説明

ドライ洗浄装置及びドライ洗浄方法

【課題】紫外線照度及びオゾン濃度を安定化し被洗浄物に対して面内均一な洗浄を実施できるドライ洗浄装置及びドライ洗浄方法を提供する。
【解決手段】洗浄槽2内において、気体3の上流側から順に整流板5、紫外線ランプ6及び被洗浄物7を配置する。紫外線ランプ6は、254nm及び184nmの波長を有する紫外線を照射する。気体3中の酸素と184nmの紫外線により発生したオゾン及び254nmの紫外線により被洗浄物7を洗浄する。オゾン濃度及び254nmの紫外線照度は、オゾン濃度計9及びUV照度計10により夫々測定され、この測定結果に基づき流量制御19により気体3の流量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドライ洗浄装置及びドライ洗浄方法に関し、特に、紫外線照度及びオゾン濃度を安定化し被洗浄物に対して面内均一な洗浄を実施できるドライ洗浄装置及びドライ洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の技術の発展に伴い、化学的な極微量濃度の有機物により汚染されるチップ及び基板の搭載部の強度並びにワイヤボンダのボンディング強度及び樹脂の濡れ性についての要求も高まっている。これらの要求を満たすため、紫外線洗浄装置及びプラズマ洗浄装置のようなドライ洗浄装置が必要となってきている。
【0003】
このようなドライ洗浄装置のひとつであるドライ表面改質装置は、準密閉された空間の中で紫外線ランプにより照射される波長が254nmの紫外線(以下、「紫外線254」という。)と、酸素及び紫外線から生成されるオゾンとにより被洗浄物(基板)を洗浄するものである。このようなドライ洗浄装置については、紫外線照度とオゾン濃度とを適正且つ均一にするため、以下に示すように従来から種々の構造が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1の図3に記載されている従来のドライ洗浄装置では、構成物の上方からエキシマランプ、仕切り板、気体導入部及び被洗浄物という構造を採用している。また、基板搬送口からの気体を導入しつつ気体導入部から酸素ガスを注入してエキシマランプとの反応でオゾンを生成している。
【0005】
特許文献2の図2に記載されている従来のドライ洗浄装置では、構成物の上方から排気口、反射板、水銀ランプ(紫外線ランプ)、被洗浄物及び気体導入部という構造を採用している。このドライ洗浄装置においては、被洗浄物の下方から導入した気体及び発生したオゾンを、被洗浄物の上方に強制的に排気する構成としている。
【0006】
特許文献3の図1に記載されている従来のドライ洗浄装置では、生成されたオゾン濃度をサンプリングして紫外線ランプの照度を調整する制御が採用されている。また、特許文献4の図2に記載されている従来のドライ洗浄装置では、上下からガスを導入し、ガスの流れの順に、ガスを整流するメッシュプレート、紫外線ランプ及び被洗浄物となるように構成されている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−18742号公報(図3)
【特許文献2】特開平8−222537号公報(図2)
【特許文献3】特開2002−79203号公報(図1)
【特許文献4】特開昭59−161824号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の各特許文献に記載されたドライ洗浄装置には以下に示すような問題点がある。先ず、特許文献1の従来のドライ洗浄装置においては、気体はノズルによって基板に対して水平方向から導入されており、ノズルの気体出口は基板の搬送方向に向かって後方に位置している。これにより、ノズル先端(基板の後方側)とノズル先端から遠い位置(基板の前方側)とではオゾン濃度に勾配ができると考えられる。このため、ノズルから供給される酸素ガスの流量が少ないときには、酸素はエキシマ照射によりオゾン生成に使用されるため、基板前方側に行くほど酸素濃度が低下してしまい生成されるオゾン濃度が低下するという問題点がある。逆に、酸素ガスの流量が多すぎるとオゾンが生成される前に基板前方側に流れてしまうため、オゾン濃度の面内均一性が保たれないという問題点がある。
【0009】
また、特許文献2の従来のドライ洗浄装置においては、気体が基板下方から供給されている。このため、基板表面付近に均一なオゾンが供給されにくく安定した洗浄性が得られにくいという問題点がある。また、酸素と紫外線とにより生成したオゾンは分解して酸素に戻るが、空気より比重の重いオゾンを上方から排気する構造は安全面からも課題がある。
【0010】
更に、特許文献3の従来のドライ洗浄装置においては、紫外線センサがオゾンの影響により劣化するため、オゾン濃度のみを測定して洗浄条件を制御している。しかしながら、これでは紫外線照度が必ずしも最適な条件とはならず、洗浄条件が不安定になるという問題点がある。
【0011】
更にまた、特許文献4の従来のドライ洗浄装置においては、洗浄により生成したガス状の物質を強制的には排気していないため、被洗浄物に再付着する可能性がある。
【0012】
この他に、従来のドライ洗浄装置には、以下に示すような問題点があった。例えば、洗浄に必要な紫外線254の照度は紫外線ランプとの距離に比例して低下するため、通常基板と10〜30mm程度の距離を有するように配置されている。その場合、紫外線ランプが発生する熱で基板の表面温度が100℃以上に上昇する場合があり、熱に弱い基板に対しては冷却が必要となる。これに対しては、冷却効果を狙って大気を導入もしくは強制排気する方法があるが、これでは洗浄槽の内部温度及び発生するオゾン濃度が安定しないという問題点があった。逆に、密閉空間で紫外線ランプを連続照射すると、オゾン濃度が上昇しすぎて紫外線254の照度が低下し、基板の洗浄効果が低下するという問題点があった。
【0013】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、紫外線照度及びオゾン濃度を安定化し被洗浄物に対して面内均一な洗浄を実施できるドライ洗浄装置及びドライ洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るドライ洗浄装置は、酸素を含む気体と被洗浄物を封止する洗浄槽と、前記被洗浄物に照射されるとともに、前記酸素を化学反応させてオゾンを発生させる紫外線を照射する紫外線照射手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明においては、洗浄槽の内部に封止された被洗浄物に紫外線を照射するとともに、気体に含まれている酸素と紫外線とを化学反応させることによりオゾンを発生させることができる。これらの紫外線とオゾンとにより例えば被洗浄物の表面に付着している極微量の有機物等を洗浄することができる。
【0016】
この場合に、前記被洗浄物の直下に排気ダクトを備えることとしてもよい。これにより、洗浄によって生成したガスを含む気体が被洗浄物の直下に配置された排気ダクトから排出される。このため、洗浄により生じた汚染物質が被洗浄物に再付着するのを防止することができ好ましい。
【0017】
また、前記紫外線照射手段は、前記被洗浄物の上方から前記紫外線を照射するように配置されているように構成することができ、複数回往復して折り曲げられたような形状を有する紫外線ランプを含んでいてもよい。このように構成された紫外線ランプを被洗浄物の上方に配置することで、基板等の被洗浄物表面に均一に紫外線を照射することができる。
【0018】
更に、前記被洗浄物の上方に、前記気体を通過させる複数の孔を含むパンチングパネルを備えることとしてもよい。これにより、オゾンを含む気体がパンチングパネルの複数の孔から分岐して被洗浄物に給気されるので、被洗浄物の面内に均一にオゾンが給気されることとなる。このため、安定した洗浄効果を得ることができる。また、紫外線ランプから照射された紫外線がパンチングパネルで反射して被洗浄物に照射されることで、紫外線の照射効率を高め、また、被洗浄物に対する洗浄効果の均一化を促進することができる。
【0019】
更にまた、前記洗浄槽の内部に、前記オゾンの濃度を取得するオゾン濃度取得手段と、前記紫外線の照度を取得する紫外線照度取得手段を備えることとしてもよい。高い洗浄効果を得るためには、オゾン濃度及び紫外線照度の両方が最適洗浄範囲内にあることが必要である。本発明においては、洗浄槽内のオゾン濃度及び紫外線照度の両方を取得することにより、夫々を最適洗浄範囲内に制御することができるため好ましい。
【0020】
更にまた、前記洗浄槽内部の熱を放熱させる放熱手段を備えることとしてもよい。これにより、洗浄槽内部の温度が高くなりすぎて被洗浄物が影響を受けたり紫外線ランプの寿命が短くなったりするのを防止することができる。また、洗浄に使用されない外気を導入して冷却することにより、洗浄槽内部において安定した洗浄効果が得られる。
【0021】
更にまた、前記洗浄槽に設けられた搬入口と、この搬入口から前記被洗浄物を搬送するための搬送機構と、前記搬入口を開閉するためのシャッタを有するように構成することができる。この場合に、前記搬送機構と前記被洗浄物との間に紫外線を遮蔽するための遮光板を有していてもよい。これにより、例えば搬送機構の可動部が紫外線の影響により動作不良を起こす等の不具合を防止することができる。
【0022】
本発明に係るドライ洗浄方法は、酸素を含む気体と被洗浄物を封止した洗浄槽の内部において、紫外線を前記酸素に照射して化学反応によりオゾンを発生させ、前記紫外線を前記被洗浄物に照射するとともに、前記オゾンを含む前記気体を前記被洗浄物に給気して前記被洗浄物を洗浄することを特徴とする。
【0023】
この場合に、前記気体を、前記被洗浄物の直下に備えた排気ダクトから排出させることとすることができる。
【0024】
また、前記紫外線を、前記被洗浄物の上方から前記被洗浄物に照射することができる。
【0025】
更に、前記被洗浄物の上方に、前記気体を通過させる複数の孔を含むパンチングパネルを配置することができる。
【0026】
更にまた、前記洗浄槽の内部において、前記オゾンの濃度と前記紫外線の照度を取得し、前記オゾン濃度と前記紫外線照度が所定の範囲内になるように制御することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、紫外線照度及びオゾン濃度を安定化し被洗浄物に対して面内均一な洗浄を実施できるドライ洗浄装置及びドライ洗浄方法が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本第1実施形態に係るドライ洗浄装置の構成を模式的に示す図である。また、図2は、紫外線ランプの側から見た紫外線ランプと被洗浄物との位置関係を示す図であり、図3は、整流板を示す平面図である。
【0029】
図1に示すように、紫外線洗浄装置1は洗浄槽2を有している。この洗浄槽2の内部には、紫外線ランプ6及びその電極13が配置されている。電極13には、電極放熱ブロック14が設けられている。紫外線ランプ6は、波長が184nmの紫外線(以下、「紫外線184」という。)及び紫外線254を照射するものである。また、被洗浄物7は、これらの紫外線が照射されるような位置に配置されている。更に、整流板5は、紫外線ランプ6のランプ部を挟んで被洗浄物7と反対側に配置されている。なお、紫外線ランプ6のランプ部と被洗浄物7との位置関係は、紫外線ランプ6の側(図1の上側)から見て図2のようになっている。図2に示すように、紫外線ランプ6は、被洗浄物7に均一に紫外線が照射されるように複数回往復して折り曲げられたような形状を有している。また、整流板5は、図3に示すような多数の孔を有するパンチングパネルである。この整流板5は、例えばSUS等のステンレス鋼板からなり、その表面は、少なくとも紫外線ランプ6及び被洗浄物7に面する側が紫外線を反射するのに好適となるように表面処理又は仕上げが施されている。なお、整流板5として、パンチングパネルの他に例えばハニカム構造を有する多孔性の構造物を用いることもできる。
【0030】
図1に戻り、洗浄槽2には、吸気口等の気体3が導入されるような構成物が設けられているが、図1においてはこの吸気側の構成物は図示されていない。その代わりに気体3の流れが示されている。なお、気体3の流れについては後述する。また、被洗浄物7の直下には排気ダクト8が設けられている。
【0031】
その他、紫外線洗浄装置1にはオゾン濃度計9及びUV照度計10が設けられている。オゾン濃度計9及びUV照度計10は、洗浄槽2内部の被洗浄物7の近傍においてオゾン濃度及び紫外線照度を測定するものである。なお、UV照度計10のセンサ部は、石英カバー11によって覆われている。また、電極13又は電極放熱ブロック14には電極温度計16が設けられている。
【0032】
次に本実施形態の動作について説明する。図1において、吸気口等から洗浄槽2の内部に気体3が導入される。この気体3は、流量制御19により流量が制御されて被洗浄物7の洗浄に使用されるものと、電極13の冷却に使用されるものとに分けられる。前者の気体3は、洗浄槽2の内部に導入後、整流板5に設けられた多数の孔により、気体の流量が均一になるように分岐して整流板5を通過する。気体3は、この整流板5を通過することにより、気体の流れ17で示されるように均一な流れとなる。その後、紫外線ランプ6を通過した後気体3に紫外線184が照射されると、気体3中の酸素と紫外線184とによりオゾンが生成される。なお、このように生成されたオゾンは図1のオゾンの流れ18で示される。その後、オゾンは被洗浄物7を洗浄し、また一部は紫外線254により分解され、排気ダクト8から排気12として外部に排出される。また、後者(電極用冷却エア15)は、洗浄槽2の内部に導入後、電極放熱ブロック14を通過する際に電極13で発生した熱を冷却し、そのまま外部へ排出される。
【0033】
また、本実施形態によるドライ洗浄方法は、上記のオゾンによる他に、紫外線254によっても行われる。本実施形態においては、紫外線ランプ6により紫外線254が被洗浄物7に照射され、被洗浄物7はこの紫外線254により洗浄される。この紫外線254(及び紫外線184)は、整流板5の表面で反射され、この反射光によっても被洗浄物7は洗浄される。
【0034】
本実施形態においては、被洗浄物7及び紫外線ランプ6の上方に配置された整流板5を気体3が通過することにより、気体の流れ17が均一化され、紫外線184との化学反応により生成されたオゾンの流れ18も均一化される。これにより、被洗浄物7の表面の各部に均一な濃度のオゾンが給気されるため、洗浄効果を安定化させることができる。
【0035】
また、本実施形態においては、洗浄により生成したガスを含む気体は、被洗浄物の直下(気体3の下流側)に置かれた排気ダクトから排気される。これにより、気流が被洗浄物7の上側から下側に流れ被洗浄物7に汚染物質を再付着させることがないため、更に安定した洗浄性能を得ることができる。
【0036】
更に、本実施形態においては、紫外線ランプ6が被洗浄物7の上方に配置され、複数回往復して折り曲げられたような形状を有している。これにより、被洗浄物7に照射される紫外線254を均一化することができる。また、整流板5が紫外線を反射し、その反射光が被洗浄物7に照射されるため、これによっても紫外線照度の均一化が促進される。
【0037】
ところで、紫外線(例えば紫外線254)及びオゾンにより基板等を洗浄するドライ洗浄装置の場合、紫外線254の照度及びオゾン濃度の組み合わせについて最適な洗浄条件の範囲が存在する。図4は、横軸に気体の流量をとり縦軸に紫外線254の照度及びオゾン濃度をとって、気体の流量と最適洗浄条件との関係を模式的に示すグラフ図である。図4に示すように、洗浄力は紫外線254照度及びオゾン濃度がある条件範囲に入っているときに高い洗浄効果を示す範囲内となる。なお、紫外線254の照度だけが高くても洗浄性は悪く、オゾン濃度だけが高くても高い洗浄性能は得られない。
【0038】
本実施形態においては、洗浄槽2の内部にオゾン濃度計9及びUV照度計10を配置することにより、洗浄槽2の内部におけるオゾン濃度及び紫外線254の照度が測定される。この測定されたオゾン濃度及び紫外線254の照度と図4に示す最適洗浄条件とに基づいて、洗浄条件が最適洗浄条件の範囲内となるように、オゾン濃度及び紫外線254の照度を制御することができる。これにより、洗浄性能を最適洗浄条件の範囲内に安定させることができる。なお、UV照度計10のセンサ部は、洗浄槽2の内部に設置すると気体3中の酸素と紫外線184で生成したオゾンにより劣化してしまうため、石英ガラス11で覆うのが好適である。
【0039】
オゾン濃度及び紫外線254の照度の制御は、本実施形態においては気体3の流量制御19によって行われる。気体3の流れについて上述したように、準密閉空間で気体3に紫外線を照射し続けると紫外線184と酸素が反応してオゾンが生成される。また、オゾンは紫外線254によって分解される。このように、雰囲気中の酸素がオゾンに変換される量と、オゾンが紫外線254で分解される量とがバランスする状態でオゾン濃度が安定する。流量制御19において、オゾン濃度が図4に示す最適範囲より高い場合又は紫外線254の照度が低い場合には、導入気体3の流量を多くして酸素を供給する。反対に、オゾン濃度が低い場合又は紫外線254の照度が高い場合には、導入気体3の流量を少なくしてオゾンの生成量を制限するように制御する。
【0040】
この他、紫外線ランプは、連続点灯すると発熱し100度以上に達する。この熱は、被洗浄物7に伝達することで洗浄性及び被洗浄物7に悪影響を与える可能性があり、また、自己発熱により紫外線ランプ6自体の寿命を短くする可能性がある。本実施形態においては、電極放熱ブロック14に電極用冷却エア15を導入することで基板等の被洗浄物7及び紫外線ランプ6の品質の低下を防止することができる。これは、電極部に電極温度計16を設けて制御することにより、更に確実に行うことができる。
【0041】
なお、上述の本実施形態においては、一例として気体3の流量制御19によりオゾン濃度及び紫外線254の照度を制御することとしているが、オゾン濃度と紫外線254の照度とを別々に制御することとしてもよい。オゾン濃度については、例えば洗浄槽2内に導入する気体3をマスフローコントローラで制御することとしてもよく、単純なON/OFFバルブで気体の注入量を制御することとしてもよい。又は、排気系にダンパを設けて排気流量で制御しても良い。紫外線254の照度については、例えば電力をインバータ制御することとしてもよく、被洗浄物7との距離を変更して制御することとしてもよい。また、上記の制御方法を気体3の流量制御と併用することも勿論可能である。
【0042】
また、電極13の温度上昇抑制については、電極温度計16により測定された温度が設定以上の温度となった場合に電極用冷却エア15を導入するようにしてもよく、予め設定した流量以上となるように常に電極用冷却エア15を導入することとしてもよい。これらの場合に、電極13の冷却は、バイメタル等の安価な温度検出機構で電極用冷却エア15の制御をしてもよく、熱電対と温度調節機とで精密に制御してもよい。
【0043】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5は、本第2実施形態に係るドライ洗浄装置の構成を模式的に示す図である。なお、図5について以下に示す事項以外は第1の実施形態と同様であるので、図5において、図1と同一構成物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施形態のドライ洗浄装置1は、図2に被洗浄物7である基板を保持する基板チャック21、基板を洗浄槽2の内部で搬送する基板搬送用シリンダ24、洗浄槽2の基板が洗浄槽2を通過する部分に設けられているシャッタ22及び基板チャック21部に基板チャック冷却ノズル23を有している。上記以外の構成は、図1に示す第1の実施形態と同様である。
【0045】
本実施形態においては、基板を搬送する場合に、洗浄槽2を通過するときのみ扉を開くシャッタ22を設けることにより、洗浄槽内部の洗浄環境の変化が抑制される。これにより、被洗浄物7を搬送することによる外部環境の影響を抑制して安定した洗浄を実現することができる。
【0046】
また、被洗浄物7をチャックする爪(基板チャック21)に関しても、上述したように紫外線ランプの近くに置かれることにより温度が上昇し動作不良等を起こす可能性がある。本実施形態においては、基板チャック21の部分に基板チャック冷却ノズル23から冷却エアを直接供給することで温度上昇による動作不良等を防止することができる。
【0047】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図6は、本第3実施形態に係るドライ洗浄装置の構成を模式的に示す図である。なお、図6について以下に示す事項以外は第2の実施形態と同様であるので、図6において、図5と同一構成物には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0048】
本実施形態においては、図6に簡略化して示すように、被洗浄物7と搬送シリンダ26の本体との間に、被洗浄物搬送チャック27を含むジグザグ形状の構成物が配置されている。また、被洗浄物搬送チャック27と被洗浄物7との間には、紫外線を遮蔽する遮光板25が設けられている。上記以外の構成は、図5に示す第2の実施形態と同様である。
【0049】
被洗浄物7を紫外線により洗浄するにあたり、被洗浄物7を搬送する機構の可動部分に紫外線が直接照射されると、潤滑又はグリスが変質し可動部の動作が劣化する場合がある。そのため、被洗浄物7である基板等を搬送する機構のうち搬送シリンダ26及び被洗浄物搬送チャック27については、直接紫外線が照射されないようにすることが好適である。本実施形態によれば、搬送シリンダ26及び被洗浄物搬送チャック27に紫外線が直接当たらないため、基板搬送機構の劣化を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の活用例として、例えば金属製リードフレーム、ポリイミド基板、ガラス基板及び半導体ウェハのドライ洗浄又は表面改質装置が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るドライ洗浄装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】紫外線ランプの側から見た紫外線ランプと被洗浄物との位置関係を示す図である。
【図3】整流板を示す平面図である。
【図4】横軸に気体の流量をとり縦軸に紫外線254の照度及びオゾン濃度をとって、気体の流量と最適洗浄条件との関係を模式的に示すグラフ図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るドライ洗浄装置の構成を模式的に示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るドライ洗浄装置の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1;紫外線洗浄装置
2;洗浄槽
3;気体
4;ノズル
5;整流板
6;紫外線ランプ
7;被洗浄物
8;排気ダクト
9;オゾン濃度計
10;UV照度計
11;石英カバー
12;排気
13;電極
14;電極放熱ブロック
15;電極用冷却エア
16;電極温度計
17;気体の流れ
18;オゾンの流れ
19;流量制御
21;基板チャック
22;シャッタ
23;基板チャック冷却ノズル
24;基板搬送用シリンダ
25;遮光板
26;搬送シリンダ
27;被洗浄物搬送チャック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素を含む気体と被洗浄物を封止する洗浄槽と、前記被洗浄物に照射されるとともに、前記酸素を化学反応させてオゾンを発生させる紫外線を照射する紫外線照射手段を備えたことを特徴とするドライ洗浄装置。
【請求項2】
前記被洗浄物の直下に排気ダクトを備えたことを特徴とする請求項1に記載のドライ洗浄装置。
【請求項3】
前記紫外線照射手段は、前記被洗浄物の上方から前記紫外線を照射するように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のドライ洗浄装置。
【請求項4】
前記紫外線照射手段は、複数回往復して折り曲げられたような形状を有する紫外線ランプを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のドライ洗浄装置。
【請求項5】
前記被洗浄物の上方に、前記気体を通過させる複数の孔を含むパンチングパネルを備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のドライ洗浄装置。
【請求項6】
前記洗浄槽の内部に、前記オゾンの濃度を取得するオゾン濃度取得手段と、前記紫外線の照度を取得する紫外線照度取得手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のドライ洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄槽内部の熱を放熱させる放熱手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のドライ洗浄装置。
【請求項8】
前記洗浄槽に設けられた搬入口と、この搬入口から前記被洗浄物を前記洗浄槽内に搬送する搬送機構と、前記搬入口を開閉させるシャッタを備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のドライ洗浄装置。
【請求項9】
前記搬送機構と前記被洗浄物との間に紫外線を遮蔽するための遮光板を備えたことを特徴とする請求項8に記載のドライ洗浄装置。
【請求項10】
酸素を含む気体と被洗浄物を封止した洗浄槽の内部において、紫外線を前記酸素に照射して化学反応によりオゾンを発生させ、前記紫外線を前記被洗浄物に照射するとともに、前記オゾンを含む前記気体を前記被洗浄物に給気して前記被洗浄物を洗浄することを特徴とするドライ洗浄方法。
【請求項11】
前記気体を、前記被洗浄物の直下に備えた排気ダクトから排出させることを特徴とする請求項10に記載のドライ洗浄方法。
【請求項12】
前記紫外線を、前記被洗浄物の上方から前記被洗浄物に照射することを特徴とする請求項10又は11に記載のドライ洗浄方法。
【請求項13】
前記被洗浄物の上方に、前記気体を通過させる複数の孔を含むパンチングパネルを配置することを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載のドライ洗浄方法。
【請求項14】
前記洗浄槽の内部において、前記オゾンの濃度と前記紫外線の照度を取得し、前記オゾン濃度と前記紫外線照度が所定の範囲内になるように制御することを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載のドライ洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−246450(P2008−246450A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94532(P2007−94532)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】