説明

ドライブレコーダシステム

【課題】比較的簡単に車両に取り付けできると共に、後方視界の映像と制動装置の作動状況とが同時点のものであることを、より確実に保証できるドライブレコーダシステムを提供する。
【解決手段】ドライブレコーダシステム1は、化粧カバー12に設けられた孔12aに嵌合され、制動灯11の光を導光する導光手段3と、車両10の後方視界と導光手段3に導かれた光とを画角内に収めて撮像する撮像装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行中に、その後方視界を録画することができるドライブレコーダシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ドライブレコーダは、車両の前方を撮像するように構成されているものが多いが、後続車に追突された場合のために、車両の前方のみならず車両の後方視界を撮像しているものがある(特許文献1)。近年では、このようなドライブレコーダによって撮像された撮像データ(映像、制動装置の作動時間等)は、後方からの衝突事故における法的証拠として重要視される。このため、車両の後方視界を撮像できるドライブレコーダの需要が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−320000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常のドライブレコーダでは、車両の電子制御装置等の信号線のうち制動装置の作動状態を示す信号線と接続することで、車両の後方視界の映像と共に、制動装置の作動状態を同時に記録することができる。しかしながら、信号線と接続する必要があるので、ドライブレコーダを車両に取り付けるためには、車両の配線に関する専門的な知識が必要である。
【0005】
また、制動装置の作動状態を、車両の電子制御装置等の信号線から取得する場合には、車両の後方視界の映像に対して、画像処理によって制動装置の作動状態を示す情報(文字情報や図形情報等)を合成することとなる。このため、車両の後方視界の映像と同時点の制動装置の作動状態を示しているのか疑わしい。従って、ドライブレコーダとしては、車両の後方視界の映像と制動装置の作動状態とが同時点のものであることをより確実に保証できるものが望まれる。
【0006】
そこで、本発明は、比較的簡単に車両に取り付けできると共に、後方視界の映像と制動装置の作動状況とが同時点のものであることを、より確実に保証できるドライブレコーダシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、制動灯を備える車両に搭載されるドライブレコーダシステムであって、前記制動灯の光を導光する導光手段と、前記車両の後方視界と前記導光手段に導かれた光とを画角内に収めて撮像する撮像装置とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、制動灯が点灯しているときには導光手段から光が出射され、制動灯が消灯しているときには導光手段から光は出射されない。換言すれば、導光手段から光が出射されているときは、制動装置により車両が制動されており、導光手段から光が出射されていないときは、制動装置により車両が制動されていない。
【0009】
従って、導光手段から光が出射されているか否かにより制動装置が作動しているか否かを検知することができる。すなわち、制動装置の作動状態を導光手段から導かれた光を撮像するだけで知ることができるので、車両の電子制御装置等の信号線から取得する場合と比べて、車両の配線の専門的な知識等が無い場合であっても簡単に制動装置の作動状態を撮像することができると共に、信号線の情報を制動装置の作動状態を示す文字情報や図形情報等に変換し、画像処理によって撮像データに組込むための制御ソフトウェアの開発工数等が削減でき、製造コストを抑えることができる。
【0010】
更に、撮像装置が、車両の後方視界と導光手段に導かれた光を画角内に収めることで、車両の後方視界と制動装置の作動状態とを同時に撮像することとなる。すなわち、制動装置の作動状態を示す光が車両の後方視界と共に撮像されるので、後方視界の映像と制動装置の作動状況とが同時点のものであることをより確実に保証できる。
【0011】
また、導光手段を設けていないような場合においては、周囲の環境やドライブレコーダシステムが取り付けられる車両の構造等によっては、入射した光が他の発光体からの光である可能性があり、制動灯からの光か否かは確実ではない。しかしながら、導光手段によって導かれた光を撮像装置によって撮像することで、その光が制動灯からの光であることを確実に保証できる。
【0012】
更に、導光手段を設けることによって、撮像装置を配置する場所を決定する際に、制動灯との相対的な位置関係及び撮像装置と制動灯との間に配置された物体との関係によって受ける制限を低減することができる。これは、特に、光ファイバーケーブルのように形状を柔軟に変形できるものを使用する場合には、より制限を低下できるという効果が得られる。
【0013】
本発明において、前記制動灯と前記撮像装置との間に、前記導光手段が設けられた遮光手段を備えたことが好ましい。
【0014】
例えば、運転者の視界に制動灯の光が入ることで運転の妨げになることを防止するため、車室内に制動灯の光が入射しないように制動灯と車室内との間に遮光手段を配置することが一般的である。本発明のドライブレコーダシステムを簡単に車両に取り付けるために撮像装置を車室内に配置するような場合であっても、このような遮光手段に導光手段を設けることで、車室内に制動灯の光を大量に入射させずに撮像装置が制動装置の作動状況を撮像できる。また、この場合、制動灯の光は、運転者の運転を妨げない程度に車室内に入射され、車両の運転の安全性を確保できる。
【0015】
前記遮光手段は、前記車両のリアウィンドウと前記制動灯との間に配置されたシーリング部材で構成されたことが好ましい。
【0016】
例えば、シーリング部材を設けない場合には、制動灯の光がリアウィンドウに反射して当該リアウィンドウに大きなハレーションを発生させる等により、運転の妨げになる。更に、このような場合に、撮像装置によって車両の後方視界を撮像するとハレーションが車両の後方視界を撮像している撮像データに映り、当該ハレーションの後方にある状況を撮像できず、本来撮像したい車両の後方視界の情報が減少する恐れがある。
【0017】
上記のシーリング部材によってハレーションの発生を防止(又はごく僅かなハレーションに低減)して、車両の後方視界の情報が減少することを防止できると共に、シーリング部材に設けられた導光手段によって、撮像装置を車室内に配置するような場合であっても、制動装置の作動状況を撮像できる。
【0018】
本発明において、前記導光手段は、透明樹脂で成形されていることが好ましい。これにより、導光手段の成形の自由度が高くなり、製造コストを向上させることができる。この場合、前記透明樹脂にめっきを施すことにより、導光手段の耐久性を向上させることができる。
【0019】
本発明において、前記導光手段は、前記遮光手段に設けられた孔であってもよい。制動灯と撮像装置との配置関係によっては、遮光手段又はシーリング部材に孔を設けるだけで、撮像装置の画角内に車両の後方視界と制動灯の光とを画角内に収めて撮像することができる。このような場合には、導光手段を透明樹脂で形成する必要がないので、部品点数が増えるのを抑制して、製造コストを低減できる。
【0020】
あるいは、前記導光手段は、制動灯と同じ波長の光を吸収する透明樹脂で形成され、前記車両のリアウィンドウと前記制動灯との間に配置されたシーリング部材として用いられることが好ましい。なお、同じ波長の光とは、制動灯として用いられる光の波長の範囲内もしくは、製造時の誤差等を考慮して当該範囲よりも多少広い範囲のものを含む光のことを指す。
【0021】
これにより、導光手段は、制動灯と同じ波長の光(赤色の光)を減衰及び分散できる。このような導光手段をシーリング部材として設けることで、リアウィンドウに直接照射する制動灯の光の量が減少し、リアウィンドウにハレーションが発生する可能性を著しく低減できる。
【0022】
更に、制動灯から光が出射されているとき、その光は、導光手段として機能するシーリング部材によって減衰されて出射されることとなる。このため、シーリング部材から光が出射されているか否かで制動装置が作動しているか否かを検知できる。
【0023】
更に、シーリング部材に孔を設けることなく、制動装置が作動しているか否かを検知できるので、孔あけ加工をする必要がなく、製造工数を削減できると共に、シーリング部材の他に別途導光手段を設けるものに比べて部品点数を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態のドライブレコーダシステムを含む車両の構成を示す部分断面図。
【図2】(a)は別の形態のドライブレコーダシステムを含む車両の構成を示す部分断面図、(b)は(a)とは異なる位置に導光手段を配置したドライブレコーダシステムを含む車両の構成を示す部分断面図。
【図3】(a)はシーリング部材と導光手段との構成を示す図、(b)は(a)とは別の構成のシーリング部材と導光手段を示す図、(c)はシーリング部材を導光手段として構成した場合を示す図。
【図4】ドライブレコーダシステムの取り付けを簡単にするための車両の構成を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態のドライブレコーダシステムについて説明する。図1は、本実施形態のドライブレコーダシステム1を搭載する車両10の後側を示す。
【0026】
ドライブレコーダシステム1は、動画を撮像してその撮像データを記録する撮像装置2と、撮像装置2を制御する制御装置2aと、光を導く導光手段3とを備える。制御装置2aは、ROM及びRAMからなる記憶装置(メモリ)に記憶された各種テーブル、演算結果、及び入出力インターフェースから入力された各種センサ等の出力信号等に基づいて、各種演算処理を実行し当該演算処理結果を信号として外部に出力する中央演算処理装置で構成される。また、制御装置2aは、車両10の前方の運転席付近に配置されており、制御信号を伝達可能に撮像装置2に接続され、撮像装置2の作動を制御している。導光手段3は、例えば、メタクリル樹脂を用いたプリズム、又はポリカーボネイト樹脂を棒状に形成してその側面にめっきを施したもの等を用いている。
【0027】
また、車両10は、光源を発光ダイオード11aとして、当該発光ダイオード11aに透光性カバー11bを被せた制動灯11を備える。制動灯11は、制動装置(図示省略)が当該車両10を制動しているときに点灯し、当該車両10を制動していないときに消灯する。また、制動灯11は、点灯時において車両10の後方(図1の右方向)に向かって赤色の光を照射するように構成されている。これにより、車両10の制動装置が作動して減速していることを後続の車両に報知している。なお、制動灯11は、車両の後方の上部に配置されたハイマウントストップランプであってもよい。本実施形態では、制動灯11は、ハイマウントストップランプも含むものとする。
【0028】
車両10は、光を遮蔽する部材で形成された遮光手段としての化粧カバー12を備える。化粧カバー12は、制動灯11の照射方向(車両10の後方)とは反対側(図1の左方向)及び制動灯11の上部(図1の上方向)を覆うように形成されており、制動灯11の光が車室内に入射することを防止している。これにより、制動灯11の光が運転者の視界に入り運転の妨げになることを防止している。
【0029】
化粧カバー12は、制動灯11の上部の面に孔12aが設けられている。孔12aには、導光手段3が嵌合されている。このとき、導光手段3は、光が入射される部位(以下、「入射口」という)3aを制動灯11に向けて配置される。このため、導光手段3は、入射口3aから入った制動灯11の光を、光を出射する部位(以下、「出射口」という)3bに導いて出射することができる。
【0030】
換言すれば、導光手段3の出射口3bから光が出射されているときは、制動灯11が点灯しているときであり、ひいては制動装置により車両10が制動されているときを示し、導光手段3の出射口3bから光が出射されていないときは、制動灯11が消灯しているときであり、ひいては制動装置により車両10が制動されていないときを示す。
【0031】
ここで、「導光手段3が上記のように孔12aに嵌合された化粧カバー12」が、本発明における「前記導光手段が設けられた遮光手段」に相当する。
【0032】
撮像装置2は、前後方向(図1の左右方向)において制動灯11が配置されている位置よりも前側(図1の左方向)に、化粧カバー12上に固設されたステー13に、固設されている。このとき、撮像装置2は、その画角θ内に、車両10の後方視界と導光手段3の出射口3bとが収まるような位置及び角度で設置される。撮像する車両10の後方視界の範囲は、後続車両が当該車両10に追突してきた場合において、そのときの当該車両10の後方の状況を把握できる程度であればよい。
【0033】
撮像装置2によって、導光手段3の出射口3bを撮像することで、当該撮像した映像を後から視聴したときに、当該映像内に撮像されている導光手段3の出射口3bから光が出射しているか否かに応じて制動装置が作動しているか否かを検知することができる。このとき、撮像装置2は車両10の後方視界も同じ画角θ内に収めている。これにより、車両10の後方視界と制動装置の作動状況とが同時点のものであることを、より確実に保証できる。
【0034】
また、ドライブレコーダシステム1は、車両10の電子制御装置等の信号線と接続することなく制動装置の作動状況を知ることができる。このため、車両の配線に関する専門的な知識を有していなくとも、簡単に制動装置の作動状況を得ることができるので、当該ドライブレコーダシステム1を簡単に車両10に取り付けることができる。
【0035】
以上のように、本実施形態のドライブレコーダシステム1は、比較的簡単に車両に取り付けできると共に、後方視界の映像と制動装置の作動状況とが同時点のものであることを、より確実に保証できる。
【0036】
また、本実施形態のように導光手段3としてメタクリル樹脂のように透明樹脂を用いることで、撮像装置2は、効率よく透光された制動灯11の光を撮像できると共に、当該導光手段3の形成の自由度が向上する。これにより、ドライブレコーダシステム1を配置する車両の構造に柔軟に対応することができる。
【0037】
なお、本実施形態のドライブレコーダシステム1は、導光手段3の出射口3bを撮像装置2の画角θ内に収めて撮像しているが、これに限るものではない。例えば、導光手段3の出射口3bから出射した光(すなわち、制動灯11の光)であることを充分に認識可能(他の発光体の光ではないことを認識可能)であれば、導光手段3の出射口3bを撮像装置2の画角θ内に収めずに、導光手段3から出射した光(例えば、光が出射されることで明るさが明確に変化するもの等)を撮像装置2によって撮像してもよい。このような場合であっても、制動装置の作動状態を示す制動灯11の光が車両10の後方視界と共に撮像されるので、後方視界の映像と制動装置の作動状況とが同時点のものであることを、より確実に保証できるという効果が得られる。
【0038】
また、導光手段として、ポリカーボネイト樹脂を棒状に形成してその側面にめっきを施したもの等を用いるような場合(換言すれば、透明樹脂で形成された導光手段3の、光の入射口及び光の出射口以外の面にめっきを施す場合)においては、導光手段の耐久性を向上できると共に、棒状の両端部のうち光の入射口から入射した光は、出射口に到達する前に側面の内側に入射した場合であっても、めっきの金属薄膜によって反射されて出射口まで到達する。これにより、導光手段に入射した光の量が散乱することを抑制し、めっきを施さない場合に比べて、当該導光手段から出射する光の量を増加させることができる。
【0039】
また、本実施形態では、導光手段3として透明樹脂を用いたプリズムを用いているが、これに限らず、撮像装置2に対して制動灯11の光を導光できるものであれば、光ファイバーケーブルを用いてもよいし、鏡によって制動灯11の光を撮像装置2に向かって反射するようなものであってもよい。
【0040】
また、本実施形態のドライブレコーダシステム1は、車両10の化粧カバー12に孔12aを設けて導光手段3を嵌合したがこれに限るものではない。例えば、図2(a)に示されるように、車両20は、化粧カバー22とリアウィンドウ24との間に空間が設けられ、当該空間に光を遮蔽するための遮光手段としてのシーリング部材25が当該空間を埋めるように両面テープ等で接着されるように構成されていることも考えられる。このとき、シーリング部材25には、例えばエチレン・プロピレンゴム等が用いられる。
【0041】
このような構成の車両20は、シーリング部材25が配置されていない場合、特に夜間に走行している場合において、制動灯11の光がリアウィンドウ24に反射してリアウィンドウ24の面の大部分に広がってハレーションのような現象を発生し、運転の妨げになることがある。シーリング部材25が設けられることで、このようなハレーションの発生を防止している。
【0042】
そして、図2(a)及び図3(a)に示されるように、シーリング部材25に、リアウィンドウ24と接する部位の一部に孔25aを設けて、この孔25aに導光手段3を嵌合してもよい。これにより、撮像装置2は、シーリング部材25に設けられた導光手段3によって、導光手段3の出射口3bから出射される制動灯11からの光を撮像できる。このため、このような形態のドライブレコーダシステム1であっても、制動装置の作動状態を示す光が車両の後方視界と共に撮像されるので、後方視界の映像と制動装置の作動状況とが同時点のものであることをより確実に保証できるという効果が得られる。
【0043】
また、シーリング部材25に設ける導光手段3の位置は、図2(a)のものに限らず、図2(b)に示されるように、シーリング部材25と化粧カバー22との間に孔25bを設けて、この孔25bに導光手段3を嵌合してもよい。
【0044】
また、導光手段3を透明樹脂で形成しない場合であっても、撮像装置2と制動灯11との相対的な位置関係によっては、シーリング部材25に孔を設けるだけで、車両20の後方視界と孔から出射される制動灯11の光とが撮像装置2の画角θ内に収まる場合がある。このような場合においては、透明樹脂によって導光手段3を形成する必要はなく、シーリング部材25に設けられた孔を導光手段としてもよい。このような場合には、別部材として導光手段を設ける必要がないので、後方視界の映像と制動装置の作動状況とが同時点のものであることをより確実に保証できるという本発明の効果を得ることができると共に、部品点数が増えるのを抑制して製造コストを低減できる。
【0045】
また、シーリング部材を図3(b)に示されるように、シーリング部材35には孔を設けず、シーリング部材35とリアウィンドウ24との間に導光手段3を挟持してもよい。このとき、シーリング部材35とリアウィンドウ24との間のうち導光手段3が配置されていない空間は、制動灯11の光によってリアウィンドウ24にハレーションが発生しない程度の大きさに形成されていればよい。
【0046】
また、シーリング部材45を、エチレン・プロピレンゴムを用いるのではなく、制動灯11と同じ波長の光、すなわち赤色を吸収する透明樹脂で形成し、リアウィンドウ24と制動灯11との間に配置してもよい。このような場合シーリング部材45は、透明樹脂に光を吸収する材料(顔料や染料)を分散させて形成される。これにより、制動灯11の光は、シーリング部材45によって分散し、リアウィンドウ24に直接照射する制動灯の光が減少すると共に、分散された光の一部が車室内に入射する。この場合には、制動灯11が点灯すると、図3(c)に示されるように、シーリング部材45はその全体から発光しているように見える。
【0047】
シーリング部材45をこのように構成することで、リアウィンドウ24にハレーションが発生することを著しく低減できると共に、シーリング部材45が光を出射することで、制動灯11が点灯していることを検知することができる。すなわち、このように構成されたシーリング部材45は、本発明における導光手段に相当する。
【0048】
また、シーリング部材45を介して車室内に入射する光は減衰しているので、運転の妨げになるような光度とはならず安全性を確保できる。更に、シーリング部材45を制動灯11と同じ波長の光を吸収する透明樹脂で形成することで、シーリング部材45に孔を設けることなく、制動装置が作動しているか否かを検知できるので、孔あけ加工をする必要がなく、製造工数を削減できると共に、シーリング部材45の他に別途導光手段を設けるものに比べて部品点数を減少させることができる。
【0049】
また、導光手段3を化粧カバー22に嵌合するような場合、すなわち、両面テープ等により接着するのではなく互いの摩擦力により係止するような場合においては、リアウィンドウ24に接触するように設ける場合においては、走行中に伝達される振動により導光手段3が化粧カバー22から外れてしまうことを防止するために、シーリング部材のみならず導光手段3によっても当該振動を吸収できるようにするとよい。
【0050】
このとき、図2(a)、図3(a)又は図3(c)のように、導光手段3をリアウィンドウ24に接触するように設ける場合においては、当該導光手段3は、リアウィンドウ24及び当該リアウィンドウ24に設けられたリアデフォッガー(電熱線。図示省略)を傷付ける等破損させることがないような硬度に設定されることが好ましい。
【0051】
また、図4に示されるように、ドライブレコーダシステムを更に簡単に設置できるように、車両50の製造時等に、透明樹脂を用いたプリズム等の導光手段3を、車両50の車室内の化粧カバー52に設けられた孔52aに予め嵌合しておくとよい。このとき、導光手段3の出射口3bには、当該出射口3bを覆うように目隠しキャップ53が貼着されている。
【0052】
また、化粧カバー52には、撮像装置2を設置するための設置スペース52bとして水平な平面部を設けておく。これにより、撮像装置2を化粧カバー52に簡単に設置できる。
【0053】
車両50をこのように構成することで、設置スペース52bに撮像装置2を配置し、目隠しキャップ53を除去するという簡単な作業だけで、撮像装置2は、車両50の後方視界と、導光手段3から出射される光から得られる制動装置の作動状況とを同時に撮像でき、後方視界の映像と制動装置の作動状況とが同時点のものであることをより確実に保証できるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0054】
1…ドライブレコーダシステム、2…撮像装置、3…導光手段、10…車両、11…制動灯、12…化粧カバー(遮光手段)、20…車両、22…化粧カバー(遮光手段)、24…リアウィンドウ、25…シーリング部材、35…シーリング部材、45…シーリング部材、50…車両、52…化粧カバー(遮光手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制動灯を備える車両に搭載されるドライブレコーダシステムであって、
前記制動灯の光を導光する導光手段と、
前記車両の後方視界と前記導光手段に導かれた光とを画角内に収めて撮像する撮像装置とを備えることを特徴とするドライブレコーダシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のドライブレコーダシステムにおいて、前記制動灯と前記撮像装置との間に、前記導光手段が設けられた遮光手段を備えたことを特徴とするドライブレコーダシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のドライブレコーダシステムにおいて、前記遮光手段は、前記車両のリアウィンドウと前記制動灯との間に配置されたシーリング部材で構成されたことを特徴とするドライブレコーダシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のドライブレコーダシステムにおいて、前記導光手段は、透明樹脂で成形されていることを特徴とするドライブレコーダシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のドライブレコーダシステムにおいて、前記透明樹脂にめっきが施されていることを特徴とするドライブレコーダシステム。
【請求項6】
請求項2又は3に記載のドライブレコーダシステムにおいて、前記導光手段は、前記遮光手段に設けられた孔であることを特徴とするドライブレコーダシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のドライブレコーダシステムにおいて、前記導光手段は、制動灯と同じ波長の光を吸収する透明樹脂で形成され、前記車両のリアウィンドウと前記制動灯との間に配置されたシーリング部材として用いられることを特徴とするドライブレコーダシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−114335(P2013−114335A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257802(P2011−257802)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】