説明

ドラッグフィールド補助電極

ドラッグフィールドを形成するための補助電極は、多重極の主RF電極間に挿入するためにプリント回路基板材料等の薄い基板に指電極の配列として設けることができる。配列の個々の指電極を相互接続する静的抵抗器を利用する分圧器を実装することにより補助電極の長さに沿って漸進的な電圧範囲を印加することができる。個々の指電極又は指電極のグループに動的電圧変化を印加することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
質量分析計は、衝突セルを含む多重極イオンガイドを採用することが多い。イオンガイドは、イオンを保持するため又は半径方向及び/又は軸方向にイオンを移動させるために、様々な電圧が印加される複数の電極を備える。本発明は、具体的には、多重極イオンガイド及び衝突セル内の補助ロッドによってイオンを軸方向に移動させるための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
三段式四重極質量分析計等のタンデム質量分析計において、及び他の質量分析計においても、イオンガイド及び衝突セル内のRFロッドセットによって規定される容積内のガスは、衝突集束として公知のプロセスによって感度及び質量分解能を向上させる。このプロセスでは、ガスとイオンとの間の衝突によってイオンの速度は減少され、イオンは軸近くに集束する。しかしながら、イオンの減速は、ロッドセットを通り一方のロッドセットから他方のロッドセットへのイオン伝達の際にも遅延を生じる。集束は好ましくても、イオンの減速はまた他の好ましくない結果をもたらす。
【0003】
例えば、イオンガイドのロッドセットが大気圧イオン源から質量フィルタにイオンを伝達するとき、イオンガイド内のガス圧は比較的高い(例えば、衝突集束に対して5ミリトールを超える)可能性があり、ガスとの衝突はイオンを実際上停止まで減速できる。したがって、イオンガイドに入るイオンと質量フィルタ(下流にある)に到達するイオンとの間には遅延がある。例えば、いくつかのイオン強度が次々と監視される場合、この遅延は複数のイオンの監視の際に問題を生じる。このような複数のイオンがイオンガイドを通るイオン伝達時間よりも速い周波数で監視される場合、イオンの少なくとも一部が停止まで減速するという事実は、イオンがその余波を受け、イオンが検出される速度が遅くなるという悪影響を与える。関連するデータが処理及び保存される順序とレートも影響がある。この場合、イオンガイドに入るイオンからの信号は、決して定常状態に達することができない。したがって、測定イオン強度はあまりにも低い可能性があり、測定の時間の関数であり得る。
【0004】
同様に、生成イオンが第1の質量フィルタの下流にある衝突セル内に形成された後、例えば、イオンは、多数の衝突後に、その速度が非常に遅くなるため衝突セルからゆっくりと排出する可能性がある。イオン除去時間(一般的には数十ミリ秒)は、迅速に連続するいくつかの親/断片の対を監視するときの隣接チャネル間の干渉により、クロマトグラムでの尾びきや他の擬似の読み取りを生じ得る。これを避けるために、かなり十分な休止時間が測定間に必要とされ尾びきについても、同様の休止時間が必要である。測定間で必要とされるこのような休止時間は、計器の生産性を減少させる。
【0005】
イオンガイド及び衝突セルを形成する多重極の中を軸方向にイオンを移動させるには、補助ロッドを細分化し、細分化された全ての部分に電圧を印加して、多重極の長さに沿って電圧勾配を形成することにより、イオンを移動できることがよく知られている。
【0006】
このような方法に関する背景情報は、1998年12月8日発行のThompsonらによる米国特許第5,847,386号明細書「Spectrometer With Axial Field」に記載されており、その中には次のような説明がある。「質量分析計では、通常、ロッドセットの1つである四極子を構築して、軸方向電場(例えば、DC軸方向電場)をその上に形成する。軸方向電場は、ロッドを先細り形状にすることで形成する、互いに角度を付けてロッドを配置することで形成する、ロッドを区分化することで形成する、抵抗性コーティングされたロッド又は区分化されたロッドを設けることで形成する、各ロッドに沿って間隔を置いて一連の導電金属バンドを設け、バンド間に抵抗性コーティングを施すことによって形成する、抵抗性外部コーティング及び導電性内部コーティングが施された管として、各ロッドを形成することで形成する、他の適切な方法によって形成することが可能である。」
【0007】
別の区分化された補助ロッド構造に関する背景情報は、1996年11月19日発行のJolliffeによる米国特許5,576,540号明細書「Mass Spectrometer With Radial Ejection」に記載されおり、その中には次のような説明がある。「各ロッド140は、複数の軸方向区分140−1〜140−7に分割され、絶縁体141によって分離されている...ロッド140の電圧は、ロッドセット132の中央の縦軸142に沿って軸方向のDC電場を形成する。」
【0008】
他の補助電極構造に関する背景情報は、Wuerkerらによる米国特許第3,147,445号明細書、Tannerらによる米国特許第6,713,757号明細書、Londryらによる米国特許第6,909,089号明細書、1998年1月21日発行のBabaらによる米国特許第5,783,824号明細書「Ion Trapping Apparatus」にもある。
【0009】
Kovtounによる米国特許第7,067,802号明細書では、多重極の主電極の外面への抵抗経路を適用し、その抵抗経路にDC電圧を印加することにより、多重極を通してイオンを移動させるための軸方向電圧勾配を形成するという代替的な方法を教示している。
【0010】
Lobodaらによる米国特許第7,084,398号明細書では、トラップからイオンを選択的に軸方向へ排出する方法を教示している。要約書には、方法は「...ロッドセット内に軸方向振動電場を形成して軸方向静電場を打ち消すことによって、イオンをイオンの第1のグループとイオンの第2のグループに分離するステップ...」を含むと説明されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、イオンガイド及び衝突セル内で軸方向にイオンを動かすことができる補助電極に関する。これらの補助電極は低コストで提供する必要があると共に、曲線状の主電極セットに適合させるために補助電極を任意の形状に容易に構成することができるような方法で提供する必要がある。プリント回路基板材料上に概ね平坦な又はロープロフィールの指電極配列を配置することにより、多重極イオンガイド又は衝突セル内の主RF電極間に、これらの配列で形成された補助電極を配置することができる。半径方向内側のエッジが中心軸に近くなるように配置することができる。このため、指電極の配列に印加される電圧によって形成される軸方向の電圧勾配は、多重極を通してイオンを効果的に移動させることができる。
【0012】
本発明の実施形態は、電子コントローラと、前記電子コントローラの動作状態で多重極イオンガイド装置内にRF電圧を印加するRF電力源、及び電子コントローラに作動的に接続される複数の主電極とを備える多重極イオンガイド装置を有する質量分析計を含む。質量分析計はまた、コントローラを介してDC電圧源に接続される少なくとも1つの補助電極も備える。このような補助電極は、主電極における少なくとも2つの隣り合う主電極の間に配置され得る。少なくとも1つの補助電極は、指電極の少なくとも1つの配列と、少なくとも1つの配列の個々の指電極を相互に接続する複数の抵抗器とを備える電気素子を有することができる。補助電極はまた、指電極及び抵抗器を支持する基板も備え得る。電圧源は、指電極が補助電極の長さに沿って配列の各指電極において単調な漸進的電圧勾配を示すように、電気素子に静的DC電圧を印加することができる。
【0013】
本発明の実施形態はまた、前述した質量分析計と類似した質量分析計を含む。前述した質量分析計と異なる点は、電気素子が、抵抗器の代わりに又はこれに加えて指電極の前記少なくとも1つの配列の各指電極に接続される少なくとも1つのデジタル/アナログ変換器(DAC)を備えることである。また、DC電圧源は、少なくとも1つのDACによって、1つ又は複数のDC電圧を指電極に印加して、少なくとも1つの補助電極の長さに沿って少なくとも1つの配列の各指電極に電圧勾配を提供し、質量分析計の多重極イオンガイド装置を通して軸方向にイオンを動かすことができる。この配置では、少なくとも1つのDACは、動的に調整できるプログラム可能な論理制御を備えてもよい。
【0014】
別の例示的な配置では、本発明の実施形態は、質量分析計内の多重極イオンガイド装置を通してイオンを動かす方法を含むことができる。本方法は、多重極イオンガイド装置の隣り合う主RF電極の間に薄板を備える補助電極を配置するステップを含むことができる。本方法はまた、補助電極の薄板に配置された指電極の少なくとも1つの配列によって軸方向に少なくとも1つの階段状の単調な電圧の範囲を印加するステップを含む。本方法は、各抵抗器を介して指電極にそれぞれの電圧を段階的に印加するステップと、多重極イオンガイド装置を介して軸方向に電圧範囲によってイオンを単調に移動させるステップを含む。
【0015】
更に別の構成では、本発明の実施形態は、前述した方法と類似の方向を含み得る。前述した方法と異なる点は、抵抗器によってDC電圧を印加するステップに代えて、又はこのステップに加えて、1つ又は複数のコンピュータ制御式の電圧供給源によって指電極に各DC電圧を印加するステップを含むことである。コンピュータ制御式の電圧供給源は、DACを備えることができる。
【0016】
本発明の実施形態は、質量分析計に適用され得る補助電極及び前述の方法を含み得ることを理解されたい。単純な形式では、本発明の実施形態は、質量分析計の多重極イオンガイド装置内で、イオンを動かす軸方向の電場を生成するための補助電極を含む。補助電極は、補助電極の電気素子を支持するための少なくとも1つの基板を備えることができる。少なくとも1つの基板は、多重極イオンガイド装置の少なくとも2つの隣り合う主電極の間に位置決めされるように構成することができる。電気素子は、少なくとも1つの基板上に配置される指電極の配列と、多重極イオンガイド装置の軸方向に単調な漸進的電圧勾配を設定してイオンを軸方向に前記多重極イオンガイド装置を介して動かすために、指電極における各指電極を相互接続する静的抵抗器と、を備える。別の単純な形式では、補助電極は、前述のように、抵抗器の代わりに又はこれに加えて少なくとも1つのDACを備えることができる。少なくとも1つのDACを、動的に調整可能なDACとすることができる。
【0017】
少なくとも1つの基板が薄板を備えることができる。指電極の配列は、この薄板に配置することができる。電気素子は、電気素子を伴う基板が多重極イオンガイド装置の少なくとも2つの隣り合う電極の間に位置決めするモノリシックユニットを形成するように、薄型に又は薄板と一体にすることも可能である。ある場合には、薄板はプリント回路基板材料を備えることができ、指電極の配列は、プリントされた導体材料を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る1つ又は複数のイオンガイド及び/又は衝突セルを備える質量分析計の基本的な概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る多重極イオンガイドの斜視図である。
【図3】図2の多重極イオンガイドの端面図である。
【図4】本発明の代替的な実施形態に係る補助電極構造体の上面概略図である。
【図5】本発明の別の例示的な構成に係る多重極イオンガイドに対して構成された電極の透視図である。
【図6】図5に示す曲線状のイオンガイド構造から見た端面図である。
【図7】本発明の別の新規な多重極構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の明細書の説明の中では、特に暗黙的に又は明示的に知られている又は述べられている場合を除いては、単数形で現れる単語はその複数形の単語を含み、複数形で現れる単語はその単数形の単語を含むことを理解されたい。更に、本明細書に説明されている所与のコンポーネント又は実施形態については、特に暗黙的に又は明示的に知られている又は述べられている場合を除いては、該当するコンポーネントに対して一覧されている可能な候補又は選択肢はいずれも、通常、個別に又は互いに組み合わせて使用することができることを理解されたい。更に、暗黙的に又は明示的に知られている又は述べられている場合を除いては、このような候補又は選択肢の一覧はいずれも単なる例示に過ぎず、制限するものでないことを理解されたい。必要に応じて、類似の参照番号は、図面のいくつかの図にわたって対応する部品を示し、容易に理解できるようにしていることを理解されたい。
【0020】
更に、特に明記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、構成要素、反応条件等を表す数は、用語「約」によって修飾されているものと理解されたい。したがって、特に記載のない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数のパラメータは、本願明細書に提示された対象により取得が試みられる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、及び特許請求の範囲への均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも、報告された有効数字の数を考慮し、一般的な丸め手法を適用することにより解釈する必要がある。本明細書で提示される広範な対象を説明する数値の範囲とパラメータは近似値であるにも関わらず、特定の例で説明される数値は、可能な限り正確に報告される。但し、いかなる数値も、そのそれぞれの試験測定で判明する標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含むものである。
【0021】
ここで図面を参照すると、図1は本明細書に開示された例示的な実施形態に係るイオンガイド又は衝突セルq0、q2、q4をしばしば備えることが可能である、本発明の質量分析計(全体として参照番号12で示される)の基本的な図である。このような質量分析計は、電極コントローラ15と、本明細書に開示された多重極装置にRF電圧を供給する電力源18と、多重極や本発明の他の電極構造体等、事前に決定された装置にDC電圧を供給するように構成された電圧源21と、を更に備えることができる。
【0022】
他の例示的な配置では、質量分析計12は、当業者にはよく知られ理解されているイオン源と入口部分24によって構成可能な場合も多い。この場合、当該部分は、電気スプレイイオン化部分、化学イオン化部分、熱イオン化部分、及びマトリックス支援レーザー脱離イオン化部分を含むことができるが、これに限定されるものではない。更に、質量分析計12はまた、任意の数のイオンガイド(q0)27、(q4)30、質量フィルタ(Q1)33、衝突セル(q2)36、及び/又は質量分析器(Q3)39、(Qn)42を備えることもでき、ここで、質量分析器39、42は、任意のタイプとすることができ、例えば、四極質量分析器、二次元イオントラップ、三次元イオントラップ、静電トラップ、及び/又はフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴分析器とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0023】
当業者には公知のイオンガイド27、30、衝突セル36、及び分析器39、42は、入口部分24から少なくとも1つの検出器48まで、イオン経路45を形成することができる。大気圧より低い圧力でイオン経路に沿って任意の装置を密閉及び維持するために、真空段階をいくつでも実装してよい。電子コントローラ15は、様々な装置(ポンプ、センサ、イオン源、イオンガイド、衝突セル、及び検出器等)に動作可能に連結され、これにより、質量分析計12全域にわたる様々な場所で装置及び条件を制御すると共に、分析対象の粒子を表す信号を受信及び送信する。
【0024】
前述したように、ガスを使用することでイオンを冷却し中心軸の方へ動かす場合、多くのイオンガイド及び衝突セルは、イオン伝達中にイオンが減速するという交換条件に悩まされる。図1について上記に検討したように、イオンを、各装置を介して検出器48の方へ、図1に示すイオン経路45に沿って動かすのに、多くのメカニズムが利用されている。しかし、事前に決定されているロッド電極(例えば、四極電極)の電場との干渉がなく、費用対効果が高く、種々のイオンガイド及び衝突セルの構成への順応性を有するメカニズムが依然として必要である。
【0025】
そのような必要性に対処する例示的な構成を図2に示す。ここで、1つ又は複数の指電極71で構成される補助電極54、55、56、57は、図1のイオンガイド27、30のいずれか1つ及び/又は衝突セル36において隣り合って対をなす主ロッド電極60、61、62、63の間に配置されるよう設計されている。図2における主ロッド電極60、61、62、63及び補助電極54、55、56、57の相対的な位置は、わかりやすくするために、幾分拡大されている。但し、補助電極は、ローマ数字IIIによって参照される方向矢印によって示すように、中心軸51上で交差する平面を概ね形成する位置を占有し得る。このような平面は、多重極イオンガイド装置の主RF電極からほぼ同じ距離で、隣接し合うRFロッド電極の間に位置決めすることができ、この場所では、例えば、四極子の電場が実質的にゼロ又はゼロに近くなる。したがって、指電極71の構成配列は、四極子の電場との干渉を最小限に抑えるために、電位がゼロ又はゼロに近いこのような平面に概ね置かれ得る。図3は図2の構成の斜視端面図であり、補助電極54、55、56、57の半径方向内側エッジ65、66、67、68が主ロッド電極60、61、62、63に対してどのように位置決めされ得るかを示す。
【0026】
図2に戻ると、当業者には公知のように、逆に配置された主RFの各対に対して電子コントローラによって逆RF電圧を印加すれば、所望の方法でイオンを半径方向に含めることが可能である。指電極71(補助電極54、55、56、57のそれぞれにおいて構成される)の配列は、本発明では、このような構造の半径方向内側エッジ65、66、67、68の部分まで拡張し及び/又はこの部分を形成するように設計される場合が多い。したがって、指電極71の配列に電圧が印加されると、図1に示すイオンガイド27、30又は衝突セル36の内側に軸方向電場が形成される。別の例示的な配置として、指電極71の配列の各電極は、事前に決定された抵抗素子74(例えば、抵抗器)及び場合によっては事前に決定されたキャパシタ77によって、隣接する指電極71に連結することができる。所望の抵抗器74により、補助電極54、55、56、57の長さ方向に沿って各分圧器が設定される。よって、指電極71の配列上に結果として生じる電圧によって、電圧の範囲(しばしば、階段状の単調な電圧の範囲)が形成される。図1に示すように、電圧は、イオン経路45に沿ってイオンを動かす電圧勾配を軸方向にもたらす。図2に示す例示的な実施形態では、補助ロッド電極に印加される電圧が静的電圧を含む場合が多く、抵抗器が静的抵抗素子を含む場合が多い。キャパシタ77は、RF電圧カップリング効果(主RFロッド電極60、61、62、63に印加されるRF電圧は、通常、RFロッド電極60、61、62、63の動作時に補助電極54、55、56、57にカップリングされ、これらの補助電極を加熱する)を抑制する。
【0027】
図4に示すような代替的な実施形態では、1つ又は複数の補助電極が、1つ又は複数の指電極71の配列に動的な電圧が印加される補助電極(全体として参照番号80によって指定される)によって実現される。この例示的な配置では、図1に示すようなコントローラ15が、コンピュータ制御式の電圧供給源83、84、85を含む場合もあれば、これらの電圧供給源がコントローラ15に追加される場合もあり、これらの電圧供給源はデジタル/アナログ変換器(DAC)の形式をとり得る。配列内に存在する指電極71と同じ数のコンピュータ制御式の電圧供給源83、84、85を備え、各コンピュータ制御式の電圧供給源を、配列の各指電極71に連結し、それぞれの電圧を制御することができることを理解されたい。代替的な配置として、多重極装置内の全ての配列について特定の軸位置にあるそれぞれの指電極71を、同じコンピュータ制御式の電圧供給源に接続し、それらに同じ電圧を印加することが可能である。図4に示す例示的な実施形態では、配列における事前に決定された指電極71に、各コンピュータ制御式の電圧供給源83、84、85を接続することができる。複数の補助電極において実装される場合、各コンピュータ制御式の電圧供給源83、84、85は、同様に指電極71の複数の配列のそれぞれに適用することができる。
【0028】
図4に示すように、及び上記に概説したように、補助電極80には、一配置として、動的なコンピュータ制御式の電圧供給源と静的抵抗器74の形式の分圧器との組み合わせによって、設計電圧が印加され、多重極装置の長さに沿って全体的に単調に漸進する電圧範囲が形成される。個々のコンピュータ制御式の電圧供給源83、84、85に接続される指電極71のグループ内の指電極71の間の静的抵抗器74は、単調に漸進する電圧勾配の形成に寄与する分圧器を更に備える。電圧供給源83、84、85は、例えば、コンピュータを介して動的に制御できるので、分析対象の標的イオンの特定のサンプル又はセットの必要事項を満たすように電圧の大きさ及び範囲を調整及び変更することが可能である。また、図4に示すように、隣接する指電極71間にキャパシタ77を接続することも可能である。指電極71のそれぞれに2つのリードが図示されているが、連結される抵抗器とキャパシタを有する両側の単一リードを利用することにより、図4の例示的な構成と同様に機能するように、隣接する指電極の相互接続を表すことができることを理解されたい。
【0029】
図4はまた、図2及び図3において前述した半径方向内側エッジ65、66、67、68に類似する半径方向内側エッジ88の構成を詳細に示す。半径方向内側エッジ88は、中央部分91(金属化することも或いは導電材料を備えることもできる)と、先細部分92(中央部分91にまたがる)と、くぼみギャップ部分93と、を含む。中央部分91は、指電極の配列の指電極71ごとに、補助電極80の表と裏の両方での金属化を結び付ける方法で金属化を行うことができる。中央部分91は、補助電極80の最も内側の区域として、イオン経路にごく接近したDC電位を示す。くぼみギャップ部分93を含むギャップ96は、各指電極の間に電気的障壁を設けるために、金属化された指電極71の間に必要とされる。但し、これらのギャップは、荷電粒子がギャップ内の表面にとどまることができるように、荷電粒子のための静止場所を提供するが、指電極71に電圧を印加することにより形成されるよう意図されている勾配に悪影響を与える場合がある。したがって、先細部分92及びくぼみギャップ部分93の金属化されていないエッジ表面は、先細部分92及びくぼみギャップ部分93のエッジ表面が荷電粒子の滞留場所ほどアクセスしやすくならないように、半径方向の最も内側の区域から離れる方向に先細形状にされる。
【0030】
金属化を受け入れ及び支持する構造要素は、限定されるものではないがガラスファイバー等の任意のプリント回路基板(PCB)材料の基板99(図4に示すように)とすることができる。これは、本発明の実施形態に統合されるように、形成、折り曲げ、切断、或いは成形して任意の所望の構成にすることができる。図2〜図4では実質的に平坦で真っ直ぐなエッジを有する基板を示しているが、基板と、基板上の指電極の配列は、曲線エッジ及び/又は曲面を有する形状に成形することが可能なことを理解されたい。このように成形及び金属化された基板は、比較的簡単に製造することが可能である。したがって、本発明の実施形態に係る補助電極は、曲線状の多重極における曲線状の主ロッド電極の間に配置するように構成することができる。
【0031】
図5は、曲線状の多重極装置の斜視図であり、全体的に参照番号102によって示される。多重極イオン装置102は、イオンガイド又は衝突セルとすることができ、図1に示した質量分析計12の中に、図1に示したイオンガイド27、30又は衝突セル36の代わりに組み込むことが可能である。多重極装置102は、主RF電極105、106、107、108を備え、図2の実施形態について前述したように、これらの電極は、コントローラ15(図1を参照)に接続され、電力源18(図1を参照)からRF電圧を印加されるようになっている。主RF電極は、コストの削減及び製造の簡略化のために矩形断面材料から形成することができる。主RF電極はまた、所望のイオン経路及び/又は質量分析計の構成を実現するために、1つ又は複数の軸を中心にした曲線状とすることができる。補助電極111、112、113、114を利用するために、基板116、117、118、119は、主RF電極の曲率と一致するよう成形される。動作方法では、補助電極111、112、113、114は主電極105、106、107、108の間に挿入され、図2〜4の実施形態について説明したように、DC電圧が補助電極111、112、113、114に印加される。
【0032】
図5の矢印VIの方向に見た図6の端面図では、第1及び第2の補助電極111及び112は、主RF電極105、106、107、108内で出会うように拡張された場合に、実質的に連続平面を形成するような向きに配置される。同様に、第3及び第4の補助電極113、114も互いに位置合わせされる。補助電極111、112、及び113、114の対の向きが概ね同一平面上にある場合、製造がより簡単になる。それにもかかわらず、半径方向の最も内側のエッジ122、123、124、125は、主RF電極105、106、107、108の隣接する電極の間に配置される(図6を参照、及び図2〜4の実施形態について前述した内容を参照)。
【0033】
図5から理解できるように、特定の基板(例えば、基板117)の下面の金属化は、予め決定されている別の基板(例えば、基板118)の上面の金属化のミラーイメージとなり得る。前述した実施形態と同様に、抵抗器122とキャパシタ126は、隣接し合う指電極128を相互接続して、多重極装置102の長さに沿って分圧器を提供することができる。或いは、DACは、配列内の各指電極128に別々に接続することができる。或いは、DACは、指電極128のグループに接続することができ、これらのグループは次に、図4の実施形態に関して図示及び説明したように、抵抗器126によって互いに接続される。即ち、DAC及び/又は抵抗器を補助電極に接続することで、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく任意の組み合わせの補助電極にDC電圧を印加すると共にその印加電圧を制御することができる。
【0034】
他の例示的な実施形態と同様に、指電極128の配列は、基板116、117、118、119のそれぞれを形成する回路基板の反対側に配置される。前述した他の例示的な実施形態と同様に、指電極128の配列は、プリント回路基板材料のエッジにプリントされた或いは塗布された導体材料を含むことができ、これにより回路基板材料の両側にある導体材料が接合される。このように、指電極の配列は、補助電極の半径方向の最も内側のエッジ表面の大部分に導体材料を提供する。また、他の実施形態と同様に、指電極配列の各指電極128の間の回路基板材料のエッジには、くぼみ92が存在する。したがって、回路基板材料の絶縁材料表面へのイオン堆積のために利用可能な場所には、イオンビーム又はイオン経路から半径方向を外側に遠ざかるようにくぼみが設けられている。
【0035】
他の実施形態と同様に、図5及び図6の実施形態における補助電極を形成する際に利用されるプリント回路基板材料は、指電極128の金属化の導体材料として構造的基礎又は基板を提供する。補助電極(例えば、111、112)は、多重極装置102の2つの隣り合う曲線状の主電極の間に位置決めする曲線状の基板を形成する曲線状の薄板を含み得る。指電極128の配列は、曲線状の薄板上に配置することができる。この実施形態及び他の実施形態では、基板は薄板の形式を取り得る。指電極の配列は、薄板上に配置してもよい。任意の抵抗器及びキャパシタを含む電気素子は、電気素子を備える基板が多重極装置の少なくとも2つの隣り合う主電極の間に位置決めするモノリシックユニットを形成するように薄型に又は薄板と一体にすることができる。
【0036】
図7は、本発明の代替的な実施形態に係る多重極装置131の分解斜視図である。多重極装置131は、図2〜3の実施形態に類似した主RF電極134、135、136、137を備えることができる。或いは、主ロッド電極の場合は、図5及び図6の実施形態の場合のように矩形断面部分を備えることが可能である。しかしながら、図7の構成については、補助電極140、141、142、143は、限定されるものではないが二酸化ケイ素等の薄い半導体材料の羽根として形成することが可能である。更に重要なことは、補助電極140、141、142、143は、電位が印加されたときに、軸方向のDC電場をもたらすための長さに沿った方向に抵抗を有するように構成することができる。したがって、当該補助電極は、離散的な指電極、又は分圧器を形成する電気素子を備えていなくても、前述した補助電極と同様に機能し得る。むしろ、羽根はその長さに沿って一定の抵抗を有し、このため、補助電極にDC電圧が印加されると線形軸方向DC電場が形成される。或いは、羽根は、補助電極140、141、142、143の長さに沿って電圧勾配が変化するように、種々の断面をもつことができる。別の例示的な配置として、様々な軸方向のDC電場を形成するように、補助電極を形成する羽根の材料をドープして抵抗の所望の変動を適用することができる。
【0037】
全ての実施形態において、補助電極は多重極装置の全長未満の長さに適用され得る。補助電極の長さに沿った電圧の単調な漸進的変化について検討してきたが、他の単調でない漸進的な電圧変化も適用できることを理解されたい。例えば、衝突セル内で必要な衝突ガスが少なくて済むように多重極装置の上流端に減速電圧を印加することができる。更に、多重極装置の下流端に加速電圧を印加すれば、イオンは装置の中を通り装置の外へ移動し続ける。加えて、DAC又は他のコンピュータ制御式の電圧供給源を利用して、静的なDC電圧供給の代わりに又はこれに加えて、補助電極に印加される電圧を動的に変化させることが可能である。
【0038】
質量分析計は、任意の隣り合う主RF電極の対の間に補助電極を1つ挿入しただけでも機能し得ることを理解されたい。しかし、本明細書に開示した実施形態のいずれかの多重極装置内で、対をなす隣り合う主RF電極の間に複数の補助電極を配置することにより、より均等に分布した軸方向DC電場が形成される。この方法は、個々の補助電極の長さに沿ってそれぞれの補助電極において同じ又は類似の電圧勾配を生じる場合に特に使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重極イオンガイド装置を備える質量分析計であって、
電子コントローラと、
前記電子コントローラと、前記電子コントローラの動作状態で前記多重極イオンガイド装置内にRF電圧を印加するRF電力源とに作動的に接続される複数の主電極と、
前記コントローラを介してDC電圧源に接続され、前記主電極における少なくとも2つの隣り合う主電極の間に配置される少なくとも1つの補助電極であり、
指電極の少なくとも1つの配列と、前記少なくとも1つの配列の各指電極を相互に接続する複数の抵抗器とを備える電気素子、及び
前記指電極及び前記抵抗器を支持する基板を含む補助電極と、
を有し、
前記指電極が前記補助電極の長さに沿って前記配列の各指電極において単調な漸進的電圧勾配を示すように、前記電圧源が静的DC電圧を前記電気素子に印加する質量分析計。
【請求項2】
前記電子コントローラ及び前記抵抗器が、前記1つ又は複数の補助電極に印加される前記電圧を単調な電圧勾配に制限する請求項1に記載の質量分析計。
【請求項3】
前記少なくとも1つの補助電極を含む複数の補助電極を更に有し、前記複数の補助電極が前記多重極イオンガイド装置においてそれぞれ対をなす隣り合う主電極の間に配置される請求項1に記載の質量分析計。
【請求項4】
各補助電極における指電極の前記配列が、前記多重極イオンガイド装置の前記少なくとも2つの隣り合う主電極の間に指電極の前記配列を位置決めするために平面に概ね置かれる請求項1に記載の質量分析計。
【請求項5】
前記少なくとも1つの補助電極が、
1つ又は複数の曲線状の基板を形成する1つ又は複数の曲線状の薄板であり、前記1つ又は複数の曲線状基板が、前記多重極イオン装置における前記少なくとも2つの隣り合う主電極における曲線状の主電極の間に前記1つ又は複数の曲線状の基板を位置決めするための前記少なくとも1つの基板を含む、1つ又は複数の薄板と、
前記1つ又は複数の曲線状の薄板に配置される指電極の前記配列と、
を備える請求項1に記載の質量分析計。
【請求項6】
多重極イオンガイドを備える質量分析計であって、
電子コントローラと、
前記コントローラと、前記コントローラの動作状態で前記多重極イオンガイド装置内の主電極にRF電圧を印加するRF電圧源とに作動的に接続される複数の主電極と、
前記コントローラを介してDC電圧源に接続され、多重極イオンガイド装置の前記主電極における少なくとも2つの隣り合う主電極の間に配置される少なくとも1つの補助電極であり、
指電極の少なくとも1つの配列と、指電極の前記少なくとも1つの配列の各指電極に接続される少なくとも1つのデジタル/アナログ変換器(DAC)とを備える電気素子、及び
前記指電極を支持する少なくとも1つの基板を含む補助電極と、
を有し、
前記DC電圧源は、少なくとも1つのDACによって、1つ又は複数のDC電圧を前記指電極に印加して、前記少なくとも1つの補助電極の長さに沿って前記少なくとも1つの配列の各指電極に電圧勾配を提供し、前記質量分析計の前記多重極イオンガイド装置を通して軸方向にイオンを動かす、質量分析計。
【請求項7】
前記少なくとも1つのDACが、プログラム可能な論理制御を備えており、動的に調整可能である請求項6に記載の質量分析計。
【請求項8】
前記電気素子が、前記指電極における各指電極を相互接続する抵抗器を更に備え、前記指電極における各指電極の間に単調な漸進的電圧勾配をもたらす請求項6に記載の質量分析計。
【請求項9】
前記少なくとも1つの補助電極を含む複数の補助電極を更に備え、前記複数の補助電極が、前記DC電圧源に接続され、前記多重極イオンガイド装置のそれぞれの対をなす隣接する主電極の間に配置される、請求項6に記載の質量分析計。
【請求項10】
指電極の前記配列が、前記多重極イオンガイド装置の前記少なくとも2つの隣り合う主電極の間に位置決めするために平面に概ね置かれる請求項6に記載の質量分析計。
【請求項11】
前記少なくとも1つの補助電極が、前記少なくとも1つの基板を含む1つ又は複数の曲線状の基板を形成する1つ又は複数の曲線状の薄板を備え、
前記1つ又は複数の曲線状の基板が、前記少なくとも2つの隣り合う主電極における曲線状の主電極の間に位置決めされ、
指電極の前記配列が、前記1つ又は複数の曲線状の薄板に配置される、請求項6に記載の質量分析計。
【請求項12】
質量分析計内の多重極イオンガイド装置を通してイオンを動かす方法であって、
前記多重極イオンガイド装置の隣り合う主RF電極の間に薄板を備える補助電極を配置するステップと、
前記補助電極の前記薄板に配置された指電極の少なくとも1つの配列によって軸方向に少なくとも1つの階段状の単調な電圧の範囲を印加するステップと、
各抵抗器を介して前記指電極にそれぞれの電圧を段階的に印加するステップと、
前記多重極イオンガイド装置を介して前記軸方向に前記単調な電圧範囲によってイオンを単調に移動させるステップと、
を含む方法。
【請求項13】
質量分析計内の多重極イオンガイド装置を通してイオンを動かす方法であって、
前記多重極イオンガイド装置の隣り合う主電極の間に薄板を備える補助電極を配置するステップと、
前記補助電極の前記薄板に配置された指電極の少なくとも1つの配列によって軸方向に少なくとも1つの電圧範囲を印加するステップと、
1つ又は複数のコンピュータ制御式の電圧供給源によって前記指電極に各DC電圧を印加するステップと
前記多重極イオンガイド装置を介して前記軸方向に前記電圧範囲によってイオンを移動させるステップと、
を含む方法。
【請求項14】
質量分析計の多重極イオンガイド装置内で、イオンを動かす軸方向の電場を生成する補助電極であって、
前記補助電極の電気素子を支持するための少なくとも1つの基板であり、前記多重極イオンガイド装置の主電極における少なくとも2つの隣り合う主電極の間に位置決めされるように構成される、少なくとも1つの基板を有し、
前記電気素子が、
前記少なくとも1つの基板上に配置される指電極の配列と、
前記多重極イオンガイド装置の軸方向に単調な漸進的電圧勾配を設定して、イオンを軸方向に前記多重極イオンガイド装置を介して動かすために、前記指電極における各指電極を相互接続する静的抵抗器と、
を備える補助電極。
【請求項15】
前記少なくとも1つの基板が薄板を備え、
指電極の前記配列が前記薄板に配置され、
前記電気素子を伴う前記基板が前記多重極イオンガイド装置の前記少なくとも2つの隣り合う電極の間に位置決めするモノリシックユニットを形成するように、前記電気素子が薄型に又は前記薄板と一体になる、請求項14に記載の補助電極。
【請求項16】
前記薄板が、プリント回路基板材料を有し、かつ指電極の前記配列が、プリントされた導体材料を有し、
指電極の前記配列が前記回路基板材料の両側に配置され、
指電極の前記配列が、前記プリント回路基板のエッジに前記プリントされた導体材料を含み、これにより、前記回路基板材料の両側にある前記プリントされた導体材料が接合され、前記補助電極の半径方向の最も内側のエッジ表面の大部分に前記プリントされた導体材料が提供される請求項15に記載の補助電極。
【請求項17】
前記回路基板材料の絶縁材料表面へのイオン堆積のために利用可能な場所に、前記イオンビームから半径方向を外側に遠ざかるようにくぼみが設けられるように、前記指電極配列の各指電極間の前記プリント回路基板材料の前記エッジにくぼみを更に有する請求項16に記載の補助電極。
【請求項18】
質量分析計の多重極イオンガイド装置内で、イオンを動かす軸方向の電場を生成する補助電極であって、
前記補助電極の電気素子を支持するための少なくとも1つの基板であり、前記多重極イオンガイド装置の主電極における少なくとも2つの隣り合う主電極の間に位置決めされるように構成される、少なくとも1つの基板
を有し、
前記電気素子が、
前記少なくとも1つの基板上に配置される指電極の配列と、
前記指電極における各指電極に接続される1つ又は複数のデジタル/アナログ変換器(DAC)であり、イオンを軸方向に前記多重極イオンガイド装置を介して動かすために前記多重極イオンガイド装置の軸方向にDC電圧勾配を生じる各DC電圧を印加する1つ又は複数のデジタル/アナログ変換器(DAC)と、を備える補助電極。
【請求項19】
前記1つ又は複数のDACが、動的に調整可能なDACを含む請求項18に記載の補助電極。
【請求項20】
質量分析計の多重極イオンガイド装置内で、イオンを動かす電場を生成するモノリシックドラッグフィールド電極であって、
前記モノリシックドラッグフィールド電極の第1の端に印加される電圧が、前記モノリシックドラッグフィールド電極の長さに沿ってモノリシック電圧勾配を形成するような抵抗を持つようにドープされたシリコン
を有し、
前記電圧勾配が、前記多重極イオンガイド装置を介して軸方向にイオンを移動させるために、前記モノリシックドラッグフィールド電極の長さに沿って軸方向の電場を形成するモノリシックドラッグフィールド電極。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2011−522377(P2011−522377A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511700(P2011−511700)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/043841
【国際公開番号】WO2009/148782
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(501192059)サーモ フィニガン リミテッド ライアビリティ カンパニー (42)
【Fターム(参考)】