説明

ドリップバッグ

【課題】袋本体の対向する2面の外表面に掛止部材を有し、掛止部材の掛止部を引き起こしてカップに掛止させるドリップバッグについて、ドリップバッグの掛止状態を安定化させると共に、製造コストを低下させる。
【解決手段】ドリップバッグ1Aが、袋本体2と、袋本体2の対向する2面に設けられた薄板状材料からなる掛止部材10Aとを有する。掛止部材10Aは、中央貼着部11、袋本体2の開口部に沿って帯状に袋本体2に貼着されている帯状貼着部12、袋本体2から引き起こし可能に形成されたアーム部13、及び袋本体2に貼着されていない掛止部14を有し、アーム部13の下端が中央貼着部11と連続し、アーム部13の上端部が掛止部14と連続する。掛止部14は、左右一対の引っ掛け部15を有し、各引っ掛け部15には、引っ掛け部下縁のアーム部側端部から引っ掛け部上縁の袋本体側縁側端部に伸びた斜め折れ線Laが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ等の容器の上部に掛止することにより、容易にドリップ式でコーヒー、紅茶、緑茶、漢方薬等の抽出液を得られるようにするドリップバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、手軽に本格的なコーヒーを楽しむことを可能とするコーヒーの入れ方として、ペーパードリップ方式が広く普及している。このペーパードリップ方式では、通常、数杯分のコーヒーが一度に抽出される。
【0003】
一方、近年、一人暮らしをする者が多くなり、また、核家族化や出生率の低下等により一家族の構成人数も少なくなっている。そのため、従来の数杯分のコーヒーを抽出することが基本とされているペーパードリップ方式に代えて、一杯分のコーヒーの抽出を手軽に行えるようにすることを目的とした、使い捨てのワンドリップコーヒーが種々の製品形態で市場に出回っている。
【0004】
中でも、簡略な構成を有するものとしては、図6(a)に示すように、通水性濾過性シートからなる袋本体2と、袋本体2の対向する2面の外表面に貼着された紙製等の掛止部材10とコ字形の補強片30からなるドリップバッグ1Xにコーヒー粉を充填したコーヒードリップバッグ100Xであって、掛止部材10Xを特定形状にしたものが提案されている(特許文献1)。
【0005】
この掛止部材10Xは、袋本体2に貼着された中央貼着部11と袋本体2から引き起こし可能に形成されたアーム部13と掛止部14を有し、掛止部14の上部両側には略水平に伸びた一対の引っ掛け部15が形成され、一対の引っ掛け部15の掛止部材中央部側端部には袋本体2の上下方向に伸びた一対の折れ線Lxが形成され、補強片30にも、袋本体2の開口部3に沿った帯状部分に折れ線Lyが形成されている。
【0006】
このドリップバッグ100Xによれば、使用時に、袋本体2の上端部のミシン目4で開口部3を開き、図6(b)のように掛止部材10の掛止部14をひきおこし、図6(c)のようにカップ200に掛止することにより、容易に開口部3を大きく広げた状態でカップ200に装着することができる。また、図6(d)のように、引っ掛け部15に形成された折れ線Lxを折り曲げた状態で掛止部14をカップ200に掛止させることにより、あるいは、図6(c)のように掛止部14をカップ200に掛止させた後に折れ線Lxを折り曲げることにより、カップ200の開口部壁が厚い場合でも、コーヒードリップバッグ100Xをカップ200に安定してセットすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許4079041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、折れ線Lxを手で折り曲げない状態で掛止部をカップに掛けた場合には、カップ200の開口部壁が厚い場合に、図6(c)のようにコーヒードリップバッグ100Xをカップ200に掛止させた後、図6(d)のように折れ線Lxを手で折り曲げて引っ掛け部15をカップ200の開口部壁に載せるまでの間に、図7に矢印で示すように、掛止部14が開口部壁からずり上がってカップ200から外れることがあった。
【0009】
また、近年の価格競争において、構成材料を節減したり、生産時のトラブルを低減させたりすることが求められ、上述のドリップバッグについてもより一層の低コスト化を図ることが求められている。
【0010】
これに対し、本発明は、袋本体2の開口部3が大きく開き、かつ掛止部14の上部の折れ線Lxを手で折り曲げなくても、コーヒードリップバッグをカップ200に掛止するだけで、開口部壁の厚いカップに対してもコーヒードリップバッグを安定して掛止することができるドリップバッグを、より低コストに提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、(i)図6に示したドリップバッグ1Xのように、掛止部14に引っ掛け部15が形成されているドリップバッグにおいて、引っ掛け部下縁のアーム部側端部から引っ掛け部上縁の袋本体側縁側端部に伸びる斜め折れ線を設けると、その斜め折れ線を手で折り曲げなくても、一対の掛止部14の下部をつまんでそれらを反対方向に引っ張り、掛止部材10をカップに掛止させるだけで、その掛止状態が安定すること、
(ii)また、この斜め折れ線は、図6に示したドリップバッグ1Xのように、掛止部材10とコ字形の補強片30を有するものだけでなく、補強片30のうち、袋本体2の両側縁部に沿った部分30aを省略した直線状の補強片を有するものにも有効であり、材料の節減を図れること、
(iii)さらに、直線状の補強片と掛止部材10Xの中央貼着部11を連続させることにより、従来の掛止部材10Xと補強片30とを一体化させた新たな掛止部材に構成すると、従来の掛止部材10Xと同様に開口部3が広く開き、かつ掛止部材を構成する各部分について、他から切り離された部分がなくなるので、貼着時の位置ずれを解消でき、生産ラインでのトラブルを低減させられることを見出した。
【0012】
即ち、本発明は、通水性濾過性シートから形成され、上端部に開口部を有する袋本体と、
袋本体の対向する2面の外表面に設けられた薄板状材料からなる掛止部材とを有するドリップバッグであって、
掛止部材が、袋本体の中央部に貼着されている中央貼着部、袋本体の開口部に沿って帯状に袋本体に貼着されている帯状貼着部、袋本体から引き起こし可能に形成されたアーム部、及び袋本体に貼着されていない掛止部を有し、
アーム部の下端が中央貼着部と連続し、アーム部の上端部が掛止部と連続し、
掛止部は、アーム部との連続部分から袋本体側縁側に延びた左右一対の引っ掛け部を有し、
各引っ掛け部は、引っ掛け部下縁のアーム部側端部から引っ掛け部上縁の袋本体側縁側端部に伸びた斜め折れ線を有するドリップバッグを提供する。
【0013】
特に、中央貼着部を形成する薄板状材料が上方に延設されて帯状貼着部と連続し、中央貼着部の延設部分の両側にアーム部が形成されている態様を提供する。
【0014】
また、本発明は、上述のドリップバッグの袋本体に抽出材料が充填され、袋本体の上端部が閉じられている飲料ドリップバッグを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のドリップバッグやコーヒードリップバッグによれば、袋本体の外表面で対向する一対の掛止部の下部をつまんでそれらを反対方向に引っ張り、カップに掛止させるだけで、引っ掛け部に形成されている斜め折れ線が折れ曲がり、引っ掛け部がカップの開口部壁を横切る方向を向く。したがって、掛止部をカップに安定に掛止させるために、掛止部の上部の折れ線を手で折り曲げることが不要となり、掛止部をカップに掛止させた後、掛止部がカップの開口部壁からずり上がって外れることをなくすことができる。
【0016】
また、本発明のドリップバッグにおいて、帯状貼着部を袋本体の開口部に沿う直線状とし、袋本体の両側縁に沿う帯状貼着部を省略した態様によれば、掛止部材を形成する薄板状材料を節減し、生産コストを低下させることができる。
【0017】
さらに、本発明のドリップバッグにおいて、中央貼着部を形成する薄板状材料が上方に延設して帯状貼着部と連続し、その延設部分の両側にアーム部が形成された態様によれば、掛止部材を構成する各部分について、他から切り離された部分がなくなるので、貼着時の位置ずれを解消でき、生産ラインでのトラブルを低減させることができる。したがって、不良品の発生の低減によっても製造コストを低下させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は実施例のドリップバッグ1Aの平面図(a)及び使用状態の説明図(b)、(c)である。
【図2】図2は、図1のドリップバッグの製造に使用するドリップバッグ用シートの平面図である。
【図3A】図3Aは実施例のドリップバッグ1Bの平面図(a)及び使用状態の説明図(b)である。
【図3B】図3Bは、図3Aのドリップバッグ1Bの一対の掛止部材の打ち抜き方の説明図である。
【図4】図4は実施例のドリップバッグ1Cの平面図(a)及び使用状態の説明図(b)である。
【図5】図5は実施例のドリップバッグ1Dの平面図(a)及び使用状態の説明図(b)である。(c)である。
【図6】図6は従来のコーヒードリップバッグの平面図(a)、使用状態の説明図(b)、(c)、(d)である。
【図7】図7は、従来のコーヒードリップバッグにおける問題点の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のドリップバッグ及び該ドリップバッグにコーヒー等の抽出原料を充填した飲料ドリップバッグを、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0020】
図1(a)は、本発明の飲料ドリップバッグの一形態であるコーヒードリップバッグ100Aの一実施例の平面図であり、図1(b)、(c)は、それぞれその使用状態の説明図である。
【0021】
このコーヒードリップバッグ100Aに利用されているドリップバッグ1Aは、通水性濾過性シート材料からなり、上端部に開口部を有する袋本体2と、袋本体2の対向する2面2a、2bの外表面にそれぞれ設けられた掛止部材10Aからなっている。
【0022】
このようなドリップバッグ1Aは、例えば、図2に示すように、一対の掛止部材10A(その底部側を、間隔をあけて対向させたもの)を長尺帯状の通水性濾過性シート21に所定間隔で複数配置したドリップバッグ用シート20を用意し、そのシート20を長手方向の縁辺同士が重なり合うように二つ折りにし、袋本体2の幅の間隔で短手方向に溶着溶断を繰り返すことにより得ることができる。この場合の溶着溶断部が袋本体2の両側縁2p、2q(図1(a)において、横線のハッチングを付した部分)となる。また、この短手方向の溶着溶断に先立ち、長手方向の縁辺同士を溶着し、短手方向の溶着溶断を繰り返す間に、コーヒー粉を一袋分ずつ充填していくことによりコーヒードリップバッグ100Aを得ることができる。コーヒードリップバッグ100Aを製造する場合には、通水性濾過性シート21には、予め、開封用にミシン目4を施しておいてもよい。なお、ミシン目4に代えて、易開封線として、超音波や熱などで通水性濾過性シート21にライン状に形成した脆弱部を設けても良い。
【0023】
袋本体2を形成する通水性濾過性シート21としては、所定量のコーヒー粉を充填し、注湯した場合にコーヒーの浸出が可能であるものを種々使用することができる。一般に、浸出用シートとしては、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビニロン等の合成繊維、レーヨン等の半合成繊維、コウゾ、ミツマタ等の天然繊維の単独又は複合繊維からなる織布あるいは不織布、マニラ麻、木材パルプ、ポリプロピレン繊維等からなる混抄紙、ティーバッグ原紙等の紙類が知られており、本発明においてもこれらを使用することができるが、ドリップバッグの使用後の廃棄性の点から、通水性濾過性シート材料には生分解性繊維を含有させることが好ましい。生分解性繊維としては、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート等をあげることができる。また、ドリップ時にコーヒー粉に適度な蒸らし効果も付与できるようにするため、これらの繊維材料から通水性濾過性シートを製造するに際しては、繊維層の空隙率を調整することによりコーヒー粉に直接接することとなる層を「疎」とし、直接には接しない層を「密」とする疎密の複層構造とし、かつコーヒー粉に直接接することとなる層では疎水性繊維の含有率を高め、コーヒー粉に直接接しない層では疎水性繊維の含有率を下げることが好ましい(特許第3674486号)。
【0024】
一方、袋本体2の表裏の矩形の外表面2a、2bにそれぞれ設けられている掛止部材10Aは、中央貼着部11、帯状貼着部12、アーム部13及び掛止部14からなり、板紙、プラスチックシート等の薄板状材料の打ち抜きにより形成され、所定の部位で袋本体2に貼着されている。図1の掛止部材10Aにおいて、細かいドットで塗りつぶした部分が、袋本体2の外表面に熱融着又は接着により貼着された部分であり、粗いドットで塗りつぶした部分が貼着されていない部分である。
【0025】
掛止部材10Aを構成する中央貼着部11、帯状貼着部12、アーム部13及び掛止部14は、いずれも互いに切り離された部分とはなっておらず、連続している。そのため、掛止部材10Aを袋本体2に貼着するにあたり、各部の位置ずれを無くし、掛止部材10Aの貼着に伴う不良品の発生を低減させることができる。
【0026】
掛止部材10Aを形成する薄板状材料も、ドリップバッグ1Aの使用後の廃棄性の点から、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート等の生分解性材料から形成したものが好ましい。
【0027】
掛止部材10Aの構成部分のうち帯状貼着部12は、袋本体2の開口部3に沿って帯状
に形成された部分であり、袋本体2の上部に貼着されている。このように帯状貼着部12を設けることにより、図1(c)のようにコーヒードリップバッグ100Aをカップ200にかけた場合に、袋本体2の開口部3が開いた開口形状を大きく安定化させることができる。
【0028】
帯状貼着部12の幅(袋本体2の幅方向の帯状貼着部12の長さ)L1は、掛止部14の幅L2以下とすることが好ましく、特に袋本体2の開口幅L1’の45%〜55%が好ましい。これにより、コーヒードリップバッグ100Aをカップ200にかけた場合に、開口部3の開口形状を略正方形にし、開口部3への注湯をより一層容易にすることができ、かつ、掛止部材10Aの形成に必要な薄板状材料を必要最小限に抑えることができる。即ち、帯状貼着部12をさらに広幅に形成して必要により折線を形成したり、帯状貼着部12の両端部から下方に帯状部分を延設したりしても開口部3は広く開口するが、掛止部材10Aの形成に必要な薄板状材料が無用に増大し、製造コストが上昇する。
【0029】
中央貼着部11は、帯状貼着部12よりも袋本体2の底部側にあって、それを形成する薄板状材料が延設されて帯状貼着部12と連続している。中央貼着部11は、少なくともその底部側の一部が袋本体2に貼着されていればよく、帯状貼着部12の袋本体2との貼着領域と、中央貼着部11の袋本体2との貼着領域とは、必ずしも連続させる必要はないが、本実施例においては、中央貼着部11と帯状貼着部12の貼着領域を連続させることにより、逆T字状の貼着領域が形成されている。
【0030】
中央貼着部11の幅については、袋本体2の開口を確実にする点から、中央貼着部12の最大幅L3を袋本体2の開口幅L1’の1/3〜3/4程度とすることが好ましい。
【0031】
アーム部13は、中央貼着部11とそれを上方に延設した部分の左右両側に一対形成されており、それぞれ中央貼着部11の下端部と連続している。また、アーム部13は、その下端部のみが袋本体2に貼着されており、それよりも上方では袋本体に貼着されておらず、袋本体2から引き起こし可能となっている。
【0032】
掛止部14は、アーム部13の外側を囲むように、該アーム部13に隣接して形成され、アーム部13の上端部と連続している。掛止部14は袋本体2に貼着されておらず、コーヒードリップバッグ100Aをカップ200に掛ける際に、カップの側壁に直接引っ掛ける部分となるものであるため、この掛止部14がアーム部13の外側に形成されていることにより、カップ壁への掛け幅が十分に確保される。このため、コーヒードリップバッグ100Aをカップ200に掛けたときに袋本体2が左右に傾かず、注湯時に開口部3を上向きに維持しておくことが可能となる。
【0033】
掛止部14の上端部は、アーム部13との連続部分から袋本体側縁側に略水平に延びた左右一対の引っ掛け部15となっている。そして、各引っ掛け部15には、引っ掛け部下縁15aのアーム部側端部から引っ掛け部上縁15bの袋本体側縁側端部に延びた一対の斜め折れ線Laが合計2本形成されている。折れ線Laは、ミシン目、折れ筋等から形成される。
【0034】
コーヒードリップバッグ100Aの使用方法としては、まず、ミシン目4に沿って袋本体2の上端部を切除することにより袋本体2を開口し、図1(b)に矢印A方向に一対の掛止部14の下端を引っ張ってアーム部13と掛止部14を引き起こす。これらをさらに大きく引き起こすと、引っ掛け部15の斜め折れ線Laが自ずと折れ曲がる。そして、図1(c)に示すように、掛止部14をカップ200の開口部壁201にかけると、引っ掛け部15がカップ200の開口部壁201を横切るようにカップ200の開口部壁201に載り、掛止部14がカップ200に掛止される。したがって、開口部壁201が厚くても掛止部14が上方にずり上がることはない。
【0035】
また、このようにコーヒードリップバッグ100Aをカップ200に掛けた状態で、袋本体2の開口部3に沿って帯状貼着部12が貼着されていることにより、開口部3は帯状貼着部12の幅L1で開き、掛止部14がアーム部13を介して中央貼着部11を外側に矢印B方向に引っ張りつつ、カップ200を矢印Cのように押さえ付ける。このため、コーヒードリップバッグ100Aは、安定した開口状態でカップ200に装着される。
【0036】
こうしてコーヒードリップバッグ100Aをカップ200に掛止した後、袋本体2の開口部3から注湯する。ここで、コーヒードリップバッグ100Aの各部の切り込み形状はシンプルであることから、消費者は、コーヒードリップバッグ100Aの使用時に、格別に使用説明書を読まなくても、引き起こすべき部分を一目瞭然に理解することができる。したがって、このコーヒードリップバッグ100Aによれば、消費者の誤使用を防止することもできる。
【0037】
なお、以上の説明では、コーヒードリップバッグ100Aをミシン目4で開口した後、カップ200に掛止する例を示したが、本発明のドリップバッグの使用方法はこれに限られず、ドリップバッグ1Aをカップ200にセットした後、ドリップバッグ1A内にコーヒー粉を入れて注湯しても良い。
【0038】
本発明のドリップバッグは種々の態様をとることができる。例えば、図3A(a)のコーヒードリップバッグ100B(ドリップバッグ1B)は、袋本体2の表裏の掛止部材10Bの帯状貼着部12の上端部に、段状の突出部12aを、それらが袋本体2の上端部から交互に突出するように設けたものである。この場合、一対の掛止部材10Bの突出部12aは、互いに重ならないように突出している。このコーヒードリップバッグ100Bによれば、図3A(b)に示すように、開封時に交互に突出している突出部12aを互いに引き離すことにより、袋本体2の上縁のシール部が引き剥され、開口する。したがって、容易に袋本体2を開口することが可能となる。さらに、一対の掛止部材10Bの突出部12aは互いに重ならない形状となっているので、一枚の薄板状材料から一対の掛止部材10Bを打ち抜く際に、図3Bに示すように、突出部12a側を対向させた配置とすることにより、薄板状材料の抜きカスを最小限に抑えて無駄なく打ち抜くことができる。
【0039】
図4のコーヒードリップバッグ100C(ドリップバッグ1C)は、図1のコーヒードリップバッグ100Aの掛止部材10Aに対し、帯状貼着部12の幅L1と掛止部14の幅L2とをそろえ、また、アーム部13の外側(袋本体2の側縁)の縁辺に隣接して共に袋本体2に貼着されている外側貼着部16を設けたものである。図4のコーヒードリップバッグ100Cの掛止部材10Cのように、帯状貼着部12の幅L1と掛止部14の幅L2を揃え、掛止部材10Cの外形を略矩形にすることにより、掛止部材10Cの形成に伴う打ち抜き屑を最小限に減らすことができる。また、外側貼着部16を設けることで、アーム部13の基部の両側に掛止部材と通水性濾過性シートとの貼着領域が形成されるので、アーム部13の下端部に負荷が集中しても、その近傍で通水性濾過性シートが破れることを防止することができる。さらに、外側貼着部16を設けることで、ドリップバッグ1Cを開いた際に、バッグ1Cが角柱状に開く。そのため、図1(c)に示したように、袋本体2にくびれができ、袋本体2に一度に注湯できる量が低減することを防止できる。なお、外側貼着部16は、少なくともアーム部13の下端部外側において、該アーム部13と隣接して設ければよく、アーム部13の上端部にまで延設しなくてもよい。
【0040】
図5のコーヒードリップバッグ100D(ドリップバッグ1D)は、アーム部13の上部で左右一対の引っ掛け部15が連続し、中央貼着部11と帯状貼着部12とが連続しておらず、帯状貼着部12の両端部から袋本体2の側縁に沿って帯状貼着部が延びている点で図7の公知のドリップバッグと同様であるが、各引っ掛け部15に、従来の袋本体長手方向の折れ線Lxに代えて、引っ掛け部下縁のアーム部側端部から引っ掛け部上縁の袋本体側縁側端部に伸びた斜め折れ線Laが形成されている点で本発明に特徴的な構成となっている。
【0041】
このように掛止部材10Dの外形は、図7の公知のドリップバッグと同様であっても、引っ掛け部15に斜め折れ線Laを設けることで、斜め折れ線Laを手で折り曲げなくても、一対の掛止部14の下部をつまんでそれらを反対方向に引っ張り、掛止部材10Dをカップ200に掛止させるだけで、その掛止状態を安定化させることができ、掛止部14がカップ200の開口部壁からずり上がってカップ200から外れることを防止できる。
このコーヒードリップバッグ100Dでは、掛止部材10Dを、従来の掛止部材10の製造治具を利用して、安価に掛止状態の安定化を図れる点で好ましい。
【0042】
本発明のドリップバッグは、さらに種々の態様をとることができ、上述の変形態様は、適宜種々組み合わせることができる。
【0043】
また、本発明のドリップバッグに充填する抽出材料としては、コーヒー粉に代えて、紅茶、緑茶、漢方薬等を使用してもよい。それにより、種々の飲料ドリップバッグを得ることができる。
【符号の説明】
【0044】
1A、1B、1C、1D、1X ドリップバッグ
2 袋本体
2a、2b 袋本体の外表面
2p、2q 側縁
3 開口部
4 ミシン目
10A、10B、10C、10D、10E、10X 掛止部材
11 中央貼着部
12 帯状貼着部
12a 突出部
13 アーム部
14 掛止部
15 引っ掛け部
15a 引っ掛け部下縁
15b 引っ掛け部上縁
16 外側貼着部
20 ドリップバッグ用シート
21 通水性濾過性シート
30 補強片
100A、100B、100C、100D、100E、100X コーヒードリップバッグ
200 カップ
201 開口部壁
La 斜め折れ線
Lx、Ly 折れ線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通水性濾過性シートから形成され、上端部に開口部を有する袋本体と、
袋本体の対向する2面の外表面に設けられた薄板状材料からなる掛止部材とを有するドリップバッグであって、
掛止部材が、袋本体の中央部に貼着されている中央貼着部、袋本体の開口部に沿って帯状に袋本体に貼着されている帯状貼着部、袋本体から引き起こし可能に形成されたアーム部、及び袋本体に貼着されていない掛止部を有し、
アーム部の下端が中央貼着部と連続し、アーム部の上端部が掛止部と連続し、
掛止部は、アーム部との連続部分から袋本体側縁側に延びた左右一対の引っ掛け部を有し、
各引っ掛け部は、引っ掛け部下縁のアーム部側端部から引っ掛け部上縁の袋本体側縁側端部に伸びた斜め折れ線を有するドリップバッグ。
【請求項2】
中央貼着部を形成する薄板状材料が上方に延設されて帯状貼着部と連続し、その延設部分の両側にアーム部が形成されている請求項1記載のドリップバッグ。
【請求項3】
帯状貼着部の幅が、袋本体の開口幅の45%〜55%である請求項1又は2記載のドリップバッグ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のドリップバッグの袋本体に抽出材料が充填され、袋本体の上端部が閉じられている飲料ドリップバッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−143418(P2012−143418A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4451(P2011−4451)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(396015057)大紀商事株式会社 (19)
【Fターム(参考)】