説明

ドレナージチューブ及びドレナージチューブ付内視鏡

【課題】患者に過度な負担を強いることなく、ドレナージチューブを胆管若しくは膵管に容易に留置できるドレナージチューブ及びドレナージチューブ付内視鏡を提供する。
【解決手段】ドレナージチューブ200は、胆管65若しくは膵管66に挿入する内視鏡挿入部15の先端部に、該内視鏡挿入部の長手軸方向に沿って取り付けられる。このドレナージチューブ200は、内視鏡挿入部15の先端部外周に固定され、十二指腸乳頭への挿入時に潰れない半径方向の弾力性を有する先端側チューブ領域51と、先端側チューブ領域51に連設され、内視鏡挿入部15の先端部から離間する延在長を有して先端側チューブ領域51よりも半径方向の弾力性が小さい後端側チューブ領域53と、によって構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、十二指腸に開口する胆管若しくは膵管へ挿入するドレナージチューブ及びドレナージチューブ付内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
膵管内に挿入してドレナージを行う膵管用ドレナージチューブが提案されている(特許文献1参照)。この膵管用ドレナージチューブは、一端側を膵管に挿入することで、膵管内の体液を十二指腸に排出させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−17868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、内視鏡挿入部の先端を胆管若しくは膵管内に挿入した後にドレナージチューブを留置するためには、別の内視鏡を更に追加挿入する必要がある。そのため、患者に過度な負担を強いることになり、留置作業自体も困難である。
また、ドレナージチューブを留置した後に内視鏡を挿入しようとすると、ドレナージチューブが障害となって、胆管、膵管内への内視鏡の挿入が困難となる。
そこで本発明は、患者に過度な負担を強いることなく、ドレナージチューブを胆管若しくは膵管に容易に留置できるドレナージチューブ及びドレナージチューブ付内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は下記構成からなる。
(1) 胆管若しくは膵管に挿入する内視鏡挿入部の先端部に、該内視鏡挿入部の長手軸方向に沿って取り付けるドレナージチューブであって、
前記内視鏡挿入部の先端部外周に固定され、十二指腸乳頭への挿入時に潰れない半径方向の弾力性を有する先端側チューブ領域と、
前記先端側チューブ領域に連設され、前記内視鏡挿入部の先端部から離間する延在長を有して前記先端側チューブ領域よりも半径方向の弾力性が小さい後端側チューブ領域と、
を備えたドレナージチューブ。
(2) 前記ドレナージチューブが前記内視鏡挿入部の先端側に着脱自在に固定されたドレナージチューブ付内視鏡。
【発明の効果】
【0006】
本発明のドレナージチューブ及びドレナージチューブ付内視鏡によれば、患者に過度な負担を強いることなく、ドレナージチューブを胆管若しくは膵管に容易に留置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態を説明するための図でドレナージチューブ付内視鏡の外観図である。
【図2】図1に示した先端部の近傍の拡大斜視図である。
【図3】ドレナージチューブを概略的に示す側面図である。
【図4】先端側チューブの拡大斜視図である。
【図5】(A)は先端側チューブのチューブ先端が先端部の先端面と同一のチューブ軸方向位置に配置された側面図、(B)は先端側チューブのチューブ先端が先端部の先端面から突出した側面図である。
【図6】先端部の軸線直交面における断面図である。
【図7】十二指腸近傍の正面図及びその一部分を切り欠いた要部拡大図である。
【図8】ドレナージ時における胆管に挿入された先端部及びドレナージチューブの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態を説明するための図でドレナージチューブ付内視鏡の外観図である。
ドレナージチューブ付内視鏡100は、本体操作部13と、本体操作部13に連設され体腔内(特には胆管、膵管内)に挿入される内視鏡挿入部15とを備える。本体操作部13には、各種管路と信号ケーブルが内包されたユニバーサルコード17が接続され、このユニバーサルコード17の先端には不図示の制御装置に着脱自在に連結されるコネクタが取り付けられている。制御装置の光源部からの出射光は、コネクタとユニバーサルコード17を通じてドレナージチューブ付内視鏡100に供給され、内視鏡挿入部15の内視鏡先端部19に設けられた照明光学系に照明光として導光される。
【0009】
図2は図1に示した内視鏡先端部19の近傍の拡大斜視図である。
内視鏡先端部19に設けられた撮像光学系23は、照明光学系21で照明された観察部位を撮像する不図示の撮像素子を有し、撮像素子から得られる観察像の撮像信号を制御装置に出力する。制御装置のプロセッサ部は、入力された撮像信号を画像処理した画像情報を不図示の表示部に表示する。これらの一連の処理は、制御装置に接続されたキーボード等から指示が入力可能になっている。撮像光学系23の撮像素子としては、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサが用いられる。
【0010】
本体操作部13には、送気・送水ボタン、吸引ボタン、シャッターボタン、機能切替ボタン等の各種ボタン27が並設されると共に内視鏡挿入部15の先端側に設けられた湾曲部29を湾曲操作させるアングルノブ31が設けられている。
【0011】
内視鏡挿入部15は、本体操作部13側から順に軟性部33、湾曲部29、内視鏡先端部19で構成される。軟性部33は可撓性を有して湾曲部29の基端側に連設され、湾曲部29は、本体操作部13のアングルノブ31を回動操作することで内視鏡挿入部15内に挿設されたワイヤ35が牽引されて湾曲動作するようになっている。これにより、内視鏡先端部19を所望の方向に向けることができる。
【0012】
本体操作部13と内視鏡挿入部15との間の連設部37には、鉗子や送水手段等の処置具が挿入される鉗子挿入部41が設けられ、鉗子挿入部41から挿入された処置具は、内視鏡先端部19の鉗子口43から導出される。
【0013】
ドレナージチューブ付内視鏡100の体腔内に挿入される内視鏡先端部19の外周には、内視鏡挿入部の長手軸方向に沿ってドレナージチューブ200が固定されている。ドレナージチューブ200は、例えば、ポリエチレン、フッ素樹脂、シリコン、ポリウレタン等の材料によって形成することができる。また、X線不透過成分として硫酸バリウムを含んでもよい。
【0014】
ドレナージチューブ200には例えばシリコンゴム等の弾性素材からなる装着バンド49が固定され、装着バンド49は内視鏡先端部19の外周に弾性力によって締結される。したがって、ドレナージチューブ200は、内視鏡先端部19に着脱自在に固定される。ドレナージチューブ200は、着脱自在となることで、既存内視鏡への後付を可能にできると共に、新しいドレナージチューブ200との交換や、異なる長さのドレナージチューブ200との交換も可能となる。なお、装着バンド49は、接着剤によって内視鏡先端部19の外周に固定されてもよい。この場合、ドレナージチューブ200は、装着バンド49が切断されて交換がなされる。
【0015】
図3はドレナージチューブを概略的に示す側面図である。
ドレナージチューブ200は、内視鏡先端部19の外周に固定され十二指腸乳頭への挿入時に潰れない半径方向の弾力性(弾性定数)を有する長さL1の先端側チューブ領域51と、先端側チューブ領域51に連設され、内視鏡先端部19から離間する延在長の長さL2(L1<L2)を有し先端側チューブ領域51よりも小さい半径方向の弾力性を有する後端側チューブ領域53と、を備える。
【0016】
図4は先端側チューブ領域51の拡大斜視図である。
先端側チューブ領域51は、チューブの先端側が斜めにカットされている。先端側チューブ領域51が内視鏡先端部19に固定された際、斜めにカットされた先端部となるチューブ尖端55は、内視鏡先端部19の外周側に配置されている。また、前部傾斜面57はチューブ軸方向前方(内視鏡先端側)に向かって内視鏡先端部19の外周面に徐々に近接する斜面となる。このように先細りにされたドレナージチューブ200が、内視鏡先端部19に一体に固定されることで、内視鏡先端部19の体腔内への挿入性が向上する。また、先端側チューブ領域51の先端を広い開口にできるため、チューブ内の液流量を稼ぐことができる。
【0017】
先端側チューブ領域51と後端側チューブ領域53とは、チューブ軸方向に対して傾斜した界面で接続されている。詳細には、先端側チューブ領域51が内視鏡先端部19に固定された際、先端側チューブ領域51の後端が後方に向かって内視鏡先端部19の外周に徐々に近接する後部傾斜面61を有する。この後部傾斜面61の先端となる界面尖端59が、内視鏡先端部19の外周側に配置されている。この構成により、ドレナージチューブ200が一体に固定された内視鏡先端部19を体腔内から抜き取る際に、先端側チューブ領域51が内視鏡先端部19に沿って配置され、先端側チューブ領域後端の界面尖端59が予期せずに体腔内壁へ押し当てられることがない。以て、体腔内壁に損傷を与えることなく、内視鏡の体腔内からの抜去性が向上する。
【0018】
このような前部傾斜面57と後部傾斜面61を有する先端側チューブ領域51は、弾力性の大きい素材で形成されている。ドレナージチューブ200は、先端側チューブ領域51よりも弾力性の小さい別素材で形成した後端側チューブ領域53を二色成形、溶着、接着等により先端側チューブ領域51に接続して構成される。また、後端側チューブ領域53の先端内部に、先端側チューブ領域51となるチューブ体を挿嵌した二重管構造として構成してもよい。更には、一定波長光により硬化が促進する同一素材からなる硬化樹脂により、先端側チューブ領域51のみの弾性力を高めたものとして構成してもよい。即ち、先端側チューブ領域51が後端側チューブ領域53より大きな弾力性を有することができれば、その構造や製法はいかなるものであってもよい。
【0019】
図5(A)は先端側チューブ領域51のチューブ尖端55が内視鏡先端部19の先端面63と同一のチューブ軸方向位置に配置された側面図、(B)は先端側チューブ領域51のチューブ尖端55が内視鏡先端部19の先端面63から突出した側面図である。
先端側チューブ領域51のチューブ尖端55は、図5(A)に示すように、内視鏡先端部19の先端面63と同一のチューブ軸方向位置、又は先端面63よりも後退して配置(図2参照)することができる。チューブ尖端55を、内視鏡先端部19の先端面63と同一、又は先端面63よりも後退させることで、ドレナージチューブ200が視野に入らず、広い画角の観察像を得ることができる。また、チューブ尖端55が内視鏡先端部19の先端面63よりも後退していれば、内視鏡先端部19から供給された直後の透明流体が先端側チューブ領域51から直ちに排出されることがなく、供給された透明流体を内視鏡先端部19の前方で胆汁と確実に攪拌される。これにより、胆汁をいち早く透明流体と攪拌でき、内視鏡先端部19周辺における液体の透光性を向上でき、視野を確保できる。
【0020】
また、先端側チューブ領域51のチューブ尖端55は、図5(B)に示すように、内視鏡先端部19の先端面63よりも前方に突出して配置することができる。チューブ尖端55を、先端面63よりも前方に突出させることで、ドレナージチューブ200の開口が体腔内壁に当接して排出流量が減少することなく、胆汁の排出がよりスムーズに行える。よって、灌流を形成しやすくなり、内視鏡の視野確保がいち早く行え、胆管、膵管内を鮮明に観察できる。
【0021】
図6は内視鏡先端部19の軸線直交面における断面図である。
ドレナージチューブ付内視鏡100は、内視鏡挿入部15の湾曲部29が1本のワイヤ35によって一方向にのみに湾曲操作可能となっている。図6は紙面裏側が挿入方向後部となる。ワイヤ35がアングルノブ31の操作によって牽引されると、湾曲部29の湾曲によって内視鏡先端部19は図6の上側に向けられる。したがって、図6に示した内視鏡先端部19は、上側が湾曲内側となり、下側が湾曲外側となる。先端側チューブ領域51は、湾曲外側の内視鏡先端部19に固定されているため、湾曲部29が湾曲操作される際、ドレナージチューブ200が、湾曲した湾曲部29の外側に配置され、ドレナージチューブ200が湾曲部29の湾曲操作の邪魔にならない。また、ドレナージチューブ200の後端側チューブ領域53が湾曲部29の湾曲によってチューブの半径方向に潰れることがない。
【0022】
なお、後端側チューブ領域53は、体腔内に挿入された内視鏡先端部19の位置から体外に導出される長さを有していてもよい。これにより、ドレナージチューブ200の基端側を体腔外に導出して、その先に図示しない吸引ポンプ、採集容器、或いはシリンジを接続して、胆汁等を回収することが可能となる。吸引ポンプ、採集容器、或いはシリンジを接続することにより、細く長いドレナージチューブ200で自然に排出ができない場合であっても、胆汁等を確実に回収することができる。
【0023】
また、吸引ポンプを用いる場合、吸引ポンプは脈動により吸引を行うことが好ましい。即ち、吸引を一定の負圧下で行うのではなく、吸引圧をサイクリックに変化させることで、チューブ内流体の流動性が高まる。これにより、胆汁等の回収効率を高めることができる。
【0024】
次に、上記構成のドレナージチューブ200及びドレナージチューブ付内視鏡100の作用を説明する。
図7は十二指腸近傍の正面図及びその一部分を切り欠いた要部拡大図、図8はドレナージ時における胆管65に挿入された内視鏡先端部19及びドレナージチューブ200の拡大図である。
ドレナージチューブ付内視鏡100は、内視鏡先端部19が、肝臓67、胃69、胆嚢71と近接して位置する十二指腸73まで挿入される。十二指腸73には胆管65と膵管66が十二指腸乳頭75で開口されている。なお、胆管65と膵管66は、一本の共通管64に合流して十二指腸乳頭75に接続されている。
【0025】
まず、アングルノブ31の操作により湾曲部29を屈曲させて、十二指腸乳頭75に向けた内視鏡先端部19を、十二指腸乳頭75に挿入する。この際、先端側チューブ領域51が前部傾斜面57により先細りとなることで、挿入抵抗を小さくできる。十二指腸乳頭75を通過した内視鏡先端部19は、図8に示すように、共通管64を通過して胆管65内に配置される。内視鏡先端部19に固定されたドレナージチューブ200は、後端側チューブ領域53が十二指腸乳頭75から十二指腸73に導出されている。
【0026】
ドレナージチューブ付内視鏡100の連設部37に設けられた鉗子挿入部41から送水手段が挿入され、送水手段によって供給された透明流体(生理食塩水)が鉗子口43から胆管65に噴出される。噴出した透明流体は胆汁と攪拌され、胆管65内で正圧となった混合液体77は内視鏡先端部19に固定されたドレナージチューブ200の先端側チューブ領域51内に導入される。先端側チューブ領域51から導入された混合液体77は後端側チューブ領域53から十二指腸73へ排出される。
【0027】
胆汁が透明流体に置き換えられ、良好な視界が確保されたなら、照明光学系21と撮像光学系23とによる詳細な観察が行われることとなる。観察終了後、内視鏡先端部19は胆管65から抜去される。このとき、弾力性の大きい先端側チューブ領域51は、後部傾斜面61の界面尖端59側から十二指腸乳頭75に進入することとなり、十二指腸乳頭75を徐々に拡開させて抜去時の抵抗を小さくすることができる。また、弾性力の小さい後端側チューブ領域53は、柔軟に変形して十二指腸乳頭75を抵抗なく通過する。上記例では胆管65へのドレナージチューブの挿入、抜去例であるが、膵管66へ挿入する場合も同様にして行われる。
【0028】
このように、ドレナージチューブ200及びドレナージチューブ付内視鏡100では、先端側チューブ領域51が半径方向に大きな弾力性を有していることで、十二指腸乳頭への挿入時に潰れることがなく、胆管65や膵管66内の液を排出するドレナージが確実に行える。また、抜去時には後端側チューブ領域53の弾力性が先端側チューブ領域51よりも小さいので、容易に変形して体腔内を傷つけることがない。
【0029】
したがって、上記ドレナージチューブ200及びドレナージチューブ付内視鏡100によれば、患者に過度な負担を強いることなく、ドレナージチューブを胆管65若しくは膵管66に容易に留置することができる。また、特に慎重な取り扱いを要することなく、内視鏡挿入部と共に胆管、膵管へ挿入して灌流の形成が容易に行え、迅速かつ円滑に視野の確保が行える。
【0030】
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0031】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 胆管若しくは膵管に挿入する内視鏡挿入部の先端部に、該内視鏡挿入部の長手軸方向に沿って取り付けるドレナージチューブであって、
前記内視鏡挿入部の先端部外周に固定され、十二指腸乳頭への挿入時に潰れない半径方向の弾力性を有する先端側チューブ領域と、
前記先端側チューブ領域に連設され、前記内視鏡挿入部の先端部から離間する延在長を有して前記先端側チューブ領域よりも半径方向の弾力性が小さい後端側チューブ領域と、
を備えたドレナージチューブ。
このドレナージチューブによれば、先端側チューブ領域が半径方向に大きな弾力性を有していることで、十二指腸乳頭への挿入時に潰れることがない。また、胆管若しくは膵管の液を排出するドレナージが確実に行える。しかも、内視鏡の抜去時には後端側チューブ領域の弾力性が先端側チューブ領域よりも小さいので、柔軟に変形して体腔内を傷つけることがない。
【0032】
(2) (1)のドレナージチューブであって、
前記先端側チューブ領域は、前記内視鏡挿入部の先端側がチューブ軸方向に対して斜めにカットされ、該カットされた尖端が前記内視鏡挿入部の外周側に配置されたドレナージチューブ。
このドレナージチューブによれば、先端側チューブ領域が内視鏡挿入部の先端部に固定された際、チューブ尖端は内視鏡先端部の外周に当接するように配置される。また、前部傾斜面はチューブ軸方向前方(内視鏡先端側)に向かって内視鏡先端部の外周面に徐々に近接する斜面となる。これによりドレナージチューブが先細りにされて、ドレナージチューブが一体に固定された内視鏡挿入部の先端部を十二指腸乳頭へ容易に挿入できる。また、チューブ先端を広い開口にできるため、チューブ内の液の流量を稼ぐことができる。
【0033】
(3) (1)又は(2)のドレナージチューブであって、
前記先端側チューブ領域と前記後端側チューブ領域とが、チューブ軸方向に対して傾斜した界面で接続され、前記先端側チューブ領域における前記界面尖端が前記内視鏡挿入部の外周側に配置されたドレナージチューブ。
このドレナージチューブによれば、胆管若しくは膵管内から内視鏡挿入部とドレナージチューブとを共に抜去する際に、弾力性の大きい先端側チューブ領域は、界面尖端側から十二指腸乳頭に進入することとなり、十二指腸乳頭を徐々に拡開させて抜去時の抵抗を小さくすることができる。
【0034】
(4) (1)〜(3)のいずれか1つのドレナージチューブが前記内視鏡挿入部の先端部に着脱自在に固定されたドレナージチューブ付内視鏡。
このドレナージチューブ付内視鏡によれば、既存内視鏡へのドレナージチューブの後付を可能にできると共に、新しいドレナージチューブとの交換や、異なる長さのドレナージチューブとの交換も可能となる。
【0035】
(5) (4)のドレナージチューブ付内視鏡であって、
前記先端側チューブ領域の前記尖端が、内視鏡挿入部の長手軸方向において、前記内視鏡挿入部の先端面と同一、又は該先端面より後退した位置に配置されたドレナージチューブ付内視鏡。
このドレナージチューブ付内視鏡によれば、ドレナージチューブが視野に入らず、広い画角の観察像を得ることができる。また、チューブ先端領域が内視鏡挿入部の先端面よりも後退していることで、内視鏡挿入部の先端側から供給された直後の透明流体が先端側チューブ領域から直ちに排出されることがなく、供給された透明流体を内視鏡挿入部の先端面の前方で胆汁と確実に攪拌できる。
【0036】
(6) (4)のドレナージチューブ付内視鏡であって、
前記先端側チューブ領域の前記尖端が、前記内視鏡挿入部の先端面からチューブ軸方向に突出して配置されたドレナージチューブ付内視鏡。
このドレナージチューブ付内視鏡によれば、ドレナージチューブの開口が体腔内壁に当接して排出流量が減少することなく、胆汁の排出をよりスムーズに行える。よって、灌流を形成しやすくなり、視野確保がいち早く行え、胆管若しくは膵管内を鮮明に観察できる。
【0037】
(7) (4)〜(6)のいずれか1つのドレナージチューブ付内視鏡であって、
前記内視鏡挿入部は、一方向にのみ湾曲操作可能な湾曲部を有し、
前記先端側チューブ領域は、前記内視鏡挿入部の前記湾曲操作された湾曲外側に固定されているドレナージチューブ付内視鏡。
このドレナージチューブ付内視鏡によれば、湾曲部が湾曲操作される際、ドレナージチューブが湾曲した湾曲部の外側となり、ドレナージチューブが湾曲部の湾曲操作の邪魔になったり、湾曲部の湾曲によって潰れたりすることがない。
【0038】
(8) (4)〜(7)のいずれか1つのドレナージチューブ付内視鏡であって、
前記後端側チューブ領域は、前記胆管若しくは膵管に挿入された前記内視鏡挿入部の先端部の位置から、体腔外に導出される長さを有しているドレナージチューブ付内視鏡。
このドレナージチューブ付内視鏡によれば、ドレナージチューブの基端側を体腔外に導出して、その先に吸引ポンプ、採集容器、或いはシリンジを接続して、胆汁を回収することが可能となる。
【符号の説明】
【0039】
15 内視鏡挿入部
19 先端部
29 湾曲部
51 先端側チューブ領域
53 後端側チューブ領域
55 チューブ尖端
59 界面尖端
63 先端面
65 胆管
66 膵管
75 十二指腸乳頭
100 ドレナージチューブ付内視鏡
200 ドレナージチューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胆管若しくは膵管に挿入する内視鏡挿入部の先端部に、該内視鏡挿入部の長手軸方向に沿って取り付けるドレナージチューブであって、
前記内視鏡挿入部の先端部外周に固定され、十二指腸乳頭への挿入時に潰れない半径方向の弾力性を有する先端側チューブ領域と、
前記先端側チューブ領域に連設され、前記内視鏡挿入部の先端部から離間する延在長を有して前記先端側チューブ領域よりも半径方向の弾力性が小さい後端側チューブ領域と、
を備えたドレナージチューブ。
【請求項2】
請求項1記載のドレナージチューブであって、
前記先端側チューブ領域は、前記内視鏡挿入部の先端側がチューブ軸方向に対して斜めにカットされ、該カットされた尖端が前記内視鏡挿入部の外周側に配置されたドレナージチューブ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のドレナージチューブであって、
前記先端側チューブ領域と前記後端側チューブ領域とが、チューブ軸方向に対して傾斜した界面で接続され、前記先端側チューブ領域における前記界面尖端が前記内視鏡挿入部の外周側に配置されたドレナージチューブ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項記載のドレナージチューブが前記内視鏡挿入部の先端部に着脱自在に固定されたドレナージチューブ付内視鏡。
【請求項5】
請求項4記載のドレナージチューブ付内視鏡であって、
前記先端側チューブ領域の前記尖端が、内視鏡挿入部の長手軸方向において、前記内視鏡挿入部の先端面と同一、又は該先端面より後退した位置に配置されたドレナージチューブ付内視鏡。
【請求項6】
請求項4記載のドレナージチューブ付内視鏡であって、
前記先端側チューブ領域の前記尖端が、前記内視鏡挿入部の先端面からチューブ軸方向に突出して配置されたドレナージチューブ付内視鏡。
【請求項7】
請求項4〜請求項6のいずれか1項記載のドレナージチューブ付内視鏡であって、
前記内視鏡挿入部は、一方向にのみ湾曲操作可能な湾曲部を有し、
前記先端側チューブ領域は、前記内視鏡挿入部の前記湾曲操作された湾曲外側に固定されているドレナージチューブ付内視鏡。
【請求項8】
請求項4〜請求項7のいずれか1項記載のドレナージチューブ付内視鏡であって、
前記後端側チューブ領域は、前記胆管若しくは膵管に挿入された前記内視鏡挿入部の先端部の位置から、体腔外に導出される長さを有しているドレナージチューブ付内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−45340(P2012−45340A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192984(P2010−192984)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】