説明

ドラムやボビン等への巻き付け物の運搬及び繰り出し治具

【課題】熟練を要せず簡単にドラムを取り入れることができ、運搬が容易であり、また、ケーブル等の繰り出し、繰り入れの際には容易にドラムを回転自在にできる。
【解決手段】環状フレーム1を間隔をあけて二つ設け、これらの環状フレーム1間に複数の第1の横棒2をわたし、前記各環状フレーム1内に、各端部を当該各環状フレーム1の上下部に固定した補強柱3を設け、各環状フレーム1の外側に略環状枠体7を設け、当該各略環状枠体7の外周にハブレスタイヤ11を夫々回転自在に嵌めて支持し、当該タイヤ11の下端外周は前記各環状フレーム1の下端外周より下方に位置する構成とし、前記各環状フレーム1の補強柱3に、シャフト支持機構であるシャフト受け20を設け、前記前記環状フレームの一側上部に取っ手を、また、一側下部に脚体を夫々設け、前記両側の環状フレーム1と第1の横棒等によってドラム収納部を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線ケーブルや通信ケーブル等を巻き付けた、ドラムやボビン等への巻き付け物の運搬及び繰り出し治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電線ケーブルや通信ケーブル工事に用いるケーブル延線用ドラムは、材料置き場や搬入場所等から工事現場等に運搬する場合、床等の損傷を防ぐためベニヤ板を敷いて養生し、その上を人力で転がしており、方向転換する場合は4〜5人の作業者がコロ等を順に当てがいこの上を転がしていく。
【0003】
また、ケーブル延線ではドラムの中心孔に通したシャフトの両端をジャッキで支持し、これらのジャッキによりシャフトを持ち上げてドラムを地面等から浮かして延線する方法、また、ターンテーブル上にドラムを横倒しにして載置し、このターンテーブルを回転させて延線する方法、また、ドラムの中心孔に通したシャフトの両端夫々に略三角形状のフレームを取付け、これらのフレームを相互に連結させてドラムを地表面から浮かして延線する方法等がある。
【0004】
これらの従来方法では、まず、ドラムを運搬するのに作業員を多く必要とし、かつ、ベニヤ板等を通路に敷く等、建物内の床や壁や既設設備の損傷を防ぐために養生をしなければならず、きわめて手間がかかるものであった。しかも、運搬後は上記のような延線架台等にドラムを別途装着しなければ延線することができず、二重の手間がかかるものであった。
【0005】
そこで、このようなケーブルドラムの運搬と延線が兼用できる架台や台車が開発された。特許文献1は、平面コ字型フレームから成る台車の両側に一対のジャッキを載置、固定し、この台車のコ字型フレーム内にドラムを入れ、ドラムにシャフトを通してその両端をジャッキに取り付け、ジャッキでドラムを地面等から上げて、台車にドラムを支持し、運搬可能とするとともに、前記台車に設けたストッパを地面等に押し付けて台車を固定し、ドラムからケーブルを繰り出して延線出来るものである。
【0006】
また、特許文献2のものは、主台車と補助台車とから成り、主台車はその上面にケーブルドラムの両側の鍔を載せるローラを回転自在に設け、主台車の一側からこのローラと直角にガイド突体を略水平に突設して平面コ字型のフレームを形成し、上記補助台車はこれらのガイド突体に着脱自在に係合し、かつこれらのガイド突体に沿って摺動自在な係合溝を有し、上面にはこれらの係合溝と略直角方向に上記ケーブルドラムの両側の鍔を載せるローラを設け、これらの主台車と補助台車の下面には夫々これらを支える車輪を設け、かつ、主台車と補助台車とが相対的に接近自在な、ワイヤーと緊線機とから成る緊締手段を設けたものである。
【0007】
この場合、主台車と補助台車を切り離し、これらをケーブルドラムの両側に位置させて、前記緊締手段の緊線機で接近させ、主台車のガイド突体に補助台車の係合溝を嵌め、さらに緊締手段で、主台車と補助台車を接近させ、各ローラにドラムの鍔を載せ、ドラムを地面等から浮かすものである。これにより、ドラムの運搬及び延線が可能となる。
【0008】
また、特許文献3のものは、一側にブレーキ装置を設けた軸を、鋼線を巻き付けたドラムに回転自在に通し、このドラムの他側から突出する前記軸に、上記ブレーキ装置とドラムを相互に当接させて軸方向の動きを止めるカラーを通して着脱自在に固定し、前記ドラムの鍔の外面に突出したナットに係止自在な突腕を上記ブレーキ装置のブレーキホイールから突設し、当該軸の両端を、枠状のフレームから成る支持体の一端両側に設けた軸受けの上縁の溝に挿入し、一端を上記ブレーキ装置に接続したブレーキロッド又はワイヤーの他端を当該支持体の一側に長さ調整自在に支持させ、上記ドラムに巻きつけた鋼線の一端を通し、繰り出し方向には挿通自在で、反対方向には係止自在な鋼線通し金具を上記支持体に摺動自在かつ回転自在に設け、上記各軸受けを有する支持体の一端両側下部に、当該支持体を支持する車輪を設け、また支持体の他端両側下部には脚体を設けたものである。
【0009】
この場合、支持体を斜めに立てて、軸を通したドラムに接近させ、当該支持体の一端両側の軸受けにドラムの軸を引っ掛け、この状態で支持体の他端をやや倒せば、ドラムは軸受けに係止されて地面等から浮く。そしてこの状態で軸の一側に設けたブレーキ装置に接続したブレーキロッド又はワイヤーの他端を支持体の一側に長さ調整自在に支持させ、ドラムを支持体の車輪によって容易に運搬することができる。また、ドラムを目的場所まで運んだ後、前記支持体の他端をさらに倒して支持体を水平にして、車輪と脚体で支持体を支持し、ドラムから鋼線を繰り出すことができる。
【0010】
【特許文献1】実開昭61−74215号公報
【特許文献2】実公平4−35333号公報
【特許文献3】実公平8−7958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記特許文献1のものは、ドラムを平面コ字型フレームから成る台車の中に入れ、ジャッキを操作して、ドラムに通したシャフトの両端をジャッキの上端に設けた軸受けに係止し、その後、前記ジャッキでドラムを地面等から浮かせなければならず、前記当該台車にドラムを載せるのに手間がかかるものである。
【0012】
また、前記引用文献2のものは、主台車と補助台車を切り離し、これらをケーブルドラムの両側に位置させて、前記緊線機でワイヤーを引っ張り、これにより主台車と補助台車を接近させ、主台車のガイド突体に補助台車の係合溝を嵌め、さらに緊線機でワイヤーを引っ張り、主台車と補助台車を接近させ、各ローラにドラムの鍔を載せ、ドラムを地面等から浮かせて台車に載せるものであるが、まず、主台車のガイド突体に補助台車の係合溝を嵌めるのに作業者が手を添える等の作業が必要であり、また、これらの主台車と補助台車の水平移動でドラムをすくい上げるのに、大きな力を要するものである。従って、必ずしもドラムを台車にスムーズに載せられるものではない。
【0013】
また、前記特許文献3のものは、軸を通したドラムに支持体を斜めに立てて接近させ、前記軸の両端を、支持体の一端両側の軸受けですくって当該軸受けにドラムの両側から突出する軸を係止してドラムを支持体の一端に載せるが、支持体の一端には車輪を有するため、支持体の一端が地面等に固定されず、当該支持体の一端でドラムを持ち上げるため、作業が難しく、熟練を要するものである。また、支持体にドラムを支持した後、ブレーキ装置のブレーキロッド又はワイヤーを支持体に支持させなければならない。
【0014】
そこで、この発明はこれらの従来技術を改善すべく、熟練を要せず簡単にケーブルドラムを取り入れることができ、運搬が容易であり、また、ケーブル等の繰り出し、繰り入れの際には容易にドラムを浮かして回転自在にできるものであり、対象物をケーブルドラムに限定せず、ドラムやボビン等への巻き付け物全般の運搬及び繰り出しが容易な治具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、搭載するドラムの鍔径以上の外径を有する環状フレームを、間隔をあけて二つ設け、これらの環状フレーム間に、複数の第1の横棒をわたして設け、前記各環状フレーム内に、各端部を当該各環状フレームの略上下部に固定した補強柱を設け、各環状フレームの外側に、環状の車輪を受ける略環状枠体から成る車輪支持体を前記補強柱又は環状フレームに固定して設け、当該車輪支持体の外周に前記車輪を夫々回転自在に嵌めて支持し、当該車輪の外径は前記環状フレームの外径より小さく、かつ、下端外周は前記各環状フレームの下端外周より下方に位置する構成とし、前記各環状フレームの補強柱に、搭載するドラムの中心孔に挿入したシャフトの両端を回転自在に支持するシャフト支持機構を設け、前記各環状フレームの一側から外方向に略コ字型の把持フレームを設け、この把持フレームの上部を取っ手、下部を脚体とし、これらの把持フレームを有する側を環状フレームの後部とし、前記複数の第1の横棒は少なくとも環状フレームの下部の前後に設け、これらの第1の横棒と前記環状フレームの上部後部又は両側の取っ手の間に設けた第2の横棒と両側の環状フレームによってドラム収納部を形成し、必要時に搭載したドラムを前記ドラム収納部から浮かせる機構である、ドラムやボビン等への巻き付け物の運搬及び繰り出し治具とした。
【0016】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記シャフト支持機構は、前記各環状フレームの補強柱に支持されて略水平方向に移動、固定自在である、ドラムやボビン等への巻き付け物の運搬及び繰り出し治具とした。
【0017】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記シャフト支持機構は前記各環状フレームの補強柱に支持されて略上下方向に移動、固定自在である、ドラムやボビン等への巻き付け物の運搬及び繰り出し治具とした。
【0018】
また、請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記シャフト支持機構は、前記各環状フレームの補強柱に支持されて略上下及び水平方向に移動、固定自在であることを特徴とする、請求項1に記載のドラムやボビン等への巻き付け物の運搬及び繰り出し治具とした。
【0019】
また、請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの発明において、前記ドラム収納部にドラムを収納した際、前記車輪と前記脚体とで治具全体を支えるよう重心を治具の後部に置いた、ドラムやボビン等への巻き付け物の運搬及び繰り出し治具とした。
【0020】
また、請求項6の発明は、前記請求項1〜5のいずれかの発明において、前記各車輪の回転制動及び回転ロック機構を有するブレーキを設けた、ドラムやボビン等への巻き付け物の運搬及び繰り出し治具とした。
【0021】
また、請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記環状の車輪は、ハブレスタイヤである、ドラムやボビン等への巻き付け物の運搬及び繰り出し治具とした。
【0022】
また、請求項8の発明は、請求項3〜7のいずれかに記載の発明において、前記シャフト支持機構の上下の移動、固定は、ガススプリング付きのジャッキの伸縮により操作する構成である、ドラムやボビン等への巻き付け物の運搬及び繰り出し治具とした。
【0023】
また、請求項9の発明は、請求項6〜8のいずれかの発明の運搬及び繰り出し治具に、前記巻き付け物を有するドラムを収納し、当該ドラムの中心孔に通したシャフトをシャフト支持機構に取り付けてドラムを回転自在に支持した状態で、前記各車輪に前記ブレーキを掛けて回転をロックし、前記把持フレームを床又は地面に着けて治具を安定させた後、前記治具をドラムごと運搬車に搭載して搬送し、使用目的地において前記治具を運搬車から降ろして前記ブレーキのロックを解除して使用する、ドラムやボビン等への巻き付け物の繰り出し、繰り入れ方法とした。
【0024】
また、請求項10の発明は、請求項6〜8のいずれかの発明の運搬及び繰り出し治具に、前記巻き付け物を有するドラムを収納し、当該ドラムの中心孔に通したシャフトをシャフト支持機構に取り付けてドラムを回転自在に支持した状態で、当該ドラムに巻き付けた巻き付け物の一端を支持物に固定し、この状態で、当該治具を押しながら前記巻き付け物をドラムから繰り出す、ドラムやボビン等への巻き付け物の繰り出し、繰り入れ方法とした。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の発明によれば、作業者はドラムの傍に当該治具を運んで行き、ドラムの脇で治具の取っ手を前に傾け、ドラム収納部の下部前部の第1の横棒を床や地面近くに位置させ、この状態でドラムを転がして、治具のドラム収納部に入れる。そして、作業者は取っ手を下方に回し、取っ手の下部の脚体が床や地面に着くまで回す。これにより、ドラムはドラム収納部に安定良く収納される。これは、この発明の治具の両側のフレームが環状フレームによって構成されているため、作業者の操作は極めて容易である。
【0026】
その後、作業者は取っ手を持って治具を押すことにより、治具の車輪を回転させてドラムの使用場所まで容易に運ぶことができる。また、運搬の際、治具は両側の車輪のみで支持されているため、作業者は取っ手に容易に方向転換をすることが出来る。また、この発明の治具は、環状の車輪を略環状枠体から成る車輪支持体で支持しているため、前記シャフト支持機構を当該車輪支持体の内側に設けることができ、それ故、治具の横幅を小さくすることができ、ドア等の狭い箇所でも容易に通過することができる。この様に、なんらの熟練を要せずに、容易にかつ安定良くドラムごと治具のドラム収納部に収納でき、また、目的箇所までドラムを大きな労力を要せずに運搬することができる。
【0027】
また、当該ドラムに巻き付いたケーブル等を繰り出す場合は、治具の脚体を床や地面等に付けた状態でドラムの中心孔にシャフトを通して、両側のシャフト支持機構で前記シャフトの両端を支持させ、把持フレームを床や地面に当てて治具を倒すと、ドラムが治具のドラム収納部から浮き上がり、ドラムは回転自在となる。これによりケーブル等の繰り出し、繰り入れが可能となる。この様に、治具を倒して把持フレームを床や地面に当てた状態で延線を行うため、極めて安定が良く延線や繰り出しが出来る。
【0028】
また、請求項2の発明では、上記請求項1の発明の効果に加え、当該ドラムに巻き付いたケーブル等を繰り出す場合は、治具の把持フレームを下にして治具を倒した状態でシャフト支持機構を略水平に移動自在及び固定自在であるため、ドラムをドラム収納部に対して確実に間隔を開けて支持、固定でき、延線作業がより容易に行える。
【0029】
また、請求項3の発明は、ドラムの治具への取り入れ、及びドラムを搭載しての治具の運搬に関しては、請求項1の発明の効果と同様である。また、延線や繰り出しに関しては、まず、治具の脚体を床や地面に付けて治具が動かないように固定し、その後、ドラムの中心孔にシャフトを通し、ジャッキ等の手段でシャフト支持機構を上昇させ、当該シャフト支持機構にシャフトを支持させる。さらに、前記シャフト支持機構を上げると、ドラムが治具のドラム収納部から浮き上がり、回転自在となる。この様に収納したドラムのケーブル等の繰り出し、ドラムへのケーブル等の繰り入れは、ドラムを治具に収納した状態で、上下方向に移動、固定自在なシャフト支持機構を上げれば容易に可能となる。
【0030】
また、請求項4の発明は、上記請求項3の発明の効果に加え、前記シャフト支持機構が環状フレームの中で、ジャッキ等により上下左右に移動、固定自在であるため、請求項3の発明のように、延線や繰り出しに際して、把持フレームの脚体を床又は地面につけた状態でもドラムをドラム収納部から浮かすこともでき、さらに、把持フレームを床又は地面につけて治具を倒した状態においてもシャフト支持機構でドラムに通したシャフトを回転自在に支持することができ、その場に応じて、使用方法を選択できる。
【0031】
また、請求項5の発明によれば、治具にドラムを収納した状態において、車輪と脚体を床や地面に付ければ、重心が治具の後部に位置し、ドラムがむやみに治具のドラム収納部から外れたり、落ちたりしない。
【0032】
また、請求項6の発明によれば、各車輪の回転制動及び回転ロック機構を有するブレーキを設けているため、治具でドラムを運搬した後は、当該ブレーキで車輪の回転をロックすれば、治具は動かず安全である。また、収納されたドラムからケーブル等を繰り出して延線等をする際やドラムのジャッキアップにおいても、前記ブレーキで車輪の回転をロックすれば、治具が動かず、延線やジャッキの操作が容易に行える。
【0033】
また、請求項7発明によれば、前記車輪がハブレスタイヤであるため、治具の運搬がより容易となり、操作し易い。
【0034】
また、請求項8の発明によれば、前記シャフト支持機構の上下の移動は、オイルスプリングによりジャッキを伸縮させて行うことが出来るため、シャフト機構の上下操作に労力を要せず、作業が容易である。
【0035】
また、請求項9の発明によれば、前記治具をドラムごと運搬車に搭載して搬送するため、目的地の近傍まで労力を要せず治具を搬送でき、作業効率が上がる。またその際、治具を、把持フレームを床等につけて倒して載せるため治具を極めて安定した状態で搬送することが出来、安全である。
【0036】
また、請求項10の発明によれば、ドラム等への巻き付け物の繰り出しが、治具を押して移動させることにより出来るため、巻き付け物の繰り出し作業が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
この発明は、搭載するドラムの鍔径以上の外径を有する環状フレームを、間隔をあけて二つ設け、これらの環状フレーム間に、複数の第1の横棒をわたして設け、前記各環状フレーム内に、各端部を当該各環状フレームの略上下部に固定した補強柱を設け、各環状フレームの外側に、環状の車輪を受ける略環状枠体から成る車輪支持体を前記補強柱又は環状フレームに固定して設け、当該車輪支持体の外周に前記車輪を夫々回転自在に嵌めて支持し、当該車輪の外径は前記環状フレームの外径より小さく、かつ、下端外周は前記各環状フレームの下端外周より下方に位置する構成とし、前記各環状フレームの補強柱に、搭載するドラムの中心孔に挿入したシャフトの両端を回転自在に支持するシャフト支持機構を設け、前記各環状フレームの一側から外方向に略コ字型の把持フレームを設け、この把持フレームの上部を取っ手、下部を脚体とし、これらの把持フレームを有する側を環状フレームの後部とし、前記複数の第1の横棒は少なくとも環状フレームの下部の前後に設け、これらの第1の横棒と前記環状フレームの上部後部又は両側の取っ手の間に設けた第2の横棒と両側の環状フレームによってドラム収納部を形成し、必要時に搭載したドラムを前記ドラム収納部から浮かせる機構である、ドラムやボビン等への巻き付け物の運搬及び繰り出し治具とした。
【0038】
これにより、ドラム等を容易に治具に収納できるとともに、ドラム等の運搬が容易である。さらに、当該ドラムからケーブル等の巻き付け物の繰り出し、繰り入れが容易である。
【実施例1】
【0039】
以下、この発明の実施例1を図に基づいて説明する。実施例1はケーブルドラムの運搬及び延線治具とした。図1はこの発明の側面図、図2は同正面図、図3はこの発明の環状フレームと取っ手及び脚体の側面図、図4はこの発明のタイヤ支持体の側面図、図5は同正面図、図6は、この発明の環状フレームにタイヤ支持体を取り付けた側面図、図7はこの発明のブレーキの斜視図、図8はこの発明のジャッキの斜視図である。
【0040】
図1及び図2に示すように、この発明のケーブルドラムの運搬及び延線治具は、搭載するドラムの鍔径以上の外径を有する環状フレーム1を、間隔をあけて二つ設け、これらの環状フレーム1、1間の下部の両側に、複数の第1の横棒2をわたして設け、前記各環状フレーム1内に、各端部を当該各環状フレーム1の略上下部に固定した2つの補強柱3、3を、間隔を開けて設けている。
【0041】
また、前記各環状フレーム1、1の一側外方に、コの字型の把手フレーム4を夫々設けている。これらの2つの把手フレーム4の間には第2の横棒5をその上部及び下部に夫々設けている。また、これらの把持フレーム4は夫々上部が取っ手4aを形成し、下部が脚体4bを形成している。
【0042】
また、前記把手フレーム4を設けた側を環状フレーム1の後部とすると、これらの2つの環状フレーム1、1、当該各環状フレーム1の下部の前後に設けた第1の横棒2、2、及び把手フレーム4の上部の取っ手4aに設けた第2の横棒5によりドラム収納部6を形成している。
【0043】
また、前記各環状フレーム1の外側面には、後述のハブレスタイヤを受ける略環状枠体から成るタイヤ支持体7を前記補強柱3及び環状フレーム1に固定して設けている。具体的には、図3に示すように、前記補強柱3及び環状フレーム1の外側に設けた短管8に、図4で示すタイヤ支持体7の環状板7aを当てて固定している。
【0044】
前記タイヤ支持体7は、図4及び図5に示すように、環状板7aの一側に8角形枠体を立設し、最下部の辺を除いた、各辺の外側にボールベアリング9を設け、最下部の辺にはローラボックス10を設けている。そして、このローラボックス10の下面から、ローラボックス10に回転自在に支持された3個のローラ10a、10b、10cを突出させている。これらのローラ10a、10b、10cの下面は一つの円孤に接するようになっている。
【0045】
この様に、多数のボールベアリング9及びローラ10a、10b、10cで形成された外周に、リムが当たるように、ハブレスタイヤ11がタイヤ支持体7に装着されている。そして、この様に、タイヤ支持体7にハブレスタイヤ11を装着した後、図5及び図6に示すように、タイヤ支持体7の環状板7aに立設した8角形枠体7bの外側端縁に、前記環状板7aと同形同大の環状板7cが固定される。
【0046】
また、前記タイヤ支持体7の8角形枠体7bの一側の辺から内側に短管12を設けている。この短管12は、図6及び図7に示すように、ブレーキ装置13を支持するもので、当該ブレーキ装置13のブレーキパッド13aは、各タイヤ11のリム部11aを両側から挟んでタイヤ11の回転を制動するものである。このブレーキ装置13のブレーキパッド13aの先端がハブレスタイヤ11のリム部11aに接触する箇所は、図7に示すように、前記タイヤ支持枠体7の環状板7a、7cに切り欠き7dが設けられてハブレスタイヤ11のリム部11aが露出しており、ここに直接ブレーキ装置13の先端のブレーキパッド13aが押圧する構成となっている。なお、図7では前記環状板7aは図示されていない。
【0047】
このブレーキ装置13の操作部13bは前記把手フレーム4の取っ手4aに設けられ、当該操作部13bに一端を接続されたワイヤー13cの他端が前記ブレーキ装置13に接続されている。さらに、このブレーキ装置13は操作部13bの操作で、タイヤ11の回転をロックする機構が付加されている。従って、当該ロックが掛かった状態では、タイヤ11は回転しない。
【0048】
この発明の実施例1では、シャフト支持機構として、各環状フレーム1内にシャフト受け20を有している。このシャフト受け20を図8及び図9に基づいて説明する。
【0049】
図8はシャフト受け20の一部破断拡大側面図、図9は同一部破断拡大正面図である。前記シャフト受け20は、図8に示すように、各環状フレーム1の2つの平行な補強柱3、3に移動自在及び固定自在に支持されている。当該シャフト受け20は、図8において、前後の両端にフランジ部21aを有する外筒体21が、その前後のフランジ部21aの間に前記補強柱3を挟んで、当該2つの補強柱3、3に支持され、この外筒体21内に偏心筒22が回転自在に支持されている。この偏心筒22は肉厚部が重力で常に下方に位置するようになっており、当該肉厚部の両側に、ドラム17のシャフト18を受ける2つのローラ22aが回転自在に支持されている。
【0050】
また、前記外筒体21の上下には、前記補強柱3、3の間に位置して、管体23が夫々固定され、当該各管体23内にスプリングバネ24が挿入され、当該各管体23の両端に挿入された両端のゴム球体25を前記スプリングバネ24が外方に押圧、付勢し、これにより、前記外筒体21を2つの補強柱3、3に固定している。従って、作業者が当該シャフト受け20を補強柱3に沿って、力を加えて押せば摺動させることが出来、また、力を抜けば、その箇所で固定される。さらに、外筒体21に孔が穿たれ、各補強柱3に設けられた孔と合わせてこれらの孔に第1の固定ピン26を挿入することにより、シャフト受け20を各補強柱3に固定できる。
【0051】
また、前記偏心筒22の外周縁の下部と側部の2箇所には略半円形の切り欠き22bが設けられ(但し図8では下部のもののみ表示)、また、前記外筒体21の内周側部に設けた孔(図示省略)が設けられ、これらの切り欠きと孔の位置を合わせてこれらに第2の固定ピン27を挿入すれば、偏心筒22は回転を阻止され、固定される。
【0052】
この様に、偏心筒22の外周縁の下部及び側部に切り欠き22bを設けているので、ドラム17を搭載して運搬する場合は、偏心筒22の側部の半円形の切り欠き22aと外筒体21の孔を合わせて第2の固定ピン27を挿入し、また、ドラム17からケーブルを繰り出す場合は、偏心筒22の下部の半円形切り欠き22aと外筒体21の孔を合わせて第2の固定ピン27を挿入することにより、夫々の場合に偏心筒22が、固定され、ドラム17のシャフト18を安定させることが出来る。また、当該第2の固定ピン27は不要の際は、前記切り欠き22a及び孔から抜いておくこともできる。
【0053】
この実施例1の場合の治具の操作を図10に示す。図10の(A)図、(B)図に示すように、ドラム17に治具を近づけ、ドラム17の脇で治具の取っ手4aをやや前に傾け、ドラム収納部6の下部前部の第1の横棒2を地面近くに位置させる。この状態でドラム17を転がして、治具のドラム収納部6内に入れる。そして、図10の(C)図に示すように、取っ手4aを後方に戻すように回し、図10の(D)図に示すように、取っ手4aの下部の脚体4bが床又は地面に着くまで回す。これにより、ドラム17はドラム収納部6に安定良く収納される。これにより当該治具を目的場所に運搬できる。
【0054】
また、この状態で、前記各シャフト受け20を各補強柱3に沿ってずらし、ドラム17の中心孔とシャフト受け20の偏心筒22の孔とを合わせる。そこで、ドラム17の中心孔及び各シャフト受け20の偏心筒22の孔内にシャフト18を通す。その際、シャフト18は偏心筒22内の二つのローラ22aに支持される。そして、図10の(E)図に示すように、把持フレーム4を床又は地面につけて、治具を倒す。これにより、外筒体21内で偏心筒22はその肉厚部が下方に位置するように回転し、ドラム17がドラム収納部6から浮き上がり、ドラム17は回転自在となる。
【0055】
これにより当該ドラム17のケーブルの繰り出し、繰り入れが可能となる。
【実施例2】
【0056】
次に、この発明の治具の実施例2を説明する。実施例2は前記実施例1とほぼ同じ構造であるが、実施例2では、前記シャフト支持機構をジャッキ14で上下方向に移動、固定自在となっている。他の構成は実施例1と同じである。
【0057】
図11に示すように、前記各環状フレーム1内に、間隔を開けて平行に設けられた2本の補強柱3,3にジャッキ14が設けられている。当該ジャッキ14は、前記補強柱3、3を挟んで前後に夫々、複数段のリンク片14aが連結されて構成されたもので、前記2本の補強柱3、3にガイドされて上下方向に伸縮自在となっている。
【0058】
これらの各ジャッキ14の頂部には、ドラムのシャフトを支持するシャフト受け具15が設けられており、当該シャフト受け具15は前記補強柱3、3の間に2個のローラ15aを具備している。このまた、当該各ジャッキ14の下端は、前記タイヤ支持枠体7に固定された基板14bにその下端のリンク片が回転自在に支持されている。このジャッキ14はガススプリング16の力で伸縮する構成となっている。図12及び図15に示すように、ガススプリング16はその上端を、リンク片の中央部に設けた上片16aを介して取り付けられている。そして、ガススプリング16の下端は、前記2枚の基板14bの間の部材(図示省略)に支持されている。
【0059】
この実施例2の場合、図13に示すように、作業者は当該治具をドラム17の傍に運んで行き、ドラム17の脇で治具の取っ手4aをやや前に傾け、ドラム収納部6の下部前部の第1の横棒2を地面近くに位置させる。この場合治具の両側の環状フレーム1、1は環状に形成されているため、前に傾けるのは極めて容易である。この状態でドラム17を転がして、治具のドラム収納部6内に入れる。そして、取っ手4aを後方に戻すように回し、取っ手4aの下部の脚体4bが床又は地面に着くまで回す。これにより、図14に示すように、ドラム17はドラム収納部6に安定良く収納される。その後、作業者は取っ手4aを持って脚体4bを床又は地面から離し、この状態で治具を押すことにより、治具のタイヤ11を回転させてドラム17の使用場所まで容易に運ぶことができる。また、当該治具を旋回させるのも、作業者が取っ手4aをもって回転させれば、床又は地面に接しているのはタイヤ11のみであるので容易である。
【0060】
その際、作業者は取っ手4aにあるブレーキ操作部13bを操作し、タイヤ11の回転を制動出来る。また、ドラム17の使用場所に着いたら、作業者は治具の脚体4bを床や地面に降ろし、図14に示すように、タイヤ11と脚体4bで治具を支持させる。これにより、重心が治具の後方に位置し、前記環状フレーム1の下部前部の第1の横棒2が上方に上がり、ドラム17はドラム収納部6内に安定良く収まり、外れることはない。しかも、ブレーキ操作部13bで、ブレーキ装置13にロックを掛けると、タイヤ11の回転はロックされる。従って、その場所で治具は動かない。
【0061】
そして、作業者はドラム17の中心孔17aにシャフト18を通して、両側のジャッキ14をガススプリング16で伸ばし、ジャッキ14の上端の各シャフト受け具15の2つのローラ15aに前記シャフト18の両端を載せ、さらにジャッキ14を上げると、図15に示すように、ドラム17が治具のドラム収納部6から浮き上がり、回転自在となる。これにより当該ドラム17のケーブルの繰り出し、繰り入れが可能となる。また、この様にドラム17が回転自在に支持された状態でシャフト受け具15を固定することができる。これには、図12に示すように、シャフト受け具15に設けた貫通孔15bを前記各補強柱3に穿った貫通孔(図示省略)に合わせ、これらの貫通孔にピン(図示省略)を挿入する。これにより、シャフト受け具15は二つの補強柱3、3に固定される。
【0062】
次に図16及び図17は実施例2の変形例を示す。
この変形例では、図16に示すように、把持フレーム4を床又は地面につけて治具を倒すことができる。これにより、治具はより安定して床又は地面に置かれる。そして、搭載しているドラム17の中心孔に通したシャフト18を、ジャッキ14で横方に移動させ、シャフト受け具15´でシャフト18を回転自在に支持する。これには、シャフト受け具15´が図17に示すように、シャフト受け具15から枝部材15cを斜めに突出させ、当該枝部材15cにもローラ15aを設けたものである。これにより、治具を倒した状態でシャフト18が複数のローラ15aに把持され、安定良くドラム17からケーブルを延線することができる。
【実施例3】
【0063】
次に、この発明の治具の実施例3を説明する。実施例3は前記実施例1とほぼ同じ構造であるが、実施例3では、前記シャフト支持機構が上下左右方向に移動、固定自在となっている。他の構成は実施例1と同じである。
【0064】
図18に示すように、各環状フレーム1内の補強柱3が、縦横十字となるように、平行な2本の補強柱3、3を備えている。そして、前記シャフト支持機構を成すシャフト受け20´は、これらの平行した2本の補強柱3,3に沿って上下、左右に移動自在に支持されている。このシャフト受け20´は、前記実施例1のシャフト受け20と略同様な構成となっており、その外筒体21の前後のフランジ部21aの間に補強柱3が入って、当該2本の平行した補強柱3、3に支持されている。ただし、このシャフト受け20´では、両端開口部からゴム球体25が突出自在な管体23は、外筒体21の左右に固定されている。
【0065】
また、縦方向の下部の2本の平行な補強柱3、3にはジャッキ14が設けられている。このジャッキ14は前記実施例2のジャッキ14と略同じ構造となっており、この2本の平行補強柱3に沿って上下に移動、固定自在となっている。そして、前記シャフト受け20´は、図18に示すように、当該ジャッキ14の上端のシャフト受け具15に支持可能となっている。
【0066】
この実施例3の場合、治具を延線箇所に運んだ後、図18のように、把持フレーム4の脚体4bを床又は地面に置き、そこで、搭載したドラム17の中心孔17aの位置まで、ジャッキ14の上端のシャフト受け具15に支持したシャフト受け20´を当該ジャッキ14により持ち上げる。そして、当該シャフト受け20´の偏心筒22の孔をドラム17の中心孔17aの位置に合わせ、これらの孔にシャフト18を通す。そして、ジャッキ14で再びシャフト受け20´を持ち上げ、ドラム17をドラム収納部6から浮かす。
【0067】
この様に、ジャッキ14でシャフト受け20´を持ちあげても、ドラムの前後がドラム収納部6を構成する第1の横棒2又は第2の横棒5に接触している場合は、左右の水平方向に伸びた2つの補強柱3、3の位置まで、シャフト受け20´を持ちあげ、そこから、シャフト受け20´を、図19に示すように、左右の一方の2本の補強柱3、3間に動かす。この場合、当該シャフト受け20´の外筒体21の左右の管体23の上下のゴム球体25をスプリングバネ24の力に抗して、管体23の開口部から引っ込ませて、2つの横方向の補強柱3、3の間に前記各管体23を嵌め込む。
【0068】
この管体23へのゴム球体25の嵌め込みを容易にするため、例えば、図20に示すように、ゴム球体25を、管体23に突出自在に保持する長孔23aを鉤型に設け、ゴム球体25から突出するピン25aをこの鉤型の長孔23aに移動自在に挿入する。これによりゴム球体25を管体23の開口部から突出させない場合は、ゴム球体25のピン25aを長孔23aの鉤型奥部に挿入すれば、スプリングバネ24の力に抗して、ゴム球体25は管体23の端部から突出せず。シャフト受け20´を左右横方向の2本の補強柱3、3の間に入れやすい。
【0069】
そして、横方向の2本の補強柱3、3の間に入ったシャフト受け20´を作業者が力を入れて押せば、シャフト受け20´は前記補強柱3に沿って移動し、力を解けば、その場所で停止、固定される。従って、ドラム17を容易にドラム収納部6から浮き上がらせることが出来る。そして、ドラム17に巻き付けたケーブルの延線が可能となる。
【0070】
なお、このシャフト受け20´の固定は、これに限らず、外筒体21に穿った孔を、補強柱3に間隔を開けて複数個設けた孔の一つに合わせ、前記第1の固定ピン26を差し込めば、シャフト受け20´は補強柱3に固定される。また、その他の方法でも固定できる。
【0071】
なお、上記実施例1〜3では、ドラム収納部6の後部上部の第2の横棒5を把手フレーム4に設けたが、これに限らず、第2の横棒5を環状フレーム1の後部上部に設けても良い。また、前記実施例1〜3では、タイヤ11を設けたが、タイヤに限らず車輪を設けても良い。その場合は、タイヤ支持体7に代えて、車輪支持体となる。
【0072】
また、上記実施例1〜3はドラム収納部6に1個のドラム17を収納する構成としているが、これに代えて、両側の前記環状フレーム1の間隔を大きくとり、ドラム収納部6の横幅を広げて、3個のドラムを横並びに収納する構成としても良い。この場合、シャフトは3個のドラムを串刺しにし、両側のジャッキ14でシャフト18を持ち上げることとなる。そして、この様に各ドラムに三相のケーブルを巻き付け、三相のケーブルを同時に延線することができ、延線作業が容易となる。
【0073】
また、この発明では、上記治具にケーブルドラムを収納し、シャフトを取り付けてドラムを回転自在とし、前記車輪に回転ブレーキを掛けた後、図10の(D)図に示すように、ハブレスタイヤが床又は地面に着いた状態で、かつ、把持フレームが床等に着いた状態にしておけば、当該治具をトラック等の運搬車に搭載したまま目的地まで安全に搬送することが出来る。従って、ケーブルを簡単にドラムから繰り出し、繰り入れることが出来る。
【0074】
また、目的地へ到着後、道路が狭くて運搬車が現場に入れない場合は、ケーブルを巻いたドラムを治具に収納したまま、当該ドラムからのケーブルの繰り出し、又は繰り入れを容易に行うことが出来る。
【0075】
また、ケーブルドラムを前記治具に収納し、シャフトを取り付けてドラムを回転自在とした後は、前記把持フレームを持って手押しで治具を簡単に移動させることが出来るので、従来のように、作業者が固定ケーブルを目的地まで引っ張ることなく、目的地近傍まで前記治具を押すことにより、当該目的地でドラムからの繰り出し、繰り入れを容易に行うことが出来る。また、治具に収納されたケーブルの一端んを適宜の支持物に固定しておき、前記治具を手押しで移動させながらケーブルを引き出すことが出来る。この様に、作業者のケーブルの引っ張り作業を軽減できる。
【0076】
また、上記実施例1、2及び3では治具はケーブルドラムの運搬、延線としたが、この発明の治具は、これに限定されるものではなく、ドラムやボビンに巻いた消防ホース、糸、布、パルプ等の運搬、繰り出し、繰り入れ等にも使用できるものである。従って、上記では、ドラムと記載したが、このドラムには、ボビン、糸巻き車等が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】この発明の実施例1の治具の側面図である。
【図2】この発明の実施例1の治具の正面図である。
【図3】この発明の実施例1の治具の環状フレームと取っ手及び脚体の側面図である。
【図4】この発明の実施例1の治具のタイヤ支持体の側面図である。
【図5】この発明の実施例1の治具のタイヤ支持体の正面図である。
【図6】この発明の実施例1の治具の環状フレームにタイヤ支持体を取り付けた側面図である。
【図7】この発明の実施例1の治具のブレーキの斜視図である。
【図8】この発明の実施例1の治具のシャフト受けの一部破断拡大側面図である。
【図9】この発明の実施例1の治具のシャフト受けの一部破断拡大正面図である。
【図10】この発明の実施例1の治具の延線までの手順を示す説明側面図である。
【図11】この発明の実施例2の治具の側面図である。
【図12】この発明の実施例2の治具のジャッキの斜視図である。
【図13】この発明の実施例2の治具にドラムを収納する直前の状態を示す側面図である。
【図14】この発明の実施例2の治具にドラムを収納した状態を示す側面図である。
【図15】この発明の実施例2の治具のドラムをジャッキアップした状態の側面図である。
【図16】この発明の実施例2の変形例の治具を、把持フレームを下にして倒した状態の側面図である。
【図17】この発明の実施例2の変形例の治具を、把持フレームを下にして倒した状態の要部拡大側面図である。
【図18】この発明の実施例3の治具の側面図である。
【図19】この発明の実施例3の治具のシャフト受けを横方向の補強柱に位置させた状態を示す、拡大側面図である。
【図20】この発明の実施例3の治具のシャフト受けの管体の側面図である。
【符号の説明】
【0078】
1 環状フレーム 2 第1の横棒
3 補強柱 4 把持フレーム
4a 取っ手 4b 脚体
5 第2の横棒 6 ドラム収納部
7 タイヤ支持体 7a 環状板
7b 8角形枠体 7c 環状板
7d 切り欠き 8 短管
9 ボールベアリング 10 ローラボックス
10c ローラ 11 ハブレスタイヤ
11a リム部 12 短管
13 ブレーキ装置 13a ブレーキパッド
13b ブレーキ操作部 13c ワイヤー
14 ジャッキ 14a リンク片
14b 基板 15 シャフト受け具
15a ローラ 15b 管通孔
15´ シャフト受け具 16 ガススプリング
16a 上片 17 ドラム
17a 中心孔 18 シャフト
20 シャフト受け 20´ シャフト受け
21 外筒体 21a フランジ部
22 偏心筒 22a ローラ
22b 切り欠き 23 管体
23a 長孔 24 スプリングバネ
25 ゴム球体 25a ゴム球体のピン
26 第1の固定ピン 27 第2の固定ピン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載するドラムの鍔径以上の外径を有する環状フレームを、間隔をあけて二つ設け、これらの環状フレーム間に、複数の第1の横棒をわたして設け、前記各環状フレーム内に、各端部を当該各環状フレームの略上下部に固定した補強柱を設け、各環状フレームの外側に、環状の車輪を受ける略環状枠体から成る車輪支持体を前記補強柱又は環状フレームに固定して設け、当該車輪支持体の外周に前記車輪を夫々回転自在に嵌めて支持し、当該車輪の外径は前記環状フレームの外径より小さく、かつ、下端外周は前記各環状フレームの下端外周より下方に位置する構成とし、前記各環状フレームの補強柱に、搭載するドラムの中心孔に挿入したシャフトの両端を回転自在に支持するシャフト支持機構を設け、前記各環状フレームの一側から外方向に略コ字型の把持フレームを設け、この把持フレームの上部を取っ手、下部を脚体とし、これらの把持フレームを有する側を環状フレームの後部とし、前記複数の第1の横棒は少なくとも環状フレームの下部の前後に設け、これらの第1の横棒と前記環状フレームの上部後部又は両側の取っ手の間に設けた第2の横棒と両側の環状フレームによってドラム収納部を形成し、必要時に搭載したドラムを前記ドラム収納部から浮かせる機構であることを特徴とする、ドラムやボビン等への巻き付け物の運搬及び繰り出し治具。
【請求項2】
前記シャフト支持機構は、前記各環状フレームの補強柱に支持されて略水平方向に移動、固定自在であることを特徴とする、請求項1に記載のドラムやボビン等への巻き付け物の運搬及び繰り出し治具。
【請求項3】
前記シャフト支持機構は、前記各環状フレームの補強柱に支持されて略上下方向に移動、固定自在であることを特徴とする、請求項1に記載のドラムやボビン等への巻き付け物の運搬及び繰り出し治具。
【請求項4】
前記シャフト支持機構は、前記各環状フレームの補強柱に支持されて略上下及び水平方向に移動、固定自在であることを特徴とする、請求項1に記載のドラムやボビン等への巻き付け物の運搬及び繰り出し治具。
【請求項5】
前記ドラム収納部にドラムを収納した際、前記車輪と前記脚体とで治具全体を支えるよう重心を治具の後部に置いたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のドラムやボビン等への巻き付け物の運搬及び繰り出し治具。
【請求項6】
前記各車輪の回転制動及び回転ロック機構を有するブレーキを設けたことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のドラムやボビン等への巻き付け物の運搬及び繰り出し治具。
【請求項7】
前記環状の車輪は、ハブレスタイヤであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のドラムやボビン等への巻き付け物の運搬及び繰り出し治具。
【請求項8】
前記シャフト支持機構の上下の移動、固定は、ガススプリング付きのジャッキの伸縮により操作する構成であることを特徴とする、請求項3〜7のいずれかに記載のドラムやボビン等への巻き付け物の運搬及び繰り出し治具。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載の運搬及び繰り出し治具に、前記巻き付け物を有するドラムを収納し、当該ドラムの中心孔に通したシャフトをシャフト支持機構に取り付けてドラムを回転自在に支持した状態で、前記各車輪に前記ブレーキを掛けて回転をロックし、前記把持フレームを床又は地面に着けて治具を安定させた後、前記治具をドラムごと運搬車に搭載して搬送し、使用目的地において前記治具を運搬車から降ろして前記ブレーキのロックを解除して使用することを特徴とする、ドラムやボビン等への巻き付け物の繰り出し、繰り入れ方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の運搬及び繰り出し治具に、前記巻き付け物を有するドラムを収納し、当該ドラムの中心孔に通したシャフトをシャフト支持機構に取り付けてドラムを回転自在に支持した状態で、当該ドラムに巻き付けた巻き付け物の一端を支持物に固定し、この状態で、当該治具を押しながら前記巻き付け物をドラムから繰り出すことを特徴とする、請求項9に記載のドラムやボビン等への巻き付け物の繰り出し、繰り入れ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−10583(P2013−10583A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142982(P2011−142982)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【出願人】(595153527)恒栄電設株式会社 (2)
【Fターム(参考)】