説明

ドラムフィルタ式浄化装置

【課題】ドラムフィルタの通流孔につまった切粉を効果的に除去することができるドラムフィルタ式浄化装置を提供する。
【解決手段】クーラント液に混入した切粉53を分離除去するためのドラムフィルタ式浄化装置1。混入クーラント液51を貯留する濾過槽13と、多数の通流孔102を筒体101に対して形成し回転可能なドラムフィルタ10と、ドラムフィルタ10を回転させる回転駆動源12と、ドラムフィルタ10の内周側を吸引するポンプ31と、ドラムフィルタ10内に配置された多角断面を有する棒体11とを有している。ポンプ31によって吸引することにより、クーラント液を多数の通流孔102を通過させてドラムフィルタ10の外周側から内周側へ通流させる。ドラムフィルタ10を回転させて棒体11を転動させることにより、通流孔102に詰まった切粉53を叩き出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クーラント液に混入した切粉を分離除去するためのドラムフィルタ式浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マシニングセンタや旋盤等における切削加工を行う場合には、加工により生ずる切粉の付着防止、加工部の冷却、潤滑、防錆等のためにクーラント液を用いる場合が多い。該クーラント液は、繰り返し使用することができるが、使用後のクーラント液には、切粉が混入しているため、再利用するにはクーラント液から切粉を分離除去する必要がある。この分離除去を行う装置としては、ドラムフィルタを用いたドラムフィルタ式浄化装置が知られている。
【0003】
上記ドラムフィルタ式浄化装置は、切粉が混入したクーラント液である混入クーラント液を貯留する濾過槽と、該濾過槽内に配されたドラムフィルタと、混入クーラント液を吸引するポンプとを有している。ドラムフィルタには、切粉が通過しない大きさの通流孔が設けてある。そして、ポンプによって混入クーラント液をドラムフィルタの内側に吸引し、クーラント液が通流孔を通過する一方、切粉が通流孔を通過しないことを利用して、ドラムフィルタによって混入クーラント液を濾過し切粉を分離除去している。
しかしながら、ドラムフィルタによって混入クーラント液を濾過する際には、切粉が上記通流孔の内側に引掛り、この通流孔を詰まらせてしまうことがある。
【0004】
上記ドラムフィルタにおける通流孔への切粉の詰まりを防止する構造としては、例えば、特許文献1の構造がある。特許文献1のドラムフィルタ式浄化装置においては、ドラムフィルタの内周面及び外周面にそれぞれ当接する掻取り部材を設けて切粉を除去する構造が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ドラムフィルタの通流孔に引掛った切粉は、特許文献1の掻き取り部材によっても十分に除去することができない。すなわち、掻き取り部材をドラムフィルタの内周面に当接させ、切粉を掻き取ろうとしても、掻き取り部材が切粉を切断してしまい、切断された切粉が通流孔に残ってしまう場合がある。そのため、通流孔への切粉の詰まりは解消されず、ドラムフィルタの濾過能力が低下するおそれがある。
また、ドラムフィルタの濾過能力を回復させるためには、ドラムフィルタ式浄化装置の稼働を停止して、通流孔から切粉を除去するメンテナンス作業を行う必要があり、ドラムフィルタ式浄化装置の稼働率が低下する場合がある。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、ドラムフィルタの通流孔につまった切粉を効果的に除去することができるドラムフィルタ式浄化装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、クーラント液に混入した切粉を分離除去するためのドラムフィルタ式浄化装置であって、
該ドラムフィルタ式浄化装置は、切粉が混入したクーラント液である混入クーラント液を貯留する濾過槽と、
該濾過槽内の上記混入クーラント液中に配置され、多数の通流孔を筒体に対して形成してなると共に、該筒体の中心軸線の回りに回転可能なドラムフィルタと、
該ドラムフィルタを回転させる回転駆動源と、
上記ドラムフィルタの内周側を吸引するポンプと、
上記ドラムフィルタ内に配置される多角形断面を有する棒体とを有し、
上記ポンプによって吸引することにより、上記クーラント液を上記多数の通流孔を通過させて上記ドラムフィルタの外周側から内周側へ通流させると共に、上記ドラムフィルタを回転させることにより、該ドラムフィルタの内面上において、上記棒体を転動させるよう構成されていることを特徴とするドラムフィルタ式浄化装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0009】
本発明において、上記ドラムフィルタの内側に配した上記棒体は、多角形断面を有している。そのため、上記棒体が転動する際には、上記棒体の断面をなす多角形の辺により形成される外周面が、上記ドラムフィルタの内面を叩く動作をする。これにより、上記棒体を上記ドラムフィルタの内側で転動させることで、上記棒体の外周面により上記通流孔の内側に詰まった切粉を上記ドラムフィルタの外側に向かって叩き出すことができる。これにより、上記通流孔に引掛った切粉を切断することなく、効果的に除去することができる。それゆえ、上記ドラムフィルタの濾過能力の低下を防止することができる。
また、上記ドラムフィルタの濾過能力を維持することができるため、切粉を除去するためのメンテナンス作業が不要となる。そのため、ドラムフィルタ式浄化装置の稼働率を向上することができる。
【0010】
上記のごとく、本発明によれば、ドラムフィルタの通流孔につまった切粉を効果的に除去することができるドラムフィルタ式浄化装置を提供ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1における、ドラムフィルタ式浄化装置を示す平面図。
【図2】図1のA−A線矢視断面図。
【図3】図2の部分拡大図。
【図4】実施例1における、停止状態の棒体を示すA−A線矢視断面部分拡大図。
【図5】実施例1における、転動状態の棒体を示すA−A線矢視断面部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において、多角形等の形状の表現は、いずれも幾何学上の狭義の概念に留まらず、一般的に上記の形状と認識できる形状を含むものであり、各辺が若干曲線となったり、角部等に成形上必要な丸み等が生じるいわゆるフィレットといわれる曲面を設けたりすることも当然に許容される。
【0013】
また、上記棒体は、五角形、六角形、七角形又は八角形のいずれかの多角形断面からなることが好ましい(請求項2)。この場合には、上記棒体を転動させることによって、上記棒体の外周面が上記ドラムフィルタの内面を叩く動作をしやすい。それゆえ、通流孔に詰まった切粉をより効果的に除去することができる。
多角形断面からなる上記棒体により叩く動作は、上記棒体が転動する際に、その重心位置と接地面との距離の変化することに基づいて生じるものである。
【0014】
上記棒体の断面をなす多角形における角の数が4以下の場合、上記ドラムフィルタの内面上を転動することなく、滑りやすくなる。
また、上記棒体の断面をなす多角形における角の数が9以上の場合、上記棒体の断面形状が円形に近くなり、上記棒体の重心と接地面との距離の変化が小さくなり、叩く動作が行われにくくなる。
【0015】
また、上記ドラムフィルタの外周には、掻取り部材が当接しており、上記ドラムフィルタが回転する際には、上記掻取り部材が上記通流孔に詰まった切粉を掻き出すことが好ましい(請求項3)。上記掻き取り部材により切粉を掻き出した際には、上記通流孔に詰まった切粉が切断され、上記通流孔に切粉が残る場合がある。このような場合にも、切断されて通流孔内に残った切粉を上記棒体によって叩き出すことができる。それゆえ、より効果的に上記通流孔から切粉を除去し、上記ドラムフィルタの通流孔における詰まりを防止することができる。
【0016】
また、上記濾過槽内には、該濾過槽内に残留する切粉を該濾過槽の外部へ排出する排出コンベアが配設してあり、上記回転駆動源は、上記ドラムフィルタを回転させると共に上記排出コンベアを回転させることが好ましい(請求項4)。この場合には、上記濾過槽内の切粉を上記排出コンベアにより効率よく排出することができる。また、上記回転駆動源により、上記ドラムフィルタのみでなく、上記排出コンベアをも駆動させることができる。それゆえ、駆動源の数を低減し、ドラムフィルタ式浄化装置の構造を簡略化することができる。
【実施例】
【0017】
(実施例1)
本発明の実施例にかかるドラムフィルタ式浄化装置1について、図1〜図4を用いて説明する。
ドラムフィルタ式浄化装置1は、図1及び図2に示すごとく、切粉53が混入したクーラント液である混入クーラント液51を貯留する濾過槽13と、該濾過槽13内の混入クーラント液51中に配置され、多数の通流孔102を筒体101に対して形成してなると共に、該筒体101の中心軸線の回りに回転可能なドラムフィルタ10と、該ドラムフィルタ10を回転させる回転駆動源12とを有している。また、ドラムフィルタ式浄化装置1は、ドラムフィルタ10の内周側を吸引するポンプ31と、ドラムフィルタ10内に配置され、多角断面を有する棒体11とを有している。
ドラムフィルタ式浄化装置1は、ポンプ31によって吸引することにより、クーラント液を多数の通流孔102を通過させてドラムフィルタ10の外周側から内周側へ通流させると共に、ドラムフィルタ10を回転させて棒体11を転動させることにより、通流孔102に詰まった切粉53を叩き出す。
【0018】
以下、本例のドラムフィルタ式浄化装置1について詳説する。
本例は、各種鋼材において切削加工を行った際に生ずる切粉53がクーラント液に混入してなる混入クーラント液51を浄化するためのドラムフィルタ式浄化装置1である。
ドラムフィルタ式浄化装置1は、図1及び図2に示すごとく、混入クーラント液51を貯留する濾過槽13と、該濾過槽13の内側に配された2本のドラムフィルタ10と、濾過槽13内に残留する切粉53を濾過槽13の外部へ排出する排出コンベア2とを有している。
濾過槽13は、クーラント液流入口132から流入する混入クーラント液51を貯留するよう構成してある。また、濾過槽13内には、沈殿する切粉53を排出するための排出コンベア2と、2本のドラムフィルタ10とを配してある。
【0019】
排出コンベア2は、図1及び図2に示すごとく、沈殿した切粉53をすくう複数のスクレーパ21と、該スクレーパ21の両端に配された一対の駆動チェーン22と、該駆動チェーン22を駆動させる回転駆動源12とを有している。一対の駆動チェーン22は、それぞれ環状に形成されており、等間隔を介して複数のスクレーパ21を配設してある。また、駆動チェーン22の経路は、濾過槽13の底面131と、該底面131からと連続して形成された湾曲面24を介して上方に向って傾斜するよう形成された傾斜面25とに沿って設けてあり、複数のスクレーパ21が底面131、湾曲面24及び傾斜面25に当接しながら移動するように構成してある。回転駆動源12の駆動力は、回転駆動源12と接続されたコンベア駆動スプロケット23を介して、駆動チェーン22へと伝達される。
【0020】
図2に示すごとく、環状をなす駆動チェーン22の内側で、かつ濾過槽13における混入クーラント液51の液面Wより低い位置には、2本のドラムフィルタ10を配してある。該ドラムフィルタ10は、図1に示すごとく、円筒状の筒体101と、該筒体101の外周面の軸方向両端から所定の距離において径方向外側に向かって延びるフィルタスプロケット103と、筒体101の内側に配された棒体11とを有している。
【0021】
筒体101は、その外径をφ50mm〜φ150mmとし、幅を300mm〜800mmとすることができる。また、筒体101には、パンチングメタル、ウェッジワイヤ、ポリアミド製メッシュ等の種々のフィルタを円筒状に成形したものを用いることができる。尚、本例の筒体101には、外形がφ80mm、長さが600mmの円筒上に成形したパンチングメタルを用いた。
また、ドラムフィルタ10の筒体101の一端は、閉塞されており、他端は、精密濾過部3に配した第1ポンプ311と連結している。
【0022】
図3に示すごとく、2本のドラムフィルタ10は、回転軸104によって回転可能に軸支されており、所定の間隔を介して、互いに並列に配してある。また、ドラムフィルタ10のフィルタスプロケット103は、駆動チェーン22と噛合するように配されており、駆動チェーン22を介して回転駆動源12の駆動力を伝達し、ドラムフィルタ10が回転するように構成してある。上記のごとく、1つの回転駆動源12によって、駆動チェーン22を駆動することにより、ドラムフィルタ10及び排出コンベア2の両方を駆動することができる。尚、本例においては、ドラムフィルタ10の回転速度は、4rpmとなるように設定した。
【0023】
ドラムフィルタ10の外周側には、ドラムフィルタ10の外周面と当接するよう掻取り部材14がそれぞれ配設してある。ドラムフィルタ10を回転させ、ドラムフィルタ10の外周面と掻取り部材14の先端とが摺動することにより、掻取り部材14が通流孔102に詰まった切粉53を掻き出すよう構成してある。
【0024】
また、図3に示すごとく、ドラムフィルタ10の内側には、正六角形断面からなる正六角柱である棒体11を配してある。本例において、棒体11は、直径20mmの円周に内接する正六角形断面からなり、長さが560mmである。
棒体11は、ドラムフィルタ10内に固定されておらず、ドラムフィルタ10を回転させることにより、その内面上を転動可能に配してある。また、棒体11の長さを上記のごとく設定してあるため、棒体11の軸線方向と、ドラムフィルタ10の軸線方向とを、常に略平行とすることができる。
【0025】
尚、棒体11は、直径10mm〜30mmの円周に内接する多角形断面からなるものを用いることができる。上記円周の直径が10mm未満の場合には、棒体11の重量が軽く切粉53を効果的に除去できなくなるおそれがある。また、上記円周の直径が30mm以上の場合には、棒体11が必要以上に重くなると共に、ドラムフィルタ10が損傷するおそれがある。
【0026】
また、棒体11の長さは、筒体101の長さに対して、5mm〜30mmの長さ短縮したものを用いることができる。短縮量が30mmを超える場合には、棒体11の位置によって切粉53を除去できない通流孔102があるため、効果的に切粉53を除去できない場合がある。また、短縮量が5mm未満の場合には、筒体101の端部と棒体11の端面との距離が狭くなり、両者の間に切粉53等の異物が挟まりやすくなる。これにより、筒体101の内周側において、棒体11が転動しなくなるおそれがある。
【0027】
精密濾過部3は、ドラムフィルタ10を通過した濾過クーラント液52に混入している、ドラムフィルタ10では濾過できなかった小さな切粉53を分離し、再生クーラント液54とするものである。図1及び図2に示すごとく、精密濾過部3は、第1ポンプ311、精密濾過装置32、再生クーラント貯留槽33及び第2ポンプ312を有しており、各機器を配管によって順次連結してある。また、第2ポンプ312には、供給配管が配されており、再生クーラント液54を切削加工機へ再供給可能に構成してある。
【0028】
上記のごとく構成されたドラムフィルタ式浄化装置1におけるクーラント液浄化手順について説明する。
鉄鋼材の切削加工に使用して、切粉53が混入した混入クーラント液51は、クーラント液流入口132から濾過槽13内へと流入し貯留される。混入クーラント液51に混入した切粉53の一部は、濾過槽13内において自然に沈殿するが、沈殿しない切粉53を含んだ混入クーラント液51は、2本のドラムフィルタ10によって濾過される。該ドラムフィルタ10には、駆動チェーン22を介して回転駆動源12の駆動力が伝達されており、ドラムフィルタ10は回転軸104を回転中心として回転している。濾過槽13内に貯留した混入クーラント液51を、精密濾過部3の第1ポンプ311によって吸引することにより、濾過クーラント液52が通流孔102を通過する一方、切粉53が通流孔102を通過しないことを利用して、ドラムフィルタ10によって混入クーラント液51を濾過し切粉53を分離除去する。このとき、ドラムフィルタ10の通流孔102を通過できない大きさの切粉53は、濾過槽13内に残留すると共に、残留した切粉53の一部が通流孔102の内側に引掛り、通流孔102の詰まりが生じる。
【0029】
ドラムフィルタ10の通流孔102に詰まった切粉53は、ドラムフィルタ10の内側に配した棒体11と、ドラムフィルタ10の外周側に配した掻取り部材14とによって、除去される。
まず、ドラムフィルタ10の外周に配した掻取り部材14を、回転するドラムフィルタ10の外周面と相対的に摺動させることにより、通流孔102に引掛った切粉53を掻き取る。このとき、通流孔102に引掛った切粉53の一部は、掻取り部材14によって切断され、通流孔102には、切断された切粉53が残る場合がある。
【0030】
次いで、ドラムフィルタ10の内側に配された棒体11によって、掻取り部材14では除去しきれなかった切粉53の除去を行う。
図4に示すごとく、棒体11をなす正六角柱において、隣り合う3つの辺を辺S1、S2、S3とし、辺S1と辺S2との間に配される面を棒体外周面P1とした。
棒体11は、辺S1及び辺S2をドラムフィルタ10の内周面に当接して、ドラムフィルタ10内に配される。棒体11の軸線方向と垂直な平面の断面において、ドラムフィルタ10が回転方向R1に回転すると、辺S1と辺S2の間に形成された棒体外周面P2と水平面Hとの間の角度θは、徐々に増大する。ドラムフィルタ10が回転を続け、断面形状である六角形の重心Wの位置が、棒体11の辺S2の直上に位置する状態(図4)よりも辺S3側の位置となるまで角度θが増大すると、棒体11はドラムフィルタ10の内側を回転方向R2において転動する。このとき、通流孔102に引掛った切粉53は、図5に示すごとく、棒体11において、辺S2と辺S3の間に形成された棒体外周面P2によってドラムフィルタ10の外側に叩き出される。
【0031】
棒体11及び掻取り部材14によって、ドラムフィルタ10の通流孔102から除去された切粉53は、濾過槽13の底面131に沈殿する。沈殿した切粉53は、排出コンベア2を兼ねる駆動チェーン22に配されたスクレーパ21によりすくい取られ、切粉排出口26から切粉回収箱27へと排出される。
【0032】
ドラムフィルタ10の通流口を通過した濾過クーラント液52は、精密濾過部3に配された第1ポンプ311を介して、精密濾過装置32へと送られ、該精密濾過装置32によって、ドラムフィルタ10では分離することができない小さな切粉53を分離する。精密濾過装置32を通過したクーラント液は、再生クーラント液54として再生クーラント貯留槽33に貯留される。再生クーラント液54は、再生クーラント貯留槽33に配された第2ポンプ312により再度切削加工機へと送られ再度利用される。
【0033】
本例における作用効果を説明する。
本例のドラムフィルタ10の内側に配した棒体11は、六角の多角形断面を有している。そのため、棒体11をドラムフィルタ10の内側で転動させることで、棒体11のなす面により通流孔102の内側に詰まった切粉53をドラムフィルタ10の外側に向かって叩き出すことができる。このように、棒体11によって通流孔102に詰まった切粉53を叩き出すことにより、通流孔102に引掛った切粉53を切断することなく、効果的に除去することができる。それゆえ、ドラムフィルタ10の濾過能力の低下を防止することができる。
また、ドラムフィルタ10の濾過能力を維持することができるため、切粉53を除去するためのメンテナンス作業が不要となる。そのため、ドラムフィルタ式浄化装置1の稼働率を向上することができる。
【0034】
また、棒体11は、正六角形の多角形断面からなる。そのため、棒体11を転動させることによって、棒体11の外周面がドラムフィルタの内面を叩く動作をしやすい。それゆえ、通流孔に詰まった切粉をより効果的に除去することができる。
【0035】
また、ドラムフィルタ10の外周には、掻取り部材14が当接しており、ドラムフィルタ10が回転する際には、掻取り部材14が通流孔102に詰まった切粉53を掻き出すことができる。掻き取り部材により切粉53を掻き出した際には、通流孔102に詰まった切粉53が切断され、通流孔102に切粉53が残る場合がある。このような場合にも、切断されて通流孔102内に残った切粉53を棒体11によって叩き出すことができる。それゆえ、より効果的に通流孔102から切粉53を除去し、ドラムフィルタ10の通流孔102における詰まりを防止することができる。
【0036】
また、濾過槽13内には、該濾過槽13内に残留する切粉53を該濾過槽13の外部へ排出する排出コンベア2が配設してあり、回転駆動源12は、ドラムフィルタ10を回転させると共に排出コンベア2を回転させる。そのため、濾過槽13内の切粉53を排出コンベア2により効率よく排出することができる。また、回転駆動源12により、ドラムフィルタ10のみでなく、排出コンベア2をも駆動させることができる。それゆえ、駆動源の数を低減し、ドラムフィルタ式浄化装置1の構造を簡略化することができる。
【0037】
上記のごとく、本例によれば、ドラムフィルタ10の通流孔102につまった切粉53を効果的に除去することができるドラムフィルタ式浄化装置1を提供することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 ドラムフィルタ式浄化装置
10 ドラムフィルタ
101 筒体
102 通流孔
11 棒体
12 回転駆動源
13 濾過槽
31 ポンプ
51 混入クーラント液
53 切粉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クーラント液に混入した切粉を分離除去するためのドラムフィルタ式浄化装置であって、
該ドラムフィルタ式浄化装置は、切粉が混入したクーラント液である混入クーラント液を貯留する濾過槽と、
該濾過槽内の上記混入クーラント液中に配置され、多数の通流孔を筒体に対して形成してなると共に、該筒体の中心軸線の回りに回転可能なドラムフィルタと、
該ドラムフィルタを回転させる回転駆動源と、
上記ドラムフィルタの内周側を吸引するポンプと、
上記ドラムフィルタ内に配置される多角形断面を有する棒体とを有し、
上記ポンプによって吸引することにより、上記クーラント液を上記多数の通流孔を通過させて上記ドラムフィルタの外周側から内周側へ通流させると共に、上記ドラムフィルタを回転させることにより、該ドラムフィルタの内面上において、上記棒体を転動させるよう構成されていることを特徴とするドラムフィルタ式浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載のドラムフィルタ式浄化装置において、上記棒体は、五角形、六角形、七角形又は八角形のいずれかの断面形状からなることを特徴とするドラムフィルタ式浄化装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のドラムフィルタ式浄化装置において、上記ドラムフィルタの外周には、掻取り部材が当接しており、
上記ドラムフィルタが回転する際には、上記掻取り部材が上記通流孔に詰まった切粉を掻き出すことを特徴とするドラムフィルタ式浄化装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のドラムフィルタ式浄化装置において、上記濾過槽内には、該濾過槽内に残留する切粉を該濾過槽の外部へ排出する排出コンベアが配設してあり、
上記回転駆動源は、上記ドラムフィルタを回転させると共に上記排出コンベアを回転させることを特徴とするドラムフィルタ式浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−196747(P2012−196747A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63728(P2011−63728)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】