説明

ドライブレコーダ取り付け構造、ドライブレコーダにおける車両状態データ情報記録方法、ドライブレコーダ装置

【課題】ドライブレコーダをケースに対して取り外し、取り付けする作業を、特定の人物だけが行うことができるようにするとともに、交通事故に際しても容易に壊れないようにする。
【解決手段】収納箱4内におけるドライブレコーダ3の固定は取り付け、取り外しが可能な状態としておく。ドライブレコーダ3と鍵付きメインスイッチ8にはバッテリから電源供給可能に配線する。ドライブレコーダ3を収納箱4を介して車体5に固定すると共に、鍵7を掛けて収納箱4の外側からは容易にはドライブレコーダ3に触れ得ないようにする。収納箱4を金属製の箱としてこれに固定し、この金属製の収納箱4を車体5の所定の箇所に固定し、収納箱4の扉6に鍵7、7を掛けておく。この状態では、交通事故等が発生して衝撃力が掛かっても、ドライブレコーダ3は容易には壊れないようにできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の状態に関する車両状態データを書込可能なドライブレコーダと、このようなドライブレコーダに記憶されるべきイベントのすべてをSDカード等のメディアに記録可能にする車両状態データ情報記録方法、この方法を用いたドライブレコーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両事故が発生したときの事故原因の究明に役立てることを目的として、車両の状態に関する車両状態データを記憶するために、ドライブレコーダと称される機器、装置、システムが提供されているが、車両状態データのセキュリティを確保するために、種々の工夫がなされている。例えば車両状態データを暗号化して記憶するものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−362435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されている方法では、車両状態データを暗号化するための暗号化情報がドライブレコーダ自体に記憶されているので、例えば暗号化情報を最新のものに更新する場合や、SDカード等の記録メディアの管理を行う場合等には、車両からドライブレコーダを取外す必要が生じることがある。しかしながら、一般的にはドライブレコーダと称される機器は、衝撃を受け難くするために、強固なケースに収容した状態で車両に搭載してあることが多く、それを考慮すると、取り外し、取り付け作業も、特定の人物だけが行うことができるようにする必要があり、また取り外し、取り付けが行える構造であるとしても、交通事故に際しても容易に壊れないようにする必要があるという問題がある。
【0004】
また交通事故等のイベント発生時およびイベント終了時の前後の映像を含む画像データをすべて記録できるようにするために、記録メディアの大容量化が図られており、SDカード等近年大容量化が容易になったメディアの使用が進んでいるが、それでも記録できる容量としては限られており、ドライブレコーダとは別体に情報記憶手段を設けてそれに記憶させておく等の解決策が採られている。すなわち、SDカード等のメディアと、これとは別の記録メディアを要するようになってきており、システムとしての肥大化についての防止策が希求されるようになってきている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係るドライブレコーダ取り付け構造は、ドライブレコーダを箱体状の収納体内に収容し、該収納体を車体に固定すると共に、ドライブレコーダを前記収納体に対して出し、入れするための扉を鍵付きのものとし、収納したドライブレコーダのオン、オフを前記収納体の外側に設けた鍵付きスイッチで行うようにしてなることを特徴とする。
【0006】
請求項2に係るドライブレコーダ装置は、請求項1に記載のドライブレコーダ取り付け構造を用いたことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係るドライブレコーダにおける車両状態データ情報記録方法は、前記ドライブレコーダがカード状のメディアへ録画情報の記録を行うものであり、録画データを所定時間単位でバッファーへ取り込み、該バッファーへ取り込んだ録画データの前記カード状のメディアへの記録も前記所定時間単位で行うことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係るドライブレコーダ装置は、請求項3に記載のドライブレコーダにおける車両状態データ情報記録方法を用いたことを特徴とする。
【0009】
請求項5に係るドライブレコーダ装置は、請求項4のドライブレコーダ装置において、データの記録制御、イベントの発生検出、イベントの終了検出等を制御する制御装置を含み、前記バッッファーがFIFO(FIRST IN FIRST OUT、あるいは先入れ先出し)で動作するものであり、
イベント発生がない場合、一定時間分の録画データを連続的に前記バッファーに取り込み、一定量以上のデータを保存せず、
当該時間中にイベントが発生した時は、イベント開始信号を前記制御装置へ送り、
該制御装置はイベント開始信号以後所定定時間経過後に前記保存されていたバッファーの全データを前記カード状のメディアへ書き込むように指示し、以後イベント終了までデータを所定時間単位で連続的に前記カード状のメディアに書き込ませ、イベント終了信号を検出した場合は、イベント終了信号を検出した時間を含む所定時間内の録画データをすべて前記カード状のメディアに取り込んだ後に取り込みを終了することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、鍵の管理を徹底することで、ドライブレコーダのセキュリティ管理が可能となる。また、記録に関わる機器、システムをすべて箱体状の収納体内に入れることで、事故によるドライブレコーダ破損を防止でき、ドライブレコーダの録画情報を保護することができる。さらに、鍵付のスイッチを設けたことで、長期間使用しない場合の暗電流によるバッテリ消耗をなくすことができる。
【0011】
また本発明によれば、イベント発生時およびイベント終了時の前後の映像を含む画像データを取り込むことができるので、イベントに絡む事件の記録を漏れなく記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
図1に本発明に係るドライブレコーダ取り付け構造の一実施例を用いたドライブレコーダ装置を示すブロック図である。本実施例の目的は、ドライブレコーダの操作や、情報の記録に用いる例えばSDカードの管理を特定の人物だけが行うことができるようにするとともに、交通事故等のイベント発生に際しても容易に壊れないようにしたものである。
【0014】
図中1はモニタ、2はカメラ、3はドライブレコーダ(ハードウェアとして言えばドライブレコーダ本体である。以下、必要に応じてドライブレコーダ本体3と言う。)、4はドライブレコーダの収納箱、5は車体のドライブレコーダ取り付け部、6は収納箱の扉、7は扉の鍵、8は鍵付きメインスイッチである。詳細な図示は省略するが、車体5に対して収納箱4はボルト等9、9で固定してある。また収納箱4内におけるドライブレコーダ3の固定は種々公知の手段を用いればよいが、もちろん取り付け、取り外しが可能な、いわゆる着脱可能なタイプの装着状態としておくものとする。またドライブレコーダ3と鍵付きメインスイッチ8には図示せぬバッテリから電源供給可能に配線しておく。
【0015】
そして具体的には、ドライブレコーダ3を収納箱4を介して車体5に固定すると共に、鍵7を掛けて収納箱4の外側からは容易にはドライブレコーダ3に触れ得ないようにする。例えば、収納箱4を金属製の箱としてこれに固定し、この金属製の収納箱4を車体5の所定の箇所に固定し、収納箱4の扉6に鍵7、7を掛けておく。この状態では、交通事故等が発生して衝撃力が掛かっても、ドライブレコーダ3は容易には壊れないようにできる。
【0016】
そして、ドライブレコーダ3のオン、オフは収納箱4の外側に設けた鍵付きのスイッチで行う。すなわち、このような構成では、鍵7の管理を徹底することで、ドライブレコーダ3のセキュリティ管理が可能となる。また、ドライブレコーダ装置としての記録系(図示の例ではドライブレコーダ本体3である)がすべて収納箱4に入っていることで、事故による破損を防止でき、録画情報を保護できる。さらに、鍵付メインスイッチ8を設けたことで、長期間使用しない場合は鍵付メインスイッチ8でドライブレコーダ本体3への電源供給を遮断しておけば、暗電流によるバッテリ消耗をなくすことができる。
【実施例2】
【0017】
図2は、先の実施例のようなドライブレコーダ装置における録画データの記録にSDカードを用いたシステムの例を示すブロック図である。このシステムは、録画情報の記録を、イベント発生時およびイベント終了時の前後の映像を含む画像データをすべて記録できるようにするものである。
【0018】
図中10は制御装置、11はSRAM等を用いたバッファー、12はSDカード、13はイベントの発生、終了を検出するセンサ、14はデータ転送先選択手段、15は予備バッファー(同じくSRAM等を用い得る)である。
【0019】
この構成では、例えば録画データを所定時間(5分から1分)単位でバッファー11へ取り込み、録画データのSDカード12への記録についても同じ所定時間単位で行うものである。バッファー11には、FIFO、すなわちFirst In First Outあるいは、先入れ先出し、で動作するものを用いる。
【0020】
そして、例えば、イベント発生がない場合、一定時間(t0)分の録画データが連続的にバッファー11に取り込まれる、バッッファー11はFIFOで動作し、一定量以上のデータを保存しない。そしてこの時間中に交通事故等のイベントが発生したことをセンサ13が検知し、検知信号が制御装置10において認識された時(イベント開始信号が制御装置へ行く)は、制御装置10はイベント開始信号以後一定時間(例えば一定時間t0の半分の時間t0/2)経過後に、保存されていたバッファー11の全録画データをSDカード12へ書き込むように指示する。この書き込みは、センサ13がイベント終了を検知し、検知信号が制御装置10において認識されるまで、すなわちイベント終了まで行われ、録画データは所定時間単位で連続的にSDカード12へ書き込まれる。なお、イベント終了信号が検出された場合は、イベント終了信号を検出した時間を含む所定時間内の録画データをすべてSDカード12に取り込んだ後に録画データの取り込みを終了する。
【0021】
例えば、図3に示すように、(A):イベントなしの状態でFIFO動作を行っている状態、(B):t=0でイベントが発生した状態、(C):イベント発生時点から一定時間(t)分の半分の時間t/2が経過してSDカード12へのデータの書き込みが開始される時点とすると、(D)に示すように、数個の一定時間(t)分の録画データと、イベント終了信号が検出された時点から終了信号を検出した時間を含む所定時間内の録画データがすべてSDカード12への取り込み範囲となることがわかる。
【0022】
そのため、イベント発生時およびイベント終了時の前後の映像を含む画像データを取り込め、それによって、イベントに絡む事件の記録を漏れなく記録できるのである。
【0023】
なお、バッファー11のデータをSDカード12に書き込んでいる時間が長く、その最中に録画データが送られてきた場合には、制御装置10が録画データの転送先を一時的に予備バッファーに変更し(データ転送先選択手段14を用いて転送左記を変更する)、当該時間(数秒から20秒程度)に発生した録画データを退避させる。もちろん、予備バッファー15は、バッファー11の一部のメモリー領域を使ってもよい。退避させたデータは、SDカード12への書き込み終了とともにバッファー11(又は指定されたメモリー領域)へ転送される。このようにすることで、SDカード12への書き込み時間中のデータ抜けを防止できる。
【0024】
またなお、上述の実施例ではバッファーとしてFIFOで動作するSRAM、データの記録メディアとしてSDカードを例示したが、本発明はこれに限定されず、種々公知の記録手段、メディアを採用でき、それらの動作もFIFOには限定されず、種々適宜の動作方式を選択して採用すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るドライブレコーダ取り付け構造の一実施例を用いたドライブレコーダ装置を示すブロック図
【図2】実施例1のようなドライブレコーダ装置における録画データの記録にSDカードを用いたシステムの例を示すブロック図
【図3】図2の記録方法を説明するための概念図
【符号の説明】
【0026】
1はモニタ
2はカメラ
3はドライブレコーダ(ドライブレコーダ本体)
4はドライブレコーダの収納箱
5は車体のドライブレコーダ取り付け部
6は収納箱の扉
7は扉の鍵
8は鍵付きメインスイッチ
ボルト等9
10は制御装置
11はSRAM等を用いたバッファー
12はSDカード
13はイベントの発生、終了を検出するセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライブレコーダを箱体状の収納体内に収容し、該収納体を車体に固定すると共に、ドライブレコーダを前記収納体に対して出し、入れするための扉を鍵付きのものとし、収納したドライブレコーダのオン、オフを前記収納体の外側に設けた鍵付きスイッチで行うようにしてなることを特徴とするドライブレコーダ取り付け構造。
【請求項2】
請求項1に記載のドライブレコーダ取り付け構造を用いたことを特徴とするドライブレコーダ装置。
【請求項3】
ドライブレコーダにおける車両状態データ情報記録方法であって、前記ドライブレコーダがカード状のメディアへ録画情報の記録を行うものであり、録画データを所定時間単位でバッファーへ取り込み、該バッファーへ取り込んだ録画データの前記カード状のメディアへの記録も前記所定時間単位で行うことを特徴とする。
【請求項4】
請求項3に記載のドライブレコーダにおける車両状態データ情報記録方法を用いたことを特徴とするドライブレコーダ装置。
【請求項5】
請求項4のドライブレコーダ装置において、データの記録制御、イベントの発生検出、イベントの終了検出等を制御する制御装置を含み、前記バッッファーがFIFO(FIRST IN FIRST OUT、あるいは先入れ先出し)で動作するものであり、
イベント発生がない場合、一定時間分の録画データを連続的に前記バッファーに取り込み、一定量以上のデータを保存せず、
当該時間中にイベントが発生した時は、イベント開始信号を前記制御装置へ送り、
該制御装置はイベント開始信号以後所定定時間経過後に前記保存されていたバッファーの全データを前記カード状のメディアへ書き込むように指示し、以後イベント終了までデータを所定時間単位で連続的に前記カード状のメディアに書き込ませ、イベント終了信号を検出した場合は、イベント終了信号を検出した時間を含む所定時間内の録画データをすべて前記カード状のメディアに取り込んだ後に取り込みを終了する、
ことを特徴とするドライブレコーダ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−265787(P2009−265787A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112121(P2008−112121)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(599173826)株式会社ワーテックス (5)
【Fターム(参考)】