説明

ドライブレコーダ

【課題】車両の速度とその速度から算出した加速度に基づいて、ドライブレコーダの記録開始のトリガを、安価に精度よく検出する。
【解決手段】車速計測装置が計測した速度データを取得し、速度データを微分処理して加速度データを算出する微分処理部と、速度データと対応する加速度データを有する座標データと、車両が正常な走行または停止をしているときの車両性能に基づいて求めた加速度の上限データと対応する速度データを有する第1記録開始トリガ座標データを複数有する第1条件判断用テーブルとを比較し、比較結果を出力する第1記録開始トリガ条件判断部と、比較結果が前記第1条件判断用テーブルの範囲外である場合に、連続撮影されている映像データから、第1条件判断用テーブルの範囲外であることを検出した時点の前後の前記映像データを予め設定した時間分記録する記録部と、を備えることを特徴とするドライブレコーダである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブレコーダの記録開始のトリガを検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドライブレコーダの記録開始を検出する手段として、車両制御用加速度センサなどを用いることが一般的になっている。例えば、車両が障害物に衝突した際に発生する加速度の変化を車両制御用加速度センサにより検出する。その検出結果をドライブレコーダの記録開始トリガとし、記録開始トリガの前後の車載カメラにより連続撮影した動画像画データまたは静止画像データをメモリに記録している。
【0003】
図9のA、図9のBは従来のドライブレコーダの構成を示すブロック図である。図9のAのドライブレコーダの画像処理部91(CPU)は、車載カメラ92、Gセンサ93、記録部94と接続されている。図9のBのドライブレコーダの画像処理部96は、車載カメラ92、A/D変換部95、記録部94と接続されている。
【0004】
図9のAでは、Gセンサ93が計測した加速度情報(アナログ情報)をディジタル処理するためのA/D変換部95を画像処理部91に備えている。また、図9のBではA/D変換部95を画像処理部91の外部に備えている。
【0005】
しかしながら、図9のAの構成では、A/D変換部95を内蔵したアナログ/ディジタル混合プロセスにより製造した(高価な)画像処理部91(CPU)が必要になる。また、図9Bの構成では外部に別途A/D変換部95用のデバイスが必要になる。
【0006】
また、Gセンサ93からのデータだけにより各種衝突を確実に検出するためには、衝突を検出するために予め設定する閾値を、低めに設定する必要がある。ところが閾値を低めに設定すると誤検出が多くなるという問題が発生する。
【0007】
特許文献1〜3のような提案がされている。
特許文献1によれば、最初に車速に対応したパルス時間の最新のnパルス分の総和TGSPSNと、nパルス前のnパルス分の総和TGSPSPを求める。次に、その差DTGSPを求め、加速度算出係数記憶手段に予め記憶させておいたマップから、TGSPSNに対応する加速度算出係数KGPSPを検索して取り込み、DTGSPとKGPSPを乗算して車両加速度を算出する。このように車両加速度を算出することにより、応答よく、かつ、精度よく車両加速度を求めることのできる車両加速度検出装置が提案されている。ここで、nを車速センサがロータの1回転当たりに発生するパルス数の整数倍、または、タイヤの一回転当たりに発生するパルス数の整数倍にしている。
【0008】
特許文献2によれば、車両の衝突を加速度に基づく衝撃力と速度変化量から判定する。車両に加わる加速度を現在値まで短区間積分する一方、現在値まで長区間積分する。かつ、加速度の低周波成分を現在値まで短区間積分する一方、振幅制限して時間微分する。かつ、加速度から抽出される車両の衝突時に顕著に現れる特定の帯域成分の絶対値をとって衝撃力を演算する。該衝撃力と短区間積分出力がともに所定のしきい値を越えるか、又は加速度の低周波成分の短区間積分出力及び振幅制限微分出力とがともに所定のしきい値を越えるか、又は長区間積分出力が所定のしきい値を越えるかを判別して衝突を判定する。車両が衝突したときに乗員に危害が及ぶ塑性衝突について、短期と長期の速度変化量に衝撃力を合わせて総合的に衝突判定し、高速かつ高精度の衝突判定を行う。
【0009】
特許文献3によれば、車両の走行距離に対応して発生する距離パルス信号から車両の速度を演算する車両速度演算方法が提案されている。現時点に検知された車両の速度をV(n)、現時点より所定の時間前に検知された車両の速度をV(n−1)、車両の運転制御状態に対応して設定された重み値をAとしたとき、速度の検知誤差を低減するように補正された補正速度Vs(n)を演算する。Vs(n)の演算は{Vs(n−1)×A+V(n)}/(A+1)(km/h)により算出する。その結果、距離パルス信号の1パルス当たりの距離値が大きい場合にも速度及び加減速度の検知誤差を小さくする提案がされている。
【特許文献1】特開平08−015312号公報
【特許文献2】特開平09−150709号公報
【特許文献2】特開2006−271037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
車両の速度とその速度から算出した加速度に基づいて、ドライブレコーダの記録開始のトリガを、安価に精度よく検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
態様のひとつである車両の速度を計測する車速計測装置と接続されるドライブレコーダは、微分処理部、第1記録開始トリガ条件判断部、記録部を備えている。
微分処理部は、前記車速計測装置が計測した速度データを取得し、前記速度データを微分処理して加速度データを算出する。第1記録開始トリガ条件判断部は、前記速度データと対応する前記加速度データを有する座標データと、前記車両が正常な走行または停止をしているときの車両性能に基づいて求めた加速度の上限データと対応する速度データを有する第1記録開始トリガ座標データを複数有する第1条件判断用テーブルとを比較し、前記比較結果を出力する。記録部は、前記比較結果が前記第1条件判断用テーブルの範囲外である場合に、連続撮影されている前記映像データから、前記第1条件判断用テーブルの範囲外であることを検出した時点の前後の前記映像データを予め設定した時間分記録する。
【0012】
上記ドライブレコーダは、上記微分処理部、第1記録開始トリガ条件判断部、記録部を備えるにより、車両の速度とその速度から算出した加速度に基づいて、ドライブレコーダの記録開始のトリガを、安価に精度よく検出することができる。
【0013】
また、第2記録開始トリガ条件判断部は、前記速度データと対応する前記加速度データを有する座標データと、前記車両が正常な走行または停止をしているときの車両性能に基づいて求めた前記第1記録開始トリガ条件判断部と別の加速度の上限データと対応する速度データを有する第2記録開始トリガ座標データを複数有する第2条件判断用テーブルとを比較し、前記比較結果を出力する。
【0014】
また、判断部は、前記第1記録開始トリガ条件判断部と前記第2記録開始トリガ条件判断部の前記比較結果が前記第1条件判断用テーブルの範囲外であるか、または前記第2条件判断用テーブルの範囲外である記録開始トリガ領域を検出した場合に、連続撮影されている前記映像データから、前記記録開始トリガ領域であることを検出した時点の前後の前記映像データを予め設定した時間分記録する指示を前記記録部に通知する。
【0015】
また、前記第1条件判断用テーブルは、ギヤ比ごとに前記第1記録開始トリガ座標データを有している。また、前記第2条件判断用テーブルは、前進時の加速度および減速度と、後退時の加速度および減速度を、速度ごとに複数段階に領域を設定し、低速時は小さな加速度でも前記記録開始トリガ領域とし、高速時は大きな加速度が発生したときに前記記録開始トリガ領域とし、加速度の上限データと対応する速度データを有する第2記録開始トリガ座標データを複数有する。
【発明の効果】
【0016】
車両の速度とその速度から算出した加速度に基づいて、ドライブレコーダの記録開始のトリガを、安価に精度よく検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細を説明する。
(実施例1)
図1は、ドライブレコーダの構成とドライブレコーダと車速計測装置との接続を示す図である。図1のドライブレコーダの画像処理部1(CPU)は、車載カメラ2、車速計測装置3、記録部4と接続されている。また、画像処理部1には微分処理部5を備えている。
【0018】
画像処理部1は、車両に設置された車載カメラ2の撮影した動画像データまたは静止画像データなどの映像データを取得して記録部4に記録する。通常、映像データは連続して記録部4に記録されるが、一定時間を越えると連続記録した映像データの古いデータから順に上書するため、一定時間前の映像データは失われる。そのため、車両が事故などにより障害物に衝突や接触をした場合に、状況証拠となる映像データを記録するための記録領域を記録部4に用意し、その領域に状況証拠となる映像データを上書きされない記憶領域に記録する。
【0019】
車載カメラ2は、車両に設けられ、映像データを画像処理部1に転送する。また、ドライブレコーダに設けられた制御部により、車載カメラ2の撮影時の画像品質、撮影開始/終了などの設定や制御を行うことができる。
【0020】
車速計測装置3は、車両の速度を検出して速度情報(ディジタル信号:速度データなどを有する)をドライブレコーダに転送する。例えば、車速パルスを計測し、計測結果に基づいて生成した速度情報を画像処理部1に転送する。また、車内LAN(Local Area Network)を搭載している車両であれば車内LAN経由で速度情報を画像処理部1に転送する。
【0021】
記録部4は、映像データを一定時間記録する領域と、障害物に衝突や接触をした場合に映像データを記録する領域を備えている。
画像処理部1に備えられた微分処理部5は、速度情報に含まれる時間と速度に基づいて微分処理を行い、加速度を算出する。例えば、微分処理部5は図2のAに示す速度に基づいて、図2のBに示す加速度を算出する。
【0022】
図2のAに車両の速度と時間の関係を示す図である。図2のBは、図2のAに示した速度を微分して算出した加速度と時間との関係を示す図である。図2のBに示す破線範囲21、22、23は速度が急激に変化したため加速度も急激な変化をしたことを示している。破線範囲21は速度上昇方向の加速の変化を示している。破線範囲22は急減速しているが高速度領域の変化を示している。破線範囲23は、急減速であり低速度領域の変化を示している。
【0023】
本発明では、上記破線範囲21、22、23に示したような速度と加速度の変化から、車両が正常に走行または停止している場合と、車両が事故などにより障害物に衝突や接触をした場合を判断する。例えば、破線範囲21、22では正常走行または停止している状態、破線範囲23では障害物に衝突や接触をした状態と判断する。そして、この判断結果が正常でない場合に記録部4に映像データを記録する。
【0024】
図3は、画像処理CPU1に設けられた記録開始トリガ検出部31の構成を示す図である。記録開始トリガ検出部31は、微分処理部5、領域算出部6、第1記録開始トリガ条件判断部7、第1条件判断用テーブル8aを備えている。
【0025】
微分処理部5は、図1に示した微分処理部5と同じである。
領域算出部6は、速度情報と微分処理部5で算出した加速度を含む加速度情報(加速度データを有する)を取得して図2のBに示したある時間における速度と加速度から決まる座標を算出する。
【0026】
第1記録開始トリガ条件判断部7は、第1条件判断用テーブル8aに予め設定された記録開始条件と座標を比較して、比較した結果が記録開始条件の範囲外であれば第1記録開始トリガを出力する。
【0027】
第1条件判断用テーブル8aについて説明する。
図4のAは、第1条件判断用テーブル8aに予め記録する記録開始条件を示すグラフを示している。映像データの記録開始条件とは、図4のAに示す映像データの記録を開始する領域と映像データの記録を開始しない領域とを判断する条件である。例えば、映像データの記録を開始しない領域は、車両が正常に走行(バックでの走行を含む)しているまたは停止している状態を示す領域である。映像データの記録を開始する領域は、車両が正常に走行しているときに障害物に衝突や接触した状態、または停止しているときに他の車両などが衝突や接触をしたときの状態を示す領域である。
【0028】
映像データの記録を開始しない領域の加速時の加速度の上限は、車重、エンジン性能、などから求め、減速時の加速度の上限は、例えばブレーキ性能などから求める。
なお、加速度(+)側は加速時の加速度を示している。また、加速度(−)側は、減速時の加速度を示している。
【0029】
図4のBに示すテーブルは、図4のAに示した映像データの記録を開始しない領域の速度と加速度の座標をテーブルにした図である。図4のBに示すテーブルでは、便宜上図4のAに示す映像データの記録を開始しない領域内の座標(V×,A×)(第1記録開始トリガ座標データ)を、「速度」として加速時「Vm1」「Vm2」「Vm3」・・・「Vmm」、減速時「−Vm1」「−Vm2」「−Vm3」・・・「−Vmm」、「加速度」として加速時「An1」「An2」「An3」・・・「Ann」、減速時「−An1」「−An2」「−An3」・・・「−Ann」のように示している。実際には速度と加速度がデータとしてテーブルに記録されている。また、「速度」と「加速度」を「加速/減速」により分類している。
【0030】
実施例1の動作について図3を用いて説明する。
先ず、微分処理部5は、車速計測装置3から入力される速度情報を取得して加速度情報を生成する。
【0031】
次に、領域算出部6は、速度情報と加速度情報から座標を算出して、座標情報を第1記録開始トリガ条件判断部7に出力する。
第1記録開始トリガ条件判断部7は、座標情報と第1条件判断用テーブル8aに記録されている映像データの記録を開始しない領域の座標(第1記録開始トリガ座標データ)を比較して正常に走行または停止している状態であるかを判定する。そして、判定結果が異常であれば、つまり映像データの記録を開始する領域であれば、車両が正常に走行しているときに障害物に衝突や接触した状態、または停止しているときに他の車両などが衝突や接触をしたと判定する。
【0032】
判定結果は、記録部4に転送され、異常を示す判定結果であれば異常であると判定された直後の車載カメラ2の撮影した映像を、上書きされない記録領域に記録する。
上記に示したドライブレコーダでは、Gセンサが不要となる。また、車速パルス等ディジタル信号を入力するためA/D変換が不要となり、安価な汎用CPUを使用することができる。また、記録開始トリガの生成をする際に、加速度情報だけでなく速度情報と、領域判定を加えることで誤動作を軽減することができる。
(実施例2)
図5は、画像処理CPU1に設けられた記録開始トリガ検出部51の構成を示す図である。記録開始トリガ検出部51は、微分処理部5、領域算出部6、第1記録開始トリガ条件判断部7、第1条件判断用テーブル8b、第2記録開始トリガ条件判断部9、第2条件判断用テーブル10、判断部11を備えている。実施例2では、実施例1にさらに第2記録開始トリガ条件判断部9、第2条件判断用テーブル10、判断部11(OR:論理和)を設けている。
【0033】
実施例2における第1条件判断用テーブル8bには、図6に示すようにさらに「加速/減速」「速度」「加速度」に加え「ギヤ比」ごとの座標が設定されている。
図6のAは、実施例2において第1条件判断用テーブル8bに予め記録する記録開始条件を示すグラフである。例えば、「1速」「2速」「3速」「4速」「バックギア」ごとに映像データの記録を開始する領域と映像データの記録を開始しない領域を設けている。映像データの記録を開始しない領域の加速時の加速度の上限は、車重、エンジン性能、ギヤ比などから求め、減速時の加速度の上限は、例えばブレーキ性能などから求める。
【0034】
なお、加速度(+)側は加速時の加速度を示している。また、加速度(−)側は、減速時の加速度を示している。
図6のBに示すテーブルは、図6のAに示した映像データの記録を開始しない領域の速度と加速度の座標をテーブルにした図である。図6のBに示すテーブルでは、便宜上図6のAに示す映像データの記録を開始しない領域内の座標(V×,A×)(第1記録開始トリガ座標データ)を、「ギヤ比」ごとに対応する「速度」として加速時「Vp1」・・・「Vpp」、減速時「−Vp1」・・・「−Vpp」、「加速度」として加速時「Aq1」・・・「Aqq」、減速時「−Aq1」・・・「−Aqq」のように示している。実際には速度と加速度がデータとしてテーブルに記録されている。
【0035】
第2記録開始トリガ条件判断部9は、第1条件判断用テーブル8bと異なる第2条件判断用テーブル10に予め設定された記録開始条件と領域算出部6で生成された座標を比較して、比較した結果が記録開始条件の範囲外であれば第2記録開始トリガを出力する。
【0036】
図7のAは低速走行時は小さな加速度が生じでも記録し、高速走行時は大きな加速度が生じたときのみ記録するような、単純に速度毎に多段に領域を定義し、その領域によって第2記録開始トリガを出力するか否かを選択する。
【0037】
また、図7のAは実施例2において第2条件判断用テーブル10に予め記録する記録開始条件を示すグラフである。「領域」ごとに映像データの記録を開始する領域と映像データの記録を開始しない領域を設けている。例えば、「前進、加速時の記録トリガ領域C」「後退、加速時の記録トリガ領域D」「前進、減速時の記録トリガ領域E」「後退、減速時の記録トリガ領域F」を設ける。映像データの記録を開始しない領域の加速時の加速度の上限は、車重、エンジン性能、ギヤ比などから求め、減速時の加速度の上限は、例えばブレーキ性能などから求める。
【0038】
なお、加速度(+)側は加速時の加速度を示している。また、加速度(−)側は、減速時の加速度を示している。
図7のBに示すテーブルは、図7のAに示した映像データの記録を開始しない領域の速度と加速度の座標をテーブルにした図である。図7のBに示すテーブルでは、便宜上図7のAに示す映像データの記録を開始しない領域内の座標(V×,A×)(第2記録開始トリガ座標データ)を、「前進、加速時の記録トリガ領域C」「後退、加速時の記録トリガ領域D」「前進、減速時の記録トリガ領域E」「後退、減速時の記録トリガ領域F」ごとに対応する「速度」として加速時「Vr1」・・・「Vrr」、減速時「−Vr1」・・・「−Vrr」、「加速度」として加速時「As1」・・・「Ass」、減速時「−As1」・・・「−Ass」のように示している。実際には速度と加速度がデータとしてテーブルに記録されている。
【0039】
判断部11は、第1記録開始トリガの第2記録開始トリガの論理和を記録部4に出力する。図8は、第1条件判断用テーブル8bと第2条件判断用テーブル10の範囲を合成した図である。
【0040】
実施例2の動作について説明する。
先ず、微分処理部5は、車速計測装置3から入力される速度情報を取得して加速度情報を生成する。
【0041】
次に、領域算出部6は、速度情報と加速度情報から座標を算出して、座標情報を第1記録開始トリガ条件判断部7および第2記録開始トリガ条件判断部9に出力する。
第1記録開始トリガ条件判断部7は、座標情報と第1条件判断用テーブル8bに記録されている映像データの記録を開始しない領域の座標(第1記録開始トリガ座標データ)を比較して正常に走行または停止している状態であるかを判定する。そして、判定結果が異常であれば、つまり映像データの記録を開始する領域であれば、車両が正常に走行しているときに障害物に衝突や接触した状態、または停止しているときに他の車両などが衝突や接触をしたと判定する。
【0042】
第2記録開始トリガ条件判断部9は、座標情報と第2条件判断用テーブル10に記録されている映像データの記録を開始しない領域の座標(第2記録開始トリガ座標データ)を比較して正常に走行または停止している状態であるかを判定する。そして、判定結果が異常であれば、つまり映像データの記録を開始する領域であれば、車両が正常に走行しているときに障害物に衝突や接触した状態、または停止しているときに他の車両などが衝突や接触をしたと判定する。そして、第1記録開始トリガ条件判断部7と第2記録開始トリガ条件判断部9の判定結果は判断部11に転送される。
【0043】
判断部11により記録部4に転送された出力が、異常を示す判定結果であれば異常であると判定された直前直後の車載カメラ2の撮影した映像を、上書きされない記録領域に記録する。
【0044】
上記のうように領域を分けることで、記録トリガの誤動作を軽減することもできる。
また、Gセンサが不要となるとともに、A/D変換が不要となるため、ディジタル信号を扱うため安価な汎用CPUを使用することができる。また、記録開始トリガの生成をする際に、加速度情報だけでなく速度情報と、領域判定を加えることで誤動作を軽減することができる。
【0045】
なお、実施例1では第1条件判断用テーブル8aに図4のAに基づいて第1記録開始トリガ座標データを生成していたが、実施例2で用いた第1記録開始トリガ座標データ(図6)または第2記録開始トリガ座標データ(図8)を実施例1の第1条件判断用テーブル8aに適用してもよい。
【0046】
また、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】ドライブレコーダとドライブレコーダに接続される車速計測装置の構成を示す図である。
【図2】図2のAは車両の速度と時間の関係を示す図である。図2のBは図2のAに示した速度を微分して算出した加速度と時間との関係を示す図である。
【図3】画像処理部に設けられた記録開始トリガ検出部31の構成を示す図である。
【図4】図4のAは第1条件判断用テーブル8aに予め記録する記録開始条件を示すグラフを示す図である。図4のBは図4のAに示した映像データの記録を開始しない領域の速度と加速度の座標をテーブルにした図である。
【図5】画像処理部に設けられた記録開始トリガ検出部51の構成を示す図である。
【図6】図6のAは実施例2に示した第1条件判断用テーブル8bに予め記録する記録開始条件を示すグラフである。図6のBは図6Aに示した映像データの記録を開始しない領域の速度と加速度の座標をテーブルにした図である。
【図7】図7のAは実施例2において第2条件判断用テーブル10に予め記録する記録開始条件を示すグラフである。図7のBは図7のAに示した映像データの記録を開始しない領域の速度と加速度の座標をテーブルにした図である。
【図8】第1条件判断用テーブル8bと第2条件判断用テーブル10の範囲を合成した図である。
【図9】図9のA、図9のBは従来のドライブレコーダの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 画像処理部、
2 車載カメラ、
3 車速計測装置、
4 記録部、
5 微分処理部、
6 領域算出部、
7 第1記録開始トリガ条件判断部、
8a、8b 第1条件判断用テーブル、
9 第2記録開始トリガ条件判断部、
10 第2条件判断用テーブル、
11 判断部、
31、51 記録開始トリガ検出部、
91 画像処理部、
92 車載カメラ、
93 Gセンサ、
94 記録部、
95 A/D変換部、
96 画像処理部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の速度を計測する車速計測装置と接続されるドライブレコーダであって、
前記車速計測装置が計測した速度データを取得し、前記速度データを微分処理して加速度データを算出する微分処理部と、
前記速度データと対応する前記加速度データを有する座標データと、前記車両が正常な走行または停止をしているときの車両性能に基づいて求めた加速度の上限データと対応する速度データを有する第1記録開始トリガ座標データを複数有する第1条件判断用テーブルとを比較し、前記比較結果を出力する第1記録開始トリガ条件判断部と、
前記比較結果が前記第1条件判断用テーブルの範囲外である場合に、連続撮影されている映像データから、前記第1条件判断用テーブルの範囲外であることを検出した時点の前後の前記映像データを予め設定した時間分記録する記録部と、
を備えることを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項2】
前記速度データと対応する前記加速度データを有する座標データと、前記車両が正常な走行または停止をしているときの車両性能に基づいて求めた前記第1記録開始トリガ条件判断部と別の加速度の上限データと対応する速度データを有する第2記録開始トリガ座標データを複数有する第2条件判断用テーブルとを比較し、前記比較結果を出力する第2記録開始トリガ条件判断部と、
前記第1記録開始トリガ条件判断部と前記第2記録開始トリガ条件判断部の前記比較結果が前記第1条件判断用テーブルの範囲外であるか、または前記第2条件判断用テーブルの範囲外である記録開始トリガ領域を検出した場合に、連続撮影されている前記映像データから、前記記録開始トリガ領域であることを検出した時点の前後の前記映像データを予め設定した時間分記録する指示を前記記録部に通知する判断部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のドライブレコーダ。
【請求項3】
前記第1条件判断用テーブルは、ギヤ比ごとに前記第1記録開始トリガ座標データを有し、
前記第2条件判断用テーブルは、前進時の加速度および減速度と、後退時の加速度および減速度を、速度ごとに複数段階に領域を設定し、低速時は小さな加速度でも前記記録開始トリガ領域とし、高速時は大きな加速度が発生したときに前記記録開始トリガ領域とし、加速度の上限データと対応する速度データを有する第2記録開始トリガ座標データを複数有する、ことを特徴とする請求項2に記載のドライブレコーダ。
【請求項4】
前記速度データは車速パルスに基づいて生成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかひとつに記載のドライブレコーダ。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図9】
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【図1】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−266054(P2009−266054A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116628(P2008−116628)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】