説明

ドラスタチン15誘導体

【課題】十分な水溶性を有し、また能率的にそして経済的に製造することができる、ドラスタチン15と同様の生物学的活性を有する合成化合物を提供する。
【解決手段】式(I):A−B−D−E−F−(G)r−(K)s−Lで示されるペプチドである細胞成長阻害剤、及びその塩を含む。上記式中A、B、D、E、F、G及びKはα−アミノ酸残基を、s及びrはそれぞれ独立に0又は1を示し、Lは、一価のラジカル、例えばアミノ基、N−置換アミノ基、β−ヒドロキシルアミノ基、ヒドラジド基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アミノオキシ基又はオキシマト基を意味する。該阻害剤は、薬学的に容認される組成物として、有効量の式(I)の化合物を哺乳類に投与する。例えばヒトのガンを処置する方法に有効である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
細胞の成長阻害剤して重要な活性を有する多種類の短鎖ペプチドが、インド洋に分布するアメフラシ類であるタツナミガイ(Dolabella auricularia)から単離されている(Bai et al., Biochem. Pharmacology, 40: 1859−1864 (1990); Beckwith et al., J. Natl. Cancer Inst., 85: 483−488 (1993) 及びその中の引用文献参照)。これらの中には、ドラスタチン(Dolastatin)1−10(Pettit等に 付与されたU.S.P. No.4,816,444参照)やドラスタチン15(E.P.A. No.398558参照)が含まれている。例えばドラスタチン15は国立癌研究所のリンパ性白血病細胞株P388(PSシステム)の成長を顕著に阻害するが、このことはヒトの種々の腫瘍に対する成長阻害剤としての効能を顕わす有力な指標となる。
【0002】
タツナミガイに存在する種々のドラスタチンペプチドは効能評価や使用をするのに十分な量を精製するのが困難であるほど大変少量であるため、ドラスタチンを合成する努力がなされてきた(Roux et al., Tetrahedron 50: 5345−5360 (1994); Shioiri et al., Tetrahedron 49: 1913−24 (1993) ); Parino et al., Tetrahedron 48: 4115−4122 (1992)及びその中の引用文献参照)。しかしながら、合成したドラスタチン15には水溶性に乏しく、また合成の出発物質が高価であるという問題があった。これらの問題点があるため,引き続いて、ドラスタチン15を構造的に修飾した誘導体の合成と評価がなされてきた(Bioorg. Med. Chem. Lett. 4:1947−1950 (1994); WO 93 03054; JP−A−06234790; WO 93 23424 参照)。
【0003】
しかしながら、十分な水溶性を有し、また能率的にそして経済的に製造することができる、ドラスタチン15と同様の生物学的活性を有する合成化合物が待望されている。
[本発明の要約]
本発明の化合物は、式Iのペプチドとその酸塩である細胞成長阻害剤である。
【0004】
【化1】

【0005】
式中、A,B,D,E,F,G,及びKはα−アミノ酸残基であり、sとrはそれぞれ、相互に関係なく、0又は1である。Lは1価のラジカル、例えばアミノ基、N−置換アミノ基、β−ヒドロキシルアミノ基、ヒドラジド基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アミノキシ基、オキシマト基である。
【0006】
本発明はまた、式Iの化合物と製薬上許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0007】
本発明はさらに、哺乳動物、例えばヒト、に製薬上許容される組成で式Iの化合物を有効量投与することによる癌の治療法を提供する。
[発明の説明]
本発明は、抗腫瘍活性を持つペプチドに関するものである。また、本発明は、これらの化合物を含む医薬組成物を提供するものであり,さらに、ヒトを含む哺乳動物にこれらの組成物を投与することによる哺乳動物の癌の治療法を提供するものである。
【0008】
アメフラシ類のタツナミガイから単離されたペプチドであるドラスタチン15は効能のある細胞成長阻害剤である。しかしながら,ドラスタチン15はタツナミガイ中には痕跡量しか存在せず,それゆえ,単離は困難である。ドラスタチン15はまた合成するのに多くの費用を要し、水溶性に乏しいという問題もある。しかし,以下に示すように、ドラスタチン15は、上記の問題点を克服する一方で抗腫瘍活性に関しては天然物と同程度あるいはそれ以上の活性を示す化合物の開発を促す契機となる物質である。本発明者等は、ドラスタチン15の構造的な修飾を適当に行うことにより、腫瘍性の病気の治療に関してドラスタチン10及びドラスタチン15に比較して驚くほど治療効果の高い化合物を得ることができることを発見した。その上,本発明の化合物は、以下に詳細に記述するように簡便に合成することができる。
【0009】
本発明に関する限り,“1価のラジカル”という語は、電気的に中性の分子フラグメントであって第2の電気的に中性の分子フラグメントとの間に1つの共有結合を作ることができるものを意味するものとする。1価のラジカルには、水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基のようなアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子のようなハロゲン原子、フェニル基、ナフチル基のようなアリール基、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基が含まれる。σ結合している隣接する原子上にある2個の1価のラジカルは、この隣接原子間にπ結合を形成することもできる。2個の1価のラジカルどうしは結合することもでき、例えばポリメチレン基は環構造を形成することができる。例えば、RとR´がそれぞれ1価のラジカルである−N(R)R´基は、窒素原子とともに複素環を形成することができる。これに加えて,同じ原子に結合している2個の1価のラジカルは共同しては2価のラジカル、例えば酸素原子やプロピリデン基のようなアルキリデン基、を形成することもできる。
本発明に関する限り、“直鎖状アルキル”という語は、例えば直鎖状プロピル基(n−プロピル、−CH2CH2CH3)のような分枝のないあるいは一直線のアルキル基を意味する。
本発明の化合物は、以下に示す式Iで表すことができる。
【0010】
【化2】

【0011】
式I中、A、B、D、E、F、G及びKはα−アミノ酸残基であり、sとrはそれぞれ互いに無関係に0又は1である。またLは1価のラジカル、例えばアミノ基、N−置換アミノ基、β−ヒドロキシルアミノ基、ヒドラジド基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アミノキシ基、オキシマト基、である。
【0012】
式Iのペプチドは一般にL−アミノ酸からなるが、1個以上のD−アミノ酸を含むことができる。以下の議論においてあるアミノ酸に言及しているときは、特定の鏡像異性体が示されていない限り両方の鏡像異性体を含んでいる。本発明の化合物はまた生理学的に適応する酸との塩としても存在することもでき、この場合の酸には塩酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、燐酸、メタンスルホン酸、酢酸、蟻酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、マロン酸、硫酸、L−グルタミン酸、L−アスパラギン酸、ピルビン酸、ガラクタル酸、安息香酸、グルクロン酸、蓚酸、アスコルビン酸及びアセチルグリシンが含まれる。
【0013】
以下に、各成分に関する説明や請求項記載の化合物の使用方法に関する説明を含めて本発明を詳細に説明する。
[本発明の化合物]
[Aの特定]
一の実施の形態において、Aは以下の式IIaに示されるプロリンの誘導体である。
【0014】
【化3】

【0015】
式中、naは整数であり、1、2又は3が好ましい。Raは1価のラジカル、例えば水素原子、非置換又はフッ素置換アルキル基である。アルキル基としては、例えば適宜に1〜約3のフッ素原子で置換された直鎖状又は分枝状又は環状のC1〜C3−アルキル基が該当し、なかでもメチル基、エチル基、イソプロピル基、2−フルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1−メチル−2−フルオロエチル基、1−フルオロメチル−2−フルオロエチル基、シクロプロピル基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基が特に好ましい。
【0016】
本実施の形態において、R1aは1価のラジカルであり、例えば水素原子、メチル基、エチル基又はプロピル基のようなアルキル基又はフェニル基が該当する。フェニル基は置換されていてもよく、置換基としては1個以上のハロゲン原子(ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素塩素、臭素原子が好ましい)、C1〜C4−アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメチル基及びニトロ基が好ましい。RaとR1aが共同してプロピレン橋を作ることもできる。
【0017】
R2a、R3a、R4a及びR5aはそれぞれ互いに無関係に1価のラジカルであり、例えば水素原子やアルキル基(メチル基が好ましい)が該当する。
【0018】
別の実施の形態において、Aは以下の式IIIaの置換グリシン誘導体である。
【0019】
【化4】

【0020】
ここで、Raは式IIaにおけるRaと同じ意味であり、R1aは1価のラジカルであり、例えば水素原子やC1〜C6−アルキル基(メチル基、エチル基又はプロピル基が好ましい)が該当する。
【0021】
本形態において、R6aは1価のラジカルであり、例えばアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、フェニル基、置換フェニル基が該当する。好ましい例としてはメトキシメチル基、1−メトキシエチル基、1,1−ジメチル−ヒドロキシメチル基、1−トリフルオロメチルエチル基、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル基、ビニル基や1−メチルビニル基がある。フェニル基の置換基としては、1個又はそれ以上のハロゲン原子(ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい)、アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメチル基やニトロ基が含まれる。
【0022】
R1aがアルキル基のときは、R6aはC1〜C6−アルキル基、シクロアルキル基、非置換ベンジル基や置換ベンジル基であってもよい。ベンジル基の置換基としては、1個又はそれ以上のフッ素原子、塩素原子、臭素原子のようなハロゲン原子、C1〜C4−アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメチル基やニトロ基が好ましい。
【0023】
R7aは1価のラジカルであり、メチル基、エチル基又はイソプロピル基が好ましい。
【0024】
別の実施の形態において、Aは以下の式IVaのα−アミノ酸誘導体である。
【0025】
【化5】

【0026】
ここで、maは整数であり、1又は2が好ましい。またRaとR7aは式IIIaにおけるRaとR7aの意味と同じである。
【0027】
別の実施の形態において、Aは以下の式Vaのα−アミノ酸誘導体である。
【0028】
【化6】

【0029】
ここで、RaとR7a は式IIIaにおけるRaとR7a と同じ意味である。
【0030】
さらに別の実施の形態において、Aは以下の式VIaの置換プロリン誘導体である。
【0031】
【化7】

【0032】
ここで、RaとR1a は式IIaにおけるRaとR1a と同じ意味であり、Xaは1価のラジカルであり、ヒドロキシル基、例えばメトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基やフッ素原子が好ましい。
別の実施の形態において、Aは以下の式VIIaのチアプロリン誘導体である。
【0033】
【化8】

【0034】
ここで、Ra、R1a、R2a、R3a、R4a及びR5a は式IIaにおけるそれぞれの置換基の意味と同じである。
【0035】
別の実施の形態において、Aは以下の式VIIIaの1,3−ジヒドロイソインド−ル誘導体である。
【0036】
【化9】

【0037】
ここで、Raは式IIaのRaと同じ意味である。
別の実施の形態において、Aは以下の式IXaの2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−カルボン酸誘導体である。
【0038】
【化10】

【0039】
ここで、Zaは単結合又は二重結合であり、Raは式IIaにおけるRaと同じ意味である。3−カルボニル基の配向はエキソでもエンドでもよい。
【0040】
別の実施の形態において、Aは以下の式Xaのα−アミノ酸誘導体である。
【0041】
【化11】

【0042】
ここで、naは式IIaにおけるna と同じ意味であり、R7aとRaは式IIIaにおけるR7aとRa と同じ意味である。
[Bの特定]
Bはバリン残基、イソロイシン残基、アロ−イソロイシン残基、ノルバリン残基、2−t−ブチルグリシン残基、2−エチルグリシン残基である。Bは、また以下の式IIbのα−アミノ酸残基でもよい。
【0043】
【化12】

【0044】
ここで、R1bとR2bはそれぞれ1価のラジカルである。R1b としては水素原子が好ましく、R2b は例えばアルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基である。R2b としては、シクロプロピル基や直鎖状の又は分枝状ブチル基(t−ブチル基がより好ましい)、メトキシメチル基、1−メトキシエチル基や1−メチルビニル基が好ましい。さらに、R1bとR2bは共同ではイソプロピリデン基を形成してもよい。
[Dの特定]
Dは、N−アルキルバリン残基、N−アルキル−2−エチルグリシン残基、N−アルキル−2−t−ブチルグリシン残基、N−アルキル−ノルロイシン残基、N−アルキル−イソロイシン残基、N−アルキル−アロ−イソロイシン残基又はN−アルキル−ノルバリン残基であるが、ここでN−アルキル基はメチル基又はエチル基が好ましい。
【0045】
別の実施の形態において、Dは以下の式IIdのα−アミノ酸残基である。
【0046】
【化13】

【0047】
ここで、Rdは式IIIaのRaと同じ意味である。R1dは1価のラジカルであり、水素原子が好ましい。R2dは1価のラジカルであり、例えばアルキル基、アルコキシアルキル基あるいはアルケニル基が該当する。R2d としては、シクロプロピル基、直鎖状又は分枝状ブチル基(t−ブチル基が好ましい)、メトキシメチル基、1−メトキシエチル基又は1−メチルビニル基が好ましい。さらに、R1d とR2d どうしはイソプロピリデン基を形成してもよい。
別の実施の形態において、Dは以下の式IIIdのプロリン誘導体である。
【0048】
【化14】

【0049】
ここで、ndは例えば1、2のような整数であり、R3dは式IIIaのR1aと同じ意味である。Xdは1価のラジカルであり、水素原子が好ましく、さらにnd が1に等しい場合にはXdはヒドロキシ基、メトキシ基やエトキシ基のようなアルコキシ基又はフッ素原子であってもよい。
[Eの特定]
Eはプロリン残基、チアゾリジニル−4−カルボニル基、ホモプロリン残基、ヒドロキシプロリン残基、又は以下の式IIeのα−アミノカルボン酸残基である。
【0050】
【化15】

【0051】
ここで、neは整数であり、0、1又は2が好ましい。R1eは式IIIaのR1a と同じ意味である。R2e とR3e はそれぞれ1価のラジカルであり、互いに無関係に水素原子又はアルキル基(アルキル基としてはメチル基が好ましい)が該当する。R4e は1価のラジカルであり、水素原子、ヒドロキシ基、例えばメトキシ基やエトキシ基のようなアルコキシ基又はフッ素原子が好ましい。R5e は1価のラジカルであり、水素原子又はフッ素原子が好ましい。neが1の場合には、R3e とR4e が共同して二重結合を形成してもよく、R4e とR5e が共同して二重結合の酸素ラジカルを形成してもよい。neが1又は2の場合には、R1e とR2e が共同して二重結合を形成することができる。
【0052】
別の実施の形態において、Eは以下の式IIIeの2−又は3−アミノシクロペンタンカルボン酸残基である。
【0053】
【化16】

【0054】
ここで、Reはメチル基、エチル基のようなアルキル基であり、R1eは式IIIaにおけるR1a と同じ意味である。
[Fの特定]
Fはプロリン残基、チアゾリジニル−4−カルボニル基、ホモプロリン残基、ヒドロキシプロリン残基である。Fはまた以下の式IIfの環状α−アミノ酸残基である。
【0055】
【化17】

【0056】
ここで、nfは整数であり、0、1又は2が好ましい。R1fは式IIIaにおけるR1aと同じ意味である。R2f とR3fはそれぞれ1価のラジカルであり、互いに無関係に水素原子あるいはアルキル基(アルキル基としてはメチル基が好ましい)が該当する。R4f は1価のラジカルであり、水素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基やエトキシ基のようなアルコキシ基又はフッ素原子が好ましい。R5f は1価のラジカルであり、水素原子又はフッ素原子が好ましい。nfが1の場合には、R3f とR4f が共同して二重結合を形成してもよく、R4f とR5f が共同して二重結合の酸素ラジカルを形成してもよい。nfが1又は2の場合には、R1f とR2f が共同して二重結合を形成することができる。
【0057】
別の実施の形態において、Fは以下の式IIIfの2−又は3−アミノシクロペンタンカルボン酸残基である。
【0058】
【化18】

【0059】
ここで、Rfはメチル基、エチル基のような1価のラジカルであり、R1fは式IIIaにおけるR1aと同じ意味である。
【0060】
別の実施の形態において、FはN−アルキルグリシン残基又はN−アルキルアラニン残基であり、アルキル置換基としてはメチル基又はエチル基が好ましい。
[Gの特定]
Gは以下の式IIgのα−アミノ酸残基である。
【0061】
【化19】

【0062】
ここで、R1gは水素原子又は例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基のようなアルキル基である。R2g は例えば水素原子、アルキル基、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、又はアリール基であってもよい。R2g は、好ましくはエチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、イソブチル基、2−メチルプロピル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基、チアゾリル−2−メチル基、ピリジル−2−メチル基、n−ブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、ナフチルメチル基、n−プロピル基、又は置換あるいは非置換フェニル基である。フェニル基の置換基としては、1個又はそれ以上のハロゲン原子(ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい)、C1〜C4−アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基又はジオキソメチレン基が好ましい。さらに、R1g とR2gとがα−炭素原子とともにシクロペンタン、シクロヘキサン又は例えばインダニル基のようなベンゼン環が縮合したシクロペンタンを形成することができる。
[Kの特定]
Kは以下の式IIkのα−アミノ酸残基である。
【0063】
【化20】

【0064】
ここで、R1k は式IIgにおけるR1g と同じ意味であり、R2k は式IIgにおけるR2g と同じ意味である。
[Lの特定]
1の実施の形態において、Lは以下の式IIlのアミノ基又は置換アミノ基である。
【0065】
【化21】

【0066】
ここでR1l は1価のラジカルであり、例えば水素原子、直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和C1〜C18−アルコキシ基、置換又は非置換アリールオキシ基、置換又は非置換アリール−C1〜C6−アルコキシ基、置換又は非置換アリールオキシ−C1〜C6−アルコキシ基、又はヘテロアリール−C1〜C6−アルコキシ基が該当する。アリール基としては、フェニル基あるいはナフチル基が好ましい。ヘテロアリール基は、好ましくは窒素、酸素、又は硫黄原子を含む5員環又は6員環の基であり、例えばイミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、チアゾール、オキサゾール、ピラゾール、チオフェン、フラン、ピロール、1,2,4−又は1,2,3−トリアゾール、ピラジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソインドール、インダゾール、キノリン、ピリダジン、ピリミジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール又はピリジンから誘導されるヘテロアリール基が該当する。アリール基の置換基としては、1個又はそれ以上のハロゲン原子(ハロゲンとしてはフッ素原子、臭素原子又は塩素原子が好ましい)、C1〜C4−アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメチル基、ジオキシメチレン基又はニトロ基が好ましい。
【0067】
R2lは1価のラジカルであり,例えば水素原子、直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和のC1〜C18−アルキル基、C3〜C10−シクロアルキル基、置換あるいは非置換アリール基、又は置換あるいは非置換ヘテロアリール基が該当する。アリール基としては、フェニル基あるいはナフチル基が好ましい。ヘテロアリール基としては、好ましくは窒素、酸素、又は硫黄原子を含む5員環又は6員環の基があり、例えばイミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、チアゾール、オキサゾール、ピラゾール、チオフェン、フラン、ピロール、1,2,4−又は1,2,3−トリアゾール、ピラジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソインドール、インダゾール、キノリン、ピリダジン、ピリミジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール又はピリジンから誘導されるヘテロアリール基が該当する。アリール基の置換基としては、1個以上のハロゲン原子(ハロゲン原子としてはフッ素原子、臭素原子又は塩素原子が好ましい)、C1〜C4−アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメチル基、ジオキシメチレン基又はニトロ基が好ましい。
【0068】
R2lは、他に以下の式IIrのものであってもよい。
【0069】
【化22】

【0070】
ここで、a1は0、1、2、3、4、5のような整数である。R3lは1価のラジカルであり、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基のような低級のアルキル基が該当する。R4lは1価のラジカル、すなわち炭素数がほぼ3〜10の飽和又は部分的に不飽和の炭素環基、置換又は非置換アリール基又はヘテロアリール基であり、このときのアリール基、ヘテロアリール基及び好ましい置換基は式IIlにおけるR2lと同じ意味を有する。
【0071】
R2l は以下の式IIIrの置換基であってもよい。
【0072】
【化23】

【0073】
ここで、Wlは酸素原子、硫黄原子又はN−R61基である。R51は1価のラジカルであり、例えば水素原子、C1〜C4−アルキル基、C3〜C7−シクロアルキル基、置換又は非置換アリール基又はアリールメチル基が該当し、このときのアリール基及び好ましい置換基は式IIlにおけるR2lと同じ意味である。R61は1価のラジカルであり、好ましくは水素原子、C1〜C4−アルキル基、C3〜C7−シクロアルキル基、C1〜C18−アルカノイル基、ベンゾイル基、置換又は非置換アリール基又はアリールメチル基が該当し、このときのアリール基及び好ましい置換基は式IIlにおけるR2lと同じ意味である。
【0074】
R2l は、さらに以下の式IVrの置換基であってもよい。
【0075】
【化24】

【0076】
ここで、blは整数であり、2、3及び4が好ましい。Zlはホルミル基、アミノカルボニル基、ヒドラジノカルボニル基、環状又は非環状アセタール基又はチオアセタール基のような1価のラジカルである。
【0077】
R2l はまた以下の式Vrの置換基であってもよい。
【0078】
【化25】

【0079】
ここで、blは上で示したものと同じ意味である。R71は式−O−(CH2−CH2−O)dl−CH3であるポリグリコ−ル基のような1価のラジカルである。ここでdlは整数であり、約2〜約4の範囲又は約40〜約90の範囲にあるのが好ましい。
【0080】
R2l はさらに以下の式VIrの炭水化物であってもよい。
【0081】
【化26】

【0082】
ここで、R8lは1価のラジカルであり、例えば水素原子、C1〜C4−アルカノイル基又はアルキル基、ベンゾイル基やベンジル基が該当する。
【0083】
Lはまた以下の式IIIlのβ−ヒドロキシルアミノ基であってもよい。
【0084】
【化27】

【0085】
ここで、R91は1価のラジカルであり、例えば水素原子、C1〜C6−アルキル基、 置換又は非置換アリール基が該当し、このときのアリール基及び好ましい置換基は式IIlにおけるR2lと同じ意味である。R10lは1価のラジカルであり、水素原子や例えばメチル基のようなアルキル基やフェニル基が好ましい。
【0086】
r及び/又はsが1であるときは、Lは以下の式IVlのアミノ基であってもよい。
【0087】
【化28】

【0088】
ここで、R2l とR4l はそれぞれ1価のラジカルである。R2l とR4l は共同して 炭素−炭素結合を形成してもよい。
【0089】
本発明の化合物は、他の実施の形態として、Lが以下の式Vlのヒドラジド基である式Iのペプチドを含む。
【0090】
【化29】

【0091】
ここで、R11lは1価のラジカルであり、水素原子が好ましい。R12l は1価のラジカルであり、例えば水素原子、直鎖状又は分枝状C1〜C8−アルキル基、C3〜C8−シクロアルキル基、C3〜C8−シクロアルキル−C1〜C4−アルキル基、置換又は非置換アリール基、ヘテロアリール基、アリール−C1〜C4−アルキル基、ヘテロアリール−C1〜C4−アルキル基が該当し、アリール基、ヘテロアリール基又はそれらの好ましい置換基はR2l として上で示したものの中から選択できる。
【0092】
r及びsが1あるいはr又はsが1であるときは、R11l もまたR12l として上で示したものの中から選択することができ、さらに2つのラジカルが共同してプロピレン橋又はブチレン橋を形成することもできる。
【0093】
本発明の化合物は、他の実施の形態として、Lが式−O−R13l 又はS−R13l で表される1価のラジカルである式Iのペプチドを含む。ここで、R13l は1価のラジカルであり、例えばC3〜C10−のシクロアルキル基、直鎖状又は分枝状C2〜C16−アルケニルメチル基、1〜約5個のハロゲン原子(フッ素原子が好ましい)で置換した又は非置換のC1〜C16−アルキル基が該当する。
【0094】
R13l はまた−(CH2)e−R14l で表されるラジカルであってもよい。ここでeは整数であり、1、2又は3が好ましい。R14l は1価のラジカルであり、飽和又は部分的に不飽和のC3〜C10−炭素環が好ましい。
【0095】
R13l はまた式−[CH2−CH=C(CH3)−CH2]f−Hの1価のラジカルでもよい。ここでfは整数であり、1、2、3又は4が好ましい。
【0096】
R13l はまた式−[CH2−CH2−O]g−CH3のラジカルであってもよい。ここでgは整数であり、1〜約5までの範囲が好ましい。
【0097】
R13l はまた−(CH2)h−アリール基又は(CH2)h−ヘテロアリール基であってもよい。ここで、アリール基とヘテロアリール基は置換されていてもよく、好ましい置換基はR2lとして上で示したものの中から選択することができる。hは整数であり、0、1、2又は3が好ましい。
【0098】
R13l はまた−(CH2)b−Wl−R5lのラジカルであってもよい。b、Wl 及びR5l はそれぞれ式IVlで示したものの中から選択することができる。
本発明の化合物は、他の実施の形態として、Lが式−O−N(R15l )( R16l)のアミノキシ基である式Iのペプチドを含む。ここで、R15l とR16l はそれぞれ1価のラジカルであり、互いに無関係に水素原子、直鎖状の又は分枝状C1〜C8−アルキル基(ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子、で置換されていてもよい)、C3〜C8−シクロアルキル基、C3〜C8−シクロアルキル−C1〜C4−アルキル基、置換又は非置換アリール基又はヘテロアリール基、又は置換又は非置換アリール−C1〜C4−アルキル基であってもよい。アリール基、ヘテロアリール基又はこれらの好ましい置換基はR2l として示したものの中から選択することができる。R16l はR15l として示したものの中から選択することができる。その上、R15l とR16l は共同して5−、6−又は7−員のヘテロ環を形成することもできる。本発明の化合物はさらに上述の化合物と生理学的に許容される酸との塩を含む。
【0099】
本発明の化合物は、他の実施の形態として、Lが式−O−N=C(R15l )( R16l )のオキシマト基である式Iのペプチドを含む。ここで、R15l とR16l は上述したものの中から選択することができ、さらに、R15l とR16lとが共同して好ましくは約3個〜約7個の原子から成る環を形成することもできる。この環はさらに1個以上の芳香族環と縮合することもできる。特に好ましい環の例を以下に示す。
【0100】
【化30】

【0101】
一の実施の形態において、本発明は、AがN−アルキル−D−プロリル基、N−アルキル−L−プロリル基、N−アルキル−D−ピペリジン−2−カルボニル基、N−アルキル−L−ピペリジン−2−カルボニル基、N,N−ジアルキル−D−2−エチル−2−フェニルグリシル基、N,N−ジアルキル−L−2−エチル−2−フェニルグリシル基(ここで、アルキル基はメチル基、エチル基又はイソプロピル基である)の中から選択されるアミノ酸誘導体であり、Bがバリン残基、イソロイシン残基、又は2−t−ブチル−L−グリシン残基である、式Iの化合物である。
【0102】
本発明における好ましい化合物としてはrとsがそれぞれ0である式Iの化合物がある。AはD−N−メチル−ピペリジン−2−カルボニル基、L−N−メチル−ピペリジン−2−カルボニル基、N,N−ジメチルアミノ−イソブチル基、N−メチル−L−プロリル基、N−メチル−L−チアゾリジン4−カルボニル基、N,N−ジメチルグリシル基、L−プロリル基、L−ピペリジン−2−カルボニル基、N−プロピル−D−ピペリジン−2−カルボニル基、D−ピペリジン−2−カルボニル基、N−エチル−D−ピペリジン−2−カルボニル基、N−メチル−[2,2,5,5−テトラメチル]−L−チアゾリジン−2−カルボニル基、N−イソプロピル−D−ピペリジン−2−カルボニル基、N,N−ジメチル−2−シクロプロピルグリシル基、N,N−ジメチル−L−2−エチル−2−フェニルグリシル基、N,N−ジメチル−D−2−エチル−2−フェニルグリシル基、D−プロリル基、N−メチル−D−プロリル基、N,N−ジメチル−2−(2−フルオロフェニル)グリシル基、1−アザ−[3,3,0]ビシクロオクチル−5−カルボニル基、N,N−ジメチル−2−[4−フルオロ]フェニル−グリシル基、N−メチル−[2,2,5,5−テトラメチル]−チアゾリジン−2−カルボニル基、2−(R,S)−エチル−2−フェニルグリシル基、D,L−1−アミノインダン−1−カルボニル基、N,N−ジメチル−2−(R,S)−メチル−2−フェニルグリシル基、2−[N,N−ジメチルアミノ]インダン−2−カルボニル基、5−[N,N−ジメチルアミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−5−カルボニル基、N−イソプロピル−2−(R,S)−エチル−2−フェニルグリシル基、1−[N,N−ジメチルアミノ]インダン−2−カルボニル基、N,N−ジメチル−2−プロピル−2−フェニルグリシル基、N,N−ジメチル−2−[4−メトキシ]フェニル−グリシル基、N−メチル−3−ヒドロキシ−D,L−バリル基、N,N−ジメチル−D,L−2−イソプロピル−2−フェニルグリシル基、N−メチルピペリジン−2−カルボニル基、N−メチル−L−プロリル基、N−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−カルボニル基、N−メチルアゼチジン−2−カルボニル基、N−イソプロピルアゼチジン−2−カルボニル基、N,N−ジメチル−[O−メチル]セリル基、N,N−ジメチル−[O−メチル]トレオニル基、N−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボニル基、1−[N,N−ジメチルアミノ]シクロヘキシル−1−カルボニル基、1−[N,N−ジメチルアミノ]シクロペンチル−1カルボニル基や1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボニル基の中から選択されるアミノ酸誘導体である。Bはバリン残基、イソロイシン残基又は2−t−ブチルグリシン残基である。DはN−メチルバリン残基、N−メチル−2−t−ブチルグリシン残基、N−メチルイソロイシン残基である。EとFはそれぞれ互いに無関係にプロリン残基、チアプロリン残基、ホモプロリン残基、ヒドロキシプロリン残基、3,4−ジデヒドロプロリン残基、4−フルオロプロリン残基又は3−メチルプロリン残基である。Lはアルコキシ基又は式R1l −N−R2l のアミノ基である。ここで、R1l とR2l は互いに無関係に水素原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルキル基、アルキルアリール基から選択される。
【0103】
本発明における特に好ましい化合物において、rとsはそれぞれ0である。AはD−N−メチル−ピペリジン−2−カルボニル基、N−エチル−D−ピペリジン−2−カルボニル基、N−イソプロピル−D−ピペリジン−2−カルボニル基、N,N−ジメチル−2−シクロプロピルグリシル基、N−メチル−D−プロリル基、1−アザ−[3,3,0]ビシクロオクチル−5−カルボニル基、N−メチル−[2,2,5,5−テトラメチル]−チアゾリジン−2−カルボニル基、2−(R,S)−エチル−2−フェニルグリシル基、D,L−1−アミノインダン−1−カルボニル基、N,N−ジメチル−2−(R,S)−メチル−2−フェニルグリシル基、5−[N,N−ジメチルアミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−5−カルボニル基、1−[N,N−ジメチルアミノ]インダン−2−カルボニル基、N,N−ジメチル−2−プロピル−2−フェニルグリシル基、N,N−ジメチル−L−2−エチル−2−フェニルグリシル基、N,N−ジメチル−D−2−エチル−2−フェニルグリシル基、N−メチル−3−ヒドロキシ−D,L−バリル基、N,N−ジメチル−D,L−2−イソプロピル−2−フェニルグリシル基、N−メチルピペリジン−2−カルボニル基、N−メチル−D,L−プロリル基、N−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−カルボニル基、N−メチルアゼチジン−2−カルボニル基、N−イソプロピルアゼチジン−2−カルボニル基、N,N−ジメチル−[O−メチル]セリル基、1−[N,N−ジメチルアミノ]シクロヘキシル−1−カルボニル基、1−[N,N−ジメチルアミノ]シクロペンチル−1カルボニル基の中から選択されるアミノ酸誘導体である。Bはバリン残基であり、DはN−メチルバリン残基であり、EとFはそれぞれプロリン残基である。LはC1〜C6−アルコキシ基又は式R1l−N−R2lのアミノ基である。ここで、R1lとR2l はそれぞれ互いに無関係に水素原子、C1〜C6−アルコキシ基、ヒドロキシ基、直鎖状、環状又は分枝状のC1〜C12−アルキル基、フェニルアルキル基から選択される。
【0104】
[合成法]
本発明の化合物を合成するためには公知のペプチド合成法を用いることができる。すなわち、個々のアミノ酸を逐次カップリングさせてもよいし、適当な短いペプチドフラグメントどうしをカップリングさせてもよい。逐次カップリング法では、C−末端から出発して、1段階のカップリング反応で1個のアミノ酸の分だけ段階的にペプチド鎖が伸びる。ペプチドフラグメントのカップリング法では、異なる長さのペプチドフラグメントどうしをカップリングさせることができ、反応に供されるペプチドフラグメントもまた、個々のアミノ酸を逐次カップリングさせるか、あるいはより小さなペプチドフラグメントどうしのカップリングによって得ることができる。
【0105】
上記のどちらの合成法においても、反応するユニットどうしをカップリングさせてアミド結合を形成させる必要があるが、この反応は種々の酵素的方法や化学的方法により行わせることができる。アミド結合の形成に関する化学的合成法については、ペプチド化学における標準的な文献に詳細に記載されている(Muller, Methoden der organischen Chemie Vol. XV/2, 1−364, Thieme Verlag, Stuttgart(1974); Stewart and Young, Solid Phase Peptide Synthesis, 31−34及び71−82, Pierce Chemical Company, Rockford, IL(1984); Bodanszky et al., Peptide Synthesis, 85−128, John Wiley & Sons, New York(1976)参照)。好ましい方法としては、アジド法、対称・混合無水物法(the symmetric and mixed anhydride method)、in situに発生するかあるいは前もって合成しておいた活性エステルを使用する方法、ウレタン保護されたN−カルボキシアミノ酸無水物を使用する方法、及びカルボン酸活性剤、特にジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、塩化ピバロイル、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)、n−プロパン燐酸無水物(PPA)、塩化N,N−ビス(2−オキソ−オキサゾーリジニル)アミドホスホリル(BOP−Cl)、ヘキサフルオロ燐酸ブロモ−トリス(ピロリジノ)ホスホニウム(PyBrop),アジ化ジフェニルホスホリル(DPPA)、カストロ試薬(BOP、PyBop)、O−ベンゾトリアゾリル−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウム塩(HBTU)、O−アザベンゾトリアゾリル−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウム塩(HATU)、シアン化ジエチルホスホリル(DEPCN)、二酸化2,5−ジフェニル−2,3−ジヒドロ−3−オキソ−4−ヒドロキシチオフェン(シュテグリッヒ試薬;HOTDO)や1,1'−カルボニルジイミダゾ−ル(CDI)のようなカップリング剤をもちいてアミド結合を形成する方法が含まれる。上記カップリング剤は単独でも用いられるが、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)、N−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾ−ル(HOBt)、N−ヒドロキシアザベンゾトリアゾール(HOAt)、N−ヒトロキシベンゾトリアジン(HOOBt)、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)又は2−ヒドロキシピリジンのような添加物と組み合わせて用いてもよい。
【0106】
保護基の使用は酵素法によるペプチド合成においては一般に不要であるが、化学的合成法においては双方の反応物質についてアミド結合の形成に関与しない反応基の可逆的保護が必要である。化学的ペプチド合成法においては、3種の慣用的な保護基を用いた手法が好ましい。すなわち、ベンジルオキシカルボニル(Z)、t−ブトキシカルボニル(Boc)及び9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)法である。これらはそれぞれペプチド鎖の伸長ユニットのα−アミノ基の保護基である。アミノ酸の保護基に関しては、Muller著、Methoden der organischen Chemie Vol. XV/1, 20−906, Thieme Verlag, Stuttgart(1974)に詳細に記載されている。ペプチド鎖合成に用いられる反応ユニットは、溶液法、懸濁法によるほか、Merrifield, J. Am. Chem. Soc. 85:(1963)2149 に記載されている方法と同様の方法によっても反応させることができる。
【0107】
ペプチド合成に適している溶媒は反応条件下で不活性であればよく、特に水、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、ジクロロメタン(DCM)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)やこれらの混合物が好ましい。
高分子担体上でのペプチド合成はアミノ酸誘導体である出発物質が溶解する適当な不活性有機溶媒中で行うことができる。しかしながら、溶媒としては、DMF、DCM、NMP、アセトニトリル、DMSOやこれらの溶媒の混合物のような樹脂を膨潤させる性質をもつものがさらに望ましい。ペプチド合成に続いて、ペプチドは高分子担体から遊離される。種々な樹脂を用いたペプチド合成におけるペプチドの遊離の条件は文献に明らかにされている。最も一般的に用いられる遊離反応は酸触媒又はパラジウム触媒を用いたものであり、前者は例えば液化無水フッ化水素、無水トリフルオロメタン硫酸、希釈あるいは飽和トリフルオロ酢酸や、酢酸/ジクロロメタン/トリフルオロエタノ−ルの混合物中で処理される。後者はモルホリンのような弱塩基の存在下で、THFあるいはTHF−DCM混合液中で処理することができる。ある種の保護基もまたこれらの条件下で遊離させることができる。
【0108】
適当なペプチド合成反応に先立って、ペプチドの保護基を部分的に外す必要がある。例えば、N−末端がジアルキル化されているペプチドは、NaCNBH3と適当なアルデヒドを用い、DMF/1%酢酸中で樹脂に結合しているペプチドの脱アルキル化を行うか、あるいは適当なアルデヒド又はケトンとPd/Cの存在下で溶液中でペプチドの水素化を行うことにより、溶液中又は高分子担体上でペプチドに適当なN,N−ジアルキルアミノ酸をカップリングさせることにより合成することができる。
【0109】
本発明の説明において示されているアミノ酸以外の物質や自然に存在しないアミノ酸は市販品として又は市販の出発物質から公知の方法で合成される。例えば、R1とR2基を持つアミノ酸は、Wuensch and Weyl著、Methoden der organischen Chemie Vol. XV, Springer Verlag:Stuttgart, p306 (1974)及びその引用文献に記載されている方法に従って合成することができる。
[請求項の化合物の使用方法]
別の実施の形態において、本発明は、哺乳動物、例えばヒトに式Iの化合物あるいは式Iの化合物の混合物を治療上有効な量だけ投与することによる、哺乳動物の固形腫瘍(例えば肺、乳房、結腸、前立腺、膀胱、直腸の腫瘍や子宮内膜の腫瘍)や血液学上の悪性腫瘍(例えば白血病やリンパ腫)の形成を部分的又は総合的に抑制するか、さもなければ治療する(例えば、腫瘍の進行の抑制や腫瘍の縮小化をする)ための方法を提供する。化合物あるいは化合物の混合物は単独でも投与できるが、化合物と薬学上許容される媒体あるいは希釈剤を含む医薬組成物の形でも投与できる。化合物の投与は、薬剤として、好ましくは腫瘍学上の薬剤として、好都合であるいかなる方法によってもよく、経口薬として、あるいは例えば皮下、静脈、筋肉内、腹膜腔内、鼻腔、直腸への投与のような非経口の方法によって投与してもよい。式Iの化合物あるいは化合物の混合物は単独でも投与でき、あるいは選択される投薬法に対応して薬学上許容される媒体と式Iの化合物あるいは化合物の混合物とを含む医薬組成物として投与することもできる。そのような医薬組成物は配合薬、すなわちさらに別の治療上の活性成分を含んでいてもよい。
【0110】
ヒトのような哺乳動物への投薬量は、本発明の化合物を治療上有効な量だけ含む。ここで、“治療上有効な量”とは、固形腫瘍や血液学上の悪性腫瘍の形成を(部分的にあるいは総合的に)抑制するか、これらの腫瘍を縮小させるか、あるいは進行を妨げたり進行速度を弱めたりするのに十分な量である。特定の治療条件あいは治療方法においては、投薬量は公知の方法を用いて経験的に決められ、例えば、投与される化合物独自の生物学的な活性や投薬方法、患者の年齢、健康状態や体重、症状の特質や進行程度、治療の頻度、他の治療薬の投与や期待される効果などの因子により影響される。典型的な1日あたりの投薬量は、経口投与の場合には体重1kgあたり0.05〜50ミリグラムであり、非経口投与の場合は体重1kgあたり0.01〜20ミリグラムである。
【0111】
本発明の化合物は、慣用的な固体薬としても液体薬としても投与することができ、例えば、コーティングを施していない錠剤や(フィルムで)コーティングした錠剤、カプセル、粉末、細粒、座薬や液体の形で投与することができる。これらの薬剤は慣用的な方法で製造される。製造目的のためには、本発明の化合物は、錠剤のバインダーやフィラー、防腐剤、崩壊剤、流動性調整剤、可塑剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、溶媒、徐放剤(sustained release composition)び必要に応じてのキャリアーガスのような慣用の製薬助剤とともに処理される。(H. Sucker等著:Pharmazeutische Technologie, Thieme−Verlag, Stuttgart, 1978参照)。上記のような製造方法により得られた薬剤は、典型的には本発明の化合物を1〜90質量%含む。
【0112】
本発明の実施例を以下に示すが、本発明は実施例に限られるものではない。
[実施例]
以下の実施例中、タンパク質を構成するアミノ酸を公知の3文字のコードを用いて略記する。この他に用いる省略記号は、TFA=トリフルオロ酢酸、Ac=酢酸、DCM=ジクロロメタン、DMSO=ジメチルスルホキシド、Bu=ブチル、Et=エチル、Me=メチル、Bzl=ベンジルである。列挙した化合物のうち、特に別記しない限り、タンパク質を構成するアミノ酸は全てL−アミノ酸であるものとする。他の省略記号の例は、Me2Val=N,N−ジメチルバリン、MeVal=N−メチルバリン、Bn=ベンジル、Me2Aib=[2−N,N−ジメチルアミノ]−イソ酪酸である。
[一般的操作]
本発明のペプチドを、上述した標準的なZ−法及びBoc−法を用いた古典的溶液合成、又はBoc及びFmoc保護基技術を用いた固相合成の標準的方法により合成する。
【0113】
固相合成の場合、N,N−ジアルキルペンタ−又はヘキサペプチド酸を固体担体から遊離させ、溶液中の対応のC−末端アミノ酸と連結する。BOP-Cl及びPyBropはN−メチルアミノ酸の次に上記アミノ酸を連結させるための試薬として使用される。反応時間は対応して長くなる。N−末端の脱アルキル化を行うために、ペプチド樹脂のN−末端を脱保護し、次いで3倍モル過剰量のアルデヒド又はケトンのDMF溶液/1%酢酸と、NaCNBH33当量を添加して反応させる。
反応完了後(nevative Kaiser test)、樹脂を、水、イソプロパノール、DMF及びジクロロメタンで数回洗浄した。
【0114】
溶液合成において、Boc保護された酸NCAs(N−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ酸−N−カルボニル無水物)、Z−保護されたアミノ酸NCAs(N−ベンジルオキシカルボニルアミノ酸−N−カルボキシ無水物)、又は塩化ピバロイルのいずれかをそれぞれ縮合剤として使用するのがN−メチルアミノ酸の次に上記アミノ酸を結合するにあたり最も有効な方法である。N−末端の脱アルキル化は、例えばN−末端が脱保護されたペプチド又はアミノ酸を、NaCNBH3又は水素−Pd/Cを用いて対応のアルデヒド又はケトンと反応させることにより行われる。
【0115】
例えば、塩酸バリル−N−メチルバリル−プロリル−プロリルベンジルアミドを、ドイツ特許出願No. DE 19527575 Alに開示された方法により製造した。
[ペプチドの精製及び特性づけ]
ゲルクロマトグラフィー(SEPHADEX G-10、G-15/10%HOAc、SEPHADEX LH2O/MeOH)、中圧クロマトグラフィー(固定層:HD-SILC-18、20-45μm、100Å、移動層:A=0.1%TFA/MeOH、B=0.1%TFA/水による勾配)、分取HPLC(固定層:水Delta-Pak C-18、15μm、100Å、移動層:A=0.1%TFA/MeOH、B=0.1%TFA/水による勾配)、又は結晶化により行われる。
【0116】
得られた生成物の純度を、分析用HPLC(固定層:100 2.1 mmVYDAC C-18、5μm、300Å、移動層:アセトニトリル−水により勾配、0.1%TFAによる緩衝、40℃、又は3.9 mm VYDAC C-18、30℃)により測定した。特性づけを、高速原子衝突質量分析及びNMR分析により行った。
[実施例1]
[N−メチル−L−ピペリジン−2−カルボニル]−Val−MeVal−Pro−Pro−NHBn(化合物1)及び [N−メチル−D−ピペリジン−2−カルボニル]−Val−MeVal−Pro−Pro−NHBn(化合物2)
N−メチルピペリジン−2−カルボン酸の製造法 N−メチル−ピペリジン−2−カルボン酸エチルエステル(5.1g)を、100mlのメタノールと、10mlの水との混合物に溶解した。NaOH(8g)を添加し、反応混合物を室温にて一晩攪拌した。次いで得られた溶液を、塩酸により中和し、蒸発乾固し、トルエンを用いて4回蒸発させた。得られた粉体残留物を次工程に直接使用した。
【0117】
[N−メチル−ピペリジン−2−カルボニル]−Val−MeVal−Pro−Pro−NHBnの調製
上記のように調製した残留物(5.05g)とH−Val−MeVl−Pro−Pro−NHBn×HCl(4.88g)を50mlの乾燥DMFに溶解した。溶液を氷浴中で冷却した後、1。52gのDEPCNと2.66mlのトリエチルアミンを添加した。反応混合物を0℃にて2時間次いで室温にて一晩攪拌した。DMFを減圧下に蒸発除去した。残留物をジクロロメタンで希釈し、有機層を塩酸(pH2)と水とで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固した。得られたジアステレオマー混合物を、ヘプタン/酢酸エチルとジクロロメタン/メタノールによる勾配を有するフラッシュクロマトグラフィーで分離した。上記のHPLC条件下での(C-18逆相)、異性体1の保持時間は14.9分、異性体2の保持時間は15.8分であった。両異性体につき高速原子衝突質量分析で特性づけを行った([M+H]+=639)。
【0118】
[実施例2]
Me2Aib−Val−MeVal−Pro−Pro−NHBn(化合物3)の製造
2−[N,N−ジメチルアミノ]−イソ酪酸の調製 2−アミノ−イソ酪酸(10.3g)を200mlのメタノールに溶解した。25mlのホルムアミド水溶液と、1gの10%Pd/Cとを添加し、反応混合物を室温にて一晩水素添加に付した。触媒を濾過し、濾液を蒸発乾固した。残留物をイソプロパノールから晶出させ、4.8gの所望の生成物を得た。
【0119】
Me2Aib−Val−MeVal−Pro−Pro−NHBn×HClの調製
2−[N,N−ジメチルアミノ]−イソ酪酸(1.3g、10mmol)及び5.5g(10mmol)のH−Val−MeVal−Pro−Pro−NHBn×HClを50mlの乾燥DMFに溶解した。0℃に冷却した後、1.6gのDEPCN(10mmol)及び2.9mlのトリエチルアミンを反応混合物に添加した。得られた反応混合物を0℃にて2時間、室温にて一晩攪拌した。次いで氷水(50ml)を添加し、得られた混合物をジエチルエーテルで2度抽出した。エーテル抽出物を1NのNaOH(1×)とNaCl水溶液(3×)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に蒸発乾固した。HCl/エーテルを用いて、生成物を100mlのジエチルエーテルから晶出させ、アセトンから再結晶させて1.2gの所望の生成物を得た。生成物を高速原子衝突質量分析により特性づけに付した([M+H]+=627)。
【0120】
[実施例3]
[N,N−ジメチル−2−エチル−2−フェニルグリシル]−Val−MeVal−Pro−Pro−NHBn×HCl(化合物4)の調製
[N,N−ジメチル−2−エチル−2−フェニルグリシル]−Val−MeVal−Pro−Pro−NHBn×HCl 2.07g(10mmol)のN,N−ジメチル−2−エチル−2−フェニルグリシン及び5.5g(10mmol)のH−Val−MeVal−Pro−Pro−NHBn×HClを100mlの乾燥DMFに溶解した。0℃に冷却後、1.6gのDEPCN(10mmol)と2.9mlのトリメチルアミンを添加した。反応混合物を0℃にて2時間、室温にて一晩攪拌し、上記のように後処理した。粗生成物をHCl/エーテルによりジエチルエーテルから晶出させ、4gの所望の生成物を得た。生成物を高速原子衝突質量分析により特性づけを行った([M+H]+=703)。
【0121】
[実施例4]
[N−メチル−D−Pro]−Val−MeVal−Pro−Pro−NHBn(化合物5)
Z−D−Pro−Val−MeVal−Pro−Pro−NHBnの調製
3.74gのZ−D−Pro−OH(15mmol、BACHEM)及び8.25gのH−Val−MeVal−Pro−Pro−NHBn×HCl(15mmol)を、80mlの乾燥DMFに溶解した。0℃に冷却した後、2.4gのDEPCN(2.25ml、15mmol)と4.2mlのトリエチルアミン(30mmol)を添加した。反応混合物を0℃にて数時間、室温にて一晩攪拌し、DMFを減圧下に蒸発させた。残留物を酢酸エチルで希釈し、希硫酸(pH2)、水、NaOH希薄水溶液(pH9〜10)、及び水で十分に洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固し、9.2gの所望の、保護基を有するペンタペプチドを得た。
【0122】
D−Pro−Val−MeVal−Pro−Pro−NHBn×HClの調製
8.2g(11mmol)のZ−D−Pro−Val−MeVal−Pro−Pro−HNBnを70mlのメタノールに溶解した。0.7mlの濃塩酸と0.3gの10%パラジウム/木炭を溶液に添加した後、得られた混合物を水素添加した。濾過と溶媒の蒸発により得られた残留物を、水に溶解し、pHを2に調節し、酢酸エチルで2度抽出した。水層のpHを9〜10に調整し、ジクロロメタンで2度抽出した。有機抽出物を蒸発させ、残留物をジエチルエーテルに再度溶解し、HCl/エーテルを添加して塩酸塩として晶出させ、6.5gの所望の生成物を得た。
【0123】
[N−メチル−D−Pro]−Val−MeVal−Pro−Pro−NHBn×HClの調製
1.94g(3mmol)のD−Pro−Val−MeVal−Pro−Pro−NHBnを、30mlのメタノールに溶解した。次いでこの溶液に、0.3gの10%パラジウム/木炭と、1.5mlホルムアミド水溶液を添加し、反応混合物を水素添加に付した。濾過と、溶媒の蒸発の後、残留物を水に溶解し、pHを2に調整し、ジエチルエーテルで二度、ジクロロメタンで更に数回抽出した。水層のpHを9〜10とし、ジクロロメタンで二度抽出した。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固した。残留物を塩酸塩として晶出させ、0.5gの所望の生成物を得、高速原子衝突質量分析で特性づけを行った([M+H]+=625)。
【0124】
下表1に記載の化合物を、実施例1〜4に記載のいずれかの方法で製造した。化合物を「異性体1」又は「異性体2」と称する場合、異性体1の方が、逆相分析用HPLC装置における保持時間が短いジアステレオマーであることを意味する。化合物を選定し、高速原子衝突質量分析に付した。結果を表2に示す。
【0125】
【表1】

【0126】
【表2】

【0127】
【表3】

【0128】
【表4】

【0129】
【表5】

【0130】
表1中の符号Xaa等は、以下のアミノ酸又はアミノ酸残基を示すものである。
Xaa: N−メチルバリン
Xab: プロリルN−ベンジルアミド
Xac: L−N−メチルピペリジン−2−カルボン酸
Xad: D−N−メチルピペリジン−2−カルボン酸
Xae: N−メチル−L−プロリン
Xaf: N−メチル−L−チアゾリン−4−カルボン酸
Xag: N,N−ジメチルグリシン
Xah: L−プロリンXai: L−ピペリジン−2−カルボン酸
Xak: 2−[N,N−ジメチルアミノ]−イソ酪酸
Xal: L−チアゾリジン4−カルボン酸
Xam: N−プロピル−D−ピペリジン−2−カルボン酸
Xan: L−3,4−ジデヒドロプロリン
Xao: D−ピペリジン−2−カルボン酸
Xap: プロリンtert−ブチルエステル
Xaq: N−エチル−D−ピペリジン−2−カルボン酸
Xar: N−メチル−[2,2,5,5−テトラメチル]−L−チアゾリジン2−カルボン酸
Xas: N−イソプロピル−D−ピペリジン−2−カルボン酸
Xat: N,N−ジメチル−2−シクロプロピルグリシン
Xau: N,N−ジメチル−2−エチル−2−フェニルグリシン
Xav: D−プロリンXaw: N−メチル−D−プロリン
Xax: N,N−ジメチル−2−[2−フルオロ]フェニルグリシン
Xay: 1−アザ−[3,3,0]ビシクロオクチル−5−カルボン酸
Xaz: N,N−ジメチル−2−[4−フルオロ]フェニルグリシン
Xba: N−メチル[2,2,5,5−テトラメチル]−チアゾリジン2−カルボン酸
Xbb: 2−(R,S)−エチル−2−フェニルグリシン
Xbc: D,L−1−アミノインダン−1−カルボン酸
Xbd: N,N−ジメチル−2−(R,S)−2−フェニルグリシン
Xbe: 2−[N,N−ジメチルアミノ]インダン−2−カルボン酸
Xbf: 5−[N,N−ジメチルアミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−5−カルボン酸Xbg: N−イソプロピル−2−(R,S)−エチル−2−フェニルグリシン
Xbh: 1−[N,N−ジメチルアミノ]インダン−2−カルボン酸
Xbi: N,N−ジメチル−2−プロピル−2−フェニルグリシン
Xbk: N,N−ジメチル−2−[4−メトキシ]フェニルグリシン
Xbl: N−メチル−3−ヒドロキシ−D,L−バリン
Xbm: N,N−ジメチル−D,L−2−イソプロピル−2−フェニルグリシン
Xbn: プロリン−N−メトキシ−N−メチルアミド
Xbo: N−メチルピペリジン−2−カルボン酸
Xbp: プロリン−イソプロピルアミド
Xbq: プロリンイソオキサゾリジニル
Xbr: プロリン−N−メトキシ−N−ベンジルアミド
Xbs: N−メチル−D,L−プロリンXbt: プロリン−[5−フェニル]イソオキサゾリジニル
Xbu: N−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−カルボン酸
Xbv: N−メチルアゼチジン−2−カルボン酸
Xbw: N−イソプロピルアゼチジン−2−カルボン酸
Xbx: プロリン−tert−ブチルアミド
Xby: N,N−ジメチル−[O−メチル]セリン
Xbz: N,N−ジメチル−[O−メチル]スレオニン
Xca: N−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸
Xcb: プロリンペンチル(3)アミド
Xcc: プロリン−(R)−フェネチルアミド
Xcd: プロリン−(S)−フェネチルアミド
Xce: 1−[N,N−ジメチルアミノ]シクロヘキシル−1−カルボン酸
Xcf: 1−[N,N−ジメチルアミノ]シクロペンチル−1−カルボン酸
Xcg: 1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸
【0131】
【化31】

【0132】
【化32】

【0133】
【化33】

【0134】
Xcs: L−2−tert−ブチルグリシン
Xct: N−メチル−L−イソロイシン
表2: 選定された化合物のFAB−MS分析結果
【0135】
【表6】

【0136】
【表7】

【0137】
【表8】

【0138】
【表9】

【0139】
[実施例5]
植物活性の評価
In vitro 法 付着細胞系列用の標準的方法、例えば微小栽培体テトラゾリウムアッセイ(MTT:microculture tetrazolium assay)により細胞毒性を測定した。この方法の詳細は刊行物に記載されている(Alley, M. C.等著、Cancer Research 48: 589-601、(1988))。指数関数的に成長する培養体のHT−29結腸がん種細胞を用いて微小プレート培養体(microtiter plate culture)を得た。96−ウェルプレート中(150mLの培地中)、ウェルごとに5000〜20000細胞を散布し、37℃にて一晩栽培した。10-4Mから10-10Mの10倍希釈として被検化合物を添加した。次いで細胞を48時間培養した。各ウェルごとの生存可能細胞の数を求めるためにMTT染料を添加した(3mg/mLの、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミドの、塩類溶液50mL)。この混合体を37℃にて5時間培養し、次いで50mLの25%SDS(pH2)を、各ウェルに添加した。一晩培養後、ELISAリーダーを用いて各ウェルの550nmにおける吸収を測定した。複製ウェルから得たデータの平均+/−SD値を、T/C(%)の式を用いて計算した(処理後生存可能細胞/対照(%))。50%成長阻害のT/C値を与える被検化合物濃度をIC50とした。
【0140】
本発明の化合物について、HT−29測定法で測定したIC50値を、表3に示す。
【0141】
【表10】

【0142】
【表11】

【0143】
【表12】

【0144】
【表13】

【0145】
In vivo 法
本発明の化合物について、臨床的有用性の指標とされるin vivo活性に関する種々の予備臨床分析法のいずれかにより更に実験を行うことも可能である。このような分析法は、好ましくはヒトの器官等の腫瘍組織の予め移植されたヌードマウスを用いて(この分野では「異種移植」として周知である)行われる。異種移植耐性マウスに被検化合物を投与した後に、その抗ガン作用についての評価を行った。
【0146】
更に、無胸腺ヌードマウス中で増殖するヒト腫瘍は、約50mgのサイズの腫瘍片により新たな受容動物に移植可能である。移植当日を0日とし、6日〜10日後、マウスに被検化合物を、静脈接種又は腹膜腔内接種により施した。投与量を5〜10匹のマウスから構成されるグループごとに変えた。化合物を5日間、10日間又は15日間にわたり、体重10〜100mgの投与量で毎日与えた。腫瘍直径と、体重とを1週間に2度測定した。腫瘍質量を、腫瘍容量をバーニア・カリパスにより測定した直径と、下式 (長さx幅2)/2 = 腫瘍質量(mg)
を用いて計算した。
【0147】
次いで、平均腫瘍質量を各処置群に関して計算し、未処理対照腫瘍に対する各群のT/C値を求めた。
【0148】
ここに例としてあげた化合物のSEQ ID No.を以下のとおりに定める。
【0149】
SEQ ID NO: 1: 化合物1〜4、7、9、10、12〜19、22〜44、46、47、49、50、54〜59、61〜65、67〜108、119〜142、144、145、147、148、150、151、153、154、156、157、159、160、162、163、165、166、168、169、171、172、174、175、
SEQ ID NO: 2:化合物5、6、8、20、45、48、51〜53、60、66、109〜118、143、146、149、152、155、158、161、167、170、173、 SEQ ID NO: 3:化合物11、 SEQ ID NO: 4:化合物21。
【0150】
等価物 当業者は慣用の実験法を用いて、本発明の上述の好ましい実施形態の多くの等価物を認識又は確認することができると考えられる。これらの等価物は本発明に包含されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式
【化1】


{式中、
Aが、式IVa
【化2】


で示され、
aが1又は2を意味し、R7aが水素又はアルキルを意味し、Raが水素、非置換又はフッ素置換アルキルを意味するα−アミノ酸誘導体、又は
式Va
【化3】


で示され、
7aが水素又はアルキルを意味し、Raが水素、非置換又はフッ素置換されたアルキルを意味するα−アミノ酸誘導体、又は
式Xa
【化4】


で示され、
aが1、2又は3を意味し、R7aが水素原子又はアルキルを意味し、Raが水素、非置換アルキル又はフッ素置換アルキルを意味するα−アミノ酸残基を意味し、
Bが、バリン、イソロイシン、アロイソロイシン、ノルバリン、2−tert−ブチルグリシン又は2−エチルグリシン残基、又は
式IIb
【化5】


で示され、
1bが水素を意味し、R2bがアルキル又はアルケニルを意味し、或いは、R1bとR2bとが共同でイソプロピリデン基を形成するα−アミノ酸残基を意味し、
DがN−アルキルバリン残基、N−アルキル−2−エチルグリシン残基、N−アルキル−2−t−ブチルグリシン残基、N−アルキルノルロイシン残基、N−アルキルイソロイシン残基、N−アルキルアロイソロイシン残基又はN−アルキルノルバリン残基、又は
式IId
【化6】


で示され、
dが水素、非置換又はフッ素置換アルキルを意味し、R1dが水素を意味し、R2dがアルキル、置換アルキル又はアルケニルを意味し、或いは、R1dとR2dとが共同でイソプロピリデン基を形成するα−アミノ酸残基、又は
式IIId
【化7】


で示され、
dが1又は2を意味し、R3dが水素、アルキル又はフッ素置換アルキルを意味し、Xdが水素を意味し、或いは、ndが1であり、かつXdがフッ素、ヒドロキシ、メトキシ又はエトキシを意味するα−アミノ酸残基を意味し、
Eが、プロリル、チアゾリジニル−4−カルボニル、ホモプロリル、又はヒドロキシプロリル残基、又は
式IIe
【化8】


で示され、
eが0、1又は2を意味し、R1eが水素、非置換又はフッ素置換アルキルを意味し、R2e及びR3eが、それぞれ互いに無関係に水素原子又はアルキルを意味し、R4eが水素原子、ヒドロキシ、アルコキシを意味し、R5eが水素原子又はフッ素原子を意味し、或いは、neが1であり、かつR3eとR4eが共同して二重結合を形成し、或いは、neが1であり、かつR4eとR5eが共同して二重結合酸素ジラジカルを形成し、或いは、neが1又は2であり、かつR1eとR2eが共同して二重結合を形成するα−アミノ酸残基、又は
式IIIe
【化9】


で示され、
eがアルキルを意味し、R1eが水素又は非置換又はフッ素置換アルキルを意味するアミノシクロペンタンカルボン酸残基を意味し、
Fがプロリル、チアゾリジニル−4−カルボニル、ホモプロリル、又はヒドロキシプロリル残基、又は
式IIf
【化10】


で示され、
fが0、1又は2を意味し、R1fが水素原子、又は非置換又はフッ素置換アルキルを意味し、R2fとR3fはそれぞれ互いに無関係に水素原子あるいはメチルを意味し、R4fが水素原子、ヒドロキシ、アルコキシ又はフッ素原子を意味し、R5fが水素原子又はフッ素原子を意味し、或いは、nfが1であり、かつR3fとR4fが共同して二重結合を形成し、或いは、nfが1であり、かつR4fとR5fが共同して二重結合酸素ジラジカルを形成し、或いは、nfが1又は2であり、かつR1fとR2fが共同して二重結合を形成するα−アミノ酸残基、又は
式IIIf
【化11】


で示され、
fがアルキルを意味し、R1fが水素、非置換又はフッ素置換アルキルを意味する2−又は3−アミノシクロペンタンカルボン酸残基、又は
N−アルキルグリシン残基、又は
N−アルキルアラニン残基を意味し、
Gが式IIg
【化12】


で示され、
1gが水素原子又はアルキル基を意味し、R2gが水素原子、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、フェニル又は置換フェニルを意味し、或いは、R1gとR2gとがα−炭素原子とともにC5−C6環又はベンゼン環の縮合したC5環を形成するα−アミノ酸残基を意味し、
Kが、式IIk
【化13】


で示され、
1kが水素、又はアルキルを意味し、R2kが水素、アルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、フェニル、又は置換フェニルを意味し、或いは、R1gとR2gがα−炭素原子と共同でシクロペンタン環又はベンゼン環の縮合したシクロペンタン環を形成するα−アミノ酸残基を意味し、
Lが置換又は非置換アミノ、ヒドラジド、アルコキシ、チオアルコキシ、アミノオキシ又はオキシマト基を意味し、
rおよびsが互いに無関係に0または1を意味する。}、
で表わされる化合物。
【請求項2】
Aが式IVaで示されるα−アミノ酸残基であり、
7aがメチル、エチル又はイソプロピルを意味し、Raが水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−メチル−2−フルオロエチル、1−フルオロメチル−2−フルオロエチル又は1−メチル−2−フルオロエチルを意味することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが式Vaで示されるα−アミノ酸残基であり、
7aがメチル、エチル又はi−プロピルを意味し、Raが水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−メチル−2−フルオロエチル、1−フルオロメチル−2−フルオロエチル又は1−メチル−2−フルオロエチルを意味することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Aが式Xaで示されるα−アミノ酸残基であり、
7aがメチル、エチル、i−プロピルを意味し、Raが水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−メチル−2−フルオロエチル、1−フルオロメチル−2−フルオロエチル又は1−メチル−2−フルオロエチルを意味することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Bが式IIbで示される残基であり、
1bが水素を意味し、R2bがシクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、メトキシメチル、1−メトキシエチル又は1−メチルビニルを意味することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
DがN−アルキルバリン残基、N−アルキル−2−エチルグリシン残基、N−アルキル−2−t−ブチルグリシン残基、N−アルキルノルロイシン残基、N−アルキルイソロイシン残基、N−アルキルアロイソロイシン残基又はN−アルキルノルバリン残基であり、前記N−アルキル基がメチル又はエチルであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Dが式IIdで示されるα−アミノ酸残基であり、
1dが水素原子を意味し、R2dがシクロプロピル、メトキシメチル、1−メトキシエチル又は1−メチルビニルを意味することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Dが式IIIdで示されるα−アミノ酸残基であり、
3dが水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−メチル−2−フルオロエチル又は1−フルオロメチル−2−フルオロエチルを意味し、Xdが水素原子を意味し、或いは、ndが1であり、Xdがフッ素原子又はヒドロキシ、メトキシ又はエトキシ基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Eが式IIeで示されるα−アミノ酸残基であり、
1eが水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−メチル−2−フルオロエチル又は1−フルオロメチル−2−フルオロエチルを意味し、R2eおよびR3eがそれぞれ互いに無関係に水素又はメチルを意味し、R4eが水素原子又はヒドロキシ、メトキシ又はエトキシ基を意味し、R5eが水素原子又はフッ素原子を意味し、或いは、neが1であり、かつR3eおよびR4eが共同で二重結合を形成し、或いは、neが1であり、かつR4eおよびR5eが共同で二重結合酸素ジラジカルを形成し、或いは、neが1又は2であり、R1eおよびR2eが共同で二重結合を形成することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
Eが式IIIeで示されるアミノシクロペンタンカルボン酸残基であり、
eがメチル又はエチルを意味し、R1eが水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−メチル−2−フルオロエチル又は1−フルオロメチル−2−フルオロエチルを意味することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Fが式IIfで示されるα−アミノ酸残基であり、
1fが水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−メチル−2−フルオロエチル又は1−フルオロメチル−2−フルオロエチルを意味し、R2fが水素原子又はメチルを意味し、R3fが水素原子又はメチルを意味し、R4fが水素原子、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、フッ素原子を意味し、R5fが水素原子又はフッ素原子を意味し、或いは、nfが1であり、かつR3fとR4fとが共同で二重結合を形成し、或いは、nfが1であり、かつR4fとR5fとが共同で二重結合酸素ジラジカルを形成し、或いは、nfが1又は2であり、かつR1fとR2fとが共同で二重結合を形成することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
Fが式IIIfで示される2−又は3−アミノシクロペンタンカルボン酸残基であり、
fがメチル又はエチルを意味し、R1fが水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−メチル−2−フルオロエチル又は1−フルオロメチル−2−フルオロエチルを意味することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
FがN−アルキルグリシン残基、N−アルキルアラニン残基であり、N−アルキル基がメチル又はエチルを意味することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
Gが式IIgで示されるα−アミノ酸残基であり、
1gが水素原子、メチル、エチル、n−プロピルを意味し、R2gが水素原子、エチル、i−プロピル、t−ブチル、i−ブチル、2−メチルプロピル、シクロヘキシルメチル、ベンジル、チアゾリル−2−メチル、ピリジル−2−メチル、n−ブチル、2、2−ジメチルプロピル、ナフチルメチル、n−プロピル、フェニル又は置換フェニルを意味し、フェニルの置換基が1個以上のハロゲン原子、1個以上のC1−C4アルキル、メトキシ、エトキシ、ニトロ又はトリフルオロメチル、又はジオキソメチレンであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
Kが式IIk示されるα−アミノ酸であり、
1kが水素原子、メチル、エチル又はn−プロピルを意味し、R2kが水素原子、エチル、i−プロピル、t−ブチル、i−ブチル、2−メチルプロピル、シクロヘキシルメチル、ベンジル、チアゾリル−2−メチル、ピリジル−2−メチル、n−ブチル、2、2−ジメチルプロピル、ナフチルメチル、n−プロピル、フェニル又は置換フェニルを意味し、フェニルの置換基が1個以上のハロゲン原子、1個以上のC1−C4アルキル、メトキシ、エトキシ、ニトロ又はトリフルオロメチル、又はジオキソメチレンを含み、或いは、R1gおよびR2gがα−炭素原子と共にシクロペンタン環又はベンゼン環が縮合したシクロペン環を形成することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
Lが式II1で示されるアミノ基
【化14】


であり、
1lが水素原子、直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和C1−C18アルコキシ基、置換又は非置換アリールオキシ基、置換又は非置換アリール−C1−C6アルコキシ基、置換又は非置換アリールオキシ−C1−C6アルコキシ基(アリールの置換基は1個以上のハロゲン原子、1個以上のC1−C4アルキル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、ジオキシメチレン又はニトロ基を含む)、又はヘテロアリール−C1−C6アルコキシ基を意味し、
2lが水素原子、直鎖状又は分枝状のC1−C18アルキル基、直鎖状又は分岐状C2−C18アルケニル基、C3−C10シクロアルキル基、アリール又は置換アリール基(アリールの置換基は1個以上のハロゲン原子、1個以上のC1−C4アルキル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、シアノ又はニトロ基、C1−C7アルコキシカルボニル基、ジオキシメチレン基、C1−C7アルキルスルホニル基、アミノ基、又はC1−C6ジアルキルアミノ基を含む)、又は、イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、チアゾール、オキサゾール、ピラゾール、チオフェン、フラン、ピロール、1,2,4−又は1,2,3−トリアゾール、ピラジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソインドール、インダゾール、キノリン、ピリダジン、ピリミジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール又はピリジンから誘導されるヘテロアリール基又は置換ヘテロアリール基(ヘテロアリールの置換基は1個以上のC1−C6アルキル、ヒドロキシ又はフェニル基を含む)を意味することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
2lが式IIr
【化15】


で示される基であり、
lが0、1、2、3、4又は5であり、R3lがメチル、エチル、n−プロピル又はi−プロピルを意味し、R4lが飽和又は部分的に不飽和の炭素原子数約3〜約10の炭素環基、アリール基又は置換アリール基(アリールの置換基は1個以上のハロゲン原子、1個以上のC1−C4アルキル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、シアノ又はニトロ基、C1−C7アルコキシカルボニル基、ジオキシメチレン基、C1−C7アルキルスルホニル基、アミノ基又はC1−C6ジアルキルアミノ基を含む)、又は、イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、チアゾール、オキサゾール、ピラゾール、チオフェン、フラン、ピロール、1,2,4−又は1,2,3−トリアゾール、ピラジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソインドール、インダゾール、キノリン、ピリダジン、ピリミジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール又はピリジンから誘導されるヘテロアリール基又は置換ヘテロアリール基(ヘテロアリールの置換基は1個以上のC1−C6アルキル、ヒドロキシル又はフェニル基を含む)を意味することを特徴とする、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
21が式IIIr
【化16】


で表わされる基であり、
1がN(R61)基、酸素原子、硫黄原子を意味し、R5l及びR6lがそれぞれ相互に無関係に水素原子、C1−C4アルキル基、C3−C7シクロアルキル基、アリール基、アリールメチル基、置換アリール基又は置換アリールメチル基(アリールの置換基は1個以上のハロゲン原子、1個以上のC1−C4アルキル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、シアノ又はニトロ基、C1−C7アルコキシカルボニル基、ジオキシメチレン基、C1−C7アルキルスルホニル基、アミノ基又はC1−C6ジアルキルアミノ基を含む)を意味し、或いは、R61がC1−C18アルカノイル基又はベンゾイル基を意味することを特徴とする、請求項16に記載の化合物。
【請求項19】
21が式IVr
【化17】


で示される一価の基であって、
1が2、3又は4を意味し、
1がホルミル、アミノカルボニル、ヒドラジノカルボニル、環式アセタール、環式チオアセタール、非環式アセタール又は非環式チオアセタールを意味することを特徴とする、請求項16に記載の化合物。
【請求項20】
2lが式Vr
【化18】


で示される基であって、
1が2、3又は4を意味し、
7lが式−O−(CH2CH2O)dl−CH3で示されるポリグリコール基を意味し、このdlが約2〜約4、又は約40〜約90の数値であることを特徴とする、請求項16に記載の化合物。
【請求項21】
2lが式VIr
【化19】


で示される基であって、
8lが水素原子、C1−C4アルカノイル、C1−C4アルキル、ベンゾイル又はベンジルを意味することを特徴とする、請求項16に記載の化合物。
【請求項22】
Lが式IIIl
【化20】


で示されるβ−ヒドロキシルアミノ基であって、
9lが水素原子、C1−C6アルキル基、アリール基又は置換アリール基(アリールの置換基は1個以上のハロゲン原子、1個以上のC1−C4アルキル、メトキシ、エトキシ,トリフルオロメチル、シアノ又はニトロ基、C1−C7アルコキシカルボニル基、ジオキシメチレン基、C1−C7アルキルスルホニル基、アミノ基又はC1−C6ジアルキルアミノ基を含む)を意味し、
10lが水素原子、メチル又はフェニル基を意味することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
r及びsのうちの少なくともいずれかが1であり、Lが式IVl
【化21】


で示されるアミノ基であり、R2l及びR4lがそれぞれ互いに無関係に水素原子又はC1−C10アルキルを意味し、或いは、R2l、R4l及びα−炭素が共同でC5−C6炭素環を形成することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
Lが式Vl
【化22】


で示されるヒドラジド基であり、
12lが水素原子、直鎖状又は分枝状C1−C8アルキル基、C3−C8シクロアルキル基、C3−C8シクロアルキル−C1−C4アルキル基、アリール基、アリール−C1−C4アルキル基、置換アリール基又は置換アリール−C1−C4アルキル基(アリールの置換基は1個以上のハロゲン原子、又は1個以上のメトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、ジオキシメチレン,ニトロ、シアノ、C1−C7アルコキシカルボニル、C1−C7アルキルスルホニル、アミノ又はC1−C7ジアルキルアミノ基を含む)、又は、ヘテロアリール−C1−C4アルキル基(ヘテロアリールがイミダゾール、ピロール、チオフェン、フラン、チアゾール、オキサゾール、ピラゾール、1,2,4−又は1,2,3−トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、ピリジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾピラン、インドール、イソインドール、インダゾール又はキノリンから誘導され、ヘテロアリールの置換基が1個以上のC1−C6アルキル、ヒドロキシル又はフェニル基を含む)を意味し、
11lが水素原子を意味し、或いは、rが1、sが1、或いはrとsの双方が1を意味し、R11lが直鎖状又は分枝状C1−C8アルキル基、C3−C8シクロアルキル基、C3−C8シクロアルキル−C1−C4アルキル基、アリール−C1−C4アルキル基、アリール基、置換アリール−C1−C4アリール基又は置換アリール基(アリールの置換基は1個以上のハロゲン原子、又は1個以上のC1−C4アルキル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、シアノ又はニトロ基、C1−C7アルコキシカルボニル基、ジオキシメチレン基、C1−C7アルキルスルホニル基、アミノ基又はC1−C6ジアルキルアミノ基を含む)、又は、イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、チアゾール、オキサゾール、ピラゾール、チオフェン、フラン、ピロール、1,2,4−又は1,2,3−トリアゾール、ピラジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソインドール、インダゾール、キノリン、ピリダジン、ピリミジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール又はピリジンから誘導されるヘテロアリール基、ヘテロアリール−C1−C4アルキル基、置換ヘテロアリール基又は置換ヘテロアリール−C1−C4アルキル基(ヘテロアリールの置換基は1個以上のC1−C6アルキル、ヒドロキシル又はフェニル基を含む)を意味し、或いは、
11lおよびR12lが共同でプロピレン橋又はブチレン橋を形成することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
Lが式−W−R13lで示される1価の基であり、
Wが酸素又は硫黄を意味し、
13lがC3−C10シクロアルキル、直鎖又は分岐状C2−C16アルケニルメチル、C1−C16アルキル又はハロゲン置換C1−C16アルキル基を意味し、又は
13lが式−(CH2e−R14lで示される一価の基であり、eが1、2又は3を意味し、R14lが飽和又は部分的に不飽和のC3−C10炭素環基を意味し、又は
13lが式−[CH2−CH=C(CH3)−CH2f−Hで示される一価の基であり、fが1、2、3又は4を意味し、又は
13lが式−[CH2−CH2−O]g−CH3で示される一価の基であり、gが1、2、3、4又は5を意味し、又は
13lが式−(CH2h−Xで示される一価の基であり、hが0、1、2又は3を意味し、Xがアリール基又は置換アリール基(アリールの置換基が1個以上のハロゲン原子、又は1個以上のC1−C4アルキル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、シアノ又はニトロ基、C1−C7アルコキシカルボニル基、ジオキシメチレン基、C1−C7アルキルスルホニル基、アミノ基、C1−C6ジアルキルアミノ基を含む)を意味し、或いは、Xがイミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、チアゾール、オキサゾール、ピラゾール、チオフェン、フラン、ピロール、1,2,4−又は1,2,3−トリアゾール、ピラジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソインドール、インダゾール、キノリン、ピリダジン、ピリミジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール又はピリジンから誘導されるヘテロアリール基又は置換へテロアリール基(ヘテロアリールの置換基は1個以上のC1−C6アルキル、ヒドロキシル又はフェニル基、アリール−C1−C4アルキル基又はヘテロアリール−C1−C4アルキル基を含む)を意味し、又は
13lが式−(CH2b−Wl−R5lで示される一価の基であり、bが整数を意味し、W1が酸素原子、硫黄原子又はNR6l基を意味し、R5lが炭素原子数約3〜約10の飽和又は部分的に不飽和の炭素環基、アリール基又は置換アリール基(アリールの置換基は1個以上のハロゲン原子、1個以上のC1−C4アルキル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、シアノ又はニトロ基、C1−C7アルコキシカルボニル基、ジオキシメチレン基、C1−C7アルキルスルホニル基、アミノ基又はC1−C6ジアルキルアミノ基を含む)、又は、イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール又はチアゾール、オキサゾール、ピラゾール、チオフェン、フラン、ピロール、1,2,4−又は1,2,3−トリアゾール、ピラジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソインドール、インダゾール、キノリン、ピリダジン、ピリミジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール又はピリジンから誘導されるヘテロアリール基又は置換へテロアリール基(ヘテロアリールの置換基は1個以上のC1−C6アルキル、ヒドロキシ又はフェニル基を含む)を意味し、R6lが水素原子、C1−C4アルキル、C3−C7シクロアルキル、C1−C18アルカノイル、ベンゾイル、アリール、アリールメチル、置換アリール基又は置換アリールメチル基(アリールの置換基は1個以上のハロゲン、1個以上のC1−C4アルキル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、シアノ又はニトロ基、C1−C7アルコキシカルボニル基、ジオキシメチレン基、C1−C7アルキルスルホニル基、アミノ基又はC1−C6ジアルキルアミノ基を含む)を意味することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
Lが式−O−N(R15l)(R16l)のアミノオキシ基であり、
15lとR16lがそれぞれ互いに無関係に水素原子、直鎖状の又は分枝状C1−C8アルキル基、ハロゲン置換された直鎖状又は分岐状C1−C8アルキル基、C3−C8シクロアルキル基、C3−C8シクロアルキル−C1−C4アルキル基、アリール基、アリール−C1−C4アルキル基、置換アリール基又は置換アリール−C1−C4アルキル基(アリールの置換基は1個以上のハロゲン原子、又は1個以上のC1−C4アルキル基、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、シアノ又はニトロ基、C1−C7アルコキシカルボニル基、ジオキシメチレン基、C1−C7アルキルスルホニル基、アミノ基又はC1−C6ジアルキルアミノ基を含む)、又は、イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、チアゾール、オキサゾール、ピラゾール、チオフェン、フラン、ピロール、1,2,4−又は1,2,3−トリアゾール、ピラジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソインドール、インダゾール、キノリン、ピリダジン、ピリミジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール又はピリジンから誘導されるヘテロアリール基、ヘテロアリールC1−C4アルキル基、置換へテロアリール基、置換へテロアリール−C1−C4アルキル基(ヘテロアリールの置換基は1個以上のC1−C6アルキル、ヒドロキシル又はフェニル基を含む)を意味し、或いは、R15lとR16lが窒素原子と共に5、6又は7原子から成るヘテロ環を形成することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
Lが式−O−N=C(R15l)(R16l)で示されるオキシマト基であり、
15lとR16lがそれぞれ互いに無関係に水素原子、直鎖状の又は分枝状C1−C8アルキル基、ハロゲン置換された直鎖状又は分岐状のC1−C8アルキル基、C3−C8シクロアルキル基、C3−C8−シクロアルキル−C1−C4アルキル基、アリール基、アリール−C1−C4アルキル基、置換アリール基又は置換アリール−C1−C4アルキル基(アリールの置換基は1個以上のハロゲン原子、又は1個以上のC1−C4アルキル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、シアノ又はニトロ基、C1−C7アルコキシカルボニル基、ジオキシメチレン基、C1−C7アルキルスルホニル基、アミノ基又はC1−C6ジアルキルアミノ基を含む)、又は、イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、チアゾール、オキサゾール、ピラゾール、チオフェン、フラン、ピロール、1,2,4−又は1,2,3−トリアゾール、ピラジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソインドール、インダゾール、キノリン、ピリダジン、ピリミジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール又はピリジンから誘導されるヘテロアリール基又は置換へテロアリール基(ヘテロアリールの置換基は1個以上のC1−C6アルキル、ヒドロキシル又はフェニル基を含む)を意味し、或いは、R15lとR16lとが炭素原子と共に環状基又は芳香環に縮合した環状基を形成することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
環状基が以下の群
【化23】


から選択されることを特徴とする、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
下式
【化24】


により表わされる化合物であって、式中
Aが、D,L−1−アミノインダン−1−カルボニル、2−[N,N−ジメチルアミノ]インダン−2−カルボニル、5−[N,N−ジメチルアミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−5−カルボニル、1−[N,N−ジメチルアミノ]インダン−2−カルボニル、1−[N,N−ジメチルアミノ]シクロヘキシル−1−カルボニルおよび1−[N,N−ジメチルアミノ]シクロペンチル−1−カルボニルから選択されるアミノ酸誘導体であり、
Bが、バリン、イソロイシン、2−t−ブチルグリシンから選択されるアミノ酸の残基であり、
DがN−メチルバリン、N−メチルイソロイシン及びN−メチル−L−2−t−ブチルグリシンから選択されるアミノ酸の残基であり、
E及びFがそれぞれ相互に無関係にプロリン、チアプロリン、ホモプロリン、ヒドロキシプロリン、3,4−ジデヒドロプロリン、4−フルオロプロリン及び3−メチルプロリンから選択されるアミノ酸の残基であり、
Lがアルコキシ基又は式R1l−N−R2lで示されるアミノ基であり、R1lとR2lが互いに無関係に水素原子、アルコキシ、ヒドロキシ、アルキル、アルキルアリールから選択されることを特徴とする化合物。
【請求項30】
下式
【化25】


により表わされる化合物であって、式中
Aが、D,L−1−アミノインダン−1−カルボニル、5−[N,N−ジメチルアミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−5−カルボニル、1−[N,N−ジメチルアミノ]インダン−2−カルボニル、1−[N,N−ジメチルアミノ]シクロヘキシル−1−カルボニル及び1−[N,N−ジメチルアミノ]シクロペンチル−1−カルボニルから選択されるアミノ酸誘導体であり、
Bがバリン残基であり、
DがN−メチルバリン残基であり、
EとFはそれぞれプロリン残基であり、
LがC1−C6アルコキシ又は式R1l−N−R2lで示されるアミノ基であり、このR1lとR2l がそれぞれ互いに無関係に水素原子、C1−C6アルコキシ、ヒドロキシ、直鎖状、環状又は分枝状のC1−C10アルキル、フェニルアルキルから選択されることを特徴とする化合物。
【請求項31】
治療上有効な量の請求項1〜30のいずれか1項に記載の化合物を含む、哺乳動物の悪性腫瘍を処置するための医薬組成物。
【請求項32】
哺乳動物がヒトであることを特徴とする、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
Lが置換または非置換のアミノまたはヒドラジドであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
請求項33に記載の化合物と薬学上許容される媒体または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項35】
Lが式II1で示されるアミノ基
【化26】



であり、
1lが水素原子、直鎖状又は分枝状の飽和又は不飽和C1−C18アルコキシ基、置換又は非置換アリールオキシ基、置換又は非置換アリール−C1−C6アルコキシ基、置換又は非置換アリールオキシ−C1−C6アルコキシ基(アリールの置換基は1個以上のハロゲン原子、1個以上のC1−C4アルキル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、ジオキシメチレン又はニトロ基を含む)、又はヘテロアリール−C1−C6アルコキシ基を意味し、
2lが水素原子、直鎖状又は分枝状のC1−C18アルキル基、直鎖状又は分岐状C2−C18アルケニル基、C3−C10シクロアルキル基、アリール基又は置換アリール基(アリールの置換基は1個以上のハロゲン原子、1個以上のC1−C4アルキル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、シアノ又はニトロ基、C1−C7アルコキシカルボニル基、ジオキシメチレン基、C1−C7アルキルスルホニル基、アミノ基、又はC1−C6ジアルキルアミノ基を含む)、又は、イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、チアゾール、オキサゾール、ピラゾール、チオフェン、フラン、ピロール、1,2,4−又は1,2,3−トリアゾール、ピラジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソインドール、インダゾール、キノリン、ピリダジン、ピリミジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール又はピリジンから誘導されるヘテロアリール基又は置換ヘテロアリール基(ヘテロアリールの置換基は1個以上のC1−C6アルキル、ヒドロキシ又はフェニル基を含む)を意味することを特徴とする、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
2lが式IIr
【化27】


で示される基であり、
lが0、1、2、3、4又は5であり、R3lがメチル、エチル、n−プロピル又はi−プロピルを意味し、R4lが飽和又は部分的に不飽和の炭素原子数約3〜約10の炭素環基、アリール基又は置換アリール基(アリールの置換基は1個以上のハロゲン原子、1個以上のC1−C4アルキル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、シアノ又はニトロ基、C1−C7アルコキシカルボニル基、ジオキシメチレン基、C1−C7アルキルスルホニル基、アミノ基又はC1−C6ジアルキルアミノを含む)、又は、イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、チアゾール、オキサゾール、ピラゾール、チオフェン、フラン、ピロール、1,2,4−又は1,2,3−トリアゾール、ピラジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソインドール、インダゾール、キノリン、ピリダジン、ピリミジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール又はピリジンから誘導されるヘテロアリール基又は置換ヘテロアリール基(ヘテロアリールの置換基は1個以上のC1−C6アルキル、ヒドロキシル又はフェニルを含む)を意味することを特徴とする、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
21が式IIIr
【化28】



で表わされる基であり、
1がN(R61)基、酸素原子、硫黄原子を意味し、R5l及びR6lがそれぞれ相互に無関係に水素原子、C1−C4アルキル、C3−C7シクロアルキル、アリール、アリールメチル、置換アリール又は置換アリールメチル基(アリールの置換基は1個以上のハロゲン原子、1個以上のC1−C4アルキル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、シアノ又はニトロ基、C1−C7アルコキシカルボニル基、ジオキシメチレン基、C1−C7アルキルスルホニル基、アミノ基又はC1−C6ジアルキルアミノ基を含む)を意味し、或いは、R61がC1−C18アルカノイル基又はベンゾイル基を意味することを特徴とする、請求項35に記載の組成物。
【請求項38】
21が式IVr
【化29】


で示される一価の基であって、
1が2、3又は4を意味し、
1がホルミル、アミノカルボニル、ヒドラジノカルボニル、環式アセタール、環式チオアセタール、非環式アセタール又は非環式チオアセタール基を意味することを特徴とする、請求項35に記載の組成物。
【請求項39】
2lが式Vr
【化30】


で示される基であって、
1が2、3又は4を意味し、
7lが式−O−(CH2CH2O)dl−CH3で示されるポリグリコール基を意味し、このdlが約2〜約4、又は約40〜約90の数値であることを特徴とする、請求項35に記載の組成物。
【請求項40】
2lが式VIr
【化31】


で示される基であって、
8lが水素原子、C1−C4アルカノイル、C1−C4アルキル、ベンゾイル又はベンジル基を意味することを特徴とする、請求項35に記載の組成物。
【請求項41】
r及びsのうちの少なくともいずれかが1であり、Lが式IVl
【化32】



で示されるアミノ基であり、
2l及びR4lがそれぞれ互いに無関係に水素原子又はC1−C10アルキルを意味し、或いは、R2l、R4l及びα−炭素が共同でC5−C6炭素環を形成することを特徴とする、請求項34に記載の組成物。
【請求項42】
Lが式Vl
【化33】


で示されるヒドラジド基であり、
12lが水素原子、直鎖状又は分枝状C1−C8アルキル基、C3−C8シクロアルキル基、C3−C8シクロアルキル−C1−C4アルキル基、アリール基、アリール−C1−C4アルキル基、置換アリール又は置換アリール−C1−C4アルキル基(アリールの置換基は1個以上のハロゲン原子、又は1個以上のメトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、ジオキシメチレン,ニトロ、シアノ、C1−C7アルコキシカルボニル、C1−C7アルキルスルホニル、アミノ又はC1−C7ジアルキルアミノ基を含む)、又は、ヘテロアリール−C1−C4アルキル基(ヘテロアリール基がイミダゾール、ピロール、チオフェン、フラン、チアゾール、オキサゾール、ピラゾール、1,2,4−又は1,2,3−トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、ピリジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾピラン、インドール、イソインドール、インダゾール又はキノリンから誘導され、このヘテロアリールの置換基は1個以上のC1−C6アルキル、ヒドロキシル又はフェニルを含む)を意味し、
11lが水素原子を意味し、或いは、rが1、sが1、或いはrとsの双方が1を意味し、R11lが直鎖状又は分枝状C1−C8アルキル基、C3−C8シクロアルキル基、C3−C8シクロアルキル−C1−C4アルキル基、アリール−C1−C4アルキル基、アリール基、置換アリール−C1−C4アリール又は置換アリール基(アリールの置換基は1個以上のハロゲン原子、又は1個以上のC1−C4アルキル基、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、シアノ又はニトロ基、C1−C7アルコキシカルボニル基、ジオキシメチレン基、C1−C7アルキルスルホニル基、アミノ基又はC1−C6ジアルキルアミノを含む)、又は、イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、チアゾール、オキサゾール、ピラゾール、チオフェン、フラン、ピロール、1,2,4−又は1,2,3−トリアゾール、ピラジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソインドール、インダゾール、キノリン、ピリダジン、ピリミジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール又はピリジンから誘導されるヘテロアリール基、ヘテロアリール−C1−C4アルキル基、置換ヘテロアリール基又は置換ヘテロアリール−C1−C4アルキル基(ヘテロアリールの置換基は1個以上のC1−C6アルキル、ヒドロキシル又はフェニルを含む)を意味し、或いは、
11lおよびR12lが共同でプロピレン橋又はブチレン橋を形成することを特徴とする、請求項34に記載の組成物。
【請求項43】
治療上有効な量の請求項33の化合物を含む、哺乳動物における固形腫瘍の形成を阻害するための医薬組成物。
【請求項44】
治療上有効な量の請求項33の化合物を含む、哺乳動物の固形腫瘍を処置するための医薬組成物。
【請求項45】
治療上有効な量の請求項33の化合物を含む、哺乳動物の悪性腫瘍を処置するための医薬組成物。

【公開番号】特開2009−137968(P2009−137968A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315269(P2008−315269)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【分割の表示】特願2000−503101(P2000−503101)の分割
【原出願日】平成10年7月7日(1998.7.7)
【出願人】(502104228)アボット ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー (89)
【Fターム(参考)】