ドライブレコーダ
【課題】ドライブレコーダの感度を具体的なイベントとの関係で変更できるドライブレコーダを提供すること。
【解決手段】
ドライブレコーダ1に内蔵された加速度センサによって加速度変化を速度に応じて取得する。そして内部に記憶されたイベント発生判定パターンと取得した加速度変化のパターンの相関関数を求め、その相関度とチェックする。対応するイベント発生判定パターンがあると、その加速度変化のパターンが当該イベント発生判定パターンに応じた閾値を越えているかどうかを判定し、超えている場合にその加速度変化のパターン対応した各種のイベントの発生に関する情報、例えば撮影画像や速度情報、位置情報等を保存させるようにする。そして、保存するかどうかの閾値の感度は変更可能とし、ビューア画面からユーザーがイベントとの関係で任意に設定することができるようにした。
【解決手段】
ドライブレコーダ1に内蔵された加速度センサによって加速度変化を速度に応じて取得する。そして内部に記憶されたイベント発生判定パターンと取得した加速度変化のパターンの相関関数を求め、その相関度とチェックする。対応するイベント発生判定パターンがあると、その加速度変化のパターンが当該イベント発生判定パターンに応じた閾値を越えているかどうかを判定し、超えている場合にその加速度変化のパターン対応した各種のイベントの発生に関する情報、例えば撮影画像や速度情報、位置情報等を保存させるようにする。そして、保存するかどうかの閾値の感度は変更可能とし、ビューア画面からユーザーがイベントとの関係で任意に設定することができるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の挙動の変化を、例えば撮影画像として経時的に記録する車両に搭載されるドライブレコーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドライブレコーダは主として交通事故が発生した際にその時間の前後の車両の挙動の変化を例えば撮影画像として記録しておくために車両内の前方位置に搭載される装置である。交通事故が発生すると衝突や急ブレーキによる急減速、あるいは危険回避のための急旋回が行われる。本発明ではそのような衝突、急ブレーキ、あるいは急カーブや大きな段差の乗り越え、急発進のような車両の挙動に変化を与える外部要因をイベントとする。一般にドライブレコーダでは車両の挙動に伴うセンサ情報として加速度を検出し、一定の値以上の加速度を検出した場合にそれをトリガー(イベント発生)として検出した時間の前後の撮影画像を記録するような構成となっている。一般的なドライブレコーダの構造的構成を説明する先行技術として特許文献1を示す。また、ドライブレコーダの電気的構成を説明する先行文献として特許文献2を示す。
通常はドライブレコーダでは撮影映像をメモリに逐次取りこんでおき、加速度センサの所定の加速度(閾値)を超えるような検出値を得た場合に初めてその検出以後の撮影映像を不揮発性メモリ(例えば、SDカード等)に格納し、更に検出値を得た時間帯よりも前の撮影映像についてはメモリから読み出して不揮発性メモリに格納することで事故前後に渡る撮影画像を保存するようにしている。
しかし、閾値をあまり低く設定すると不揮発性メモリに格納すべき映像数が非常に多数になってしまい、ごく短時間でメモリの容量いっぱいになってしまう。また、あまりに映像数が多くて、検索する際に実際に必要な映像をピックアップしにくくなってしまうという課題が生ずる。といって、閾値を上げすぎると本来撮影すべきであった映像を撮影しなくなってしまう可能性もあり、実際には閾値は低めに設定せざるを得なかった。
そのため、特許文献3のようなドライブレコーダが開発されている。特許文献3には加速度センサ(Gセンサ)の出力と出力時間との関係によって閾値を設定して画像情報等を記録する構成が開示されている(段落0083〜0084、図12及び図13等)。特許文献3では例えば、Gセンサ出力値が比較的小さく、その検知時間が比較的長い場合、逆にGセンサ出力値が比較的大きく、その検知時間が比較的短い場合に限り映像を記録するような構成とされている。前者は急ブレーキを、後者は衝突を念頭においた加速度傾向についてそれぞれ独自の閾値で判定するという思想である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−105530号公報
【特許文献2】特開2007−83964号公報
【特許文献3】特開2007−199791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、実際の車両の挙動において検出される加速度の傾向はユーザーの運転傾向や車両の種類等様々な要因によって異なっているため、そもそも特許文献3のようにある加速度傾向についてGセンサ出力値と時間の関係で一義的に閾値を設定することは必ずしも妥当とは言えない。
例えば比較的急ハンドルをしがちなユーザーでは本人には普通の運転をしているという認識であってもその際の加速度が閾値以上であるとして記録されてしまう可能性がある。また、車両の使用目的としても例えばドライブレコーダをダートトライアルやレースをする車両に搭載した場合では、一般的な閾値が設定されていてはやはり記録される映像数が多数になってしまうため問題である。逆にタクシーのような客を乗せる車両では運転を滑らかに行っているかどうかを会社側が検証したい場合もあり、むしろ加速度に対する感度を上げたい(閾値を下げる)と望む場合もある。更に、車両の違いによっても大型車の扉を閉める場合と軽車両の場合では加速度として測定される振動の大きさも異なるため、車種によっては扉を閉める動作が一種の衝突として記録されてしまう可能性もある。また、このような閾値をユーザーが調整可能としたとしても、Gセンサの出力値に対してどのくらいの値を閾値として設定すればよいかはよくわからないという問題があった。特に速度センサと加速度センサのように複数のセンサの閾値が設定可能である場合に、それぞれのセンサの閾値をどのように設定すればユーザーの望むイベントでの記録がなされるのかがよく分からないという問題があった。
そのため、加速度センサの加速度の閾値のようなセンサ情報そのものの感度ではなく、ユーザーの運転傾向や車両の種類等様々な車両の挙動に変化を与える要因に応じてドライブレコーダの感度を具体的なイベントとの関係で容易に複数のセンサの感度が設定できる手段が望まれていた。
本発明は、上記諸問題を解消するためになされたものであり、その目的は、ドライブレコーダの感度を具体的なイベントとの関係で変更できるドライブレコーダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1の発明の構成では、車両の挙動に伴うセンサ情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得されたセンサ情報が所定のイベント発生判定パターンに合致した場合に当該所定のイベントの発生に関する情報を記録手段に記録する制御を行う制御手段とを備えるドライブレコーダにおいて、前記所定のイベントに対する感度を設定する設定手段を備え、前記取得手段は、前記センサ情報を複数取得するものであり、前記制御手段は、前記取得手段によって取得された前記センサ情報のパターンが前記イベント発生判定パターンに合致するかを判定するために前記イベント発生判定パターン中の感度を前記設定手段によって設定されたイベントに対する感度に基づいて設定することをその要旨とする。
このような構成のドライブレコーダにおいては、制御手段は取得手段によって取得した車両の挙動伴うセンサ情報がイベント発生判定パターンに合致するかを判定する際にイベント発生判定パターン中の感度を設定手段によって設定されたイベントに対する感度に基づいて設定することとなる。その結果、ユーザーは車両の挙動に伴うセンサ情報に対する感度ではなく、イベントに対する感度としてイベント発生判定パターン中の感度を設定できることとなり、イベントの関係を理解しながら当該所定のイベントの発生に関する情報をドライブレコーダに記録させることができるようになる。
【0006】
ここに、「車両の挙動に伴うセンサ情報」とは、ユーザーが車両に乗ったり運転したりする際の車両の動きによって変化する測定可能な要素であって、例えば車両の位置情報、速度情報、加速度情報等をいう。
また、「イベント」とは車両の挙動に影響を与える外部要因であって、衝撃、急発進、急ブレーキ、急ハンドルが代表的なイベントとして挙げられる。衝撃をより分別して、「衝突」「段差乗り越え」「悪路」「道路継ぎ目」「ドア開閉」等をそれぞれイベントとしてもよい。「イベントの発生に関する情報」とはイベントの発生時の車両の位置情報、速度情報、加速度情報、緯度・経度情報、地図情報、車両から撮影した映像情報等が挙げられる。
取得手段としては、例えば、加速度センサ、GPS受信機、ドアセンサ、ブレーキ、ウィンカー、CAN(車載ネットワーク:controller area network)、Kライン、OBD(自己故障診断機構:On-board diagnostics)が想定される。
また、ドライブレコーダは、単体の装置として構成してもよいし、複数の装置からなるシステムとして構成してもよい。複数の装置からなるシステムとして構成する場合には、すべての装置を車両内に設置するか一部の装置を車両内に設置し、残りの部分の装置を車両外に設置すると特によい。
取得手段、制御手段、設定手段は、それぞれ車両外に設置することも可能であるが、特に車両内に設置する装置内に設けるとよい。このようにすれば車両内で車両の挙動についての感度を設定でき、車両の挙動も車両内で取得でき、そして車両内で記録することができる。特に、取得手段と制御手段と設定手段とを有する1つの装置とした構成とするとよい。
また、「イベント発生判定パターン中の感度」とはイベント発生判定パターン自体の感度とイベント発生判定パターンごとに設定される感度の両方を含む概念である。
また、「パターンが合致する」とは完全同一と意味するのではなく、両パターンに一定の相関性があるという意味である。
【0007】
請求項2の発明の構成では、請求項1の発明の構成に加えて、前記制御手段は、前記設定手段によって設定された所定のイベントに対する感度と、前記取得手段によって取得されたセンサ情報が前記イベント発生判定パターンに合致するかを判定するための前記イベント発生判定パターン中の感度との対応関係を記憶する記憶手段を備え、前記イベント発生判定パターン中の感度は、前記記憶手段に記憶された前記対応関係に基づいて決定することをその要旨とする。
つまり、所定のイベントに対する感度を変更することで、対応関係にあるイベント発生判定パターン中の感度も変更させられることができ、イベントに対する感度として調整することでイベント発生判定パターン中の感度を設定することが可能となる。記憶手段に記憶される2つの感度の対応関係はデータとして記憶させてもアルゴリズムとして一種のプログラム的に記憶させてもどちらでも構わない
【0008】
請求項3の発明の構成では、請求項1又は2の発明の構成に加えて、前記所定のイベントは、衝撃、急発進、急ブレーキ、急ハンドルの少なくともいずれか1つであり、前記センサ情報は、前後方向の加速度、左右方向の加速度、上下方向の加速度であり、前記イベント発生判定パターンは、いずれか所定の前記加速度の値が所定値以上であって、それ以外のいずれか所定の前記加速度の値が所定値以下であり、前記イベント発生判定パターン中の感度は、各所定値を示す閾値であることをその要旨とする。
この請求項は上位請求項をより具体化して説明したものであって、イベント、センサ情報、イベント発生判定関数パターンはそれぞれ請求項3の内容に限定されるものではない。
【0009】
請求項4の発明の構成では、請求項2の発明の構成に加えて、前記センサ情報として車両の速度を取得し、前記感度は、前記車両の速度に応じて異なるものとしたことをその要旨とする。
このような構成では、速度によって感度を変えるようにしているため、速度に応じたより細やかな感度設定が可能となる。
【0010】
請求項5の発明の構成では、請求項1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、前記所定のイベントを複数備え、前記設定手段は、前記複数の所定のイベントに対する感度を1の設定値の可変によって同時に行うことをその要旨とする。
このような構成では、複数のセンサの感度を一々別個に設定する必要がなくなるだけでなく、複数の所定のイベントに対する感度を一々別個に設定する必要もなくなり、設定作業を更に簡略化することが可能である。同時に設定される複数の所定のイベントに対する感度のレベルは同じでも異なっていてもよい。
【0011】
請求項6の発明の構成では、請求項1〜5のいずれかの発明の構成に加えて、前記取得手段は、前記複数の車両の挙動として速度検出手段及び加速度検出手段からそれぞれ得られる当該車両の速度データ及び加速度データに基づいて、当該車両の加速度変化を速度と関連づけて取得する加速度情報取得手段を備え、前記制御手段は、加速度変化の傾向に応じてその加速度変化の傾向が車両のどのようなイベントに基づくものであるかを判定する車両挙動判定手段と、当該車両の速度に応じた加速度変化の複数のパターンと、同パターンごとの閾値を前もって設定し、前記加速度情報取得手段によって取得した加速度が前記パターンと合致する加速度変化であるとともに、前記閾値を超えている場合にそれをイベントが発生した状態であると判断するイベント発生判定手段とを備え、前記イベント発生判定手段でイベントが発生した状態と判断された加速度状態について対応する時間を関連づけて前記記録手段に記録し、前記イベントと前記閾値とを連動させ、イベントに対する感度に応じて前記閾値を変更させるようにしたことをその要旨とする。
請求項6は上位請求項の「車両の挙動に伴うセンサ情報」として加速度と速度を採用し、速度ごとの加速度変化のパターンと所定のイベント発生判定パターンが合致するかどうかを判断するものである。そして、合致する場合にその加速度変化のパターンが所定のイベント発生判定パターンごとの閾値を超えているとしてイベントが発生した状態として記録手段に記録するようにしている。その際に閾値はイベントと連動しているため、イベントに対する感度を変更することで前記閾値を変更させるような構成としたものである。
このような構成とすることで、ユーザーはイベントに対する感度を設定するだけで閾値を設定できることとなり、イベントの関係を理解しながら当該所定のイベントの発生に関する情報をドライブレコーダに記録させることができるようになる。ここに加速度変化を取得するとは加速度を経時的(つまり履歴として)に取得することを意味する。
【0012】
請求項7の発明の構成では、請求項6の発明の構成に加えて、前記加速度情報取得手段は位置検出手段からの位置データに基づいて当該車両の加速度変化を速度及び位置と関連づけて取得することをその要旨とする。
これによって、ドライブレコーダに記録するイベントの発生に関する情報として位置情報をも併せて記録させることが可能となる。そのため、イベントの発生に関する情報を出力する段階で位置情報を併せて出力でき、情報価値が高くなる。
【0013】
請求項8の発明の構成では、請求項7の発明の構成に加えて、前記制御手段は前記イベント発生判定手段でイベントが発生した状態と判断された加速度状態について対応する位置と時間とを関連づけて前記記録手段に記憶することをその要旨とする。
これによってイベントが発生した状態と判断された加速度状態に位置と時間の情報も併せて記憶させることができるので、出力も加速度状態と位置と時間を併せて出力でき、情報価値が高くなる。
【0014】
請求項9の発明の構成では、請求項1〜8のいずれかの発明の構成に加えて、前記制御手段は撮像手段を備え、同撮像手段はイベントが発生した状態と判断された加速度状態において撮像対象を撮影するとともに、撮影された撮影データを前記記録手段に記憶することをその要旨とする。
このように撮像手段を備えることによって、イベントの発生に関する情報としてその時点での車両から撮影した映像情報等を保存できることとなり、情報価値が高くなる。
請求項10の発明の構成では、請求項9の発明の構成に加えて、前記撮像手段によって撮影された撮影データは当該イベント発生時を含む経時的なデータであることをその要旨とする。
つまり、撮影した時点だけでなくその前、後、あるいは前後両方の映像を保存することができ、情報価値が高くなる。
【0015】
請求項11の発明の構成では、請求項10の発明の構成に加えて、前記撮像手段によって撮影された撮影データは表示手段によって表示可能であることをその要旨とする。
これによって撮影した画像を確認することができる。表示手段はドライブレコーダ自身に取り付けられていても、別体の装置として構成してもよい。別体の装置からなるシステムとして構成する場合には、すべての装置を車両内に設置するか一部の装置を車両内に設置し、残りの部分の装置を車両外に設置してもよい。
【0016】
請求項12の発明の構成では、請求項9〜11のいずれかの発明の構成に加えて、前記撮像手段によって撮影された撮影データは前記表示手段において撮影データごとに付した名称でリスト化して表示し、各表示には前記イベントに対する感度を関連付けして表示することをその要旨とする。
これによって、ユーザーは当該イベントがどのようなイベントに対してどのような感度で取得されたものかを理解することができ、この表示を補助としてイベントに対する感度をすることができる。
【0017】
請求項13の発明の構成では、請求項1〜12のいずれか発明の構成に加えて、前記設定手段は、前記所定のイベントに対する感度の候補を表示し、表示した候補の中から選択された候補についての情報を可搬型記録媒体に記録する端末と、可搬型記録媒体に記録された当該候補についての情報に基づいて当該所定のイベントに対する感度を設定する前記端末とは別体の車両内に設置された車両側設定部とを備えることをその要旨とする。
これによって車両側設定部とは別個に設定手段によって感度の候補から感度を選択でき、可搬型記録媒体を介して車両側設定部に所定のイベントに対する感度として設定できるため、車両側設定部と可搬型記録媒体を連結する必要がなく、それぞれ離間した状態で使用することができ、感度の設定作業における作業能率が向上する。ここで、端末とは例えばパソコンが想定される。もちろん、パソコンを車両内で使用することも可能である。
【0018】
請求項14の発明の構成では、請求項1〜13のいずれか発明の構成に加えて、前記設定手段は前記所定のイベントごとに感度を設定するための入力部を備えていることをその要旨とする。
このような入力部を備えることによってイベントごとに感度の設定を容易にすることができる。入力部は表示手段によって表示可能でバーチャル的なアイコンを操作したり数値を入力できることが好ましいが、機械構造的な入力部であっても構わない。
請求項15の発明の構成では、請求項14の発明の構成に加えて、前記設定手段は前記入力部の複数のイベントの感度を既定の感度に自動的に設定する包括入力部を備えていることをその要旨とする。
このような包括入力部を入力部の上位に設けていることで、入力部を一々個々に操作する必要がなくなる。
【発明の効果】
【0019】
上記各請求項の発明によれば、イベントの発生に関する情報を記録するかどうかの基準となるドライブレコーダの感度を具体的なイベントに対する感度に基づいて設定できることとなり、ユーザーはイベントの関係を理解していれば、センサの感度について意識することなく当該所定のイベントの発生に関する情報をドライブレコーダに記録させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)及び(b)はそれぞれ本発明にかかる実施例のドライブレコーダの斜視図。
【図2】(a)及び(b)は実施例のドライブレコーダの内部の撮影機構の斜視図。
【図3】加速度センサを搭載したホルダーの斜視図。
【図4】ドライブレコーダの電気的構成を説明するブロック図。
【図5】ドライブレコーダ内に記憶されている100km/hでの急ブレーキをかけた場合の加速度と時間との相関関係を説明するグラフ。
【図6】ドライブレコーダ内に記憶されている80km/hでの急ブレーキをかけた場合の加速度と時間との相関関係を説明するグラフ。
【図7】加速度の大きさと時間とによって設定される閾値のイメージを説明するグラフ。
【図8】イベント発生判定ルーチンを説明するフローチャート。
【図9】ドライブレコーダとパソコンとの間のSDカードの受け渡しを説明する説明図。
【図10】パソコンの電気的構成を説明するブロック図。
【図11】パソコンのモニターに表示されるビューア画面の一例を説明する説明図。
【図12】イベントファイル列の説明図。
【図13】パソコンのモニターに表示される感度設定のためのダイアログボックスの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施例であるドライブレコーダを図面に基づいて説明する。
まず図1(a)及び(b)に基づいてドライブレコーダの概略構成について説明する。本実施例1のドライブレコーダ1は本体ケース2と本体ケース2の外周に装着される取り付け用ブラケット3と取り付け用ブラケット3を本体ケース2に固定するためのキャップ4とから外観が構成されている。本体ケース2は前後一対の第1及び第2のケース片2a、2bを組み合わせて構成されている。取り付け用ブラケット3外周の一部には外方に突出する取り付けプレート5が形成されている。
第1のケース片2aの壁面にはホルダー7、操作手段となる第1及び第2のプッシュボタン8、9及び第1及び第2のパイロットランプ用照光ブロック10、11が配設されている。第2のケース片2bの壁面にはCCDカメラ13のレンズ14が露出するように配設されている。図3に示すように、ホルダー7のホルダー本体7aには加速度センサ15が搭載されている。ホルダー7ではホルダー本体7aの回動に伴って加速度センサ15を基準位置となる水平方向に配置させることが可能となっている。
本体ケース2のキャップ4から覗く露出面にはDC電源ジャック16への挿入孔17が形成されている。キャップ4とは逆側となる本体ケース2の壁面にはSDカードを挿入するための挿入口18が形成されている。
【0022】
本体ケース2内には撮影機構21が配設されている。図2(a)及び(b)に示すように、撮影機構21を構成するメイン基板22にはCCDカメラ13、GPS受信機24、DCジャック16、電源回路等が実装されている。メイン基板22に重複状にサブ基板25が配設されている。サブ基板25には前記加速度センサ15が接続されている。また、第1及び第2のプッシュボタン8、9と対応する位置にスイッチ27、28が配置され、第1及び第2のパイロットランプ用照光ブロック10、11と対応するLED29、30が配設されている。メイン基板22とサブ基板25の間にはSDカードリーダー31が配設されている。
このような構成のドライブレコーダはCCDカメラ13のレンズ14を所定の方向(一般には正面方向)を向くようにフロントウィンドウに取り付けプレート5を介して取り付け、ホルダー7のホルダー本体7aを回動させて加速度センサ15を基準位置となる水平方向に配置させるようにし、SDカードリーダー31にSDカードを装填した状態で使用する。
【0023】
次に、図4のブロック図に基づいてこのような構成のドライブレコーダの電気的構成について説明する。尚、本発明とは直接関係のない構成については省略する。
コントローラMCにはCCDカメラ13、加速度センサ15、GPS受信機24、SDカードリーダー31、データベース32がそれぞれ接続されている。
制御手段、加速度情報取得手段を構成するコントローラMCは周知のCPUやROM及びRAM等のメモリ、タイマ等から構成されている。コントローラMCのROM内にはGPS受信器24によって受信されたGPS情報を処理するGPS情報処理プログラム、CCDカメラ13によって撮影された映像をメモリあるいはSDカードに保存させる映像処理プログラム、加速度センサ15によって検出された加速度情報を経時的に記録して加速度変化のパターンを算出する加速度変化算出プログラム、算出された加速度変化のパターンと既存の加速度変化のパターンとの相関性を判断し、その結果に基づいてその算出した加速度変化のパターンが閾値を上回るかどうかを判断する相関関数プログラム及びOS(Operation System)等の各種プログラムが記憶されている。
【0024】
取得手段、位置検出手段を構成するGPS受信機24はコントローラMCの指示に基づいて現在時間における自車の位置情報を検出する。検出タイミングは本実施例では1秒ごととされている。検出する位置情報は自車の位置、速度、緯度、経度、高度である。CCDカメラ13は撮影されるデータの圧縮及びデジタル変換をするインターフェース部33を介して常時撮影した映像をコントローラMCに出力する。コントローラMCは映像をメモリ内に仮保存(本実施例では10秒間の映像)するとともに、後述するイベント発生判定ルーチンにおいて保存すると判断した映像をSDカードリーダー31を介してSDカード内に記憶させる。取得手段を構成する加速度センサ15は3軸(X,Y,Z)それぞれの方向の加速度及び傾きを検出する3軸タイプのセンサであって、常時検出値をコントローラMCに出力する。SDカードリーダー31はコントローラMCの制御に基づいて挿入口18から挿入されるメモリカードとしてのSDカードのデータを読み取り、あるいはSDカードのデータを更新する。
【0025】
データベース32はコントローラMC内、あるいはコントローラMCに外付けした不揮発性メモリ(例えばEEPROM)である。本実施例ではデータベース32内には複数のイベント発生判定関数パターンが速度に応じて記憶されている。
ここに、イベント発生判定パターンは、イベント発生判定関数パターンと、イベント発生判定閾値パターンとから構成される。イベント発生判定関数パターンはイベント、つまり本実施例では衝撃、急発進/急ブレーキ、急ハンドルについての加速度の大きさと経過時間との関係によって示される多次元関数であり、従って、二次元的にグラフ(曲線)化することが可能である。イベント発生判定関数パターンは各イベントごとに固有の速度帯に対応して複数のパターンが用意されている。更に、加速度センサ15は3軸方向を検出しているため、ある速度でのあるイベント発生判定関数パターンは3種類のパターンを1組として関連付けして記憶されている。イベント発生判定関数パターンの理想的なパターンを示せば、例えば、図5のような波形が挙げられる。図5は速度100km巡航時での急ブレーキにおけるX軸方向(車両の進行方向)のイベント発生判定関数パターンを図示したものである。図6は同じく速度80kmの場合を図示したものである。これらパターンから速度が遅い方が加速度が集束するのが早いという傾向がわかる。
データベース32内にはすべてのイベント発生判定関数パターンごとにイベント発生判定閾値パターンとしての閾値が関連付けされて記憶されている。本実施例では閾値は加速度の大きさ、向き及び時間をパラメータとし、各イベント発生判定関数パターンの傾向に応じて設定されている。例えば、上記図5の急ブレーキをイベントとするイベント発生判定関数パターンの場合では比較的短時間で大きな加速度が発生し、その後大きな加速度が持続する状態となり、次いで比較的も短い時間での逆方向への大きな加速度が発生している。そのため、このような加速度と時間の傾向から逸脱するかどうかを閾値として用いるようにすることが好適である。例えば、図7のようにL1の時間で継続する0.3Gの正の加速度の持続状態A1と、L2の時間内で1.5Gの負の加速度A2(こちらは継続は不要)を閾値とする。つまり、L1の時間で継続して0.3Gより大きな正の加速度の継続と、その後のL2の時間内で1.5Gより大きな負の加速度が(こちらは継続は不要)があるとその速度でのそのイベントの閾値を越えたものと判断されることとなる。
閾値の数はイベント発生判定関数パターンの数と同じでもよく、近似したイベント発生判定関数パターンを示す場合では共通した閾値を使用することも可能である。例えば、同じイベントの場合において一定範囲の速度帯においては、パターンにそれほどの差異がないため共通した閾値を関連付けることが可能である。
【0026】
コントローラMCは上記加速度変化算出プログラムに基づいて加速度センサ15の検出値を一定タイミングでサンプリングし、加速度の大きさと時間によって定義される加速度変化のパターンの関数を算出し、相関関数プログラムに基づいて既存の加速度変化のパターンの関数と算出された関数との相関性を判断する。そして、相関類似性があると判断した場合にその算出した加速度変化のパターンが閾値を上回るかどうかを判断する。
このとき、コントローラMCはSDカード内に保存されている閾値修正データに基づいて適宜閾値を修正し、修正した閾値を加速度変化のパターンに適用する。閾値修正データは後述するパソコン35のモニター45上に表示されるダイアログボックス65(図13参照)においてGUI操作によって設定可能なデータである。閾値修正データは閾値に対する係数としての役割となる。コントローラMCは各イベント(衝撃、急発進/急ブレーキ、急ハンドル)についてユーザーによって設定された感度レベルを、上記閾値に反映させるようにしている。反映させる割合や反映方法はイベントの種類によって区々である。本実施例ではレベルは5段階に変更させることができ、デフォルトのレベルは3とされている。レベル数値が大きいほど感度は鈍感になる。
本実施例ではイベントが「衝撃」の場合には単純に閾値の加速度の大きさのみをレベルによって感度を変更させるようにしている。例えば、レベル3の加速度の大きさを100%としてレベル4は120%、レベル5は140%という具合にデフォルトを基準に割合を増減させるごとくである。一方、イベントが「急発進/急ブレーキ、急ハンドル」の場合には加速度の大きさの割合の変更に加えて、加速度の継続時間も変更させるようにしている。
コントローラMCは加速度変化のパターンが閾値を上回っている場合にCCDカメラ13に所定の映像データを保存させるようにする。また、同時に当該加速度変化のパターンと対応する自車の位置情報も保存させるようにする。これらはイベントの発生に関する情報に相当する。
【0027】
次にコントローラMCの実行するイベント発生判定ルーチンの一例について図8のフローチャートに基づいて説明する。尚、本実施例ではこのルーチンは10msごとに実行されている。
ステップS1においてコントローラMCは現時点から1秒前からの加速度についてサンプリングしてその回の加速度のパターンを取得する。同時に、現時点の速度に応じたイベント発生判定関数パターンの補正を実行する。例えば、車両の現時点の速度が75km/hであった場合においてはイベント発生判定関数パターンも75km/hのパターンで比較する必要がある。そのため、コントローラMCは既定のイベント発生判定関数パターンのうちの現速度に近い複数のパターン、例えば80km/hと60km/hのイベント発生判定関数パターンを基準に重み付けして75km/hのイベント発生判定関数パターンを算出する。
【0028】
次いで、ステップS2においてコントローラMCは得られた加速度のパターンと補正されたイベント発生判定関数パターンが合致するかどうか、つまりパターン同士の類似性を判断する。加速度のパターンもイベント発生判定関数パターンもいずれも同じ次元における関数であるため、両関数の類似性を相関関数によって判定することができる。ここで、いずれのイベント発生判定関数パターンとも類似しないと判断した場合には、保存すべき加速度のパターンではないとして一旦ステップS1に移行する。一方、ステップS2において当該速度におけるイベント発生判定関数パターンと類似であると判断した場合にはステップS3において、そのイベント発生判定閾値パターンの当該速度での固有の閾値を超えているかどうかを判断する。ここでの閾値としては既に閾値修正データに基づいて修正された後の閾値を用いる。
ステップS3において閾値を超えていると判断した場合には、保存すべきイベントであるとしてコントローラMCは現時点から15秒前と爾後の5秒間のイベントの発生に関する情報、具体的には映像データ、位置データ、速度データ、加速度データをSDカード内に保存させるようにする。そして、ステップS4において今後の5秒間の10msごとの加速度パターンの取得動作がキャンセルされてルーチンは終了する。ステップS4は重複したデータの取り込みを防止するための処理である。
一方、ステップS3において閾値を超えていないと判断した場合には保存すべき閾値を超えていないとしてステップS1に移行する。
【0029】
次に、SDカードに保存されたイベントに対応した映像(及びその他のイベントの発生に関する情報)の視認方法について説明する。
ユーザーはSDカードリーダー31からSDカードを抜き取り、図9に示すようにパソコン35に接続されたSDカードリーダーライター36に装填する。図10はパソコン35の一般的な電気的構成を説明するブロック図である。パソコン35は制御装置であるMPU(Micro Processing Unit)37を備えている。MPU37にはROM38及びRAM39が接続されている。MPU37にはデータインターフェース手段としてSDカードリーダーライタ36の他にハードディスク・ドライブ40とが接続され、データ入力手段としてのキーボード42及びマウス43が接続され、データ出力手段(又は表示手段)としてのプリンタ44及びモニター45がそれぞれ接続されている。ハードディスク・ドライブ40内のハードディスクにはパソコン35の一般的なプログラム、データとともに加速度のパターンの映像をモニター45に表示させるビューアプログラムが記憶されている。本実施例ではパソコン35はドライブレコーダの一部を構成するものとする。
【0030】
ユーザーは上記データ入力手段を操作してビューアプログラムを立ち上げ、モニター45上にビューア画面を表示させる。図11はモニター45に表示されたビューア画面51の一例である。ビューア画面51の上部位置には各種操作を実行させるメニューバー52が配置されている。メニューバー52の左寄り下方向には上から順に、SDカードに保存されている映像を表示させる映像表示エリア53、表示切り替えボタン54、走行速度表示エリア55、加速度表示エリア56、緯度・経度表示エリア57、映像駆動・停止ボタン58、加速度履歴表示エリア59が配置され、メニューバー52の右寄り下方向には上から順にプレイリスト60、地図エリア61が配置されている。
ユーザーはメニューバー52を操作して表示させるべき撮影画像のプレイリスト60のファイル番号を(ファイル番号は撮影された年月日時間の数字の羅列とする)アップさせ、任意のファイル番号を指定することで映像表示エリア53にファイル番号に対応した撮影画像を表示させる。この時表示される画像はイベントが発生したと判断された時点の静止映像である。撮影画像の表示に伴って、走行速度表示エリア55、加速度表示エリア56、緯度・経度表示エリア57にはそれぞれその画像に対応するデータが表示され、地図エリア61には画像が撮影された地点を含む周辺地図が表示される。加速度履歴表示エリア59には当該撮影画像の3軸方向の加速度履歴が保存された時間(トータル15秒)に渡って表示され、現在映像表示エリア53に表示されている時間の加速度位置がプロットされるようになっている。
ユーザーは映像駆動・停止ボタン58を操作することで当該ファイルの撮影画像の15秒間の任意の位置を映像表示エリア53に静止画像を表示させることができ、更に15秒間で任意に動画像を表示させることができる。動画像を表示させる場合には、走行速度表示エリア55、加速度表示エリア56、緯度・経度表示エリア57、加速度履歴表示エリア59、地図エリア61の表示も動きにつれて変化する。動画像は逆方向に戻る映像を表示させることが可能である。また、表示切り替えボタン54によって映像表示エリア53前面に1画面を表示させるパターンと所定の時間間隔での連続画像(ここでは16面)を表示させるパターンを選択することが可能である。
【0031】
ここに、プレイリスト60はその前提としてモニター45上に表示される図12のイベントファイル列63から選択されたデータを画面表示させるために読み込んだものである。ここに、各データは古い順に羅列し、ファイル名とどのようなイベントによって保存されるに至ったかイベント名を表示し、イベント名に感度レベルが付記する。例えばL3とあるのはそのファイルのデータの閾値はレベル3(つまりデフォルト状態)で判定していることを意味する。ユーザーはイベントファイル列63からビューア画面51に表示させたいデータをチェックしてプレイリスト60を作成する。尚、映像表示エリア53へ表示させた表示履歴(何回表示させたか)は記録されるようになっており、プレイリスト60における別メニューでその履歴を表示させることが可能となっている。
【0032】
次に、SDカードへ書き込まれる閾値修正データの感度レベルの設定方法について説明する。この操作は上記と同様にビューアプログラムを立ち上げビューア画面を表示させた状態で実行する。
ユーザーからのメニューバー52の設定ボタン(ギヤのアイコンの箇所)の押下がデータ入力手段から検出された場合モニター45上に図13に示すダイアログボックス65を表示させる。そして、ダイアログボックス65内に表示した衝撃感度設定領域66内の衝撃、急発進/急ブレーキ、急ハンドルの各イベントのスライダ67a〜67cがデータ入力手段を使用して所望の感度レベルとなるように任意に移動可能に表示する。移動は別個独立して可能である。本実施例では別個独立ではなく単純に3つのスライダ67a〜67cを同時に同じ感度レベル位置に移動させることができる簡単設定モード用スライダ68を併設している。スライダ67a〜67cは入力部に対応し、簡単設定モード用スライダ68は包括入力部に対応する。尚、デフォルトではすべてのスライダ67a〜67c、68はレベル3に設定しており、この状態が上記のデータベース32内に記憶された閾値のまま(つまり係数としては「1」)の設定とされる。
これらスライダを任意に移動させ閾値の感度をユーザーの運転スタイルに併せて変更し、OKボタンのアイコン69をデータ入力手段を使用して入力変更された場合書き換えられた閾値修正データをSDカードリーダーライター36のSDカードに書き込む。ユーザーはビューアプログラムを終了した後で図9に示すようにSDカードリーダーライター36からSDカードを抜き取り、ドライブレコーダ1のSDカードリーダー31に装填することで更新された閾値修正データに基づいて閾値を算出されることとなる。
【0033】
以上のような構成の実施例1のドライブレコーダ1では次のような効果が奏される。
(1)本実施例では、車両の挙動に伴うセンサ情報として前後方向の加速度と速度とを取得し、取得した加速度と速度が、急発進/急ブレーキのイベント発生判定関数パターンに合致した場合(図8のS2:YかつS3:Yの場合)に急発進/急ブレーキのイベントの発生に関する情報として映像データ、位置データ、速度データ、加速度データをSDカードに記録する制御を行うドライブレコーダであって、急発進/急ブレーキのイベントに対する感度を設定するスライダ67bを備えており、複数のセンサ情報としての加速度と速度のパターンがイベント発生判定パターンに合致する(図8のS2:YかつS3:Y)かを判定するために、イベント発生判定パターン中の感度(図7の閾値)をスライダ67bによって設定されたイベントに対する感度である閾値修正データに基づいて設定するようにしているので、ユーザーは加速度や速度に対する感度ではなく、イベントに対する感度を設定すれば、イベント発生判定パターン中の加速度や速度に対する感度が自動的に設定されることとなる。したがってユーザは、加速度や速度に対する感度といったセンサの特性と密接に関連する設定内容を理解しなくても、単に、急発進/急ブレーキのイベントに対する感度のみを設定するだけで、急発進/急ブレーキのイベントの発生時に映像データ、位置データ、速度データ、加速度データに関する情報をドライブレコーダに記録させることができるようになる。
(2)取得した加速度のパターンに対応した速度ごとのイベント発生判定パターンとの類似性を判断し、その後閾値を越えている場合に初めてイベントの発生に関する情報として加速度のパターン、映像データ、位置情報をSDカードに保存するようにしているため、むやみに保存データが多くなることがない。また、速度も考慮にいれたパターンの合致を判断するため、極めて正確な判断が可能である。
(3)閾値の感度はユーザーの運転スタイルに併せて、衝撃、急発進/急ブレーキ、急ハンドルの各イベントに基づいて変更できるため、ユーザーはどのような意図で閾値の感度を変更しているのかを理解できることとなり、ユーザーフレンドリーな設定手段となっている。
(4)ドライブレコーダ1とパソコン35を接続しなくともドライブレコーダ1とパソコン35(に接続されたSDカードリーダーライター36)との間でSDカードを介してデータのやり取りができるため、操作上有利である。
(5)ユーザーはパソコン35のモニター45上で自在に保存された映像を確認でき、映像とともに他の情報も同期して表示されるため、非常に情報価値が高い。
(6)パソコン35のモニター45上で閾値の設定が簡単にでき、SDカードを介してドライブレコーダ1側にそれを直ちに反映させることができるので、常にユーザーの意向に沿った閾値の感度を更新することができる。
(7)ユーザーがビューアプログラムを立ち上げビューア画面を表示させた際に、画面に表示されるイベントファイル列63にはイベント名に感度レベルが付記されるため、表示させようとする画像がどのような感度で取得されたものかがユーザーは容易に理解できるため、例えば比較的短時間でイベントファイルが続いているようであって、なおかつその感度が低め(鈍い)であると判断した場合には感度レベルを高め(鋭い)に設定するような修正が可能である。
【0034】
本発明を、以下のように具体化して実施してもよい。
・イベント発生パターンはイベント発生関数パターンとイベント発生閾値パターンとから構成したが、いずれか一方のみとしてもよい。例えば、図8のS2の処理はなくし、S1からS3へ以降する処理としてもよい。
・複数のセンサ情報として前後方向の加速度と速度とを取得する例を中心に説明したが、センサ情報はこれに限らない。またセンサ情報は、センサから直接的に得られる情報だけでなく、センサからの情報を加工した情報であってもよい。例えば、ODBII等の故障診断ポートとコントローラMCとを接続して、コントローラMCが車内LANから得られる情報は、どのような情報でもセンサ情報として利用することができる。例えば、所定のイベントは、スライダ67a〜67cで設定可能な衝撃、急発進/急ブレーキ、急ハンドルであり、複数のセンサ情報は、前後方向の加速度、左右方向の加速度、上下方向の加速度としてもよい。そして「衝撃」のイベント発生判定パターンは、前後方向の加速度の値が第一の閾値以上であって、それ以外の左右方向、上下方向の加速度の値が第二の閾値以下としてもよい。この場合スライダ67aがレベル1のとき第一の閾値は標準値の50%の値で第二の閾値は基準値の40%の値とし、レベル2のとき第一の閾値は標準値の80%の値で第二の閾値は基準値の80%の値とし、レベル3のとき第一の閾値は標準値で第二の閾値は基準値とし、レベル4のとき第一の閾値は標準値の130%の値とし第二の閾値は基準値の125%の値とし、レベル5のとき第一の閾値は標準値の160%の値で第二の閾値は基準値の150%の値とする。基準値、標準値は、衝撃が発生した場合の値を実測して頻度の最も高い値をそれぞれ求めるとよい。このようにレベルと閾値との対応関係は任意に設定できる。これらのレベルと閾値との対応関係、または、基準値及び標準値とこれに対するレベル毎の掛率は、予めSDカード内に記憶させておき、コントローラMCがこのSDカードに記憶された対応関係を読みだしてレベルに対応する閾値として利用するようにしてもよい。このような構成とすると、スライダ67aを操作するだけで、前後方向の加速度センサの閾値とともに左右方向の加速度センサ・上下方向の加速度センサの閾値も同時に自動的に設定されることになる。なお、左右方向の加速度センサの閾値と、上下方向の加速度センサの閾値を異なるものとしてもよい。また、「急ハンドル」のイベント発生判定パターンは、「衝撃」のイベント発生判定パターン中の「前後方向」を「左右方向」と入れ替えて構成すればよい。
【0035】
・上記実施例では速度ごとのイベント発生閾値パターンについて閾値を設けるようにしていたが、閾値を別途設けずに、取得した加速度のパターンとイベント発生判定関数パターンとの類似性のみで保存するかどうかを判断することも可能である。例えば、2つのパターンの相関関数で保存するかどうかを判断するとして、相関係数を調整し、類似性を緩やかにしたり厳しくしたりすることで感度の調整を実行することが想定される。
・上記実施例では感度レベルを設定するため操作アイコンとしてのスライダ67a〜67c、68を用いたが、他の方式、例えば数値入力方式であってもよい。
・上記感度レベルは5段階であったが、それ以外の多段階とすることは自由である。
・上記実施例において3つのスライダ67a〜67cを同時に同じ感度レベル位置に移動させることができる簡単設定モード用スライダ68(包括入力部)を併設したが、3つのスライダ67a〜67cは同時であっても必ずしも同じ感度レベル位置に移動させなければならないわけではない。例えばレースのような危険運転をする場合の危険運転モードを設定できる包括的設定手段の場合には3つのスライダ67a〜67cのうち、急発進/急ブレーキ、急ハンドルのスライダ67b,67cの感度を「5」とし、衝撃のスライダ67aは感度を「3」のままとすることが考えられる。また、逆に客を乗せる場合や、危険物や割れものを運搬する輸送業を念頭におく場合では、安全運転を心掛ける必要からそのようなケースで包括的設定手段によって設定した場合では急発進/急ブレーキ、急ハンドルのスライダ67b,67cの感度を「1」とし、衝撃のスライダ67aは感度を「3」のままとすることが考えられる。つまり、目的に応じたいくつかの包括的設定手段を構成するスライダ等を設定し目的に応じて選択させるようにする。その際には自動的にイベントごとの個々のスライダ(上記ではスライダ67a〜67c)も画面上自動設定した位置に移動させてどのような傾向の感度としているかを目視させることが好ましい。
・上記実施例では衝撃、急発進/急ブレーキ、急ハンドルが閾値に影響を与える要素となるイベントであったが、他の項目を追加、あるいは入れ替えすることも可能である。例えば、衝撃をより分別して、「衝突」「段差乗り越え」「悪路」「道路継ぎ目」「ドア開閉」等をそれぞれイベントとしてもよい。例えば「ドア開閉」は衝撃の一種であるものの、加速度パターンは衝突や段差を乗り越えるような衝撃とは明らかに異なるため別項目で設定することが可能である。
・上記実施例では加速度を車両の挙動に伴うセンサ情報としたが、他の取得手段で取得したセンサ情報、例えばブレーキの踏み代やCAN、Kライン、OBDを使用するとも可能である。
・表示部としてモニターをドライブレコーダ1側に直接設けるようにしてもよい。
・撮影画像の可搬型記録媒体としてSDカード以外を使用するドライブレコーダに応用してもよい。
・その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において変更した態様で実施することは自由である。
【符号の説明】
【0036】
1…ドライブレコーダ、2…本体ケース、15…取得手段としての加速度センサ、24…取得手段としてのGPS受信機、31…設定手段としてのSDカードリーダー、32…記録手段としてのデータベース、35…設定手段としてのパソコン、36…設定手段としてのSDカードリーダーライター、45…設定手段としてのモニター、MC…制御手段、設定手段としてのコントローラ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の挙動の変化を、例えば撮影画像として経時的に記録する車両に搭載されるドライブレコーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドライブレコーダは主として交通事故が発生した際にその時間の前後の車両の挙動の変化を例えば撮影画像として記録しておくために車両内の前方位置に搭載される装置である。交通事故が発生すると衝突や急ブレーキによる急減速、あるいは危険回避のための急旋回が行われる。本発明ではそのような衝突、急ブレーキ、あるいは急カーブや大きな段差の乗り越え、急発進のような車両の挙動に変化を与える外部要因をイベントとする。一般にドライブレコーダでは車両の挙動に伴うセンサ情報として加速度を検出し、一定の値以上の加速度を検出した場合にそれをトリガー(イベント発生)として検出した時間の前後の撮影画像を記録するような構成となっている。一般的なドライブレコーダの構造的構成を説明する先行技術として特許文献1を示す。また、ドライブレコーダの電気的構成を説明する先行文献として特許文献2を示す。
通常はドライブレコーダでは撮影映像をメモリに逐次取りこんでおき、加速度センサの所定の加速度(閾値)を超えるような検出値を得た場合に初めてその検出以後の撮影映像を不揮発性メモリ(例えば、SDカード等)に格納し、更に検出値を得た時間帯よりも前の撮影映像についてはメモリから読み出して不揮発性メモリに格納することで事故前後に渡る撮影画像を保存するようにしている。
しかし、閾値をあまり低く設定すると不揮発性メモリに格納すべき映像数が非常に多数になってしまい、ごく短時間でメモリの容量いっぱいになってしまう。また、あまりに映像数が多くて、検索する際に実際に必要な映像をピックアップしにくくなってしまうという課題が生ずる。といって、閾値を上げすぎると本来撮影すべきであった映像を撮影しなくなってしまう可能性もあり、実際には閾値は低めに設定せざるを得なかった。
そのため、特許文献3のようなドライブレコーダが開発されている。特許文献3には加速度センサ(Gセンサ)の出力と出力時間との関係によって閾値を設定して画像情報等を記録する構成が開示されている(段落0083〜0084、図12及び図13等)。特許文献3では例えば、Gセンサ出力値が比較的小さく、その検知時間が比較的長い場合、逆にGセンサ出力値が比較的大きく、その検知時間が比較的短い場合に限り映像を記録するような構成とされている。前者は急ブレーキを、後者は衝突を念頭においた加速度傾向についてそれぞれ独自の閾値で判定するという思想である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−105530号公報
【特許文献2】特開2007−83964号公報
【特許文献3】特開2007−199791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、実際の車両の挙動において検出される加速度の傾向はユーザーの運転傾向や車両の種類等様々な要因によって異なっているため、そもそも特許文献3のようにある加速度傾向についてGセンサ出力値と時間の関係で一義的に閾値を設定することは必ずしも妥当とは言えない。
例えば比較的急ハンドルをしがちなユーザーでは本人には普通の運転をしているという認識であってもその際の加速度が閾値以上であるとして記録されてしまう可能性がある。また、車両の使用目的としても例えばドライブレコーダをダートトライアルやレースをする車両に搭載した場合では、一般的な閾値が設定されていてはやはり記録される映像数が多数になってしまうため問題である。逆にタクシーのような客を乗せる車両では運転を滑らかに行っているかどうかを会社側が検証したい場合もあり、むしろ加速度に対する感度を上げたい(閾値を下げる)と望む場合もある。更に、車両の違いによっても大型車の扉を閉める場合と軽車両の場合では加速度として測定される振動の大きさも異なるため、車種によっては扉を閉める動作が一種の衝突として記録されてしまう可能性もある。また、このような閾値をユーザーが調整可能としたとしても、Gセンサの出力値に対してどのくらいの値を閾値として設定すればよいかはよくわからないという問題があった。特に速度センサと加速度センサのように複数のセンサの閾値が設定可能である場合に、それぞれのセンサの閾値をどのように設定すればユーザーの望むイベントでの記録がなされるのかがよく分からないという問題があった。
そのため、加速度センサの加速度の閾値のようなセンサ情報そのものの感度ではなく、ユーザーの運転傾向や車両の種類等様々な車両の挙動に変化を与える要因に応じてドライブレコーダの感度を具体的なイベントとの関係で容易に複数のセンサの感度が設定できる手段が望まれていた。
本発明は、上記諸問題を解消するためになされたものであり、その目的は、ドライブレコーダの感度を具体的なイベントとの関係で変更できるドライブレコーダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1の発明の構成では、車両の挙動に伴うセンサ情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得されたセンサ情報が所定のイベント発生判定パターンに合致した場合に当該所定のイベントの発生に関する情報を記録手段に記録する制御を行う制御手段とを備えるドライブレコーダにおいて、前記所定のイベントに対する感度を設定する設定手段を備え、前記取得手段は、前記センサ情報を複数取得するものであり、前記制御手段は、前記取得手段によって取得された前記センサ情報のパターンが前記イベント発生判定パターンに合致するかを判定するために前記イベント発生判定パターン中の感度を前記設定手段によって設定されたイベントに対する感度に基づいて設定することをその要旨とする。
このような構成のドライブレコーダにおいては、制御手段は取得手段によって取得した車両の挙動伴うセンサ情報がイベント発生判定パターンに合致するかを判定する際にイベント発生判定パターン中の感度を設定手段によって設定されたイベントに対する感度に基づいて設定することとなる。その結果、ユーザーは車両の挙動に伴うセンサ情報に対する感度ではなく、イベントに対する感度としてイベント発生判定パターン中の感度を設定できることとなり、イベントの関係を理解しながら当該所定のイベントの発生に関する情報をドライブレコーダに記録させることができるようになる。
【0006】
ここに、「車両の挙動に伴うセンサ情報」とは、ユーザーが車両に乗ったり運転したりする際の車両の動きによって変化する測定可能な要素であって、例えば車両の位置情報、速度情報、加速度情報等をいう。
また、「イベント」とは車両の挙動に影響を与える外部要因であって、衝撃、急発進、急ブレーキ、急ハンドルが代表的なイベントとして挙げられる。衝撃をより分別して、「衝突」「段差乗り越え」「悪路」「道路継ぎ目」「ドア開閉」等をそれぞれイベントとしてもよい。「イベントの発生に関する情報」とはイベントの発生時の車両の位置情報、速度情報、加速度情報、緯度・経度情報、地図情報、車両から撮影した映像情報等が挙げられる。
取得手段としては、例えば、加速度センサ、GPS受信機、ドアセンサ、ブレーキ、ウィンカー、CAN(車載ネットワーク:controller area network)、Kライン、OBD(自己故障診断機構:On-board diagnostics)が想定される。
また、ドライブレコーダは、単体の装置として構成してもよいし、複数の装置からなるシステムとして構成してもよい。複数の装置からなるシステムとして構成する場合には、すべての装置を車両内に設置するか一部の装置を車両内に設置し、残りの部分の装置を車両外に設置すると特によい。
取得手段、制御手段、設定手段は、それぞれ車両外に設置することも可能であるが、特に車両内に設置する装置内に設けるとよい。このようにすれば車両内で車両の挙動についての感度を設定でき、車両の挙動も車両内で取得でき、そして車両内で記録することができる。特に、取得手段と制御手段と設定手段とを有する1つの装置とした構成とするとよい。
また、「イベント発生判定パターン中の感度」とはイベント発生判定パターン自体の感度とイベント発生判定パターンごとに設定される感度の両方を含む概念である。
また、「パターンが合致する」とは完全同一と意味するのではなく、両パターンに一定の相関性があるという意味である。
【0007】
請求項2の発明の構成では、請求項1の発明の構成に加えて、前記制御手段は、前記設定手段によって設定された所定のイベントに対する感度と、前記取得手段によって取得されたセンサ情報が前記イベント発生判定パターンに合致するかを判定するための前記イベント発生判定パターン中の感度との対応関係を記憶する記憶手段を備え、前記イベント発生判定パターン中の感度は、前記記憶手段に記憶された前記対応関係に基づいて決定することをその要旨とする。
つまり、所定のイベントに対する感度を変更することで、対応関係にあるイベント発生判定パターン中の感度も変更させられることができ、イベントに対する感度として調整することでイベント発生判定パターン中の感度を設定することが可能となる。記憶手段に記憶される2つの感度の対応関係はデータとして記憶させてもアルゴリズムとして一種のプログラム的に記憶させてもどちらでも構わない
【0008】
請求項3の発明の構成では、請求項1又は2の発明の構成に加えて、前記所定のイベントは、衝撃、急発進、急ブレーキ、急ハンドルの少なくともいずれか1つであり、前記センサ情報は、前後方向の加速度、左右方向の加速度、上下方向の加速度であり、前記イベント発生判定パターンは、いずれか所定の前記加速度の値が所定値以上であって、それ以外のいずれか所定の前記加速度の値が所定値以下であり、前記イベント発生判定パターン中の感度は、各所定値を示す閾値であることをその要旨とする。
この請求項は上位請求項をより具体化して説明したものであって、イベント、センサ情報、イベント発生判定関数パターンはそれぞれ請求項3の内容に限定されるものではない。
【0009】
請求項4の発明の構成では、請求項2の発明の構成に加えて、前記センサ情報として車両の速度を取得し、前記感度は、前記車両の速度に応じて異なるものとしたことをその要旨とする。
このような構成では、速度によって感度を変えるようにしているため、速度に応じたより細やかな感度設定が可能となる。
【0010】
請求項5の発明の構成では、請求項1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、前記所定のイベントを複数備え、前記設定手段は、前記複数の所定のイベントに対する感度を1の設定値の可変によって同時に行うことをその要旨とする。
このような構成では、複数のセンサの感度を一々別個に設定する必要がなくなるだけでなく、複数の所定のイベントに対する感度を一々別個に設定する必要もなくなり、設定作業を更に簡略化することが可能である。同時に設定される複数の所定のイベントに対する感度のレベルは同じでも異なっていてもよい。
【0011】
請求項6の発明の構成では、請求項1〜5のいずれかの発明の構成に加えて、前記取得手段は、前記複数の車両の挙動として速度検出手段及び加速度検出手段からそれぞれ得られる当該車両の速度データ及び加速度データに基づいて、当該車両の加速度変化を速度と関連づけて取得する加速度情報取得手段を備え、前記制御手段は、加速度変化の傾向に応じてその加速度変化の傾向が車両のどのようなイベントに基づくものであるかを判定する車両挙動判定手段と、当該車両の速度に応じた加速度変化の複数のパターンと、同パターンごとの閾値を前もって設定し、前記加速度情報取得手段によって取得した加速度が前記パターンと合致する加速度変化であるとともに、前記閾値を超えている場合にそれをイベントが発生した状態であると判断するイベント発生判定手段とを備え、前記イベント発生判定手段でイベントが発生した状態と判断された加速度状態について対応する時間を関連づけて前記記録手段に記録し、前記イベントと前記閾値とを連動させ、イベントに対する感度に応じて前記閾値を変更させるようにしたことをその要旨とする。
請求項6は上位請求項の「車両の挙動に伴うセンサ情報」として加速度と速度を採用し、速度ごとの加速度変化のパターンと所定のイベント発生判定パターンが合致するかどうかを判断するものである。そして、合致する場合にその加速度変化のパターンが所定のイベント発生判定パターンごとの閾値を超えているとしてイベントが発生した状態として記録手段に記録するようにしている。その際に閾値はイベントと連動しているため、イベントに対する感度を変更することで前記閾値を変更させるような構成としたものである。
このような構成とすることで、ユーザーはイベントに対する感度を設定するだけで閾値を設定できることとなり、イベントの関係を理解しながら当該所定のイベントの発生に関する情報をドライブレコーダに記録させることができるようになる。ここに加速度変化を取得するとは加速度を経時的(つまり履歴として)に取得することを意味する。
【0012】
請求項7の発明の構成では、請求項6の発明の構成に加えて、前記加速度情報取得手段は位置検出手段からの位置データに基づいて当該車両の加速度変化を速度及び位置と関連づけて取得することをその要旨とする。
これによって、ドライブレコーダに記録するイベントの発生に関する情報として位置情報をも併せて記録させることが可能となる。そのため、イベントの発生に関する情報を出力する段階で位置情報を併せて出力でき、情報価値が高くなる。
【0013】
請求項8の発明の構成では、請求項7の発明の構成に加えて、前記制御手段は前記イベント発生判定手段でイベントが発生した状態と判断された加速度状態について対応する位置と時間とを関連づけて前記記録手段に記憶することをその要旨とする。
これによってイベントが発生した状態と判断された加速度状態に位置と時間の情報も併せて記憶させることができるので、出力も加速度状態と位置と時間を併せて出力でき、情報価値が高くなる。
【0014】
請求項9の発明の構成では、請求項1〜8のいずれかの発明の構成に加えて、前記制御手段は撮像手段を備え、同撮像手段はイベントが発生した状態と判断された加速度状態において撮像対象を撮影するとともに、撮影された撮影データを前記記録手段に記憶することをその要旨とする。
このように撮像手段を備えることによって、イベントの発生に関する情報としてその時点での車両から撮影した映像情報等を保存できることとなり、情報価値が高くなる。
請求項10の発明の構成では、請求項9の発明の構成に加えて、前記撮像手段によって撮影された撮影データは当該イベント発生時を含む経時的なデータであることをその要旨とする。
つまり、撮影した時点だけでなくその前、後、あるいは前後両方の映像を保存することができ、情報価値が高くなる。
【0015】
請求項11の発明の構成では、請求項10の発明の構成に加えて、前記撮像手段によって撮影された撮影データは表示手段によって表示可能であることをその要旨とする。
これによって撮影した画像を確認することができる。表示手段はドライブレコーダ自身に取り付けられていても、別体の装置として構成してもよい。別体の装置からなるシステムとして構成する場合には、すべての装置を車両内に設置するか一部の装置を車両内に設置し、残りの部分の装置を車両外に設置してもよい。
【0016】
請求項12の発明の構成では、請求項9〜11のいずれかの発明の構成に加えて、前記撮像手段によって撮影された撮影データは前記表示手段において撮影データごとに付した名称でリスト化して表示し、各表示には前記イベントに対する感度を関連付けして表示することをその要旨とする。
これによって、ユーザーは当該イベントがどのようなイベントに対してどのような感度で取得されたものかを理解することができ、この表示を補助としてイベントに対する感度をすることができる。
【0017】
請求項13の発明の構成では、請求項1〜12のいずれか発明の構成に加えて、前記設定手段は、前記所定のイベントに対する感度の候補を表示し、表示した候補の中から選択された候補についての情報を可搬型記録媒体に記録する端末と、可搬型記録媒体に記録された当該候補についての情報に基づいて当該所定のイベントに対する感度を設定する前記端末とは別体の車両内に設置された車両側設定部とを備えることをその要旨とする。
これによって車両側設定部とは別個に設定手段によって感度の候補から感度を選択でき、可搬型記録媒体を介して車両側設定部に所定のイベントに対する感度として設定できるため、車両側設定部と可搬型記録媒体を連結する必要がなく、それぞれ離間した状態で使用することができ、感度の設定作業における作業能率が向上する。ここで、端末とは例えばパソコンが想定される。もちろん、パソコンを車両内で使用することも可能である。
【0018】
請求項14の発明の構成では、請求項1〜13のいずれか発明の構成に加えて、前記設定手段は前記所定のイベントごとに感度を設定するための入力部を備えていることをその要旨とする。
このような入力部を備えることによってイベントごとに感度の設定を容易にすることができる。入力部は表示手段によって表示可能でバーチャル的なアイコンを操作したり数値を入力できることが好ましいが、機械構造的な入力部であっても構わない。
請求項15の発明の構成では、請求項14の発明の構成に加えて、前記設定手段は前記入力部の複数のイベントの感度を既定の感度に自動的に設定する包括入力部を備えていることをその要旨とする。
このような包括入力部を入力部の上位に設けていることで、入力部を一々個々に操作する必要がなくなる。
【発明の効果】
【0019】
上記各請求項の発明によれば、イベントの発生に関する情報を記録するかどうかの基準となるドライブレコーダの感度を具体的なイベントに対する感度に基づいて設定できることとなり、ユーザーはイベントの関係を理解していれば、センサの感度について意識することなく当該所定のイベントの発生に関する情報をドライブレコーダに記録させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)及び(b)はそれぞれ本発明にかかる実施例のドライブレコーダの斜視図。
【図2】(a)及び(b)は実施例のドライブレコーダの内部の撮影機構の斜視図。
【図3】加速度センサを搭載したホルダーの斜視図。
【図4】ドライブレコーダの電気的構成を説明するブロック図。
【図5】ドライブレコーダ内に記憶されている100km/hでの急ブレーキをかけた場合の加速度と時間との相関関係を説明するグラフ。
【図6】ドライブレコーダ内に記憶されている80km/hでの急ブレーキをかけた場合の加速度と時間との相関関係を説明するグラフ。
【図7】加速度の大きさと時間とによって設定される閾値のイメージを説明するグラフ。
【図8】イベント発生判定ルーチンを説明するフローチャート。
【図9】ドライブレコーダとパソコンとの間のSDカードの受け渡しを説明する説明図。
【図10】パソコンの電気的構成を説明するブロック図。
【図11】パソコンのモニターに表示されるビューア画面の一例を説明する説明図。
【図12】イベントファイル列の説明図。
【図13】パソコンのモニターに表示される感度設定のためのダイアログボックスの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施例であるドライブレコーダを図面に基づいて説明する。
まず図1(a)及び(b)に基づいてドライブレコーダの概略構成について説明する。本実施例1のドライブレコーダ1は本体ケース2と本体ケース2の外周に装着される取り付け用ブラケット3と取り付け用ブラケット3を本体ケース2に固定するためのキャップ4とから外観が構成されている。本体ケース2は前後一対の第1及び第2のケース片2a、2bを組み合わせて構成されている。取り付け用ブラケット3外周の一部には外方に突出する取り付けプレート5が形成されている。
第1のケース片2aの壁面にはホルダー7、操作手段となる第1及び第2のプッシュボタン8、9及び第1及び第2のパイロットランプ用照光ブロック10、11が配設されている。第2のケース片2bの壁面にはCCDカメラ13のレンズ14が露出するように配設されている。図3に示すように、ホルダー7のホルダー本体7aには加速度センサ15が搭載されている。ホルダー7ではホルダー本体7aの回動に伴って加速度センサ15を基準位置となる水平方向に配置させることが可能となっている。
本体ケース2のキャップ4から覗く露出面にはDC電源ジャック16への挿入孔17が形成されている。キャップ4とは逆側となる本体ケース2の壁面にはSDカードを挿入するための挿入口18が形成されている。
【0022】
本体ケース2内には撮影機構21が配設されている。図2(a)及び(b)に示すように、撮影機構21を構成するメイン基板22にはCCDカメラ13、GPS受信機24、DCジャック16、電源回路等が実装されている。メイン基板22に重複状にサブ基板25が配設されている。サブ基板25には前記加速度センサ15が接続されている。また、第1及び第2のプッシュボタン8、9と対応する位置にスイッチ27、28が配置され、第1及び第2のパイロットランプ用照光ブロック10、11と対応するLED29、30が配設されている。メイン基板22とサブ基板25の間にはSDカードリーダー31が配設されている。
このような構成のドライブレコーダはCCDカメラ13のレンズ14を所定の方向(一般には正面方向)を向くようにフロントウィンドウに取り付けプレート5を介して取り付け、ホルダー7のホルダー本体7aを回動させて加速度センサ15を基準位置となる水平方向に配置させるようにし、SDカードリーダー31にSDカードを装填した状態で使用する。
【0023】
次に、図4のブロック図に基づいてこのような構成のドライブレコーダの電気的構成について説明する。尚、本発明とは直接関係のない構成については省略する。
コントローラMCにはCCDカメラ13、加速度センサ15、GPS受信機24、SDカードリーダー31、データベース32がそれぞれ接続されている。
制御手段、加速度情報取得手段を構成するコントローラMCは周知のCPUやROM及びRAM等のメモリ、タイマ等から構成されている。コントローラMCのROM内にはGPS受信器24によって受信されたGPS情報を処理するGPS情報処理プログラム、CCDカメラ13によって撮影された映像をメモリあるいはSDカードに保存させる映像処理プログラム、加速度センサ15によって検出された加速度情報を経時的に記録して加速度変化のパターンを算出する加速度変化算出プログラム、算出された加速度変化のパターンと既存の加速度変化のパターンとの相関性を判断し、その結果に基づいてその算出した加速度変化のパターンが閾値を上回るかどうかを判断する相関関数プログラム及びOS(Operation System)等の各種プログラムが記憶されている。
【0024】
取得手段、位置検出手段を構成するGPS受信機24はコントローラMCの指示に基づいて現在時間における自車の位置情報を検出する。検出タイミングは本実施例では1秒ごととされている。検出する位置情報は自車の位置、速度、緯度、経度、高度である。CCDカメラ13は撮影されるデータの圧縮及びデジタル変換をするインターフェース部33を介して常時撮影した映像をコントローラMCに出力する。コントローラMCは映像をメモリ内に仮保存(本実施例では10秒間の映像)するとともに、後述するイベント発生判定ルーチンにおいて保存すると判断した映像をSDカードリーダー31を介してSDカード内に記憶させる。取得手段を構成する加速度センサ15は3軸(X,Y,Z)それぞれの方向の加速度及び傾きを検出する3軸タイプのセンサであって、常時検出値をコントローラMCに出力する。SDカードリーダー31はコントローラMCの制御に基づいて挿入口18から挿入されるメモリカードとしてのSDカードのデータを読み取り、あるいはSDカードのデータを更新する。
【0025】
データベース32はコントローラMC内、あるいはコントローラMCに外付けした不揮発性メモリ(例えばEEPROM)である。本実施例ではデータベース32内には複数のイベント発生判定関数パターンが速度に応じて記憶されている。
ここに、イベント発生判定パターンは、イベント発生判定関数パターンと、イベント発生判定閾値パターンとから構成される。イベント発生判定関数パターンはイベント、つまり本実施例では衝撃、急発進/急ブレーキ、急ハンドルについての加速度の大きさと経過時間との関係によって示される多次元関数であり、従って、二次元的にグラフ(曲線)化することが可能である。イベント発生判定関数パターンは各イベントごとに固有の速度帯に対応して複数のパターンが用意されている。更に、加速度センサ15は3軸方向を検出しているため、ある速度でのあるイベント発生判定関数パターンは3種類のパターンを1組として関連付けして記憶されている。イベント発生判定関数パターンの理想的なパターンを示せば、例えば、図5のような波形が挙げられる。図5は速度100km巡航時での急ブレーキにおけるX軸方向(車両の進行方向)のイベント発生判定関数パターンを図示したものである。図6は同じく速度80kmの場合を図示したものである。これらパターンから速度が遅い方が加速度が集束するのが早いという傾向がわかる。
データベース32内にはすべてのイベント発生判定関数パターンごとにイベント発生判定閾値パターンとしての閾値が関連付けされて記憶されている。本実施例では閾値は加速度の大きさ、向き及び時間をパラメータとし、各イベント発生判定関数パターンの傾向に応じて設定されている。例えば、上記図5の急ブレーキをイベントとするイベント発生判定関数パターンの場合では比較的短時間で大きな加速度が発生し、その後大きな加速度が持続する状態となり、次いで比較的も短い時間での逆方向への大きな加速度が発生している。そのため、このような加速度と時間の傾向から逸脱するかどうかを閾値として用いるようにすることが好適である。例えば、図7のようにL1の時間で継続する0.3Gの正の加速度の持続状態A1と、L2の時間内で1.5Gの負の加速度A2(こちらは継続は不要)を閾値とする。つまり、L1の時間で継続して0.3Gより大きな正の加速度の継続と、その後のL2の時間内で1.5Gより大きな負の加速度が(こちらは継続は不要)があるとその速度でのそのイベントの閾値を越えたものと判断されることとなる。
閾値の数はイベント発生判定関数パターンの数と同じでもよく、近似したイベント発生判定関数パターンを示す場合では共通した閾値を使用することも可能である。例えば、同じイベントの場合において一定範囲の速度帯においては、パターンにそれほどの差異がないため共通した閾値を関連付けることが可能である。
【0026】
コントローラMCは上記加速度変化算出プログラムに基づいて加速度センサ15の検出値を一定タイミングでサンプリングし、加速度の大きさと時間によって定義される加速度変化のパターンの関数を算出し、相関関数プログラムに基づいて既存の加速度変化のパターンの関数と算出された関数との相関性を判断する。そして、相関類似性があると判断した場合にその算出した加速度変化のパターンが閾値を上回るかどうかを判断する。
このとき、コントローラMCはSDカード内に保存されている閾値修正データに基づいて適宜閾値を修正し、修正した閾値を加速度変化のパターンに適用する。閾値修正データは後述するパソコン35のモニター45上に表示されるダイアログボックス65(図13参照)においてGUI操作によって設定可能なデータである。閾値修正データは閾値に対する係数としての役割となる。コントローラMCは各イベント(衝撃、急発進/急ブレーキ、急ハンドル)についてユーザーによって設定された感度レベルを、上記閾値に反映させるようにしている。反映させる割合や反映方法はイベントの種類によって区々である。本実施例ではレベルは5段階に変更させることができ、デフォルトのレベルは3とされている。レベル数値が大きいほど感度は鈍感になる。
本実施例ではイベントが「衝撃」の場合には単純に閾値の加速度の大きさのみをレベルによって感度を変更させるようにしている。例えば、レベル3の加速度の大きさを100%としてレベル4は120%、レベル5は140%という具合にデフォルトを基準に割合を増減させるごとくである。一方、イベントが「急発進/急ブレーキ、急ハンドル」の場合には加速度の大きさの割合の変更に加えて、加速度の継続時間も変更させるようにしている。
コントローラMCは加速度変化のパターンが閾値を上回っている場合にCCDカメラ13に所定の映像データを保存させるようにする。また、同時に当該加速度変化のパターンと対応する自車の位置情報も保存させるようにする。これらはイベントの発生に関する情報に相当する。
【0027】
次にコントローラMCの実行するイベント発生判定ルーチンの一例について図8のフローチャートに基づいて説明する。尚、本実施例ではこのルーチンは10msごとに実行されている。
ステップS1においてコントローラMCは現時点から1秒前からの加速度についてサンプリングしてその回の加速度のパターンを取得する。同時に、現時点の速度に応じたイベント発生判定関数パターンの補正を実行する。例えば、車両の現時点の速度が75km/hであった場合においてはイベント発生判定関数パターンも75km/hのパターンで比較する必要がある。そのため、コントローラMCは既定のイベント発生判定関数パターンのうちの現速度に近い複数のパターン、例えば80km/hと60km/hのイベント発生判定関数パターンを基準に重み付けして75km/hのイベント発生判定関数パターンを算出する。
【0028】
次いで、ステップS2においてコントローラMCは得られた加速度のパターンと補正されたイベント発生判定関数パターンが合致するかどうか、つまりパターン同士の類似性を判断する。加速度のパターンもイベント発生判定関数パターンもいずれも同じ次元における関数であるため、両関数の類似性を相関関数によって判定することができる。ここで、いずれのイベント発生判定関数パターンとも類似しないと判断した場合には、保存すべき加速度のパターンではないとして一旦ステップS1に移行する。一方、ステップS2において当該速度におけるイベント発生判定関数パターンと類似であると判断した場合にはステップS3において、そのイベント発生判定閾値パターンの当該速度での固有の閾値を超えているかどうかを判断する。ここでの閾値としては既に閾値修正データに基づいて修正された後の閾値を用いる。
ステップS3において閾値を超えていると判断した場合には、保存すべきイベントであるとしてコントローラMCは現時点から15秒前と爾後の5秒間のイベントの発生に関する情報、具体的には映像データ、位置データ、速度データ、加速度データをSDカード内に保存させるようにする。そして、ステップS4において今後の5秒間の10msごとの加速度パターンの取得動作がキャンセルされてルーチンは終了する。ステップS4は重複したデータの取り込みを防止するための処理である。
一方、ステップS3において閾値を超えていないと判断した場合には保存すべき閾値を超えていないとしてステップS1に移行する。
【0029】
次に、SDカードに保存されたイベントに対応した映像(及びその他のイベントの発生に関する情報)の視認方法について説明する。
ユーザーはSDカードリーダー31からSDカードを抜き取り、図9に示すようにパソコン35に接続されたSDカードリーダーライター36に装填する。図10はパソコン35の一般的な電気的構成を説明するブロック図である。パソコン35は制御装置であるMPU(Micro Processing Unit)37を備えている。MPU37にはROM38及びRAM39が接続されている。MPU37にはデータインターフェース手段としてSDカードリーダーライタ36の他にハードディスク・ドライブ40とが接続され、データ入力手段としてのキーボード42及びマウス43が接続され、データ出力手段(又は表示手段)としてのプリンタ44及びモニター45がそれぞれ接続されている。ハードディスク・ドライブ40内のハードディスクにはパソコン35の一般的なプログラム、データとともに加速度のパターンの映像をモニター45に表示させるビューアプログラムが記憶されている。本実施例ではパソコン35はドライブレコーダの一部を構成するものとする。
【0030】
ユーザーは上記データ入力手段を操作してビューアプログラムを立ち上げ、モニター45上にビューア画面を表示させる。図11はモニター45に表示されたビューア画面51の一例である。ビューア画面51の上部位置には各種操作を実行させるメニューバー52が配置されている。メニューバー52の左寄り下方向には上から順に、SDカードに保存されている映像を表示させる映像表示エリア53、表示切り替えボタン54、走行速度表示エリア55、加速度表示エリア56、緯度・経度表示エリア57、映像駆動・停止ボタン58、加速度履歴表示エリア59が配置され、メニューバー52の右寄り下方向には上から順にプレイリスト60、地図エリア61が配置されている。
ユーザーはメニューバー52を操作して表示させるべき撮影画像のプレイリスト60のファイル番号を(ファイル番号は撮影された年月日時間の数字の羅列とする)アップさせ、任意のファイル番号を指定することで映像表示エリア53にファイル番号に対応した撮影画像を表示させる。この時表示される画像はイベントが発生したと判断された時点の静止映像である。撮影画像の表示に伴って、走行速度表示エリア55、加速度表示エリア56、緯度・経度表示エリア57にはそれぞれその画像に対応するデータが表示され、地図エリア61には画像が撮影された地点を含む周辺地図が表示される。加速度履歴表示エリア59には当該撮影画像の3軸方向の加速度履歴が保存された時間(トータル15秒)に渡って表示され、現在映像表示エリア53に表示されている時間の加速度位置がプロットされるようになっている。
ユーザーは映像駆動・停止ボタン58を操作することで当該ファイルの撮影画像の15秒間の任意の位置を映像表示エリア53に静止画像を表示させることができ、更に15秒間で任意に動画像を表示させることができる。動画像を表示させる場合には、走行速度表示エリア55、加速度表示エリア56、緯度・経度表示エリア57、加速度履歴表示エリア59、地図エリア61の表示も動きにつれて変化する。動画像は逆方向に戻る映像を表示させることが可能である。また、表示切り替えボタン54によって映像表示エリア53前面に1画面を表示させるパターンと所定の時間間隔での連続画像(ここでは16面)を表示させるパターンを選択することが可能である。
【0031】
ここに、プレイリスト60はその前提としてモニター45上に表示される図12のイベントファイル列63から選択されたデータを画面表示させるために読み込んだものである。ここに、各データは古い順に羅列し、ファイル名とどのようなイベントによって保存されるに至ったかイベント名を表示し、イベント名に感度レベルが付記する。例えばL3とあるのはそのファイルのデータの閾値はレベル3(つまりデフォルト状態)で判定していることを意味する。ユーザーはイベントファイル列63からビューア画面51に表示させたいデータをチェックしてプレイリスト60を作成する。尚、映像表示エリア53へ表示させた表示履歴(何回表示させたか)は記録されるようになっており、プレイリスト60における別メニューでその履歴を表示させることが可能となっている。
【0032】
次に、SDカードへ書き込まれる閾値修正データの感度レベルの設定方法について説明する。この操作は上記と同様にビューアプログラムを立ち上げビューア画面を表示させた状態で実行する。
ユーザーからのメニューバー52の設定ボタン(ギヤのアイコンの箇所)の押下がデータ入力手段から検出された場合モニター45上に図13に示すダイアログボックス65を表示させる。そして、ダイアログボックス65内に表示した衝撃感度設定領域66内の衝撃、急発進/急ブレーキ、急ハンドルの各イベントのスライダ67a〜67cがデータ入力手段を使用して所望の感度レベルとなるように任意に移動可能に表示する。移動は別個独立して可能である。本実施例では別個独立ではなく単純に3つのスライダ67a〜67cを同時に同じ感度レベル位置に移動させることができる簡単設定モード用スライダ68を併設している。スライダ67a〜67cは入力部に対応し、簡単設定モード用スライダ68は包括入力部に対応する。尚、デフォルトではすべてのスライダ67a〜67c、68はレベル3に設定しており、この状態が上記のデータベース32内に記憶された閾値のまま(つまり係数としては「1」)の設定とされる。
これらスライダを任意に移動させ閾値の感度をユーザーの運転スタイルに併せて変更し、OKボタンのアイコン69をデータ入力手段を使用して入力変更された場合書き換えられた閾値修正データをSDカードリーダーライター36のSDカードに書き込む。ユーザーはビューアプログラムを終了した後で図9に示すようにSDカードリーダーライター36からSDカードを抜き取り、ドライブレコーダ1のSDカードリーダー31に装填することで更新された閾値修正データに基づいて閾値を算出されることとなる。
【0033】
以上のような構成の実施例1のドライブレコーダ1では次のような効果が奏される。
(1)本実施例では、車両の挙動に伴うセンサ情報として前後方向の加速度と速度とを取得し、取得した加速度と速度が、急発進/急ブレーキのイベント発生判定関数パターンに合致した場合(図8のS2:YかつS3:Yの場合)に急発進/急ブレーキのイベントの発生に関する情報として映像データ、位置データ、速度データ、加速度データをSDカードに記録する制御を行うドライブレコーダであって、急発進/急ブレーキのイベントに対する感度を設定するスライダ67bを備えており、複数のセンサ情報としての加速度と速度のパターンがイベント発生判定パターンに合致する(図8のS2:YかつS3:Y)かを判定するために、イベント発生判定パターン中の感度(図7の閾値)をスライダ67bによって設定されたイベントに対する感度である閾値修正データに基づいて設定するようにしているので、ユーザーは加速度や速度に対する感度ではなく、イベントに対する感度を設定すれば、イベント発生判定パターン中の加速度や速度に対する感度が自動的に設定されることとなる。したがってユーザは、加速度や速度に対する感度といったセンサの特性と密接に関連する設定内容を理解しなくても、単に、急発進/急ブレーキのイベントに対する感度のみを設定するだけで、急発進/急ブレーキのイベントの発生時に映像データ、位置データ、速度データ、加速度データに関する情報をドライブレコーダに記録させることができるようになる。
(2)取得した加速度のパターンに対応した速度ごとのイベント発生判定パターンとの類似性を判断し、その後閾値を越えている場合に初めてイベントの発生に関する情報として加速度のパターン、映像データ、位置情報をSDカードに保存するようにしているため、むやみに保存データが多くなることがない。また、速度も考慮にいれたパターンの合致を判断するため、極めて正確な判断が可能である。
(3)閾値の感度はユーザーの運転スタイルに併せて、衝撃、急発進/急ブレーキ、急ハンドルの各イベントに基づいて変更できるため、ユーザーはどのような意図で閾値の感度を変更しているのかを理解できることとなり、ユーザーフレンドリーな設定手段となっている。
(4)ドライブレコーダ1とパソコン35を接続しなくともドライブレコーダ1とパソコン35(に接続されたSDカードリーダーライター36)との間でSDカードを介してデータのやり取りができるため、操作上有利である。
(5)ユーザーはパソコン35のモニター45上で自在に保存された映像を確認でき、映像とともに他の情報も同期して表示されるため、非常に情報価値が高い。
(6)パソコン35のモニター45上で閾値の設定が簡単にでき、SDカードを介してドライブレコーダ1側にそれを直ちに反映させることができるので、常にユーザーの意向に沿った閾値の感度を更新することができる。
(7)ユーザーがビューアプログラムを立ち上げビューア画面を表示させた際に、画面に表示されるイベントファイル列63にはイベント名に感度レベルが付記されるため、表示させようとする画像がどのような感度で取得されたものかがユーザーは容易に理解できるため、例えば比較的短時間でイベントファイルが続いているようであって、なおかつその感度が低め(鈍い)であると判断した場合には感度レベルを高め(鋭い)に設定するような修正が可能である。
【0034】
本発明を、以下のように具体化して実施してもよい。
・イベント発生パターンはイベント発生関数パターンとイベント発生閾値パターンとから構成したが、いずれか一方のみとしてもよい。例えば、図8のS2の処理はなくし、S1からS3へ以降する処理としてもよい。
・複数のセンサ情報として前後方向の加速度と速度とを取得する例を中心に説明したが、センサ情報はこれに限らない。またセンサ情報は、センサから直接的に得られる情報だけでなく、センサからの情報を加工した情報であってもよい。例えば、ODBII等の故障診断ポートとコントローラMCとを接続して、コントローラMCが車内LANから得られる情報は、どのような情報でもセンサ情報として利用することができる。例えば、所定のイベントは、スライダ67a〜67cで設定可能な衝撃、急発進/急ブレーキ、急ハンドルであり、複数のセンサ情報は、前後方向の加速度、左右方向の加速度、上下方向の加速度としてもよい。そして「衝撃」のイベント発生判定パターンは、前後方向の加速度の値が第一の閾値以上であって、それ以外の左右方向、上下方向の加速度の値が第二の閾値以下としてもよい。この場合スライダ67aがレベル1のとき第一の閾値は標準値の50%の値で第二の閾値は基準値の40%の値とし、レベル2のとき第一の閾値は標準値の80%の値で第二の閾値は基準値の80%の値とし、レベル3のとき第一の閾値は標準値で第二の閾値は基準値とし、レベル4のとき第一の閾値は標準値の130%の値とし第二の閾値は基準値の125%の値とし、レベル5のとき第一の閾値は標準値の160%の値で第二の閾値は基準値の150%の値とする。基準値、標準値は、衝撃が発生した場合の値を実測して頻度の最も高い値をそれぞれ求めるとよい。このようにレベルと閾値との対応関係は任意に設定できる。これらのレベルと閾値との対応関係、または、基準値及び標準値とこれに対するレベル毎の掛率は、予めSDカード内に記憶させておき、コントローラMCがこのSDカードに記憶された対応関係を読みだしてレベルに対応する閾値として利用するようにしてもよい。このような構成とすると、スライダ67aを操作するだけで、前後方向の加速度センサの閾値とともに左右方向の加速度センサ・上下方向の加速度センサの閾値も同時に自動的に設定されることになる。なお、左右方向の加速度センサの閾値と、上下方向の加速度センサの閾値を異なるものとしてもよい。また、「急ハンドル」のイベント発生判定パターンは、「衝撃」のイベント発生判定パターン中の「前後方向」を「左右方向」と入れ替えて構成すればよい。
【0035】
・上記実施例では速度ごとのイベント発生閾値パターンについて閾値を設けるようにしていたが、閾値を別途設けずに、取得した加速度のパターンとイベント発生判定関数パターンとの類似性のみで保存するかどうかを判断することも可能である。例えば、2つのパターンの相関関数で保存するかどうかを判断するとして、相関係数を調整し、類似性を緩やかにしたり厳しくしたりすることで感度の調整を実行することが想定される。
・上記実施例では感度レベルを設定するため操作アイコンとしてのスライダ67a〜67c、68を用いたが、他の方式、例えば数値入力方式であってもよい。
・上記感度レベルは5段階であったが、それ以外の多段階とすることは自由である。
・上記実施例において3つのスライダ67a〜67cを同時に同じ感度レベル位置に移動させることができる簡単設定モード用スライダ68(包括入力部)を併設したが、3つのスライダ67a〜67cは同時であっても必ずしも同じ感度レベル位置に移動させなければならないわけではない。例えばレースのような危険運転をする場合の危険運転モードを設定できる包括的設定手段の場合には3つのスライダ67a〜67cのうち、急発進/急ブレーキ、急ハンドルのスライダ67b,67cの感度を「5」とし、衝撃のスライダ67aは感度を「3」のままとすることが考えられる。また、逆に客を乗せる場合や、危険物や割れものを運搬する輸送業を念頭におく場合では、安全運転を心掛ける必要からそのようなケースで包括的設定手段によって設定した場合では急発進/急ブレーキ、急ハンドルのスライダ67b,67cの感度を「1」とし、衝撃のスライダ67aは感度を「3」のままとすることが考えられる。つまり、目的に応じたいくつかの包括的設定手段を構成するスライダ等を設定し目的に応じて選択させるようにする。その際には自動的にイベントごとの個々のスライダ(上記ではスライダ67a〜67c)も画面上自動設定した位置に移動させてどのような傾向の感度としているかを目視させることが好ましい。
・上記実施例では衝撃、急発進/急ブレーキ、急ハンドルが閾値に影響を与える要素となるイベントであったが、他の項目を追加、あるいは入れ替えすることも可能である。例えば、衝撃をより分別して、「衝突」「段差乗り越え」「悪路」「道路継ぎ目」「ドア開閉」等をそれぞれイベントとしてもよい。例えば「ドア開閉」は衝撃の一種であるものの、加速度パターンは衝突や段差を乗り越えるような衝撃とは明らかに異なるため別項目で設定することが可能である。
・上記実施例では加速度を車両の挙動に伴うセンサ情報としたが、他の取得手段で取得したセンサ情報、例えばブレーキの踏み代やCAN、Kライン、OBDを使用するとも可能である。
・表示部としてモニターをドライブレコーダ1側に直接設けるようにしてもよい。
・撮影画像の可搬型記録媒体としてSDカード以外を使用するドライブレコーダに応用してもよい。
・その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において変更した態様で実施することは自由である。
【符号の説明】
【0036】
1…ドライブレコーダ、2…本体ケース、15…取得手段としての加速度センサ、24…取得手段としてのGPS受信機、31…設定手段としてのSDカードリーダー、32…記録手段としてのデータベース、35…設定手段としてのパソコン、36…設定手段としてのSDカードリーダーライター、45…設定手段としてのモニター、MC…制御手段、設定手段としてのコントローラ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の挙動に伴うセンサ情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得されたセンサ情報が所定のイベント発生判定パターンに合致した場合に当該所定のイベントの発生に関する情報を記録手段に記録する制御を行う制御手段とを備えるドライブレコーダにおいて、
前記所定のイベントに対する感度を設定する設定手段を備え、
前記取得手段は、前記センサ情報を複数取得するものであり、
前記制御手段は、前記取得手段によって取得された前記センサ情報のパターンが前記イベント発生判定パターンに合致するかを判定するために前記イベント発生判定パターン中の感度を前記設定手段によって設定されたイベントに対する感度に基づいて設定することを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項2】
前記制御手段は、前記設定手段によって設定された所定のイベントに対する感度と、前記取得手段によって取得されたセンサ情報が前記イベント発生判定パターンに合致するかを判定するための前記イベント発生判定パターン中の感度との対応関係を記憶する記憶手段を備え、
前記イベント発生判定パターン中の感度は、前記記憶手段に記憶された前記対応関係に基づいて決定することを特徴とする請求項1に記載のドライブレコーダ。
【請求項3】
前記所定のイベントは、衝撃、急発進、急ブレーキ、急ハンドルの少なくともいずれか1つであり、
前記センサ情報は、前後方向の加速度、左右方向の加速度、上下方向の加速度であり、
前記イベント発生判定パターンは、いずれか所定の前記加速度の値が所定値以上であって、それ以外のいずれか所定の前記加速度の値が所定値以下であり、
前記イベント発生判定パターン中の感度は、各所定値を示す閾値であることを特徴とする請求項1又は2に記載のドライブレコーダ。
【請求項4】
前記センサ情報として車両の速度を取得し、前記感度は、前記車両の速度に応じて異なるものとしたことを特徴とする請求項2に記載のドライブレコーダ。
【請求項5】
前記所定のイベントを複数備え、前記設定手段は、前記複数の所定のイベントに対する感度を1の設定値の可変によって同時に行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項6】
前記取得手段は、前記複数の車両の挙動として速度検出手段及び加速度検出手段からそれぞれ得られる当該車両の速度データ及び加速度データに基づいて、当該車両の加速度変化を速度と関連づけて取得する加速度情報取得手段を備え、
前記制御手段は、加速度変化の傾向に応じてその加速度変化の傾向が車両のどのようなイベントに基づくものであるかを判定する車両挙動判定手段と、当該車両の速度に応じた加速度変化の複数のパターンと、同パターンごとの閾値を前もって設定し、前記加速度情報取得手段によって取得した加速度が前記パターンと合致する加速度変化であるとともに、前記閾値を超えている場合にそれをイベントが発生した状態であると判断するイベント発生判定手段とを備え、
前記イベント発生判定手段でイベントが発生した状態と判断された加速度状態について対応する時間を関連づけて前記記録手段に記録し、前記イベントと前記閾値とを連動させ、前記イベントに対する感度に応じて前記閾値を変更させるようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項7】
前記加速度情報取得手段は位置検出手段からの位置データに基づいて当該車両の加速度変化を速度及び位置と関連づけて取得することを特徴とする請求項6に記載のドライブレコーダ。
【請求項8】
前記制御手段は前記イベント発生判定手段でイベントが発生した状態と判断された加速度状態について対応する位置と時間とを関連づけて前記記録手段に記憶することを特徴とする請求項7に記載のドライブレコーダ。
【請求項9】
前記制御手段は撮像手段を備え、同撮像手段はイベントが発生した状態と判断された加速度状態において撮像対象を撮影するとともに、撮影された撮影データを前記記録手段に記憶することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項10】
前記撮像手段によって撮影された撮影データは当該イベント発生時を含む経時的なデータであることを特徴とする請求項9に記載のドライブレコーダ。
【請求項11】
前記撮像手段によって撮影された撮影データは表示手段によって表示可能であることを特徴とする請求項9〜10のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項12】
前記撮像手段によって撮影された撮影データは前記表示手段において撮影データごとに付した名称でリスト化して表示し、各表示には前記イベントに対する感度を関連付けして表示することを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項13】
前記設定手段は、前記所定のイベントに対する感度の候補を表示し、表示した候補の中から選択された候補についての情報を可搬型記録媒体に記録する端末と、可搬型記録媒体に記録された当該候補についての情報に基づいて当該所定のイベントに対する感度を設定する前記端末とは別体の車両内に設置された車両側設定部とを備えることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項14】
前記設定手段は前記所定のイベントごとに感度を設定するための入力部を備えていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項15】
前記設定手段は前記入力部の複数のイベントの感度を既定の感度に自動的に設定する包括入力部を備えていることを特徴とする請求項14に記載のドライブレコーダ。
【請求項1】
車両の挙動に伴うセンサ情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得されたセンサ情報が所定のイベント発生判定パターンに合致した場合に当該所定のイベントの発生に関する情報を記録手段に記録する制御を行う制御手段とを備えるドライブレコーダにおいて、
前記所定のイベントに対する感度を設定する設定手段を備え、
前記取得手段は、前記センサ情報を複数取得するものであり、
前記制御手段は、前記取得手段によって取得された前記センサ情報のパターンが前記イベント発生判定パターンに合致するかを判定するために前記イベント発生判定パターン中の感度を前記設定手段によって設定されたイベントに対する感度に基づいて設定することを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項2】
前記制御手段は、前記設定手段によって設定された所定のイベントに対する感度と、前記取得手段によって取得されたセンサ情報が前記イベント発生判定パターンに合致するかを判定するための前記イベント発生判定パターン中の感度との対応関係を記憶する記憶手段を備え、
前記イベント発生判定パターン中の感度は、前記記憶手段に記憶された前記対応関係に基づいて決定することを特徴とする請求項1に記載のドライブレコーダ。
【請求項3】
前記所定のイベントは、衝撃、急発進、急ブレーキ、急ハンドルの少なくともいずれか1つであり、
前記センサ情報は、前後方向の加速度、左右方向の加速度、上下方向の加速度であり、
前記イベント発生判定パターンは、いずれか所定の前記加速度の値が所定値以上であって、それ以外のいずれか所定の前記加速度の値が所定値以下であり、
前記イベント発生判定パターン中の感度は、各所定値を示す閾値であることを特徴とする請求項1又は2に記載のドライブレコーダ。
【請求項4】
前記センサ情報として車両の速度を取得し、前記感度は、前記車両の速度に応じて異なるものとしたことを特徴とする請求項2に記載のドライブレコーダ。
【請求項5】
前記所定のイベントを複数備え、前記設定手段は、前記複数の所定のイベントに対する感度を1の設定値の可変によって同時に行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項6】
前記取得手段は、前記複数の車両の挙動として速度検出手段及び加速度検出手段からそれぞれ得られる当該車両の速度データ及び加速度データに基づいて、当該車両の加速度変化を速度と関連づけて取得する加速度情報取得手段を備え、
前記制御手段は、加速度変化の傾向に応じてその加速度変化の傾向が車両のどのようなイベントに基づくものであるかを判定する車両挙動判定手段と、当該車両の速度に応じた加速度変化の複数のパターンと、同パターンごとの閾値を前もって設定し、前記加速度情報取得手段によって取得した加速度が前記パターンと合致する加速度変化であるとともに、前記閾値を超えている場合にそれをイベントが発生した状態であると判断するイベント発生判定手段とを備え、
前記イベント発生判定手段でイベントが発生した状態と判断された加速度状態について対応する時間を関連づけて前記記録手段に記録し、前記イベントと前記閾値とを連動させ、前記イベントに対する感度に応じて前記閾値を変更させるようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項7】
前記加速度情報取得手段は位置検出手段からの位置データに基づいて当該車両の加速度変化を速度及び位置と関連づけて取得することを特徴とする請求項6に記載のドライブレコーダ。
【請求項8】
前記制御手段は前記イベント発生判定手段でイベントが発生した状態と判断された加速度状態について対応する位置と時間とを関連づけて前記記録手段に記憶することを特徴とする請求項7に記載のドライブレコーダ。
【請求項9】
前記制御手段は撮像手段を備え、同撮像手段はイベントが発生した状態と判断された加速度状態において撮像対象を撮影するとともに、撮影された撮影データを前記記録手段に記憶することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項10】
前記撮像手段によって撮影された撮影データは当該イベント発生時を含む経時的なデータであることを特徴とする請求項9に記載のドライブレコーダ。
【請求項11】
前記撮像手段によって撮影された撮影データは表示手段によって表示可能であることを特徴とする請求項9〜10のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項12】
前記撮像手段によって撮影された撮影データは前記表示手段において撮影データごとに付した名称でリスト化して表示し、各表示には前記イベントに対する感度を関連付けして表示することを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項13】
前記設定手段は、前記所定のイベントに対する感度の候補を表示し、表示した候補の中から選択された候補についての情報を可搬型記録媒体に記録する端末と、可搬型記録媒体に記録された当該候補についての情報に基づいて当該所定のイベントに対する感度を設定する前記端末とは別体の車両内に設置された車両側設定部とを備えることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項14】
前記設定手段は前記所定のイベントごとに感度を設定するための入力部を備えていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項15】
前記設定手段は前記入力部の複数のイベントの感度を既定の感度に自動的に設定する包括入力部を備えていることを特徴とする請求項14に記載のドライブレコーダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−64126(P2012−64126A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209576(P2010−209576)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】
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