説明

ドレンパン及び該ドレンパンを備えた防振台装置

【課題】集水孔13を有するベース板部10と、ベース板部10の下側に配設されるドレン配管15とを備えたドレンパン100において、ベース板部10へのドレン配管15の取り付け作業の容易化を図り、延いては、製品コストを低減する。
【解決手段】ベース板部10から下側に突出して、支持孔25を介してドレン配管15を両端支持する一対の支持板部18,19と、ドレン配管15の両端部に装着されて、該一対の支持板部18,19の互いの外側面18a,19aに当接することで、ドレン配管15の管軸方向の移動を規制するキャップ部材24及び継手部材26とを備えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ドレンパン及び該ドレンパンを備えた防振台装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ポンプの略真下に配置されて、該ポンプから滴下するドレン水(結露水や軸封部パッキンの潤滑用水等)を回収するドレンパンは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このドレンパンは、ポンプが取り付けられる略矩形状のベース取付板と、ベース取付板の幅方向の略中央部に形成され、ベース取付板の長手方向に延びる長孔状の集水孔と、ベース取付板の裏面における集水孔が形成された部分に固設された断面略コ字状の導水ダクトとを備えている。集水孔から導水ダクト内に導かれたドレン水は、導水ダクトに設けられたドレン孔を通って排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録3114135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示すドレンパンでは、導水ダクトをベース取付板に対して溶接により固設するようにしているため、例えば、既存のベース取付板を流用して、ベース取付板に導水ダクトを増設しようとした場合に、増設する導水ダクトの長さや数に応じて長時間の溶接作業が必要になり、作業コストが増加するという問題がある。
【0006】
そこで、ベース取付板に対して導水ダクトをプレス加工により一体成形することも考えられるが、この場合、プレス加工用の専用金型が必要となり加工コストが増加するという問題がある。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、集水孔を有するベース板部と、ベース板部の下側に配設されるドレン配管とを備えたドレンパンに対して、その構成に工夫を凝らすことで、ドレンパン製作時におけるドレン配管のベース板部への取付け作業を容易化し、延いては、製品コストの低減を図ろうとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明では、ベース板部から下側に突出して、支持孔を介してドレン配管を両端支持する一対の支持板部と、ドレン配管の両端部に装着されて、該一対の支持板部の互いの外側面に当接することで該ドレン配下の管軸方向の移動を規制する位置規制部材とを備えるようにした。
【0009】
具体的には、この発明では、機器から滴下するドレン水を回収するためのドレンパンを対象とする。
【0010】
そして、上記機器の下側に配設されるベース板部と、上記ベース板部に形成された長孔状の集水孔と、上記ベース板部の下側に配設され、上記集水孔に沿って延びるとともに、該集水孔に対応する部分に上側に開口する切欠部が形成されたドレン配管と、上記ベース板部の下面から下側に突出して、上記ドレン配管の管軸方向に対向する一対の支持板部と、上記一対の支持板部にそれぞれ形成され、上記ドレン配管の両端部を支持する支持孔と、上記ドレン配管の両端部にそれぞれ装着されて、上記一対の支持板部の互いの外側面に当接することで、該ドレン配管の管軸方向の移動を規制する一対の位置規制部材と、を備えているものとする。
【0011】
この構成によれば、ドレン配管を、ベース板部の下面から突出する一対の支持板部の支持孔に両端支持した状態で、ドレン配管の両端部に位置規制部材を装着するだけで、ドレン配管をベース板部に容易に取り付けることができる。このように本発明では、ドレン配管のベース板部への取り付けに際して、熟練を要する溶接作業を必要としないため、製品コストを低減することができる。
【0012】
また、上記位置規制部材は、一対の支持板部の互いの外側面に当接することでドレン配管の管軸方向の移動を規制するように構成されているため、ドレン配管の管軸方向の位置決めを容易に行うことができる。
【0013】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記支持板部は、上記ベース板部に対して曲げ加工により一体成形されているものとする。
【0014】
この構成によれば、支持板部をベース板部に対して曲げ加工により一体成形するようにしたことで、部品点数を削減することができるとともに、ドレンパンの製作にあたって、熟練を要する溶接作業を廃止することができる。よって、製品コストを可及的に低減することができる。
【0015】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、上記集水孔は、上記ベース板部における該集水孔の形成予定部をI字状に切り欠くことで扉状の一対の矩形状片を形成して、該両矩形状片をその基端部を支点として下方に折り曲げることで形成されているものとする。
【0016】
請求項4の発明では、請求項3の発明において、上記折り曲げられた一対の矩形状片は、上記集水孔の幅方向の両側の端縁部からそれぞれ、該幅方向の中央に向かって下側に傾斜して、上記集水孔に滴下したドレン水を上記ドレン配管に形成された切欠部へと案内するように構成されているものとする。
【0017】
請求項3及び請求項4の構成によれば、ベース板部における集水孔の形成予定部をI字状に切り欠くことで扉状の一対の矩形状片を形成して、該両矩形状片をその基端部を支点として下方に折り曲げることで集水孔を容易に形成することができる。そして、この折り曲げられた一対の矩形状片をそれぞれ、集水孔の幅方向の両側の端縁部から該幅方向の中央に向かって下側に傾斜させることで、該集水孔に滴下したドレン水を該矩形状片によってドレン配管へと案内することができる。
【0018】
請求項5の発明では、請求項4の発明において、上記折り曲げられた一対の矩形状片の下端縁は、上記ドレン配管に形成された切欠部の幅方向の両側端縁よりも内側且つ下側に位置しているものとする。
【0019】
この構成によれば、一対の矩形状片の下端縁を、上記ドレン配管に形成された切欠部の幅方向の両側端縁よりも内側且つ下側に位置させるようにしたことで、該一対の矩形状片をドレン配管の軸心回りの回り止めとして機能させることができる。これにより、ドレン配管に形成された切欠部の位置が、予め設定された設計位置に対して管軸回りにずれるのを防止し、上記機器から滴下したドレン水を切欠部を介してドレン配管内に確実に導くことができる。
【0020】
請求項6の発明では、請求項1乃至5のいずれか一つの発明において、上記位置規制部材は、上記一対の支持板部の互いの外側において、上記ドレン配管の端部に外嵌して装着される有底筒状のキャップ部材で構成されているものとする。
【0021】
この構成によれば、ドレン配管の一端部が他端部側に移動しようとしても、該一端部に装着されたキャップ部材が、上記支持板部の外側面に当接するため、ドレン配管の管軸方向の移動を規制することができる。また、キャップ部材として、例えば、規格化された市販品のTSキャップを採用することができ、これにより、製品コストをより一層低減することができる。
【0022】
請求項7の発明では、請求項1乃至5のいずれか一つの発明において、上記ドレン配管の少なくとも一方の端部は、上記支持板部の支持孔に対して上記位置規制部材を介して支持されており、当該位置規制部材は、上記支持孔に嵌挿支持され且つ上記ドレン配管の端部に外嵌して装着される小径筒部と、上記一対の支持板部の互いの外側に位置し、該小径筒部に対して同軸に接続される大径筒部とを有しているものとする。
【0023】
この構成によれば、ドレン配管の一端部が他端部側に移動しようとしても、上記大径部が上記支持板部の外側面に当接するため、ドレン配管の管軸方向の移動を規制することができる。また、位置規制部材として、例えば、規格化された市販品のTS継手を採用することができ、これにより、製品コストを可及的に低減することができる。
【0024】
請求項8の発明では、請求項1乃至7のいずれか一つの発明において、上記ドレン配管は、塩ビ管からなるものとする。
【0025】
請求項9の発明では、請求項1乃至8のいずれか一つの発明において、上記位置規制部材は、塩ビ製の配管継手からなるものとする。
【0026】
請求項8及び請求項9の構成によれば、ドレン配管及び位置規制部材として、市販品の配管や継手を使用することができる。よって、製品コストを可及的に低減することができる。
【0027】
請求項10の発明では、請求項1乃至9のいずれか一つの発明に係るドレンパンと、長尺状の架台及び基台の間に防振体を介在させてなる一対の防振台とを備え、機器の幅方向に並んで配置した該一対の防振台の上側に上記ドレンパンを介して機器を載置して使用される防振台装置を対象とする。
【0028】
そして、上記ドレンパンのベース部は、上記一対の防振台の架台の上側に跨って載置されて、該架台に対して上記機器と共に共締め固定されるものとする。
【0029】
この構成によれば、ドレンパンのベース部を、架台に対して上記機器と共に共締め固定するようにしたことで、既存の防振台に対して追加工を施すことなく、本発明に係るドレンパンを固定することができる。
【0030】
請求項11の発明では、請求項10の発明において、上記機器は、回転式のポンプと該ポンプを駆動する駆動源とを備えたポンプユニットであり、上記一対の防振台は、上側から見て、上記ポンプのポンプ軸方向に直交するポンプ幅方向に並んで配置されるものであり、上記ドレンパンの集水孔は、上記ドレンパン及び上記ポンプユニットを上記防振台の架台に共締め固定した状態において、上記ポンプ軸に沿ってその真下に位置するように形成されている
この構成によれば、ドレンパン及びポンプユニットを防振台の架台に共締め固定した状態において、上記集水孔を、ドレン水の排出源となるポンプ軸に沿ってその真下に配置することができる。これにより、ポンプ軸から滴下するドレン水を集水孔に効率良く導くことができる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明のドレンパンによると、ベース板部から下側に突出して、支持孔を介してドレン配管を両端支持する一対の支持板部と、ドレン配管の両端部に装着されて、該一対の支持板部の互いの外側面に当接することで該ドレン配下の管軸方向の移動を規制する位置規制部材とを備えるようにしたことで、ベース板部へのドレン配管の取り付け作業を容易化して、製品コストを低減することができる。
【0032】
また、本発明の防振台装置によると、一対の防振台の架台に対して、ドレンパンとその上側に載置される機器とを共締め固定するようにしたことで、既存の防振台装置に対して追加工を施すことなく本発明のドレンパンを固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係るドレンパンが取付けられる防振台装置を示す(a)平面図(b)正面図(c)側面図である。
【図2】2つの防振台をハの字に配置したときの図1(a)相当図である。
【図3】ドレンパンを示す(a)平面図(b)正面図(c)側面図である。
【図4】ドレンパンのドレン配管を取り外した状態を示す(a)平面図(b)正面図(c)側面図である。
【図5】防振台装置へのドレンパンの取り付け方法を説明するための説明図である。
【図6】ベース板部へのドレン配管の組み付け手順を示す説明図である。
【図7】実施形態の変形例1を示す図3相当図である。
【図8】実施形態の変形例2を示す図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0035】
(全体構成)
図1及び図2は、本発明の実施形態に係るドレンパン100が取り付けられる防振台装置Aを示す。この防振台装置Aは、回転式ポンプP(本実施形態では、湿式の渦巻きポンプ)及び該ポンプPを駆動する電動機MからなるポンプユニットUを設置するためのものであり、ドレンパン100は、ポンプユニットUから滴下するドレン水(軸封部パッキンの潤滑用水等)を回収するためにポンプユニットUの下側に配設される。
【0036】
防振台装置Aは、ポンプユニットUの長手方向に延びる長尺状の所謂レール式防振台1を当該ポンプユニットUの幅方向に2つ並べて、それらを連結した構造である。ドレンパン100は、この2つの防振台1に跨ってその上側に配設されて、ポンプユニットUと共に防振台1に共締め固定される。
【0037】
この例では、上記2つの防振台1は略同じものであり、各々断面矩形状の角パイプ(例えば構造用角形鋼管等)からなる長尺状の架台2及び基台3が、互いに上下方向に所定の間隔を空けて配置され、その間には架台2及び基台3の長手方向に離れて2つのアイソレータ4が介設されている。
【0038】
アイソレータ4は、架台2及び基台3の間の振動伝達を軽減する防振体で、この例ではゴム筒の内部にコイルばねが埋設されて一体化されたものであり、上下にそれぞれ配設されたコ字状の板部材4aが架台2及び基台3に嵌着されて、その長手方向にスライド移動可能になっている。
【0039】
また、各架台2には、その長手方向に離れた2箇所においてそれぞれ防振台装置Aの幅方向外側、すなわち相対する防振台1のある側とは反対の側へはみ出すようにして、ポンプユニットUの取付ボルト5(図6参照)が配設されるブラケット6,7が設けられている。
【0040】
架台2の長手方向一側(図1(a)及び図2の下側)のブラケット6は、可動ブラケットであり、該可動ブラケット6は、架台2に対して下側から係合してその長手方向にスライド可能に構成されたコ字状基部6aと、コ字状基部6aの側壁部からブラケット6の先端側に向かって延びる上板部6bと、上板部6bの両側縁からそれぞれ下側に延びる一対の垂下部6cとを有している。上板部6bには、ポンプユニットUの取付ボルト5が挿通されるボルト挿通孔62aが形成され、各垂下部6cには、それぞれ梁部材8の両端部が挿通される挿通孔62fが形成されている。
【0041】
そして、前記可動ブラケット6を架台2の長手方向にスライド移動させることによって、ボルト5の取付位置を防振台装置Aの長手方向に変化させて、ポンプユニットUのベース50(以下、ポンプベースともいう)のボルト取付穴に位置合わせすることができる。
【0042】
梁部材8を挿通孔62fに挿通した状態で、ボルト5(図6参照)によって、可動ブラケット6をポンプベース50に締結することにより、同時に架台2と梁部材8とが結合されて、2つの防振台1が梁部材8を介して強固に連結される。梁部材8の両端部にはキャップ8aが装着されている。
【0043】
上記架台2の長手方向他側(図1(a)及び図2の上側)に位置するブラケット7は固定ブラケットであり、ボルト5の軸部が遊嵌される貫通穴7aが形成されている。
【0044】
また、防振台1を構成する基台3の両端部は、それぞれ架台2の端部よりも外方まで突出している。この突出部位には断面コ字状の補強金具31が嵌着され、そこから上方に延びるように耐震ボルト9が配設され、耐震ボルト9の上端部が取付け金具を介して架台2に連結されている。
【0045】
−ドレンパンの構造−
次に、ドレンパン100の構造について図2〜図5を参照しながら説明する。このドレンパン100は、ポンプユニットUにおけるドレン水(潤滑水)の滴下量が特に多いポンプ側にのみ配設される。
【0046】
具体的には、上記ドレンパン100は、2つの防振台1の上側に跨って載置される金属製(例えばスチール製)のベース板部10を有している。尚、以下の説明では、このベース板部10を防振台1に設置した状態において、ポンプユニットUの長手方向に対応する方向を「ドレンパン100の縦方向」と定義し、ポンプユニットUの幅方向に対応する方向を「ドレンパン100の横方向」と定義して説明を行う。
【0047】
ベース板部10は、上側から見たときに、該ベース板部10の外周縁の径方向内側に、ポンプユニットUを構成するポンプP全体が収まるように形成されている(図2参照)。ベース板部10は、幅狭ベース部11と、該幅狭ベース部11の縦方向の一側(ポンプユニットUの電動機側)に連接される、幅狭ベース部11よりも横長の幅広ベース部12とで構成されている。
【0048】
ベース板部10の横方向の中央部には、両ベース部11,12に跨って縦方向の略全体に亘って延びる集水孔13が形成されている。幅狭ベース部11の縦方向の他側の端縁部は、横方向の中央部がベース部外方に向かって略台形状に膨出しており、これにより、集水孔13の縦方向の長さを極力長く設定することができ、ポンプ軸が比較的長い大型のポンプユニットUに対しても十分な集水効果を得ることができる。
【0049】
上記集水孔13は、上記ベース板部10における該集水孔13の形成予定部(本実施形態では、ベース板部10の横方向の中央部)をI字状に切り欠くことで扉状の一対の矩形状片14を形成して、該両矩形状片14をその基端部を支点として下方に折り曲げることで形成されている。尚、図中の符号21は上記I字状の切欠きを示している。
【0050】
上記折り曲げられた一対の矩形状片14は、上記集水孔13の幅方向の両側の端縁部(つまり縦方向に延びる2つの辺部)からそれぞれ、該幅方向の中央に向かって下側に傾斜して、上記集水孔13に滴下したドレン水を、後述するドレン配管15(ドレン配管15の切欠部20)内へと案内するように形成されている。
【0051】
上記ベース板部10の幅広ベース部12には、集水孔13を挟んで略対称に配設された一対のボルト挿通孔16が形成されている。このボルト挿通孔16は、横方向に延びる長孔状に形成されていて、詳しくは後述するように、ドレンパン100をポンプユニットUと共に防振台1に共締め固定するために使用される。
【0052】
上記幅狭ベース部11の横方向の両側の端縁部にはそれぞれ、ベース板部10に滴下したドレン水を堰き止めるためのシール壁部17が全縁に亘って形成されている。各シール壁部17は、幅狭ベース部11の横方向の両側縁部から上側に折れ曲がって、該幅狭ベース部11に対して一体成形されている。尚、シール壁部17を、ベース板部10の周縁部の全周に亘って形成するようにしてもよい。
【0053】
上記ベース板部10の下側には、集水孔13の真下に位置して該集水孔13に沿って縦方向に延びるドレン配管15が配設されている。ドレン配管15は、後述するように、一対の支持板部18,19を介してベース板部10に連結支持されている。
【0054】
ドレン配管15における集水孔13に対応する部分(上側から見て、集水孔13と重複する部分)には、上側に開口する切欠部20(図5参照)が形成されている。切欠部20は、ドレン配管15おけるベース板部10側の管壁部を、上側から見て縦方向に延びる矩形状に切り欠くことで形成されている。ポンプPから滴下したドレン水は、上記集水孔13及び切欠部20を通ってドレン配管15内へと導かれる。
【0055】
上記集水孔13を形成する際に折り曲げた一対の矩形状片14は、その下端縁が上記切欠部20の幅方向の両側端縁よりも内側且つ下側に位置するように形成されており、これにより一対の矩形状片14は、ドレン配管15の管軸回りの回転を阻止する回り止めとしても機能する。
【0056】
上記各支持板部18,19はそれぞれ、ベース板部10の縦方向の両側の端縁部における横方向の中央部から折れ曲がって下側に突出するように形成されている。各支持板部18,19は、上記ベース板部10の縦方向から見て下側ほど幅狭となる台形板状に形成されている(図3(b)及び図4(b)参照)。
【0057】
各支持板部18,19には、厚さ方向に貫通する円形の支持孔25が形成されている。ドレン配管15の一端部は、上記縦方向の一側に位置する一方の支持板部18の支持孔25に内挿支持されている。ドレン配管15の一端部には、有底円筒状のキャップ部材24が外嵌されている。キャップ部材24は、一対の支持板部18,19の互いの外側に位置していて、本実施形態では、市販のTSキャップにより構成されている。キャップ部材24の外径は、支持孔25の孔径よりも大きく設定されている。これにより、ドレン配管15が他方の支持板部19側へ移動するのを、キャップ部材24の端面24aと支持板部18の外側面18a(一対の支持板部18,19の互いの外側面18a)との当接により阻止(規制)することができる。
【0058】
ドレン配管15の他端部は、他方の支持板部19(上記縦方向の他側に位置する支持板部19)の支持孔25に対して継手部材26を介して支持されている。継手部材26は、本実施形態では、市販のTS水栓ソケットにより構成されている。
【0059】
継手部材26は、上記支持孔25に嵌挿支持され且つドレン配管の他端部に外嵌して装着される小径筒部27と、該小径筒部27に対し同軸に接続された大径筒部28と、大径筒部28の外周面から鍔状に突出するフランジ部29とを有している。大径筒部28は、一対の支持板部18,19の互いの外側に位置していて、その外径は、支持孔25の孔径よりも大きく設定されている。これにより、ドレン配管15が上記一方の支持板部18側に移動するのを、大径筒部28の小径筒部27側の端面28a(図5参照)と支持板部19の外側面19aとの当接により阻止(規制)することができる。
【0060】
大径筒部28の内周面には、配管用の雌ねじ部が形成されており、大径筒部28に延長用の配管を差し込んで雌ねじ部に螺合させることで、ドレン配管15を延長可能になっている。延長されたドレン配管15は、例えば、工場内の排水溝まで延設される。
【0061】
−ポンプユニット及びドレンパンの設置手順−
次に、上記防振台装置AへのポンプユニットU及びドレンパン100の設置方法について説明する。
【0062】
先ず、前記図1(a)のように2つの防振台1同士を概ね平行とし、且つその長手方向に可動ブラケット6を沿わせたままで、その可動ブラケット6のボルト挿通孔62aがポンプベース50のポンプ側の取付ピッチに合うように、2つの防振台1の間隔を調整する。また、ポンプベース50のボルト取付穴の長手方向の間隔に合わせて、アイソレータ4と可動ブラケット6と梁部材8とを架台2の長手方向にスライド移動させる。
【0063】
それから可動ブラケット6と梁部材8,8との位置関係を保ったまま、すなわちポンプ側の取付ピッチを固定したまま、図2に矢印で示すように防振台1をそれぞれポンプ側のアイソレータ4の周りに回動させて、固定ブラケット7のボルト挿通孔7aが、電動機側の取付ピッチに大体、合うようにする。
【0064】
その後、ドレンパン100を2つの架台2の上側に載置し、可動ブラケット6のボルト挿通孔62aに対してドレンパン100のボルト挿通孔16の位置が合うようにドレンパン100の縦方向の位置を調整するとともに、集水孔13が2つの架台2の間の略中央に位置するようにドレンパン100の横方向の位置を調整する。そうすることにより、集水孔13を、ドレン水(潤滑水)の排出源であるポンプPのポンプ軸に沿ってその真下に配置することができる。
【0065】
そして、ドレンパン100の位置調整が完了した後に、ドレンパン100の上側にポンプユニットUを載置して、ポンプベース50のポンプ側に設けられた2つのボルト取付孔を、ドレンパン100のボルト挿通孔16から見える可動ブラケット6のボルト挿通孔62aに合わせる。また、ポンプベース50の電動機側に設けられた2つのボルト取付孔を、固定ブラケット7のボルト挿通孔7aに合わせる。このポンプベース50の電動機側の固定に際しては、シム調整によりポンプベース50の電動機側の高さをポンプ側の高さに合わせることが好ましい。
【0066】
そうして、ポンプユニットUの位置合わせが完了した後に、図6に示すように、可動ブラケット6及び固定ブラケット7(図6では、可動ブラケット6のみを示す)の下方からボルト5を挿入して、ポンプベース50よりも上側に突出するボルト5の軸部に上方からナット32を螺合させて締め込む。これにより、ポンプユニットU及びドレンパン100が架台2に対して共締め固定される。
【0067】
以上の如く構成されたドレンパン100では、ベース板部10に対して一対の支持板部18,19を曲げ加工により一体成形して、該支持板部18,19に形成された支持孔25を利用して、ドレン配管15をベース板部10に固定するようにしたことで、ドレン配管15のベース板部10への取り付けを容易に行うことができる。
【0068】
すなわち、ドレンパン100の取り付けに際しては、先ず、ドレン配管15の一端部にキャップ部材24を外嵌して接着固定し(図5(a)参照)、次いで、キャップ部材24が取り付けられたドレン配管15を、一方の支持板部18の支持孔25に対して外側から挿入して行き(図5(b)参照)、キャップ部材24の端面24aが支持板部18の外側面18aに当接したことろで、他方の支持板部19の支持孔25から継手部材26を差し込む。そして、差し込んだ継手部材26をドレン配管15の端部に外嵌して接着固定すれば、ドレン配管15のベース板部10への取り付けが完了する(図5(c)参照)。
【0069】
このように、上記実施形態では、ドレン配管15をベース板部10に固定するために、熟練者による溶接作業を一切必要とせず、規格化された市販品である配管部材や配管継手を繋ぎ合わせるだけの簡単な作業で、ドレン配管15の取り付けを行うことができる。したがって、作業工数の低減と市販品の流用とによって、従来に比べて製品コストを格段に低減することができる。
【0070】
(変形例1)
図7は、上記実施形態の変形例1を示し、ベース板部10に形成される集水孔13及びドレン配管15の配置構成を上記実施形態とは異ならせたものである。尚、以下の変形例において、図3と実質的に同じ構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明を適宜省略する。
【0071】
すなわち、この変形例では、ベース板部10には、3つの集水孔13が横方向に等間隔に並んで形成されており、ベース板部10の下側には、各集水孔13の位置に対応して、横方向に並ぶ3つのドレン配管15が配設されている。
【0072】
上記各ドレン配管15のベース板部10への取付け構造は、上記実施形態と同様であるためその説明を省略する。この取付け構造によると、上述したように、ドレン配管15をベース板部10に対して容易に取り付けることができるため、本変形例の如く、ドレン配管15の本数を3つに増やしたとしても、それらをベース板部10に取り付けるための作業工数はそれほど増加しない。このため、本変形例のドレンパン100では、製品コストの増加を抑制しながら、集水孔13(ドレン配管15)の数を増やしてドレン水の集水性を向上させることができる。
【0073】
(変形例2)
図8は、上記実施形態の変形例2を示し、ベース板部10に形成される集水孔13及びドレン配管15の配置構成を上記変形例1とは異ならせたものである。
【0074】
すなわち、この変形例では、後述するように、ドレン配管15が平面視において略T字状に配設されており、集水孔13は、ドレン配管15に沿って縦方向に延びる縦長部13aと横方向に延びる一対の横長部13bとで構成されている。
【0075】
ベース板部10には、集水孔13の縦長部13aを挟んでその両側にそれぞれボルト挿通孔16が3つずつ(合計6つ)形成されている。この3つのボルト挿通孔16は、横方向に延びる長孔16aと、該長孔16aを挟んでその両側に配設され、該長孔16aに対してそれぞれ所定の角度で傾斜する2つの長孔16bとで構成されている。
【0076】
上記ドレン配管15は、横方向に延びる2つの配管15aと、縦方向に延びる配管15bとを市販品のT型継手33を介してT字状に接続することにより構成されている。そして、このT字状に配置されたドレン配管15の3つの端部のうちの1つ(本実施形態では、横方向に延びる配管15aの一端部)には継手部材26が装着され、その他の2つの端部にはキャップ部材24が装着されている。ドレン配管15の各端部の支持板部18(又は19)への取付け構造(つまりベース板部10への取付け構造)の詳細は、上記実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0077】
この取付け構造によると、上述したように、ドレン配管15をベース板部10に対して容易に取り付けることができるため、本変形例の如く、ドレン配管15の配置構成を比較的複雑(T字状)にしても、ドレン配管15をベース板部10に取り付けるための作業工数はそれほど増加しない。このため、本変形例のドレンパン100では、製品コストの増加を抑制しながら、集水孔13の配置を最適化して、ドレン水の集水性を可及的に向上させることができる。
【0078】
(他の実施形態)
本発明の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、ドレンパン100をポンプユニットUの下側に配設して、ポンプユニットUのポンプ軸から滴下する潤滑水をドレンパン100により回収する例を示したが、これに限ったものではなく、例えば、空調機の下側にドレンパン100を配設して、空調機から滴下する結露水をドレンパン100により回収するようにしてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、ドレンパン100を一対の防振台1の上側に載置する例を示したが、これに限ったものではなく、例えば、互いに平行に並ぶ一対の角パイプの上側にドレンパン100を載置するようにしてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、ベース板部10に対して支持板部18,19を曲げ加工により一体成形するようにしているが、これに限ったものではなく、ベース板部10に対して支持板部18,19を溶接するようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、ドレン配管15の一端部にキャップ部材24を装着して、他端部に継手部材26を装着するようにしているが、これに限ったものではなく、例えば、ドレン配管15の両端部に継手部材26を装着するようにしてもよいし、該両端部にキャップ部材24を装着するようにしてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、ベース板部10に滴下したドレン水を堰き止めるために、シール壁部17を設けるようにしているが、これに限ったものではなく、例えば、シール壁部17に代えてゴム部材(例えば、ネオプレン製のスポンジゴム)を貼り付けるようにしてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、ドレン配管15及び継手部材26は塩化ビニール製とされているが、例えば鉄製のものを使用してもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、ドレンパン100を、ポンプユニットUのポンプ側部分にのみ配設する例を示したが、例えば、ドレンパン100をポンプユニットUのポンプ側から電動機側に至る縦方向の略全体に亘って配設するにしてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、集水孔13の幅方向の両側の端縁部にそれぞれ矩形状片14を形成する例について説明したが、例えば、図7の左右の集水孔13の如く、幅方向の一側の端縁部にのみ矩形状片14を形成するようにしてもよい。この場合、集水孔13の形成に際して、ベース板部10の集水孔形成予定部をI字状ではなくコ字状に切り欠くようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、ドレンパン及び該ドレンパンを備えた防振台装置に有用であり、特に、ポンプと該ポンプを駆動する駆動源とを有するポンプユニットに対して使用されるドレンパン及び防振台装置に有用である。
【符号の説明】
【0087】
U ポンプユニット
P ポンプ
M 電動機(駆動源)
1 防振台
2 架台
3 基台
4 アイソレータ(防振体)
10 ベース板部
13 集水孔
14 矩形状片
15 ドレン配管
18 支持板部
18a 外側面
19 支持板部
20 切欠部
24 キャップ部材(位置規制部材)
25 支持孔
26 継手部材(位置規制部材)
27 小径筒部
28 大径筒部
100 ドレンパン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器から滴下するドレン水を回収するためのドレンパンであって、
上記機器の下側に配設されるベース板部と、
上記ベース板部に形成された長孔状の集水孔と、
上記ベース板部の下側に配設され、上記集水孔に沿って延びるとともに、該集水孔に対応する部分に上側に開口する切欠部が形成されたドレン配管と、
上記ベース板部から下側に突出して、上記ドレン配管の管軸方向に対向する一対の支持板部と、
上記一対の支持板部にそれぞれ形成され、上記ドレン配管の両端部を支持する支持孔と、
上記ドレン配管の両端部にそれぞれ装着されて、上記一対の支持板部の互いの外側面に当接することで、該ドレン配管の管軸方向の移動を規制する一対の位置規制部材と、を備えていることを特徴とするドレンパン。
【請求項2】
請求項1記載のドレンパンにおいて、
上記支持板部は、上記ベース板部に対して曲げ加工により一体成形されていることを特徴とするドレンパン。
【請求項3】
請求項1又は2記載のドレンパンにおいて、
上記集水孔は、上記ベース板部における該集水孔の形成予定部をI字状に切り欠くことで扉状の一対の矩形状片を形成して、該両矩形状片をその基端部を支点として下方に折り曲げることで形成されていることを特徴とするドレンパン。
【請求項4】
請求項3記載のドレンパンにおいて、
上記折り曲げられた一対の矩形状片は、上記集水孔の幅方向の両側の端縁部からそれぞれ、該幅方向の中央に向かって下側に傾斜して、上記集水孔に滴下したドレン水を上記ドレン配管に形成された切欠部へと案内するように構成されていることを特徴とするドレンパン。
【請求項5】
請求項4記載のドレンパンにおいて、
上記折り曲げられた一対の矩形状片の下端縁は、上記ドレン配管に形成された切欠部の幅方向の両側端縁よりも内側且つ下側に位置していることを特徴とするドレンパン。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のドレンパンにおいて、
上記位置規制部材は、上記一対の支持板部の互いの外側において、上記ドレン配管の端部に外嵌して装着される有底筒状のキャップ部材で構成されていることを特徴とするドレンパン。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のドレンパンにおいて、
上記ドレン配管の少なくとも一方の端部は、上記支持板部の支持孔に対して上記位置規制部材を介して支持されており、
当該位置規制部材は、上記支持孔に嵌挿支持され且つ上記ドレン配管の端部に外嵌して装着される小径筒部と、上記一対の支持板部の互いの外側に位置し、該小径筒部に対して同軸に接続される大径筒部とを有していることを特徴とするドレンパン。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のドレンパンにおいて、
上記ドレン配管は、塩ビ管からなることを特徴とするドレンパン。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のドレンパンにおいて、
上記位置規制部材は、塩ビ製の配管継手からなることを特徴とするドレンパン。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のドレンパンと、長尺状の架台及び基台の間に防振体を介在させてなる一対の防振台とを備え、機器の幅方向に並んで配置した該一対の防振台の上側に上記ドレンパンを介して機器を載置して使用される防振台装置であって、
上記ドレンパンのベース部は、上記一対の防振台の架台の上側に跨って載置されて、該架台に対して上記機器と共に共締め固定されることを特徴とする防振台装置。
【請求項11】
請求項10記載の防振台装置において、
上記機器は、回転式のポンプと該ポンプを駆動する駆動源とを備えたポンプユニットであり、
上記一対の防振台は、上側から見て、上記ポンプのポンプ軸方向に直交するポンプ幅方向に並んで配置されるものであり、
上記ドレンパンの集水孔は、上記ドレンパン及び上記ポンプユニットを上記防振台の架台に共締め固定した状態において、上記ポンプ軸に沿ってその真下に位置するように形成されていることを特徴とする防振台装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−127368(P2012−127368A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276913(P2010−276913)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000201869)倉敷化工株式会社 (282)