ドラム式生物脱臭装置
【課題】脱臭処理担体の均一攪拌を可能とし、脱臭処理微生物の繁殖を促進し、かつ、処理ガスの脱臭処理を効率的に、連続的に行うことができるようにしたドラム式生物脱臭装置を提供すること。
【解決手段】処理ガスが内外方向に通過可能とし、かつ、内部に脱臭処理担体を充填した円筒型ドラム２と、円筒型ドラム２を回転可能に収納するようにしたケーシング１と、ケーシング１内に配設し、円筒型ドラム２内の脱臭処理担体に栄養剤及び水酸化ナトリウム水溶液を吹きかけ、脱臭処理担体内の脱臭処理微生物の繁殖を促進するようにした散水ノズル９とより構成する。
【解決手段】処理ガスが内外方向に通過可能とし、かつ、内部に脱臭処理担体を充填した円筒型ドラム２と、円筒型ドラム２を回転可能に収納するようにしたケーシング１と、ケーシング１内に配設し、円筒型ドラム２内の脱臭処理担体に栄養剤及び水酸化ナトリウム水溶液を吹きかけ、脱臭処理担体内の脱臭処理微生物の繁殖を促進するようにした散水ノズル９とより構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ドラム式生物脱臭装置に関し、特に、脱臭処理機能を有する担体を充填し、かつ、回転する円筒型ドラム内に処理ガスを通過させて脱臭処理を効率的に行うようにしたドラム式生物脱臭装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、生産工場や下水処理場等より生成排出される悪臭を伴うガス体は、脱臭処理を行った後、大気中へ放出するようにしている。この悪臭を伴うガス体は、例えば、メタンガス、硫化水素ガス、ＶＯＣ（揮発性有機化合物）ガス等を含有する場合が多いが、これらの悪臭を伴うガス体（以下、「処理ガス」という。）の脱臭処理は、例えば、図３に示すように、脱臭処理槽Ｔ内に所要量の脱臭処理機能を有する脱臭処理微生物の担体、例えば、セラミックスやプラスチック製の担体（以下、「脱臭処理担体」という。）を充填し、脱臭処理担体の圧密防止と処理ガス通過性能維持のために櫛状の攪拌棒Ｌをこの脱臭処理担体内に挿入し、かつ、該櫛状攪拌棒を回転させることで攪拌するようにし、この脱臭処理槽内に処理ガスを注入し、脱臭処理担体内の脱臭処理微生物を繁殖させて所要の脱臭処理を行うようにしている。
【０００３】
ところで、従来の櫛状攪拌棒を回転させる生物脱臭装置においては、脱臭処理担体の攪拌性能が悪く槽内全体を均一に、特に脱臭処理槽内底部及び表面部の脱臭処理担体の攪拌が十分に行うことができず、脱臭処理槽内底部で圧密が発生し、この脱臭処理担体の圧密による処理ガス通過損失が増大するとともに、この圧密により脱臭処理微生物の繁殖を阻害して脱臭処理能力が低下するという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
本発明は、従来の生物脱臭装置の有する問題点に鑑み、脱臭処理担体の均一攪拌を可能とし、脱臭処理微生物の繁殖を促進し、かつ、処理ガスの脱臭処理を効率的に、連続的に行うことができるようにしたドラム式生物脱臭装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記目的を達成するため、本発明のドラム式生物脱臭装置は、処理ガスが内外方向に通過可能とし、かつ、内部に脱臭処理担体を充填した円筒型ドラムと、該円筒型ドラムを回転可能に収納するようにしたケーシングと、該ケーシング内に配設し、前記円筒型ドラム内の脱臭処理担体に栄養剤及び水酸化ナトリウム水溶液を吹きかけ、脱臭処理担体内の脱臭処理微生物の繁殖を促進するようにした散水ノズルとより構成したことを特徴とする。
【０００６】
この場合において、円筒型ドラムを円筒籠形とし、円筒状の周囲に脱臭処理担体を充填することができる。
【０００７】
また、ケーシング内に配設する円筒型ドラムを、上下２段以上配設することができる。
【０００８】
また、ケーシングに、その一端側から処理ガスを注入する処理ガス注入口を、他端部から脱臭処理後の処理ガスを排出する排出口を形成することができる。
【０００９】
また、ケーシング内に、円筒型ドラム長手方向の中央部位置で処理ガスの通気方向を変えるようにした仕切壁を配設することができる。
【発明の効果】
【００１０】
本発明のドラム式生物脱臭装置によれば、処理ガスが内外方向に通過可能とし、かつ、内部に脱臭処理担体を充填した円筒型ドラムと、該円筒型ドラムを回転可能に収納するようにしたケーシングと、該ケーシング内に配設し、前記円筒型ドラム内の脱臭処理担体に栄養剤及び水酸化ナトリウム水溶液を吹きかけ、脱臭処理担体内の脱臭処理微生物の繁殖を促進するようにした散水ノズルとより構成することにより、円筒型ドラムを回転させるだけで脱臭処理担体の攪拌が均一に確実に行われるので、その圧密を未然に防止でき、かつ、栄養剤水の散水にて脱臭処理微生物の繁殖を促進して処理ガスの脱臭処理を、簡単な装置で連続的、効率的に行うことができる。
【００１１】
また、円筒型ドラムを円筒籠形とし、円筒状の周囲に脱臭処理担体を充填することにより、円筒型ドラムを回転させるだけで脱臭処理担体の全体に亘る攪拌が均一に確実に行え、連続的に処理が可能となる。
【００１２】
また、ケーシング内に配設する円筒型ドラムを、上下２段以上配設することにより、狭いスペースで多量の処理ガスを効率的に処理することができる。
【００１３】
また、ケーシングに、その一端側から処理ガスを注入する処理ガス注入口を、他端部から脱臭処理後の処理ガスを排出する排出口を形成することにより、処理ガスの流通通路が設定できるので、脱臭処理担体との接触を確実にして処理ガスの脱臭を効率的に行うことができる。
【００１４】
また、ケーシング内に、円筒型ドラム長手方向の中央部位置で処理ガスの通気方向を変えるようにした仕切壁を配設することにより、処理ガスの円筒型ドラム内通過時間を長く設定することができるので、処理ガスの脱臭を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
以下、本発明のドラム式生物脱臭装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例１】
【００１６】
図１〜図２に、本発明のドラム式生物脱臭装置の一実施例を示す。
図において１は、所要の形状をしたケーシングで、該ケーシング１内には１又は２以上（図示の実施例では上下２個）の円筒型ドラム２、２を回転可能に支持するようにして収納するとともに、一側面から処理ガスを注入するようにした処理ガス注入口１ａを形成し、また特に限定されるものではないが、例えば、ケーシング頂面より脱臭処理後の処理ガスを排出するようにした排出口１ｂを形成する。これにより、ケーシング内に注入される処理ガスは所定の流通経路に従って流通するようになる。
また、ケーシング内に回転可能に支持した円筒型ドラム２は、図２（ａ）に示すように、駆動装置３、動力伝達機構３１を介して所要の回転数で回転駆動されるが、この回転方向は一定方向のほか、反対方向に回転可能とすることもできる。
【００１７】
円筒型ドラム２は、図２に示すように、パンチングメタルなど通気可能な材質を用いて円筒籠形に形成し、この円筒型ドラム２の円筒状の周囲に脱臭処理担体を充填するようにする。これは、円筒籠形の円筒型ドラム２を内側筒２１と外側筒２２とを所要の間隔をあけて同心２重円筒籠形とし、その内部を空洞とし、さらにこの周回方向を複数の仕切板２３、２３にて仕分けるようにして複数の仕分室２Ｒを形成し、この各仕分室２Ｒ内にそれぞれ所要量の脱臭処理担体４を充填し、かつ、該円筒型ドラム２の回転動作に伴って各仕分室内で充填脱臭処理担体が攪拌され、圧密されないようにする。
【００１８】
なお、この仕切板２３も、望ましくは内側筒２１、外側筒２２と同じように通気性の良いパンチングメタルなどを用い、内側筒２１、外側筒２２に係止することができるとともに、各仕分室２Ｒ内に充填する脱臭処理担体４の充填量は、円筒型ドラム２の回転により十分に攪拌されるようにして定めるものとする。
また、処理ガス体がこの円筒型ドラム２の内周面側から外周面側へ、反対に外周面側から内周面側へと通気方向を変換できるよう、円筒型ドラム２のほぼ中央部位置で、ケーシング１内を２分割されるようにして仕切壁２４を配設する。この仕切壁２４は通気性を有しないものとする。
【００１９】
また、ケーシング１の内底部には栄養剤液を貯留するための貯留槽１Ｓを配設し、該貯留槽内に外部に配設した栄養剤貯留タンク５からポンプ５Ｐを介して栄養剤を、また、水酸化ナトリウム水溶液を貯留した水酸化ナトリウム水溶液貯留タンク６からポンプ６Ｐを介して水酸化ナトリウム水溶液を、それぞれ供給し、貯留槽内で攪拌されてノズル水ポンプ７及び配管８を経て、ケーシング１内で、かつ、各段の円筒型ドラム２上方に配設された散水ノズル９より散水又は噴射し、円筒型ドラム内の脱臭処理担体に吹きかけて、脱臭処理担体内の脱臭処理微生物の繁殖を促進するようにする。
なお、ケーシング１の内底部の貯留槽１Ｓ内には、ボールタップを介して散水用の水を給水配管１０を介して供給するとともに、オーバフロー排水管１１を備えて余剰水をオーバフローするようにする。
【００２０】
この散水ノズル９は、水平に配設する円筒型ドラム２の外周頂面より上方位置に水平に配管された散水管に複数のノズルを配設して円筒型ドラム２に向かってシャワーのようにして散水できるように構成する。
なお、ケーシング１内に、円筒型ドラム２を上下２段に配設する場合は、下段側の円筒型ドラム２の上方位置に円弧形のカバー１２を配設する。このカバー１２は、円筒型ドラム２と同様にパンチングメタルなどを用いて形成し、これにより下段側の円筒型ドラム２を通過した処理ガスが上段側へショートパスされないようにして各段毎に効率的に処理できるようにする。
【００２１】
次に、本発明のドラム式生物脱臭装置の作用について説明する。
脱臭処理微生物を付着或いは内蔵した脱臭処理担体の所要量を予め充填した円筒型ドラム２を、駆動装置３、動力伝達機構３１を介してケーシング１内で回転駆動するとともに、処理ガス注入口１ａより処理ガスをケーシング内に供給すると、該注入ガスはケーシング１内で仕切壁２４にて仕切られている円筒型ドラム２の左半分では、円筒型ドラム２の外側から内側の空洞部へ通気するようになる。次いでケーシング１内の仕切壁２４にて仕切られている右半分の位置では円筒型ドラム２の内側から外側へ通気するようになる。
このとき、円筒型ドラム２の各仕分室２Ｒ内の脱臭処理担体間を通過するようになり、脱臭処理微生物と接触して所要の脱臭が行われる。
【００２２】
また、ケーシング１内では、回転している円筒型ドラム２の上方の散水ノズル９より栄養剤を溶解した水を散水しているので、脱臭処理担体４は円筒型ドラム２の回転作用にて適当に攪拌されるため、脱臭処理担体の圧密は防止されるとともに、該栄養剤水の散水にて脱臭処理微生物の繁殖が促進され、これにより効果的に処理ガスの脱臭が行われる。
また、攪拌作用にて脱臭処理微生物が繁殖して脱臭処理が連続的に行われるものとなり、脱臭処理されたガスは排出口１ｂより排出される。
【００２３】
なお、散水ノズル９より散水された栄養剤水は、円筒型ドラム２の脱臭処理担体内を通過して下部の貯留槽１Ｓ内に滴下して貯留される。この栄養剤水をポンプにて吸い上げ、散水ノズル９より散水し、このようにして循環使用される。
なお、栄養剤水の濃度が薄くなると、栄養剤貯留タンク５からポンプ５Ｐを介して栄養剤を、また水酸化ナトリウム水溶液貯留タンク６からポンプ６Ｐを介して水酸化ナトリウム水溶液をそれぞれ供給してその濃度の調整を行ったり、飛散などにより栄養剤水の水量が不足すると、給水配管１０より給水しつつ、栄養剤、水酸化ナトリウム水溶液を供給するようにする。
【００２４】
このように、処理ガスが円筒型ドラム２内の脱臭処理担体を通過する際、円筒型ドラム２の左半分では、その外周部から内周部へ、また右半分ではその反対の内周部から外周部へと、通過方向を変えるようになるため、処理ガスのケーシング内に留まる時間が長くなり、脱臭処理担体、詳しくは脱臭処理微生物との接触時間が長くなるので脱臭作用が効率的に行われる。
【００２５】
なお、図示の実施ではケーシング内に配設する円筒型ドラム２を上下２段としたが、１段でも同じ作用効果を有し、その設置数及び配置形態は限定されることはない。
【００２６】
以上、本発明のドラム式生物脱臭装置について、実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【００２７】
本発明のドラム式生物脱臭装置は、脱臭処理機能を有する担体を充填し、かつ、回転する円筒型ドラム内に処理ガスを長時間に亘って通過させるという特性を有していることから、各種処理ガスの生物脱臭処理を効率的に行う生物脱臭装置の用途に好適に用いることができるほか、例えば、ＶＯＣガス処理装置の用途にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】本発明のドラム式生物脱臭装置の一実施例を示す説明図である。
【図２】同ドラム式生物脱臭装置を示し、（ａ）は側面縦断面図、（ｂ）は正面縦断面図である。
【図３】従来の生物脱臭装置の縦断正面図である。
【符号の説明】
【００２９】
１ ケーシング
１ａ 処理ガス注入口
１ｂ 排出口
１Ｓ 貯留槽
２ 円筒型ドラム
２１ 内側筒
２２ 外側筒
２３ 仕切板
２４ 仕切壁
２Ｒ 仕分室
３ 駆動装置
３１ 動力伝達機構
４ 脱臭処理担体
５ 栄養剤貯留タンク
６ 水酸化ナトリウム水溶液貯留タンク
７ ノズル水ポンプ
８ 配管
９ 散水ノズル
１０ 給水配管
１１ オーバフロー排水管
５Ｐ ポンプ
６Ｐ ポンプ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ドラム式生物脱臭装置に関し、特に、脱臭処理機能を有する担体を充填し、かつ、回転する円筒型ドラム内に処理ガスを通過させて脱臭処理を効率的に行うようにしたドラム式生物脱臭装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、生産工場や下水処理場等より生成排出される悪臭を伴うガス体は、脱臭処理を行った後、大気中へ放出するようにしている。この悪臭を伴うガス体は、例えば、メタンガス、硫化水素ガス、ＶＯＣ（揮発性有機化合物）ガス等を含有する場合が多いが、これらの悪臭を伴うガス体（以下、「処理ガス」という。）の脱臭処理は、例えば、図３に示すように、脱臭処理槽Ｔ内に所要量の脱臭処理機能を有する脱臭処理微生物の担体、例えば、セラミックスやプラスチック製の担体（以下、「脱臭処理担体」という。）を充填し、脱臭処理担体の圧密防止と処理ガス通過性能維持のために櫛状の攪拌棒Ｌをこの脱臭処理担体内に挿入し、かつ、該櫛状攪拌棒を回転させることで攪拌するようにし、この脱臭処理槽内に処理ガスを注入し、脱臭処理担体内の脱臭処理微生物を繁殖させて所要の脱臭処理を行うようにしている。
【０００３】
ところで、従来の櫛状攪拌棒を回転させる生物脱臭装置においては、脱臭処理担体の攪拌性能が悪く槽内全体を均一に、特に脱臭処理槽内底部及び表面部の脱臭処理担体の攪拌が十分に行うことができず、脱臭処理槽内底部で圧密が発生し、この脱臭処理担体の圧密による処理ガス通過損失が増大するとともに、この圧密により脱臭処理微生物の繁殖を阻害して脱臭処理能力が低下するという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
本発明は、従来の生物脱臭装置の有する問題点に鑑み、脱臭処理担体の均一攪拌を可能とし、脱臭処理微生物の繁殖を促進し、かつ、処理ガスの脱臭処理を効率的に、連続的に行うことができるようにしたドラム式生物脱臭装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記目的を達成するため、本発明のドラム式生物脱臭装置は、処理ガスが内外方向に通過可能とし、かつ、内部に脱臭処理担体を充填した円筒型ドラムと、該円筒型ドラムを回転可能に収納するようにしたケーシングと、該ケーシング内に配設し、前記円筒型ドラム内の脱臭処理担体に栄養剤及び水酸化ナトリウム水溶液を吹きかけ、脱臭処理担体内の脱臭処理微生物の繁殖を促進するようにした散水ノズルとより構成したことを特徴とする。
【０００６】
この場合において、円筒型ドラムを円筒籠形とし、円筒状の周囲に脱臭処理担体を充填することができる。
【０００７】
また、ケーシング内に配設する円筒型ドラムを、上下２段以上配設することができる。
【０００８】
また、ケーシングに、その一端側から処理ガスを注入する処理ガス注入口を、他端部から脱臭処理後の処理ガスを排出する排出口を形成することができる。
【０００９】
また、ケーシング内に、円筒型ドラム長手方向の中央部位置で処理ガスの通気方向を変えるようにした仕切壁を配設することができる。
【発明の効果】
【００１０】
本発明のドラム式生物脱臭装置によれば、処理ガスが内外方向に通過可能とし、かつ、内部に脱臭処理担体を充填した円筒型ドラムと、該円筒型ドラムを回転可能に収納するようにしたケーシングと、該ケーシング内に配設し、前記円筒型ドラム内の脱臭処理担体に栄養剤及び水酸化ナトリウム水溶液を吹きかけ、脱臭処理担体内の脱臭処理微生物の繁殖を促進するようにした散水ノズルとより構成することにより、円筒型ドラムを回転させるだけで脱臭処理担体の攪拌が均一に確実に行われるので、その圧密を未然に防止でき、かつ、栄養剤水の散水にて脱臭処理微生物の繁殖を促進して処理ガスの脱臭処理を、簡単な装置で連続的、効率的に行うことができる。
【００１１】
また、円筒型ドラムを円筒籠形とし、円筒状の周囲に脱臭処理担体を充填することにより、円筒型ドラムを回転させるだけで脱臭処理担体の全体に亘る攪拌が均一に確実に行え、連続的に処理が可能となる。
【００１２】
また、ケーシング内に配設する円筒型ドラムを、上下２段以上配設することにより、狭いスペースで多量の処理ガスを効率的に処理することができる。
【００１３】
また、ケーシングに、その一端側から処理ガスを注入する処理ガス注入口を、他端部から脱臭処理後の処理ガスを排出する排出口を形成することにより、処理ガスの流通通路が設定できるので、脱臭処理担体との接触を確実にして処理ガスの脱臭を効率的に行うことができる。
【００１４】
また、ケーシング内に、円筒型ドラム長手方向の中央部位置で処理ガスの通気方向を変えるようにした仕切壁を配設することにより、処理ガスの円筒型ドラム内通過時間を長く設定することができるので、処理ガスの脱臭を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
以下、本発明のドラム式生物脱臭装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例１】
【００１６】
図１〜図２に、本発明のドラム式生物脱臭装置の一実施例を示す。
図において１は、所要の形状をしたケーシングで、該ケーシング１内には１又は２以上（図示の実施例では上下２個）の円筒型ドラム２、２を回転可能に支持するようにして収納するとともに、一側面から処理ガスを注入するようにした処理ガス注入口１ａを形成し、また特に限定されるものではないが、例えば、ケーシング頂面より脱臭処理後の処理ガスを排出するようにした排出口１ｂを形成する。これにより、ケーシング内に注入される処理ガスは所定の流通経路に従って流通するようになる。
また、ケーシング内に回転可能に支持した円筒型ドラム２は、図２（ａ）に示すように、駆動装置３、動力伝達機構３１を介して所要の回転数で回転駆動されるが、この回転方向は一定方向のほか、反対方向に回転可能とすることもできる。
【００１７】
円筒型ドラム２は、図２に示すように、パンチングメタルなど通気可能な材質を用いて円筒籠形に形成し、この円筒型ドラム２の円筒状の周囲に脱臭処理担体を充填するようにする。これは、円筒籠形の円筒型ドラム２を内側筒２１と外側筒２２とを所要の間隔をあけて同心２重円筒籠形とし、その内部を空洞とし、さらにこの周回方向を複数の仕切板２３、２３にて仕分けるようにして複数の仕分室２Ｒを形成し、この各仕分室２Ｒ内にそれぞれ所要量の脱臭処理担体４を充填し、かつ、該円筒型ドラム２の回転動作に伴って各仕分室内で充填脱臭処理担体が攪拌され、圧密されないようにする。
【００１８】
なお、この仕切板２３も、望ましくは内側筒２１、外側筒２２と同じように通気性の良いパンチングメタルなどを用い、内側筒２１、外側筒２２に係止することができるとともに、各仕分室２Ｒ内に充填する脱臭処理担体４の充填量は、円筒型ドラム２の回転により十分に攪拌されるようにして定めるものとする。
また、処理ガス体がこの円筒型ドラム２の内周面側から外周面側へ、反対に外周面側から内周面側へと通気方向を変換できるよう、円筒型ドラム２のほぼ中央部位置で、ケーシング１内を２分割されるようにして仕切壁２４を配設する。この仕切壁２４は通気性を有しないものとする。
【００１９】
また、ケーシング１の内底部には栄養剤液を貯留するための貯留槽１Ｓを配設し、該貯留槽内に外部に配設した栄養剤貯留タンク５からポンプ５Ｐを介して栄養剤を、また、水酸化ナトリウム水溶液を貯留した水酸化ナトリウム水溶液貯留タンク６からポンプ６Ｐを介して水酸化ナトリウム水溶液を、それぞれ供給し、貯留槽内で攪拌されてノズル水ポンプ７及び配管８を経て、ケーシング１内で、かつ、各段の円筒型ドラム２上方に配設された散水ノズル９より散水又は噴射し、円筒型ドラム内の脱臭処理担体に吹きかけて、脱臭処理担体内の脱臭処理微生物の繁殖を促進するようにする。
なお、ケーシング１の内底部の貯留槽１Ｓ内には、ボールタップを介して散水用の水を給水配管１０を介して供給するとともに、オーバフロー排水管１１を備えて余剰水をオーバフローするようにする。
【００２０】
この散水ノズル９は、水平に配設する円筒型ドラム２の外周頂面より上方位置に水平に配管された散水管に複数のノズルを配設して円筒型ドラム２に向かってシャワーのようにして散水できるように構成する。
なお、ケーシング１内に、円筒型ドラム２を上下２段に配設する場合は、下段側の円筒型ドラム２の上方位置に円弧形のカバー１２を配設する。このカバー１２は、円筒型ドラム２と同様にパンチングメタルなどを用いて形成し、これにより下段側の円筒型ドラム２を通過した処理ガスが上段側へショートパスされないようにして各段毎に効率的に処理できるようにする。
【００２１】
次に、本発明のドラム式生物脱臭装置の作用について説明する。
脱臭処理微生物を付着或いは内蔵した脱臭処理担体の所要量を予め充填した円筒型ドラム２を、駆動装置３、動力伝達機構３１を介してケーシング１内で回転駆動するとともに、処理ガス注入口１ａより処理ガスをケーシング内に供給すると、該注入ガスはケーシング１内で仕切壁２４にて仕切られている円筒型ドラム２の左半分では、円筒型ドラム２の外側から内側の空洞部へ通気するようになる。次いでケーシング１内の仕切壁２４にて仕切られている右半分の位置では円筒型ドラム２の内側から外側へ通気するようになる。
このとき、円筒型ドラム２の各仕分室２Ｒ内の脱臭処理担体間を通過するようになり、脱臭処理微生物と接触して所要の脱臭が行われる。
【００２２】
また、ケーシング１内では、回転している円筒型ドラム２の上方の散水ノズル９より栄養剤を溶解した水を散水しているので、脱臭処理担体４は円筒型ドラム２の回転作用にて適当に攪拌されるため、脱臭処理担体の圧密は防止されるとともに、該栄養剤水の散水にて脱臭処理微生物の繁殖が促進され、これにより効果的に処理ガスの脱臭が行われる。
また、攪拌作用にて脱臭処理微生物が繁殖して脱臭処理が連続的に行われるものとなり、脱臭処理されたガスは排出口１ｂより排出される。
【００２３】
なお、散水ノズル９より散水された栄養剤水は、円筒型ドラム２の脱臭処理担体内を通過して下部の貯留槽１Ｓ内に滴下して貯留される。この栄養剤水をポンプにて吸い上げ、散水ノズル９より散水し、このようにして循環使用される。
なお、栄養剤水の濃度が薄くなると、栄養剤貯留タンク５からポンプ５Ｐを介して栄養剤を、また水酸化ナトリウム水溶液貯留タンク６からポンプ６Ｐを介して水酸化ナトリウム水溶液をそれぞれ供給してその濃度の調整を行ったり、飛散などにより栄養剤水の水量が不足すると、給水配管１０より給水しつつ、栄養剤、水酸化ナトリウム水溶液を供給するようにする。
【００２４】
このように、処理ガスが円筒型ドラム２内の脱臭処理担体を通過する際、円筒型ドラム２の左半分では、その外周部から内周部へ、また右半分ではその反対の内周部から外周部へと、通過方向を変えるようになるため、処理ガスのケーシング内に留まる時間が長くなり、脱臭処理担体、詳しくは脱臭処理微生物との接触時間が長くなるので脱臭作用が効率的に行われる。
【００２５】
なお、図示の実施ではケーシング内に配設する円筒型ドラム２を上下２段としたが、１段でも同じ作用効果を有し、その設置数及び配置形態は限定されることはない。
【００２６】
以上、本発明のドラム式生物脱臭装置について、実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【００２７】
本発明のドラム式生物脱臭装置は、脱臭処理機能を有する担体を充填し、かつ、回転する円筒型ドラム内に処理ガスを長時間に亘って通過させるという特性を有していることから、各種処理ガスの生物脱臭処理を効率的に行う生物脱臭装置の用途に好適に用いることができるほか、例えば、ＶＯＣガス処理装置の用途にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】本発明のドラム式生物脱臭装置の一実施例を示す説明図である。
【図２】同ドラム式生物脱臭装置を示し、（ａ）は側面縦断面図、（ｂ）は正面縦断面図である。
【図３】従来の生物脱臭装置の縦断正面図である。
【符号の説明】
【００２９】
１ ケーシング
１ａ 処理ガス注入口
１ｂ 排出口
１Ｓ 貯留槽
２ 円筒型ドラム
２１ 内側筒
２２ 外側筒
２３ 仕切板
２４ 仕切壁
２Ｒ 仕分室
３ 駆動装置
３１ 動力伝達機構
４ 脱臭処理担体
５ 栄養剤貯留タンク
６ 水酸化ナトリウム水溶液貯留タンク
７ ノズル水ポンプ
８ 配管
９ 散水ノズル
１０ 給水配管
１１ オーバフロー排水管
５Ｐ ポンプ
６Ｐ ポンプ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
処理ガスが内外方向に通過可能とし、かつ内部に脱臭処理担体を充填した円筒型ドラムと、該円筒型ドラムを回転可能に収納するようにしたケーシングと、該ケーシング内に配設し、前記円筒型ドラム内の脱臭処理担体に栄養剤及び水酸化ナトリウム水溶液を吹きかけ、脱臭処理担体内の脱臭処理微生物の繁殖を促進するようにした散水ノズルとより構成したことを特徴とするドラム式生物脱臭装置。
【請求項２】
円筒型ドラムを円筒籠形とし、円筒状の周囲に脱臭処理担体を充填したことを特徴とする請求項１記載のドラム式生物脱臭装置。
【請求項３】
ケーシング内に配設する円筒型ドラムを、上下２段以上配設したことを特徴とする請求項１又は２記載のドラム式生物脱臭装置。
【請求項４】
ケーシングに、その一端側から処理ガスを注入する処理ガス注入口を、他端部から脱臭処理後の処理ガスを排出する排出口を形成したことを特徴とする請求項１、２又は３記載のドラム式生物脱臭装置。
【請求項５】
ケーシング内に、円筒型ドラム長手方向の中央部位置で処理ガスの通気方向を変えるようにした仕切壁を配設したことを特徴とする請求項１、２、３又は４記載のドラム式生物脱臭装置。
【請求項１】
処理ガスが内外方向に通過可能とし、かつ内部に脱臭処理担体を充填した円筒型ドラムと、該円筒型ドラムを回転可能に収納するようにしたケーシングと、該ケーシング内に配設し、前記円筒型ドラム内の脱臭処理担体に栄養剤及び水酸化ナトリウム水溶液を吹きかけ、脱臭処理担体内の脱臭処理微生物の繁殖を促進するようにした散水ノズルとより構成したことを特徴とするドラム式生物脱臭装置。
【請求項２】
円筒型ドラムを円筒籠形とし、円筒状の周囲に脱臭処理担体を充填したことを特徴とする請求項１記載のドラム式生物脱臭装置。
【請求項３】
ケーシング内に配設する円筒型ドラムを、上下２段以上配設したことを特徴とする請求項１又は２記載のドラム式生物脱臭装置。
【請求項４】
ケーシングに、その一端側から処理ガスを注入する処理ガス注入口を、他端部から脱臭処理後の処理ガスを排出する排出口を形成したことを特徴とする請求項１、２又は３記載のドラム式生物脱臭装置。
【請求項５】
ケーシング内に、円筒型ドラム長手方向の中央部位置で処理ガスの通気方向を変えるようにした仕切壁を配設したことを特徴とする請求項１、２、３又は４記載のドラム式生物脱臭装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２００８−２９００３４（Ｐ２００８−２９００３４Ａ）
【公開日】平成２０年１２月４日（２００８．１２．４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１４００６８（Ｐ２００７−１４００６８）
【出願日】平成１９年５月２８日（２００７．５．２８）
【出願人】（０００００５４５２）株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１２月４日（２００８．１２．４）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年５月２８日（２００７．５．２８）
【出願人】（０００００５４５２）株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Ｆターム（参考）】
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