められた血液を身体全体に循環させ、原則的には体内部から外側に向かって身体を暖める。同様に、気温又は体温以下に冷却された物質のような外部のヒートシンクを、静脈叢及び/又は動静脈吻合200に接触させると、静脈叢及び/又は動静脈吻合200を通る血流から熱が奪われる。冷却された血液は心臓に環流し、血液循環システムによって身体全体に循環し、人間の核体温を急速に下げることが可能になる。例えば、気温又は体温以下に冷却された物質を静脈叢及び動静脈吻合に接触させると、0.5キロカロリー/分から50キロカロリー/分の割合で、身体から熱が奪われる。このようにして、低温媒体を静脈叢及び/又は動静脈吻合200に接触させることによって人間の核体温を急速に下げることが可能になる。
【0025】
図3は、本発明の1つの実施形態に係るドライバの核体温を調節するためのコンピュータシステム300である。ある実施形態においては、コンピュータシステム300は、体温センサ310及び体温調節器320を含む。他の実施形態においては、コンピュータシステム300は、補助眠気モニタ330、記憶装置340及び/又はタイミング装置350も含む。
【0026】
体温計のような体温センサ310は、車両ドライバの体温を示すデータを取得する。1つの実施形態においては、体温センサ310は、車両ドライバに向けられた、赤外線式又は非接触式の体温計を有する。この体温計は、車両ドライバの体温を示すデータを常時取得し、このデータは、車両ドライバの核体温を計算するために使用される。したがって、体温センサ310は、車両ドライバの核体温を非接触で決定することを可能にする。代替的に、体温センサ310は、車両ドライバの体温データを間欠的に取得する。多くの実施形態において、体温センサ310は、赤外線式体温計又は他の非接触式体温計を有し、この体温計は、ドライバの体温を示すデータを取得する。例えば、体温センサ310は、車両ドライバからの視線が遮られない、車両の側部、ダッシュボード、座席又は他の場所に取り付けられる。代替的に、体温センサ310は、車両ドライバが車両を操作するのを妨げることなく、車両ドライバの耳、耳の周辺、首又は他の露出した皮膚のような、車両ドライバの身体表面に物理的に接触する。他の実施形態においては、体温センサ310は、後記する体温調節器320に含まれており、体温調節器320は車両ドライバの体温を決定し、修正する。
【0027】
体温調節器320は、車両ドライバの皮膚部分、静脈叢又は動静脈吻合のような、車両ドライバの身体表面に接触し、車両ドライバを冷却する。ある実施形態においては、体温調節器320は、その温度が車両ドライバの体温以下の温度に下げられている物質を有する。例えば、体温調節器320は、熱伝導性の高いアルミニウム又は他の物質を含む。この物質は、乾燥冷却装置、発熱若しくは吸熱化学反応器、又は温度変化を生じる他の装置若しくは反応器に接続されている。代替的に、冷却された液体が、車両ドライバの皮膚に接触しない表面のような、熱伝導物質の表面近傍を流れ、その熱伝導物質の温度を下げる。熱伝導物質が車両ドライバの静脈叢又は動静脈吻合に接触しているので、その熱伝導物質を冷却すると、車両ドライバの循環血液から熱が奪われ、車両ドライバの核体温が低下する。ある実施形態においては、熱伝導物質は、真空源に接続されたハウジングに格納されている。真空源はハウジング内の気圧を周囲圧力より低い圧力にまで下げ、静脈叢及び/又は動静脈吻合を流れる車両ドライバの血流の量を増加させることによって、車両ドライバから熱が奪われ易くする。体温調節器320の実装例は、米国特許第6,602,277号公報、米国特許第6,656,208号公報及び米国特許第6,974,442号公報に記載されている。これらの文献の全てがここに引用される。
【0028】
1つの実施形態においては、コンピュータシステム100は、1つ又は複数の眠気指標を用いて車両ドライバを観察する補助眠気モニタ330を含む。例えば、補助眠気モニタ330は、画像取得モジュールを有し、この画像取得モジュールは、瞬きの間に車両ドライバの目がどれくらいの時間閉じられているか、時間経過と共に車両ドライバの頭部がどのように動くか、を示すデータ、又は、車両ドライバの注意力を示す他の身体データを取得する。代替的に、補助眠気モニタ330は動作センサを有し、この動作センサは、車両の動作を観察し、眠気状態に関連付けられた異常運転パタンを識別する(急ハンドル、蛇行)。他の実施形態においては、補助眠気モニタ330は、車両のステアリング状態(例えばステアリングホイルのような車両操舵装置の動作)を示すデータを取得する。このデータは、記憶装置340に記憶された道路情報と比較され、車両ステアリングが車両ドライバの眠気状態を示しているか否かを決定し得る。例えば、取得された車両ステアリングデータが、記憶されている道路情報から、所定の閾値だけ離隔している場合は、取得されたステアリングデータは、車両ドライバの眠い状態に対応している。
【0029】
記憶装置340は、温度センサ310、補助眠気モニタ330及び/又は体温調節器320からの情報を記憶する。1つの実施形態においては、記憶装置340は、ユーザ又は他の適当なデータ取得方法によって入力又は提供されたデータも記憶する。1つの実施形態においては、記憶装置340は、車載ナビゲーション用の地図のような道路情報を示すデータも記憶する。記憶装置340は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、又は他の大量記憶装置を含む。さらに、記憶装置340は、揮発性の記憶装置(例えば、DRAM、SRAM又は他の適当な記憶装置)、非揮発性の記憶装置、又はこれらの組合せであってもよい。
【0030】
1つの実施形態においては、コンピュータシステム300は、タイミング装置350も含む。タイミング装置350は、体温調節器320に特定の間隔又は特定の時点で車両ドライバの体温を下げさせる。例えば、タイミング装置350は、車両発進後2時間のような、車両ドライバの体温を下げる特定の間隔を示すデータを含む。このことは、車両ドライバが眠気症状を示す前に、車両ドライバの体温を予防的に下げることを可能にする。代替的に、タイミング装置350は、車両ドライバが眠くなりやすい午後12時又は他の時刻に車両ドライバを冷却する、のような、車両ドライバの体温を下げる1又は複数の時点を特定する情報を含む。追加的に、タイミング装置350は、車両が走行した又は稼動し続けている時間のような、車両操作の継続期間を示すデータを記録する。
【0031】
本発明の主旨を逸脱することなく図3に示されているよりも多い又は少ない構成要素をコンピュータシステム300が含み得ることは、当業者には明らかである。例えば、コンピュータシステム300は、一次若しくは二次キャッシュ又は1若しくは複数の特定用途集積回路(ASICs)のような、追加メモリを含み得る。同様に、コンピュータシステム300は、追加的な入力装置又は出力装置を含み得る。本発明のある実施形態においては、1又は複数の構成要素(310、320、330、340、350)が、互いに隣接して配置され得る。他の実施形態においては、これらの構成要素は、1つの車両内の別々の場所に配置され、無線通信システム、有線通信システム又はこれらの組合せを使用することによって、互いに接続され得る。例えば、記憶装置340及び/又はタイミング装置350は車両のトランク内に配置される一方、体温センサ310、体温調節器320及び補助眠気モニタ330は、乗員コンパートメント内に配置され得る。
【0032】
図4は、本発明の1つの実施形態に係るドライバ核体温調節システムの車両への実装例である。説明目的で、図4は、ある実施形態における車両ドライバ400に関するドライバ核体温調節システムの様々な構成要素の配置を示す。他の実施形態においては、ドライバ核体温調節システムの構成要素は、相互間の関係及び車両内の車両ドライバ400との関係で、異なった位置に配置される。
【0033】
1つの実施形態においては、体温センサ310は、車両ドライバ400の頭部の近傍に配置される。例えば、体温センサ310は、車両ドライバの耳又は額の近傍に配置され、車両ドライバの体温を決定する。体温センサ310は、車両ドライバ体温データを、体温調節器320に送信する。例えば、体温センサ310は、Bluetooth(登録商標)、WiFi又はWiMAXトランシーバのような無線通信システムを使用し、体温データを体温調節器320に送信する。代替的に、体温センサ310及び体温調節器320は、有線式の電気的又は電子的接続を使用しデータを送信及び/又は受信する。
【0034】
体温調節器320は、車両ドライバ400の静脈叢及び/又は動静脈吻合に物理的に接触している。このことにより、体温調節器320は、車両ドライバの体温をより迅速かつ安全に下げ得る。体温調節器320が、ある増加速度で、車両ドライバの核体温を下げている間、体温調節器320は、車両ドライバの身体が体温を調節する防衛メカニズムを始動するほど急速に車両ドライバの核体温を下げるわけではない。例えば、体温調節器320が車両ドライバの体温を下げている間、車両ドライバのこの体温低下は、車両ドライバの身体サーモスタットに対し、血管を収縮させたり、身体の振動によって車両ドライバの核体温を維持する内部熱を発生させたりすることはない。図4に示される例においては、車両ステアリング装置410は、ステアリングホイルのような体温調節器320を有し、体温調節器320は、車両ドライバ400の掌に物理的に接触している。代替的に、体温調節器320は、車両ドライバ400の足の裏に物理的に接触しており、車両のアクセルペダル及び/又はブレーキペダルの中に組み込まれていてもよい。他の実施形態においては、体温調節器320は、車両ドライバの掌及び足の裏の両者に物理的に接触しており、車両ドライバ400をより効率的に冷却し得る。これらの配置によって、体温調節器320は、静脈叢及び動静脈吻合のような、体温を最も効率的に調節する車両ドライバの生体構造の領域に作用し、車両ドライバ400の体温を最も効率的に下げ得る。
【0035】
1つの実施形態においては、補助眠気モニタ330は、車両ドライバ400の顔面のビデオ又は画像データを取得するように配置される。例えば、補助眠気モニタ330は、車両前部のダッシュボード又は他の表面に接続される。代替的に、補助眠気モニタ330は、車両操舵システムに接続され、車両の進行方向の変化を監視する。他の実施形態においては、補助眠気モニタ330は、車両ドライバ400の1又は複数の体格を示すデータ及び車両の動きを示すデータの両者を取得する。多くの実施形態において、補助眠気モニタ330は、無線通信方法、有線通信方法又はこれらの組合せを使用し、体温調節器320及び/又は体温センサ310とデータを交換する。
【0036】
図5は、本発明の1つの実施形態に係る体温調節器320を示す。体温調節器320は、冷却モジュール510、眠気識別モジュール520及び通信モジュール530を有する。1つの実施形態においては、体温調節器320は、さらに真空源540を有する。
【0037】
冷却モジュール510は、アルミニウムのような高い熱伝導性を有する物質及び熱伝導物質の温度を下げる冷却システムを有する。例えば、冷却モジュール510は、乾燥冷却装置、発熱若しくは吸熱化学反応用の試薬、又は、熱伝導物質の温度を下げる他の装置若しくは反応器を含む。代替的に、冷却モジュール510は、熱伝導物質の表面に隣接して、冷却された液体を流す。冷却された液体が熱伝導物質のそばを通過するので、熱伝導物質内の熱がその物質から冷却された液体に移動するにつれて、熱伝導物質の温度が下がる。例えば、車両ドライバが熱伝導物質の第1の表面に物理的に接触する一方、熱伝導物質の第2の表面は、冷却された液体に隣接している。この物資は熱伝導性であるので、熱伝導物質の第2の表面を冷却すると、その熱伝導物質の第1の表面の温度も下がる。このようにして、冷却モジュール510は、熱伝導物質の温度が低い表面を、車両ドライバの身体表面に物理的に接触させることができる。冷却モジュール510が車両内部に配置され、車両ドライバの静脈叢又は動静脈吻合に物理的に接触しているので、冷却モジュール510は、車両ドライバの身体から迅速に熱を奪うことができる。冷却モジュール510の例は、米国特許第6,602,277号公報、米国特許第6,656,208号公報及び米国特許第6,974,442号公報に記載されている。これらの文献の全てがここに引用される。
【0038】
体温センサ310からの車両ドライバの体温を示すデータを、眠気識別モジュール520は、通信モジュール530から受け取る。眠気識別モジュール520は、受け取った車両ドライバの体温データを、記憶されているデータと比較し、車両ドライバが眠い状態にあるか、又は眠気状態になりそうか否かを決定する。例えば、眠気識別モジュール520は、車両ドライバ体温データを、人間の日周期リズム体温を示す記憶されているデータと比較する。車両ドライバの体温データが、眠い状態に対応する日周期体温と同じである場合は、眠気識別モジュール520は、冷却モジュール510に対し、車両ドライバを冷却し始めるよう指示する。また、眠気識別モジュール520は、通信モジュール530からの一時的なデータを使用し、車両ドライバを冷却し始めるか否かを決定する。例えば、眠気識別モジュール520は、車両が移動又は走行し始めてからの経過時間を示すデータを、車両ドライバが眠くなり易くなる操作時間の閾値を示す記憶されたデータと比較する。又は、眠気識別モジュール520は、時刻を識別するデータを、車両ドライバが眠気を催し易い1又は複数の時刻を示す記憶されたデータと比較する。1つの実施形態においては、眠気識別モジュール520は、補助眠気モニタ330からデータを受け取り、受け取ったデータが、眠い状態に対応する身体特性又は車両挙動を示す記憶されたデータと同じであるか否かを決定する。
【0039】
眠気識別モジュール520は、多くの方法で実装され得る。例えば、それは、プロセッサ(図示せず)及び/又はファームウエアアプリケーションによって実行され得るソフトウエア処理であり得る。プロセッサ及び/又はファームウエアは、汎用目的マイクロプロセッサ若しくはコントローラ、現場書換可能ゲートアレイ、(FPGA)、特定用途集積回路(ASIC)又はこれらの組合せ上で機能するように構成され得る。代替的に、眠気識別モジュール520は、イベントを示すデータを処理するように構成されたプロセッサを含み、複合命令セットコンピュータ(CISC)アーキテクチャ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)アーキテクチャ又は命令セットの組合せを実装するアーキテクチャのような様々なコンピューティングアーキテクチャを含み得る。眠気識別モジュール520は、単一のプロセッサ又は複数のプロセッサを有し得る。代替的に、眠気識別モジュールは、汎用目的コンピュータハードウエア装置上で実行される多くのソフトウエア又はファームウエア処理を含む。
【0040】
通信モジュール530は、眠気識別モジュール520を、温度センサ310、補助眠気モニタ330、記憶装置340、及び/又は他の車両システム若しくはネットワーク(図示せず)経由の車両外システムに接続する。ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)(例えばインターネット)及び/又は複数の装置がそれを介して通信可能なあらゆる他の相互接続データパスを含み得る。ある実施形態においては、通信モジュール530は、USB、IEEE 1394又はイーサネット(登録商標)のような、ファイル及び情報を分散するための1又は複数の車両システム又は外部システムに対する従来型の接続である。他の実施形態においては、通信モジュール530は、赤外線式通信、IEEE 802.1 1a/b/g/n(又はWiFi)通信、Bluetooth(登録商標)通信、3G通信、IEEE 802.16(又はWiMax)、又はラジオ周波数通信用などのための、従来型送受信機である。
【0041】
ある実施形態においては、体温調節器320は、真空源540も含み、真空源540は、冷却モジュール510及び眠気識別モジュール520に接続されている。真空源は、冷却モジュール510に隣接する領域の気圧を下げ、冷却モジュール510に物理的に接触している身体表面を通る車両ドライバの血流を促進する。例えば、冷却モジュール510は、真空源540と接続された熱伝導物質を囲むハウジング又はケーシングを有する。真空源540は、このハウジング又はケーシング内の気圧を、周囲気圧より低い圧力(負圧)に下げ、熱伝導物質が、車両ドライバから熱をより迅速に奪うことを可能にする。あらゆるタイプの真空調節器又は制御メカニズムが、冷却モジュール510に関連付けられた圧力を修正するために使用され得る。体温調節器320の実装例は、米国特許第6,602,277号公報、米国特許第6,656,208号公報及び米国特許第6,974,442号公報に記載されている。これらの文献の全てがここに引用される。
【0042】
図6は、本発明の1つの実施形態に係る眠気探査に基づく車両ドライバの体温調節方法のフローチャートである。
【0043】
最初に、体温センサ310は、車両ドライバの体温をモニタ、測定する(ステップ610)。1つの実施形態においては、車両ドライバの体温は、体温センサ310によって連続的にモニタされる(ステップ610)。代替的に、体温センサ310は、特定の間隔で車両ドライバの体温を測定する。例えば、体温センサ310は、1時間毎に、2時間毎に又は所定の時間の経過後に、車両ドライバの体温を測定する。1つの実施形態においては、体温センサ310は、車両クロックからの時刻を決定し、その時刻に基づいて車両ドライバのモニタ、測定を調節する(ステップ610)。例えば、車両ドライバが最も眠くなり易い午後6時と午前6時との間に、車両ドライバの体温は最も頻繁に(例えば30分間隔で)測定される。また、車両ドライバの体温が上がるにつれて、車両ドライバの体温をモニタリングする頻度が増える(ステップ610)。
【0044】
さらに、1つの実施形態においては、補助眠気モニタ330は、眠い状態を示す車両ドライバの身体的兆候も測定する(ステップ610)。例えば、眠気識別モジュール520は、車両ドライバの視線の安定度、車両ドライバが瞬きをする頻度、瞬きの時車両ドライバの目が閉じられている時間、車両ドライバの頭部の動き、車両ドライバの両手の動き、又は眠気と関連付けられる車両ドライバの他の身体動作を決定する。これらの測定によって、補助眠気モニタ330は、車両ドライバの追加的な身体特徴を観察し、車両ドライバが眠い状態にあるか否かをより正確に決定し得る(ステップ610)。
【0045】
体温調節器320は、次に、体温センサ310及び/又は補助眠気モニタ330からデータを受け取り、受け取ったデータが車両ドライバの眠い状態であることを示す1つ又は複数の兆候と対応しているか否かを決定する(ステップ620)。例えば、体温調節器320は、車両ドライバの体温が車両ドライバの体温の最大値に等しいか否か、又は車両ドライバの体温が車両ドライバの体温の最大値の閾値の範囲内であるか否かを決定する(ステップ620)。1つの実施形態においては、体温調節器320は、補助眠気モニタ330からのデータを評価し、車両ドライバが、眠い状態にあることに対応する1又は複数の身体挙動を示しているか否かを決定する(ステップ620)。
【0046】
車両ドライバが1又は複数の眠気の兆候を示していると体温調節器320が決定した場合は(ステップ620)、体温調節器320は、車両ドライバの核体温を下げる(ステップ630)。したがって、車両ドライバが眠気状態に共通に関連付けられている1又は複数の身体挙動を示している場合は、車両ドライバの体温が下げられ、車両ドライバの注意力が高まる。人体は、より低い核体温を覚醒状態と関連付けているので、車両ドライバの体温を下げることによって、体温調節器320は、車両ドライバが引き続き覚醒状態に留まる可能性を高くする。ある実施形態においては、体温調節器320は、特定の又は所定の時間間隔毎に車両ドライバを冷却する。代替的に、体温調節器は、日周期リズムのボトムのような所定の体温にまで車両ドライバを冷却する。しかしながら、車両ドライバが眠い状態の兆候を示していないと体温調節器320が決定した場合は(ステップ620)、体温調節器は動作せず、車両ドライバの体温は変化しない(ステップ640)。
【0047】
図7は、本発明の1つの実施形態に係る車両操作時間に基づく車両ドライバの体温調節方法のフローチャートである。
【0048】
最初に、体温調節器320又はタイミング装置350は、車両発進時刻を識別する(ステップ710)。1つの実施形態においては、車両が移動し始めた時刻を車両発進時刻として識別する(ステップ710)。代替的に、エンジン又は駆動系のような車両構成要素が動き始めた時刻が車両発進時刻として識別される(ステップ710)。次に、車両発進時刻を参照して、車両操作時間が決定される(ステップ720)。例えば、車両発進時に、タイマが車両発進時刻からの経過時間を表示し始める。1つの実施形態においては、タイミング装置350、記憶装置340又は体温調節器320が、車両操作時間を示すデータを記録する。
【0049】
次に、体温調節器320は、車両操作時間が、記憶装置又は体温調節器320に記憶された閾値を超過しているか否かを決定する(ステップ730)。1つの実施形態においては、閾値は、3時間の操作時間というように、車両ドライバが疲労状態になり易い時間間隔である。1つの実施形態においては、閾値は、様々なユーザの実装、選好又は要求に応じてカスタマイズされ得る。車両操作時間が、閾値以上である場合、体温調節器320は、車両ドライバの核体温を下げる(ステップ740)。
【0050】
したがって、車両ドライバが閾値によって特定される時間に亘って車両を操作した後は、体温調節器320は、車両ドライバの体温を下げ、車両ドライバの注意力を高める。車両操作者は、長時間車両を操作した後は眠くなり易いので、車両ドライバの核体温を、人体が覚醒状態と関連付ける体温にまで下げることによって、体温調節器320は、車両ドライバが引き続き覚醒状態に留まる可能性を高くする。ある実施形態においては、体温調節器320は、特定の又は所定の時間間隔毎に車両ドライバを冷却する。代替的に、体温調節器は、日周期リズムのボトムのような所定の体温にまで車両ドライバを冷却する。しかしながら、車両操作時間が閾値未満であると体温調節器が決定した場合は(ステップ750)、体温調節器は動作せず、車両ドライバの体温は変化しない。
【0051】
本発明の特別な実施形態及び適用例を前記してきたが、本発明は、ここに開示されている具体的な構造及び構成要素に限定されず、別添の特許請求の範囲に記載した本発明の主旨や範囲から逸脱することなく、ここに開示される本発明の方法や装置について、当業者にとって明らかな修正や設計変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
110、120 ピーク
112 ボトム
130 睡眠が欠けている期間
200 静脈叢、動静脈吻合
300 コンピュータシステム
310 体温センサ
320 体温調節器
330 補助眠気モニタ
340 記憶装置
350 タイミング装置
410 車両ステアリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ドライバの核体温を下げるための自動車用システムであって、
前記自動車用システムは、体温センサ及び体温調節器を有し、
前記体温センサは、
車両ドライバの体温を示すデータを取得し、
前記体温調節器は、
前記体温センサと接続されており、
前記車両ドライバの体温を示すデータを睡眠と関連付けられた日周期リズム体温と比較し、
前記車両ドライバの体温を示すデータが前記睡眠と関連付けられた日周期リズム体温以上であると、前記車両ドライバの静脈叢又は前記車両ドライバの動静脈吻合のうちのいずれかを直接冷却することにより前記車両ドライバの体温を下げること、
を特徴とする自動車用システム。
【請求項2】
前記自動車用システムは、
さらに補助眠気モニタを有し、
前記補助眠気モニタは、
前記体温センサと接続されており、
1つ又は複数の車両ドライバの動作を示すデータを取得すること、
を特徴とする請求項1に記載の自動車用システム。
【請求項3】
前記1つ又は複数の車両ドライバの動作は、
頭部の動き、瞬き頻度、瞬き継続時間、視線の安定度又はステアリング装置の動作を含むこと、
を特徴とする請求項2に記載の自動車用システム。
【請求項4】
前記体温調節器は、
前記取得された1つ又は複数の車両ドライバの動作を示すデータが、眠気を示すか否かを決定し、
前記取得した車両ドライバの動作を示すデータが眠気を示すと、前記車両ドライバの静脈叢又は前記車両ドライバの動静脈吻合のうちのいずれかを直接冷却することにより前記車両ドライバの体温を下げること、
を特徴とする請求項2に記載の自動車用システム。
【請求項5】
前記車両ドライバの静脈叢又は前記車両ドライバの動静脈吻合のうちのいずれかを直接冷却することは、
前記車両ドライバの静脈叢又は前記車両ドライバの動静脈吻合に接触する熱伝導物質を車両ドライバの平均体温より低い温度に冷却することを含むこと、
を特徴とする請求項1に記載の自動車用システム。
【請求項6】
前記自動車用システムは、
さらに記憶装置を有し、
前記記憶装置は、
前記体温調節器と接続されており、
前記睡眠と関連付けられた日周期リズム体温を記憶していること、
を特徴とする請求項1に記載の自動車用システム。
【請求項7】
前記自動車用システムは、
さらにタイミング装置を有し、
前記タイミング装置は、
前記体温調節器と接続されており、
車両操作時間を示すデータを取得すること、
を特徴とする請求項1に記載の自動車用システム。
【請求項8】
前記体温調節器は、
前記車両操作時間を示すデータを操作時間の閾値と比較し、
前記車両操作時間を示すデータが前記操作時間の閾値以上であると、前記車両ドライバの静脈叢又は前記車両ドライバの動静脈吻合のうちのいずれかを直接冷却することにより前記車両ドライバの体温を下げること、
を特徴とする請求項7に記載の自動車用システム。
【請求項9】
前記体温調節器は、
前記ステアリング装置の動作を示すデータを記憶されたナビゲーションデータと比較し、
前記ステアリング装置の動作を示すデータが前記記憶されたナビゲーションデータに比して、特定の閾値だけ相違すると、前記車両ドライバの静脈叢又は前記車両ドライバの動静脈吻合のうちのいずれかを直接冷却することにより前記車両ドライバの体温を下げること、
を特徴とする請求項3に記載の自動車用システム。
【請求項10】
車両ドライバの核体温を下げるためのコンピュータを用いた方法であって、
前記コンピュータは、
前記車両ドライバの核体温を決定し、
前記車両ドライバの核体温が睡眠と関連付けられた日周期リズム体温以上であるか否かを決定し、
前記車両ドライバの核体温が前記睡眠と関連付けられた日周期リズム体温以上であると決定すると、前記車両ドライバの静脈叢又は前記車両ドライバの動静脈吻合のうちのいずれかを直接冷却することにより前記車両ドライバの核体温を下げること、
を特徴とする方法。
【請求項11】
前記車両ドライバの核体温を下げることは、
前記車両ドライバの静脈叢又は前記車両ドライバの動静脈吻合に接触する熱伝導物質の表面温度を前記車両ドライバの核体温より低い温度に冷却することを含むこと、
を特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記コンピュータは、
前記熱伝導物質に隣接する領域の圧力を周囲の気圧以下の値に下げること、
を特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記車両ドライバの核体温が前記睡眠と関連付けられているか否かを決定することは、
1又は複数のドライバの動作を示すデータを受け取り、
前記1又は複数のドライバの動作が眠気と関連付けられているか否かを決定し、
前記車両ドライバの核体温が睡眠と関連付けられた前記日周期リズムの体温以上であるか否かを決定することを含むこと、
を特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記1又は複数のドライバの動作は、
頭部の動き、瞬き頻度、瞬き継続時間、視線の安定度又はステアリング装置の動作を含むこと、
を特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記コンピュータは、
冷却された車両ドライバの核体温を決定し、
前記冷却された車両ドライバの核体温を覚醒と関連付けられた日周期リズム体温と比較し、
前記冷却された車両ドライバの核体温が前記覚醒と関連付けられた車両ドライバ体温以下であると、前記車両ドライバの核体温を下げることを停止すること、
を特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項16】
車両ドライバの核体温を下げるためのコンピュータを用いた方法であって、
前記コンピュータは、
車両発進時刻を決定し、
前記車両発進時刻から現在時刻までの時間間隔を決定し、
前記時間間隔を時間間隔の閾値と比較し、
前記時間間隔が前記時間間隔の閾値以上であると決定すると、前記車両ドライバの静脈叢又は前記車両ドライバの動静脈吻合のうちのいずれかを直接冷却することにより前記車両ドライバの核体温を下げること、
を特徴とする方法。
【請求項17】
前記車両ドライバの核体温を下げることは、
前記車両ドライバの静脈叢又は前記車両ドライバの動静脈吻合に接触する熱伝導物質の表面温度を前記車両ドライバの核体温より低い温度に冷却することを含むこと、
を特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記コンピュータは、
冷却された車両ドライバの核体温を決定し、
前記冷却された車両ドライバの核体温を覚醒と関連付けられて記憶された日周期リズム体温を示すデータと比較し、
前記冷却された車両ドライバの核体温が前記覚醒と関連付けられた日周期リズム体温以下であると、前記車両ドライバの核体温を下げることを停止すること、
を特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
車両ドライバの核体温を下げるための装置であって、
前記装置は、冷却モジュール及び眠気識別モジュールを有し、
前記冷却モジュールは、
前記車両ドライバの静脈叢又は前記車両ドライバの動静脈吻合に物理的に接触している第1の側面を有する熱伝導性表面を含み、
前記眠気識別モジュールは、
前記冷却モジュールと接続されており、
前記車両ドライバの核体温を示すデータを取得し、
前記車両ドライバの核体温を示すデータを睡眠と関連付けられた1又は複数の日周期リズム体温を示すデータと比較し、
前記車両ドライバの核体温を示すデータが前記睡眠と関連付けられた日周期リズム体温以上であると、冷却信号を前記冷却モジュールに送信し、前記冷却モジュールに前記熱伝導性表面の温度を下げさせること、
を特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−516407(P2010−516407A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547405(P2009−547405)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/051830
【国際公開番号】WO2008/091965
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】