説明

ドラムブレーキのシューホールド装置

【課題】シューホールド装置の組付け作業を大幅に簡略化するとともにシューホールドスプリングのへたりを抑えること。
【解決手段】シューホールドスプリングは、ピン挿通孔を形成したウェブ側腕片と、前記ウェブ側腕片と相対向して形成したドラム側腕片と、前記ドラム側腕片に連設しウェブ側腕片へ向けて鋭角に折り返して形成した舌片とを有し、前記舌片からドラム側腕片に連ねてシューホールドピンのピン軸部の収容が可能なスリットを形成し、前記シューホールドピンはピン軸部の先端の頭部を、前記シューホールドスプリングのスリットを挿通不能に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキシューを摺動自在かつ弾性的にバックプレート上に保持するドラムブレーキのシューホールド装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1枚の板材からU字形に折り曲げウェブ側腕片とドラム側腕片とを形成したシューホールドスプリングと、ピン軸部の先端部を圧潰してピン軸部よりも幅広に形成した係止部を有するシューホールドピンとにより構成するシューホールド装置が広く知られている(特許文献2の図1)。
従来のシューホールド装置は、シューホールドピンの係止部をバックプレートとブレーキシューのウェブにそれぞれ貫通し、さらにウェブのドラム側に圧縮状態で配置したシューホールドスプリングのドラム側腕片に形成されたピン係止孔に挿通した状態で、シューホールドピンの係止部を90度回転操作した後にシューホールドスプリングの圧縮状態を開放することでその係止部をシューホールドスプリングのドラム側腕片に係止させている。
【0003】
シューホールド装置の組付け作業性を良くするため、シューホールドスプリングのピン係止孔を、シューホールドピンの係止部の挿通が可能な係止部挿通孔と、この孔に連設して形成した係止部の挿通が不能なピン軸部挿着孔とにより構成し、傾けて挿入したシューホールドピンの先端の係止部を、圧縮状態にしたシューホールドスプリングの係止部挿通孔に挿通し、次にシューホールドピンを直立させて係止部を係止部挿通孔に横移動させて係止させるようにしたシューホールド装置が特許文献1に開示されている。
【0004】
また、シューホールドスプリングを1枚の板材からP字形に折り曲げて形成することによって、シューホールドスプリングの両腕片間の距離を小さくし、圧縮動作時にスプリングにかかる過大応力を最小限に抑えるようにしたシューホールド装置が特許文献2に開示されている。
【特許文献1】実開平5−50173号公報(図1−3)
【特許文献2】特開2001−295872号公報(図1−7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたシューホールド装置には次のような問題がある。
(1)シューホールドピンをシューホールドスプリングに係止させるには、シューホールドスプリングを圧縮状態にしながら、シューホールドスプリングの大径の係止部挿通孔にシューホールドピンを挿通する第1の操作と、シューホールドスプリングを強制的に横移動する第2の操作と、シューホールドスプリングの大径のピン軸部装着孔とシューホールドピンの係止部との位置合せを行う第3の操作と、その後にシューホールドスプリングの圧縮状態を開放する第4の操作が必要である。
このように引用文献1のシューホールド装置は、組付けの操作回数が多いうえに、シューホールドスプリングとシューホールドピンとの位置合せが必要であり、シューホールド装置をブレーキシューに組付ける作業は煩雑で作業性が悪い。
(2)シューホールドスプリングは、そのドラム側腕片がウェブ側腕片に当接するまで変形可能であるため、シューホールドスプリングの圧縮動作時にスプリングにかかる応力が過大となり、湾曲部がへたる可能性がある。
シューホールドスプリングがヘたると、シューホールドスプリングに必要な所要の荷重が得られなくなる。
【0006】
特許文献2に記載されたシューホールド装置には次のような問題がある。
(1)シューホールドピンをシューホールドスプリングに係止させるには、P字形に形成したシューホールドスプリングを圧縮する第1の操作と、圧縮状態を保ちながらシューホールドスプリングをウェブ上でスライドさせて両片に形成されたスリット内にシューホールドピンのピン軸部を差し込む第2の操作と、シューホールドスプリングの圧縮状態を開放する第3の操作が必要である。
このように引用文献2のシューホールド装置は、組付けの操作回数が多く、シューホールド装置をブレーキシューに組付ける作業は煩雑で作業性が悪い。
【0007】
本発明は以上の問題点に鑑みて成されたものでその目的とするところは、ブレーキシューへの装着操作を大幅に簡略化するとともにシューホールドスプリングのへたりを抑えて所要の荷重を保証できる、ドラムブレーキのシューホールド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本願の第1発明に係るドラムブレーキのシューホールド装置は、ブレーキシューのウェブ上に配設され、1枚の板材を折り曲げて形成したシューホールドスプリングと、バックプレートおよび前記ウェブに形成したピン挿通孔にそれぞれ挿通させてシューホールドスプリングに係止するシューホールドピンとを具備し、前記シューホールドスプリングが、ピン挿通部を形成したウェブ側腕片と、このウェブ側腕片と相対向して形成したドラム側腕片と、これらのウェブ側腕片とドラム側腕片とを繋ぐ連結部とを有し、前記ブレーキシューを前記バックプレートに向けて弾性的に保持するドラムブレーキのシューホールド装置において、前記シューホールドスプリングに、前記ドラム側腕片に連設し前記ウェブ側腕片へ向けて鋭角に折り返して形成した舌片を形成し、さらに、シューホールドピンのピン軸部が通過可能で、かつ、前記ピン軸部の径より大径に形成したシューホールドピンの頭部が通過不能なスリットを、前記舌片から前記ドラム側腕片に連続して形成したことを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、シューホールドピンをバックプレート内に押し込みながら、シューホールドスプリングを圧縮するだけの操作で以って、シューホールドピンの頭部をシューホールドスプリングのドラム側腕片に係止することができて、ブレーキシューへの装着操作を大幅に簡略化することが可能となる。
【0010】
また、本発明によれば、シューホールドスプリングに形成した舌片によりドラム側腕片の過大な圧縮変形を確実に防止できるので、シューホールドスプリングのへたりを抑えて所要の設計荷重を保証できる。
【0011】
本願の第2発明に係るドラムブレーキのシューホールド装置は、前記した第1発明において、前記シューホールドスプリングのドラム側腕片は、前記シューホールドピンの頭部が係止可能な座部を有することを特徴とするものである。
【0012】
本願の第3発明に係るドラムブレーキのシューホールド装置は、前記した第1または第2発明において、前記シューホールドスプリングの舌片は、前記シューホールドピンを前記シューホールドスプリングに係止するときに、前記シューホールドピンの頭部を誘導するガイド機能を有することを特徴とするものである。
【0013】
本願の第4発明に係るドラムブレーキのシューホールド装置は、前記した第1乃至第3発明の何れかにおいて、ドラム側腕片が圧縮変形されたときにウェブ側腕片に当接してドラム側腕片とウェブ側腕片とが過度に接近するのを防止するストッパ機能を有することを特徴とするものである。
【0014】
本願の第5発明に係るドラムブレーキのシューホールド装置は、前記した第1乃至第4発明の何れかにおいて、前記バックプレートおよびブレーキシューのウェブに形成した夫々のピン挿通孔にピン軸部を当接させてシューホールドピンの傾倒を制限した状態のとき、ピン軸部にウェブ側腕片のピン挿通孔の端縁が当接するようにシューホールドスプリングを形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明はシューホールドピンおよびシューホールスプリングを一方向(例えば上下方向)から操作するだけで、シューホールド装置の組付けが可能となるから、シューホールドスプリングの横移動操作を省略できて、シューホールド装置の組付けの作業性を大幅に良くすることができるうえに、非熟練者でも簡単確実に組付けすることができる。
また、一方向からのみの操作で済むので、組付けの自動化が容易である。
【0016】
さらに、シューホールドスプリングに形成した舌片によりドラム側腕片の過大な圧縮変形を確実に防止できるので、シューホールドスプリングのヘたりを回避してシューホールドスプリングに所要の荷重を保証することができる。
【0017】
シューホールドスプリングの構造が単純であるためシューホールドスプリングの製作が簡単である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係わるドラムブレーキのシューホールド装置について説明する。
【0019】
図1はバックプレート10にブレーキシュー20を弾性的に保持したシューホールド装置50の断面図、図2は一部を省略したシューホールド装置50の分解斜視図、図3はシューホールド装置50の構成部材のひとつであるシューホールドスプリング30の斜視図である。
【0020】
静止部材であるバックプレート10上には、ブレーキシュー20が摺動自在でかつ拡開自在に配置され、シューホールド装置50によりブレーキシュー20をバックプレート10上に弾性的に保持している。
【0021】
図2に示すようにブレーキシュー20を支承するバックプレート10にはブレーキシュー20のリム21の側面を摺接可能に支持するレッジ面11が隆起して形成されている。
ブレーキシュー20は断面T字形にリム21とウェブ22を固着し、リム21の表面にライニング23を取付けて成る。
ウェブ22の中央付近にはピン挿通孔22aが穿設されていて、バックプレート10に穿設したピン挿通孔12を経てウェブ22のピン挿通孔22aにシューホールドピン40を挿通できるように両ピン挿通孔22a,12が同一線上に形成されている。
【0022】
ブレーキシュー20を弾性的に保持するシューホールド装置50は、シューホールドスプリング30とシューホールドピン40とにより構成される。
【0023】
シューホールドピン40はピン軸部41と、ピン軸部41の先端部を拡径して形成したバックプレート10のピン挿通孔12を挿通可能な円盤形の頭部42と、ピン軸部41の基端部を拡径して形成したバックプレート10のピン挿通孔12を挿通不能なフランジ43とを具備する。
本発明はシューホールドピン40およびシューホールドスプリング30を一方向から操作するだけで、シューホールドピン40がシューホールドスプリング30に係止するように構成したものであるから、頭部42の形状は従来のような扁平形状である必要はなく、円盤形状や球形状等でよい。
【0024】
図2,3に例示したシューホールドスプリング30について説明すると、シューホールドスプリング30は1枚の板材を折曲して形成したもので、ウェブ側腕片31と、ウェブ側腕片31に連設して円弧形に湾曲して形成した連結部32と、連結部32に連設しウェブ側腕片31と相対向するドラム側腕片33と、ドラム側腕片33に連設しウェブ側腕片31へ向けて鋭角に折り返して形成した舌片34とを一体に有し、ウェブ側腕片31はウェブ22の側面に配設され、ドラム側腕片33はシューホールドピン40の頭部42が係止する。
【0025】
ウェブ側腕片31の板面中央にはシューホールドピン40の頭部42の挿通が可能なピン挿通孔31aが穿設されている。
本例ではピン挿通孔31aがウェブ側腕片31の長手方向と平行な長孔である場合について示すが、円孔や矩形等のその他の形状であってもよい。
【0026】
ドラム側腕片33と舌片34にはシューホールドピン40の頭部42の挿通が不能で、かつピン軸部41の挿通が可能なスリット36が穿設されていて、傾斜する舌片34に沿わせてシューホールドピン40の頭部42を滑動させ、頭部42が舌片34とドラム側腕片33の境界部を越えたときにピン軸部41をスリット36内に収容させて頭部42をドラム側腕片33に係止できるように構成されている。
ドラム側腕片33の中央部には板面をウェブ側腕片31へ向け窪ませて座部33aが形成してあって、ドラム側腕片33まで到達させた頭部42を座部33aに案内して位置決めができるようになっている。
ドラム側腕片33の前端部は頭部42を座部33aに滑動させて案内できるように、座部33aへ向けて下り勾配に傾斜して形成されている。
【0027】
舌片34はドラム側腕片33より短い長さに形成してあって、シューホールドピン40の頭部42を滑動させながらドラム側腕片33へ誘導するガイド機能だけでなく、ドラム側腕片33が圧縮変形されたときに舌片34の先端がウェブ側腕片31に当接してそれ以上の圧縮変形を制限してドラム側腕片33がウェブ側腕片31に過度に接近するのを制限するストッパ機能を併有する。
【0028】
本発明は後述するようにシューホールドピン40およびシューホールドスプリング30を一方向から操作するだけで、シューホールドピン40がシューホールドスプリング30のドラム側腕片33の湾曲操作とシューホールドピン40のドラム側腕片33に係止する操作を自動的に行えるようにしたものである。
換言すれば、本発明は作業者によるシューホールドスプリング30の横移動操作を省略できて、シューホールド装置50の組付けの作業性を大幅に簡略化できるようにしたものである。
【0029】
[作用]
つぎに図4〜6に基づいてシューホールド装置50の組付け方法について説明する。
【0030】
図4においてブレーキシュー20のウェブ22の側面にシューホールドスプリング30のウェブ側腕片31を載せ、ウェブ側腕片31とウェブ22に形成された両ピン挿通孔31a,22aの位置あわせをしておく。
つぎにシューホールドピン40の頭部42をバックプレート10のピン挿通孔12を通じてブレーキ内に挿入する。
ブレーキシュー20のウェブ22に形成されたピン挿通孔22aに挿入させたシューホールドピン40の頭部42を、シューホールドスプリング30のウェブ側腕片31に形成されたピン挿通孔31aに挿入する。
シューホールドスプリング30のウェブ側腕片31を嵌挿させたシューホールドピン40の頭部42はシューホールドスプリング30の傾斜した舌片34に当接する。
【0031】
継続してシューホールドピン40を押し込むと、シューホールドピン40が図5の左方に傾倒するが、そのピン軸部41が所定の距離を隔てたバックプレート10のピン挿通孔12の当接部P1とウェブ22のピン挿通孔22aの端縁の当接部P2の二箇所で支持されてそれ以上の傾倒が制限される。
【0032】
傾倒が制限された状態でシューホールドピン40を押し込むと、その頭部42が舌片34との当接位置を上方へ変位することに伴い、ウェブ22上のシューホールドスプリング30の全体が舌片34の先端が指すベクトルのウェブ20の板面に沿った方向(図5の右方)へ横移動し、シューホールドピン40がそれ以上は押し込むことができない位置に至る。
【0033】
この状態を保ちながら、シューホールドスプリング30を圧縮させると、シューホールドスプリング30は、ウェブ側腕片31に形成されたピン挿通孔31aの端縁P3がピン軸部41に当接してシューホールドスプリング30のスライドが制限されるまで横移動する(図6参照)。
【0034】
シューホールドスプリング30をさらに圧縮させると、ピン軸部41がバックプレート10、ウェブ22およびウェブ側腕片31の各ピン挿通孔12,22a,31aに当接したまま、ドラム側腕片33がさらに弾性変形する。
【0035】
シューホールドピン40の頭部42が舌片34とドラム側腕片33との境界部を越えると、連結部32に蓄えられたばね力によりドラム側腕片33と舌片34に跨って形成されたスリット36内にピン軸部41が挿入されるとともに、シューホールドピン40の頭部42が舌片34からドラム側腕片33の上面へ乗り移る。
その後、シューホールドピン40の頭部42はドラム側腕片33の座部33aへ向けてドラム側腕片33の上面を滑動する。
【0036】
シューホールドピン40の頭部42とドラム側腕片33とが滑動することに伴い、連結部32に蓄えられたばね力によりドラム側腕片33がウェブ側腕片31の離隔方向に弾性変形する。
シューホールドピン40の頭部42とドラム側腕片33との当接位置が変位することで、ウェブ22上に載置されたシューホールドスプリング30の全体が前記した横移動方向とは反対の方向に横移動するとともに、傾倒していたシューホールドピン40が起立する(図1参照)。
最終的に、シューホールドピン40の基端のフランジ43が係止するバックプレート10のピン挿通孔12と、頭部42が係止するシューホールドスプリング30の座部33aとの間でシューホールドスプリング30のばね力が保持されるため、バックプレート10に対してブレーキシュー20を弾性的に保持することができる。
【0037】
このように、本発明はシューホールドピン40およびシューホールドスプリング30を一方向から操作するだけで、シューホールドピン40の頭部42を傾斜した舌片34からドラム側腕片33へ案内しピン軸部41をスリット36内へ挿入させてシューホールドピン40の頭部42をドラム側腕片33に係止することができる。
【0038】
上記した操作で以ってシューホールドピン40の頭部42をドラム側腕片33に係止するには、バックプレート10とウェブ22の各ピン挿通孔12,22aによるシューホールドピン40の傾倒支持角度とシューホールドピン40の全長を基準とし、シューホールドピン40の頭部42が舌片34とドラム側腕片33との境界部を越える直前にウェブ側腕片31のピン挿通孔31aの端縁P3がピン軸部41に当接するように各部材の寸法関係が設定されている。
【0039】
換言すれば、バックプレートング10およびブレーキシュー20のウェブ22に形成した両ピン挿通孔12,22aにピン軸部41の複数箇所を当接させてシューホールドピン40の傾倒を制限した状態のとき、ピン軸部41にウェブ側腕片31のピン挿通孔31aの端縁が当接するようにシューホールドスプリング30が形成してあればよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係わるドラムブレーキのシューホールド装置の断面図
【図2】本発明に係わる一部を省略したシューホールド装置の分解斜視図
【図3】本発明に係わるシューホールド装置のシューホールドスプリングの全体斜視図
【図4】本発明に係わるシューホールド装置の組付け作業の説明図であって、シューホールドピンの挿入初期におけるシューホールド装置の断面図
【図5】本発明に係わるシューホールド装置の組付け作業の説明図であって、シューホールドピンの傾倒を制限した状態におけるシューホールド装置の断面図
【図6】本発明に係わるシューホールド装置の組付け作業の説明図であって、シューホールドピンの頭部が舌片からドラム側腕片の上面へ乗り移る際におけるシューホールド装置の断面図
【符号の説明】
【0041】
10 バックプレート
11 レッジ面
12 バックプレートのピン挿通孔
20 ブレーキシュー
21 ブレーキシューのウェブ
21a ウェブのピン挿通孔
30 シューホールドスプリング
31 シューホールドスプリングのウェブ側腕片
32 シューホールドスプリングの連結部
33 シューホールドスプリングのドラム側腕片
34 シューホールドスプリングの舌片
36 スリット
40 シューホールドピン
41 シューホールドピンのピン軸部
42 シューホールドピンの頭部
43 シューホールドピンのフランジ
50 シューホールド装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキシューのウェブ上に配設され、1枚の板材を折り曲げて形成したシューホールドスプリングと、バックプレートおよび前記ウェブに形成したピン挿通孔にそれぞれ挿通させてシューホールドスプリングに係止するシューホールドピンとを具備し、前記シューホールドスプリングが、ピン挿通部を形成したウェブ側腕片と、このウェブ側腕片と相対向して形成したドラム側腕片と、これらのウェブ側腕片とドラム側腕片とを繋ぐ連結部とを有し、前記ブレーキシューを前記バックプレートに向けて弾性的に保持するドラムブレーキのシューホールド装置において、
前記シューホールドスプリングに、
前記ドラム側腕片に連設し前記ウェブ側腕片へ向けて鋭角に折り返して形成した舌片を形成し、さらに、
シューホールドピンのピン軸部が通過可能で、かつ、前記ピン軸部の径より大径に形成したシューホールドピンの頭部が通過不能なスリットを、前記舌片から前記ドラム側腕片に連続して形成したことを特徴とする、
ドラムブレーキのシューホールド装置。
【請求項2】
請求項1において、前記シューホールドスプリングのドラム側腕片は、前記シューホールドピンの頭部が係止可能な座部を有することを特徴とする、ドラムブレーキのシューホールド装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記シューホールドスプリングの舌片は、前記シューホールドピンを前記シューホールドスプリングに係止するときに、前記シューホールドピンの頭部を誘導するガイド機能を有することを特徴とする、ドラムブレーキのシューホールド装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかにおいて、ドラム側腕片が圧縮変形されたときにウェブ側腕片に当接してドラム側腕片とウェブ側腕片とが過度に接近するのを防止するストッパ機能を有することを特徴とする、ドラムブレーキのシューホールド装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかにおいて、前記バックプレートおよびブレーキシューのウェブに形成した夫々のピン挿通孔にピン軸部を当接させてシューホールドピンの傾倒を制限した状態のとき、ピン軸部にウェブ側腕片のピン挿通孔の端縁が当接するようにシューホールドスプリングを形成したことを特徴とする、ドラムブレーキのシューホールド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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