説明

ドラム架台

【課題】電線の測距作業などを行う際の労力の軽減及び危険性の減少を図ること。
【解決手段】ドラム架台100は架台本体1と軸棒2を備える。架台本体1は、転動可能な起立状態のドラム200を跨ぐように配置可能な門型フレーム11と、門型フレーム11の下端部に設けられたキャスター12と、門型フレーム11の上部に設置され、手動ハンドル13aを備えるジャッキ13と、昇降可能に門型フレーム11に配設され、ジャッキ13により昇降駆動される門型吊上げ部材14とを有する。軸棒2は、ドラム200の軸孔201に挿通可能で、軸棒2の両端部は門型吊上げ部材14の両側部に設けられた支持孔14cに挿通可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線ドラムなどドラムを吊上げるドラム架台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線が巻かれたドラムから電線を引出し、測長しながら切断する作業においては、ターンテーブルの上にドラムを横に寝かし、ターンテーブルを回転させることによって電線がドラムから引き出されるようにしていた。
【0003】
このため、重量物であるドラムをターンテーブルの上まで運搬し横に寝かす作業や、作業終了後、ドラムをターンテーブルの上で起立させ元の位置まで運搬する作業に、多大な労力を費やし、また、危険が伴っていた。
【0004】
なお、本願に先立ち先行技術を調査したところ、特許文献1を見出した。
【特許文献1】特開2000−103548公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決し、上記のような作業を行う際の労力の軽減及び危険性の減少を図ることができるドラム架台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のドラム架台は、軸孔を有するドラムを吊上げるドラム架台において、架台本体であって、転動可能な起立状態のドラムを跨ぐように配置可能な門型フレームと、該門型フレームの下端部に設けられたキャスターと、前記門型フレームの上部に設置され、手動ハンドルを備えるジャッキと、昇降可能に前記門型フレームに配設され、前記ジャッキにより昇降駆動される門型吊上げ部材とを有する架台本体を備えるとともに、前記ドラムの前記軸孔に挿通可能な軸棒であって、該軸棒の両端部が前記門型吊上げ部材の両側部に設けられた支持孔に挿通可能な軸棒を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明のドラム架台において、ドラムを吊上げる作業の一例を説明すると、まず、起立状態のドラムを門型フレームが跨ぐように架台本体を移動させ、ハンドルを操作して門型吊上げ部材を昇降させ、門型吊上げ部材の支持孔がドラムの軸孔の延長線上に位置するようになったとき、ハンドル操作を終了する。次に、門型吊上げ部材の一方の側部の支持孔に軸棒の先端を挿通し、さらに、軸棒の先端をドラムの軸孔及び門型吊上げ部材の他方の側部の支持孔に順番に挿通する。次に、ハンドルを操作し門型吊上げ部材を上昇させる。この門型吊上げ部材の上昇に従いドラムが床面から上昇し吊上げられるようになる。その後、所定の作業場所までドラム架台を移動させる。所定の作業場所において、吊上げられたドラムは軸棒を回転軸として回転自在であるため、ドラムに巻かれた電線など巻線を引っ張ることによってドラムから電線など巻線を容易に引き出すことができる。
【0008】
本発明によると、重量物であるドラムを横に寝かせる作業、起立させる作業などが不要となるため、労力の軽減及び危険性の減少を図ることができる。また、構成が簡素であり、コストの低減を図ることができる。
【0009】
ここで、前記支持孔は、上下方向に複数個設けられている。支持孔を上下方向に複数個設けることにより、ドラムの軸孔の延長線上に支持孔を位置合せする作業が容易になる。
【0010】
また、前記門型フレームの両側部に、それぞれ前記門型吊上げ部材の昇降動作を案内するガイド部材が設けられている。このガイド部材により、門型吊上げ部材の昇降動作の安定化を図ることができる。
【0011】
また、前記各々のガイド部材は、一対の鉛直ロッドであり、該一対の鉛直ロッドにより鉛直方向のガイド溝が形成され、前記門型吊上げ部材の水平方向への移動が規制される。この門型吊上げ部材の水平方向への移動が規制されることにより、門型吊上げ部材を安定して昇降動作させることができる。
【0012】
また、前記軸棒の一方の端面に形成されたねじ孔にねじ込まれる抜止めスクリューを備え、前記ねじ孔に前記抜止めスクリューをねじ込んだとき、前記軸棒の前記一方の端面と前記抜止めスクリューの頭部側との間に凹部が形成され、該凹部に前記鉛直ロッドのガイド溝側の一部が侵入した状態となり、前記軸棒の軸方向への移動が規制される。この軸棒の軸方向への移動が規制されることにより、門型吊上げ部材を安定して昇降動作させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るドラム架台の斜視図、図2は、同ドラム架台のジャッキ周辺の垂直断面図、図3は、同ドラム架台の軸棒付近の水平断面図、図4は、同ドラム架台の使用方法を説明するための斜視図、図5は、同ドラム架台の使用時の正面図、図6は、同ドラム架台の使用時の側面図をそれぞれ示す。
【0014】
図1〜図6において、ドラム架台100は、架台本体1と軸棒2と抜止めスクリュー3とから構成される。
【0015】
架台本体1は、門型フレーム11を備える。
【0016】
門型フレーム11は、平面視コ字状の基フレーム11aを備える。基フレーム11aの下面には、キャスター12が4個配設されている。基フレーム11aの上面には、側面視三角形状の上フレーム11bが延設されている。上フレーム11bの上部には、ジャッキ固定台11cが設けられており、ジャッキ固定台11cの上にジャッキ13が設置されている。ジャッキ13は、手動ハンドル13aを備え、手動ハンドル13aは、上フレーム11bの貫通孔11d(図2)を経て上フレーム11bの外側に配されている。ジャッキ13の昇降ロッド13bの上に門型吊上げ部材14が載置されている。
【0017】
門型吊上げ部材14は、水平バー部14aと、水平バー部14aの両端から下方へ垂直に延設された一対の垂直バー部(側部)14b、14bとで構成される。水平バー部14aの中央部がジャッキ13の昇降ロッド13bによって支持されている。一対の垂直バー部14b、14bは、上フレーム11bの上端開口部11eに挿通されている。各々の垂直バー部14bには、上下方向に複数の支持孔14cが形成されている。各支持孔14cは、左右方向に貫通している。一方の垂直バー部14bの支持孔14cと、他方の垂直バー部14bの支持孔14cは、同一の高さ位置に形成されている。
【0018】
上フレーム11bの一対の側部には、それぞれガイド部材15が設けられている。各ガイド部材15は、門型吊上げ部材14の一対の垂直バー部14b、14bの外側に、垂直バー部14bと対向して配されている。各ガイド部材15は、一対の鉛直ロッド15a、15aにより構成され、一対の鉛直ロッド15a、15a間に鉛直なガイド溝15bが形成されている。
【0019】
軸棒2は、ドラム200の軸孔201よりも小さくかつガイド溝15bよりも大きな外径を有する。軸棒2の少なくとも一方の端面21にはねじ孔22が形成されている。
【0020】
抜止めスクリュー3は、軸棒2のねじ孔22に装着及び離脱可能なねじであり、ねじ部31は一対の鉛直ロッド15a、15a間のガイド溝15bよりも小さな外径を有すると共に頭部32はガイド溝15bよりも大きな外径を有している。
【0021】
次に、上記のように構成されるドラム架台100の使用方法の一例を説明する。
【0022】
架台本体1を転動可能な起立状態のドラム200まで接近移動させ、ドラム200を跨ぐように門型フレーム11を配置する。手動ハンドル13aを操作し、門型吊上げ部材14のいずれかの支持孔14cがドラム200の軸孔201の延長線上に位置するように門型吊上げ部材14の高さ位置を調整する。架台本体1の一方の側部側から、軸棒2の先端部を一方のガイド溝15b、門型吊上げ部材14の一方の垂直バー部14bの支持孔14c、ドラム200の軸孔201、門型吊上げ部材14の他方の垂直バー部14bの支持孔14c、他方のガイド溝15bに順に挿通し、軸棒2のねじ孔22に抜止めスクリュー3をねじ込む。次に、手動ハンドル13aを操作し、ジャッキ13を介して門型吊上げ部材14を上昇させ、ドラム200を床面から吊上げる。このドラム200の吊上げ時、軸棒2は、一対のガイド溝15bに案内されながら上昇する。その後、架台本体1を所定の作業場所まで移動させる。作業場所において、ドラム200から巻線例えば電線202を引き出すとき、ドラム200が回転し、軸棒2に軸方向への力が作用する場合があるが、図3に示すように、軸棒2のねじ孔22側の端面21と抜止めスクリュー3の頭部32側との間に形成される凹部4に鉛直ロッド15aのガイド溝15b側の一部が侵入した状態にあるため、軸棒2が支持孔14cから抜け落ちることを防止できる。
【0023】
以上説明したように、本実施形態のドラム架台100は、軸孔201を有するドラム200を吊上げるドラム架台100において、架台本体1であって、転動可能な起立状態のドラム200を跨ぐように配置可能な門型フレーム11と、門型フレーム11の下端部に設けられたキャスター12と、門型フレーム11の上部に設置され、手動ハンドル13aを備えるジャッキ13と、昇降可能に門型フレーム11に配設され、ジャッキ13により昇降駆動される門型吊上げ部材14とを有する架台本体1を備えるとともに、ドラム200の軸孔201に挿通可能な軸棒2であって、軸棒2の両端部が門型吊上げ部材14の両側部に設けられた支持孔14cに挿通可能な軸棒2を備える。
【0024】
本実施形態によると、重量物であるドラム200を横に寝かせる作業、起立させる作業などが不要となるため、労力の軽減及び危険性の減少を図ることができる。また、構成が簡素であり、コストの低減を図ることができる。
【0025】
ここで、支持孔14cは、上下方向に複数個設けられているため、ドラム200の軸孔201の延長線上に支持孔14cを位置合せする作業が容易になる。
【0026】
また、門型フレーム11の両側部に、それぞれ門型吊上げ部材14の昇降動作を案内するガイド部材15が設けられているため、門型吊上げ部材14の昇降動作の安定化を図ることができる。
【0027】
また、各々のガイド部材15は、一対の鉛直ロッド15a、15aであり、一対の鉛直ロッド15a、15aにより鉛直方向のガイド溝15bが形成され、門型吊上げ部材14の水平方向への移動が規制される。この門型吊上げ部材14の水平方向への移動が規制されることにより、門型吊上げ部材14を安定して昇降動作させることができる。
【0028】
また、軸棒2の一方の端面21に形成されたねじ孔22にねじ込まれる抜止めスクリュー3を備え、ねじ孔22に抜止めスクリュー3をねじ込んだとき、軸棒2の一方の端面21と抜止めスクリュー3の頭部32側との間に凹部4が形成され、凹部4に鉛直ロッド15a、15aのガイド溝15b側の一部が侵入した状態となり、軸棒2の軸方向への移動が規制される。この軸棒2の軸方向への移動が規制されることにより、門型吊上げ部材14を安定して昇降動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係るドラム架台の斜視図である。
【図2】同ドラム架台のジャッキ周辺の垂直断面図である。
【図3】同ドラム架台の軸棒付近の水平断面図である。
【図4】同ドラム架台の使用方法を説明するための斜視図である。
【図5】同ドラム架台の使用時の正面図である。
【図6】同ドラム架台の使用時の側面図である。
【符号の説明】
【0030】
100 ドラム架台
1 架台本体
2 軸棒
3 抜止めスクリュー
4 凹部
11 門型フレーム
12 キャスター
13 ジャッキ
13a 手動ハンドル
14 門型吊上げ部材
14c 支持孔
15 ガイド部材
15a 鉛直ロッド
15b ガイド溝
21 端面
22 ねじ孔
32 頭部
200 ドラム
201 軸孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸孔を有するドラムを吊り上げるドラム架台において、
架台本体であって、転動可能な起立状態のドラムを跨ぐように配置可能な門型フレームと、該門型フレームの下端部に設けられたキャスターと、前記門型フレームの上部に設置され、手動ハンドルを備えるジャッキと、昇降可能に前記門型フレームに配設され、前記ジャッキにより昇降駆動される門型吊上げ部材とを有する架台本体を備えるとともに、
前記ドラムの前記軸孔に挿通可能な軸棒であって、該軸棒の両端部が前記門型吊上げ部材の両側部に設けられた支持孔に挿通可能な軸棒を備える
ことを特徴とするドラム架台。
【請求項2】
前記支持孔は、上下方向に複数個設けられていることを特徴とする請求項1に記載のドラム架台。
【請求項3】
前記門型フレームの両側部に、それぞれ前記門型吊上げ部材の昇降動作を案内するガイド部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のドラム架台。
【請求項4】
前記各々のガイド部材は、一対の鉛直ロッドであり、該一対の鉛直ロッドにより鉛直方向のガイド溝が形成され、前記門型吊上げ部材の水平方向への移動が規制されることを特徴とする請求項3に記載のドラム架台。
【請求項5】
前記軸棒の一方の端面に形成されたねじ孔にねじ込まれる抜止めスクリューを備え、前記ねじ孔に前記抜止めスクリューをねじ込んだとき、前記軸棒の前記一方の端面と前記抜止めスクリューの頭部側との間に凹部が形成され、該凹部に前記鉛直ロッドのガイド溝側の一部が侵入した状態となり、前記軸棒の軸方向への移動が規制されることを特徴とする請求項4に記載のドラム架台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−120580(P2008−120580A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−309327(P2006−309327)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(000176958)三明電機株式会社 (37)
【Fターム(参考)】