説明

ドライヤー

【課題】薬剤等の液体を手間なく均等に吹き付けながら頭髪を乾燥させることができるドライヤーを提供すること。
【解決手段】吹出口4が設けられたドライヤー本体3を有するドライヤー1において、液体容器8内の薬剤等の液体を超音波振動子6によって霧化する霧化装置2を設け、前記液体容器8を、前記ドライヤー本体3に着脱可能に取り付け、前記超音波振動子6を、前記ドライヤー本体3の前記吹出口4近傍に設けると共に、前記吹出口4から吹き出される気流とミストを合流させるように前記霧化装置2を配置したことで、前記超音波振動子6によって熱の影響なく霧化した液体を、前記ドライヤー1が発生させた気流に乗せて速やかに頭髪に吹き付けることができるので、液体を頭髪に対し手軽に使用することができるばかりでなく、液体の熱による影響を最小限に抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭髪等を乾燥させるためのドライヤーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のドライヤーとして、ドライヤー本体の吹出口に取り付けられるノズルに芳香剤収容部を設け、この芳香剤収容部に芳香剤を収容し、ドライヤーの熱で芳香剤を気化させて、熱風と共に芳香剤を髪に送るようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4541987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなドライヤーは、頭髪に香りを付ける程度の量の芳香剤であれば十分実用的であるが、比較的大量に用いられる薬剤(例えば、毛髪補修剤等)を芳香剤収容部に収容して使用するのは実用的でなかった。特に、このような薬剤は、ドライヤーのヒータが発生させた熱によって、成分濃度が変わったり変質してしまったりする虞があるので、従来のドライヤーの芳香剤収容部に収容して使用することができなかった。そもそも、熱によって気体となった薬剤は、頭髪に付着しにくいので、頭髪に対し期待される薬剤の作用を奏さない虞がある。このため、従来、頭髪に薬剤を用いる場合、頭髪に薬剤を塗布或いは吹き付けて馴染ませた後、ドライヤーで乾燥させる必要があり、手間がかかった。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、薬剤等の液体を手間なく均等に吹き付けながら頭髪を乾燥させることができるドライヤーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載のドライヤーは、吹出口が設けられたドライヤー本体を有するドライヤーにおいて、前記ドライヤー本体に着脱可能に取り付けられる液体容器及び前記ドライヤー本体の前記吹出口近傍に設けられる超音波振動子とを有し、前記液体容器内の液体を前記超音波振動子によって霧化する霧化装置を設けると共に、この霧化装置を、霧化された液体を前記吹出口から吹き出される気流と合流させるよう配置したものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載のドライヤーは、請求項1において、前記液体容器が、容器本体と、この容器本体に対して出没可能に取り付けられる導液体と、この導液体を外方に付勢する付勢手段とを有して構成されると共に、前記液体容器を前記ドライヤー本体に取り付けた際に、前記付勢手段の付勢力によって前記導液体が前記超音波振動子に押し付けられるように構成されるものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載のドライヤーは、請求項2において、前記液体容器が、前記容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップ組立体を有し、このキャップ組立体が、貫通孔が形成されたキャップと、このキャップに取り付けられると共に貫通孔が形成された第一保持体と、前記導液体を保持すると共にフランジ部を有する第二保持体とを有し、この第二保持体が、前記フランジ部が前記キャップと第一保持体との間に位置するように、前記各貫通孔に通されて前記キャップと第一保持体に保持されると共に、前記第一保持体とフランジ部との間で前記付勢手段が挟持されるものである。
【0009】
また、本発明の請求項4に記載のドライヤーは、請求項3において、前記キャップが雌螺子部を有し、前記第一保持体が前記雌螺子部と螺合する第一雄螺子部を有すると共に、前記容器本体が前記雄螺子部と螺合する第二雄螺子部を有するものである。
【0010】
更に、本発明の請求項5に記載のドライヤーは、請求項3において、前記キャップの内面と前記フランジ部の間にOリングを設けたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載のドライヤーは、以上のように構成することにより、前記超音波振動子によって熱の影響なく霧化した液体を、ドライヤーが発生させた気流に乗せて速やかに頭髪に吹き付けることができるので、薬剤等の液体を頭髪に対し手軽に使用することができる。また、薬剤等の液体が熱の影響を受けるのが、前記霧化装置から吹き出されてから頭髪に至るまでの短時間なので、薬剤等の液体の熱による影響を最小限に抑えることができる。
【0012】
なお、前記液体容器を、容器本体と、この容器本体に対して出没可能に取り付けられる導液体と、この導液体を外方に付勢する付勢手段とを有して構成すると共に、前記液体容器を前記ドライヤー本体に取り付けた際に、前記付勢手段の付勢力によって前記導液体を前記超音波振動子に押し付けるように構成することで、前記液体容器内の液体が確実に前記超音波振動子まで送られて超音波振動を受けるので、良好にミストを発生させて頭髪に送ることができる。
【0013】
また、前記液体容器が、前記容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップ組立体を有し、このキャップ組立体が、貫通孔が形成されたキャップと、このキャップに取り付けられると共に貫通孔が形成された第一保持体と、前記導液体を保持すると共にフランジ部を有する第二保持体とを有し、この第二保持体が、前記フランジ部が前記キャップと第一保持体との間に位置するように、前記各貫通孔に通されて前記キャップと第一保持体に保持されると共に、前記第一保持体とフランジ部との間で前記付勢手段を挟持することで、給液のために前記液体容器から前記キャップ組立体を取り外したとしても、前記導液体と付勢手段が前記キャップ組立体の状態のまま前記容器本体から取り外されるので、前記液体容器への給液の度に前記導液体と付勢手段を組み付ける必要がなく、前記液体容器への給液を容易に行うことができる。
【0014】
また、前記キャップに雌螺子部を設け、前記第一保持体に前記雌螺子部と螺合する第一雄螺子部を設けると共に、前記容器本体に前記雄螺子部と螺合する第二雄螺子部を設けることで、前記キャップの構造を単純化して安価に構成することができる。
【0015】
更に、前記キャップの内面と前記フランジ部の間にOリングを設けたことで、前記液体容器を前記ドライヤー本体から取り外した際に、前記キャップとフランジ部との間が前記Oリングによってシールされるので、前記容器本体から前記第一保持体を通った水が、前記キャップの外に漏れるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示すドライヤーの正面図である。
【図2】同、平面図である。
【図3】同、霧化装置周辺の拡大断面図である。
【図4】同、液体容器の拡大断面図である。
【図5】同、容器本体からキャップ組立体を取り外した状態における液体容器の拡大断面図である。
【図6】同、キャップ組立体の分解断面図である。
【図7】同、キャップの拡大断面図である。
【図8】同、第一保持体の拡大断面図である。
【図9】同、第二保持体及び導液体の拡大断面図である。
【図10】同、液体容器の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図10に基づいて説明する。なお、以下の説明において、「液体」とは、頭髪に作用する薬剤等の他、水等も含む。1は、霧化装置2が組み込まれたドライヤーである。このドライヤー1は、そのドライヤー本体3に吹出口4とミスト吹出口5が設けられる。なお、前記ミスト吹出口5は、前記吹出口4の上方に、前記吹出口4とは独立して設けられる。そして、前記ミスト吹出口5には、板状の超音波振動子6が固定される。なお、この超音波振動子6には、図面では表れない多数の微小な貫通孔が形成される。また、前記ドライヤー本体3の上部には、取付凹部7が形成され、この取付凹部7に液体容器8が着脱可能に取り付けられる。そして、前記超音波振動子6は、前記取付凹部7に露出すると共に、その周囲がシール部材9によって囲まれる。そして、このシール部材9は、その先端が、前記取付凹部7に前記液体容器8を取り付けた際に、この液体容器8の後述するキャップ16と接するように構成される。更に、前記ドライヤー本体3には、前記霧化装置2を作動させる図示しない制御回路を操作するための操作スイッチ10が設けられる。このように、前記ミスト吹出口5及び取付凹部7が形成された前記ドライヤー本体3、このドライヤー本体3の取付凹部7に対し着脱可能に取り付けられる前記液体容器8、前記ドライヤー本体3に固定される前記超音波振動子6、この超音波振動子6の周囲を囲む前記シール部材9、前記制御回路及び前記操作スイッチ10によって、前記霧化装置2が構成される。更に、前記取付凹部7の上方に、前記液体容器8を覆うカバー体11が、前記ドライヤー本体3に対し着脱可能に取り付けられる。また、前記ドライヤー本体3には、前記カバー体11の指掛け部12に指を掛けるための凹部13が形成される。
【0018】
前記液体容器8について詳述する。この液体容器8は、キャップ組立体14と、容器本体15とで構成される。そして、前記キャップ組立体14は、キャップ16と、第一保持体17と、第二保持体18と、導液体19と、付勢手段としての圧縮コイルバネ20と、Oリング21とを組み立てることで構成される。そして、前記キャップ組立体14は、前記各構成部品によって組み立てられた状態のまま、前記容器本体15に対して着脱可能に取り付けられる。従って、前記容器本体15に液体を注入するために前記キャップ組立体14を前記容器本体15から取り外したとしても、前記キャップ組立体14を構成する各部品は組み立てられたままの状態であり、給液の度に前記キャップ組立体14を分解したり組み立てたりする必要がない。
【0019】
前記キャップ16には、貫通孔22及び雌螺子部23が形成される。なお、前記貫通孔22の内径D1は、前記第二保持体18の外径D2よりも僅かに大きく、且つ前記第二保持体18の外面に形成されたフランジ部18Aの外径D3よりも小さく形成される。
【0020】
前記第一保持体17は、略中空円筒状に形成される。そして、前記第一保持体17の内径D4は、前記フランジ部18Aの外径D3よりも大きく形成される。また、前記第一保持体17の一端側には、内向きのフランジ部17Aが形成されると共に、このフランジ部17Aの中央に貫通孔24が形成される。また、前記第一保持体17は、その他端側に拡径部17Bが形成され、この拡径部17Bに第一雄螺子部25が形成される。なお、前記貫通孔24の内径D5は、前記貫通孔22の内径D1とほぼ等しく、前記第二保持体18の外径D2よりも僅かに大きく、且つ前記フランジ部18Aの外径D3よりも小さく形成される。また、前記拡径部17Bの外径D6は、前記容器本体15の後述する口部27の外径D7とほぼ等しく形成される。更に、前記第一雄螺子部25は、前記雌螺子部23に対応して形成される。従って、前記第一保持体17は、前記雌螺子部23に前記第一雄螺子部25を螺合させることによって、前記キャップ16に取り付けられる。
【0021】
前記第二保持体18は、その一端が閉じると共に他端が開口した略中空円筒状に形成される。そして、前記第二保持体18は、その内部空間に前記導液体19が保持されるように構成される。また、前述したように、前記第二保持体18の外面には、前記フランジ部18Aが形成される。そして、このフランジ部18Aは、前記第二保持体18の外面の他端寄りに形成される。また、前記第二保持体18の一端寄りの部分には、複数の通液孔26が形成される。なお、前記第二保持体18の内径D8は、前記導液体19の外径D9と同じか又は僅かに大きく形成される。また、前記第二保持体18の開口部18Bから底部18Cまでの長さL1は、前記導液体19の長さL2よりも小さく形成される。従って、前記導液体19は、その一端が前記底部18Cに当接するよう前記第二保持体18に挿入しても、その他端が前記開口部18Bから突出する。更に、前述したように、前記第二保持体18の外径D2は、前記キャップ16の貫通孔22の内径D1及び前記第一保持体17の貫通孔24の内径D5よりも僅かに小さい。また、前記フランジ部18Aの外径D3は、前記貫通孔22の内径D1及び前記貫通孔24の内径D5よりも大きく形成される。このため、前記第二保持体18は、その一端側が前記第一保持体17の貫通孔24を通って突出し、その他端側が前記キャップ16の貫通孔22を通って突出するようにして、前記キャップ16の雌螺子部23と前記第一保持体17の第一雄螺子部25を螺合させることで、前記キャップ16と第一保持体17とで軸方向に移動可能に保持される。
【0022】
前記導液体19は、フェルト等の、吸液性、通液性及び保液性に優れた材質によって略円筒状に形成される。また、前記圧縮コイルバネ20は、その一端が前記第一保持体17のフランジ部17Aに当接すると共に、その他端が前記第二保持体18のフランジ部18Aに当接するように、前記第一保持体17と第二保持体18の間に設けられる。更に、前記Oリング21は、前記キャップ16の内面と前記第二保持体18のフランジ部18Aとの間に設けられる。
【0023】
前記容器本体15は、透明な又は透光性を有する材質によって、口部27を有する瓶形状に形成される。そして、この容器本体15の口部27には、第二雄螺子部28が形成される。なお、この第二雄螺子部28は、そのピッチ及び螺子山の高さが前記第一雄螺子部25とほぼ等しく形成される。また、前述したように、前記口部27の外径D7は、前記拡径部17Bの外径D6とほぼ等しく形成される。従って、前記第一雄螺子部25と第二雄螺子部28は、共通の前記雌螺子部23と螺合可能に構成される。このため、前記キャップ16は、一つの前記雌螺子部23のみを形成すればよいので、構造が単純となり安価に構成することができる。
【0024】
なお、29は前記ドライヤー本体3に対して折り畳み可能に取り付けられたハンドル、30は前記ハンドルに設けられた主操作スイッチ、31は電源コードである。
【0025】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、前記ドライヤー本体3の凹部13に指を入れて前記カバー体11の指掛け部12に指を掛け、前記カバー体11を取り外す。そして、前記ドライヤー本体3に形成された取付凹部7から、前記液体容器8を取り外す。
【0026】
そして、前記液体容器8から前記キャップ組立体14を取り外す。そして、このキャップ組立体14が取り外された前記容器本体15の口部27から、前記容器本体15内に液体を注入する。そして、液体が注入された前記容器本体15の口部27に、前記キャップ組立体14を再び取り付ける。この状態で、前記キャップ組立体14を構成する前記第二保持体18及び導液体19は、前記圧縮コイルバネ20によって軸方向外側へ付勢されることで、最も外側に突出した状態となる。また、この際、前記第二保持体18が前記圧縮コイルバネ20に押されて前記キャップ16の方向に移動することによって、前記Oリング21は、前記キャップ16の内面と前記フランジ部18Aによって挟まれて双方に密着する。これによって、前記第一保持体17の内面と前記フランジ部18Aの隙間から、前記貫通孔22と前記第二保持体18の隙間を通って前記液体容器8内の水が漏れることが防止される。また、前記液体容器8内の液体は、前記第二保持体18に形成された通液孔26を通って前記導液体19に吸収され、この導液体19に保持される。従って、前記導液体19から前記液体容器8内の液体が漏れることも防止される。更に、前記第二保持体18及び導液体19は、前記圧縮コイルバネ20の付勢力に抗して、軸方向内側に押し込むことができる。即ち、前記第二保持体18及び導液体19は、前記容器本体15に対して出没可能である。
【0027】
そして、このように液体が注入された前記液体容器8を、前記ドライヤー本体3の取付凹部7に再び取り付ける。この際、前記導液体19の他端が前記超音波振動子6の一面側に接触すると共に、前記導液体19及び第二保持体18が、前記圧縮コイルバネ20の付勢力に抗して前記液体容器8の内側へ押し込まれる。従って、前記導液体19は、前記圧縮コイルバネ20の付勢力によって前記超音波振動子6に押し付けられる。そして、前記超音波振動子6に前記導液体19が押し付けられることで、この導液体19に保持された液体が、前記超音波振動子6に形成された多数の微小な貫通孔に流れ込み、保持される。また、前記シール部材9の先端は、前記液体容器8のキャップ16の外面に接触する。これによって、前記超音波振動子6と導液体19は、前記シール部材9とキャップ16の外面とによって囲まれる。そして、前記液体容器8を覆うように、前記ドライヤー本体3に前記カバー体11を再び取り付ける。
【0028】
そして、前記ハンドル29を起こした後、前記電源コード31の先端に設けられた図示しない電源プラグを、同じく図示しない交流電源のアウトレットに接続する。そして、前記主操作スイッチ30を操作することによって、前記吹出口4から温風又は冷風が吹き出される。そして、前記ハンドル29を把持して前記吹出口4を頭部に向け、温風又は冷風を頭髪に吹き付けることで、髪を乾燥させたりセットしたりすることができる。
【0029】
そして、頭髪に霧化された液体(ミスト)を吹き付ける場合、使用者は、前記操作スイッチ10を操作することで、図示しない制御回路によって、前記超音波振動子6を振動させる。そして、この超音波振動子6が振動することによって、前記超音波振動子6に形成された多数の微小な貫通孔に保持された液体が、前記超音波振動子6の他面側で霧化し、前記ミスト吹出口5から吹き出される。この際、前述したように、前記導液体19の他端が、前記圧縮コイルバネ20の付勢力によって前記超音波振動子6の一面側に押し付けられるので、この超音波振動子6の一面側と前記導液体19の他端との接触状態を良好に保つことができる。このため、前記導液体19に保持された液体を、前記超音波振動子6に確実に送り、良好に霧化することができる。そして、霧化された液体を補うように、前記超音波振動子6の多数の微小な貫通孔へ前記導液体19の他端側に保持された液体が移動し、この導液体19の他端側へ一端側に保持された液体が移動すると共に、前記導液体19の一端側へ、前記液体容器8内の液体が、前記第二保持体18の通液孔26を通って移動する。このようにして、前記液体容器8内の液体が、前記超音波振動子6によって順次霧化する。そして、前記ミスト吹出口5から吹き出されたミストは、前記吹出口4から吹き出された気流と合流し、この気流と共に頭髪に吹き付けられる。頭髪に吹き付けられたミストは、傷んだ頭髪を補修したり、頭髪に艶を与えたりする。
【0030】

前述した通り、前記液体容器8は、前記ドライヤー本体3に設けられた前記取付凹部7に設置され、前記ドライヤー1の送風経路から隔離される。このため、前記液体容器8内の液体は、前記ドライヤー1の図示しないヒータによって高温に加熱されることがない。従って、霧化前の前記液体容器8内の液体は、前記ヒータからの熱による影響を殆ど受けない。一方、前述した通り、液体の霧化は、前記超音波振動子6によって行われ、前記ヒータの熱が関与しない。なお、前記ミスト吹出口5から吹き出されたミストは、前記吹出口4から吹き出された気流が熱風である場合、その熱の影響を受けることになる。しかしながら、ミストが熱の影響を受けるのは、前記ミスト吹出口5から吹き出されてから頭髪に至るまでの短時間であり、影響を最小限に抑えることができる。
【0031】
なお、前記導液体19に保持された液体の一部は、前記導液体19の周囲で霧化してミストとなる可能性がある。しかしながら、前述したように、前記超音波振動子6の周囲が前記シール部材9によって囲まれていると共に、このシール部材9の先端が、前記取付凹部7に前記液体容器8を取り付けた際に前記キャップ16と接するので、前記ミストは、前記超音波振動子6と前記シール部材9と前記キャップ16とで囲まれた空間から、前記取付凹部7とカバー体11とで囲まれた空間へ漏れることがない。また、前記ミストの一部は、前記空間から前記超音波振動子6の貫通孔を通過して、前記ミスト吹出口5から吹き出される。更に、前記ミストの一部は、前記導液体19に吸収された後、再び前記超音波振動子6の貫通孔を通過して、この超音波振動子6で霧化させられて、前記ミスト吹出口5から吹き出される。
【0032】
以上のように本発明は、吹出口4が設けられたドライヤー本体3を有するドライヤー1において、液体容器8内の薬剤等の液体を超音波振動子6によって霧化する霧化装置2を設け、前記液体容器8を、前記ドライヤー本体3に着脱可能に取り付け、前記超音波振動子6を、前記ドライヤー本体3の前記吹出口4近傍に設けると共に、前記吹出口4から吹き出される気流とミストを合流させるように前記霧化装置2を配置したことで、前記超音波振動子6によって熱の影響なく霧化した液体を、ドライヤー1が発生させた気流に乗せて速やかに頭髪に吹き付けることができるので、液体を頭髪に対し手軽に使用することができるばかりでなく、液体の熱による影響を最小限に抑えることができるものである。
【0033】
また、本発明は、前記液体容器8を、容器本体15と、この容器本体15に対して出没可能に取り付けられる導液体19と、この導液体19を外方に付勢する付勢手段としての圧縮コイルバネ20を有して構成すると共に、前記液体容器8を前記ドライヤー本体3に取り付けた際に、前記圧縮コイルバネ20の付勢力によって前記導液体19が前記超音波振動子6に押し付けられるように構成したことで、前記導液体19の前記超音波振動子6への接触状態が良好に保たれるので、前記液体容器8内の液体が前記導液体19を通って前記超音波振動子6まで送られ、確実に超音波振動を受けるので、良好にミストを発生させて頭髪に吹き付けることができるものである。
【0034】
また、本発明は、前記液体容器8が、前記容器本体15に対して着脱自在に取り付けられるキャップ組立体14を有し、このキャップ組立体14が、貫通孔22が形成されたキャップ16と、このキャップ16に取り付けられると共に貫通孔24が形成された第一保持体17と、前記導液体19を保持すると共にフランジ部18Aを有する第二保持体18とを有し、この第二保持体18が、前記フランジ部18Aが前記キャップ16と第一保持体17との間に位置するように、前記各貫通孔22,24に通されて前記キャップ16と第一保持体17に保持されると共に、前記第一保持体17のフランジ部17Aと前記第二保持体18のフランジ部18Aとの間で前記圧縮コイルバネ20が挟持されることで、給液のために前記液体容器8から前記キャップ組立体14を取り外したとしても、前記導液体19と圧縮コイルバネ20が前記キャップ組立体14の状態のまま前記容器本体15から取り外されるので、前記液体容器8への給液の度に前記導液体19と圧縮コイルバネ20を組み付ける必要がなく、前記液体容器8への給液を容易に行うことができるものである。
【0035】
また、本発明は、前記第一保持体17に形成された第一雄螺子部25と、前記容器本体15に形成された第二雄螺子部28とが、前記キャップ16に形成された共通の雌螺子部23と螺合するので、前記キャップ16の構造を単純化して安価に構成することができるものである。
【0036】
更に、本発明は、前記キャップ16の内面と前記フランジ部18Aの間にOリング21を設けたことで、前記液体容器8を前記ドライヤー本体3から取り外した際に、前記キャップ16とフランジ部18Aとの間が前記Oリング21によってシールされるので、前記容器本体15から前記第一保持体17と第二保持体18との間を通った水が、前記キャップ16の外に漏れるのを防ぐことができるものである。
【0037】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、霧化装置を構成する超音波振動子は、ドライヤー本体に固定されるが、前記超音波振動子をユニット化し、ドライヤー本体に対し着脱可能に取り付けるようにしてもよい。また、上記実施形態では、前記霧化装置は前記ドライヤー本体の上部に設けられるが、前記霧化装置をドライヤー本体の下部或いは側部に設けてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 ドライヤー
2 霧化装置
3 ドライヤー本体
4 吹出口
6 超音波振動子
8 液体容器
14 キャップ組立体
15 容器本体
16 キャップ
17 第一保持体
17A フランジ部
18 第二保持体
18A フランジ部
19 導液体
20 圧縮コイルバネ(付勢手段)
21 Oリング
22 貫通孔
23 雌螺子部
24 貫通孔
25 第一雄螺子部
28 第二雄螺子部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹出口が設けられたドライヤー本体を有するドライヤーにおいて、
前記ドライヤー本体に着脱可能に取り付けられる液体容器及び前記ドライヤー本体の前記吹出口近傍に設けられる超音波振動子とを有し、前記液体容器内の液体を前記超音波振動子によって霧化する霧化装置を設けると共に、この霧化装置を、霧化された液体を前記吹出口から吹き出される気流と合流させるよう配置したことを特徴とするドライヤー。
【請求項2】
前記液体容器が、容器本体と、この容器本体に対して出没可能に取り付けられる導液体と、この導液体を外方に付勢する付勢手段とを有して構成されると共に、前記液体容器を前記ドライヤー本体に取り付けた際に、前記付勢手段の付勢力によって前記導液体が前記超音波振動子に押し付けられるように構成されることを特徴とする請求項1記載のドライヤー。
【請求項3】
前記液体容器が、前記容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップ組立体を有し、このキャップ組立体が、貫通孔が形成されたキャップと、このキャップに取り付けられると共に貫通孔が形成された第一保持体と、前記導液体を保持すると共にフランジ部を有する第二保持体とを有し、この第二保持体が、前記フランジ部が前記キャップと第一保持体との間に位置するように、前記各貫通孔に通されて前記キャップと第一保持体に保持されると共に、前記第一保持体とフランジ部との間で前記付勢手段が挟持されることを特徴とする請求項2記載のドライヤー。
【請求項4】
前記キャップが雌螺子部を有し、前記第一保持体が前記雌螺子部と螺合する第一雄螺子部を有すると共に、前記容器本体が前記雄螺子部と螺合する第二雄螺子部を有することを特徴とする請求項3記載のドライヤー。
【請求項5】
前記キャップの内面と前記フランジ部の間にOリングを設けたことを特徴とする請求項3記載の霧化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−179086(P2012−179086A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42251(P2011−42251)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】