説明

ドライヤー

【課題】薬剤等の液体を滴下させることなく、手間なく均等に吹き付けながら頭髪等を乾燥させることができるドライヤーを提供すること。
【解決手段】吹出口4が設けられたドライヤー本体3を有するドライヤー1において、前記ドライヤー本体3に対し着脱可能な液体容器9内の薬剤等の液体を前記吹出口4近傍に設けられた超音波振動ユニット7の超音波振動子30によって霧化する霧化装置2を設け、前記超音波振動ユニット7を構成するユニットケーシング31における前記超音波振動子30の下流側に設けられた吹出孔36の下流側周囲に、この吹出孔36と連通する吹出路6Aを有する吸液体6を設けると共に、内壁36Aに前記超音波振動子30から吸液体6に向かって延びる細溝37を形成したことで、前記吹出孔36の内壁36Aで発生した液滴が、毛細管現象により前記細溝37を通って前記吸液体6に吸収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭髪等を乾燥させるためのドライヤーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のドライヤーとして、ドライヤー本体の吹出口に取り付けられるノズルに芳香剤収容部を設け、この芳香剤収容部に芳香剤を収容し、ドライヤーの熱で芳香剤を気化させて、熱風と共に芳香剤を髪に送るようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4541987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなドライヤーは、頭髪に香りを付ける程度の量の芳香剤であれば十分実用的であるが、比較的大量に用いられる薬剤(例えば、毛髪補修剤等)を芳香剤収容部に収容して使用するのは実用的でなかった。特に、このような薬剤は、ドライヤーのヒータが発生させた熱によって、成分濃度が変わったり変質してしまったりする虞があるので、従来のドライヤーの芳香剤収容部に収容して使用することができなかった。そもそも、熱によって気体となった薬剤は、頭髪に付着しにくいので、頭髪に対し期待される薬剤の作用を奏さない虞がある。このため、熱を与えずに超音波振動子の振動によって薬剤を霧化させてミストとし、このミストを頭髪に吹き付けながら頭髪を乾燥させることが考えられる。しかしながら、このような方式では、吹き出されたミストが、このミストの吹出口の内壁に衝突して液滴となり、滴下してしまう虞がある。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、薬剤等の液体を滴下させることなく、手間なく均等に吹き付けながら頭髪等を乾燥させることができるドライヤーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載のドライヤーは、吹出口が設けられたドライヤー本体を有するドライヤーにおいて、このドライヤーに霧化装置を設け、この霧化装置が、前記ドライヤー本体に着脱可能に取り付けられる液体容器と、前記ドライヤー本体の前記吹出口近傍に設けられて前記液体容器内の液体を霧化する超音波振動ユニットとを有し、この超音波振動ユニットが、超音波振動子と、この超音波振動子の下流側に吹出孔を有するユニットケーシングとを有すると共に、このユニットケーシングの吹出孔と連通する吹出路を有する吸液体を前記吹出孔の下流側の周囲に設け、この吹出孔の内壁に、前記超音波振動子から吸液体に向かって延びる細溝を形成したものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載のドライヤーは、請求項1において、前記ドライヤー本体にハンドルを設けると共に、前記細溝を、前記吹出孔の内壁における前記ハンドル側の端部に設けたものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載のドライヤーは、請求項2において、前記細溝を、前記吹出孔の前記ハンドル側半部に周方向に並べて複数形成したものである。
【0009】
また、本発明の請求項4に記載のドライヤーは、請求項3において、前記細溝を、前記吹出孔の全周に亘って周方向に並べて複数形成したものである。
【0010】
また、本発明の請求項5に記載のドライヤーは、請求項1において、前記細溝を、前記吹出孔の内壁における使用時下端部となる位置に形成したものである。
【0011】
更に、本発明の請求項6に記載のドライヤーは、請求項1乃至5の何れか一項において、前記吸液体の上流側端面を、前記細溝の底部の下流端に対向させて設けたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載のドライヤーは、以上のように構成することにより、前記ユニットケーシングの吹出孔の内壁で液滴が発生しても、この液滴が毛細管現象によって前記細溝を通って前記吸液体に流れ、この吸液体に吸収される。このため、前記液滴は、前記ミスト吹出口から滴下しない。
【0013】
なお、前記ドライヤー本体にハンドルを設けると共に、前記細溝を、前記吹出孔の内壁における前記ハンドル側の端部に設けることで、発生した液滴が重力によって前記細溝に導かれるので、通常の使用において前記液滴を前記吸液体に吸収させることができる。
【0014】
また、前記細溝を、前記吹出孔の前記ハンドル側半部に周方向に並べて複数形成することで、使用者が自身の頭髪を乾燥させるために前記ドライヤーを大きく動かすことがあったとしても、発生した液滴が重力によって何れかの前記細溝に導かれるので、液滴を前記吸液体に吸収させることができる。
【0015】
また、前記細溝を、前記吹出孔の全周に亘って周方向に並べて複数形成することで、自身ばかりでなく他者の頭髪を乾燥させるために前記ドライヤーを大きく動かすことがあったとしても、発生した液滴が重力によって何れかの前記細溝に導かれるので、液滴を前記吸液体に確実に吸収させることができる。
【0016】
また、前記細溝を、前記吹出孔の内壁における使用時下端部となる位置に形成することで、発生した液滴が重力によって前記細溝に導かれるので、前記液滴を前記吸液体に吸収させることができる。
【0017】
更に、前記吸液体の上流側端面を、前記細溝の底部の下流端に対向させて設けることで、前記細溝を流れる液体を、前記細溝の下流端で再び液滴とさせず、前記吸液体にスムーズに吸収させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一の実施形態を示すドライヤーの正面図である。
【図2】同、平面図である。
【図3】同、霧化装置の概略説明図である。
【図4】同、液体容器の拡大断面図である。
【図5】同、容器本体からキャップ組立体を取り外した状態における液体容器の拡大断面図である。
【図6】同、キャップ組立体の分解断面図である。
【図7】同、キャップの拡大断面図である。
【図8】同、第一保持体の拡大断面図である。
【図9】同、第二保持体及び導液体の拡大断面図である。
【図10】同、液体容器の分解斜視図である。
【図11】同、超音波振動ユニットを下流側から見た外観図である。
【図12】同、超音波振動ユニットのA−A断面図である。
【図13】本発明の第二の実施形態を示すドライヤーの超音波振動ユニットを下流側から見た外観図である。
【図14】本発明の第三の実施形態を示すドライヤーの超音波振動ユニットを下流側から見た外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図12に基づいて説明する。なお、以下の説明において、「液体」とは、頭髪に作用する薬剤等の他、水等も含む。1は、霧化装置2が組み込まれたドライヤーである。このドライヤー1は、そのドライヤー本体3に吹出口4とミスト吹出口5が設けられる。なお、前記ミスト吹出口5は、前記吹出口4の上方に、前記吹出口4とは独立して設けられる。そして、前記ミスト吹出口5の内側には、吸液体6及び超音波振動ユニット7が設けられる。また、前記ドライヤー本体3の上部には、取付凹部8が形成され、この取付凹部8に液体容器9が着脱可能に取り付けられる。更に、前記ドライヤー本体3には、前記霧化装置2を作動させる図示しない制御回路を操作するための操作スイッチ10が設けられる。このように、前記ミスト吹出口5及び取付凹部8が形成された前記ドライヤー本体3、このドライヤー本体3の取付凹部8に対し着脱可能に取り付けられる前記液体容器9、前記ドライヤー本体3に設けられる前記超音波振動ユニット7、前記制御回路及び前記操作スイッチ10によって、前記霧化装置2が構成される。更に、前記取付凹部8の上方に、前記液体容器9を覆うカバー体11が、前記ドライヤー本体3に対し着脱可能に取り付けられる。また、前記ドライヤー本体3には、前記カバー体11の指掛け部12に指を掛けるための凹部13が形成される。
【0020】
前記液体容器9について詳述する。この液体容器9は、キャップ組立体14と、容器本体15とで構成される。そして、前記キャップ組立体14は、キャップ16と、第一保持体17と、第二保持体18と、導液体19と、圧縮コイルバネ20と、Oリング21とを組み立てることで構成される。そして、前記キャップ組立体14は、前記各構成部品によって組み立てられた状態のまま、前記容器本体15に対して着脱可能に取り付けられる。従って、前記容器本体15に液体を注入するために前記キャップ組立体14を前記容器本体15から取り外したとしても、前記キャップ組立体14を構成する各部品は組み立てられたままの状態であり、給液の度に前記キャップ組立体14を分解したり組み立てたりする必要がない。
【0021】
前記キャップ16には、貫通孔22及び雌螺子部23が形成される。なお、前記貫通孔22の内径D1は、前記第二保持体18の外径D2よりも僅かに大きく、且つ前記第二保持体18の外面に形成されたフランジ部18Aの外径D3よりも小さく形成される。
【0022】
前記第一保持体17は、略中空円筒状に形成される。そして、前記第一保持体17の内径D4は、前記フランジ部18Aの外径D3よりも大きく形成される。また、前記第一保持体17の一端側には、内向きのフランジ部17Aが形成されると共に、このフランジ部17Aの中央に貫通孔24が形成される。また、前記第一保持体17は、その他端側に拡径部17Bが形成され、この拡径部17Bに第一雄螺子部25が形成される。なお、前記貫通孔24の内径D5は、前記貫通孔22の内径D1とほぼ等しく、前記第二保持体18の外径D2よりも僅かに大きく、且つ前記フランジ部18Aの外径D3よりも小さく形成される。また、前記拡径部17Bの外径D6は、前記容器本体15の後述する口部27の外径D7とほぼ等しく形成される。更に、前記第一雄螺子部25は、前記雌螺子部23に対応して形成される。従って、前記第一保持体17は、前記雌螺子部23に前記第一雄螺子部25を螺合させることによって、前記キャップ16に取り付けられる。
【0023】
前記第二保持体18は、その一端が閉じると共に他端が開口した略中空円筒状に形成される。そして、前記第二保持体18は、その内部空間に前記導液体19が保持されるように構成される。また、前述したように、前記第二保持体18の外面には、前記フランジ部18Aが形成される。そして、このフランジ部18Aは、前記第二保持体18の外面の他端寄りに形成される。また、前記第二保持体18の一端寄りの部分には、複数の通液孔26が形成される。なお、前記第二保持体18の内径D8は、前記導液体19の外径D9と同じか又は僅かに大きく形成される。また、前記第二保持体18の開口部18Bから底部18Cまでの長さL1は、前記導液体19の長さL2よりも小さく形成される。従って、前記導液体19は、その一端が前記底部18Cに当接するよう前記第二保持体18に挿入しても、その他端が前記開口部18Bから突出する。更に、前述したように、前記第二保持体18の外径D2は、前記キャップ16の貫通孔22の内径D1及び前記第一保持体17の貫通孔24の内径D5よりも僅かに小さい。また、前記フランジ部18Aの外径D3は、前記貫通孔22の内径D1及び前記貫通孔24の内径D5よりも大きく形成される。このため、前記第二保持体18は、その一端側が前記第一保持体17の貫通孔24を通って突出し、その他端側が前記キャップ16の貫通孔22を通って突出するようにして、前記キャップ16の雌螺子部23と前記第一保持体17の第一雄螺子部25を螺合させることで、前記キャップ16と第一保持体17とで軸方向に移動可能に保持される。
【0024】
前記導液体19は、フェルト等の、吸液性、通液性及び保液性に優れた材質によって略円筒状に形成される。また、前記圧縮コイルバネ20は、その一端が前記第一保持体17のフランジ部17Aに当接すると共に、その他端が前記第二保持体18のフランジ部18Aに当接するように、前記第一保持体17と第二保持体18の間に設けられる。更に、前記Oリング21は、前記キャップ16の内面と前記第二保持体18のフランジ部18Aとの間に設けられる。
【0025】
前記容器本体15は、透明な又は透光性を有する材質によって、口部27を有する瓶形状に形成される。そして、この容器本体15の口部27には、第二雄螺子部28が形成される。なお、この第二雄螺子部28は、そのピッチ及び螺子山の高さが前記第一雄螺子部25とほぼ等しく形成される。また、前述したように、前記口部27の外径D7は、前記拡径部17Bの外径D6とほぼ等しく形成される。従って、前記第一雄螺子部25と第二雄螺子部28は、共通の前記雌螺子部23と螺合可能に構成される。このため、前記キャップ16は、一つの前記雌螺子部23のみを形成すればよいので、構造が単純となり安価に構成することができる。
【0026】
次に、前記吸液体6について詳述する。この吸液体6は、フェルト等の、吸液性及び保液性に優れた材質を型で打ち抜くことによって、中央部に吹出路6Aを有する略筒状に構成される。そして、この吸液体6は、前記ドライヤー本体3のミスト吹出口5に形成された保持部29に保持される。
【0027】
次に、前記超音波振動ユニット7について詳述する。この超音波振動ユニット7は、前記ドライヤー本体3に対し着脱可能に取り付けられる。そして、前記超音波振動ユニット7は、前記ドライヤー本体3に取り付けられた状態において、前記吸液体6の端縁に当接する。なお、前記ドライヤー本体3から前記超音波振動ユニット7を取り外すことで、前記吸液体6が前記保持部29に対し着脱可能となる。そして、前記超音波振動ユニット7は、平板状の超音波振動子30と、ユニットケーシング31と、シール部材32とを有する。前記超音波振動子30の中央部には、多数の微小な貫通孔Pが形成される。一方、前記超音波振動子30の外周部は、前記ユニットケーシング31及びシール部材32によって保持される。前記ユニットケーシング31は、第一半体33と第二半体34とを有して構成される。そして、前記第一半体33には、挿入孔35が形成される。そして、この挿入孔35から、前記超音波振動子30の中央部が前記取付凹部8に露出すると共に、前記挿入孔35の開口端に前記シール部材32の当接部32Aが配置される。この当接部32Aは、前記取付凹部8に前記液体容器9を取り付けた際に、この液体容器9のキャップ16と接するように構成される。また、前記取付凹部8に前記液体容器9を取り付けた際に、前記導液体19の他端は前記超音波振動子30の一面側に当接する。一方、前記第二半体34には、吹出孔36が形成される。そして、前記超音波振動子30が発生させた液体のミストは、前記吹出孔36を通って吹き出されるように構成される。即ち、前記ミストの流れに対し、前記吸液体6は前記吹出孔36の下流側となる。なお、前記吹出孔36は、前記吸液体6側が広くなるように形成される。また、前記吹出孔36は、前記吸液体6の吹出路6Aと同軸となるように形成される。更に、前記吹出孔36の内壁36Aには、全周に亘って、前記超音波振動子30の他面側から前記吸液体6に向かって延びるように、複数の細溝37が形成される。なお、本例では、前記細溝37は、前記吹出孔36の内壁36Aの全周に亘って、等角度間隔で12本形成したが、前記細溝37の本数は適宜設定可能である。また、前記吹出孔36の下流端における中心から前記細溝37の底37A迄の距離R1は、前記吸液体6の吹出路6Aの半径R2よりも大きく、且つ、前記吸液体6の外周面の半径R3よりも小さい。即ち、前記吹出孔36の下流端において、前記細溝37の底37Aは、前記吸液体6の上流側端面6Bと対向する。
【0028】
なお、38は前記ドライヤー本体3に対して折り畳み可能に取り付けられたハンドル、39は前記ハンドル38に設けられた主操作スイッチ、40は電源コードである。
【0029】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、前記ドライヤー本体3の凹部13に指を入れて前記カバー体11の指掛け部12に指を掛け、前記カバー体11を取り外す。そして、前記ドライヤー本体3に形成された取付凹部8から、前記液体容器9を取り外す。
【0030】
そして、前記液体容器9から前記キャップ組立体14を取り外す。そして、このキャップ組立体14が取り外された前記容器本体15の口部27から、前記容器本体15内に液体を注入する。そして、液体が注入された前記容器本体15の口部27に、前記キャップ組立体14を再び取り付ける。この状態で、前記キャップ組立体14を構成する前記第二保持体18及び導液体19は、前記圧縮コイルバネ20によって軸方向外側へ付勢されることで、最も外側に突出した状態となる。また、この際、前記第二保持体18が前記圧縮コイルバネ20に押されて前記キャップ16の方向に移動することによって、前記Oリング21は、前記キャップ16の内面と前記フランジ部18Aによって挟まれて双方に密着する。これによって、前記第一保持体17の内面と前記フランジ部18Aの隙間から、前記貫通孔22と前記第二保持体18の隙間を通って前記液体容器9内の水が漏れることが防止される。また、前記液体容器9内の液体は、前記第二保持体18に形成された通液孔26を通って前記導液体19に吸収され、この導液体19に保持される。従って、前記導液体19から前記液体容器9内の液体が漏れることも防止される。更に、前記第二保持体18及び導液体19は、前記圧縮コイルバネ20の付勢力に抗して、軸方向内側に押し込むことができる。即ち、前記第二保持体18及び導液体19は、前記容器本体15に対して出没可能である。
【0031】
そして、このように液体が注入された前記液体容器9を、前記ドライヤー本体3の取付凹部8に再び取り付ける。この際、前記導液体19の他端が前記超音波振動子30の一面側に接触すると共に、前記導液体19及び第二保持体18が、前記圧縮コイルバネ20の付勢力に抗して前記液体容器9の内側へ押し込まれる。従って、前記導液体19は、前記圧縮コイルバネ20の付勢力によって前記超音波振動子30に押し付けられる。そして、前記超音波振動子30に前記導液体19が押し付けられることで、この導液体19に保持された液体が、前記超音波振動子30に形成された多数の微小な貫通孔Pに流れ込み、保持される。また、前記シール部材32の当接部32Aは、前記液体容器9のキャップ16の外面に接触する。これによって、前記超音波振動子30と導液体19は、前記シール部材32とキャップ16の外面とによって囲まれる。そして、前記液体容器9を覆うように、前記ドライヤー本体3に前記カバー体11を再び取り付ける。
【0032】
そして、前記ハンドル38を起こした後、前記電源コード40の先端に設けられた図示しない電源プラグを、同じく図示しない交流電源のアウトレットに接続する。そして、前記主操作スイッチ39を操作することによって、前記吹出口4から温風又は冷風が吹き出される。そして、前記ハンドル38を把持して前記吹出口4を頭部に向け、温風又は冷風を頭髪に吹き付けることで、髪を乾燥させたりセットしたりすることができる。
【0033】
そして、頭髪にミスト(霧化された液体)を吹き付ける場合、使用者は、前記操作スイッチ10を操作することで、図示しない制御回路によって、前記超音波振動子30を振動させる。そして、この超音波振動子30が振動することによって、前記超音波振動子30に形成された多数の微小な貫通孔Pに保持された液体が、前記超音波振動子30の他面側で霧化し、前記ユニットケーシング31に形成された吹出孔36及び前記吸液体6に形成された吹出路6Aを通過して、前記ミスト吹出口5から吹き出される。この際、前述したように、前記導液体19の他端が、前記圧縮コイルバネ20の付勢力によって前記超音波振動子30の一面側に押し付けられるので、この超音波振動子30の一面側と前記導液体19の他端との接触状態を良好に保つことができる。このため、前記導液体19に保持された液体を、前記超音波振動子30に確実に送り、良好に霧化させることができる。そして、霧化された液体を補うように、前記超音波振動子30の多数の微小な貫通孔Pへ前記導液体19の他端側に保持された液体が移動し、この導液体19の他端側へ一端側に保持された液体が移動すると共に、前記導液体19の一端側へ、前記液体容器9内の液体が、前記第二保持体18の通液孔26を通って移動する。このようにして、前記液体容器9の液体が、前記超音波振動子30によって順次霧化させられる。そして、前記ミスト吹出口5から吹き出されたミストは、前記吹出口4から吹き出された気流と合流し、この気流と共に頭髪に吹き付けられる。頭髪に吹き付けられたミストは、傷んだ頭髪を補修したり、頭髪に艶を与えたりする。
【0034】
前述した通り、前記液体容器9は、前記ドライヤー本体3に設けられた前記取付凹部8に設置され、前記ドライヤー1の送風経路から隔離される。このため、前記液体容器9内の液体は、前記ドライヤー1の図示しないヒータによって高温に加熱されることがない。従って、霧化前の前記液体容器9内の液体は、前記ヒータからの熱による影響を殆ど受けない。一方、前述した通り、液体の霧化は、前記超音波振動子30によって行われ、前記ヒータの熱が関与しない。なお、前記ミスト吹出口5から吹き出されたミストは、前記吹出口4から吹き出された気流が熱風である場合、その熱の影響を受けることになる。しかしながら、ミストが熱の影響を受けるのは、前記ミスト吹出口5から吹き出されてから頭髪に至るまでの短時間であり、影響を最小限に抑えることができる。
【0035】
なお、前記導液体19に保持された液体の一部は、前記導液体19の周囲で霧化してミストとなる可能性がある。しかしながら、前述したように、前記超音波振動子30の周囲が前記シール部材32によって囲まれていると共に、このシール部材32の先端が、前記取付凹部8に前記液体容器9を取り付けた際に前記キャップ16と接するので、前記ミストは、前記超音波振動子30と前記シール部材32と前記キャップ16とで囲まれた空間から、前記取付凹部8とカバー体11とで囲まれた空間へ漏れることがない。また、前記ミストの一部は、前記空間から前記超音波振動子30の貫通孔Pを通過して、前記ミスト吹出口5から吹き出される。更に、前記ミストの一部は、前記導液体19に吸収された後、再び前記超音波振動子30の貫通孔Pを通過して、この超音波振動子30で霧化させられて、前記ミスト吹出口5から吹き出される。
【0036】
一方、前記超音波振動子30が発生させたミストは、前記吹出孔36の内壁36Aに衝突して多数の細かい液滴となる場合がある。そして、これらの液滴が集まって大きな液滴に成長すると、前記ミスト吹出口5から滴下して周囲を濡らす虞がある。しかしながら、前述した通り、前記吹出孔36の内壁36Aに複数の細溝37を形成したことで、毛細管現象によって、液滴が前記細溝37に導かれて、前記吸液体6に吸収される。そして、この吸液体6によって薬剤等の液体が保持される。これによって、液滴となった液体が前記ミスト吹出口5から滴下するのを阻止することができる。また、前記吹出孔36の内壁36Aの全周に亘って、複数の細溝37を等角度間隔で形成したことで、使用者自身のみならず、使用者が他者の頭髪を乾燥させるような場合において、ドライヤー1をどのような姿勢にしても、(例えば、ハンドル38が上になるような姿勢にしても、)液滴がミスト吹出口5から滴下することがない。また、前述した通り、前記吹出孔36の下流端において、前記細溝37の底37Aが、前記吸液体6の上流側端面6Bと対向するので、前記細溝37に導かれた液滴を、前記細溝37の下流端に溜めずに前記吸液体6に確実に吸収させることができる。なお、前記吸液体6に吸収された液体のうち、揮発可能な成分は、自然乾燥する。また、長期間使用することで、前記吸液体6が汚れたり多くの不揮発性成分を吸収したりした場合、前記ドライヤー本体3から前記超音波振動ユニット7を取り外すことで、前記吸液体6を交換することができる。
【0037】
以上のように本発明は、吹出口4が設けられたドライヤー本体3を有するドライヤー1において、液体容器9内の薬剤等の液体を、超音波振動子30とこの超音波振動子30の下流側に吹出孔36が形成されたユニットケーシング31とを有して構成される超音波振動ユニット7によって霧化する霧化装置2を設け、前記液体容器9を、前記ドライヤー本体3に着脱可能に取り付け、前記超音波振動ユニット7を、前記ドライヤー本体3の前記吹出口4近傍に設け、前記吹出孔36と連通する吹出路6Aを有する吸液体6を前記吹出孔36の下流側の周囲に設けると共に、この吹出孔36の内壁36Aに、前記超音波振動子30から吸液体6に向かって延びる細溝37を形成したことで、前記吹出孔36の内壁36Aで液滴が発生して成長しても、この液滴が毛細管現象によって前記細溝37を通って前記吸液体6に流れ、この吸液体6に吸収されるので、発生した液滴を前記ミスト吹出口5から滴下させないようにすることができるものである。
【0038】
また、本発明は、前記ドライヤー本体3にハンドル38を設けると共に、前記細溝37を、通常の使用時に下端部となる前記吹出孔36の内壁36Aにおける前記ハンドル38側の端部に設けることで、発生した液滴が重力によって前記細溝37に導かれるので、通常の使用において液滴を前記吸液体6に吸収させて滴下させないようにすることができるものである。
【0039】
また、本発明は、前記細溝37を、前記吹出孔36の内壁36Aにおける前記ハンドル38側の半部に、周方向に並べて複数形成することで、使用者が自身の頭髪を乾燥させるために前記ドライヤー1を大きく動かすことがあったとしても、発生した液滴が重力によって何れかの前記細溝37に導かれるので、液滴を前記吸液体6に吸収させることができるものである。
【0040】
また、本発明は、前記細溝37を、前記吹出孔36の内壁36Aの全周に亘って周方向に並べて複数形成することで、使用者自身ばかりでなく他者の頭髪を乾燥させるために前記ドライヤー1を大きく動かすことがあったとしても、発生した液滴が重力によって何れかの前記細溝37に導かれるので、液滴を前記吸液体6に確実に吸収させることができるものである。
【0041】
更に、本発明は、前記吸液体6の上流側端面6Bを、前記細溝37の底部37Aの下流端に対向させて設けることで、前記細溝37を流れる液体を、前記細溝37の下流端で再び液滴とさせず、前記吸液体6にスムーズに吸収させることができるものである。
【0042】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、ドライヤーを使用者が自身のみならず他者に対して使用する場合も考慮し、細溝を吹出孔の内壁の全周に亘って複数形成したが、使用者が自身の頭髪の乾燥にのみ使用するのであれば、ハンドルが上となるように把持することが殆どないので、図13に示すように、細溝を吹出孔の内壁の下半部及びその周辺程度の範囲に設けたとしても、殆どの場合は十分である。また、ドライヤーが据え置き型の場合、ドライヤーの上下が決まっているので、図14に示すように、吹出孔の内壁の下部にのみ細溝を形成すれば十分である。更に、本発明のドライヤーは、ヘアドライヤーのみならず、人体の他の部位を乾燥させるためのドライヤーに採用してもよい。(例えば、乾燥対象を手等とし、ミストとして供給される液体を美容液としてもよい。)
【符号の説明】
【0043】
1 ドライヤー
2 霧化装置
3 ドライヤー本体
4 吹出口
6 吸液体
6B 上流側端面
7 超音波振動ユニット
9 液体容器
30 超音波振動子
31 ユニットケーシング
36 吹出孔
36A 内壁
37 細溝
37A 底部
39 ハンドル
P 小孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹出口が設けられたドライヤー本体を有するドライヤーにおいて、
このドライヤーに霧化装置を設け、
この霧化装置が、前記ドライヤー本体に着脱可能に取り付けられる液体容器と、前記ドライヤー本体の前記吹出口近傍に設けられて前記液体容器内の液体を霧化する超音波振動ユニットとを有し、
この超音波振動ユニットが、超音波振動子と、この超音波振動子の下流側に吹出孔を有するユニットケーシングとを有すると共に、
このユニットケーシングの吹出孔と連通する吹出路を有する吸液体を前記吹出孔の下流側の周囲に設け、この吹出孔の内壁に、前記超音波振動子から吸液体に向かって延びる細溝を形成したことを特徴とするドライヤー。
【請求項2】
前記ドライヤー本体にハンドルを設けると共に、前記細溝を、前記吹出孔の内壁における前記ハンドル側の端部に設けたことを特徴とする請求項1記載のドライヤー。
【請求項3】
前記細溝を、前記吹出孔の前記ハンドル側半部に周方向に並べて複数形成したことを特徴とする請求項2記載のドライヤー。
【請求項4】
前記細溝を、前記吹出孔の全周に亘って周方向に並べて複数形成したことを特徴とする請求項3記載のドライヤー。
【請求項5】
前記細溝を、前記吹出孔の内壁における使用時下端部となる位置に形成したことを特徴とする請求項1記載のドライヤー。
【請求項6】
前記吸液体の上流側端面を、前記細溝の底部の下流端に対向させて設けたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のドライヤー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−200370(P2012−200370A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66791(P2011−66791)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】