説明

ドラム型遠心載荷装置及び津波造波実験方法

【課題】縮尺水理模型による、押し波・引き波時の地盤の変状及び構造物の変形・破壊の再現精度を高める。
【解決手段】ドラム型回転容器12の回転中心部分に配置されたツールテーブル14を、回転駆動手段16により回転させた状態で、マルチヘッド型カメラ18と、多数のLEDを用いた照明手段20とからなる撮影器材で、造波装置54によりドラム型回転容器内12に発生する波と、地盤及び地盤上の構造物とを、複数箇所から同時に撮影する。特に、多数のLEDを用いた照明手段20により地盤及び地盤上の構造物とを高輝度に照らすことで、マルチヘッド型カメラ18により高速撮影される映像の、高解像度化を図ることができる。又、レーザ照射手段22によって、シート状のレーザ光Lを照射することにより、流体Wの二次元断面を視覚的に浮き立たせ、流体の流速を正確に把握することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラム型遠心載苛装置及び津波造波実験方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、海底を震源とした地震によって引き起こされる大規模な津波の発生を受け、津波災害に対する懸念がより一層高まっており、津波に関する防災技術の更なる充実が望まれている。
そして、現在開発が進められている津波に関する防災技術は、例えば、ソフト面からのアプローチとしては、津波伝播解析手法に基づくハザードマップの作成や、浸水エリアの判定、又は、津波波力の数値解析手法等が挙げられる。一方、津波の再現実験手法として、造波水槽に縮尺模型を設置して行う津波造波実験(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)や、実物大規模の二次元大型波動水槽による長周期波造波実験(例えば、非特許文献3)が実施されている。これら従来の実験手法は、基本的に、海岸工学における従来からの水理模型実験手法を踏襲したものである。
【0003】
又、従来の、造波水槽に縮尺模型を設置して行う津波造波実験手法として、造波水槽を遠心力場に置き、水槽内の海水等を模した流体に波を発生させることにより、縮尺模型に加わる応力を、いわゆる「実験相似則」に基づき現実と同様に再現する手法が用いられている。この実験手法に用いられる従来の造波装置としては、造波板がヒンジによって揺動自在に設置された形式のフラップ型造波装置(例えば、非特許文献4)や、造波用フロートを備え、この造波用フロートが、液面と直交する方向へと直線的に駆動される形式の、プランジャ型造波装置(例えば、非特許文献5)等が挙げられる。
【0004】
【非特許文献1】水谷将,今村文彦著,海岸工学論文集,2000年,第47巻,p.946−950,「構造物に作用する段波波力の実験」
【非特許文献2】朝倉良介,岩瀬浩二,池谷毅,金戸俊道,藤井直樹,大森政則著,海岸工学論文集,2000年,第47巻,p.911−915,「護岸を越流した波力に関する実験的研究」
【非特許文献3】有川太郎,池辺将光,山田文則,下迫健一郎,今村文彦著,海岸工学論文集,2005年,第52巻,p.746−750,「護岸・陸上構造物に対する津波力の大規模実験」
【非特許文献4】宮本順司,佐々真志,関口秀雄著,海岸工学論文集,2000年,第47巻,p.921−925,「波浪による砂地地盤の液状化と流動変形過程」
【非特許文献5】馬場慎太郎,三宅達夫,金夏永,鶴ヶ崎和博著,海岸工学論文集,2002年,第49巻,p.1536−1540,「波・地盤・構造物の新しい実験手法」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の、造波水槽に縮尺模型を設置して行う津波造波実験は、実験相似則に起因する制約から、流体的挙動の再現までしか行うことができず、実際の津波被害で大きな問題となっている押し波・引き波時の地盤の変状を取り扱うことができないものである。
又、縮尺模型に作用する応力レベルが小さいため、構造物の変形・破壊などの問題を、実際と同様に取り扱うことが困難である。一方、従来の、大型波動水槽を用いる手法は、実物スケールに近付けることで、実際の応力レベルを再現するものであり、実験結果の精度は良くなるが、実験設備及び実験コストが桁違いに大きくなってしまうという問題がある。
【0006】
更に、造波水槽を遠心力場に置く手法においても、実際の津波に相当する長周期波を発生させることができず、よって、津波と流体力と地盤との相互作用による災害メカニズムを解明するまでには至っていない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、縮尺水理模型による再現実験を行うことにより、実験設備及び実験コストの増大を抑え、なおかつ、従来の縮尺水理模型による再現実験では解析することができなかった、押し波・引き波時の地盤の変状及び構造物の変形・破壊の再現精度を高め、その解析を行うことにある。そして、津波と流体力と地盤との相互作用による津波災害メカニズムの解明を促進する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0008】
(1)円筒状底面及び該円筒状底面の両側から該円筒状底面の半径方向内側へと立ち上がる円環状壁面を備えるコ字状断面のドラム型回転容器と、該ドラム型回転容器の回転中心部分に着脱自在に配置され、かつ、該ドラム型回転容器と一体若しくは独立して回転可能なツールテーブルと、前記ドラム型回転容器及び前記ツールテーブルを一体に若しくは独立して回転させる回転駆動手段とを備え、前記ツールテーブルには、撮影用器材として、複数のCCDカメラ又はCMOSセンサの少なくとも一方を含むマルチヘッド型カメラと、多数のLEDを用いた照明手段とが載置され、なおかつ、造波装置が載置されていることを特徴とするドラム型遠心載苛装置(請求項1)。
【0009】
本項に記載のドラム型遠心載苛装置は、断面コ字状のドラム型回転容器の内部に、地盤及び地盤上の構造物の1/Nの縮尺水理模型を設置し、ドラム型回転容器を高速回転させて、重力加速度1GのN倍の遠心加速度を与え、ドラム型回転容器内に充填される海水等を模した流体及び縮尺水理模型を遠心力場に置くことにより、実験相似則の関係を満足させるものである。
そして、ドラム型回転容器の回転中心部分に対し着脱自在に配置されるツールテーブルを、回転駆動手段により、必要に応じドラム型回転容器と一体若しくは独立して回転させた状態で、ツールテーブルに搭載された、複数のCCDカメラ又はCMOSセンサの少なくとも一方を含むマルチヘッド型カメラと、多数のLEDを用いた照明手段とからなる撮影器材で、造波装置によりドラム型回転容器内に発生する波と、地盤及び地盤上の構造物とを、複数箇所から同時に撮影するものである。特に、多数のLEDを用いた照明手段により地盤及び地盤上の構造物とを高輝度に照らすことで、CCDカメラ又はCMOSセンサにより高速撮影される映像の、高解像度化を図るものである。
【0010】
なお、多数のLEDを用いた照明手段は、軽量、低電力で高輝度が得られることから採用されたものである。前述の遠心力場においての使用を考慮し、軽量であることは必須の条件である。又、特にCMOSセンサによる高速かつ高解像度での撮影を可能とするためには、高輝度であることが必要となる。更に、低電力であることは、実験コストの低減や環境対策において、必要不可欠な条件である。したがって、以上の条件を満たすものであれば、他の光源を用いることも当然に可能である。
【0011】
(2)前記撮影用器材には、シート状のレーザ光を前記ドラム型回転容器の内部に照射するレーザ照射手段が含まれるドラム型遠心載苛装置(請求項2)。
本項に記載のドラム型遠心載苛装置は、レーザ照射手段によってシート状のレーザ光を前記ドラム型回転容器の内部に照射することにより、ドラム型回転容器内に充填される海水等を模した流体の二次元断面を視覚的に浮き立たせ、撮影機材によって必要に応じ複数箇所撮影することで、流体の流速を正確に把握するものである。
【0012】
(3)前記ドラム型回転容器に対し、トレーサ粒子及び流体を供給する供給手段が設けられているドラム型遠心載苛装置(請求項3)。
本項に記載のドラム型遠心載苛装置は、供給手段によって、ドラム型回転容器に対し、トレーサ粒子及び海水等を模した流体を供給することで、津波造波実験に必要な流体に混入したトレーサにより、流体の流れを視覚的に浮き立たせるものである。そして、撮影されるトレーサの一つ一つの動きを解析することで、流体の流れを高精度に把握することが可能となる。
【0013】
(4)前記造波装置は、前記ドラム型回転容のコ字状断面に倣った平面を有する造波板と、該造波板を前記ドラム型回転容器の円筒状底面に沿って円弧運動させるための円弧状ガイド及び造波板駆動手段とを備えるドラム型遠心載苛装置(請求項4)。
本項に記載のドラム型遠心載苛装置は、ドラム型回転容器のコ字状断面に倣った平面を有する造波板を、円弧状ガイド及び造波板駆動手段によって、ドラム型回転容器の円筒状底面に沿って、所定のストロークで円弧運動させる。そして、かかる造波板の円弧運動により、ドラム型回転容器に供給された海水等を模した流体に対し、津波を模した長周期波を発生させるものである。
【0014】
(5)前記造波板駆動手段には、サーボモータと、該サーボモータの回転軸に固定されたドライブプーリと、前記円弧状ガイドの円周方向一端に位置するドリブンプーリと、前記ドライブプーリ及び前記ドリブンプーリに掛け回される第1の駆動ベルトと、
前記ドリブンプーリと一体回転する第1の造波板駆動プーリと、前記円弧状ガイドの円周方向他端に回転自在に軸支される第2の造波板駆動プーリと、前記造波板に固定されたベルト固定用プーリと、前記第1の造波板駆動プーリ、前記第2の造波板駆動プーリ及び前記ベルト固定用プーリに掛け回される第2の駆動ベルトとが含まれるドラム型遠心載苛装置(請求項5)。
本項に記載のドラム型遠心載苛装置は、造波板をサーボモータによって位置・速度制御することで、ドラム型回転容器に供給された海水等を模した流体に、必要な波を正確に再現するものである。又、サーボモータの回転軸に固定されたドライブプーリと、円弧状ガイドの円周方向一端に位置するドリブンプーリと、ドライブプーリ及びドリブンプーリに掛け回される第1の駆動ベルトと、ドリブンプーリと一体回転する第1の造波板駆動プーリと、円弧状ガイドの円周方向他端に回転自在に軸支される第2の造波板駆動プーリと、造波板に固定されたベルト固定用プーリと、第1の造波板駆動プーリ、第2の造波板駆動プーリ及びベルト固定用プーリに掛け回される第2の駆動ベルトとによって、造波板の円弧運動に係る駆動系統が構成されることで、ドラム型回転容器及びツールテーブルに対し造波板が相対的に円弧運動する際の、第1、第2の駆動ベルトのベルトテンションの変動を抑制し、なおかつ、円弧運動に係る部分の慣性重量の増加を抑えるものである。
【0015】
(6)前記造波板駆動手段には、前記第1の造波板駆動プーリと一体回転する第1の同期プーリと、前記第2の造波板駆動プーリと一体回転する第2の同期プーリと、前記第1の同期プーリ及び前記第2の同期プーリに掛け回される同期ベルトとが含まれるドラム型遠心載苛装置(請求項6)。
本項に記載のドラム型遠心載苛装置は、第1の同期プーリと第2の同期プーリとに同期ベルトが掛け回されることにより、第1の造波板駆動プーリ及び第2の造波板駆動プーリの回転を強制的に同期させ、サーボモータのハンチングを防止するものである。
【0016】
(7)前記造波板は、前記ドラム型回転容器に供給される流体に対し浮力が均衡するように、浮力調整されているドラム型遠心載苛装置(請求項7)。
本項に記載のドラム型遠心載苛装置は、前記ドラム型回転容器に供給される流体に対し浮力が均衡するように浮力調整されていることにより、遠心力場において、円弧状ガイド及び造波板駆動手段に加わる負荷を可能な限り減少させるものである。
【0017】
(8)前記ドラム型回転容器の円環状壁面の少なくとも一部が、透明板によって構成されているドラム型遠心載苛装置(請求項8)。
本項に記載のドラム型遠心載苛装置は、ドラム型回転容器の円環状壁面の少なくとも一部を構成する透明板を介して、造波装置によりドラム型回転容器内に発生する波と、地盤及び地盤上の構造物とを、複数箇所から同時に撮影するものである。
なお、ドラム型回転容器の円環状壁面の、透明板と透明板以外の部分との境目は、液漏れが生じないように密閉処理されている。
【0018】
(9)前記ドラム型回転容器の円筒状底面が、その全周にわたり、円環状の透明な仕切り板によって、前記円筒状底面の幅方向に区分され、区分された一方に縮尺水理模型が、もう一方に前記撮影器材が設置されるドラム型遠心載苛装置(請求項9)。
本項に記載のドラム型遠心載苛装置は、円環状の透明な仕切り板によって区分された一方にセットされる縮尺水理模型に対し実施される水理実験を、もう一方の区分の、ドラム型回転容器の全周にわたる任意の位置に設置される撮影器材によって、撮影するものである。
なお、ドラム型回転容器の円筒状底面と、円環状の透明な仕切り板との当接部分は、液漏れが生じないように密閉処理されている。
【0019】
(10)前記ドラム型回転容器に、前記海水等を模した流体を溜めるためのサージタンクが設けられているドラム型遠心載苛装置。
本項に記載のドラム型遠心載苛装置は、造波装置により、ドラム型回転容器内の海水等を模した流体に、長周期の波を発生させることで生ずる流体変動を、必要に応じサージタンクで受止めることで、縮尺水理模型に対する反射波(引き波)の影響を任意にコントロールするものである。
【0020】
(11)前記ドラム型回転容器と、前記ツールテーブルとが連結して用いられるドラム型遠心載苛装置。
本項に記載のドラム型遠心載苛装置は、ドラム型回転容器と、ツールテーブルとを連結して一体回転させることで、装置全体での重量バランスを正確に取ることを容易とするものである。
【0021】
(12)上記(1)から(11)のいずれか1項記載のドラム型遠心載苛装置の、前記ドラム型回転容器に、縮尺水理模型を設置し、所定の回転数で前記ドラム型回転容器及び前記ツールテーブルを一体に回転させ、トレーサ粒子及び海水等を模した流体を供給し、前記造波装置によって前記流体に波を発生させ、前記マルチヘッド型カメラによって、前記縮尺水理模型と、前記流体と、前記トレーサ粒子とを、同時に高速撮影する津波造波実験方法。
【0022】
本項に記載の津波造波実験方法は、断面コ字状のドラム型回転容器の内部に、地盤及び地盤上の構造物の1/Nの縮尺水理模型を設置し、ドラム型回転容器を高速回転させて、重力加速度1GのN倍の遠心加速度を与え、トレーサ粒子及び海水等を模した流体を供給し、ドラム型回転容器内に充填される海水等を模した流体及び縮尺水理模型を遠心力場に置くことにより、実験相似則の関係を満足させるものである。
又、ドラム型回転容器の回転中心部分に対し着脱自在に配置されるツールテーブルを、回転駆動手段により、必要に応じドラム型回転容器と一体若しくは独立して回転させた状態で、ツールテーブルに搭載された、複数のCCDカメラ又はCMOSセンサの少なくとも一方を含むマルチヘッド型カメラと、多数のLEDを用いた照明手段とからなる撮影器材で、縮尺水理模型と、前記流体と、前記トレーサ粒子とを、同時に高速撮影するものである。この際、多数のLEDを用いた照明手段を用いる場合には、かかる照明手段により地盤及び地盤上の構造物とを高輝度に照らすことで、CCDカメラ又はCMOSセンサによる映像を、高速かつ高解像度で撮影するものである。又、レーザ照射手段によってシート状のレーザ光を前記ドラム型回転容器の内部に照射する場合は、シート状のレーザ光により、ドラム型回転容器内に充填される海水等を模した流体の二次元断面を浮き出させ、撮影機材によって必要に応じ複数箇所撮影することで、流体の流速を正確に把握するものである。
【0023】
(13)上記(12)項において、前記ドラム型回転容器の全周を用いて水理実験を行う津波造波実験方法。
本項に記載の津波造波実験方法は、ドラム型回転容器の全周を用いて実験を行うことで、ドラム型回転容器に供給された海水等を模した流体に対し、津波を模した長周期波を発生させ、津波被害の再現精度を高め、その解析を行うものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明はこのように構成したので、実験設備及び実験コストの増大を抑え、なおかつ、従来の縮尺模型による再現実験では解析することができなかった、押し波・引き波時の地盤の変状及び構造物の変形・破壊の再現精度を高め、その解析を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態に係る、ドラム型遠心載苛装置10は、図1及び図2に示されるように、円筒状底面12a及び円筒状底面12aの両側から円筒状底面12aの半径方向内側へと立ち上がる円環状壁面12bを備えるコ字状断面のドラム型回転容器12を備えている。又、ドラム型回転容器12の回転中心部分に着脱自在に配置され、かつ、ドラム型回転容器12と一体若しくは独立して回転可能なツールテーブル14を備えている。一例として、ドラム型回転容器12の直径(円周)は2.2m(6.7m)、ツールテーブル14の直径は1.4mである。そして、必要に応じ、ドラム型回転容器12には、海水等を模した流体を溜めるためのサージタンク13が設けられている。
【0026】
更に、ドラム型回転容器12及びツールテーブル14を一体に若しくは独立して回転させる回転駆動手段16(図1)を備えている。回転駆動手段16は、モータ、ベルト、プーリ、回転軸、動力伝達アーム等からなる、ドラム型回転容器12の駆動系16Aと、ツールテーブル14に直結するサーボモータを備えた、ツールテーブル14の駆動系16Bとからなるものである。
【0027】
又、ツールテーブル14には、撮影用器材として、複数のCCDカメラ又はCMOSセンサの少なくとも一方を含むマルチヘッド型カメラ18と、多数のLEDを用いた照明手段20とが載置されている。これらの各マルチヘッド型カメラ18及び照明手段20は、図2に示される波WA、縮尺水理模型M10、M20の撮影に適した位置に、必要な角度で設置される。
又、多数のLEDを用いた照明手段は、多数のLEDが二次元状に複数列複数行並べられ、かつ、一つ一つのLED毎に光照射方向を微調整することが可能となっている。光の指向性は15°放射程度に設定され、主に、縮尺水理模型の地盤M10及び構造物M20の部分を照明するために用いられる。
【0028】
又、ツールテーブル14には、撮影用器材として、シート状のレーザ光Lをドラム型回転容器12の内部に照射するレーザ照射手段22が載置されている。レーザ照射手段22の一例として、LD励起YAG/YVO4レーザ(波長:532nm)を光源とし、可視化用シリンドリカルレンズを用いてレーザをシート光化するものが用いられる。そして、このレーザ照射手段22は、主として、流体Wの部分にシート状のレーザ光Lを照射するものである。
【0029】
又、ツールテーブル14には、ドラム型回転容器12に対し、トレーサ粒子及び海水等を模した流体を供給する供給手段24が設けられている。供給手段24は、流体タンク24aと、供給管24bと、ポンプ24cとを備えており、これらを複数系統設けることも可能である。流体タンク24aには、実験相似則を考慮して海水等を模した適切な物性を有する流体Wに、予めトレーサ粒子を混入した状態のものが収められている。又、ポンプ24cは、電動モータによって駆動されるものであり、後述するスリップリングを介して、外部からON・OFF制御されるものである。
なお、図中、ツールテーブル14の器材設置棚26の上方に示されるように、トレーサ粒子供給装置24dと流体供給装置24eとを別々に設け、トレーサ粒子と流体とを別個に供給する事としても良い。
【0030】
又、図示の器材設置棚26は、二段となっており、上段には、図3に示されるように、マルチヘッド型カメラ18の高速度カメラヘッド28、照明手段20へと電力供給を行うためのAC−DCコンバータ30、高速度カメラ記録部32、LAN形式ハードディスク34、端子台36が載置されている。これらに加えて、必要に応じ、超音波距離センサ38、超音波処理センサアンプ40、容量式波高計42、容量式波高計アンプ44が搭載されている。又、器材設置棚26の下段には、動歪み式データロガー(図示省略)が載置されている。更に、器材設置棚26の上方には、図1に示されるように、ツールテーブル14の回転軸上に伸びる支柱46が設置され、この支柱46に、外部との制御信号の授受を行う通信用スリップリング48と、外部から電力供給を受けるための動力用スリップリング50とが設けられている。そして、各スリップリング48、50の端子は、外部制御手段52に接続されている。
【0031】
又、ツールテーブル14には、図4〜図6に示される造波装置54が載置されている。この造波装置54は、ドラム型回転容器12のコ字状断面に倣った平面を有する造波板56と、造波板56をドラム型回転容器12の円筒状底面12aに沿って円弧運動させるための円弧状ガイド58と、造波板駆動手段60を備えている。
【0032】
造波板56は、少なくともその表面部分56aが、必要な強度を確保するためにアルミ等の金属板で形成され、内部56bには、発泡樹脂等の比重の小さな材料が用いられることにより、ドラム型回転容器12に供給される流体に対し浮力が均衡するように(好ましくは、流体Wと比重が同じとなるように)、浮力調整されている。又、流体に対向する平面(表面部分56a)が、造波板56の円弧運動の回転中心を通るように、半径方向外側へ向かって厚みが増加する形状となっている。
なお、造波板56の作動角度は、円弧状ガイド58の作動角度に起因しており、図示の例では60°となっている。しかしながら、必要に応じ、さらに円弧長の長いガイドレール58aを用いることによって、造波板56の作動角度をより広くすることも可能である。
【0033】
又、造波板駆動手段60には、サーボモータ62と、サーボモータ62の回転軸に固定されたドライブプーリ64(図4)と、円弧状ガイド58の円周方向一端に位置するドリブンプーリ66と、ドライブプーリ64及びドリブンプーリ66に掛け回される第1の駆動ベルト68(図4)と、ドリブンプーリ64と一体回転する第1の造波板駆動プーリ70と、円弧状ガイド58の円周方向他端に回転自在に軸支される第2の造波板駆動プーリ72と、造波板56の支持板57に固定されたベルト固定用プーリ74、76、78と、第1の造波板駆動プーリ70、第2の造波板駆動プーリ72及びベルト固定用プーリ74、76、78に掛け回される第2の駆動ベルト80とが含まれる。更に、造波板駆動手段60には、第1の造波板駆動プーリ70と一体回転する第1の同期プーリ82と、第2の造波板駆動プーリ72と一体回転する第2の同期プーリ84と、第1の同期プーリ82及び第2の同期プーリ84に掛け回される同期ベルト86とが含まれる。
【0034】
ここで、サーボモータ62は、通信用スリップリング48と、外部から電力供給を受けるための動力用スリップリング50を介して、外部制御手段52から、作動指令及び駆動電力の供給を受けるものである。
【0035】
又、第1の駆動ベルト68、第2の駆動ベルト80及び同期ベルト86の何れも、表裏両面に歯が設けられた両歯ベルトが用いられ、上記各プーリにも、各ベルトに対応する歯が形成されている。そして、固定用プーリ74、76、78は、造波板56の基端部を支持する支持板57に対し、非回転状態で千鳥状に配置、固定され、第2の駆動ベルト80が固定用プーリ74、76、78に対し表裏交互に接触するように掛け回されることで、簡単かつ軽量な、造波板56の支持板56aに対する第2の駆動ベルト80の固定構造が構成されている。
【0036】
なお、図5のみに符号88で示される部分は、ガイドレール58a上を移動するスライドブロック58bが、ガイドレール58aの端部まで移動した時点でこれに当接し、スライドブロック58bの移動限度位置を定める、緩衝装置であり、ゴム等の弾性体により構成されるものである。
【0037】
又、ドラム型回転容器12は、図7に示されるように、円環状壁面12aの少なくとも一部が、扇状の透明板90によって構成されている。この場合、扇状の透明板90の外側に、マルチヘッド型カメラ18、照明手段20、レーザ照射手段22等が固定され、扇状の透明板90を介して、内部の様子が撮影されるものとなる。なお、扇状の透明板90は、十分な厚みを有する透明強化プラスチック板であり、図示の例では、厚み30mmのものが二枚重ねで使用されている。又、当然に、ドラム型回転容器12の円環状壁面12bの、透明板90と透明板以外の部分との境目は、液漏れが生じないように密閉処理されている。
【0038】
又、ドラム型回転容器12別例が、図8(a)に示されている。このドラム型回転容器12は、円筒状底面12aの幅が図7の例よりも広い大型のドラム型回転容器となっている。又、図8(b)に示されるように、円筒状底面12aが、その全周にわたり、円環状の透明な仕切り板92によって、円筒状底面12aの幅方向に区分されている。そして、区分された一方12cに縮尺水理模型が、もう一方12dに撮影器材(マルチヘッド型カメラ18、照明手段20、レーザ照射手段22等)が設置されるようにして使用されるものである。
なお、この場合にも、円環状の透明な仕切り板92には、厚み30mmの透明強化プラスチック板が二枚重ねで使用されている。又、ドラム型回転容器12の円筒状底面12aに対する取り付け構造としては、図7の扇状の透明板90と同様の透明板を円形に並べ、かつ、継ぎ目部分および周辺部を金属製フレームで覆い、この金属製フレームを円筒状底面12aに固定する等が挙げられる。当然に、ドラム型回転容器12の円筒状底面12aと、円環状の透明な仕切り板92との当接部分は、液漏れが生じないように密閉処理されている。
【0039】
続いて、本発明の実施の形態に係るドラム型遠心載苛装置10により、津波造波実験を行う手順について説明する。
まず、本発明の実施の形態では、ツールテーブル14が、ドラム型回転容器12に対し着脱自在となっていることから、ツールテーブル14単体の状態で、必要な器材を器材設置棚26に固定する。又、ツールテーブル14を、ドラム型回転容器12の回転中心部分に配置した状態で、図1に示されるように、ドラム型回転容器12と、ツールテーブル14とを、連結板94及びボルト96により、適切な場所において複数箇所を連結する。このように、ドラム型回転容器12と、ツールテーブル14とを連結して一体回転させることで、装置全体での重量バランスを正確に取ることが容易となる。
【0040】
そして、ドラム型回転容器12に、縮尺水理模型を設置する。縮尺水理模型は、図2に示されるように、地盤M10と、構造物M20とを、実験相似則に基づく縮尺で、ドラム型回転容器12に収まるようにして予め構成する。そして、これを凍結させることによって固化させた状態で、ドラム型回転容器12にセットする。この際、図2に示されるように、ドラム型回転容器12の全周を用いて実験を行うために、サージタンク13、縮尺水理模型M10、M20、造波板56を、ドラム型容器12の全周にわたって適切に配置することとする。
又、マルチヘッドカメラ18、照明手段20、レーザ照射装置22を、各々、ブラケット98(図1参照)によって、必要な撮影箇所にセットする。そして、装置全体の重量バランスを確保するために、ツールテーブル14上の適切な場所に、バランスウエイトを設置する。なお、ツールテーブル14には、バランスウエイト等必要な部品の固定を容易とするために、予め複数のねじ穴が、全体に分散するように形成されている。
【0041】
続いて、ドラム型回転容器12及びツールテーブル14を回転させた状態で、供給手段24から、ドラム型回転容器12内にトレーサ粒子及び海水等を模した流体Wを供給する。その後、所定の回転数となるようにドラム型回転容器12及びツールテーブル14の回転速度を高め、造波装置54の造波板56を円弧運動させることにより、流体Wに波WAを発生させる。そして、マルチヘッド型カメラ18によって、縮尺水理模型M10、M20と、流体Wと、流体に混入されたトレーサ粒子とを、同時に高速撮影する。なお、図1には、トレーサ粒子が光に照らされて発光する様子が、模式的に符号100で示されている。
【0042】
なお、実験内容によっては、ドラム型回転容器12とツールテーブル14とを連結することなく、回転駆動手段16のドラム型回転容器12の駆動系16Aと、ツールテーブル14に直結するサーボモータを備えたツールテーブル14の駆動系16Bにより、各々、独立して回転させることも可能である。又、ドラム型回転容器12の回転を止めることなくツールテーブル14の回転を停止させ、ツールテーブル14をドラム型遠心載苛装置10から降ろして、ツールテーブル14上の器材の点検や交換を行うことも可能である。
【0043】
上記構成をなす、本発明の実施の形態により得られる作用効果は、以下の通りである。ドラム型遠心載苛装置10は、断面コ字状のドラム型回転容器12の内部に、地盤M10及び地盤上の構造物M20の1/Nの縮尺水理模型を設置し、ドラム型回転容器12を高速回転させて、重力加速度1GのN倍の遠心加速度を与え、ドラム型回転容器内12に充填される海水等を模した流体W及び縮尺水理模型M10、M20を遠心力場に置くことにより、実験相似則の関係を満足させるものである。
【0044】
そして、ドラム型回転容器12の回転中心部分に配置されたツールテーブル14を、回転駆動手段16により回転させた状態で、ツールテーブル14に搭載された、複数のCCDカメラ又はCMOSセンサの少なくとも一方を含むマルチヘッド型カメラ18と、多数のLEDを用いた照明手段20とからなる撮影器材で、造波装置54によりドラム型回転容器内12に発生する波WAと、地盤M10及び地盤上の構造物M20とを、複数箇所から同時に撮影するものである。特に、多数のLEDを用いた照明手段20により地盤M10及び地盤上の構造物M20とを高輝度に照らすことで、CCDカメラ又はCMOSセンサにより高速撮影される映像の、高解像度化を図ることができる。
【0045】
又、ドラム型遠心載苛装置10は、レーザ照射手段22によって、シート状のレーザ光Lをドラム型回転容器12の内部に照射することにより、ドラム型回転容器12内に充填される海水等を模した流体Wの二次元断面を視覚的に浮き立たせ、マルチヘッド型カメラ18によって必要に応じ複数箇所撮影することで、流体Wの流速を正確に把握することが可能となる。
【0046】
しかも、ドラム型遠心載苛装置10は、供給手段24によって、ドラム型回転容器12に対し、トレーサ粒子及び海水等を模した流体Wを供給することで、津波造波実験に必要な流体に混入したトレーサにより、流体Wの流れを視覚的に浮き立たせることが可能となる(図1の符号100参照)。そして、撮影されるトレーサの一つ一つの動きを解析することで、流体Wの流れを高精度に把握することが可能となる。
【0047】
又、ドラム型遠心載苛装置10は、ドラム型回転容器12のコ字状断面に倣った平面を有する造波板56を、円弧状ガイド58及び造波板駆動手段60によって、ドラム型回転容器12の円筒状底面12aに沿って、所定のストロークで円弧運動させるものである。そして、造波板56の円弧運動により、ドラム型回転容器12に供給された海水等を模した流体Wに対し、津波WAを模した長周期波を発生させるものである。
【0048】
又、ドラム型遠心載苛装置10は、造波板56をサーボモータ62によって位置・速度制御することで、ドラム型回転容器12に供給された海水等を模した流体Wに、必要な波WAを正確に再現するものである。又、サーボモータ62の回転軸に固定されたドライブプーリ64と、円弧状ガイド58の円周方向一端に位置するドリブンプーリ66と、ドライブプーリ64及びドリブンプーリ66に掛け回される第1の駆動ベルト68と、ドリブンプーリ66と一体回転する第1の造波板駆動プーリ70と、円弧状ガイド58の円周方向他端に回転自在に軸支される第2の造波板駆動プーリ72と、造波板56に固定されたベルト固定用プーリ74、76、78と、第1の造波板駆動プーリ70、第2の造波板駆動プーリ72及びベルト固定用プーリ74、76、78に掛け回される第2の駆動ベルト80とによって、造波板56の円弧運動に係る駆動系統が構成されることで、ドラム型回転容器12及びツールテーブル14に対し造波板56が相対的に円弧運動する際の、第1、第2の駆動ベルト68、80のベルトテンションの変動を抑制することができる。又、円弧運動に係る部分(特に、ベルト固定用プーリ74、76、78等、造波板56の支持板56aに対する第2の駆動ベルト80の固定構造を構成する部分。)の慣性重量の増加を抑えることができる。
【0049】
又、ドラム型遠心載苛装置10は、第1の同期プーリ82と第2の同期プーリ84とに同期ベルト86が掛け回されることにより、第1の造波板駆動プーリ70及び第2の造波板駆動プーリ72の回転を強制的に同期させ、サーボモータ62のハンチングを防止することができる。
【0050】
又、ドラム型遠心載苛装置10は、ドラム型回転容器12に供給される流体Wに対し浮力が均衡するように浮力調整されていることにより、遠心力場において、円弧状ガイド58及び造波板駆動手段60に加わる負荷を可能な限り減少させることができる。
【0051】
又、ドラム型遠心載苛装置10は、図7に示されるように、ドラム型回転容器12の円環状壁面12bの少なくとも一部を構成する扇状の透明板90を介して、造波装置54によりドラム型回転容器12内に発生する波WAと、地盤M10及び地盤上の構造物M20とを、複数箇所から同時に撮影することができる。
【0052】
又、ドラム型遠心載苛装置10は、図8に示されるように、円環状の透明な仕切り板92によって区分された一方にセットされる縮尺水理模型M10、M20に対し実施される水理実験を、もう一方の区分の、ドラム型回転容器12の全周にわたる任意の位置に設置される、マルチヘッド型カメラ18撮影器材によって、撮影することが可能となる。
又、この場合には、ドラム型回転容器12の円筒状底面12aの幅が広く形成され、装置が大型化することから、完成質量の増加による津波造波時の重量バランスの維持や、積載スペース増加による使用可能な実験領域の増加といった、付随的効果を得ることができる。
【0053】
又、ドラム型遠心載苛装置10は、造波装置54により、ドラム型回転容器12内の海水等を模した流体Wに、長周期の波WAを発生させることで生ずる流体変動を、必要に応じサージタンク13で受止めることで、縮尺水理模型M10、M20に対する反射波(引き波)の影響を任意にコントロールすることが可能となる。特に、図8に示される大型のドラム型回転容器12を用いる場合には、大容量のサージタンク13の設置による、津波の流れ制御の自由度の増大を図ることができる。
【0054】
そして、ドラム型遠心載苛装置10は、ドラム型回転容器12の全周を用いて実験を行うことで、ドラム型回転容器12に供給された海水等を模した流体Wに対し、津波WAを模した長周期波を発生させ、津波被害の再現精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態に係るドラム型遠心載苛装置を模式的に示した縦断面図である。
【図2】図1に示されるドラム型遠心載苛装置の、ドラム型回転容器の横断面図である。
【図3】図1に示されるドラム型遠心載苛装置の、ツールテーブルに搭載される各機器を示す平面模式図である。
【図4】図1に示されるドラム型遠心載苛装置の、ツールテーブルに搭載される造波装置を模式的に示す平面図である。
【図5】図4に示される造波装置の斜視図である。
【図6】図4に示される造波装置の斜視図を、図5とは異なる角度から示したものである。
【図7】図1に示されるドラム型遠心載苛装置の、ドラム型回転容器の斜視図である。
【図8】(a)は、図1に示されるドラム型遠心載苛装置の、ドラム型回転容器の別例を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示されるドラム型回転容器の内部構造を示す斜視断面図である。
【符号の説明】
【0056】
10:ドラム型遠心載苛装置、12:ドラム型回転容器、12a:円筒状底面、12b:円環状壁面、13:サージタンク、14:ツールテーブル、16:回転駆動手段、18:マルチヘッド型カメラ、20:照明手段、22:レーザ照射手段、24:供給手段、54:造波装置、56:造波板、57:支持板、58:円弧状ガイド、60:造波板駆動手段、62:サーボモータ、64:ドライブプーリ、66:ドリブンプーリ、68:第1の駆動ベルト、70:第1の造波板駆動プーリ、72:第2の造波板駆動プーリ、 74、76、78:ベルト固定用プーリ、80:第2の駆動ベルト、82:第1の同期プーリ、84:第2の同期プーリ、86:同期ベルト、90:扇状の透明板、92:環状の透明な仕切り板、M10:地盤、M20:構造物、W:流体、WA:波

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状底面及び該円筒状底面の両側から該円筒状底面の半径方向内側へと立ち上がる円環状壁面を備えるコ字状断面のドラム型回転容器と、該ドラム型回転容器の回転中心部分に着脱自在に配置され、かつ、該ドラム型回転容器と一体若しくは独立して回転可能なツールテーブルと、前記ドラム型回転容器及び前記ツールテーブルを一体に若しくは独立して回転させる回転駆動手段とを備え、
前記ツールテーブルには、撮影用器材として、複数のCCDカメラ又はCMOSセンサの少なくとも一方を含むマルチヘッド型カメラと、多数のLEDを用いた照明手段とが載置され、なおかつ、造波装置が載置されていることを特徴とするドラム型遠心載苛装置。
【請求項2】
前記撮影用器材には、シート状のレーザ光を前記ドラム型回転容器の内部に照射するレーザ照射手段が含まれることを特徴とする請求項1記載のドラム型遠心載苛装置。
【請求項3】
前記ドラム型回転容器に対し、トレーサ粒子及び海水等を模した流体を供給する供給手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のドラム型遠心載苛装置。
【請求項4】
前記造波装置は、前記ドラム型回転容のコ字状断面に倣った平面を有する造波板と、該造波板を前記ドラム型回転容器の円筒状底面に沿って円弧運動させるための円弧状ガイド及び造波板駆動手段とを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のドラム型遠心載苛装置。
【請求項5】
前記造波板駆動手段には、サーボモータと、
該サーボモータの回転軸に固定されたドライブプーリと、前記円弧状ガイドの円周方向一端に位置するドリブンプーリと、前記ドライブプーリ及び前記ドリブンプーリに掛け回される第1の駆動ベルトと、
前記ドリブンプーリと一体回転する第1の造波板駆動プーリと、前記円弧状ガイドの円周方向他端に回転自在に軸支される第2の造波板駆動プーリと、前記造波板に固定されたベルト固定用プーリと、前記第1の造波板駆動プーリ、前記第2の造波板駆動プーリ及び前記ベルト固定用プーリに掛け回される第2の駆動ベルトとが含まれることを特徴とする請求項4記載のドラム型遠心載苛装置。
【請求項6】
前記造波板駆動手段には、前記第1の造波板駆動プーリと一体回転する第1の同期プーリと、前記第2の造波板駆動プーリと一体回転する第2の同期プーリと、前記第1の同期プーリ及び前記第2の同期プーリに掛け回される同期ベルトとが含まれることを特徴とする請求項5記載のドラム型遠心載苛装置。
【請求項7】
前記造波板は、前記ドラム型回転容器に供給される流体に対し浮力が均衡するように、浮力調整されていることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項記載のドラム型遠心載苛装置。
【請求項8】
前記ドラム型回転容器の円環状壁面の少なくとも一部が、透明板によって構成されている請求項1から7のいずれか1項記載のドラム型遠心載苛装置。
【請求項9】
前記ドラム型回転容器の円筒状底面が、その全周にわたり、円環状の透明な仕切り板によって、前記円筒状底面の幅方向に区分され、区分された一方に縮尺水理模型が、もう一方に前記撮影器材が設置されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載のドラム型遠心載苛装置。
【請求項10】
前記ドラム型回転容器に、前記海水等を模した流体を溜めるためのサージタンクが設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載のドラム型遠心載苛装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項記載のドラム型遠心載苛装置の、前記ドラム型回転容器に、縮尺水理模型を設置し、所定の回転数で前記ドラム型回転容器及び前記ツールテーブルを一体に回転させ、トレーサ粒子及び海水等を模した流体を供給し、前記造波装置によって前記流体に波を発生させ、前記マルチヘッド型カメラによって、前記縮尺水理模型と、前記流体と、前記トレーサ粒子とを、同時に高速撮影することを特徴とする津波造波実験方法。
【請求項12】
前記ドラム型回転容器の全周を用いて水理実験を行うことを特徴とする請求項11記載の津波造波実験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−304419(P2008−304419A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153977(P2007−153977)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000222668)東洋建設株式会社 (131)
【Fターム(参考)】